説明

光伝送システム、光伝送装置、信号調整プログラム及び信号調整方法

【課題】光伝送路上を伝送するスーパーチャネル信号の光伝送品質の劣化を改善する。
【解決手段】光伝送路4を通じてスーパーチャネル信号を伝送する複数の光伝送装置2と、光伝送装置2を管理する管理装置3とを有する光伝送システム1である。光伝送装置2は、スーパーチャネル信号内の各サブチャネルの光強度を調整する調整機能付きWSS15と、管理装置3からの調整量に基づき、調整機能付きWSS15を制御する制御部17とを有する。管理装置3は、システム情報に基づき、光伝送装置2側の調整機能付きWSS15で調整出力するスーパーチャネル信号内のサブチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、調整量を算出する演算部3Bを有する。管理装置3は、演算部3Bによって算出された調整量を光伝送装置2に通知する通知部3Cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システム、光伝送装置、信号調整プログラム及び信号調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術やNyquist−WDM(Wavelength Division Multiplexing)技術は、周波数の利用効率を向上させる技術として有力視されている。OFDM技術やNyquist−WDM技術を用いて複数のサブチャネル信号を多重化し、一つの信号と見なすスーパーチャネル(Superchannel)という概念が100Gbps以上の伝送率が要求される光伝送システムに採用されている。
【0003】
また、光分岐挿入装置(OADM:Optical Add-Drop Multiplexer)の波長帯域フィルタ側で透過出力した光波形のエッジ部分の劣化を解消するために、そのエッジ部分を透過するフィルタの透過特性を上げる技術が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S.Chandrasekhar and Xiang Liu, OFC2011 OMR5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図31は、光伝送路上の信号品質差が生じた例を示す説明図である。光伝送システム200内の光伝送装置201は、光伝送路202にスーパーチャネル信号を送出する際、光伝送路202上の光増幅器や光フィルタ等の光部品の波長依存の利得又は損失が要因で、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号間で信号品質差が生じる。
【0006】
また、光伝送装置201は、WSS(波長選択スイッチ:Wavelength selective switch)211を内蔵している。WSS211は、光伝送路202上で受信したスーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の利得を調整し、調整したスーパーチャネル信号を光伝送路202に送出する。
【0007】
図32は、スーパーチャネル信号のエッジ帯域部分で狭窄化が生じた例を示す説明図である。スーパーチャネル信号は、光伝送路202上でAdd−Drop(光挿入−分岐)が繰り返されると、WSS211の透過特性で両側のエッジ帯域部分にあるサブチャネル信号のスペクトル幅が狭窄化し、光伝送品質の劣化が生じる。
【0008】
一つの側面では、光伝送路上を伝送する波長分割多重光を調整して光伝送品質の劣化を改善する光伝送システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の態様は、光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する複数の光伝送装置と、前記光伝送装置を管理する管理装置とを有する光伝送システムである。前記光伝送装置は、前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を調整する調整部と、前記管理装置からの調整量に基づき、前記調整部を制御する制御部とを有する。前記管理装置は、前記光伝送システム内の前記光伝送装置毎のシステム情報に基づき、前記光伝送装置側の前記調整部で調整出力する前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記調整量を算出する演算部を有する。前記管理装置は、前記演算部によって算出された前記調整量を前記光伝送装置に通知する通知部を有する。
【発明の効果】
【0010】
開示の態様では、光伝送路上を伝送する波長分割多重光を調整して光伝送品質の劣化を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1の光伝送システムの一例を示す説明図である。
【図2】図2は、実施例1の光伝送システム内の光伝送装置の一例(Add−Dropモード時)を示す説明図である。
【図3】図3は、光伝送装置の一例(スルーモード時)を示す説明図である。
【図4】図4は、光伝送装置の一例(信号品質差発生時)を示す説明図である。
【図5】図5は、光伝送装置のサブチャネル信号調整のプロファイルの一例を示す説明図である。
【図6】図6は、光伝送装置のスルーモード時のサブチャネル信号調整のプロファイルの一例を示す説明図である。
【図7】図7は、光伝送装置のAdd−Dropモード時のサブチャネル信号調整のプロファイルの一例を示す説明図である。
【図8】図8は、実施例1の第1の調整量設定処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、実施例2の第2の調整量設定処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施例2の光伝送装置のサブチャネル信号間の出力差を算出する処理の一例を示す説明図である。
【図12】図12は、実施例2の光伝送装置のサブチャネル信号間の出力差を算出する処理の一例を示す説明図である。
【図13】図13は、実施例3の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。
【図14】図14は、実施例3の第3の調整量設定処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】図15は、実施例3の第4の調整量設定処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、実施例4の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。
【図17】図17は、実施例4の第5の調整量設定処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図18】図18は、実施例4の第6の調整量設定処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図19】図19は、実施例5の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。
【図20】図20は、実施例5の第7の調整量設定処理に関わる光伝送システムの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】図21は、実施例5の光伝送システム内の光伝送装置のモニタ信号転送の動作の一例を示す説明図である。
【図22】図22は、実施例6の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。
【図23】図23は、実施例6の光伝送装置の調整機能付き送信部の一例を示す説明図である。
【図24】図24は、実施例6の光伝送装置の調整機能付き送信部の一例を示す説明図である。
【図25】図25は、実施例6の光伝送装置の調整機能付き送信部の一例を示す説明図である。
【図26】図26は、実施例7の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。
【図27】図27は、実施例7の光伝送装置の調整機能付き受信部の一例を示す説明図である。
【図28】図28は、実施例7の光伝送装置の調整機能付き受信部の一例を示す説明図である。
【図29】図29は、実施例7の光伝送装置の調整機能付き受信部の一例を示す説明図である。
【図30】図30は、信号調整プログラムを実行するコンピュータの一例を示す説明図である。
【図31】図31は、光伝送路上で信号品質差が生じた例を示す説明図である。
【図32】図32は、スーパーチャネル信号のエッジ帯域部分で狭窄化が生じた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光伝送システム、光伝送装置、信号調整プログラム及び信号調整方法の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1の光伝送システムの一例を示す説明図である。図1に示す光伝送システム1は、光ファイバ等の光伝送路4で接続される複数の光伝送装置2と、複数の光伝送装置2を管理する管理装置3とを有する。尚、光伝送装置2は、光伝送路4との間で、波長分割多重光、例えば、直交分割多重方式(OFDM方式)のスーパーチャネル信号を伝送する。
【0014】
図2は、実施例1の光伝送システム1内の光伝送装置2の一例(Add−Dropモード時)を示す説明図である。図2に示す光伝送装置2は、第1の光増幅部11と、光分岐部12と、受信部13と、送信部14と、調整機能付きWSS15と、第2の光増幅部16と、制御部17とを有する。第1の光増幅部11は、光伝送路4を通じて受信したスーパーチャネル信号を増幅する。光分岐部12は、受信したスーパーチャネル信号を光分岐する。受信部13は、光分岐部12で光分岐されたスーパーチャネル信号を受信する機能を有する。送信部14は、スーパーチャネル信号を光伝送路4上に送信する機能を有する。
【0015】
調整機能付きWSS15は、光波長毎に異なるスーパーチャネル信号を切替選択する機能や、受信したスーパーチャネル信号に送信部14から得たスーパーチャネル信号を光挿入するAdd機能を備えている。更に、調整機能付きWSS15は、受信したスーパーチャネル信号内のサブチャネル信号間の出力差(サブチャネル信号間の光強度差)及び位相差を解消する方向に、スーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号の利得及び位相回転量を調整する。
【0016】
制御部17は、調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を制御する。尚、調整量は、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の利得を調整する減衰量と、サブチャネル信号の位相を調整する位相回転量等とを有する。調整機能付きWSS15は、サブチャネル信号、1チャネル分の周波数帯域幅よりも短い周波数間隔単位で、例えば、サブチャネル信号の中心周波数で利得や位相回転量を調整するものである。尚、説明の便宜上、調整機能付きWSS15は、各サブチャネル信号の中心周波数の利得を調整するが、中心周波数に限定されるものではない。また、第2の光増幅部16は、調整機能付きWSS15で調整されたスーパーチャネル信号を増幅して光伝送路4上に伝送する。
【0017】
また、管理装置3は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータやワークステーション等で構成され、光伝送システム1内の全ての光伝送装置2とLAN(Local Area Network)等で接続される。管理装置3は、管理部3Aと、演算部3Bと、通知部3Cとを有する。管理部3Aは、光伝送システム1内のシステム情報を管理する。システム情報は、光伝送システム1内の光伝送装置2が接続するネットワークのトポロジ情報と、光伝送システム1内の光伝送装置2に関わる装置情報とを含む、光伝送システム1内の運用情報である。装置情報は、光伝送装置2毎の調整機能付きWSS15の設定状況と、その設定状況に応じた透過段数1段相当の減衰増減量及び位相増減量等の調整量とを含む。
【0018】
設定状況は、光伝送装置2側のWSSの設定モードがスルーモード又はAdd−Dropモードの何れかのモードで、かつ、WSSが調整機能付きWSS15であるか否かを識別するものである。尚、Add−Dropモードは、光伝送装置2側でスーパーチャネル信号を光分岐又は光挿入する際の設定モードである。スルーモードは、光伝送装置2側でスーパーチャネル信号の光挿入や光分岐を施すことなく、そのままスーパーチャネル信号をスルーする際の設定モードである。
【0019】
演算部3Bは、光伝送システム1内の調整対象の光伝送装置2が識別されると、光伝送システム1内のシステム情報に基づき、調整対象の光伝送装置2内の調整機能付きWSS15の透過特性に設定する調整量を算出する。演算部3Bは、システム情報内のトポロジ情報に基づき、例えば、調整対象の光伝送装置2に到達するまでにスーパーチャネル信号が通過する光伝送装置2の数(透過段数)を算出する。更に、演算部3Bは、算出された透過段数と、各光伝送装置2の設定状況と、透過段数1段相当の減衰増減量とに基づき、(数式1)で示すように、調整対象の光伝送装置2の減衰増減量を算出する。尚、(数式1)は、h番目の光伝送装置2の減衰増減量を調整量として算出するものである。
【0020】
【数1】

【0021】
また、演算部3Bは、調整対象の光伝送装置2に到達するまでの透過段数と、各光伝送装置2の設定状況と、透過段数1段相当の位相減衰量とに基づき、(数式2)に示すように、調整対象の光伝送装置2の位相増減量を算出する。尚、(数式2)は、h番目の光伝送装置2の位相増減量を調整量として算出するものである。
【0022】
【数2】

【0023】
光伝送装置2では、光伝送路4上で安定したスーパーチャネル信号に、例えば、新たなスーパーチャネル信号を光挿入する場合、調整機能付きWSS15の透過特性を調整し、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号を調整する。
【0024】
図3は、光伝送システム1内の光伝送装置2の一例(スルーモード時)を示す説明図である。図3に示す光伝送装置2は、光伝送路4上で受信したスーパーチャネル信号をスルーする場合でも、調整機能付きWSS15の透過特性を調整し、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号を調整する。
【0025】
図4は、光伝送システム1内の光伝送装置2の一例(信号品質差発生時)を示す説明図である。図4に示す光伝送装置2は、光伝送路4上で信号品質差の生じたスーパーチャネル信号を受信した場合、調整機能付きWSS15の透過特性を調整し、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号を調整する。
【0026】
図5は、光伝送装置2のサブチャネル信号調整のプロファイルの一例を示す説明図である。管理装置3の演算部3Bは、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の中心周波数毎の透過特性(減衰量(ATT)及び位相回転量(Phase))を調整する調整量を算出する。演算部3Bは、図5に示す通り、ATT=ATT=…=ATT=a[dB]及びPhase=Phase=…=Phase=θ[degree]とした調整量を算出する。その結果、調整機能付きWSS15の透過特性は、調整量に基づき、同一減衰量及び同一位相回転量に設定する。
【0027】
図6は、光伝送装置2のスルーモード時のサブチャネル信号調整のプロファイルの一例を示す説明図である。演算部3Bは、図6に示す通り、ATT=ATT=a、Phase=Phase=θ、ATT=ATTN−1=a及びPhase=PhaseN−1=θでスーパーチャネル信号内の両側のエッジ帯域部分のサブチャネル信号を調整する調整量を算出する。
【0028】
更に、演算部3Bは、図6に示す通り、ATT=ATT=…=ATTN−2=a及びPhase=Phase=…=PhaseN−2=θでスーパーチャネル信号内の中央帯域部分のサブチャネル信号を調整する調整量を算出する。その結果、調整機能付きWSS15の透過特性は調整量に基づき、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の内、エッジ帯域部分のサブチャネル信号の減衰量を小さく、中央帯域部分のサブチャネル信号の減衰量を大きく設定する。
【0029】
図7は、光伝送装置2のAdd−Dropモード時のサブチャネル信号調整のプロファイルの一例を示す説明図である。演算部3Bは、図7に示す通り、ATT=ATT=b、Phase=Phase=θ、ATT=ATTN−1=b及びPhase=PhaseN−1=θでスーパーチャネル信号内の両側のエッジ帯域部分のサブチャネル信号を調整する調整量を算出する。
【0030】
更に、管理装置3の演算部3Bは、図7に示す通り、ATT=ATT=…=ATTN−2=b及びPhase=Phase=…=PhaseN−2=θでスーパーチャネル信号内の中央帯域部分のサブチャネル信号を調整する調整量を算出する。その結果、調整機能付きWSS15の透過特性は、調整量に基づき、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の内、エッジ帯域部分のサブチャネル信号の減衰量を小さく、中央帯域部分のサブチャネル信号の減衰量を大きく設定する。
【0031】
管理装置3内の通知部3Cは、演算部3Bにて調整対象の光伝送装置2の調整量が算出されると、算出された調整量をLAN経由で調整対象の光伝送装置2に通知する。光伝送装置2内の制御部17は、管理装置3からの調整量をLAN経由で受信した場合、調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。調整機能付きWSS15は、スーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号の利得及び位相回転量を調整し、調整したスーパーチャネル信号を出力する。
【0032】
調整機能付きWSS15の透過特性は、図1に示す通り、Add−Dropモード時に生じるスーパーチャネル信号内の両側エッジ帯域部分のサブチャネル信号の減衰量を小さく、位相回転量を正常な位相方向βに設定される。更に、調整機能付きWSS15の透過特性は、スーパーチャネル信号内の中央帯域部分のサブチャネル信号の減衰量を大きく、位相回転量を正常な位相方向αに設定される。その結果、調整機能付きWSS15で調整出力したスーパーチャネル信号は、両側エッジ帯域のスペクトル狭窄化を改善した信号が得られることになる。
【0033】
次に実施例1の光伝送システム1の動作について説明する。図8は、実施例1の第1の調整量設定処理に関わる光伝送システム1の処理動作の一例を示すフローチャートである。図8に示す第1の調整量設定処理は、管理装置3側で光伝送システム1内の調整対象の光伝送装置2に調整量を設定する処理である。
【0034】
図8において管理装置3の演算部3Bは、光伝送システム1内のネットワークトポロジ及び光伝送装置2の装置情報等のシステム情報を管理部3Aから読み出す(ステップS11)。演算部3Bは、読み出されたシステム情報に基づき、調整対象の光伝送装置2の調整機能付きWSS15の透過特性に設定する減衰量及び位相回転量等の調整量を算出する(ステップS12)。管理装置3の通知部3Cは、調整量が算出されると、算出された調整量を例えばLAN経由などで調整対象の光伝送装置2に通知する(ステップS13)。
【0035】
調整対象の光伝送装置2の制御部17は、管理装置3からの調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整し(ステップS14)、図8に示す処理動作を終了する。その結果、調整機能付きWSS15は、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の利得及び位相回転量を調整し、調整したスーパーチャネル信号を出力する。
【0036】
第1の調整量設定処理では、管理装置3側で調整対象の光伝送装置2の調整機能付きWSS15の透過特性に設定する減衰量及び位相回転量等の調整量を算出し、算出された調整量を調整対象の光伝送装置2に通知する。その結果、調整機能付きWSS15は、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号間の出力差が基準閾値以下となるように、スーパーチャネル信号を調整出力できる。
【0037】
実施例1の光伝送装置2は、調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整したので、調整機能付きWSS15で調整出力するスーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号間の出力差を基準閾値以下にする。その結果、光伝送路4上を伝送するスーパーチャネル信号の品質の劣化を改善できる。
【0038】
また、管理装置3は、調整対象の光伝送装置2が識別されると、システム情報に基づき、調整対象の光伝送装置2に関わるスーパーチャネル信号の伝送経路に対応した透過段数を算出し、設定状況及び透過段数に対応した調整量を算出する。管理装置3は、調整量を調整対象の光伝送装置2に通知する。その結果、調整対象の光伝送装置2は、管理装置3から調整量を取得できる。
【0039】
また、光伝送装置2は、調整量に基づき、スーパーチャネル信号内のエッジ帯域部分のサブチャネル信号の減衰量を小さく、スーパーチャネル信号内の中央帯域部分のサブチャネル信号の減衰量を大きくすべく、調整機能付きWSS15の透過特性を設定した。その結果、例えば、光伝送路4上でAdd−Dropを繰り返したことで生じる、スーパーチャネル信号内のエッジ帯域部分のスペクトル狭窄化を最小化し、光伝送品質を改善できる。
【0040】
また、光伝送装置2は、調整量に基づき、スーパーチャネル信号内のエッジ帯域部分及び中央帯域部分の位相回転量を調整すべく、調整機能付きWSS15の透過特性を設定した。その結果、例えば、光伝送路4上でAdd−Dropを繰り返したことで生じる、スーパーチャネル信号内のエッジ帯域部分のスペクトル狭窄化を最小化し、光伝送品質を改善できる。
【0041】
実施例1では、OFDM方式のスーパーチャネル信号内の全サブチャネル信号が、送信元及び送信先の光伝送装置2で同一である点に着目した。その結果、サブチャネル信号間の波形特性を比較する場合、送信時の波形に関する情報がなくても、同一スーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号を使用して波形特性を比較できる。
【0042】
尚、上記実施例1では、調整機能付きWSS15を使用したが、例えば、調整機能を備えた調整部とWSSとを別個に備え、WSSの入力段や出力段に調整部を配置するようにしても良い。
【0043】
また、上記実施例1の演算部3Bは、スーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号の中心周波数毎に調整量を算出したが、中心周波数に限定されるものではなく、サブチャネル信号を調整できる周波数ポイントであれば良く、複数ポイントであっても良い。
【0044】
また、上記実施例1の演算部3Bは、図6及び図7に示す通り、ATT=ATT=a、ATT=ATTN−1=aでエッジ帯域部分の両方のサブチャネル信号が同一となる調整量を算出した。しかしながら、エッジ帯域部分の両方のサブチャネル信号の調整量を同一値に限定するものではない。
【0045】
また、管理装置3の演算部3Bでは、(数式1)に示す通り、光伝送装置2の透過段数、設定モード及び透過段数1段相当の減衰増減量に基づき、減衰量の調整量を算出した。しかしながら、演算部3Bは、光伝送装置2内の光増幅部の偏差量及び波長損失を加味し、(数式3)に示すようにしても良い。その結果、光伝送装置2内の光増幅部、光部品の利得及び光波長の波長依存損失を補償する減衰量を設定できる。
【0046】
【数3】

【0047】
また、上記実施例1では、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する調整量として減衰量及び位相回転量を調整するようにしたが、減衰量のみを調整するだけでも良い。
【0048】
また、上記実施例1では、OFDM方式のスーパーチャネル信号に適用して説明したが、Nyquist−WDM方式のスーパーチャネル信号等の波長分割多重光に適用しても良い。
【0049】
また、上記実施例1では、管理装置3からの調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整したが、光伝送装置2内で自律的に調整量を補正する補正機能を光伝送装置2に内蔵させても良く、この実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例2】
【0050】
図9は、実施例2の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。尚、実施例1の光伝送システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図9に示す光伝送装置2Aは、調整機能付きWSS15と第2の光増幅部16との間の光分岐部12A経由で光分岐されたスーパーチャネル信号のスペクトル情報を検出する、デジタルコヒーレント受信機能を内蔵したスペクトル検出部20を有する。尚、スペクトル情報は、スーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号に関わる情報、例えば、サブチャネル信号の出力、波長分散量(位相回転量)やベースバンドのスペクトル形状等の情報である。
【0051】
スペクトル検出部20は、波長多重分離フィルタ21と、信号品質モニタ22と、検出制御部23とを有する。波長多重分離フィルタ21は、光分岐されたスーパーチャネル信号を各サブチャネル信号の光波長に分離する。信号品質モニタ22は、分離されたサブチャネル信号毎の信号品質を監視する。検出制御部23は、各信号品質モニタ22のモニタ結果に基づき、サブチャネル信号の出力、波長分散量やスペクトル形状等を取得する。スペクトル検出部20は、検出されたスペクトル情報のモニタ結果をモニタ信号として制御部17に通知する。
【0052】
制御部17は、各サブチャネル信号の出力を示すモニタ信号に基づき、(数式4)に示す通り、スーパーチャネル信号内の全サブチャネル信号Nの出力の平均値Paveを算出する。更に、制御部17は、全サブチャネル信号の出力平均値Paveが算出されると、(数式5)に示す通り、算出された出力平均値Paveに各サブチャネル信号の出力Pに合う減衰量を補正量ΔATTとして算出する。更に、制御部17は、算出された補正量ΔATTに基づき、(数式6)に示す通り、管理装置3から取得された該当サブチャネルの減衰量ATTを補正する。
【0053】
【数4】

【0054】
また、制御部17は、各サブチャネル信号の波長分散量(位相回転量)を示すモニタ信号に基づき、(数式7)に示す通り、例えば、サブチャネル信号#1の伝達関数を算出する。尚、サブチャネル信号#1は、例えば、エッジ帯域部分のサブチャネル信号である。更に、制御部17は、モニタ信号に基づき、(数式8)に示す通り、例えば、サブチャネル信号#2の伝達関数を算出する。そして、制御部17は、(数式9)に示す通り、サブチャネル信号#2で推定された波長分散量を基準としてエッジ部分の位相回転量を補正量Phaseとして算出する。
【0055】
【数5】

【0056】
尚、サブチャネル信号#2の波長分散量を基準の波長分散量として使用したが、スーパーチャネル信号内の全サブチャネル信号の内、エッジ帯域部分以外のサブチャネル信号の波長分散量を基準の波長分散量として使用しても良い。また、基準の波長分散量は、予め設定された波長分散量を管理装置3から取得しても良い。
【0057】
次に、実施例2の光伝送システム1の動作について説明する。図10は、実施例2の第2の調整量設定処理に関わる光伝送システム1の処理動作の一例を示すフローチャートである。図10に示す第2の調整量設定処理は、光伝送装置2A内のスペクトル検出部20で検出したモニタ信号に基づき、管理装置3から取得した調整量を補正する処理である。
【0058】
図10において管理装置3は、ステップS11乃至ステップS13の処理動作を実行する。そして、光伝送装置2Aは、ステップS14にて管理装置3から取得された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。光伝送装置2Aのスペクトル検出部20は、スーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号に関わるモニタ信号を検出する(ステップS21)。制御部17は、出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、出力差及び位相差が基準閾値以下であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0059】
制御部17は、出力差及び位相差が基準閾値以下である場合(ステップS22肯定)、図10に示す処理動作を終了する。また、制御部17は、出力差及び位相差が基準閾値以下でない場合(ステップS22否定)、出力差及び位相差に対応した減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS23)。更に、制御部17は、算出された補正量で調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS24)。そして、制御部17は、調整機能付きWSS15の透過特性を調整した後、モニタ信号を検出すべく、ステップS21に移行する。
【0060】
第2の調整量設定処理では、管理装置3側で調整対象の光伝送装置2Aの調整機能付きWSS15の透過特性に設定する減衰量及び位相回転量等の調整量を算出し、算出された調整量を調整対象の光伝送装置2Aに通知する。その結果、調整機能付きWSS15は、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号間の出力差が基準閾値以下となるように、スーパーチャネル信号を調整出力できる。
【0061】
更に、第2の調整量設定処理では、調整機能付きWSS15の透過出力のスペクトル情報をモニタ信号として検出し、モニタ信号に基づき、出力差及び位相差が基準閾値以下でない場合、出力差及び位相差に対応した補正量を算出する。更に、第2の調整量設定処理は、補正量が算出されると、算出された補正量で調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整した。その結果、光伝送装置2Aは、管理装置3から取得した調整量を自律的に補正できる。
【0062】
実施例2の光伝送装置2Aは、調整機能付きWSS15の透過出力のスペクトル情報をモニタ信号として検出し、モニタ信号に基づき、出力差及び位相差が基準閾値以下でない場合、出力差及び位相差に対応した補正量を算出する。更に、光伝送装置2Aは、補正量が算出されると、算出された補正量で調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整した。その結果、光伝送装置2Aは、管理装置3から取得した調整量を自律的に補正できるため、高精度の調整が可能となる。
【0063】
尚、上記実施例2の制御部17では、スーパーチャネル信号内の全サブチャネル信号の出力平均値Paveに基づき補正量を算出した。しかしながら、制御部17は、例えば、サブチャネル信号の出力の基準値を予め設定しておき、その設定された基準値に基づき補正量を算出しても良い。また、制御部17は、スーパーチャネル信号内の全サブキャリア信号が送信元及び送信先の光伝送装置2で同一であることに着目し、スーパーチャネル信号内の中央帯域部分のサブチャネル信号の出力を基準値にし、この基準値に基づき補正量を算出しても良い。
【0064】
図11は、実施例2の光伝送装置2Aのサブチャネル信号間の出力差を算出する処理の一例を示す説明図である。制御部17は、図11に示すように、スーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号のスペクトル形状をモニタ信号として取得し、例えば、エッジ帯域部分のサブチャネル信号#1と、エッジ帯域部分以外のサブチャネル信号#2とを比較する。そして、制御部17は、サブチャネル信号#1のスペクトル形状と、サブチャネル信号#2のスペクトル形状との比較結果に基づき、図11の(B)に示すような、その差分(点線部分)で補正量を算出しても良い。尚、制御部17は、狭窄化するスペクトルが短波長側又は長波長側であるかを示す情報を管理装置3から事前に取得しておくものとする。
【0065】
図12は、実施例2の光伝送装置2Aのサブチャネル信号間の出力差を算出する処理の一例を示す説明図である。また、制御部17は、図12に示すように、サブチャネル信号#nの電界を示すモニタ信号に基づき、サブチャネル信号#nの電界を離散フーリエ変換することでサブチャネル信号#nのスペクトルを算出する。更に、制御部17は、サブチャネル信号#nのスペクトルの内、図12の(A)に示すエッジ帯域部分のサブチャネル信号#1のスペクトルと、図12の(B)に示す基準サブチャネル信号のスペクトルとを比較する。そして、制御部17は、エッジ部分のサブチャネル信号のスペクトルと基準サブチャネル信号のスペクトルとの比較結果に基づき、(数式10)に示す通り、その差分で補正量を算出しても良い。
【0066】
【数6】

【0067】
また、制御部17は、スーパーチャネル信号内の中央帯域部分のサブチャネル信号のスペクトルと、エッジ帯域部分のサブチャネル信号のスペクトルとを比較する。そして、制御部17は、エッジ帯域部分のサブチャネル信号のスペクトルと中央帯域部分のサブチャネル信号のスペクトルとの比較結果に基づき、(数式11)及び(数式12)に示す通り、その差分で減衰量の補正量を算出しても良い。この場合、OFDM方式のスーパーチャネル信号内の全サブチャネル信号は、中央帯域部分のチャネルと比較することが可能になるため、高精度なスペクトル整形が可能となる。
【0068】
【数7】

【0069】
また、実施例2では、調整機能付きWSS15の出力段に、スーパーチャネル信号のスペクトル情報を検出するスペクトル検出部20を設けたが、調整機能付きWSS15の入力段及び出力段の両方にスペクトル検出部20を設けても良く。その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
【実施例3】
【0070】
図13は、実施例3の光伝送システム1内の光伝送装置の一例を示す説明図である。尚、上記実施例の光伝送システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図13に示す光伝送装置2Bは、第1の光増幅部11と光分岐部12との間に光分岐する第1の光分岐部12Bと、調整機能付きWSS15と第2の光増幅部16との間に光分岐する第2の光分岐部12Cとを有する。更に、光伝送装置2Bは、第1の光分岐部12Bで光分岐されたスーパーチャネル信号のスペクトル情報を検出する第1のスペクトル検出部20Aを有する。更に、光伝送装置2Bは、第2の光分岐部12Cで光分岐されたスーパーチャネル信号のスペクトル情報を検出する第2のスペクトル検出部20Bを有する。
【0071】
制御部17は、第1のスペクトル検出部20Aによって検出されたスペクトル情報に基づき、管理装置3から取得された調整量を補正する補正量を算出する。また、制御部17は、第2のスペクトル検出部20Bによって検出されたスペクトル情報に基づき、管理装置3から取得された調整量を補正する補正量を算出する。制御部17は、算出された補正量に基づき、調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0072】
次に実施例3の光伝送システム1の動作について説明する。図14は、実施例3の第3の調整量設定処理に関わる光伝送システム1の処理動作の一例を示すフローチャートである。図14に示す第3の調整量設定処理は、光伝送装置2B内の調整機能付きWSS15の入力段及び出力段で検出したモニタ信号に基づき、調整量を補正する処理である。
【0073】
図14において管理装置3は、ステップS11乃至ステップS13の処理動作を実行する。そして、光伝送装置2Bは、ステップS14によって管理装置3から取得された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。光伝送装置2Bの第1のスペクトル検出部20Aは、調整機能付きWSS15の入力段の第1の光分岐部12Bで光分岐されたスーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号に関わるモニタ信号を検出する(ステップS31)。制御部17は、出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、目標の出力差及び位相差に対応する減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS32)。
【0074】
更に、制御部17は、算出された補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS33)。更に、第2のスペクトル検出部20Bは、調整機能付きWSS15の出力段の第2の光分岐部12Cで光分岐されたスーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号に関わるモニタ信号を検出する(ステップS34)。
【0075】
制御部17は、出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、出力差及び位相差が基準閾値以下であるか否かを判定する(ステップS35)。制御部17は、出力差及び位相差が基準閾値以下である場合(ステップS35肯定)、図14に示す処理動作を終了する。また、制御部17は、出力差及び位相差が基準閾値以下でない場合(ステップS35否定)、出力差及び位相差に対応した減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS36)。更に、制御部17は、算出した補正量で調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS37)。そして、制御部17は、調整機能付きWSS15の透過特性を調整した後、モニタ信号を検出すべく、ステップS31に移行する。
【0076】
第3の調整量設定処理では、管理装置3側で調整対象の光伝送装置2Bの調整機能付きWSS15の透過特性に設定する減衰量及び位相回転量等の調整量を算出し、算出された調整量を調整対象の光伝送装置2Bに通知する。その結果、調整機能付きWSS15は、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号間の出力差が基準閾値以下となるように、スーパーチャネル信号を調整出力できる。
【0077】
更に、第3の調整量設定処理では、調整機能付きWSS15の入力段に第1のスペクトル検出部20Aを配置し、第1のスペクトル検出部20Aで検出したモニタ信号に基づき補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の調整前のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量を自律的に補正できる。
【0078】
また、第3の調整量設定処理では、調整機能付きWSS15の出力段に第2のスペクトル検出部20Bを配置し、第2のスペクトル検出部20Bで検出したモニタ信号に基づき補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の調整後のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量を自律的に補正できる。
【0079】
尚、図14に示す第3の調整量設定処理では、スーパーチャネル信号単位で出力差及び位相差が基準閾値以下にあるか否かを判定した。しかしながら、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号単位で出力差及び位相差が基準閾値以下にあるか否かを判定するようにしても良く。第4の調整量設定処理として以下に説明する。図15は、実施例3の第4の調整量設定処理に関わる光伝送システム1の処理動作の一例を示すフローチャートである。図15に示す第4の調整量設定処理は、サブチャネル信号単位で出力差及び位相差が基準閾値以下であるか否かを判定し、サブチャネル信号単位で調整量を補正する処理である。
【0080】
図15において光伝送装置2Bは、ステップS14によって管理装置3から取得された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iを“1”に設定する(ステップS41)。そして、第1のスペクトル検出部20Aは、調整機能付きWSS15の入力段の第1の光分岐部12Bで光分岐されたスーパーチャネル信号内の測定対象のサブチャネル信号iのモニタ信号を検出する(ステップS42)。制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差に対応する減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS43)。
【0081】
更に、制御部17は、算出された補正量に基づき、測定対象のサブチャネル信号iの調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS44)。更に、第2のスペクトル検出部20Bは、第2の光分岐部12Cで光分岐されたスーパーチャネル信号内の測定対象のサブチャネル信号iのモニタ信号を検出する(ステップS45)。
【0082】
制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差が基準閾値以下であるか否かを判定する(ステップS46)。制御部17は、出力差及び位相差が基準閾値以下である場合(ステップS46肯定)、設定中の測定対象のサブチャネル信号iが全サブチャネル数Nであるか否かを判定する(ステップS47)。尚、制御部17は、スーパーチャネル信号内の全サブチャネル信号の測定対象の設定が完了したか否かを監視するものである。
【0083】
制御部17は、設定中の測定対象のサブチャネル信号iがNである場合(ステップS47肯定)、図15に示す処理動作を終了する。また、制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iがNでない場合(ステップS47否定)、測定対象のサブチャネル信号iを+1インクリメントし(ステップS48)、ステップS42に移行する。
【0084】
制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差が基準閾値以下でない場合(ステップS46否定)、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差に対応した減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS49)。更に、制御部17は、算出された補正量で測定対象のサブチャネル信号iの調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS50)。そして、制御部17は、調整機能付きWSS15の透過特性を調整した後、モニタ信号を検出すべく、ステップS42に移行する。
【0085】
第4の調整量設定処理では、調整機能付きWSS15の入力段に第1のスペクトル検出部20Aを配置し、第1のスペクトル検出部20Aで検出したモニタ信号に基づき、サブチャネル信号単位の補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の調整前のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量をサブチャネル信号単位で自律的に補正できる。
【0086】
また、第4の調整量設定処理では、調整機能付きWSS15の出力段に第2のスペクトル検出部20Bを配置し、第2のスペクトル検出部20Bで検出したモニタ信号に基づき、サブチャネル信号単位の補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の調整後のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量をサブチャネル信号単位で自律的に補正できる。
【0087】
上記実施例3の光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の入力段で検出したモニタ信号に基づき補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の調整前のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量を自律的に補正できるため、高精度な調整が可能になる。
【0088】
また、光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の出力段で検出したモニタ信号に基づき補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の調整後のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量を自律的に補正できるため、高精度な調整が可能になる。
【0089】
更に、光伝送装置2Bは、調整機能付きWSS15の入力段で検出したモニタ信号に基づく補正量で調整量を補正するため、調整機能付きWSS15の出力段の出力差及び位相差が小さくなる。その結果、調整機能付きWSS15の出力段側のモニタ信号に基づく補正量の算出処理を高速化できる。
【0090】
尚、上記実施例3では、調整機能付きWSS15の入力段及び出力段にスペクトル検出部20を夫々配置するようにしたが、1個のスペクトル検出部20で調整機能付きWSS15の入力段及び出力段のスーパーチャネル信号のスペクトル情報を検出しても良く。この場合の実施の形態につき、実施例4として以下に説明する。
【実施例4】
【0091】
図16は、実施例4の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。尚、上記実施例の光伝送システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図16に示す光伝送装置2Cは、第1の光増幅部11と光分岐部12との間に光分岐する第3の光分岐部12Dと、調整機能付きWSS15と第2の光増幅部16との間に光分岐する第4の光分岐部12Eとを有する。更に、光伝送装置2Cは、第3の光分岐部12Dで光分岐されたスーパーチャネル信号及び第4の光分岐部12Eで光分岐されたスーパーチャネル信号を切替選択するスイッチ18を有する。光伝送装置2Cのスペクトル検出部20は、スイッチ18で切替選択されたスーパーチャネル信号のスペクトル情報を検出する。
【0092】
制御部17は、スペクトル検出部20によって検出されたスペクトル情報に基づき、管理装置3から取得された調整量を補正する補正量を算出する。制御部17は、算出された補正量に基づき、調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0093】
次に実施例4の光伝送システム1の動作について説明する。図17は、実施例4の第5の調整量設定処理に関わる光伝送システム1の処理動作の一例を示すフローチャートである。図17に示す第5の調整量設定処理は、光伝送装置2C内の調整機能付きWSS15の入力段及び出力段で検出したモニタ信号に基づき、調整量を補正する処理である。
【0094】
図17において管理装置3は、ステップS11乃至ステップS13の処理動作を実行する。そして、光伝送装置2Cは、ステップS14によって管理装置3から取得された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。スペクトル検出部20は、スイッチ18による第3の光分岐部12Dに切替設定後、第3の光分岐部12Dで光分岐されたスーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号に関わるモニタ信号を検出する(ステップS51)。制御部17は、出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、目標の出力差及び位相差に対応する減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS52)。
【0095】
更に、制御部17は、算出された補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS53)。更に、スペクトル検出部20は、スイッチ18による第4の光分岐部12Eに切替設定後、第4の光分岐部12Eで光分岐されたスーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号に関わるモニタ信号を検出する(ステップS54)。
【0096】
制御部17は、出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、出力差及び位相差が基準閾値以下であるか否かを判定する(ステップS55)。制御部17は、出力差及び位相差が基準閾値以下である場合(ステップS55肯定)、図17に示す処理動作を終了する。また、制御部17は、出力差及び位相差が基準閾値以下でない場合(ステップS55否定)、出力差及び位相差に対応した減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS56)。更に、制御部17は、算出した補正量で調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS57)。そして、制御部17は、調整機能付きWSS15の透過特性を調整した後、モニタ信号を検出すべく、ステップS51に移行する。
【0097】
第5の調整量設定処理では、管理装置3側で調整対象の光伝送装置2Cの調整機能付きWSS15の透過特性に設定する減衰量及び位相回転量等の調整量を算出し、算出された調整量を調整対象の光伝送装置2Cに通知する。その結果、調整機能付きWSS15は、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号間の出力差が基準閾値以下となるように、スーパーチャネル信号を調整出力できる。
【0098】
更に、第5の調整量設定処理では、スイッチ18を調整機能付きWSS15の入力段側に切替え、スペクトル検出部20で検出したモニタ信号に基づき補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の調整前のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量を自律的に補正できる。
【0099】
また、第5の調整量設定処理では、スイッチ18を調整機能付きWSS15の出力段側に切替え、スペクトル検出部20で検出したモニタ信号に基づき補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の調整後のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量を自律的に補正できる。
【0100】
尚、図17に示す第5の調整量設定処理では、スーパーチャネル信号単位で出力差及び位相差が基準閾値以下にあるか否かを判定した。しかしながら、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号単位で出力差及び位相差が基準閾値以下にあるか否かを判定するようにしても良く。第6の調整量設定処理として以下に説明する。尚、図18は、実施例4の第6の調整量設定処理に関わる光伝送システム1の処理動作の一例を示すフローチャートである。図18に示す第6の調整量設定処理は、サブチャネル信号単位で出力差及び位相差が基準閾値以下であるか否かを判定し、サブチャネル信号単位で調整量を補正する処理である。
【0101】
図18において光伝送装置2Cは、ステップS14によって管理装置3から取得された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iを“1”に設定する(ステップS61)。スペクトル検出部20は、スイッチ18による第3の光分岐部12Dに切替設定後、第3の光分岐部12Dで光分岐されたスーパーチャネル信号内の測定対象のサブチャネル信号iに関わるモニタ信号を検出する(ステップS62)。制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差に対応する減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS63)。
【0102】
更に、制御部17は、算出された補正量に基づき、測定対象のサブチャネル信号iの調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS64)。更に、スペクトル検出部20は、スイッチ18による第4の光分岐部12Eに切替設定後、第4の光分岐部12Eで光分岐されたスーパーチャネル信号内の測定対象のサブチャネル信号iに関わるモニタ信号を検出する(ステップS65)。
【0103】
制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差を示すモニタ信号に基づき、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差が基準閾値以下であるか否かを判定する(ステップS66)。制御部17は、出力差及び位相差が基準閾値以下である場合(ステップS66肯定)、設定中の測定対象のサブチャネル信号iが全サブチャネル数Nであるか否かを判定する(ステップS67)。尚、制御部17は、スーパーチャネル信号内の全サブチャネル信号の測定対象の設定が完了したか否かを監視するものである。
【0104】
制御部17は、設定中の測定対象のサブチャネル信号iがNである場合(ステップS67肯定)、図18に示す処理動作を終了する。また、制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iがNでない場合(ステップS67否定)、測定対象のサブチャネル信号iを+1インクリメントし(ステップS68)、ステップS62に移行する。
【0105】
制御部17は、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差が基準閾値以下でない場合(ステップS66否定)、測定対象のサブチャネル信号iの出力差及び位相差に対応した減衰量及び位相回転量等の補正量を算出する(ステップS69)。更に、制御部17は、算出された補正量で測定対象のサブチャネル信号iの調整量を補正し、補正された調整量に基づき、調整機能付きWSS15の透過特性を調整する(ステップS70)。そして、制御部17は、調整機能付きWSS15の透過特性を調整した後、モニタ信号を検出すべく、ステップS62に移行する。
【0106】
更に、第6の調整量設定処理では、スイッチ18を調整機能付きWSS15の入力段側に切替え、スペクトル検出部20で検出したモニタ信号に基づき、サブチャネル信号単位の補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の調整前のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量をサブチャネル信号単位で自律的に補正できる。
【0107】
また、第6の調整量設定処理では、スイッチ18を調整機能付きWSS15の出力段に切替え、スペクトル検出部20で検出したモニタ信号に基づき、サブチャネル信号単位の補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の調整後のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量をサブチャネル信号単位で自律的に補正できる。
【0108】
上記実施例4の光伝送装置2Cは、1個のスペクトル検出部20で調整機能付きWSS15の入力段及び出力段のスペクトル情報を検出したので、部品コストを低減できる。
【0109】
更に、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の入力段で検出したモニタ信号に基づき補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の調整前のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量を自律的に補正できるため、高精度な調整が可能になる。
【0110】
また、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の出力段で検出したモニタ信号に基づき補正量を算出し、補正量に基づき調整量を補正した。その結果、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の調整後のスーパーチャネル信号のスペクトル情報に基づき、管理装置3からの調整量を自律的に補正できるため、高精度な調整が可能になる。
【0111】
更に、光伝送装置2Cは、調整機能付きWSS15の入力段による補正量で調整量を補正するため、調整機能付きWSS15の出力段の出力差及び位相差が小さくなる。その結果、調整機能付きWSS15の透過出力のモニタ信号に基づく補正量の算出処理の高速化が図れる。
【0112】
尚、上記実施例4では、光伝送装置2C内にスペクトル検出部20を別体として設けるようにしたが、受信部13の内部にスペクトル検出部20を内蔵しても良く。この場合の実施の形態につき、実施例5として以下に説明する。
【実施例5】
【0113】
図19は、実施例5の光伝送システム1内の光伝送装置の一例を示す説明図である。尚、上記実施例の光伝送システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図19に示す光伝送装置2Dは、スペクトル検出機能を内蔵した受信部13Aを有する。受信部13Aは、分波器61と、受信器(Rx)62と、スペクトル検出部20Dとを有する。分波器61は、第1の光分岐部12で光分岐されたスーパーチャネル信号内のサブチャネル信号に分波する。更に、スペクトル検出部20Dは、各分波器61で分波されたサブチャネル信号のスペクトル情報を検出する。尚、スペクトル検出部20Dは、前述したスペクトル検出部20の内部構成とほぼ同じである。
【0114】
また、光伝送装置2Dは、受信部13A内のスペクトル検出部20Dで検出したスペクトル情報のモニタ結果をモニタ信号として、光伝送路4又は例えばLAN経由などで光伝送システム1内の他の光伝送装置2Dに転送する。
【0115】
また、光伝送装置2Dの制御部17は、下流側の光伝送装置2Dからモニタ信号を受信すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。制御部17は、補正量で調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0116】
次に実施例5の光伝送システム1の動作について説明する。図20は、実施例5の第7の調整量設定処理に関わる光伝送システム1の処理動作の一例を示すフローチャートである。図20に示す第7の調整量設定処理は、光伝送装置2D内で検出したモニタ信号を上流側の光伝送装置2に転送する処理である。
【0117】
図20において管理装置3は、ステップS11乃至ステップS13の処理動作を実行する。そして、光伝送装置2Dは、ステップS14によって管理装置3から取得された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。更に、光伝送装置2Dのスペクトル検出部20Dは、第1の光分岐部12で光分岐されたスーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号に関わるモニタ信号を検出する(ステップS71)。
【0118】
光伝送装置2Dの制御部17は、モニタ信号を検出すると、モニタ信号を上流側の光伝送装置2に転送し(ステップS72)、図20に示す処理動作を終了する。
【0119】
第7の調整量設定処理では、管理装置3側で調整対象の光伝送装置2Dの調整機能付きWSS15の透過特性に関わる減衰量及び位相回転量等の調整量を算出し、算出された調整量を調整対象の光伝送装置2Dに通知する。その結果、調整機能付きWSS15は、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号間の出力差が基準閾値以下となるように、スーパーチャネル信号を調整出力できる。
【0120】
更に、第7の調整量設定処理は、調整機能付きWSS15の透過出力のスペクトル情報をモニタ信号として検出し、モニタ信号を上流側の光伝送装置2に転送する。その結果、上流側の光伝送装置2Dは、下流側の光伝送装置2Dのモニタ信号に基づき補正量を算出し、算出された補正量に基づき調整量を補正し、調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整できる。
【0121】
次に光伝送装置2Dが上流側の光伝送装置2にモニタ信号を転送する場合の動作について説明する。図21は、実施例5の光伝送システム1内の光伝送装置2Dのモニタ信号転送の動作の一例を示す説明図である。図21の(A)は、#1の光伝送装置2→#2の光伝送装置2→#3の光伝送装置2→#4の光伝送装置2の順にスーパーチャネル信号を伝送する形態において#1〜#4の光伝送装置2が全て光伝送装置2Dの場合である。
【0122】
#4の光伝送装置2Dは、スペクトル検出部20Dを通じてスペクトル情報としてモニタ信号を検出すると、モニタ信号を上流側の#3の光伝送装置2Dに転送する。その結果、#3の光伝送装置2Dは、モニタ信号を検出すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。そして、#3の光伝送装置2Dは、補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0123】
また、#3の光伝送装置2Dは、スペクトル検出部20Dを通じてスペクトル情報としてモニタ信号を検出すると、モニタ信号を上流側の#2の光伝送装置2Dに転送する。その結果、#2の光伝送装置2Dは、モニタ信号を検出すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。そして、#2の光伝送装置2Dは、補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0124】
また、#2の光伝送装置2Dは、スペクトル検出部20Dを通じてスペクトル情報としてモニタ信号を検出すると、モニタ信号を上流側の#1の光伝送装置2Dに転送する。その結果、#1の光伝送装置2Dは、モニタ信号を検出すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。そして、#1の光伝送装置2Dは、補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0125】
#4の光伝送装置2Dは、上流側の光伝送装置2がスペクトル検出機能及び調整機能を内蔵した#3の光伝送装置2Dの場合、モニタ信号を検出すると、そのモニタ信号を上流側の#3の光伝送装置2Dに伝送する。そして、#3の光伝送装置2Dは、モニタ信号に基づき補正量を算出し、算出した補正量に基づき調整量を算出し、算出した調整量に基づき自分の調整機能付きWSS15の透過特性を調整できる。
【0126】
また、図21の(B)に示す#3の光伝送装置2は、スペクトル検出部20Dを内蔵していないものの、調整機能付きWSS15を内蔵した光伝送装置2Xとし、#1、#2及び#4の光伝送装置2は、全て光伝送装置2Dとする。
【0127】
#4の光伝送装置2Dは、スペクトル検出部20Dを通じてスペクトル情報としてモニタ信号を検出すると、モニタ信号を上流側の#3の光伝送装置2Xに転送する。更に、#4の光伝送装置2Dは、上流側の#3の光伝送装置2Xがスペクトル検出部なし、調整機能付きWSS15を内蔵していることを認識しているため、その上流側の#2の光伝送装置2Dにモニタ信号を転送する。
【0128】
#3の光伝送装置2Xは、モニタ信号を検出すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。そして、#3の光伝送装置2Xは、補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0129】
また、同様に、#2の光伝送装置2Dは、モニタ信号を検出すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。そして、#2の光伝送装置2Dは、補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。この際、#3の光伝送装置2X及び#2の光伝送装置2Dは、同一のモニタ信号に基づき補正量を調整するため、夫々算出した補正量の1/2の補正量に基づき調整量を補正する。尚、補正量の分割は、1/2に限定されるものではない。
【0130】
更に、#2の光伝送装置2Dは、スペクトル検出部20Dを通じてスペクトル情報としてモニタ信号を検出すると、モニタ信号を上流側の#1の光伝送装置2Dに転送する。その結果、#1の光伝送装置2Dは、モニタ信号を検出すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。そして、#1の光伝送装置2Dは、補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0131】
#4の光伝送装置2Dは、上流側の光伝送装置2が、スペクトル検出機能がなく、調整機能を内蔵した#3の光伝送装置2Xで、光伝送装置2Xの上流が#2の光伝送装置2Dの場合、モニタ信号を#3の光伝送装置2X及び#2の光伝送装置2Dに転送した。その結果、#3の光伝送装置2X及び#2の光伝送装置2Dは、モニタ信号に基づき補正量を算出し、算出した補正量に基づき調整量を算出し、算出した調整量に基づき自分の調整機能付きWSS15の透過特性を調整できる。
【0132】
また、図21の(C)に示す#3の光伝送装置2は、スペクトル検出機能及び調整機能なしのWSSを内蔵した光伝送装置2Yとし、#1、#2及び#4の光伝送装置2は、全て光伝送装置2Dとする。
【0133】
#4の光伝送装置2Dは、スペクトル検出部20Dを通じてスペクトル情報としてモニタ信号を検出すると、#3の光伝送装置2Yがスペクトル検出機能及び調整機能なしのWSSを内蔵しているため、その上流側の#2の光伝送装置2Dにモニタ信号を転送する。
【0134】
#2の光伝送装置2Dは、モニタ信号を検出すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。そして、#2の光伝送装置2Dは、補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。更に、#2の光伝送装置2Dは、スペクトル検出部20Dを通じてスペクトル情報としてモニタ信号を検出すると、モニタ信号を上流側の#1の光伝送装置2Dに転送する。
【0135】
その結果、#1の光伝送装置2Dは、モニタ信号を検出すると、モニタ信号に基づき補正量を算出する。そして、#1の光伝送装置2Dは、補正量に基づき調整量を補正し、補正された調整量に基づき調整機能付きWSS15の透過特性を調整する。
【0136】
#4の光伝送装置2Dは、上流側の光伝送装置2が、スペクトル検出機能及び調整機能なしの#3の光伝送装置2Yで、その光伝送装置2Yの上流が#2の光伝送装置2Dの場合、検出したモニタ信号を#2の光伝送装置2Dに転送した。その結果、#2の光伝送装置2Dは、モニタ信号に基づき補正量を算出し、算出した補正量に基づき調整量を算出し、算出した調整量に基づき自分の調整機能付きWSS15の透過特性を調整できる。
【0137】
実施例5の光伝送装置2Dは、スペクトル検出部20Dを受信部13Aに内蔵し、スペクトル検出部20Dで検出したモニタ信号を上流側の光伝送装置2に転送した。その結果、上流側の光伝送装置2は、下流側の光伝送装置2Dからのモニタ信号に基づき補正量を算出し、算出した補正量に基づき調整量を算出できるため、高精度の調整が可能となる。
【0138】
尚、実施例5の光伝送装置2Dは、モニタ信号を検出すると、そのモニタ信号を上流側の光伝送装置2に転送したが、管理装置3に転送しても良い。
【0139】
また、光伝送装置2は、スーパーチャネル信号を送信する送信部13に、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の利得及び位相回転量等を調整する調整機能を備えても良く、この場合の実施の形態につき、実施例6として以下に説明する。
【実施例6】
【0140】
図22は、実施例6の光伝送システム内の光伝送装置の一例を示す説明図である。尚、上記実施例の光伝送システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図22に示す光伝送装置2Eは、調整機能付き送信部30を有する。調整機能付き送信部30は、スーパーチャネル信号を送信する機能と、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の利得及び位相回転量等を調整する調整機能を内蔵したものである。制御部17は、管理装置3から取得された調整量に基づき、調整機能付きWSS15及び調整機能付き送信部30を調整する。
【0141】
図23は、実施例6の光伝送装置2Eの調整機能付き送信部30の一例を示す説明図である。図23に示す調整機能付き送信部30は、光源部31と、光送信器32と、調整機能付き合波器33と、合波器34とを有する。光源部31は、異なる光波長の光信号を生成する。光送信器32は、光源部31で生成された光信号を光変調してサブチャネル信号を送信する。更に、調整機能付き合波器33は、各光送信器32で送信された複数のサブチャネル信号を合波してスーパーチャネル信号を生成する。制御部17は、調整量に基づき、調整機能付き合波器33の透過特性を調整して、合波するサブチャネル信号の利得及び位相回転量を調整する。
【0142】
更に、合波器34は、各調整機能付き合波器33で生成したスーパーチャネル信号を合波し、合波されたスーパーチャネル信号を調整機能付きWSS15に光挿入する。
【0143】
図23の調整機能付き送信部30は、サブチャネル信号を合波してスーパーチャネル信号を生成する合波器に調整機能を内蔵した調整機能付き合波器33を備えたので、設定ダイナミックレンジを広げることができる。
【0144】
尚、図23に示す調整機能付き送信部30は、複数のサブチャネル信号を合波する合波器に調整機能を内蔵したが、例えば、複数のスーパーチャネル信号を合波する合波器34に調整機能を内蔵しても良い。また、光送信器32に調整機能を内蔵しても良い。
【0145】
尚、調整機能付き送信部30を、下記の通り、図24又は図25に示す通りに変更しても良い。図24は、実施例6の光伝送装置2Eの調整機能付き送信部30の一例を示す説明図である。図24に示す調整機能付き送信部30Aは、光送信器32と合波器34との間の合波器33を、スペクトル整形フィルタ35と、合波器33Aとで構成しても良い。スペクトル整形フィルタ35は、光送信器32で送信するサブチャネル信号の利得及び位相回転量を調整する。制御部17は、管理装置3から取得した調整量に基づき、スペクトル整形フィルタ35の透過特性を調整する。
【0146】
合波器33Aは、各スペクトル整形フィルタ35で調整されたサブチャネル信号を合波してスーパーチャネル信号を生成する。そして、合波器34は、各合波器33Aで合波されたスーパーチャネル信号を合波し、合波されたスーパーチャネル信号を調整機能付きWSS15に光挿入する。
【0147】
図24の調整機能付き送信部30Aは、サブチャネル信号を合波してスーパーチャネル信号を生成する合波器33Aの入力段に調整機能を内蔵したスペクトル整形フィルタ35を備えたので、設定ダイナミックレンジを広げることができる。
【0148】
図25は、実施例6の光伝送装置2Eの調整機能付き送信部30の一例を示す説明図である。図25に示す調整機能付き送信部30Bは、調整部41と、線形/非線形予等化処理部42と、デジタルアナログ変換部(DAC)43と、増幅部44と、光源部45と、光変調器46と、偏波光結合器(PBC:Polarization beam combiner)47とを有する。
【0149】
調整部41は、調整機能付きWSS15で透過する際にスーパーチャネル信号の両側のエッジ帯域部分のスペクトルが狭窄化しないように、電気信号の入力データを調整する。尚、制御部17は、調整部41を制御するものである。線形/非線形予等化処理部42は、調整部41にて調整された入力データに対して線形/非線形予等化処理を実行する。DAC43は、線形/非線形予等化処理を施した入力データをアナログ変換する。
【0150】
増幅部44は、アナログ信号を増幅する。更に、光変調器46は、増幅されたアナログ信号を光源部45の光波長で変調してサブチャネル信号を得る。PBC47は、各光変調器46のサブチャネル信号を結合する。PBC47は、結合されたサブチャネル信号でスーパーチャネル信号を調整機能付きWSS15に光挿入する。
【0151】
図25の調整機能付き送信部30Bは、光変調器46で光変調される前の信号の段階で利得及び位相回転量を調整したので、設定ダイナミックレンジを広げることができる。
【0152】
実施例6の光伝送装置2Eは、調整機能を送信部に備えた調整機能付き送信部30を内蔵したので、設定ダイナミックレンジを広げることができる。
【0153】
上記実施例6では、光伝送装置2内の送信部にサブチャネル信号の利得及び位相回転量を調整する調整機能を備えるようにしても良く。この場合の実施の形態につき、実施例7として以下に説明する。
【実施例7】
【0154】
図26は、実施例7の光伝送システム1内の光伝送装置の一例を示す説明図である。尚、上記実施例の光伝送システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図26に示す光伝送装置2Fは、調整機能付き受信部50を有する。調整機能付き受信部50は、光分岐部12で光分岐されたスーパーチャネル信号を受信する機能と、スーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の利得及び位相回転量等を調整する調整機能を内蔵したものである。
【0155】
制御部17は、管理装置3から取得された調整量に基づき、調整機能付きWSS15及び調整機能付き受信部50の透過特性を調整する。
【0156】
図27は、実施例7の光伝送装置2Fの調整機能付き受信部50の一例を示す説明図である。図27に示す調整機能付き受信部50は、調整機能付き分波器51と、受信器52とを有する。調整機能付き分波器51は、光分岐部12で分岐された複数のスーパーチャネル信号を光分波する。更に、調整機能付き分波器51は、光分波された各スーパーチャネル信号内の両側エッジ帯域部分のサブチャネル信号の利得及び位相回転量を調整する。尚、調整機能付き分波器51は、制御部17によって制御されるものである。受信器52は、調整されたスーパーチャネル信号を受信する。
【0157】
図27に示す調整機能付き受信部50は、複数のスーパーチャネル信号を分波する分波器に調整機能を内蔵した調整機能付き分波器51を備えたので、設定ダイナミックレンジを広げることができる。
【0158】
尚、調整機能付き受信部50を、下記の通り、図28又は図29に示すように変更しても良い。図28は、実施例7の光伝送装置2Fの調整機能付き受信部50の一例を示す説明図である。図28に示す調整機能付き受信部50Aは、分波器51A及び受信器52の他に、分波器51Aの入力段に調整機能を備えたフィルタ53を有する。フィルタ53は、光分岐部12で分岐された複数のスーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の減衰量及び位相回転量を調整する。尚、制御部17は、調整機能付き受信部50を制御するものである。そして、分波器51Aは、調整された複数のスーパーチャネル信号を分波する。
【0159】
図28に示す調整機能付き受信部50Aは、スーパーチャネル信号を分波する分波器51Aの入力段に調整機能のフィルタ53を内蔵したので、設定ダイナミックレンジを広げることができる。
【0160】
また、図29は、実施例7の光伝送装置2Fの調整機能付き受信部50の一例を示す説明図である。図29に示す調整機能付き受信部50Bは、分波器51A及び受信器52の他に、分波器51Aと受信器52との間に調整機能を備えたフィルタ53Aを有する。
【0161】
フィルタ53Aは、分波器51Aで分波されたスーパーチャネル信号内のサブチャネル信号の利得及び位相回転量を調整する。尚、制御部17は、調整機能付き受信部50を制御する。受信器52は、フィルタ53Aで調整されたスーパーチャネル信号を受信する。
【0162】
図29に示す調整機能付き受信部50Bは、分波器51Aと受信器52との間に、調整機能を備えたフィルタ53Aを内蔵したので、設定ダイナミックレンジを広げることができる。
【0163】
実施例7の光伝送装置2Fは、調整機能を受信部に内蔵した調整機能付き受信部50を備えたので、設定ダイナミックレンジを広げることができる。
【0164】
尚、上記実施例では、OFDM方式のスーパーチャネル信号に適用したが、前述した通り、Nyquist−WDM方式に適用しても良く、更に、通常のWDM方式に適用しても良い。
【0165】
上記実施例のスペクトル検出部20は、デジタルコヒーレント受信機能を備えた。しかしながら、スペクトル検出部20は、例えば、可変フィルタと、フォトダイオードと、演算部とで構成しても良く。この場合、演算部は、可変フィルタのフィルタ帯域を可変し、スーパーチャネル信号内の各サブチャネル信号を順次抽出し、フォトダイオードで各サブチャネル信号の出力を得るようにしても良い。また、スペクトル検出部20は、分光素子と、複数のフォトダイオードと、演算部とで構成しても良い。この場合、演算部は、分光素子を使用してスーパーチャネル信号内のサブチャネル信号を分光し、分光された各サブチャネル信号の出力を得るようにしても良い。
【0166】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0167】
更に、例えば、制御部17、管理部3A、演算部3B、通知部3Cなどの各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【0168】
ところで、本実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現できる。そこで、以下では、上記実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図30は、調整処理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す説明図である。
【0169】
図30に示す調整処理プログラムを実行するコンピュータ100では、HDD(Hard Disk Drive)110、RAM(Random Access Memory)120、ROM(Read Only Memory)130及びCPU140を有する。更に、コンピュータ100は、操作部150、表示部160及び通信部170を有する。そして、コンピュータ100は、HDD110、RAM120、ROM130、CPU140、操作部150、表示部160及び通信部170がバス180を介して接続される。
【0170】
そして、HDD110には、上記実施例と同様の機能を発揮する調整処理プログラムが予め記憶されている。尚、HDD110ではなく、ROM130や、図示せぬドライブでコンピュータ読取可能な記録媒体に情報表示プログラムが記録されていても良い。また、記録媒体としては、例えば、CD−ROM、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等でも良い。調整処理プログラムとしては、図30に示すように、算出プログラム110A及び通知プログラム110Bである。尚、プログラム110A及び110Bについては、図1に示した管理装置3の各構成要素と同様、適宜統合又は分散してもよい。
【0171】
そして、CPU140が、これらのプログラム110A及び110BをHDD110から読み出してRAM120上で実行する。そして、図30に示すように、各プログラム110A及び110Bは、RAM120上で算出プロセス120A及び通知プロセス120Bとして機能するようになる。
【0172】
HDD110は、光伝送システム内の光伝送装置毎のシステム情報を格納している。CPU140は、HDD110内のシステム情報に基づき、光伝送装置側の調整部で調整出力する波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、光伝送装置側の前記調整部を調整する調整量を算出する。更に、CPU140は、算出された調整量を光伝送装置に通知する。その結果、光伝送装置は、コンピュータ100からの調整量に基づき調整部を調整したので、調整出力された波長分割多重光の伝送品質を改善できる。
【0173】
以上、本実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0174】
(付記1)光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する複数の光伝送装置と、前記光伝送装置を管理する管理装置とを有する光伝送システムであって、
前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を調整する調整部と、
前記管理装置からの調整量に基づき、前記調整部を制御する制御部と
を有し、
前記管理装置は、
前記光伝送システム内の前記光伝送装置毎のシステム情報に基づき、前記光伝送装置側の前記調整部で調整出力する前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記調整量を算出する演算部と、
前記演算部によって算出された前記調整量を前記光伝送装置に通知する通知部と
を有することを特徴とする光伝送システム。
【0175】
(付記2)前記演算部は、
前記波長分割多重光内の中央帯域のチャネルの光強度を前記波長分割多重光内のエッジ帯域のチャネルの光強度より小さくする前記調整量を算出することを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
【0176】
(付記3)前記システム情報は、
前記光伝送装置の種別毎に、基準調整量と、前記波長分割多重光が通過した通過段数に応じた調整増減量とを含み、
前記演算部は、
前記基準調整量及び、前記通過段数に応じた調整増減量に基づき、前記調整量を算出することを特徴とする付記1又は2に記載の光伝送システム。
【0177】
(付記4)前記演算部は、
前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を減衰する減衰量を前記調整量として算出することを特徴とする付記1〜3の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0178】
(付記5)前記調整部は、前記波長分割多重光内の各チャネルの位相を調整し、
前記演算部は、前記波長分割多重光内のチャネル間の位相差が基準閾値を超えないように、前記波長分割多重光内の各チャネルの位相回転を調整する位相回転量を前記調整量として算出することを特徴とする付記1〜4の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0179】
(付記6)前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光のスペクトル情報を検出する検出部を有し、
前記制御部は、
前記検出部によって検出された前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光が基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0180】
(付記7)前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光のスペクトル情報を検出する検出部を有し、
前記制御部は、
前記検出部によって検出された前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0181】
(付記8)前記光伝送装置は、
前記調整部の入力段に配置され、前記波長分割多重光のスペクトル情報を検出する第1の検出部と、
前記調整部の出力段に配置され、前記波長分割多重光のスペクトル情報を検出する第2の検出部と
を有し、
前記制御部は、
前記第1の検出部又は前記第2の検出部によって検出された前記波長分割多重光のスペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0182】
(付記9)前記光伝送装置は、
前記光伝送路を通じて前記波長分割多重光を受信する受信部を有し、
前記受信部は、
前記波長分割多重光のスペクトル情報を検出する検出部と、
前記検出部にて検出されたスペクトル情報を、前記波長分割多重光を送信した上流側の光伝送装置に通知する通知部と
を有し、
前記制御部は、
下流側の光伝送装置から前記スペクトル情報を検出すると、前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0183】
(付記10)前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光を前記光伝送路に送信する送信部を有し、
前記送信部は、
前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように前記波長分割多重光を調整する調整部を内蔵し、この調整部にて調整された前記波長分割多重光を前記光伝送路に送信出力することを特徴とする付記1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0184】
(付記11)前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光を前記光伝送路から受信する受信部を有し、
前記受信部は、
前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように前記波長分割多重光を調整する調整部を内蔵し、この調整部にて調整された前記波長分割多重光を受信出力することを特徴とする付記1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0185】
(付記12)前記制御部は、
前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内の中央帯域のチャネルと、前記波長分割多重光内の帯域の内、前記中央帯域以外の帯域のチャネルとの差分で光強度差を算出し、算出された光強度差が前記基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記6に記載の光伝送システム。
【0186】
(付記13)前記制御部は、
前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内の各チャネルの平均光強度を算出し、算出された平均光強度とチャネルの光強度との差分で光強度差を算出し、算出された光強度差が前記基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記6に記載の光伝送システム。
【0187】
(付記14)前記制御部は、
前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差を算出し、算出された光強度差が前記基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記6に記載の光伝送システム。
【0188】
(付記15)前記制御部は、
前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内のサブチャネル間の位相回転量差を算出し、算出された位相回転量差が前記基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記6に記載の光伝送システム。
【0189】
(付記16)前記波長分割多重光は、
複数のサブチャネル信号が多重化されたOFDM方式のスーパーチャネル信号であることを特徴とする付記1〜15の何れか一つに記載の光伝送システム。
【0190】
(付記17)光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する光伝送装置であって、
前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を調整する調整部と、
前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように調整する調整量を検出し、この調整量に基づき、前記調整部を制御する制御部と
を有することを特徴とする光伝送装置。
【0191】
(付記18)前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光のスペクトル情報を検出する検出部を有し、
前記制御部は、
前記検出部によって検出されたスペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする付記17に記載の光伝送装置。
【0192】
(付記19)光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する複数の光伝送装置を管理するコンピュータのプログラムであって、
前記光伝送システム内の前記光伝送装置毎のシステム情報に基づき、前記光伝送装置側の調整部で調整出力する前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記光伝送装置側の調整出力を調整する調整量を算出し、
算出された前記調整量を前記光伝送装置に通知する
各処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする信号調整プログラム。
【0193】
(付記20)光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する複数の光伝送装置と、前記光伝送装置を管理する管理装置とを有する光伝送システムの信号調整方法であって、
前記管理装置は、
前記光伝送システム内の前記光伝送装置毎のシステム情報に基づき、前記光伝送装置側の調整部で調整出力する前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記光伝送装置側の前記調整部を調整する調整量を算出し、算出された前記調整量を前記光伝送装置に通知し、
前記光伝送装置は、
前記管理装置からの前記調整量に基づき、前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を調整する調整部を制御する
各処理を実行することを特徴とする信号調整方法。
【符号の説明】
【0194】
1 光伝送システム
2 光伝送装置
3 管理装置
3A 管理部
3B 演算部
3C 通知部
4 光伝送路
13 受信部
15 調整機能付きWSS
17 制御部
20 スペクトル検出部
20A 第1のスペクトル検出部
20B 第2のスペクトル検出部
20D スペクトル検出部
30 調整機能付き送信部
33 調整機能付き合波器
35 スペクトル整形フィルタ
41 調整部
50 調整機能付き受信部
51 調整機能付き分波器
53 フィルタ
53A フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する複数の光伝送装置と、前記光伝送装置を管理する管理装置とを有する光伝送システムであって、
前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を調整する調整部と、
前記管理装置からの調整量に基づき、前記調整部を制御する制御部と
を有し、
前記管理装置は、
前記光伝送システム内の前記光伝送装置毎のシステム情報に基づき、前記光伝送装置側の前記調整部で調整出力する前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記調整量を算出する演算部と、
前記演算部によって算出された前記調整量を前記光伝送装置に通知する通知部と
を有することを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記演算部は、
前記波長分割多重光内の中央帯域のチャネルの光強度を前記波長分割多重光内のエッジ帯域のチャネルの光強度より小さくする前記調整量を算出することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記システム情報は、
前記光伝送装置の種別毎に、基準調整量と、前記波長分割多重光が通過した通過段数に応じた調整増減量とを含み、
前記演算部は、
前記基準調整量及び、前記通過段数に応じた調整増減量に基づき、前記調整量を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記演算部は、
前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を減衰する減衰量を前記調整量として算出することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記調整部は、前記波長分割多重光内の各チャネルの位相を調整し、
前記演算部は、前記波長分割多重光内のチャネル間の位相差が基準閾値を超えないように、前記波長分割多重光内の各チャネルの位相回転を調整する位相回転量を前記調整量として算出することを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の光伝送システム。
【請求項6】
前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光のスペクトル情報を検出する検出部を有し、
前記制御部は、
前記検出部によって検出された前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光が基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【請求項7】
前記光伝送装置は、
前記光伝送路を通じて前記波長分割多重光を受信する受信部を有し、
前記受信部は、
前記波長分割多重光のスペクトル情報を検出する検出部と、
前記検出部にて検出されたスペクトル情報を、前記波長分割多重光を送信した上流側の光伝送装置に通知する通知部と
を有し、
前記制御部は、
下流側の光伝送装置から前記スペクトル情報を検出すると、前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【請求項8】
前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光を前記光伝送路に送信する送信部を有し、
前記送信部は、
前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように前記波長分割多重光を調整する調整部を内蔵し、この調整部にて調整された前記波長分割多重光を前記光伝送路に送信出力することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【請求項9】
前記光伝送装置は、
前記波長分割多重光を前記光伝送路から受信する受信部を有し、
前記受信部は、
前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように前記波長分割多重光を調整する調整部を内蔵し、この調整部にて調整された前記波長分割多重光を受信出力することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の光伝送システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記スペクトル情報に基づき、前記波長分割多重光内の中央帯域のチャネルと、前記波長分割多重光内の帯域の内、前記中央帯域以外の帯域のチャネルとの差分で光強度差を算出し、算出された光強度差が前記基準閾値を超えないように、前記調整量を補正することを特徴とする請求項6に記載の光伝送システム。
【請求項11】
光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する光伝送装置であって、
前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を調整する調整部と、
前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように調整する調整量を検出し、この調整量に基づき、前記調整部を制御する制御部と
を有することを特徴とする光伝送装置。
【請求項12】
光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する複数の光伝送装置を管理するコンピュータのプログラムであって、
前記光伝送システム内の前記光伝送装置毎のシステム情報に基づき、前記光伝送装置側の調整部で調整出力する前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記光伝送装置側の調整出力を調整する調整量を算出し、
算出された前記調整量を前記光伝送装置に通知する
各処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする信号調整プログラム。
【請求項13】
光伝送路を通じて波長分割多重光を伝送する複数の光伝送装置と、前記光伝送装置を管理する管理装置とを有する光伝送システムの信号調整方法であって、
前記管理装置は、
前記光伝送システム内の前記光伝送装置毎のシステム情報に基づき、前記光伝送装置側の調整部で調整出力する前記波長分割多重光内のチャネル間の光強度差が基準閾値を超えないように、前記光伝送装置側の前記調整部を調整する調整量を算出し、算出された前記調整量を前記光伝送装置に通知し、
前記光伝送装置は、
前記管理装置からの前記調整量に基づき、前記波長分割多重光内の各チャネルの光強度を調整する調整部を制御する
各処理を実行することを特徴とする信号調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−106328(P2013−106328A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251113(P2011−251113)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】