説明

光ファイバケーブル

【課題】首部の高さが3mm以下の光ファイバケーブルに余長を的確に設定できる光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】抗張力体11の外周にシース12を施した支持線部13と、光ファイバテープ心線14等を収容するケーブル部15と、支持線部13とケーブル部15を間隔をおいて連結する首部16からなり、支持線部13に対してケーブル部15が余長を持つように、かつ、支持線部13とケーブル部15をオフセットさせて首部16で連結したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持線部とケーブル部とからなる架空用の光ファイバケーブルに係り、特に、支持線部に対してケーブル部を、余長を持たせて首部で連結した光ファイバケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般住宅内への引き落としに使うドロップケーブル(光ファイバケーブル)は、作業の簡易さ、低価格化などが求められ、SSW型等の自己支持ケーブル構造と比べて、使用用途に適するように細径・軽量化が求められている。
【0003】
この架空用の光ファイバケーブル20は、図5(a)に示すように抗張力体21の外周にシース22を施した支持線部23と、光ファイバテープ心線24を1枚または2枚以上収容する断面略長方形状のケーブル部25とが、首部26で連結されて構成され、細径化のために、支持線部で3mmφ、ケーブル部で幅が3mm、高さが5mmで、支持線部とケーブル部を繋ぐ首部の高さが3mm以下にされている。
【0004】
この光ファイバケーブル20は、架空時にケーブル部25に張力がかからないよう、またケーブル部25の光ファイバを活線状態で、任意の光ファイバを分岐させるためには、支持線部23に対してケーブル部に、0.1〜0.5%程度の余長を持たせる必要がある。このためには首部26は、長さ方向に連続させるのではなく、間隔をおいてケーブル部25と支持線部23を連結するようにしている。
【0005】
このためには、図5(b)に示すように、巻き取り径の異なる余長入りプーリ28を用い、径の小さなプーリ28sで支持線部23を巻き取り、径の大きなプーリ28mでケーブル部25を巻き取ることで、両者の円周長の違いで余長を付与するようにしている(特許文献1、2)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−119069号公報
【特許文献2】特開2001−281510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、首部26は、余長入りプーリ28にケーブル部25と支持線部23が巻き付けた時点で曲げられるため、首部26の長さは、段差以上の長さを必要とし、余長率が大きくなると、その分、首部26の長さも余長率に合わせて長くする必要がある。また、余長入りプーリ28で所定の余長を付与しても、首部26は図5(a)のように元の形状に戻るため、設定した余長になる保証はない。
【0008】
また、特許文献1、2に示されるようなSSW型等の自己支持ケーブルにおいては、ケーブルの径も大きいため、首部の長さも長く支障はないが、ドロップケーブルでは、支持線部の径が3mm、首部の長さ3mm以下となるため、的確な余長を持たせることは困難となる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、首部の高さが3mm以下の光ファイバケーブルに余長を的確に設定できる光ファイバケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、抗張力体の外周にシースを施した支持線部と、光ファイバテープ心線或いは光ファイバを収容するケーブル部と、支持線部とケーブル部を間隔をおいて連結する首部からなり、支持線部に対してケーブル部が余長を持つように首部で連結される光ファイバケーブルにおいて、支持線部とケーブル部をオフセットさせて首部で連結することを特徴とする光ファイバケーブルである。
【0011】
請求項2の発明は、首部は、支持線部に対してケーブル部が所定の余長を付与すべく径の異なる巻き取りドラムで、支持線部とケーブル部を巻き取られるときの支持線部とケーブル部の段差のあるまま連結するよう支持線部とケーブル部をオフセットして連結する請求項1記載の光ファイバケーブルである。
【0012】
請求項3の発明は、支持線部とケーブル部のオフセット量は、支持線部とケーブル部を巻き取られるときのドラムの段差と等しい請求項1または2記載の光ファイバケーブルである。
【0013】
請求項4の発明は、首部は、一方が支持線部のシースの中心に連結され、他方がケーブル部の中心に対してオフセットした位置に連結される請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバケーブルである。
【0014】
請求項5の発明は、首部は、一方がケーブル部の中心に連結され、他方が支持線部のシースの中心に対してオフセットした位置に連結される請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバケーブルである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、支持線部とケーブル部とをオフセットさせて首部で連結するため、余長入りプーリで巻き取って余長を入れる際に、そのオフセットされた状態で支持線部とケーブル部を巻き取って余長を付与できるため余長率を的確に付与できるという優れた効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
図1(a)において、10は、本発明の光ファイバケーブルを示し、抗張力体11の外周にシース12を施した支持線部13と、光ファイバテープ心線14を1枚または2枚以上収容する断面略長方形状のケーブル部15とが、首部16で後述するようにオフセットされた状態で連結されて押出機(図示せず)にて連続的に製造される。このケーブル部15には、収容される光ファイバテープ心線14の上下(図では左右)に位置してテンションメンバ17が設けられる。
【0018】
光ファイバケーブル10の製造は、押出機から光ファイバケーブル断面形状をしたダイスを通してポリエチレンを押し出し、そのポリエチレンで、通線される抗張力体11、光ファイバテープ心線14、テンションメンバ17を被覆して製造する。
【0019】
この際、首部16に位置して、30W以上のCO2 レーザまたはYAGレーザを用いてレーザ光を照射して、スリットを形成して、首部16が例えば20cm間隔で支持線部13とケーブル部15とを間隔をおいて連結するようになっている。
【0020】
ドロップケーブルに使用される光ファイバケーブル10は、支持線部13が3mmφ、ケーブル部15が、幅3mm、高さ5mm、首部16の高さaが3mm以下にされ、レーザ光の照射にて不要な首部16を除去できるため、間隔をおいた首部16を形成することが可能となる。
【0021】
さて、支持線部13とケーブル部15の長さ方向の長さ比は、1:1.001以上、1:1.005以下としてケーブル部15に余長を持たせるために、図1(b)に示すように径の異なる余長入りプーリ18で巻き取るようにされ、径の小さなプーリ18sが、支持線部13を巻き取り、径の大きなプーリ18mがケーブル部15を巻き取り、その円周長の相違が余長となる。
【0022】
このように支持線部13とケーブル部15とがオフセットした状態で余長入りプーリ18に巻き取られ、首部16は、そのオフセットした状態、すなわち段差のあるままで、支持線部13とケーブル部15とを連結するようなダイス形状にされて押し出し成形される。
【0023】
この際、首部16は、一方が支持線部13のシース12の中心に連結され、他方がケーブル部15の中心に対してオフセットした下側の位置に連結される。
【0024】
押出機から余長入りプーリ18で巻き取られた光ファイバケーブル10は、図示していないが水槽を通して冷却された後、巻き取りボビン等に巻き取られ、図2に示したような光ファイバケーブル10が製造される。
【0025】
図3は、本発明の他の実施の形態を示し、首部16の一方がケーブル部15の中心に連結され、他方が支持線部13のシース12の中心に対してオフセットした下側の位置に連結するようにした光ファイバケーブル10を示したものである。
【0026】
図4は、本発明のさらに他の実施の形態を示したもので、ケーブル部15aの断面形状を円形に形成し、そのケーブル部15a内に、一芯乃至多芯の光ファイバ(図示せず)を収容し、首部16がオフセットして支持線部13とケーブル部15aを連結した形態を示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の光ファイバケーブルの全体斜視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 光ファイバケーブル
11 抗張力体
12 シース
13 支持線部
14 光ファイバテープ心線
15 ケーブル部
16 首部
18 余長入りプーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗張力体の外周にシースを施した支持線部と、光ファイバテープ心線或いは光ファイバを収容するケーブル部と、支持線部とケーブル部を間隔をおいて連結する首部からなり、支持線部に対してケーブル部が余長を持つように首部で連結される光ファイバケーブルにおいて、支持線部とケーブル部をオフセットさせて首部で連結することを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
首部は、支持線部に対してケーブル部が所定の余長を付与すべく径の異なる巻き取りドラムで、支持線部とケーブル部を巻き取られるときの支持線部とケーブル部の段差のあるまま連結するよう支持線部とケーブル部をオフセットして連結する請求項1記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
支持線部とケーブル部のオフセット量は、支持線部とケーブル部を巻き取られるときのドラムの段差と等しい請求項1または2記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
首部は、一方が支持線部のシースの中心に連結され、他方がケーブル部の中心に対してオフセットした位置に連結される請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
首部は、一方がケーブル部の中心に連結され、他方が支持線部のシースの中心に対してオフセットした位置に連結される請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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