説明

光ファイバーの接続方法、及び、光ファイバーの接続装置

【課題】光ファイバーの端面を、光導波路のコア端面に確実に配置することができる光ファイバーの接続方法、及び、光ファイバーの接続装置を提供する。
【解決手段】光ファイバー(46)の接続装置は、ガイド装置(120)、接着剤付与装置(140)及び紫外線照射装置(150)を備える。ガイド装置(120)は、光ファイバー(46)の端面がポリマー光導波路26のコア(30)端面に当接するように、光ファイバー(46)の端部を溝(40)に沿って配置した際、溝(40)から延び出ている光ファイバー(46)の延出部をFPC基板(12)に対して斜めに保持する。光ファイバー(46)の端部周辺に紫外線硬化樹脂を付与し、光ファイバー押さえ部材62を配置した後、紫外線照射装置(150)により、紫外線を紫外線硬化樹脂に照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーを基板に設けられた光導波路に接続するための光ファイバーの接続方法、及び、光ファイバーの接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号の伝送媒体として光ファイバーを用いる場合、電気信号を光信号に、或いは、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが必要になる。例えば、特許文献1が開示する光電変換モジュールでは、光導波路が設けられたフレキシブルプリント基板に、発光素子又は受光素子が実装されている。フレキシブルプリント基板上には、光ファイバーのコアと光導波路のコアとを結合するための溝が設けられている。この溝に光ファイバーの端部を固定することにより、光ファイバーを光導波路に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−113207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する光電変換モジュールのように光ファイバーの端部をフレキシブルプリント基板上の溝に固定する際、コアの端面を含む光導波路の端面(以下、「コア端面」)と光ファイバーの端面とが当接されて接続されるように、光ファイバーの端面をできるだけ光導波路のコア端面近傍に配置するのが好ましい。
しかしながら、光ファイバーの反りやフレキシブルプリント基板の反りのため、光ファイバーの端面を光導波路のコア端面に確実に配置することは難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされ、その目的とするところは、光ファイバーの端面を光導波路のコア端面に確実に配置して、光導波路と光ファイバーを接続することができる光ファイバーの接続方法、及び、光ファイバーの接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、光ファイバーを基板に設けられた光導波路に接続する光ファイバーの接続方法であって、前記光導波路のコア端面に前記光ファイバーの端面が当接するように、前記基板に形成され且つ前記光導波路の前記コア端面へと延びる溝に沿って前記光ファイバーの端部を配置するとともに、前記溝から延び出ている前記光ファイバーの延出部を前記基板に対して所定の傾斜角度だけ傾けて配置する光ファイバー配置工程と、前記光ファイバーの端部を覆うように、前記基板上に光ファイバー押さえ部材を接着剤を介在させた状態で配置し、押圧部材により前記光ファイバー押さえ部材を前記基板に対して押し付ける押付工程と、前記光ファイバー押さえ部材を前記基板に対して押し付けた状態で、前記接着剤を硬化する接着剤硬化工程と、を備える光ファイバーの接続方法が提供される。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、光ファイバーを基板に設けられた光導波路に接続するための光ファイバーの接続装置であって、当該光ファイバーの接続装置は、少なくとも、前記基板を載せるためのステージと、前記基板を前記ステージに向けて押し圧するための押圧部材とを有する固定装置と、前記光導波路のコア端面に前記光ファイバーの端面が当接するように、前記基板に形成され且つ前記光導波路の前記コア端面へと延びる溝に沿って前記光ファイバーの端部を配置するとともに、前記溝から延び出している前記光ファイバーの延出部を前記基板に対して所定の傾斜角度だけ傾けて配置するために、前記ステージの上面に対して、所定の傾斜角度だけ傾いた状態で、前記光ファイバーを保持することができるガイド装置と、を備える光ファイバーの接続装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、光ファイバーの端面を光導波路のコア端面に確実に配置して、光導波路と光ファイバーを接続することができる光ファイバーの接続方法、及び、光ファイバーの接続装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態の光ファイバーの接続方法を用いて製造される光電変換モジュールの概略的な断面図である。
【図2】図1の光電変換モジュールを分解して示す概略的な斜視図である。
【図3】一実施形態の光ファイバーの接続装置を構成する固定装置の概略的な正面図である。
【図4】図3の固定装置に用いられている枠部材及び押圧部材を示す概略的な斜視図である。
【図5】一実施形態の光ファイバーの接続装置及び光ファイバーの接続方法を説明するための図である。
【図6】一実施形態の光ファイバーの接続方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、光電変換モジュール10の概略的な断面図であり、図2は、光電変換モジュール10の一部を分解して示す概略的な斜視図である。
【0011】
図1及び図2に示したように、光電変換モジュール10は、FPC基板(フレキシブルプリント回路基板)(基板)12と、FPC基板12の一方の面に実装された光電変換素子22と、FPC基板12の他方の面に設けられたポリマー光導波路(光導波路)26とを有する。光電変換モジュール10において、ポリマー光導波路26側に位置する光ファイバー46の端部が、FPC基板12の他方の面に固定されている。光ファイバー46はポリマー光導波路26と接続されている。
【0012】
FPC基板12は、例えば、ポリイミド製の可撓性及び透光性を有するフィルム14と、フィルム14に設けられた例えば銅等の金属からなる導体パターン16とからなる。
【0013】
FPC基板12の導体パターン16は、フィルム14の一端部に形成された複数の電極端子18を含む。光電変換モジュール10を使用する場合、電極端子18が図示しないコネクタに接続される。導体パターン16は、例えば、フィルム14に成膜された金属膜をエッチングすることにより作製することができる。
【0014】
FPC基板12の一方の面には、所定の位置にIC(集積回路)チップ20及び光電変換素子22が実装されている。ICチップ20及び光電変換素子22は、導体パターン16に電気的に接続されている。
光電変換素子22は、LD(レーザダイオード)等の発光素子、又は、PD(フォトダイオード)等の受光素子である。光電変換素子22が発光素子である場合、ICチップ20は発光素子のための駆動回路であり、光電変換素子22が受光素子である場合、ICチップ20は受光素子の出力を増幅する増幅回路である。
【0015】
また、光電変換素子22は、複数の発光要素又は受光要素を含むアレイ素子であってもよい。本実施形態では一例として4つの発光要素を含む。
光電変換素子22は、面発光型若しくは面受光型であり、自身の光の出射面若しくは入射面がFPC基板12の面と対向するように配置されている。そして、ICチップ20及び光電変換素子22は、樹脂製のポッティング部材24によって覆われている。
【0016】
FPC基板12の他方の面には、全域に亘って、可撓性を有する、シート状のポリマー光導波路26が一体に積層されている。
ポリマー光導波路26は、アンダークラッド層28、コア30、及び、オーバークラッド層32を含む。アンダークラッド層28は、FPC基板12のフィルム14に積層され、四角形の横断面形状を有するコア30がアンダークラッド層28上を延びている。コア30の数は、光電変換素子22の発光要素の数に対応して4本である。オーバークラッド層32は、アンダークラッド層28と協働してコア30を囲むように、アンダークラッド層28及びコア30の上に積層されている。
【0017】
アンダークラッド層28、コア30、及び、オーバークラッド層32の材料としては、特に限定されることはないが、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂及びポリイミド系樹脂等を用いることができる。
【0018】
ポリマー光導波路26には、FPC基板12とは反対側の面にて開口するV溝が形成され、V溝の壁面には例えば金属膜が蒸着によって形成されている。金属膜はミラー34を構成し、ミラー34は、コア30の一端に接触している。コア30は、ミラー34を介して光電変換素子22と光学的に結合される。
【0019】
FPC基板12とは反対側のポリマー光導波路26の面には、補強部材36が固定されている。補強部材36は、例えば銅などの金属板からなり、FPC基板12を挟んで、ICチップ20及び光電変換素子22と対向している。補強部材36は、例えば熱硬化性樹脂等の接着剤からなる接着層38を用いて固定されている。
【0020】
また、FPC基板12上には、光ファイバーのコアとポリマー光導波路26のコア30とを結合するための溝が形成されている。溝40は、コア30の端面を含むポリマー光導波路26の端面(以下、「コア30端面」)へと延びるように形成されている。光ファイバーの端部を溝40に固定したとき、光ファイバーのコアとポリマー光導波路26のコア30とが光学的に結合される。溝40は、コア30の各々に対応して設けられており、本実施形態では4本の溝40が設けられている。溝40は、所定の間隔を存して互いに平行に延びている。ミラー34とは反対側のコア30端面は、溝40の一端の端面を構成している。溝40の他端はポリマー光導波路26の端にて開口している。
【0021】
溝40は、エッチングにより、ポリマー光導波路26とともに形成される。具体的には、溝40の側壁は、ポリマー光導波路26のアンダークラッド層28及びオーバークラッド層32から構成され、溝40の底面はFPC基板12の表面から構成される。なお、溝40の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、金属片などのガイド部材を用いて溝40をFPC基板12上に形成してもよい。
【0022】
更に、FPC基板12には、ポリマー光導波路26とは反対側の面に、支持部材42が固定されている。支持部材42は、好ましくはガラス板からなり、ポッティング部材24の近傍から、FPC基板12の端を超えて延びている。FPC基板12に重ね合わされている支持部材42の部分は、溝40が設けられたポリマー光導波路26の部分を支持している。支持部材42は、例えば熱硬化性樹脂又は紫外線硬化樹脂からなる接着層44を用いて固定されている。
【0023】
各溝40内には、光ファイバー46の端部が配置されている。光ファイバー46の端面は、ポリマー光導波路26のコア30端面近傍に配置されている。光ファイバー46は、円柱形状のコア48とコア48の外周面を覆うクラッド50からなる。コア48及びクラッド50は、好ましくはガラスからなる。光ファイバー46のコア48及びポリマー光導波路材26のコア30は、同軸上に配置され、相互に光学的に結合されている。
【0024】
溝40から延び出ている光ファイバー46の延出部は、紫外線硬化樹脂層52及び樹脂製のシース54によって被覆されている。光ファイバー46、紫外線硬化樹脂層52及び樹脂製のシース54は、光ファイバー心線56を構成している。支持部材42を超えて延びる4本の光ファイバー心線56の部分は、リボン状の樹脂製の被覆58によって一括して覆われている。光ファイバー心線56及び被覆58は、リボンファイバー60を構成している。
【0025】
つまり、リボンファイバー60の端部から被覆58を剥くことによって、光ファイバー心線56の端部が露出させられ、光ファイバー心線56の端部から紫外線硬化樹脂層52及びシース54を剥くことによって、光ファイバー46の端部が露出させられている。
【0026】
ポリマー光導波路26及び光ファイバー46には、光ファイバー46の端部が配置された4本の溝40とポリマー光導波路26の端部を一括して覆うように、光ファイバー押さえ部材62が固定されている。光ファイバー押さえ部材62は、可視光及び紫外線を透過する部材からなる。光ファイバー押さえ部材62は、例えば、ガラス板からなる。光ファイバー押さえ部材62は、好ましくは、紫外線硬化樹脂からなる接着層64を用いて固定され、溝40内に光ファイバー46の端部を固定している。
【0027】
また、支持部材42には、4本の光ファイバー心線56を一括して覆うように、シース押さえ部材66が固定されている。シース押さえ部材66は、例えば、ガラス板からなる。シース押さえ部材66は、好ましくは、紫外線硬化樹脂からなる接着層68を用いて固定され、支持部材42に対して光ファイバー心線56を固定している。つまり、支持部材42は、溝40に配置された光ファイバー46の端部とともに、溝40から延出した光ファイバー46の延出部も支持している。
【0028】
〔光ファイバーの接続装置〕
以下、光ファイバー46をFPC基板12に設けられたポリマー光導波路26に接続するための光ファイバーの接続装置について説明する。
光ファイバーの接続装置は、固定装置100、ガイド装置120、接着剤付与装置としてのディスペンサ140、及び、紫外線照射装置としての紫外線ランプ150から構成される。
【0029】
図3は、固定装置100の概略的な構成を示す正面図である。固定装置100は、FPC基板12を載せるためのステージ102を有する。ステージ102は水平に設置される上面を有し、ステージ102の上面には、支持部材42を受け入れる凹み104が形成されている。ステージ102の上面には、2本の支柱106が垂直に立てられ、支柱106には、支柱106に沿って上下動可能なスライド部材108が取り付けられている。スライド部材108は、図示しない駆動源からの力を受けて、ステージ102に向けて移動可能である。
【0030】
スライド部材108からは、ステージ102の上面に向けて垂直に2本のロッド部材110が一体に突出している。ロッド部材110には、ロッド部材110に沿って上下動可能な枠部材112が取り付けられている。スライド部材108と枠部材112の間には、2つの圧縮コイルばね114が配置されている。圧縮コイルばね114は、ロッド部材110に嵌められており、スライド部材108から離間する方向、則ち、ステージ102の上面に向けて、枠部材112を付勢している。
【0031】
枠部材112には、ステージ102に載せられたFPC基板12をステージ102の上面に向けて押し圧するための押圧部材116が取り付けられている。図4は、枠部材112及び押圧部材116を概略的に示す斜視図である。枠部材112は、C字形状の平面形状を有し、枠部材112の中央の開口を覆うように押圧部材116は配置されている。押圧部材116は、可視光及び紫外線を透過する部材からなる。押圧部材116は、例えば、ガラス板からなる。
【0032】
押圧部材116には、ステージ102の上面に向けて突出する直方体形状の突起118が一体に設けられている。突起118の光ファイバー押さえ部材62に対向する面の面積は、光ファイバー押さえ部材62の突起118に対向する面の面積よりも小さい。突起118は、ステージ102の幅方向でみたとき、ロッド部材110同士の間に位置している。
【0033】
図5を参照して、ガイド装置120は、例えば、ガイドステージ122と押さえ部材124を有する。ガイドステージ122と押さえ部材124は、リボンファイバー60を挟持し、光ファイバー46を所定の姿勢に維持する。具体的には、ガイドステージ122は、ステージ102の上面に対して、所定の傾斜角度θだけ傾いた状態で、光ファイバー46を保持する。換言すれば、溝40から延出した光ファイバー46の延出部は、光ファイバー46の端部に対して、傾斜角度θだけ傾斜して保持される。好ましくは、傾斜角度θは、5°以上30°以下に設定される。
【0034】
ディスペンサ140は、接着剤としての紫外線硬化樹脂を、光ファイバー46の端部周辺に付与するための装置である。
紫外線ランプ150は、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射するための装置である。紫外線ランプ150は、固定装置100が有する押圧部材116の上方又は斜め上方に配置される。
【0035】
〔光ファイバーの接続方法〕
以下、光ファイバーの接続装置を用いて、光ファイバー46をFPC基板12に設けられたポリマー光導波路26に接続する光ファイバーの接続方法を説明する。
【0036】
まず、図5に示したように、ステージ102の上面に、ポリマー光導波路26が設けられたFPC基板12を載せる。本実施形態においては、このとき既に、光ファイバー押さえ部材62及びシース押さえ部材66を除く部材がFPC基板12に実装されている。
【0037】
FPC基板12をステージ102に載せた後、光ファイバー46の端面がポリマー光導波路26のコア30端面に当接するように、溝40に沿って光ファイバー46の端部を配置する。この際、光ファイバー46の端部から離れたリボンファイバー60の領域を、ガイド装置120によって保持する(光ファイバー配置工程)。ガイドステージ122は、ステージ102の上面に対して、所定の傾斜角度θ、例えば5°だけ傾いた状態で、光ファイバー46を保持する。これにより、溝40から延び出ている光ファイバー46の延出部は、FPC基板12に対して所定の傾斜角度θだけ傾けられて配置される。
【0038】
光ファイバー46がガイド装置120によって所定の姿勢で保持された状態で、ディスペンサ140によって、紫外線硬化樹脂を、所定量にて光ファイバー46の端部及びポリマー光導波路26の端部周辺に付与する。
【0039】
次に、光ファイバー押さえ部材62を、溝40に沿って配置された光ファイバー46の端部及びポリマー光導波路26の端部を覆うように、未硬化の紫外線硬化樹脂を介在させた状態で配置する。光ファイバー押さえ部材62に押圧部材116の突起118を当接させ、固定装置100のスライド部材108をステージ102に向けて移動させることにより、押圧部材116に対しステージ102に向けて押圧力を印加して、光ファイバー押さえ部材62をFPC基板12に対して押し付ける(押付工程)。押圧部材116の突起118は、光ファイバー押さえ部材62の上面からはみ出さないように押し当てられる。このとき、押圧部材116は、2つの圧縮コイルばね114により、相互に離間した2箇所にて押圧力が印加される。
【0040】
次に、図6に示したように、光ファイバー押さえ部材62をFPC基板12に対して押し付けた状態で、紫外線ランプ150によって、紫外線を紫外線硬化樹脂に照射する(接着剤硬化工程)。紫外線ランプ150からの紫外線は、押圧部材116と光ファイバー押さえ部材62を透過して、紫外線硬化樹脂に照射される。これにより、紫外線硬化樹脂が硬化し、接着層64を形成する。
【0041】
このようにして、光ファイバー押さえ部材62により、光ファイバー46の端部が溝40に固定される。この後、シース押さえ部材66を固定して、光ファイバー心線56を支持部材42に固定すれば、光電変換モジュール10が完成する。光電変換モジュール10が完成した後は、支持部材42から延び出ている光ファイバー46の部分はガイド装置120から解放され、支持部材42に沿うように延びる。
【0042】
上述した一実施形態の光ファイバーの接続装置を用いた光ファイバーの接続方法では、光ファイバー配置工程において、ポリマー光導波路26のコア30端面に光ファイバー46の端面が当接するように、前記光導波路の前記コア端面へと延びる溝40に沿って光ファイバー46の端部を配置するとともに、溝40から延び出ている光ファイバー46の延出部をFPC基板12に対して斜めに配置している。
【0043】
光ファイバー46の延出部を斜めに配置することで、光ファイバー46の端部には、延出部に対して真っ直ぐになろうとする復元力が作用する。この復元力は、光ファイバー46の端部に対して、溝40に沿ってポリマー光導波路26のコア30端面に向かうように作用する。これにより、光ファイバー46の端面がポリマー光導波路26のコア30端面に密接する。
【0044】
そして、この復元力が作用することで、FPC基板12の可撓性に起因してFPC基板12に反りが生じていても、或いは、光ファイバー46に反りが生じていても、光ファイバー46の端面をポリマー光導波路26のコア30端面に確実に配置することができる。
【0045】
また、光ファイバー46の端面をポリマー光導波路26のコア30端面に確実に配置することができるため、短時間で光ファイバー46をFPC基板12に固定することができる。結果として、光電変換モジュール10の大量生産が容易となる。
【0046】
光ファイバー配置工程において、FPC基板12に対する光ファイバー46の延出部の傾斜角度θは5°以上30°以下である。なお、傾斜角度θが5°以上30°以下であることで、光ファイバー46の端部に好ましい大きさの復元力を作用させることができる。
【0047】
なお、傾斜角度θが5°未満である場合には、復元力が不足して、光ファイバー46の端面をポリマー光導波路26のコア30端面に配置出来なくなるおそれがある。傾斜角度θが30°超である場合には、復元力が強すぎて、溝40の壁面に光ファイバー46の先端が突き刺さったり、溝40から光ファイバー46が飛び出したりするおそれがある。
【0048】
また、押付工程において、押圧部材116に対し、相互に離間した2箇所以上にて押圧力が印加されるので、光ファイバー押さえ部材62がFPC基板12に対して傾くことなく平行に固定される。特に、弾性部材である圧縮コイルばね114によって、押圧力が2箇所に均等に印加されるので、光ファイバー押さえ部材62の傾きが確実に防止される。このように光ファイバー押さえ部材62の傾きが防止されることで、未硬化の紫外線硬化樹脂が不所望の領域に拡がることが防止される。
【0049】
また、接着剤硬化工程において、光ファイバー押さえ部材62及び押圧部材116が紫外線を透過する部材からなるため、光ファイバー押さえ部材62をFPC基板12に押し付けた状態で、光ファイバー押さえ部材62及び押圧部材116を透過させて紫外線を紫外線硬化樹脂に照射することができる。そして、光ファイバー押さえ部材62及び押圧部材116が可視光を透過する部材からなるため、光ファイバー46の端部の配置を視認することができ、これによっても、光ファイバー46の端部が的確に固定される。
【0050】
また更に、上述した一実施形態の光ファイバーの接続装置で用いられる押圧部材116は、光ファイバー押さえ部材62に向けて突出し、光ファイバー押さえ部材62に当接させられる突起118を有する。突起118の光ファイバー押さえ部材62に対向する面の面積は、光ファイバー押さえ部材62の突起118に対向する面の面積よりも小さい。このため、光ファイバー押さえ部材62をFPC基板12に押し付けた際に漏れ出た未硬化の紫外線硬化樹脂が、押圧部材116に付着することを防止することができる。
【0051】
光ファイバー46及び光ファイバー押さえ部材62は、ガラスからなるのが好ましい。光ファイバー46と光ファイバー押さえ部材62の線膨張係数が略等しくなるので、熱膨張の差に起因する光ファイバー押さえ部材62の剥離が防止される。
【0052】
本発明は、上述した一実施形態に限定されることはなく、一実施形態に変更を加えた形態も含む。
例えば、一実施形態では、4本の光ファイバー46の端部がFPC基板12に固定されたが、固定される光ファイバー46の数は、1本以上であればよい。また、製造される光電変換モジュール10の具体的な構成も、一実施形態の構成に限定されることはない。
【符号の説明】
【0053】
10 光電変換モジュール
12 FPC基板
26 ポリマー光導波路
30 コア
40 溝
46 光ファイバー
62 光ファイバー押さえ部材
64 接着層
66 シース押さえ部材
100 固定装置
114 圧縮コイルばね
116 押圧部材
118 突起
120 ガイド装置
140 ディスペンサ(接着剤付与装置)
150 紫外線ランプ(紫外線照射装置)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーを基板に設けられた光導波路に接続する光ファイバーの接続方法であって、
前記光導波路のコア端面に前記光ファイバーの端面が当接するように、前記基板に形成され且つ前記光導波路の前記コア端面へと延びる溝に沿って前記光ファイバーの端部を配置するとともに、前記溝から延び出ている前記光ファイバーの延出部を前記基板に対して所定の傾斜角度だけ傾けて配置する光ファイバー配置工程と、
前記光ファイバーの端部を覆うように、前記基板上に光ファイバー押さえ部材を接着剤を介在させた状態で配置し、押圧部材により前記光ファイバー押さえ部材を前記基板に対して押し付ける押付工程と、
前記光ファイバー押さえ部材を前記基板に対して押し付けた状態で、前記接着剤を硬化する接着剤硬化工程と、
を備える光ファイバーの接続方法。
【請求項2】
前記基板及び前記光導波路は、可撓性を有する、
請求項1に記載の光ファイバーの接続方法。
【請求項3】
前記光ファイバー配置工程において、前記傾斜角度は5°以上30°以下である、
請求項1又は2に記載の光ファイバーの接続方法。
【請求項4】
前記接着剤は紫外線硬化樹脂からなり、
前記押圧部材及び前記光ファイバー押さえ部材は、紫外線を透過する部材からなり、
前記接着剤硬化工程において、紫外線を前記押圧部材及び前記光ファイバー押さえ部材を透過させて前記紫外線硬化樹脂に照射し、前記紫外線硬化樹脂を硬化する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の光ファイバーの接続方法。
【請求項5】
前記押付工程において、前記押圧部材に対し相互に離間した2箇所以上にて押圧力を印加しながら、前記光ファイバー押さえ部材を前記基板に対して押し付ける、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の光ファイバーの接続方法。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記光ファイバー押さえ部材に向けて突出し、前記光ファイバー押さえ部材に当接させられる突起を有し、
前記突起の前記光ファイバー押さえ部材に対向する面の面積は、前記光ファイバー押さえ部材の前記突起と対向する面の面積よりも小さい、
請求項1乃至5に記載の光ファイバーの接続方法。
【請求項7】
前記光ファイバー及び前記光ファイバー押さえ部材はガラスからなる、
請求項1乃至6に記載の光ファイバーの接続方法。
【請求項8】
光ファイバーを基板に設けられた光導波路に接続するための光ファイバーの接続装置であって、
当該光ファイバーの接続装置は、少なくとも、
前記基板を載せるためのステージと、前記基板を前記ステージに向けて押し圧するための押圧部材とを有する固定装置と、
前記光導波路のコア端面に前記光ファイバーの端面が当接するように、前記基板に形成され且つ前記光導波路の前記コア端面へと延びる溝に沿って前記光ファイバーの端部を配置するとともに、前記溝から延び出している前記光ファイバーの延出部を前記基板に対して所定の傾斜角度だけ傾けて配置するために、前記ステージの上面に対して、所定の傾斜角度だけ傾いた状態で、前記光ファイバーを保持することができるガイド装置と、
を備える光ファイバーの接続装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−41020(P2013−41020A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176609(P2011−176609)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】