説明

光プリントヘッド及び画像形成装置

【課題】温度変動による画像の経時劣化を良好に補正でき、LEDA方式の静音性や小型化の特性を十分に活かせる光プリントヘッドを提供する。
【解決手段】複数の光源が配列された第一の基板と、該第一の基板が複数ライン状に実装配列された第二の基板と、第二の基板と所定間隔をもって配置されるレンズアレイと、第二の基板を包囲するように配置されたハウジング部材とを具備し、前記光源から射出された光を被露光面に向かって前記レンズアレイにより集光する光プリントヘッドにおいて、第一の基板の隣接間隔が温度変動に伴って変動する間隔に応じて、第一の基板間の隣接する光源の駆動電流を制御して、露光分布を理想状態に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光プリントヘッド、該光プリントヘッドを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンデムカラー画像形成装置では、ポリゴンミラーを25、000rpm以上の高速で、かつ高精度に回転させ、半導体レーザによる光走査を行い高速プリント化・高画質化を実現してきた。
しかしながら、ポリゴンミラーの高速回転により消費電力は増加し、その発熱が走査レンズなどの光学素子の特性劣化を招き、レーザビームのスポット位置の変動や騒音等の不具合があった。
上記課題を解決するため、ポリゴンミラーを高速回転するのではなく光源としてのLEDをライン状に配設したLEDアレイ(以下、「LEDA」と略す)と、ロッドレンズアレイを用いた光プリントヘッドが、レーザプリンタや複写機用の露光装置として用いられている。
【0003】
光プリントヘッドでは、1画素毎に一つの発光部(LED)を有し、画像書込幅を包含するように長尺全長(光走査方式の主走査方向に相当:以下、「主走査方向」という)に亘って発光部が均一に実装されている。
しかしながら、発光素子(発光部と同義)を基板に実装する際、製造時の実装ばらつきにより発光素子の間隔が所望の間隔に対してばらつく。初期段階としての実装時のばらつきに対しては、製造時にレンズの位置を調整するといった方法が従来より行われている。
【0004】
特許文献1には、光書込みヘッドおよび発光点像の位置ズレの補正方法が開示されている。
具体的に説明すると、長尺方向に並ぶ発光点列を構成する発光素子アレイと、この発光素子アレイからの光を集光して発光点像を形成するロッドレンズアレイとを備える光書込みヘッドにおいて、長尺方向および副走査方向における発光点像の位置ズレを予め評価しておき、位置ズレを補正するように、発光素子アレイ・チップを配列するものである。
上記構成としたことにより、ロッドレンズアレイによる発光点像の位置ズレを物理的に補正することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方法では、経時の温度変動による発光素子の間隔変化には対応することができず、画像ムラやスジが発生する懸念があった。その原理については本発明の実施形態の欄で説明する。
特許文献1の方式においても、ロッドレンズの位置ずれを予め測定して、これを打ち消すように発光点アレイ・チップを並べるものであるため、ヘッドのチップ間隔の温度変動による変化に対しては補正・調整することができなかった。
ヘッド温度上昇が高くなるような濃度の高い画像を連続プリントするような場合には、温度上昇によるチップ支持部材の線膨張に基づくチップ間隔の広がりにより、画像ムラやスジが発生する懸念があった。
【0006】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、温度変動による画像の経時劣化を良好に補正でき、LEDA方式の静音性や小型化の特性を十分に活かせる光プリントヘッドの提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の光源が配列された第一の基板と、該第一の基板が複数ライン状に実装配列された第二の基板と、第二の基板と所定間隔をもって配置されるレンズアレイと、第二の基板を包囲するように配置されたハウジング部材とを具備し、前記光源から射出された光を被露光面に向かって前記レンズアレイにより集光する光プリントヘッドにおいて、第一の基板の隣接間隔が温度変動に伴って変動する間隔に応じて、第一の基板間の隣接する光源の駆動電流を制御する制御手段を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経時の温度変動による画像ムラやスジの発生を抑制でき、安定した画質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】画像形成装置の変形例を示す概要構成図である。
【図3】光プリントヘッドと潜像担持体との位置関係を示す斜視図である。
【図4】光プリントヘッドのレンズアレイの出射側の平面図である。
【図5】光プリントヘッドにおける光源の実装状態を示す図で、(a)は発光面側から見た図、(b)はその裏面側から見た図である。
【図6】第一の基板の隣接間隔が温度変動に伴って変化した状態を示す図である。
【図7】第一の基板の隣接間隔が温度変動に伴って変化したときの露光分布の変化と、これによる画像ムラやスジの発生を軽減できる理由を説明するための図である。
【図8】第一の基板の隣接間隔誤差(チップ間隔誤差)と光量補正値との関係を示す特性図である。
【図9】制御ブロック図である。
【図10】光プリントヘッドの断面図である。
【図11】潜像担持体に対する光プリントヘッドの支持構成を示す斜視図である。
【図12】潜像担持体に対する光プリントヘッドの支持構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図1に基づいて、本実施形態に係る中間転写方式のタンデム型画像形成装置の構成及び動作の概要を説明する。
図1において、各々符号Y、M、C、Kは、Y:イエロー、M:マゼンダ、C:シアン、K:ブラック色に対応する部分として区別する。以下、符号1〜6で構成される単位を画像形成ユニット(画像形成部)という。
符号5Y、5M、5C、5Kは、1次転写手段としての転写ローラを示しており、バイアスを印加して、潜像担持体としての感光体上のトナーを中間転写体としての中間転写ベルト201上に転写し、CMYK4色のトナー像を中間転写ベルト上で重ね合わせる構成である。
【0011】
その後、2次転写手段としての2次転写ローラ203にバイアスを印加して、給紙トレイ205から紙等の記録媒体が搬送ベルト202により搬送され、CMYK4色のトナー像を一括して転写し、最後に、CMYK4色のトナー像を定着ユニット204により記録媒体に定着させる。図1の点線矢印は紙等の媒質の搬送経路を示す。
複数の感光体1K、1M、1C、1Yを並列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置である。中間転写ベルト201には各色に対応した感光体1K、1M、1C、1Yが並列に等間隔で配設されている。
感光体1K、1M、1C、1Yは同一径に形成されたもので、その周囲には電子写真プロセスに従い各部材が順に配設されている。
感光体1Yを例に説明すると、矢印方向である時計回り方向に順に、帯電器2Y、光プリントヘッドからなる露光装置3Yから出射された画像データに基づく出射光LY、現像手段としての現像装置4Y、転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yが配設されている。他の感光体1M、1C、1Kに対しても同様である。
【0012】
すなわち、本実施形態では、感光体1K、1M、1C、1Yを各色毎に設定された被露光面とするものであり、各々に対して光プリントヘッド3から出射光LK、LM、LC、LYが各々に対応するように設けられている。
光プリントヘッド3は感光体との距離を所望の間隔に設置するため、調整可能な間隔調整部材を介し、後述する感光体の回転軸受保持部材等に接触させ固定している。
帯電器(図は帯電ローラを用いた方式を想定して図示しているが、これに限定するものではない)により表面を均一に帯電された感光体1Yは、矢印方向に回転することによって出射光LYを副走査し、感光体1Y上に静電潜像が形成される。
また、光プリントヘッド3による出射光LYの照射位置よりも感光体1の回転方向下流側には、感光体1Yにトナーを供給する現像器4Yが配設され、イエローのトナーが供給される。現像器4Yから供給されたトナーは、静電潜像が形成された部分に付着し、トナー像が形成される。同様に感光体1M、1C、1Kには、それぞれM、C、Kの単色トナー像が形成される。
【0013】
各感光体1の現像器4の配設位置よりもさらに回転方向下流側には、中間転写ベルト201が配置されている。中間転写ベルト201は、両端にある複数のローラに巻付けられ、図示しないモータの駆動により矢印方向に移動搬送されるようになっている。
中間転写ベルト201は各感光体1K、1M、1C、1Yで現像された各々単色画像を順次重ねあわせて転写し、中間転写ベルト201上にカラー画像を形成するようになっている。
符号5K、5M、5C、5Yは転写ローラを示しており、バイアスを印加して、感光体上のトナーを中間転写ベルト201に転写し、4色のトナー像を中間転写ベルト上で重ね合わせる。
その後、2次転写ローラ203にバイアスを印加して、搬送ベルト202により搬送された転写紙に4色のトナー像を一括して転写する。
カラー画像が形成された転写紙は定着ユニット204により定着処理後、カラー画像として排紙される。
【0014】
上記カラー画像形成装置内では温度分布が生じており、特に定着ユニット204の温度上昇の影響により、定着ユニットに近い側の画像形成ユニットの温度が最も高くなる。初期プリント時は定着の温度影響も少ないが、連続プリントの場合には、定着ユニットが発熱する時間が増加することに伴い経時的に温度上昇が増す。
本実施形態では構成される4色の画像形成ユニットの並びは中間転写ベルトに対して上流から下流に向かってK、M、C、Yの順としており、Yの画像形成ユニットが最も温度が高く(光プリントヘッド配置箇所で温度差最大3〜5℃)、他のK、M、Cの温度はほぼ同等(温度差0〜1℃)である。
【0015】
本実施形態では最も温度が高くなる画像形成ユニットにイエロー色を配置している。温度検出器を具備し、光源の駆動電流を制御する制御手段を有する本発明の光プリントヘッドヘッド(後に詳述)は、4色中で視覚認知し難いY以外の、K、M、Cに対応するヘッドに配置することが好適である。
Yに対応するヘッドに配置してもよいが、視覚認知し難いので他の色に比べて影響が少なく実用上問題とならないことがある。すなわち、本発明の効果を十分に発揮できない感がある。
図2に、カラー画像形成装置の他の実施例を示す。図1で示した4色に、透明トナーを使用して光沢感を向上させるべく、透明色Tを追加して5色とした例である。
画像形成方法としては図1で示した構成と同様であるが、5つ目の画像形成ユニットとして透明色Tを最も温度が高くなる定着ユニットに近い画像形成ユニットに配置している点が異なる。
図1と同様に装置内に温度分布が生じ、定着ユニットに近い側の画像形成ユニットの温度が最も高くなる。図1のカラー画像形成装置と同様に、温度検出器を具備し、光源の駆動電流を制御する制御手段を有する本発明の光プリントヘッドヘッドは、5色中で視覚認知し難いT、Y以外の、K、M、Cに対応するヘッドに配置することが好適である。TまたはYに対応するヘッドに配置してもよいが視覚認知し難いので他の色に比べて影響が少なく実用上問題とならないことがある。
【0016】
図3〜図5に光プリントヘッド3K、3M、3C、3Yを示す。
図3は1つの光プリントヘッド3と感光体1との位置関係を示す斜視図、図4はレンズアレイ504の出射側から見た平面図、図5は基板を示す図である。
図3に示すように、第二の基板としての基板501の発光面側には、光源としての複数のLED素子が配列され、LEDA502として感光体1の長手方向に沿うようにライン状に実装されている。LED素子を駆動する駆動IC503も複数実装されている。
LED素子は所定の点あるいは所定の面から拡散光を放射するものであるために、感光体面上に潜像を形成するためにはLED素子から発せられた拡散光を各々微少なスポットに結像する必要がある。結像光学素子として、例えばマイクロレンズアレイや、屈折率分布型ロッドレンズアレイ等を用いることができる。
【0017】
図4に示すように、本実施形態では、レンズアレイとして、屈折率分布を有するロッドレンズ504aを束ねたガラス製のロッドレンズアレイ504を使用し、感光体表面に集光される。ロッドレンズアレイ504はロッドレンズを2列千鳥配列状に束ねたものであり、半径方向に2次曲線分布状の屈折率分布を有する円柱状の屈折率分布型ロッドレンズである。
ロッドレンズの隙間504bには不透明樹脂が充填、硬化されており、ロッドレンズ間を漏れるフレア光を抑えている。ロッドレンズ両側からレンズと同等の線膨張係数を持つガラスを分散させた樹脂製の部材504cでロッドレンズを保持している。
【0018】
図5に示すように、LEDA502は、ライン状に配置された複数のLEDAチップ502aからなり、各LEDAチップ502aは、複数のLED素子502bが配列された第一の基板502cとから構成されている。
第二の基板としての基板501には、LEDAチップ502aが書込幅に対応して数十〜数百個程度実装されている。各LEDAチップ502a内には、LED素子502bが間隔Piで数十〜数百個程度配列されており(502b−1〜502b−n)、隣り合うLEDAチップ502aは、その端部に位置するLED素子502b−nと502b−1との隣接間隔Ptが所定間隔(=Pi)になるように基板501上に実装される。
【0019】
LEDAチップ502aの幅(主走査方向)Sは、ウェハからの採り個数が最大となるように生産上設定される定型幅となる。
例えば600dpi、A4幅(210mm)では、LED素子の全数が42.3μm(=Pi=Pt)間隔で4960個配列する必要があり、LED素子が100個からなるLEDAチップの場合、50個実装されることになる。
同様に1200dpi、A3幅(297mm)では、LED素子の全数が14000個程度配列する必要があり、LED素子が100個からなるLEDAチップの場合、140個実装されることになる。
駆動トランジスタが集積化された駆動IC503は、点灯させるLED素子一つに駆動トランジスタ一つが対応し、所望の個数実装される。
【0020】
図5(a)に、基板501の詳細(発光面視)を示す。ガラスエポキシを主とするプリント基板に複数の発光部をもつLEDAチップ502aが画素密度に合致するように所望の間隔で実装されている。
具体的には600dpiの場合、LEDAチップ502a内の発光部の間隔Piと隣接するLEDAチップ502aの発光部の間隔Ptがともに42.3μm(1200dpiでは21.2μm)となっている。図中Dは光プリントヘッドの全露光幅である。全露光幅Dは画像書込幅Wに主走査方向のマージン分(レジスト調整幅、取付誤差)を考慮して、Wよりも広くなっている。
具体的にはA4サイズでは画像書込幅W=297mm、全露光幅D=302mm以上(W+5mm以上)としている。「以上」というのはLEDAチップ幅Sが先に説明したように定型幅となることから、定型幅の整数倍となる幅ということになる。
【0021】
発光間隔PiとPtは、製造時に各々ウェハ内の素子分割精度と実装装置の精度により間隔がばらつき、製造時に発生する光源配列誤差となる。
温度上昇により間隔が熱膨張変化するが、Piの変化はLEDAチップの基板部材(第一の基板502c)の熱膨張係数(Si:0.3×10-5/℃やAlGaAs:0.6×10-5/℃)に従い膨張し、Ptはプリント基板の熱膨張係数(FR-4:2.5×10-5/℃やCEM-3:1.3×10-5/℃)に従い膨張する。
濃度の高い画像を多数枚連続プリントする場合には光プリントヘッドの発光素子数が多く、発光時間が長くなるため発熱量が多くなる。さらに画像形成装置内の定着ユニットの温度上昇の影響も付加され、光プリントヘッドの温度が上昇し、図6に示すように、高精度に実装されているLEDAチップの間隔Pnが拡大変動する。
【0022】
具体的には、チップ間の隣接発光素子間隔Ptが理想間隔42.3μm(600dpiの場合)に対して、例えば45.0μm(+2.7μmの実装誤差)の箇所がある場合、温度膨張は基板501の熱膨張(基板501の熱膨張係数:2.5×10-5/℃、温度上昇分80℃の場合)から0.1μmの拡大となる。
これをイメージで表現すると、図7(a)に示すように露光分布が重なった理想間隔から、図7(b)に示すように、理想間隔よりも広くなって露光分布が分離し、スジが発生する。
本発明は、この露光分布の分離を、「第一の基板間の隣接する光源の駆動電流を制御する」ことによって、図7(c)に示すように、露光分布を理想状態に戻すことを特徴とするものである。
【0023】
本実施形態では、上記変動量0.1μmに対して、図8の補正特性に従い光量補正を行う。まず、光プリントヘッドの検査時、基準温度(例えば25℃)にて測定された45.0μmに対して、そのときの光量補正値(+2.0%増加)を設定する(図8の曲線上の○印)。
その後、温度上昇して45.0μmに対して+0.1μm(45.1μm)となった場合、さらに+0.2%の光量増加を行うことで、画像ムラ、スジを軽減している。
なお、LEDAチップ内の発光素子間隔は熱膨張係数が基板501よりも非常に小さいので実用上問題とはならない。
図8の光量補正値Pwは、チップ間隔誤差εに対して、Pw=ε3としている。この補正特性式は感光体感度、現像プロセスによって種々異なり、本実施例に限定されるものではない。
【0024】
温度上昇の情報は、光プリントヘッドの基板501に実装されている温度検出器としてのサーミスタ505の検出データを用いて行われる。
サーミスタ505は、図5に示すように、LEDAチップが実装されている箇所の基板を挟んで反対面(背面)に実装されており、かつ主走査方向に複数配置している。
複数の温度検出器は少なくともLEDAチップの隣接部で、LEDAチップの背面に実装される。LEDAチップの各隣接部に各々温度検出器を実装することにより、画像パターン、すなわちLED発光素子の発光状態の違いにより主走査方向の温度分が生ずる場合でも、温度検出の高精度化が図られる。
【0025】
図9にLED素子502bへの画像データ伝送の制御系統を示す。
複数のサーミスタ505からのデータ(例えば電圧値)を制御手段としての駆動制御器506にて集約し、各々の電圧値変動に対して常時モニターする。
常時モニターしている電圧値変動に応じて、補正特性に従いLEDAチップ間の隣接する発光素子の光量補正を行う。
ここで、電圧値の突発的な異常値ノイズに対して誤った補正を行わないように、駆動制御器506では、電圧値を一定間隔(数msレベル)の時間でチェックを行い、少なくとも連続で3回(十数ms)の電圧値が急激な変化がないことをチェックしている。十数msで急激な温度上昇変動は有り得ないためである。急激な変化が無いことをチェックしながら常時光量補正を実施している。
【0026】
次に画像データ伝送について詳述する。画像書込ASIC603は画像形成装置内のメイン制御ASICから画像データが送られてくると、光プリントヘッド3内のLED素子への発光パターンに則してデータ並び替えを行い、必要に応じて発光部のレジスト補正や曲がり、傾き補正したデータに加工して光プリントヘッド側へ伝送する。
光プリントヘッド3内には駆動IC503、LEDAチップ502のほかに、データ保持ICが実装されている。データ保持ICは、画像書込ASICから伝送されてきたデータを感光体の回転速度に合わせて1ライン分毎に画像パターンにあわせて発光できるように、1ライン分の全データを一端保持した後、データを書込む発光タイミング信号に従い、LED素子は発光する。
上記例の600dpi、A4幅(210mm)ではLED素子の全数4960個に対して駆動IC503からLEDAチップ502aへの伝送路の線数は同数の4960本となり、データ保持ICから出力される駆動IC503へも同数の4960本である。この本数のデータを伝送するためにデジタル化(実施例では8bit)低減しているが、伝送路の線数は8bitのパラレルでデータ線8本、クロック線1本、発光タイミング信号線1本で合計10本となる。
【0027】
LED素子が実装された基板501のLED素子実装面とは反対の裏面側に実装されたコネクタ505に伝送ケーブル551が挿入されて嵌め合わされる。
伝送ケーブル551はFFC(Flexible Flat Cable)またはFPC(Flexible Printed Circuits)のフラットケーブルからなり、全周にわたってシールド部材で包囲されている。このシールド部材により、画像データが高速で伝送される際に放出される電磁波をシールド部材内に閉じ込め放射電磁界を低減することができる。さらに、伝送ケーブル外から侵入する電磁波を遮断することができるので、伝送データの劣化もなくデータ品質が維持される。
【0028】
光プリントヘッドに固定された温度検出器からの検出データに基づいて光源駆動電流を制御することにより、基板温度を高精度に検出できるので、一層画像ムラやスジの発生が少ない経時安定性を確保できる。
少なくともイエロー色または透明色トナーの露光に用いられる光プリントヘッド以外の色に前記制御手段を有する光プリントヘッドを用いることにより、色成分の中で最も目立ち難い色であれば若干画像劣化が生じたとしても認知しにくくすることができるので、安価なカラー画像形成装置を実現できる。
【0029】
図10に光プリントヘッドの断面図を示す。LED素子が実装された基板501はLED素子とロッドレンズアレイ504が所望の位置および姿勢となるようにハウジング531に包囲され、位置決め固定されている。
ここでいう包囲とは、基板501の少なくとも3方向(図の下側、左右側)を囲い、基板501の実装部品の上端がハウジング上端よりも下方に配置される状態をいう。ハウジング531内に基板501が収納されることにより、ハウジング外部からの電気的な外乱ノイズ、例えば、装置内で隣接される帯電器2からの高電圧ノイズに対して、電気ノイズを遮蔽するような導電性を有するハウジングとすることにより耐ノイズ性が向上する。導電性は、材質の選択や導電性の表面処理加工を施すことによりなされる。
図10において、符号D1は、基板501の副走査方向の幅を、W3はハウジング531の副走査方向の幅を、Aは、LEDA502とレンズアレイ504の入射面側間の距離または感光体1の表面とレンズアレイ504の出射面側間の距離をそれぞれ示している。
【0030】
図11及び図12に、光プリントヘッドの配置構成を示す。
図11に示すように、光プリントヘッド3を保持する位置決め部と、感光体の回転中心を軸受保持する支持部とを有する側面板を前後に配置し、光プリントヘッド3の両端を支持して、感光体表面に対して所望の位置に固定している。
すなわち、感光体収容ベース600の両側には、前側面板602と、後側面板604が設けられ、各側面板には、感光体1の回転軸1aを保持する支持部としての軸受部606が形成されている。
前側面板602と後側面板604との間にはブラケット608が渡されて補強されている。
前側面板602と後側面板604とには、それぞれ段差状の位置決め部700が形成されており、光プリントヘッド3はこれらの位置決め部700に両端部を支持されている。
図12に示すように、位置決め部700は、ピント位置決め部700aと、副走査方向位置決め部700bとから構成されており、それぞれ図示しない板バネ等で各々矢印方向から押圧力を作用させて当接固定している。
【符号の説明】
【0031】
1 被露光面
3 露光手段
3 光プリントヘッド
4 現像手段
501 第二の基板
502c 第一の基板
502b 光源
504 レンズアレイ
505 温度検出器
506 制御手段
531 ハウジング部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特公平7−19084号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源が配列された第一の基板と、該第一の基板が複数ライン状に実装配列された第二の基板と、第二の基板と所定間隔をもって配置されるレンズアレイと、第二の基板を包囲するように配置されたハウジング部材とを具備し、前記光源から射出された光を被露光面に向かって前記レンズアレイにより集光する光プリントヘッドにおいて、
第一の基板の隣接間隔が温度変動に伴って変動する間隔に応じて、第一の基板間の隣接する光源の駆動電流を制御する制御手段を有していることを特徴とする光プリントヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の光プリントヘッドにおいて、
前記制御手段は、温度の上下変動に伴い第一の基板間の隣接する光源の駆動電流を増減させる補正を行うことを特徴とする光プリントヘッド。
【請求項3】
請求項2に記載の光プリントヘッドにおいて、
前記制御手段は、光プリントヘッドに固定された温度検出器からの検出データに基づいて前記駆動電流を制御することを特徴とする光プリントヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載の光プリントヘッドにおいて、
前記温度検出器は、ライン状に実装される第一の基板の隣接間に跨るように、かつ第一の基板が実装される第二の基板の裏面に複数実装配置されることを特徴とする光プリントヘッド。
【請求項5】
前記被露光面としての潜像担持体に露光手段により潜像を形成し、前記潜像を現像手段によりトナーを供給して可視化し、所望の記録画像を得る画像形成装置において、
前記露光手段として、請求項1〜4のいずれか1つに記載の光プリントヘッドを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
イエロー色のトナー画像を形成する画像形成部と、他の色のトナー画像を形成する画像形成部と、あるいはこれらの画像形成部に加えて透明色のトナー画像を形成する画像形成部とを備え、カラー画像を形成することが可能であり、
前記制御手段は、少なくとも前記イエロー色または透明色のトナー画像を形成する画像形成部の露光に用いられる前記光プリントヘッド以外の光プリントヘッドに用いられることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−10334(P2013−10334A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146094(P2011−146094)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】