説明

光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルの組立体

【課題】本発明は、比較的小型の光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルの組立体を提供する。
【解決手段】本発明の組立体は、光ファイバプラグと、光ファイバレセプタクルとを有し、光ファイバプラグは、シュラウドをその第1端部近傍に有するプラグ本体と、コネクタハウジングとプラグフェルールとを有する光ファイバコネクタと、を有し、光ファイバレセプタクルは、光ファイバプラグと適合し、レセプタクルハウジングと、アダプタスリーブと、を有し、アダプタスリーブが、プラグフェルールの一部を収納する通路を形成し、シュラウドとアダプタスリーブは、アダプタスリーブの一部がシュラウドにより形成された開口内に配置される大きさであり、プラグ本体は、シュラウド近傍のシャフトと、光ファイバレセプタクルと係合するカラーとを有し、カラーは、シャフトに対して長手方向の軸の周りを回転可能であるが長手方向の移動が制限される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを相互接続するあるいは終端する組立体に関し、特に光ファイバレセプタクルと光ファイバプラグの組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは数多く且つ様々なアプリケーション、例えば幅広い通信のアプリケーション及びデータ伝送のアプリケーションで用いられている。その結果光ファイバネットワークは一本あるいは複数本の光ファイバが相互接続あるいは終端される、現在もなお増加中の容器あるいは収納体を含まなければならない。例えば、光ファイバネットワーク(ケーブルテレビ(CATV)ネットワーク)は、光ファイバに沿って伝搬する光学信号を電気信号に変換する複数の光学ネットワーク装置(Optical Network Units(ONU))を含む。さらにまた、電話ネットワークおよびCATVネットワークは複数のネットワークインターフェース装置(Network Internet Devices (NID))を含み、各NIDは特定の加入者に関連している。
【0003】
来入する光学信号を受信すると、NIDはこの信号を分離し、所定の場所(例えば様々な電話機出力、CATV出力)に経路指定する。ONUと同様にNIDもまた、来入する光学信号を必要によっては電気信号に変換する。光ファイバネットワークはまた、複数の他の包囲体、例えばスプライス包囲体を含み、その中で様々な種類の光ファイバがスプライスされる、すなわち光学的に結合される。種類のいかんを問わず、これらの包囲体(容器)は、保護機能(例えば湿気からあるいは他の環境劣化因子から)を光ファイバ、特に光ファイバがスプライスされるあるいは光学的に結合される場所に提供する。
【0004】
ONU、NIDのようなこれらの包囲体および他の包囲体(容器)は通常光ファイバケーブルの個々の光ファイバが容器内でそれぞれの光ファイバに接続される一つあるいは複数のレセプタクルを有する。包囲体内の光ファイバは必要によって相互接続され、あるいは終端される。従来レセプタクルは、内部空間を規定/形成するレセプタクルハウジング内に含まれ、アダプタスリーブはレセプタクルハウジングにより形成された内部空間の固定位置に配置される。アダプタスリーブは一対のフェルールを収納するよう設計され、各フェルールは複数の光ファイバの端部に搭載される。
【0005】
一方のフェルールはケーブルリボン、他の光ファイバデバイスから延びた光ファイバの端部に取り付けられる。そしてこれらのケーブルリボン、光ファイバデバイスは包囲体の内部に延びるかあるいはその中に配置されて、光ファイバのスプライスあるいは他の相互接続あるいは終端処理を容易にする。以下に説明するように他方のフェルールは、ケーブルリボン、光ファイバ装置から延びる光ファイバに搭載される。これらのケーブルリボン、光ファイバ装置は、例えば包囲体の外部に延びるかあるいは外部に配置されている。アダプタスリーブはフェルールと大まかに整合し、フェルールガイドピンあるいは他の整合手段が各フェルールの各端部に搭載された光ファイバと精密に整合させる。
【0006】
従来の包囲体のレセプタクルと適合する(組み合わさせる)ために、光ファイバプラグは光ファイバケーブルの端部上に搭載される。通常このプラグはほぼ円筒状のプラグ本体と、プラグ本体内に配置されたプラグフェルールを含む光ファイバコネクタとを含む。プラグフェルールを保護するために円筒状のプラグ本体は光ファイバコネクタの側面を部分的あるいは完全に包囲する。円筒状のプラグ本体の端部が開放され、そのためフェルールがアクセス可能であるが、円筒状のプラグ本体の端部はフェルールを若干越えて延びて更なる保護を提供する。フェルールは光ファイバケーブルの複数の光ファイバ上に搭載され、その結果プラグとレセプタクルの適合(組み合わせ)が整合し、あるいは光ファイバケーブルの光ファイバと包囲体内のそれぞれの光ファイバとを接続する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラグとレセプタクルを適合する(組み合わせる)プロセスにおいては、プラグフェルールはレセプタクルのアダプタスリーブの一端内に挿入される。それ故、アダプタスリーブはプラグフェルールとレセプタクルフェルールとを整合させる。このレセプタクルフェルールは包囲体の内部に延びるあるいは内部に配置されるケーブルリボン、光ファイバデバイスからの光ファイバの端部に取り付けられる。従来の光ファイバプラグが構成されると、アダプタスリーブの一端はプラグフェルールがアダプタスリーブ内に挿入されるにつれてプラグ本体の開放端内に受け入れられる。さらにまたプラグフェルールをアダプタスリーブ内に保持するために、光ファイバプラグとアダプタスリーブの光ファイバコネクタは、例えば一対のラッチ手段により機械的に結合されるよう設計されている。ラッチはプラグフェルールとアダプタスリーブとを効果的に結合するが、光ファイバコネクタとアダプタスリーブを機械的に結合することは、プラグフェルールとアダプタスリーブとの間の動きを制限することになり好ましくない。
【0008】
プラグとレセプタクルが適合する(組み合わされる)と、光ファイバケーブルはプラグフェルールを含む光ファイバコネクタにトルクを生成する力に曝されることがある。このトルクはプラグフェルールが搭載される光ファイバを介して伝送される光学信号の減衰を増加させて好ましくない。さらに悪いことにこのトルクは光ファイバを破壊することがある。従来光ファイバプラグが搭載される光ファイバケーブルは極めてフレキシブルであり、その結果プラグフェルールには最小限のトルクしかかからない。しかし近年になって、光ファイバプラグは遙かに堅い光ファイバケーブル、例えば屋外用に設計された防護機能付きの光ファイバケーブルに搭載されている。光ファイバケーブルの剛性が増加した結果、光ファイバケーブルにかかる力もプラグフェルールに容易に伝達され、その結果プラグフェルールに増加したトルクがかかることになる。光学信号の減衰がこのトルクにより増加するため、光ファイバプラグは、プラグフェルールとプラグフェルールが搭載される光ファイバとを、光ファイバケーブルが曝されるこれらの力(捻れ)から少なくとも部分的に切り離すのが望ましい。
【0009】
レセプタクルに係合する前に、プラグが搭載される光ファイバケーブルの端部を含む光ファイバケーブルは、例えば所定のケーブルパスに沿って引き回すことにより設置される。ある事例においては光ファイバケーブルは光ファイバケーブルそのものよりもあまり大きくないダクトあるいは他の小型の通路を介して延びなければならない。プラグ本体はアダプタスリーブの一端を収納し、それを包囲できる程度十分大きくなければならないために、プラグ本体のサイズが光ファイバケーブルが設置されるダクトあるいは他の通路の最小サイズを制限してしまう。ダクトの最小サイズの制限は光ファイバケーブルを設置するのに必要なスペースを減らすこと、すなわち現在設置されている多数の光ファイバケーブルの観点からダクトサイズを小さくすることが、強調されるにつれてますます不利となっている。しかし今日までは光ファイバケーブルが引き回されるダクトのサイズを小さくすることは、光ファイバケーブルの端部に搭載されるプラグ本体のサイズにより少なくとも部分的に制限されている。
【0010】
光ファイバケーブルを引き回すための引っ張り用グリップは、光ファイバプラグが光ファイバケーブルの端部に搭載されるような実施形態においては、光ファイバプラグを含む光ファイバケーブルの先頭端に通常搭載される。引っ張り用グリップは光ファイバケーブルの負荷をケーブルの補強部材に確実に結合して、光ファイバケーブルを引っ張るのに用いられるロープ、ケーブル等の取り付けポイントを提供するよう設計されている。光ファイバケーブルは捻れたり回転したりしている所定のケーブルパスに沿ってしばしば引き回さなければならないので、引っ張り用グリップの設計は光ファイバケーブルに対し旋回したり回転できるようにされて、光ファイバがパスに沿って引き回される際光ファイバケーブル上に不要なトルクがかかるのを回避している。
【0011】
通常光ファイバケーブルに対し旋回できるよう適合されている引っ張り用グリップは、光ファイバケーブルに接続しなければならない複数の構成要素を含む。この従来の引っ張り用グリップの構成要素は、ロープ、ケーブル等が取り付けられる構成要素が、光ファイバケーブルに直接取り付けられる構成要素に対し、回転あるいは旋回可能なように互いに接続されている。かくして光ファイバケーブルに対し回転/旋回できる引っ張り用グリップが入手可能でも、引っ張り用グリップの使用を容易にし、且つ引っ張り用グリップのコストを低減させるような単純な構造を有する、光ファイバケーブルに対し回転/旋回可能な引っ張り用グリップを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
改良された光ファイバプラグが本発明により提供される。本発明の一実施形態によれば、光ファイバプラグは、光ファイバプラグとそれに関連する光ファイバケーブルを比較的小さな通路を介して引き回すことを容易にするよう設計されている。光ファイバプラグと関連する光ファイバケーブルを通路を介して引き回すことを更に容易にするために、本発明の光ファイバプラグは光ファイバプラグの残余部分に搭載され且つそれに対し旋回可能に適合したキャップを有し、これにより光ファイバケーブルの引き回しと光ファイバプラグに対し光ファイバケーブルが旋回可能あるいは回転可能となるようなメカニズムを提供し、且つ従来の引っ張り用グリップよりも少ない部品で構成される。さらにまた本発明の光ファイバプラグは、光ファイバコネクタそしてプラグフェルールを光ファイバケーブルが曝される力により生成されるトルクから切り離すものである。
【0013】
本発明の一実施形態によれば光ファイバプラグは、コネクタハウジングと、このコネクタハウジング内に少なくとも一部が搭載され、複数の光ファイバの端部に搭載することのできるプラグフェルールとを有する光ファイバコネクタを有する。光ファイバプラグは対向する第1端部と第2端部の間を長手方向に延び縦軸を規定するプラグ本体を含む。このプラグ本体は第1端近傍にシュラウドを有する。本発明の一実施形態においては、シュラウドはシュラウドの少なくとも中間点からプラグ本体の第1端部に長さ方向に延びる少なくとも1個の開口を規定する。本発明の好ましい実施形態によれば、シュラウドはシュラウドの少なくとも中間部分からプラグ本体の第1端部に長さ方向に延びる両側(対向する側)に一対の開口を規定する。本発明の他の実施形態においてはシュラウドは開口を有さない。
【0014】
シュラウドが円筒状であり一対の開口を有する実施形態においては、シュラウドの第1端部は開口により分離された一対の弓形シュラウド部分を有する。好ましくはシュラウドにより規定される開口は互いに整合している。光ファイバコネクタはプラグ本体内で縦軸の周囲の回転に対し固定した場所に配置される。その結果シュラウドにより規定される開口はプラグフェルールと軸方向で整合している。この点に関し、プラグフェルールは通常基準面を長さ方向に延びる複数のボアを規定する。かくしてシュラウドにより規定される開口はこの基準面を中心に振り分けれられている。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、光ファイバレセプタクルが光ファイバプラグと適合する(組み合わされる)ような光ファイバ組立体が提供される。光ファイバレセプタクルは対向する第1端と第2端を通る内部キャビティ開口を規定する光ファイバレセプタクルハウジングを有する。光ファイバレセプタクルは、レセプタクルハウジングにより規定される内部キャビティ内に配置されるアダプタスリーブを有する。アダプタスリーブは長さ方向に延びる通路を規定し、この通路が光ファイバプラグのプラグフェルールの一部を収納する。この点に関し、プラグフェルールはプラグ本体内に配置され、その結果プラグフェルールはシュラウド内でプラグ本体の第1端を介してアクセス可能であるが、これはシュラウドがプラグフェルールを幾分越えて延びている場合でもそうである。
【0016】
さらにシュラウドとアダプタスリーブのサイズは光ファイバプラグのプラグフェルールがアダプタスリーブ内に挿入された後、シュラウドにより規定される開口内にアダプタスリーブの一部が配置されるような大きさである。かくしてこの実施形態においてはシュラウドは従来の光ファイバプラグにより提供されたアダプタスリーブを完全には包囲しない。従って、本発明のシュラウドは、従来の光ファイバプラグのシュラウドに比較してサイズが縮小しており、これにより本発明の一実施形態による光ファイバプラグの全体の大きさを減らすことができる。光ファイバプラグは、光ファイバプラグとそれに関連する光ファイバケーブルが引き回されるダクトあるいは他の通路のサイズを時に制限するために、この実施形態の光ファイバプラグは従来の光ファイバプラグよりもより小さなダクトあるいは他の通路内を引き回すことができる。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、光ファイバプラグはコネクタハウジングとこのコネクタハウジング内に少なくとも一部が配置されるプラグフェルールとを有する光ファイバコネクタを含むよう構成される。光ファイバプラグはクリンプバンドを有する。クリンプバンドの第1部分は光ファイバコネクタに係合し、第2部分は光ファイバケーブルに係合するよう適合されている。この実施形態の光ファイバプラグは縦軸を規定するプラグ本体を有する。この実施形態によれば、クリンプバンドとプラグ本体とは互いに適合する(組み合わされる)係合部材をそれぞれ有し、クリンプバンドとプラグ本体とを機械的に結合し且つ軸方向にそれらの間での相対的な回転を阻止する。
【0018】
例えば、通常クリンプバンドはキーを有する。従ってプラグ本体は長さ方向に延びる通路とこの通路内へ続くキー溝開口を規定する。そのためクリンプバンドはプラグ本体により規定された通路内に少なくとも一部が配置され、その結果キー溝に係合する。この実施形態において、クリンプバンドにより規定されるキーとプラグ本体により規定されるキー溝とは縦軸方向に延びる。かくしてクリンプバンドとプラグ本体との間の縦軸方向の動きは可能であるが、クリンプバンドとプラグ本体との間の縦軸を中心とした相対的な回転は阻止される。
【0019】
クリンプバンドとプラグ本体との間の相対的な回転を阻止することにより、光ファイバケーブルが受けるトルクは、クリンプバンドを介してプラグ本体に、さらにまた光ファイバプラグが接続されるレセプタクルのレセプタクルハウジングに伝達される。かくして光ファイバコネクタ、特にプラグフェルールは、光ファイバケーブルが受けるトルクから保護される、すなわち切り離される。その理由は光ファイバコネクタがクリンプバンドとプラグ本体の係合部材を介して係合されるプラグ本体は、光ファイバケーブルにかかるトルクに応答してわずかしか動かないからである。
【0020】
本発明の一実施形態においてはクリンプバンドは対向する第1端と第2端との間を長さ方向に延び、クリンプバンドの第1部分と第2部分はそれぞれ第1端と第2端の近傍にある。クリンプバンドがキーを有する実施形態においては、キーはクリンプバンドの中央部分の第1部分と第2部分の間に配置される。その構成としてクリンプバンドはキーが取り付けられたクリンプバンドの第2部分近傍に配置された拡大部分を有する。このような構成に関わらずクリンプバンドの第1部分と第2部分とは圧縮され、クリンプバンドを光ファイバコネクタと光ファイバケーブルにそれぞれ固定する。第1端と第2端は圧縮されるが、クリンプバンドのキー部分は若干変形するだけである。
【0021】
本発明の一実施形態においては、光ファイバコネクタはコネクタハウジングに取り付けられたスプリングプッシュを有する。この実施形態においては、クリンプバンドの第1端はスプリングプッシュに係合する。さらに具体的にはスプリングプッシュはクリンプバンドの第1部分により係合するよう設計されたクリンプ本体を含む。クリンプバンドによる光ファイバケーブルの係合に関しては、光ファイバケーブルはさらに光ファイバケーブルのケーブルジャケット内に配置され複数の光ファイバを包囲する支持チューブを有する。この支持チューブはクリンプバンドの第2部分に整合し、クリンプバンドの第2部分はクリンプバンドの第2部分と支持チューブの間のケーブルジャケットをクリンプ(係合)する。かくしてクリンプバンドは光ファイバケーブルと光ファイバコネクタの両方に確実に係合する。さらにまたクリンプバンドとプラグ本体のそれぞれの係合部材は、クリンプバンドとプラグ本体とを機械的に結合してそれらの間の相対的な回転を阻止する。それにより光ファイバコネクタさらにはまたプラグフェルールを、光ファイバケーブルにかかるトルクの悪影響から保護する。
【0022】
本発明の他の実施形態によれば、光ファイバプラグは対向する第1端と第2端の間で長さ方向に延び、それらの間の縦軸を規定するプラグ本体を有する。光ファイバプラグはさらにコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに少なくとも一部が配置されるプラグフェルールとを有する光ファイバコネクタを有する。光ファイバコネクタは、プラグ本体内に配置されその結果プラグフェルールはプラグ本体の第1端を介してアクセス可能である。光ファイバプラグはプラグ本体に搭載されるキャップを有し、その少なくとも第1端を保護する。キャップはプラグ本体に搭載され、キャップの長さ方向の移動は制限されるがキャップはプラグ本体に対し縦軸を中心に回転可能である。
【0023】
かくしてキャップはプラグ本体に接続されながらプラグ本体の残余部分に対し旋回/回転可能である。そのためキャップは引っ張り用グリップとして機能し、光ファイバプラグと光ファイバプラグが接続される光ファイバケーブルを通路内に引き回すことができる。この点に関し、キャップはロープ、ケーブル等に係合する開口を規定し、光ファイバプラグと光ファイバケーブルを通路内に引き回すのを容易にしている。キャップは光ファイバプラグと光ファイバケーブルを通路内を引き回しながら光ファイバコネクタを保護するだけでなく、キャップは小型でプラグ本体よりもあまり大きい必要はない。かくしてキャップは光ファイバプラグと光ファイバケーブルが引き回される通路の大きさを制限することはない。
【0024】
プラグ本体はシャフトとこのシャフト上に搭載されるカラーとを有し、カラーの長さ方向の動きは、シャフトにより規定される軸を中心にカラーの回転が許される場合でも、制限される。本発明の一実施形態においてはシャフトはネジ部分を有し、カラーは雌ネジ部部を有する。かくしてカラーをシャフト上に回転しながら進めることによりシャフト上に搭載される。プラグ本体はプラグ本体の第1端近傍で且つシャフトに近接した場所にシュラウドを有する。このシュラウドはシャフトよりも大きくその結果カラーの動きは、一端ではシャフトのネジ切り部分により、他端ではシュラウドにより制限される。キャップはそれとともに動くようにカラーに取り付けられる。キャップが取り除かれると、光ファイバケーブルを通路内に引き回した後、および光ファイバプラグを対応するレセプタクルに適合させる準備の後、カラーは光ファイバレセプタクルに係合するよう適合している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。本発明は様々な形態で実現可能であり、ここに開示した実施形態に限定するよう解釈されるべきものではない。ここに開示した実施形態は当業者に本発明の範囲を理解してもらうためのものである。類似の構成部品には同一の番号が付されている。
【0026】
図1に本発明の一実施形態による光ファイバプラグ10が示されている。光ファイバプラグ10は光ファイバケーブル12の端部に搭載され、対応する光ファイバレセプタクルに適合する(挿入される)。通常このレセプタクルは、容器あるいは包囲体等へのアクセスを提供し、光ファイバケーブルから延びる光ファイバ(図示せず)が容器内で光ファイバと整合し、光学的に相互に接続される。光ファイバプラグは様々な種類の光ファイバレセプタクルと適合するよう設計されているが、光ファイバプラグは米国特許出願(Fiber Optic Receptacle, Attorney Docket No. HE0162)に開示された光ファイバレセプタクルに適合するよう設計されるのが好ましい。前記の出願は本出願と同一出願人に譲渡され、前記出願の内容はその全体を本明細書に組み込まれるものである。
【0027】
図2−4に示すように光ファイバプラグ10はプラグ本体14と光ファイバコネクタ16とを有する。この光ファイバコネクタ16は光ファイバケーブル12の端部に搭載されプラグ本体14内に配置される。光ファイバコネクタ16はコネクタハウジング18とプラグフェルール20とを有し、このプラグフェルール20は少なくとも一部がコネクタハウジング18内に配置される。この点に関しコネクタハウジング18は通常後方端部22と先方端部24の間を長さ方向(軸方向)に延び、対向する後方端部22と先方端部24との間の内部通路を形成する。そのためプラグフェルール20はコネクタハウジング18内に搭載され、その結果プラグフェルール20の前面26はコネクタハウジング18の先方端部24を若干越えて延びる。プラグフェルール20がコネクタハウジング18の先方端部24を越えて延びるのを制限するためにコネクタハウジング18は通常プラグフェルール20の対応する肩部30に係合する内部肩部を規定する。しかし、理解すべき点としてコネクタハウジング18はプラグフェルール20に係合し、いかなる方法でもコネクタハウジング18の先方端部を越えて延びるのを制限している。
【0028】
コネクタハウジング18とプラグフェルール20に加えて光ファイバコネクタ16は通常光ファイバコネクタの種類によっては他の構成要素を含む。光ファイバプラグは様々な種類の光ファイバコネクタ(MTRJコネクタ、SC−DCコネクタ、Unicam(登録商標)コネクタ、SCコネクタ、LCコネクタ等)を含むが、ここに示した実施形態の光ファイバプラグ10は、例えばMTPコネクタを含むものとして示している。しかしこれに限定されるものではない。かくしてMTPコネクタについて以下詳述する。
【0029】
MTPコネクタは横方向断面でほぼ四角形を有するコネクタハウジングと、横方向断面でほぼ四角形のマルチファイバプラグフェルールとを含む。図示するように、MTPコネクタのコネクタハウジングは、後方端部22近傍の大型部分と先方端部24近傍の小型部分とを含む。かくして、MTPコネクタハウジングはハウジングの大型部分と小型部分との間に内部肩部(図示せず)を形成する。図2に示すようにMTPプラグフェルールは、プラグフェルールの後端部34近傍の拡大部32と、プラグフェルールの拡大部分から前面26まで延びるシャフト部分36とを有する。かくしてMTPプラグフェルールは拡大部分とシャフト部分との間に肩部30を形成する。従って、コネクタハウジングの内部肩部とMTPプラグフェルールの肩部とは共働(係合)して、コネクタハウジングの先方端部を越えてMTPプラグフェルールが延びるのを制限する。MTPプラグフェルールはまた窓28を有する。
【0030】
MTPコネクタである光ファイバコネクタ16は対向する先方端部40と後方端部42の間の軸方向に延びるバネ押し38を有する。コネクタハウジング18と同様にバネ押し38は対向する先方端と後方端との間に軸方向に延びる内部通路を規定し、その中を光ファイバが延びる。バネ押し38の先方端はコネクタハウジング内に挿入され、それに係合する。例えばスプリングプッシュとも称するバネ押し38の先方端部40はコネクタハウジングにより規定される対応するリセス(凹部)に係合するために横方向に外側に拡張する一対のタブ44とその内部通路に入る開口とを有する。MTPコネクタハウジングはバネ押し38の先方端部40とプラグフェルール20の後端部34との間に配置されたバネ46を有し、これによりコネクタハウジング内でプラグフェルールを先方にバイアスして(押し出して)、その結果バネ押し38の前面26がコネクタハウジングの先方端部40を越えて若干外側に延びるよう付勢する。
【0031】
上記したように、そして図3−5に示すように、光ファイバプラグ10は対向する第1端48と第2端50との間に長さ方向(軸方向)に延びるプラグ本体14を有する。光ファイバコネクタ16は、図1および図3に示すように、プラグ本体内に配置されているが、プラグフェルール20の前面26はプラグ本体14の第1端を介してアクセス可能である。かくしてプラグ本体14は光ファイバコネクタを保護する役目をするが、プラグフェルールの前面を介して搭載される光ファイバにアクセス可能とするものである。当業者が容易に理解できるように、プラグ本体はプラグフェルールの光ファイバとレセプタクルフェルールの光ファイバとを整合させ、光学的に相互接続するために光ファイバレセプタクルに係合するよう設計されている。
【0032】
プラグ本体14は通常シャフトである台形部分52,円筒状部分54を有する。このシャフトは長手方向(軸方向)に延び、光ファイバコネクタ16が配置される内部通路を形成する。本発明の一実施形態においては、シャフトはプラグ本体の第2端50近傍の台形部分52とプラグ本体の中間部分を形成する円筒状部分54とを有する。同図に示すように、台形部分52はプラグ本体の第2端から円筒状部分54方向に向かって直径が拡大しており、その結果、台形部分52はスムーズに円筒状部分54に移行する。プラグ本体の第1端48近傍にシュラウド56を有する。
【0033】
例えば、図1および図4に示すように、シュラウド56はシャフトの円筒状部分54から第1端に延びる。シュラウド56は通常円筒形状をしており、ここに示した実施形態においてはシャフトの円筒状部分54よりも若干大きな直径を有する。本発明の一実施形態に記載したようにシャフトは上記の第1端と第2端とを具備しているが、プラグ本体のシャフトは他の構造、例えば均一な円筒形状で軸方向に延びるシャフトあるいはプラグ本体の第2端からプラグ本体の第1端に均一なテーパ状を形成するような円筒状で長さ方向に延びるシャフトでもよい。
【0034】
上述したように組み立てられた後、光ファイバコネクタ16はプラグ本体14内に配置され、その結果プラグ本体14が光ファイバコネクタを保護する。しかし、コネクタハウジング18の先方端部24とプラグフェルール20の前面26とは露出し、シュラウド56内でプラグ本体14の第1端48を介してアクセス可能である。しかし、取り扱い時、設置時等の間、プラグフェルールの前面が損傷するのを保護するために、プラグ本体14の第1端48をプラグフェルールの前面より若干越えて突出させるのが好ましい。
【0035】
洗浄等のためにコネクタハウジング18の先方端部24とプラグフェルール20の前面26とへさらにアクセスを許すために、シュラウド56はシュラウド56の向かい合う側の上に少なくとも1個、好ましくは通常一対の開口58を規定するのが好ましい。これらの開口58は、シュラウド56の少なくとも中央部分からプラグ本体14の第1端48まで長手方向に延びる。シュラウド56は通常円筒形状をしているために、この好ましい実施形態のシュラウド56は開口58により規定された一対の弓形シュラウド部分60を有する。シュラウド56により形成された一対の開口58は互いに整合し、光ファイバプラグ10の組み立て後プラグフェルール20に対し整合する。
【0036】
プラグフェルールが基準面を長さ方向に延びる複数のボア(穴)を規定するような共通の実施形態においては、シュラウド56により形成される開口はこの基準面を中心にするのが好ましい。開口は様々な形状でもよいが、好ましくはこの開口はコネクタハウジング18の高さよりも大きい幅を有し、さらに好ましくは光ファイバプラグが挿入されるレセプタクルのアダプタスリーブの高さよりも若干大きい幅を有するのが好ましい。しかし、開口は通常90°未満の内部角を規定する。
【0037】
かくして開口58は洗浄等のためにコネクタハウジング18の先方端部24とプラグフェルール20の前面26へのさらなるアクセスを提供する。さらにダストキャップ61が通常出荷と貯蔵の間、コネクタハウジング18の先方端部24上に搭載される。かくして開口58は例えばダストキャップ61を取り除いた間、光ファイバコネクタ16へのアクセスを容易にする。一方、弓形シュラウド部分60は、取り扱い時、設置時、レセプタクルの取り付け準備の間、光ファイバコネクタ16が損傷するのを保護する。この点に関し、弓形シュラウド部分60と開口58を含むプラグ本体14は、光ファイバプラグ10と光ファイバレセプタクルを組み合わせる間プラグフェルール20の前面26が光ファイバレセプタクルの望ましくない部分に接触しないように設計される。さらにここに示した実施形態は開口を有するが、他の実施形態(図示せず)では、開口を具備しないシュラウドを含んでもよい。
【0038】
設置時、プラグ本体14は光ファイバケーブル12の上にスライドする。その後光ファイバコネクタ16を光ファイバケーブル12の端部に搭載する(図2−4)。理解すべき点として、光ファイバコネクタ16は光ファイバケーブル12の端部に様々な方法で搭載することができる。しかし、本発明の一実施形態の光ファイバプラグ10は光ファイバコネクタを光ファイバケーブルに接続するためのクリンプバンド62を有する。この実施形態においては光ファイバケーブルは最初に用意される。図2,3,6を参照すると、光ファイバケーブルの端部近傍にある光ファイバケーブルのクリンプバンド62を取り除いて補強部材66と複数の光ファイバ130とを露出させる。
【0039】
補強部材66の配置は、補強部材66が保護ジャケット64を越えて延び、且つ光ファイバ130が補強部材66を越えて延びるように行われる。光ファイバプラグは様々な種類の光ファイバケーブルに搭載可能であるが、バッファチューブ70とクリンプバンド支持チューブ76を有する光ファイバケーブルを以下説明するが、これは単なる例示であり、限定的に解釈されるべきものではない。この実施形態においては光ファイバ130はバッファチューブ70内に配置されるが、このバッファチューブ70は保護ジャケット64と補強部材66の端部との間に光ファイバケーブルを準備する間用いられる。
【0040】
光ファイバケーブルが適宜準備された後、クリンプバンド62とバネ押し38と保護ジャケット64とが光ファイバケーブル12上にスライドされる。その後プラグフェルール20を光ファイバ130の端部上に搭載し、かくして光ファイバ130はプラグフェルールにより規定されるそれぞれのボア(穴)を介して延びる。その後光ファイバは接着剤等の手段を用いてボア(穴)内に固定される。プラグフェルールの前面26と光ファイバの端部等を研磨した後、プラグフェルールをコネクタハウジング18内に挿入する。バネ押し38とバネ46はその後コネクタハウジングの後方端部22の方向に進められ、バネ押し38のタブ44がコネクタハウジングにより規定される対応するリセス(凹部)に係合し、これによりバネ押し38とコネクタハウジングを結合する。そのためバネ46はプラグフェルールのバネ押し38と後端部34との間に配置され、プラグフェルールを先方に押しだし、プラグフェルールの前面をコネクタハウジングの先方端部24から露出させる。他の実施形態においては、光ファイバの端部の研磨はプラグフェルールをコネクタハウジングに挿入した後行ってもよい。
【0041】
光ファイバケーブル12の保護ジャケット64から突出した補強部材66はその後バネ押し38の先方端部40に被さるようにフレア状に拡大される。次にクリンプバンド62をバネ押し38の後方端部42上にスライドして、補強部材66がクリンプバンド62とバネ押し38の後方端部42との間に配置される。この点に関し、クリンプバンド62は通常第1端72と第2端74との間を長手方向に延びる管状部材である。そのためクリンプバンド62の配置は、クリンプバンド62の第1端がバネ押し38の後方端部42をその間に配置された補強部材66で囲むようにして行われる。クリンプバンド62の第1端をその後圧縮して、クリンプバンド62の第1端とバネ押し38の後方端部42との間の補強部材66に係合し固着する。
【0042】
かくしてクリンプバンド62は、圧縮され、その後この圧縮された形態を保持するアニールした真鍮のような材料から形成されるのが好ましい。クリンプバンド62が圧縮される際、適切な支持を提供するためにバネ押し38は比較的堅い材料、例えば硬化プラスチック材料製が好ましい。かくしてバネ押し38の後方端部42はクリンプ本体として有効に機能する。ここに示した実施形態はほぼ円筒形のクリンプバンドとほぼ矩形のスプリングプッシュとを有するが、これらの構成要素の形状は使用されるコネクタの種類に依存する。かくしてこれらの構成要素の形状は、様々な形状、例えば円筒系、楕円形、長方形、四角形、三角形等でもよい。
【0043】
本発明によればクリンプバンド62が光ファイバケーブル12に係合するポイントは、例えばクリンプバンド62の第1端72とバネ押し38の後方端部42との間の補強部材66の係合点である。別の構成としてクリンプバンド62は光ファイバケーブル12に互いに長手方向に離れた2点で係合してもよい。上記の係合以外に第2端74は光ファイバケーブル12の保護ジャケット64を包囲し、その上でクリンプしてもよく、これにより、光ファイバケーブルの保護ジャケットに係合してもよい。さらにまた、クリンプバンド62は光ファイバケーブルを用いて光ファイバケーブルに係合してもよい。
【0044】
クリンプバンド62の第2端74が保護ジャケット64に確実に係合するために、光ファイバプラグ10は内部支持チューブ68を好ましくは包囲するクリンプバンド支持チューブ76を有する。クリンプバンド支持チューブ76は通常鉄製あるいは別の剛性材料製であるが、これはプラグフェルール20を光ファイバ130の端部に搭載する前に、光ファイバ130の上にスライドされる。特にクリンプバンド支持チューブ76は光ファイバケーブル12の端部内にスライドされ、その結果クリンプバンド支持チューブ76が光ファイバと補強部材66との間に、特にバッファチューブ70と補強部材66との間に配置される。クリンプバンド支持チューブ76の配置は、クリンプバンド支持チューブ76が補強部材66と光ファイバケーブルのバッファチューブとの間でクリンプバンド62の第2端に整合する場所に配置されるように行われる。かくしてクリンプバンド支持チューブ76はクリンプバンド62の第2端74を光ファイバケーブルの周囲に圧縮する際に、光ファイバケーブルの保護ジャケット64と補強部材66とをしっかりと支えるように機能する。さらにまた、ケーブルの温度サイクルの間バッファチューブの軸方向および前方向への動きを制限するためにクリンプバンド支持チューブ76は、階段状肩部を有する。
【0045】
光ファイバ130を水および他の環境因子から保護するために光ファイバプラグ10は通常シリコン製の環状部材であるグロメット78を有してもよい。グロメット78も同様にプラグフェルール20が光ファイバの端部に搭載される前に光ファイバケーブル12とクリンプバンド62の上にスライドされる。クリンプバンド62が適宜光ファイバケーブルとバネ押し38に接続されると、グロメット78はグロメット78がクリンプバンド62の第2端74に当たるまで光ファイバケーブルに沿って前方向にスライドされる。グロメット78は光ファイバケーブルの保護ジャケット64の周囲に緊密にフィットしているために、グロメット78は光ファイバを含む光ファイバコネクタを環境から有効に切り離し、環境劣化から保護する。
【0046】
光ファイバプラグ10の組み立てを完成させるために、プラグ本体14は、図4に示す位置から、光ファイバコネクタ16が図1および図3に示すようにプラグ本体14により形成される内部通路内に配置されるまで光ファイバケーブル12に沿って前方向にスライドされる。光ファイバコネクタをプラグ本体14内に着座させるためにプラグ本体14は、クリンプバンド62の第2端74または他の実施形態ではグロメット78のいづれかに接触する内部肩部80を規定するのが好ましい。好ましくは光ファイバコネクタのサイズと80がプラグ本体14内に形成するのは、光ファイバコネクタ全体がプラグ本体14内に配置され、プラグフェルール20の前面26がプラグ本体14の第1端48を介して露出するように行われる。しかし、プラグ本体14の第1端はプラグフェルール20の前面を若干越えて延びる。
【0047】
好ましくは本発明の光ファイバプラグ10は、プラグ本体14は光ファイバプラグが一旦組み立てられた後は光ファイバコネクタ16に対し軸方向に回転しないように設計されている。この点に関し、プラグ本体14と光ファイバコネクタ16は互いに組み合わされるそれぞれの係合部材を有し、光ファイバコネクタ16とプラグ本体14とを機械的に結合して長手軸を中心にそれらの間で回転しないようにしている。ここに示した実施形態においては例えば光ファイバコネクタ16は通常軸方向に延びるリブであるキー82を有する。これに関しては図2および図4を参照のこと。従って、プラグ本体14は長さ方向に延びる縦軸通路84と光ファイバコネクタ16に形成されたキー82を収納する大きさの縦軸通路84内に入るキー溝を規定する(図5)。
【0048】
組み立てプロセスの間、プラグ本体14は光ファイバコネクタ上をスライドしながら前進するが、これは光ファイバコネクタ16に形成されたキー82が、プラグ本体14により規定される縦軸通路84にキー溝を介して挿入されるように行われる。キー82が縦軸通路84内に係合されると、プラグ本体14と光ファイバコネクタは互いに軸方向(長手方向)に移動可能であるが、プラグ本体14と光ファイバコネクタは長手軸を中心にした回転が阻止されている。
【0049】
図2−4に示すように、本発明の一実施形態のクリンプバンド62はキー82を有する第2端74近傍に拡大部86を有する。しかし、キー82は必要によっては光ファイバコネクタ16の他の部分に形成してもよい。例えば、光ファイバコネクタ16の中間部分がキー82を形成してもよい(図7)。さらに、プラグ本体14がキー82を有し、クリンプバンド62が長手方向に延びる通路を有してもよい。さらにまたクリンプバンド62とプラグ本体14とは他の形状のキーと通路を有してよく、あるいは他の種類の係合部材を有し、長手軸を中心にそれらの間での相対的回転を阻止してもよい。
【0050】
プラグ本体14のクリンプバンド62への機械的結合の結果、そしてクリンプバンド62の光ファイバケーブル12への結合の結果、光ファイバプラグ10は光ファイバケーブルにかかるトルク(捻れ)の悪影響から光ファイバ130を保護する。この点に関し、光ファイバケーブルにかかるトルクにより生成される力は光ファイバケーブルに沿って伝達し、クリンプバンド62の第2部分65と光ファイバケーブルとの間の接続を介してクリンプバンド62に伝達する。トルクにより生成された力はクリンプバンド62からプラグ本体14にそれぞれの係合部材、例えばクリンプバンド62のキー82とプラグ本体14の縦軸通路84を介して伝達される。
【0051】
プラグ本体14は、光ファイバプラグが適合するレセプタクルにかかるトルクの結果として生成される力を伝達する。レセプタクルは通常容器あるいは包囲体等に固定的に搭載されるかあるいはその中に搭載されるために、光ファイバは光ファイバケーブルにかかるトルクにより生成される力の悪影響から有効に保護され、分離される。例えば、光ファイバにより電送される信号は光ファイバケーブルが受けるトルクによって減衰してはならない。本発明の光ファイバコネクタはあらゆる種類の光ファイバケーブルに搭載可能であるが、好ましくは本発明の光ファイバプラグはトルクにより生成される力の大部分を光ファイバコネクタ16に伝達するようなある種の剛性の高い光ファイバケーブル(例えば屋外アプリケーション用)に搭載されるのが好ましい。
【0052】
光ファイバプラグ10が組み立てられると光ファイバプラグは図8,12に示すように対応するレセプタクル85と組み合わされる(適合される)。この点に関し、プラグ本体14の第1端48がレセプタクル内に挿入され、その結果プラグフェルール20の前面26はレセプタクルのアダプタスリーブ87内に受け入れられる。前掲の特許出願に記載したようにシュラウド56は整合部材(例えば軸方向溝88)を有し、レセプタクル85の対応する整合部材(例えばピン)に係合させてプラグフェルール20と縦軸通路84が整合するようにしている。前掲の特許出願に詳述したようにおよび図8,9に示すようにレセプタクルは対向する前端と後端とを通る内部キャビティ開口を規定するレセプタクルハウジング89とその中に配置されるアダプタスリーブ87とを有する。
【0053】
アダプタスリーブ87は、光ファイバプラグのプラグフェルールと容器あるいは包囲体から延びる光ファイバの端部上に搭載されるレセプタクルフェルールとを整合させるよう機能し、これにより光ファイバプラグの対応する光ファイバと光ファイバレセプタクルを整合させる。光ファイバレセプタクルは光ファイバレセプタクルハウジングにネジで固定されているアダプタ固定具91を有し、アダプタスリーブ87とバイアスをかける部材、例えば一対のバネ93等を保持してアダプタスリーブ87をレセプタクルの第1端の方に付勢している。さらにまた、レセプタクルは例えばOリング95のような内部シールを有し、レセプタクルハウジングの内部キャビティを水あるいは他の環境劣化源から保護している。図8,9,12に示したレセプタクルが好ましいが、本発明の光ファイバプラグは必要によっては様々な種類のレセプタクルと適合できる。
【0054】
光ファイバプラグ10をレセプタクル85に確実に結合するために、プラグ本体14はさらにシャフト上に配置され、レセプタクル85にネジで係合するカラー90を有する。この点に関してはカラー90は、その軸方向の動きは制限されるが、シャフトの軸を中心に自由にカラー90が回転できるように、シャフト上に配置されるのが好ましい。本発明の好ましい実施形態においては、シャフトはシュラウドから幾分離間した雄ネジ部92を有する。カラー90は雌ネジが切られており(図示せず)、その結果カラー90はシャフトの雄ネジの上に捻られて進み、カラー90をシャフトに搭載する。
【0055】
本発明によればカラー90がシャフトの雄ネジ部分を越えて捻られて前進すると、カラー90はシャフトに対し軸方向で自由にスライドできる。シャフトに対するカラーの前進方向への移動はシュラウド56により制限される。この点に関し、シュラウド56はシャフトより若干大きく、その結果肩部がシャフトとシュラウドとの間に形成される。シュラウドもまたカラーよりも大きいためにシャフトに対するカラーの前方向への移動は、カラーがシュラウドとシャフトの間に形成された肩部に接触すると制限される。
【0056】
図12において複数の光ファイバプラグ10が容器120に取り付けられた複数のレセプタクル85に適合されている状態、あるいは適合中の状態で示され、プラグフェルール20の前面26から延びた光ファイバ(図示せず)は容器内の光ファイバ(図示せず)と整合し、光学的に結合される。
【0057】
図10に示すようにカラー90はレセプタクル85の雌ネジ部分97に係合する雄ネジ部分96を有し、これにより光ファイバプラグ10をレセプタクル85に固定している。カラーをシャフトに対し回転させるために、カラーの把持を用意にするために80は凸凹のついた部分、スロットのついた部分、あるいはリブのついた部分98を有する。
【0058】
かくして光ファイバプラグ10を図8,12に示したようにレセプタクル85に合わせるために光ファイバプラグ10は対応するレセプタクル内に挿入され、その結果光ファイバプラグ10のプラグフェルール20の前面26が上記したようにレセプタクル85のアダプタスリーブ87内に挿入される。光ファイバプラグ10のプラグフェルール20をアダプタスリーブ87内に挿入するためにシュラウド56もまたレセプタクル85内に挿入される。レセプタクル85の内部を水あるいは他の環境因子から保護するために、シュラウドはレセプタクルにシールを形成するために周囲の溝内に配置されたシールである例えばOリング95を有する。カラー90をその後プラグ本体14のシャフトに対し回転させ、その結果カラー90の雄ネジ部分96がレセプタクル85の雌ネジ部分97に係合し、これにより光ファイバプラグ10とレセプタクル85とを接続する。かくして光ファイバケーブル12にかけられ、光ファイバケーブルからクリンプバンド62に伝達され、さらにプラグ本体14に伝達されるトルクにより生成される力あるいは軸方向引張力はレセプタクル85に今度は伝達され、これにより光ファイバ130をこれらの力の悪影響から分離している。
【0059】
本発明の好ましい実施形態によれば、シュラウド56は、プラグフェルール20が挿入されるアダプタスリーブ87がシュラウドにより形成される開口58内に一部配置される。この点に関し、アダプタスリーブ87の横方向部分は、光ファイバプラグ10対応するレセプタクル85と適合した後は、シュラウドにより形成される開口内に配置されるのが望ましい。従来設計ではシュラウドはプラグフェルールを完全に包囲する必要があり、そしてその結果アダプタスリーブを完全に包囲する必要があったが、本発明のシュラウドは従来設計に対しサイズが小さくなっている。シュラウドを含むプラグ本体14のサイズはプラグ本体が搭載される光ファイバケーブル12が引かれる通路のサイズに対する制限要件であるために本発明のプラグ本体は小さな通路を介して引くことができるが、その理由はシュラウドが従来設計に対し、小さくなっているからである。
【0060】
光ファイバプラグ10が搭載される光ファイバケーブル12を通路内に配置するのをさらに補助するために光ファイバプラグ10はプラグ本体14上に搭載されるキャップ100を有し、光ファイバプラグ10の少なくとも第1端48を設置時にカバーしている(図10,11)。キャップ100は通常閉鎖された端部、例えば丸められた端部あるいは円錐形の端部を有する円筒状部材である。キャップ100は光ファイバプラグ10の第1端上に搭載され、且つカラー90に係合する内部中空間を有する。この点に関し、キャップ100はカラーの雄ネジ部分96と係合する雌ネジ部分を有する。キャップがカラーに取り付けられると、キャップの軸方向の動きは、キャップがプラグ本体14の軸方向周囲に回転したり、旋回運動を自由にできる場合でも制限される。
【0061】
キャップ100は金属例えばステンレスあるいは他の剛性材料から形成され、コネクタハウジング18の先方端部24とプラグフェルール20の前面26とを保護する。これらはまた図10に示すようにダストキャップ61によりカバーされるが、光ファイバケーブルの設置時にプラグ本体の第1端を介して、そうでない場合は露出する。キャップを光ファイバプラグに対し回転あるいは旋回できるようにすることによりロープ、ケーブル等をキャップに接続し、さらにはまた、キャップにより規定される開口102に結合して、光ファイバプラグが搭載される光ファイバケーブルを通路から引くことができる。
【0062】
通路が捻れたり、回転している場合でも、キャップは光ファイバプラグに対し、さらにはまた光ファイバケーブルに対し、回転したり旋回運動することが可能で、一方、光ファイバプラグが搭載される光ファイバケーブルと光ファイバプラグは通路を介して引くことができる。かくして光ファイバプラグと光ファイバケーブルは回転およびそれにより生成される力から分離される。したがって光ファイバ130もまた設置時にキャップの回転を引き起こす力から切り離され、保護される。しかしプラグ本体のカラーに直接接続されることにより、キャップは従来の引っ張るグリップよりも小さな部分を有しながら、旋回したり回転したりすることができる。
【0063】
光ファイバケーブル12が通路を介して引かれ、光ファイバプラグ10がレセプタクル85と適合するよう準備されると、キャップ100は取り除かれ、光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルは上記したように適合(組み合わされる)する。かくしてカラー90はキャップとレセプタクルの両方をネジで結合するよう機能することもできる。
【0064】
本発明の前述した記載および図面に示された教示を有する多くの変形例あるいは他の実施形態も本発明に関連する当業者には容易に想到可能である。そのため本発明はここに開示した特定の実施形態に限定されるものはなく、また変形例あるいは他の実施形態は特許請求の範囲に含まれるものである。本明細書で使用した特定の用語は一般的且つ記述的意味で用いられたものであり本発明の範囲を制限をするためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
添付した図面は、必ずしも実際のスケール通りには描かれていない。
【図1】本発明の一実施形態による組み立てられた状態の光ファイバプラグの斜視図。
【図2】図1の光ファイバプラグの構成要素(光ファイバコネクタ、クリンプバンド、クリンプバンドサポート、バッファチューブ、グロメット、光ファイバケーブル)の展開斜視図。
【図3】図1の線3−3に沿った光ファイバプラグの断面図。
【図4】光ファイバケーブルに沿って光ファイバコネクタの上に前方向にプラグ本体をスライドさせる前の図1の光ファイバプラグの斜視図。
【図5】図1の線5−5に沿った光ファイバプラグのプラグ本体の断面図。
【図6】本発明の一実施形態により光ファイバケーブル、内部支持チューブ、クリンプバンドサポート、補強部材、露出した光ファイバを含む図2の光ファイバプラグの展開図。
【図7】本発明の他の実施形態によるクリンプバンドの斜視図。
【図8】本発明の一実施形態による光ファイバプラグをレセプタクルに適合させた状態を表す斜視図。
【図9】本発明の光ファイバプラグが適合する光ファイバレセプタクルの展開斜視図。
【図10】キャップが光ファイバプラグの残余部分に搭載させていない状態の本発明の一実施形態による光ファイバプラグの斜視図。
【図11】キャップが光ファイバプラグの残余部分に搭載された後の図9の光ファイバプラグの斜視図。
【図12】複数の光ファイバレセプタクルがそれぞれ複数の光ファイバプラグに適合される状態を表す図。
【符号の説明】
【0066】
10 光ファイバプラグ
12 光ファイバケーブル
14 プラグ本体
16 光ファイバコネクタ
18 コネクタハウジング
20 プラグフェルール
22 後方端部
24 先方端部
26 前面
28 窓
30 肩部
32 拡大部
34 後端部
36 シャフト部分
38 バネ押し
42 後方端部
40 先方端部
44 タブ
46 バネ
48 第1端
50 第2端
52 台形部分
54 円筒状部分
56 シュラウド
58 開口
60 弓形シュラウド部分
61 ダストキャップ
62 クリンプバンド
64 保護ジャケット
66 補強部材
70 バッファチューブ
72 第1端
74 第2端
76 クリンプバンド支持チューブ
78 グロメット
82 キー
84 縦軸通路
85 レセプタクル
86 拡大部
87 アダプタスリーブ
88 軸方向溝
89 レセプタクルハウジング
90 カラー
91 アダプタ固定具
93 バネ
95 Oリング
96 雄ネジ部分
97 雌ネジ部分
98 部分
100 キャップ
102 開口
120 容器
130 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルとを有する、光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルの組立体において、
前記光ファイバプラグは、
少なくとも1つの開口を有するシュラウドをその第1端部近傍に有するプラグ本体と、 前記プラグ本体内に配置され、コネクタハウジングと前記コネクタハウジング内に少なくとも一部が配置されるプラグフェルールとを有する光ファイバコネクタと、を有し、
前記光ファイバレセプタクルは、
前記光ファイバプラグと適合し、
対向する端部に通じる内部キャビティ開口を形成したレセプタクルハウジングと、
前記内部キャビティ開口内に配置されたアダプタスリーブと、を有し、
前記アダプタスリーブが、前記光ファイバプラグのプラグフェルールの一部を収納する長さ方向に伸びる通路を形成し、
前記シュラウドとアダプタスリーブは、光ファイバプラグのプラグフェルールがアダプタスリーブ内に挿入されると、アダプタスリーブの一部がシュラウドにより形成された少なくとも1つの開口内に配置される大きさであり、
前記プラグ本体は、長手方向の軸を有し、さらに、前記シュラウド近傍のシャフトと、前記光ファイバレセプタクルと係合するカラーとを有し、このカラーは、シャフトに対して長手方向の軸の周りを回転可能であるが長手方向の移動が制限されるように前記シャフト上に配置されていることを特徴とする光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルの組立体。
【請求項2】
光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルとを有する、光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルの組立体において、
前記光ファイバプラグは、
前記光ファイバレセプタクルと適合し、
コネクタハウジングと、前記コネクタハウジング内に少なくとも一部が配置され、少なくとも1本の光ファイバの端部に搭載されるプラグフェルールとを有する光ファイバコネクタと、
対向する第1端部と第2端部との間を長手方向に伸び、前記第1端部近傍にシュラウドを有するプラグ本体と、を有し、
前記シュラウドは、その対向する側に一対の開口を有し、前記開口は、前記シュラウドの少なくとも中央部からプラグ本体の第1端部に長手方向に伸び、
前記プラグ本体は、長手方向の軸を有し、さらに、前記シュラウド近傍のシャフトと、前記光ファイバレセプタクルと係合するカラーとを有し、このカラーは、シャフトに対して長手方向の軸の周りを回転可能であるが長手方向の移動が制限されるように前記シャフト上に配置されていることを特徴とする光ファイバプラグと光ファイバレセプタクルの組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−37268(P2009−37268A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295931(P2008−295931)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【分割の表示】特願2003−551578(P2003−551578)の分割
【原出願日】平成14年9月27日(2002.9.27)
【出願人】(501209863)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (65)
【Fターム(参考)】