説明

光ファイバ心線番号識別ツール

【課題】作業時間の短縮化が図れるとともに作業者が作業対象の心線を確実に認識することができる光ファイバ心線番号識別ツールを提供する。
【解決手段】右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rは富士山型のリング状の形状を有し、第1乃至第12の凸部111〜1112が周方向に沿って等間隔に外周面に形成され、第1乃至第12の溝121〜1212が第1乃至第12の凸部111〜1112の隣り合う凸部の間に形成され、識別爪13が第1の溝121の部分の内周面に形成され、切れ目14が第12の凸部1112と第1の溝121との境界部分に形成され、SZ撚りスロットロッド1bを貫通させるための貫通孔15が左側端面から右側端面まで形成され、各心線の心線番号を識別するための第1乃至第12の表示211〜2112が第1乃至第12の凸部111〜1112の上面に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ心線番号識別ツールに関し、特に、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルの心線番号を認識するのに好適な光ファイバ心線番号識別ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルの途中からの分岐を容易にするために、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルが使用されている。
【0003】
SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルは、たとえば図6に示すSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101のように、テンションメンバ101aと、テンションメンバ101aの周囲に設けられたSZ撚りスロットロッド101bと、SZ撚りスロットロッド101bを被覆するシース101cとを備える。
ここで、SZ撚りスロットロッド101bの外周には、5個のスロットがSZ撚りスロットロッド101bの周方向に沿って等間隔に形成されている。また、SZ撚りスロットロッド101bの外周の5個のスロットのうちの1個のスロット(以下、「第1のスロット」と称する。)の両側には、第1のスロットを識別するための2本のトレーサマーク101dが描かれている。
光ファイバテープ心線102(以下、「テープ心線102」と称する。)は、SZ撚りスロットロッド101bの各スロットに積層収容されている。以下、説明の簡単のため、第1のスロットに積層収容された複数本のテープ心線102を第1のスロットテープ心線1031と称し、第1のスロットテープ心線1031を起点として図6図示右回り(時計回り)に各スロットに積層収容された複数本のテープ心線102を第2乃至第5のスロットテープ心線1032〜1035のように称する。
【0004】
従来、このようなSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101の工事では、各テープ心線102に含まれる心線(素線)の心線番号は色および配列によって決定されており、作業者の記憶によるか心線早見表を別途用意するかして作業対象の心線を認識することにより、作業が行われている。
そのため、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101のシース101cを取り除いたときにテープ心線102がばらばらになって、作業者が作業対象の心線を認識するのが困難となる場合があった。
【0005】
そこで、たとえばクロージャ110内にSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101を導入して、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101の1本の心線を光ファイバドロップケーブルの心線に接続する作業を行う際には、作業員は、図7(a)に示すようにクロージャ110内に導入されたSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101をケーブル把持金具111で固定し、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101のシース101cを取り除いたのち、露出された第1乃至第5のスロットテープ心線1031〜1035(図6参照)に色の異なる5本の色チューブ121をそれぞれ取り付けることにより、色チューブ121の色に基づいて自身の記憶によるか心線早見表を参照するかして作業対象の心線を認識するようにしている。
【0006】
なお、本出願人の一人は、下記の特許文献1において、光ケーブル心線の多心化された素線を一目で識別できるようにするために、多数の素線を内蔵する光ケーブルについて、それらの素線を識別して表示する方法であって、複数のスロットについての通し番号付けをしたスロット番号と、スロット内での積層配置される複数のテープ心線についてのスロット毎に通し番号付けをしたテープ心線番号と、各テープ心線に含まれる各素線についての各テープ心線内での配置番号、素線毎の色表示および総素線通し番号とのすべてのデータを一覧形式によって表示する光ケーブルの素線識別表示方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−076760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101の工事では作業者が色チューブ121の色に基づいて自身の記憶によるか心線早見表を参照するかして作業対象の心線を認識しているため、第1乃至第5のスロットテープ心線1031〜1035ごとに色チューブ121を取り付ける必要があり作業時間がかかるとともに作業対象の心線を確実に認識することはできないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、作業時間の短縮化が図れるとともに作業者が作業対象の心線を確実に認識することができる光ファイバ心線番号識別ツールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光ファイバ心線番号識別ツールは、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル(1)の心線番号を認識するための光ファイバ心線番号識別ツール(10R,10L)であって、一方の端面の径(LL)が他方の端面の径(LR)よりも小さい富士山型のリング状の形状を有し、複数の凸部(111〜1112)が、前記光ファイバ心線番号識別ツールの周方向に沿って等間隔に該光ファイバ心線番号識別ツールの外周面に形成されており、複数の溝(121〜1212)が、前記複数の凸部の隣り合う凸部の間に形成されており、識別爪(13)が、前記複数の溝のうちの一つの溝(121)の部分の内周面に形成されており、切れ目(14)が、前記複数の凸部のうちの一つと前記複数の溝のうちの該一つの凸部と隣り合う溝との境界部分に形成されており、前記SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルのSZ撚りスロットロッド(1b)を貫通させるための貫通孔(15)が、前記一方の端面から前記他方の端面まで形成されており、前記SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルの各スロットテープ心線(21〜212)に積層収容された各テープ心線に含まれる各心線の心線番号を識別するための複数の表示(211〜2112)が、前記複数の凸部の上面に1つずつ取り付けられていることを特徴とする。
ここで、前記複数の表示には、前記各心線に付与された心線番号のうち一番若い心線番号が該各心線に付与された色を背景色として書かれていてもよい。
前記一方の端面が、前記複数の溝が前記複数の凸部よりも引っ込むようにされていてもよい。
2つの上記の光ファイバ心線番号識別ツールを一体化させた光ファイバ心線番号識別ツール(50)であって、前記2つの光ファイバ心線番号識別ツールの一方の光ファイバ心線番号識別ツールの前記複数の凸部(511〜5112)と他方のファイバ心線番号識別ツールの前記複数の凸部(711〜7112)とが連続的に形成されており、前記一方の光ファイバ心線番号識別ツールの前記複数の溝(521〜5212)と前記他方のファイバ心線番号識別ツールの前記複数の溝(721〜7212)とが連続的に形成されており、前記複数の表示(611〜6112,811〜8112)が前記複数の凸部の上面に取り付けられる向きが、前記一方の光ファイバ心線番号識別ツールと前記他方の光ファイバ心線番号識別ツールとで逆になっていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光ファイバ心線番号識別ツールは、以下に示す効果を奏する。
(1)作業員は光ファイバ心線番号識別ツールをSZ撚りスロットロッドに取り付けたのちに光ファイバ心線番号識別ツールを回しながらSZ撚りテープスロット型光ケーブルのシース切取面まで移動させるだけで複数のスロットテープ心線を複数の溝にそれぞれ嵌めることができるため、複数のスロットテープ心線に色チューブをそれぞれ取り付ける場合に比べて作業時間を大幅に短縮することができる。
(2)作業員は凸部の上面に取り付けられた表示を見ることにより、作業対象の心線を確実に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施例による光ファイバ心線番号識別ツールの構成を示す図であり、(a)は右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの構成を示す図であり、(b)は左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの構成を示す図である。
【図2】図1に示した第1乃至第12の表示211〜2112について説明するための図であり、(a)は第1のスロットテープ心線に積層収容された10本のテープ心線に含まれる80本の心線に付与された心線番号の一例を示す図であり、(b)は各スロットテープ心線に積層収容されたか10本のテープ心線に含まれる80本の心線に付与された色の一例を示す図である。
【図3】図1に示した第1乃至第12の表示211〜2112の一例を示す図であり、(a)は第1の表示211を示す図であり、(b)は第2の表示212を示す図である。
【図4】図1に示した右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rおよび左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの使用方法を説明するための図であり、(a)は右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの使用方法を説明するための図であり、(b)は左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの使用方法を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施例による光ファイバ心線番号識別ツール50について説明するための図である。
【図6】SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101の構造を説明するための横断面図である。
【図7】従来のZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル101の工事における色チューブ121を用いた作業対象の心線の認識方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の目的を、富士山型のリング状の形状とし、複数の凸部を周方向に沿って等間隔に外周面に形成し、複数の溝を複数の凸部の隣り合う凸部の間に形成するとともに、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルの各スロットテープ心線に積層収容された各テープ心線に含まれる各心線の心線番号を識別するための複数の表示を複数の凸部の上面に1つずつ取り付けることにより実現した。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の光ファイバ心線番号識別ツールの実施例について図面を参照して説明する。
まず、本発明の第1の実施例による光ファイバ心線番号識別ツールについて、図1乃至図4を参照して説明する。
本実施例による光ファイバ心線番号識別ツールは、図1(a)に示す右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rと、図1(b)に示す左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lとを具備する。
ここで、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rは、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルのシースを取り除いたときに各スロットが番号順に右回り(すなわち、スロット順が右回り)の場合に使用するものであり、左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lは、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルのシースを取り除いたときに各スロットが番号順に左回り(すなわち、スロット順が左回り)の場合に使用するものである。
【0015】
右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rは、一方の端面(図1(a)図示左側の端面。以下、「左側端面」と称する。)の径LLが他方の端面(同図図示右側の端面。以下、「右側端面」と称する。)の径LRよりも小さい富士山型のリング状の形状を有する。
すなわち、右回り用光ファイバ識別心線番号ツール10Rの左側端面の径LLは、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルのSZ撚りスロットロッド(図6に示したSZ撚りスロットロッド101b参照)の径と略同じにされており、また、右回り用光ファイバ識別心線番号ツール10Rの右側端面の径LRは左側端面の径LLよりも40mmほど大きくされている。
【0016】
右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの長さ(左側端面から右側端面までの長さ)は、20mm程度とされている。
【0017】
右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rには、左側端面から右側端面までSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルのSZ撚りスロットロッドを貫通させるための貫通孔15が形成されている。
ここで、貫通孔15の径は、一定であり、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルのSZ撚りスロットロッドの径と略同じにされている。したがって、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rは、左側端面から右側端面に向けて厚さが直線的に大きくなるようにされている。
【0018】
右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの外周面には、第1乃至第12の凸部111〜1112が、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの周方向に沿って等間隔に、右側端面側から見て右回り(時計回り)に順に形成されている。
ここで、第1乃至第12の凸部111〜1112の高さは、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの左側端面から右側端面に向けて直線的に大きくなるようにされている。
これにより、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの外周面の第1乃至第12の凸部111〜1112の隣り合う凸部の間には、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの左側端面から右側端面に向けて深さが直線的に深くなる第1乃至第12の溝121〜1212が形成されている。
なお、第1の凸部111と第12の凸部1112との間に形成されている溝を第1の溝121とし、第1の溝121から右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの右側端面側から見て右回りに順に形成されている溝を第2乃至第12の溝122〜1212とする。
【0019】
右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの左側端面は、第1乃至第12の溝121〜1212が第1乃至第12の凸部111〜1112よりも引っ込むようにされている。すなわち、第1乃至第12の凸部111〜1112の左側端面は第1乃至第12の溝121〜1212の左側端面よりも飛び出るようにされている。
【0020】
右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの第1の溝121の部分の内周面には、先端が尖った横断面形状が三角形状の識別爪13が、左側端面から右側端面まで形成されている。
【0021】
右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの第12の凸部1112と第1の溝121との境界部分には切れ目14が形成されており、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rを切れ目14から開いてZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルのSZ撚りスロットロッドに取り付けたのちに右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rを閉じることにより、SZ撚りスロットロッドが貫通孔15を貫通するようにされている。
【0022】
第1乃至第12の凸部111〜1112の上面には、Z撚りテープスロット型光ファイバケーブルの各スロットテープ心線に積層収容された各テープ心線(図6に示すテープ心線102参照)に含まれる各心線の心線番号を識別するための第1乃至第12の表示211〜2112が取り付けられている。
【0023】
ここで、第1乃至第12の表示211〜2112には、各心線に付与された心線番号のうち一番若い心線番号が各心線に付与された色を背景色として書かれている。
たとえば、第1のスロットテープ心線(図6に示した第1のスロットテープ心線1031参照)に10本のテープ心線(図6に示したテープ心線102参照)が積層収容されるとともに各テープ心線に8本の心線が含まれているSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルについて、図2(a)に示すように一番上に収容されたテープ心線(同図の丸付き数字の“1”参照)に含まれる8本の心線に“1”〜“8”の心線番号が順に付与され、上から二番目に収容されたテープ心線(同図の丸付き数字の“2”参照)に含まれる8本の心線に“9”〜“16”の心線番号が順に付与され、以下同様にして、一番下に収容されたテープ心線(同図の丸付き数字の“10”参照)に含まれる8本の心線に“73”〜“80”の心線番号が順に付与されるとともに、図2(b)に示すように一番上に収容されたテープ心線(同図の丸付き数字の“1”参照)に含まれる8本の心線の色が青、白、白、桃、黄、白、白および桃とされ、上から二番目に収容されたテープ心線(同図の丸付き数字の“2”参照)に含まれる8本の心線の色が緑、白、白、桃、赤、白、白および桃とされ、以下同様にして、一番下に収容されたテープ心線(同図の丸付き数字の“10”参照)に含まれる8本の心線の色が赤、白、白、茶、紫、白、白および茶とされているとすると、第1の表示211には、図3(a)に示すように、第1のスロットテープ心線に積層収容された各テープ心線に含まれる各心線に付与された一番若い心線番号である“1”、“9”、“17”、“25”、“33”、“41”、“49”、“57”、“65”および“73”が、これらの心線に付与された色である青、緑、紫、黄、赤、青、緑、紫、黄および赤を背景色として書かれている。
同様にして、第2の表示212には、図3(b)に示すように、第2のスロットテープ心線に積層収容された各テープ心線に含まれる各心線に付与された一番若い心線番号である“81”、“89”、“97”、“105”、“113”、“121”、“129”、“137”、“145”および“153”が、これらの心線に付与された色である青、緑、紫、黄、赤、青、緑、紫、黄および赤を背景色として書かれている。
【0024】
左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lは、図1(b)に示すように、一方の端面(同図図示左側の端面。以下、「左側端面」と称する。)の径LLが他方の端面(同図図示右側の端面。以下、「右側端面」と称する。)の径LRよりも大きくされている点と、第1乃至第12の凸部111〜1112が、左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの外周面に、左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの周方向に沿って等間隔に、左側端面側から見て右回り(時計回り)に順に形成されている点とで、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rと異なる。
したがって、第1乃至第12の表示211〜2112も、左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの左側端面側から見て右回りに順に第1乃至第12の凸部111〜1112の上面に取り付けられている。
【0025】
次に、本実施例による光ファイバ心線番号識別ツールの使用方法について、クロージャ内にSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル1を導入して、SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル1の1本のテープ心線を光ファイバドロップケーブルに接続する作業を行う手順を例として、図4(a),(b)を参照して説明する。
【0026】
作業員は、クロージャ内に導入されたSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル1の両端部をケーブル把持金具でそれぞれ固定する(図7(a)参照)。続いて、作業員は、クロージャ内に導入されたSZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル1のシースを取り除いて、第1乃至第12のスロットテープ心線21〜212およびSZ撚りスロットロッド1bを露出させたのち、露出させた第1乃至第12のスロットテープ心線21〜212を各スロットから取り出す。
なお、以下の説明では、図4(a)に示す作業員から見て左手側のSZ撚りテープスロット型光ケーブル1のシース切取面ではスロット順が右回りになっており、作業員から見て右手側のSZ撚りテープスロット型光ケーブル1のシース切取面ではスロット順が左回りになっているものとする。
【0027】
作業員は、作業員から見て左手側ではスロット順が右回りになっていることを確認すると、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rを切れ目14から開いて、識別爪13がSZ撚りスロットロッド1bの2つのトレーサマーク(図6に示したトレーサマーク101d)の間に形成されたスロットに挿入するように、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10RをSZ撚りスロットロッド1bの左端部側に取り付けたのち、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rを閉じる。これにより、SZ撚りスロットロッドが右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの貫通孔15を貫通する。
【0028】
その後、作業員は、図4(a)に矢印で示すように右回り用光ファイバ識別ツール心線ツール10Rを回しながら、右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rの左側端面がSZ撚りテープスロット型光ケーブル1のシース切取面まで同図図示左方向に移動させる。これにより、SZ撚りテープスロット型光ケーブル1のシース切取面付近では露出させた第1乃至第12のスロットテープ心線21〜212が第1乃至第12の溝121〜1212に嵌った状態となるため、作業員は第1乃至第12の表示211〜2112を見ることにより、作業対象の心線を確実に認識することができる。
【0029】
その後、作業員は、作業員から見て右手側ではスロット順が左回りになっていることを確認すると、左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lを切れ目14から開いて、識別爪13がSZ撚りスロットロッド1bの2つのトレーサマークの間に形成されたスロットに挿入するように、左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10LをSZ撚りスロットロッド1bの右端部側に取り付けたのち、左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lを閉じる。これにより、SZ撚りスロットロッドが左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの貫通孔15を貫通する。
【0030】
その後、作業員は、図4(b)に矢印で示すように左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lを回しながら、左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの右側端面がSZ撚りテープスロット型光ケーブル1のシース切取り面まで同図図示右方向に移動させる。これにより、SZ撚りテープスロット型光ケーブル1のシース切取面付近では露出させた第1乃至第12のスロットテープ心線21〜212が第1乃至第12の溝121〜1212に嵌った状態となるため、作業員は第1乃至第12の表示211〜2112を見ることにより、作業対象の心線を確実に認識することができる。
【0031】
以上の説明では、スロットテープ心線が第1乃至第12の溝121〜1212に嵌り易いように第1乃至第12の凸部111〜1112の左側端面が第1乃至第12の溝121〜1212の左側端面よりも飛び出るようにしたが、第1乃至第12の凸部111〜1112の左側端面と第1乃至第12の溝121〜1212の左側端面とが同一平面上になるようにしてもよい。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の第2の実施例による光ファイバ心線番号識別ツール50について、図5を参照して説明する。
本実施例による光ファイバ心線番号識別ツール50は、図5に示すように、凸部(第1乃至第12の左側凸部511〜5112および第1乃至第12の右側凸部711〜7112)および溝(第1乃至第12の左側溝521〜5212および第1乃至第12の右側溝721〜7212)の位置が合うように図1(a)に示した右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rと図1(b)に示した左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lとを一体化させたものである。
【0033】
なお、第1乃至第12の左側凸部511〜5112が形成される向きと第1乃至第12の右側凸部711〜71と12が形成される向きとは逆になるため、切れ目54は、第1の左側溝521と第12の左側凸部5112との間および第1の右側溝721と第1の右側凸部711との間に形成されている。
【0034】
光ファイバ心線番号識別ツール50の使用方法は、上述した右回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Rおよび左回り用光ファイバ心線番号識別ツール10Lの使用方法と同様であるため、その詳しい説明は省略する。
【符号の説明】
【0035】
1 SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル
1b SZ撚りスロットロッド
1〜212 第1乃至第12のスロットテープ心線
10R 右回り用光ファイバ心線番号識別ツール
10L 左回り用光ファイバ心線番号識別ツール
111〜1112 第1乃至第12の凸部
121〜1212 第1乃至第12の溝
13 識別爪
14,54 切れ目
15 貫通孔
211〜2112 第1乃至第12の表示
50 光ファイバ心線番号識別ツール
511〜5112,711〜7112 第1乃至第12の左側および右側凸部
521〜5212,721〜7212 第1乃至第12の左側および右側溝
611〜6112,811〜8112 第1乃至第12の左側および右側表示
101 SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル
101a テンションメンバ
101b SZ撚りスロットロッド
101c シース
101d トレーサマーク
102 テープ心線
1031〜1035 第1乃至第5のスロットテープ心線
110 クロージャ
111 ケーブル把持金具
121 色チューブ
R,LL

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブル(1)の心線番号を認識するための光ファイバ心線番号識別ツール(10R,10L)であって、
一方の端面の径(LL)が他方の端面の径(LR)よりも小さい富士山型のリング状の形状を有し、
複数の凸部(111〜1112)が、前記光ファイバ心線番号識別ツールの周方向に沿って等間隔に該光ファイバ心線番号識別ツールの外周面に形成されており、
複数の溝(121〜1212)が、前記複数の凸部の隣り合う凸部の間に形成されており、
識別爪(13)が、前記複数の溝のうちの一つの溝(121)の部分の内周面に形成されており、
切れ目(14)が、前記複数の凸部のうちの一つと前記複数の溝のうちの該一つの凸部と隣り合う溝との境界部分に形成されており、
前記SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルのSZ撚りスロットロッド(1b)を貫通させるための貫通孔(15)が、前記一方の端面から前記他方の端面まで形成されており、
前記SZ撚りテープスロット型光ファイバケーブルの各スロットテープ心線(21〜212)に積層収容された各テープ心線に含まれる各心線の心線番号を識別するための複数の表示(211〜2112)が、前記複数の凸部の上面に1つずつ取り付けられている、
ことを特徴とする、光ファイバ心線番号識別ツール。
【請求項2】
前記複数の表示には、前記各心線に付与された心線番号のうち一番若い心線番号が該各心線に付与された色を背景色として書かれていることを特徴とする、請求項1記載の光ファイバ心線番号識別ツール。
【請求項3】
前記一方の端面が、前記複数の溝が前記複数の凸部よりも引っ込むようにされていることを特徴とする、請求項1または2記載の光ファイバ心線番号識別ツール。
【請求項4】
2つの請求項1乃至3いずれかに記載の光ファイバ心線番号識別ツールを一体化させた光ファイバ心線番号識別ツール(50)であって、
前記2つの光ファイバ心線番号識別ツールの一方の光ファイバ心線番号識別ツールの前記複数の凸部(511〜5112)と他方のファイバ心線番号識別ツールの前記複数の凸部(711〜7112)とが連続的に形成されており、
前記一方の光ファイバ心線番号識別ツールの前記複数の溝(521〜5212)と前記他方のファイバ心線番号識別ツールの前記複数の溝(721〜7212)とが連続的に形成されており、
前記複数の表示(611〜6112,811〜8112)が前記複数の凸部の上面に取り付けられる向きが、前記一方の光ファイバ心線番号識別ツールと前記他方の光ファイバ心線番号識別ツールとで逆になっている、
ことを特徴とする、光ファイバ心線番号識別ツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−158572(P2011−158572A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18365(P2010−18365)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【Fターム(参考)】