説明

光伝送システム、及び、光ノード

【課題】高価なOSNRモニタを用いることなく、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス制御を実現する。
【解決手段】光ノードは、他の光ノードから送信された波長多重信号のパワーレベルを波長毎にモニタし、波長毎の光信号のパワーレベル値と所定の上限値及び下限値とを比較し、比較の結果、波長毎の光信号のパワーレベルの目標値を生成する目標値算出部を備え、目標値算出部は、光監視部から取得された波長毎のパワーレベル値に基づいて、波長多重信号のパワーレベルの中心値を求め、比較演算部による比較の結果波長毎のパワーレベル値が上限値を上回る場合、中心値と上限値との間の値を目標値とし、比較演算部による比較の結果波長毎のパワーレベル値が下限値を下回る場合、中心値と下限値との間の値を目標値とし、目標値にしたがって波長多重信号のパワーレベルを変更させるため、目標値を、他の光ノードに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムに関し、特に、波長多重技術を用いた光ファイバ伝送システム関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに代表されるデータ通信の普及によって、アクセス網、メトロ網、又は、コア網において、通信回線の光化(光ファイバ化)が急速に普及している。光ファイバ伝送システムにおいて、長距離かつ大容量伝送を実現するため、複数の主信号波長を多重した波長多重(WDM)伝送技術が導入されている。
【0003】
光ファイバ伝送システムにおける伝送品質の指標となる代表的な特性には、光信号と光雑音との比によって定義されるOSNR特性がある。
【0004】
OSNR特性は、「伝送装置の特性パラメータ」(例えば、光送信機の出力光強度、光中継器の増幅利得、光合波器及び光分波器等の光学損失、及び/又は、光中継器によって発生する光雑音強度等)、「伝送装置間の伝送ファイバ損失」(例えば、光ファイバにおけるスパン損失)、及び/又は、「伝送装置の光中継器の数」などの特性に依存する。そして、「伝送装置の特性パラメータ」、又は「装置間のファイバ損失」の特性が、波長(チャネル)間で均一に得られない場合、波長チャネル間のOSNR特性に偏差(格差)が生じる。
【0005】
一方、波長多重伝送技術を用いるシステム(波長多重伝送システム)において、要求される伝送品質を実現するため、システムに配置される受信機において、所定のOSNRが確保されなければならない。このため、波長多重伝送システムにおいて、OSNRが最小となるチャネルを基準に「装置間の伝送ファイバ損失」又は「伝送装置の光中継器の数」が定められる。
【0006】
すなわち、波長多重伝送システムの伝送距離は、OSNRが最小となるチャネルによって制限される。このため、波長多重伝送システムにおいて、OSNRが最小となるチャネルのOSNRの改善が求められる。すなわち、チャネル間のOSNR偏差を抑制することが求められる。
【0007】
チャネル間のOSNR偏差を抑制する方法には、波長多重伝送システムにおける光信号の流れの上流側に、波長(チャネル)毎に光パワーを調整可能な光レベル調整機能を備え、波長多重伝送システムにおける光信号の下流側に、波長(チャネル)毎にOSNRをモニタするOSNRモニタ機能を備えるプリエンファシス技術が提案されている。
【0008】
プリエンファシス技術において、OSNRモニタ機能によって測定されたOSNRの値に基づいて、光レベル調整機能がフィードバック制御される。すなわち、波長多重信号がOSNRモニタ機能に送信された際の、波長多重信号のチャネル間のOSNR特性が一様になるように、光レベル調整機能は、プリエンファシス技術において、フィードバック制御される。
【0009】
プリエンファシス技術を用いた技術には、「プリエンファシス制御装置はプリエンファシス設定装置をリセットして波長多重信号を送信し、光信号対雑音比測定装置は各波長多重信号の光信号対光雑音比を測定し、プリエンファシス制御装置にフィードバックし、プリエンファシス制御装置はこの情報に基づいて、自動的にプリエンファシス量設定装置のプリエンファシス量を設定し、線路監視装置は何番目の光増幅器の性能が劣化したかを検知し、プリエンファシス制御装置は該検知情報に基づいて、自動的にプリエンファシス量設定装置のプリエンファシス量を制御する。」技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、プリエンファシス技術を用いた他の技術には、「互いに異なる波長を有する複数チャネルの信号光ビームを波長分割多重してWDM信号光を出力する第1の端局と、該WDM信号光を受ける第2の端局と、第1の端局及び第2の端局間に敷設される光伝送路とを備え、第2の端局は、受信したWDM信号光に基づいて各チャネルの信号対雑音比をモニタリングする機能を有し、光伝送路は、WDM信号光を第1の端局から第2の端局へ伝送するための第1の回線と、モニタリングされた信号対雑音比に関する監視制御信号を第2の端局から第1の端局へ伝送するための第2の回線とを含み、第1の端局は監視制御信号を受けこれに基づいて第2の端局における各チャネルの信号対雑音比が等しくなるように上記各信号光ビームのパワーを制御する手段を含むシステムが提供される。」技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−321824号公報
【特許文献2】特開平9−261205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
OSNRを監視し、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス技術は、OSNRをモニタする機能を備えることが必須である。このため、プリエンファシス技術を用いた結果、装置の大型化、及び、装置を稼動させるためのコストの増大を招くといった課題が生じる。
【0013】
各チャネル(波長)の信号光パワーをモニタする方法には、光バンドパスフィルタ又はAWG(Arrayed Waveguide Grating)等の光分波機能によって、波長多重信号を各波長に分離し、分離された各々の光信号をフォトダイオード(PD)によって受光するパワーモニタ方法がある。
【0014】
これらの方法によってOSNR、すなわち、信号光パワーと雑音光パワーのパワーレベル比をモニタする場合、信号光パワーと同時に、雑音光パワーをモニタする必要がある。ここで、波長多重伝送システムにおける雑音光は、光源から出力される雑音光と、伝送システム中に配置された光増幅器から出力される雑音光(ASE:Amlified Spontaneous Emission)とが支配的である。
【0015】
前述のような光分波機能によって、波長毎に分離された光信号をPDによって受光するパワーモニタ方法において、雑音光と信号光とを分離し、分離された各々のパワーをモニタすることは不可能である。このため、信号光と雑音光とを分離可能な程度まで、前述の光分波機能の波長分解能を向上させ、信号光と雑音光との各々の光パワーをモニタする機能が必要である。
【0016】
信号光と雑音光との各々の光パワーをモニタする一般的な機能は、光スペクトルアナライザ等の装置によって実現される。光スペクトルアナライザは、光受光器及びその直前に配置された回折格子、又は、光バンドパスフィルタを、波長軸方向に掃引(スイープ)し、高い波長分解能によって雑音光パワーと信号光パワーとを分離することによって光信号を測定する装置である。特許文献1においても、OSNRモニタには、光スペクトルアナライザが用いられる。
【0017】
しかしながら、光スペクトルアナライザは、回折格子又は光バンドパスフィルタを波長軸方向に高分解能、かつ、高精度によって掃引する高度な制御技術、急峻かつ高精度な波長特性を有する光フィルタ技術を駆使して実現される。このため、光分波機能によって波長毎に分離された光信号をPDで受光する一般的なパワーモニタ方法と比較して、光スペクトルアナライザは、高価かつ集積化が難しく、光スペクトルアナライザを搭載した装置は、装置コストの増大、及び、装置の大型化を招くといった課題が生じる。
【0018】
さらに、前述のOSNRモニタを代替する方法には、特許文献2に記載の電気的SNRのモニタ方法がある。電気的SNRモニタは、Q値(クオリティファクター)を測定することによって、等価的にSNRをモニタすることができる。一方、光信号を電気信号に変換した後に、信号パワーレベルの統計的分布を算出する信号処理、又は、信号から元情報を復号した後に元情報中に含まれる一部の信号から伝送品質を推定する処理等を行うための、高度かつ高速な信号処理回路が必要となる。このため、電気的SNRモニタには、装置コストの増大を招くといった課題が生じる。
【0019】
本発明は、前述のような課題を鑑みてなされたものであり、波長多重信号の波長数及び波長配置、並びに、伝送装置や伝送ファイバの特性パラメータの変動に依存しない、安定性及び信頼性の高いパワーレベルモニタ方法を用いることによって、高価なOSNRモニタを用いることなく、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の代表的な一形態によると、少なくとも二つの波長の光信号を含む波長多重信号を、光ファイバを介して送受信する複数の光ノードを備える光伝送システムであって、前記各光ノードは、前記波長多重信号を増幅する少なくとも一つの光増幅部と、制御信号を送受信するための制御信号送受信部と、を備え、第1の前記光ノードは、前記波長多重信号を、第2の前記光ノードに送信し、前記第1の光ノードは、前記波長多重信号のパワーレベルを前記波長毎に変更する光制御部を備え、前記第2の光ノードは、前記第1の光ノードから送信された前記波長多重信号のパワーレベルを前記波長毎にモニタすることによって、前記波長毎の光信号のパワーレベル値を取得する光監視部と、前記取得された波長毎の光信号のパワーレベル値と、所定の上限値及び下限値とを比較する比較演算部と、前記比較の結果に基づいて、前記波長毎の光信号のパワーレベルの目標値を生成する目標値算出部とを備え、前記目標値算出部は、前記光監視部から取得された波長毎の光信号のパワーレベル値に基づいて、前記波長多重信号のパワーレベルの中心値を求め、前記比較演算部による比較の結果、前記取得された波長毎のパワーレベル値が前記所定の上限値を上回る場合、前記中心値と前記所定の上限値との間の第1の値を、当該波長のパワーレベルの目標値とし、前記比較演算部による比較の結果、前記取得された波長毎のパワーレベル値が前記所定の下限値を下回る場合、前記中心値と前記所定の下限値との間の第2の値を、当該波長のパワーレベルの目標値とし、前記第2の光ノードの第2の前記制御信号送受信部は、前記算出された目標値を含む第1の制御信号を、前記第1の光ノードの第1の前記制御信号送受信部に送信し、前記第1の光ノードの光制御部は、第2の前記制御信号送受信部によって送信された第1の制御信号に含まれる目標値にしたがって、前記波長多重信号のパワーレベルを波長毎に変更する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態によると、高価なOSNRモニタを用いることなく、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の第1の実施形態のポイントツーポイントの光ネットワークの物理的構成を示すブロック図である。
【図1B】本発明の第1の実施形態のスター型ネットワークの物理的構成を示すブロック図である。
【図1C】本発明の第1の実施形態のリング型ネットワークの物理的構成を示すブロック図である。
【図1D】本発明の第1の実施形態のメッシュ型ネットワークの物理的構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明の第1の実施形態の光ネットワークの末端に接続される光ノードの物理的な構成を示すブロック図である。
【図2B】本発明の第1の実施形態の光ノードがOADM装置である場合の光ノードの物理的構成を示すブロック図である。
【図2C】本発明の第1の実施形態の他の光ノードの物理的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のパワーレベルモニタによるプリエンファシス制御を行う波長多重伝送システムの基本的な構成を示すブロック図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御が行われない場合の各光増幅器における入出力スペクトルを示す説明図である。
【図4B】本発明の第1の実施形態のモニタノードにおける信号光パワーが均一となるように、プリエンファシス制御が行われた場合の各光増幅器における入出力スペクトルを示す説明図である。
【図4C】本発明の第1の実施形態のモニタノードにおけるOSNRが均一となるように、プリエンファシス制御が行われた場合の各光増幅器4における入出力スペクトルを示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の信号光パワー、雑音光パワー及びOSNRのチャネル間偏差量を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のパワーレベルモニタによるプリエンファシス制御の問題点を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のパワーレベルモニタによるプリエンファシス制御を行う波長多重伝送システムの構成を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態のch毎パワーモニタ値とch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態のch毎パワーモニタ値と固定値であるch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【図10A】本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御前のモニタノードにおけるch毎パワーモニタ値とch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【図10B】本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御後のコントロールノードにおける光信号パワーを示す説明図である。
【図10C】本発明の第1の実施形態のモニタノードにおけるプリエンファシス制御前後のOSNR偏差量を示す説明図である。
【図11A】本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御前のモニタノードにおけるch毎パワーモニタ値とch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【図11B】本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御後のコントロールノードにおける光信号パワーを示す説明図である。
【図11C】本発明の第1の実施形態のモニタノードにおけるプリエンファシス制御前後のOSNR偏差量を示す説明図である。
【図12A】本発明の第1の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±0.0dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図12B】本発明の第1の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±0.5dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図12C】本発明の第1の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±1.0dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図12D】本発明の第1の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±1.5dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図12E】本発明の第1の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±2.0dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図13A】本発明の第2の実施形態のch毎制御ターゲット値の算出方法を示す説明図である。
【図13B】本発明の第2の実施形態のch毎パワーモニタ値に基づいて制御ターゲット値を算出する方法を示す説明図である。
【図14A】本発明の第2の実施形態のプリエンファシス制御前のモニタノードにおけるch毎パワーモニタ値とch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。。
【図14B】本発明の第2の実施形態のプリエンファシス制御後のコントロールノードにおける光信号パワーを示す説明図である。
【図14C】本発明の第2の実施形態のモニタノードにおけるプリエンファシス制御前後のOSNR偏差量を示す説明図である。
【図15A】本発明の第2の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±0.0dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図15B】本発明の第2の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±0.5dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図15C】本発明の第2の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±1.0dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図15D】本発明の第2の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±1.5dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【図15E】本発明の第2の実施形態の光増幅器の利得偏差量が±2.0dBである場合の、光増幅器におけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態を図面を用いて説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1から図12を用いて説明する。
【0025】
図1A〜図1Dは、本発明の第1の実施形態のネットワーク構成を示すブロック図である。
【0026】
図1Aは、本発明の第1の実施形態のポイントツーポイントの光ネットワークの物理的構成を示すブロック図である。
【0027】
図1Aのポイントツーポイントの光ネットワークは、複数の光ノード101と、各光ノード101を1対1によって接続する複数の光ファイバ102とを備える。図1Aには図示されないが、各光ノード101は、ルーター等の通信機器を備える光伝送装置である。このため、遠隔地に配置された二つの光ノード101は、図1Aの光ネットワークに接続されることによって、相互に通信することできる。
【0028】
図1Aの光ネットワークの両端に配置される各光ノード101は、光ネットワークの外部から受信した複数の電気信号を複数の光信号に変換し、変換された複数の光信号を光ネットワークに送信する。また、光ネットワークから受信した複数の光信号を、複数の電気信号に変換し、変換された複数の電気信号を光ネットワークの外部に送信する。
【0029】
このため、図1Aの光ネットワークの末端と末端との間に配置される複数の光ノード101は、複数の異なる波長の信号を合分波して送受信する波長多重(WDM)装置、又は、光信号の挿入(アド)及び分波(ドロップ)を可能とする光アド・ドロップ(OADM:Optical Add Drop Multiplexer)である。
【0030】
図1Bは、本発明の第1の実施形態のスター型ネットワークの物理的構成を示すブロック図である。
【0031】
図1Bのスター型ネットワークには、三つ以上の他の光ノード101に接続される光ノード101が備わる。各光ノード101は、光ファイバ102によって接続される。
【0032】
図1Cは、本発明の第1の実施形態のリング型ネットワークの物理的構成を示すブロック図である。
【0033】
図1Cのリング型ネットワークは、複数の光ノード101と複数の光ファイバ102とが、輪のように接続されるネットワークである。
【0034】
図1B及び図1Cの各光ノード101は、WDM装置又はOADM装置を備える。
【0035】
図1Dは、本発明の第1の実施形態のメッシュ型ネットワークの物理的構成を示すブロック図である。
【0036】
図1Dの各光ノード101は、WDM装置、OADM装置、又は、光クロスコネクト装置である。
【0037】
図2A〜図2Cは、本発明の第1の実施形態の光ノード101の物理的な構成を示すブロック図である。
【0038】
図2Aは、本発明の第1の実施形態の光ネットワークの末端に接続される光ノード101の物理的な構成を示すブロック図である。
【0039】
図1Aに示す光ネットワークの末端に接続される光ノード101(端局ノード)の送信側は、複数の光送信機103、光合波器104、及び光増幅器105を備える。各光ノード101に備わる複数の光送信機103は、複数の光信号を出力し、出力された光信号は、一つの光合波器104によって波長多重される。波長多重された光信号(波長多重信号)は、光増幅器105によって増幅され、光ファイバ102に送信される。
【0040】
また、端局ノードの受信側は、光増幅器105、光分波器106、及び、複数の光受信機107を備える。光ファイバ102から送信された波長多重信号は、光増幅器105によって増幅される。そして、増幅された波長多重信号は、光分波器106によって波長毎に分波された後、光受信機107に送信される。
【0041】
図2Bは、本発明の第1の実施形態の光ノード101がOADM装置である場合の光ノード101の物理的構成を示すブロック図である。
【0042】
光ノード101がOADM装置である場合、光ノード101は、光ファイバ102から波長多重信号を受信し、受信した波長多重信号を処理した後、処理後の波長多重信号を他の光ファイバ102へ送信する。
【0043】
図2Bに示す光ノード101は、図1A〜図1Cに示す、二つ以上の光ファイバ102によって接続される光ノード101である。
【0044】
図2Bの光ノード101は、光合波器104によって、光ファイバ102から送信された波長多重信号に、光送信機103から送信された光信号を挿入(アド)する。そして、光信号を挿入された波長多重信号を、光増幅器105によって増幅し、その後、隣接する光ノード101に光ファイバ102を介して送信する。
【0045】
また、図2Bの光ノード101は、光ファイバ102から送信された波長多重信号を光増幅器105によって増幅する。その後、増幅された波長多重信号を、隣接する光ノード101に備わる光合波器104へ送信する波長多重信号と、その他の波長多重信号とに、光分波器106によって分波(ドロップ)する。そして、分波された波長多重信号を、隣接する光ノード101の光合波器104へ送信する。
【0046】
なお、図2Bの光ノード101(OADM装置)は、光合波器104、及び、光分波器106にスイッチング機能が追加されることによって、挿入又は分波する波長チャネルを、遠隔から変更するROADM(Reconfigurable−OADM)装置の機能を備えてもよい。
【0047】
図2Cは、本発明の第1の実施形態の他の光ノード101の物理的構成を示すブロック図である。
【0048】
図2Cの光ノード101は、光中継ノードであり、図1A〜図1Cに示す、二つ以上の光ファイバ102によって接続される光ノード101である。光中継ノードは、光ファイバ102から送信された波長多重信号を光増幅器105によって増幅し、増幅された波長多重信号を他の光ファイバ102へ送信する。
【0049】
図3は、本発明の第1の実施形態のパワーレベルモニタによるプリエンファシス制御を行う波長多重伝送システムの基本的な構成を示すブロック図である。
【0050】
本実施形態のパワーレベルモニタによるプリエンファシス制御とは、OSNRモニタを用いないプリエンファシス制御という意味である。本実施形態のプリエンファシス制御を行うシステムには、コントロールノード101c及びモニタノード101mが備わる。コントロールノード101c及びモニタノード101mは、光ノード101である。
【0051】
光ノード101は、CPU等のプロセッサ、メモリ、補助記憶装置、及び、入出力装置等を備える。各光ノード101は、各機能をプロセッサによって実行し、データ又はプログラムを、メモリに展開する。
【0052】
コントロールノード101cには、プリエンファシス制御を行うため、チャネル毎に光信号のパワーレベルを変更するための機能が備わる。モニタノード101mには、プリエンファシス制御を行うため、チャネル毎に光信号のパワーレベルをモニタするための機能が備わる。
【0053】
コントロールノード101cは、光分波器1、複数のch毎可変光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)2、光合波器3、光増幅器4#1、監視制御信号送受信機9、及び、ch毎可変光減衰器制御回路12を備える。
【0054】
光分波器1は、図2A及び図2Bの光分波器106と同じである。光合波器3は、図2A及び図2Bの光分波器106と同じである。光増幅器4は、図2A〜図2Cの光増幅器105と同じである。
【0055】
ch毎可変光減衰器2は、光分波器1によって波長毎に分波された各光信号を、一定のパワーレベルになるように制御する。監視制御信号送受信機9は、モニタノード101mから送信された制御信号を受信し、受信した制御信号をch毎可変光減衰器制御回路12に送信する。
【0056】
監視制御信号送受信機9は、コントロールノード101c、モニタノード101m、及び、コントロールノード101cとモニタノード101mとの間の光ノード101に備わる機能である。監視制御信号送受信機9は、監視制御信号送受信機9間で、制御信号を送受信するための機能である。
【0057】
ch毎可変光減衰器制御回路12は、受信した制御信号にしたがって、各波長の光信号のパワーレベルの目標値を、ch毎可変光減衰器2に保持させる。これによってch毎可変光減衰器2は、各波長の光信号を、パワーレベルの目標値にしたがって制御する。
【0058】
例えば、波長数(すなわち、チャネル数)がk個である波長多重信号が、コントロールノード101cに送信された場合、光分波器1は、送信された波長多重信号を、波長毎の光信号に分波する。そして、ch毎可変光減衰器2は、分波された各波長の光信号のパワーレベルを変更し、パワーレベルを変更された光信号を光合波器3に送信する。
【0059】
光合波器3は、送信された各光信号を波長多重信号に合波する。合波された波長多重信号は、光増幅器4#1によって増幅された後、光ファイバ102に送信される。
【0060】
コントロールノード101cとモニタノード101mとの間のネットワークには、光ノード101が(M−2)台配置される。そして、各光ノード101には、光増幅器4(光増幅器4#2〜4#M−1)が備わる。
【0061】
コントロールノード101cからモニタノード101mまでの間に、光増幅器4(光増幅器4#1〜4#M)は、コントロールノード101c及びモニタノード101mに備わる光増幅器4を含め、M台配置される。各光増幅器4の利得にチャネル間偏差(利得の波長依存性)が存在する場合、モニタノード101mに送信された波長多重信号には、OSNRのチャネル間偏差が生じる。
【0062】
モニタノード101mは、光増幅器4#M、光カプラ5、光分波器6、複数のフォトダイオード(PD)7、可変光減衰器制御量演算回路8、及び、監視制御信号送受信機9を備える。光カプラ5は、モニタノード101mに送信された波長多重信号を分岐する装置である。
【0063】
モニタノード101mに備わる光分波器6は、コントロールノード101cに備わる光分波器1と同じである。PD7は、光分波器6から分波される光信号を波長毎に受信し、受信した光信号のパワーレベルを測定する装置である。
【0064】
可変光減衰器制御量演算回路8は、プリエンファシス制御を行うためのch毎可変光減衰器制御量54を算出するための機能であり、比較演算器53を備える。比較演算器53は、PD7によって測定されたパワーレベルの値に基づいて、ch毎可変光減衰器制御量54を算出する。ch毎可変光減衰器制御量54は、コントロールノード101cのch毎可変光減衰器2によって光信号が制御されるべきパワーレベルを示す値である。
【0065】
モニタノード101mに備わる監視制御信号送受信機9は、コントロールノード101cに備わる監視制御信号送受信機9と同じ機能を持つ。また、モニタノード101mに備わる監視制御信号送受信機9は、比較演算器53によって算出されたch毎可変光減衰器制御量54を制御信号に含め、ch毎可変光減衰器制御量54を含む制御信号を、監視制御信号伝送路10を介してコントロールノード101cに送信する。
【0066】
モニタノード101mに波長多重信号が送信されると、波長多重信号は、光増幅器4#Mによって増幅された後、一部が光カプラ5によって分岐される。そして、分岐された波長多重信号は、光分波器6に送信され、光分波器6によって波長毎の光信号に分波される。光分波器6は、分波された光信号を、波長毎に配置されたフォトダイオード(PD)7に送信する。
【0067】
PD7は、送信された各光信号のパワーレベルを測定し、波長毎の測定結果として、ch毎パワーモニタ値51を取得する。そして、取得された各ch毎パワーモニタ値51を、可変光減衰器制御量演算回路8の比較演算器53に送信する。可変光減衰器制御量演算回路8において、比較演算器53は、各ch毎パワーモニタ値51とch毎制御ターゲット値52とを比較演算し、ch毎可変光減衰器制御量54を算出する。
【0068】
ch毎制御ターゲット値52は、管理者等によってあらかじめ定められた値であり、モニタノード101mのメモリ等に保持される値である。ch毎制御ターゲット値52は、波長毎に異なる値が定められてもよいし、全ての波長において同じ値が定められてもよい。
【0069】
比較演算器によって算出されたch毎可変光減衰器制御量54は、監視制御信号送受信機9に送信される。そして、他の制御信号と多重された後、監視制御信号伝送路10を介して、コントロールノード101cの監視制御信号送受信機9に送信される。
【0070】
コントロールノード101cにおいて、モニタノード101mの監視制御信号送受信機9によって送信された制御信号から、ch毎可変光減衰器制御量54が抽出される。抽出されたch毎可変光減衰器制御量54は、ch毎可変光減衰器制御回路12に送信される。
【0071】
ch毎可変光減衰器制御回路12は、受信したch毎可変光減衰器制御量にしたがって、ch毎可変光減衰器2の減衰量を制御し、ch毎可変光減衰器2が保持するパワーレベルの目標値を変更する。これによって、本実施形態のプリエンファシス制御が行われる。
【0072】
図4A〜図4Cは、パワーモニタによるプリエンファシス制御を用いた場合と、パワーモニタによるプリエンファシス制御を用いない場合との、各光増幅器4における入出力スペクトルを示す説明図である。図4A〜図4Cの横軸に示すチャネル番号は、短波長側から順に、ch1、ch2、・・・、ch8によって示される。ch1が最短波長であり、ch8が最長波長である。
【0073】
図4Aは、本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御が行われない場合の各光増幅器4における入出力スペクトルを示す説明図である。
【0074】
図4Aは、図3に示す波長多重伝送システムにおいてプリエンファシス制御が行われず、光増幅器4#1への入力点における各光信号のパワーレベルが均一となるように、ch毎可変光減衰器2の減衰量を制御した場合の、各光増幅器4の入出力スペクトルを示す。ここで、光増幅器4の利得は波長依存性を有するものとする。すなわち、図4A〜図4Cにおいて、光増幅器4は、短波長において利得が小となり、長波長において利得が大となる利得偏差を有する場合を示す。
【0075】
この光増幅器4が有する波長間の利得偏差によって、図4Aに示すとおり、光増幅器4#1の出力点において、長波長における光信号のパワーレベルが、入力点における光信号のパワーレベルよりも大きくなり、短波長における光信号のパワーレベルが、入力点における光信号のパワーレベルよりも小さくなる。すなわち、光増幅器4による処理によって、光信号のパワーレベルに、チャネル間偏差が生じる。
【0076】
チャネル間偏差は、波長多重信号が通過する光増幅器4の接続段数とともに累積し、増大する。図4Aに示す光増幅器4#2の出力点におけるチャネル間偏差は、光増幅器4#1の出力点におけるチャネル間偏差よりも大きく、また、光増幅器4#Mの出力点におけるチャネル間偏差は、光増幅器4#2の出力点におけるチャネル間偏差よりも大きい。
【0077】
さらに、信号光パワーにチャネル間偏差が生じると同時に、雑音光パワーにもチャネル間偏差が生じる。
【0078】
図4Bは、本発明の第1の実施形態のモニタノード101mにおける信号光パワーが均一となるように、プリエンファシス制御が行われた場合の各光増幅器4における入出力スペクトルを示す説明図である。
【0079】
図4Bにおいて、プリエンファシス制御が行われない場合の光増幅器4#Mの出力点におけるチャネル間偏差を相殺するように、ch毎可変光減衰器2の減衰量が制御される。このため、光増幅器4#1において、短波長の光信号のパワーレベルは大きく、長波長の光信号のパワーレベルは小さい。
【0080】
そして、信号光パワーのチャネル間偏差量は、光増幅器4を通過する度に縮小され、光増幅器4#Mにおいて、期待通りゼロとなる。そして、信号光パワーのパワーレベルは、光増幅器4#Mにおいて、平坦な特性となる。
【0081】
しかしながら、ch毎可変光減衰器2においてパワーレベルが変更されても、雑音光パワーのチャネル間偏差((M+1)・ΔdB)は変化しない。したがって、信号光パワーが均一になるようにプリエンファシス制御を実施した場合においても、OSNR偏差は発生する。
【0082】
ここで、図4Aに示す光増幅器4#Mにおいて、最短波長のOSNRが最小であり、図4Bに示す光増幅器4#Mにおいて、最長波長のOSNRが最小である。したがって、図4Aの条件と図4Bの条件の中間に、均一なOSNRが得られるプリエンファシス条件が存在することになる。
【0083】
図4Cは、本発明の第1の実施形態のモニタノード101mにおけるOSNRが均一となるように、プリエンファシス制御が行われた場合の各光増幅器4における入出力スペクトルを示す説明図である。
【0084】
図4Cの場合、信号光パワーのチャネル間偏差量と雑音光パワーのチャネル間偏差量とが等しくなるため、OSNRのチャネル間偏差量がゼロとなる。
【0085】
図4Cに示すプリエンファシス制御は、前述の通り、従来のプリエンファシス技術でも実現可能である。すなわち、モニタノード101mにおいてOSNR値がモニタされ、各チャネルのOSNRが均一となるように、上流(すなわち、コントロールノード101c)の光レベル調整機能(すなわち、ch毎可変光減衰器2)がフィードバック制御されることによって、実現される。
【0086】
しかし、以下に説明するように、OSNRをモニタすることなく、光信号のパワーレベルのみを測定し、測定されたパワーレベルにしたがって上流の光レベル調整機能をフィードバック制御する、自動レベル調整制御(ALC:Automatic Level Control)によっても、チャネル間で均一なOSNRを取得することができる。
【0087】
以下に、光信号のパワーレベルに基づいて、OSNRの偏差量を算出する方法を示す。
【0088】
本実施形態において、信号光及び雑音光のパワーレベルを定量的に見積もるため、以下の簡略化したモデルが適用される。具体的には本実施形態において、チャネル間偏差量は、各光増幅器4において等しく、ある基準波長に対する1台の光増幅器4あたりの最長波長及び最短波長の利得偏差量は、±Δ(dB)である。
【0089】
また、チャネル間偏差量を、リニア領域においてδによって示す。δとΔとは、10×Log10(δ)=Δを満たす関係にあり、Log10()は10を底とする対数を示す。基準波長の利得をリニア領域においてGによって示す。これらの、基準波長の利得Gとリニア領域のチャネル間偏差量δとを用いることによって、最長波長の利得はG・δによって示され、最短波長の利得はG/δによって示される。
【0090】
また、各光増幅器4において生じる雑音光は、波長の利得に比例するものとする。すなわち、最長波長の光雑音発生量はG・N・δによって示され、最短波長の光雑音発生量はG・N/δによって示される。ここで、Nは利得あたりの光雑音発生量を示す係数とする。
【0091】
スパン損失Lは、波長によらず一定とし、基準波長の利得Gはスパン損失Lを打ち消すように、G・L=1と定義される。
【0092】
前述の計算モデルに基づいて、光増幅器4#1の入力点において、各波長のパワーレベルが等しい光信号を、光増幅器4#1に入力した場合、光増幅器4#1の出力点における信号光パワーと雑音光パワーとを含むパワーレベル(リニア領域)は、以下の式によって求められる。なお、光増幅器4#1の入力点における光信号のパワーレベルを、Pと示す。
【0093】
いずれの式も右辺第1項が信号光を示し、右辺第2項が雑音光を示し、右辺第1項と右辺第2項との比がOSNRを示す。
【0094】
最短波長の出力=G・P/δ+G・N/δ ・・・(1)
最長波長の出力=G・P・δ+G・N・δ ・・・(2)
また、光増幅器4#2の出力は、G・L=1を用いて整理すると、以下の式によって示される。
【0095】
最短波長の出力=G・P/δ^2+G・N・(δ^−2+δ^−1)・・・(3)
最長波長の出力=G・P・δ^2+G・N・(δ^2+δ) ・・・(4)
ここで、「δ^2」は「δの2乗」を示し、「δ^−2」は「δの−2乗」を示し、「δ^−1」は「δの−1乗」を示す。
【0096】
また、光増幅器4#Mの出力は、以下の式によって示される。
【0097】
最短波長の出力=(G・P/δ^M)+G・N・(δ^−M+δ^−(M−1)+・・・+δ^−1)・・・(5)
最長波長の出力=(G・P・δ^M)+G・N・(δ^M+δ^(M−1)+・・・+δ^1)・・・(6)
ここで、「δ^M」は「δのM乗」を示し、「δ^−M」は「δの−M乗」を示し、「δ^(M−1)」は「δの(M−1)乗」を示し、「δ^−(M−1)」は「δの−(M−1)乗」を示し、「δ^−1」は「δの−1乗」を示す。
【0098】
これらの関係によって、最長波長と最短波長との信号光パワー(右辺第1項)の比を算出することによって、信号光パワーのチャネル間偏差量が取得される。また、最長波長と最短波長との雑音光パワー(右辺第2項)の比を算出することによって、雑音光パワーのチャネル間偏差量が取得される。さらに、最長波長と最短波長とのOSNR(右辺第1項と右辺第2項の比)の比を算出することによって、OSNRのチャネル間偏差量が取得される。これらの関係を図5に示す。
【0099】
図5は、本発明の第1の実施形態の信号光パワー、雑音光パワー及びOSNRのチャネル間偏差量を示す説明図である。
【0100】
図5に示す通り、光増幅器4#Mの出力における、各チャネル間偏差量は以下のようになる。
【0101】
信号光パワーチャネル間偏差量=2・M・Δ (dB) ・・・(7)
雑音光パワーチャネル間偏差量=(M+1)・Δ (dB) ・・・(8)
OSNRチャネル間偏差量 =(M−1)・Δ (dB) ・・・(9)
これらの式によれば、光増幅器4の利得のチャネル間偏差量が±ΔdBである場合、光増幅器4#Mの出力点において、光信号には、信号光パワーのチャネル間偏差量(2・M・Δ)、及び、雑音光パワーのチャネル間偏差量((M+1)・Δ)が生じる。また、信号光パワーのチャネル間偏差量と雑音光パワーのチャネル間偏差量とが異なるため、OSNRにもチャネル間偏差量((M−1)・ΔdB)が発生する。
【0102】
前述のとおり、信号光パワーのチャネル間偏差量と雑音光パワーのチャネル間偏差量とが等しい値((M+1)・ΔdB)となる場合、OSNRが均一となる。
【0103】
すなわち、モニタノード101mが、光増幅器4#Mの出力点の信号光パワーのターゲット値(ch毎可変光減衰器制御量54に相当)として、そのチャネル間偏差量が(M+1)・ΔdBとなるターゲット値を選択する。これによって、プリエンファシス制御後、光増幅器4#Mの出力点の信号光パワーのチャネル間偏差量が、図4Cのとおり、雑音光パワーのチャネル間偏差量と等しい値((M+1)・ΔdB)となる。その結果、信号光パワーと雑音光パワーとの二つの値の差である、チャネル間のOSNR偏差量をゼロとすることが可能となる。
【0104】
したがって、本実施形態のモニタノード101mは、光増幅器4#Mのチャネル間利得偏差量(±Δ)、光増幅器4の接続段数(M)、及び、その他の伝送装置の特性パラメータをあらかじめ取得しておき、前述のモデルを用いた計算と同様の手順によって、均一なOSNRとなるような条件を満たす光信号のパワーレベル(ターゲット値)を算出する。
【0105】
そして、あらかじめ算出されたターゲット値(以下、プリプランターゲット値と称する)を、図3のモニタノード101mの可変光減衰器制御量演算回路8のch毎制御ターゲット値52に格納する。そして、比較演算器53は、ch毎パワーモニタ値51とch毎制御ターゲット値52とに基づいて、ch毎可変光減衰器制御量54を算出する。さらに、算出されたch毎可変光減衰器制御量54によってコントロールノード101cのch毎可変光減衰器2が制御(プリエンファシス制御)されることによって、チャネル間のOSNR偏差量をゼロとすることが可能である。
【0106】
図5に示す計算モデルは、チャネル間のOSNR偏差の発生要因が、光増幅器4の利得偏差量(±Δ)と光増幅器4の接続段数Mとのみであると仮定することによって求められた。しかし、それ以外の要因がOSNR偏差の発生要因である場合も、チャネル間のOSNR偏差量をゼロとすることが可能である。
【0107】
具体的には、OSNRを決定する要因である光ノード101の特性パラメータ(例えば、光送信機103から出力される光信号の強度、光中継ノードの増幅利得、光合波器104及び光分波器106等の光学損失、並びに、光中継ノードにおいて発生する光雑音強度等)、光ノード101間の光ファイバ102におけるファイバ損失(スパン損失)、及び、光中継ノードの数等が、OSNR偏差の発生要因である場合も、これらの値を考慮してプリプランターゲット値を算出することによって、チャネル間のOSNR偏差量をゼロとすることが可能である。
【0108】
しかし、プリプランターゲット値は、光ノード101又は光ファイバ102の特性パラメータがある特定の条件である場合において、算出された値である。このため、例えば、経年変化及び/又はファイバ損失が変化した場合など、光ノード101又は光ファイバ102の特性パラメータが想定値から変化した場合には、その変化に伴い、チャネル間のOSNR偏差量がゼロとならない可能性がある。この結果、期待されるチャネル間のOSNR偏差を抑制する効果が得られないという課題が生じる。
【0109】
このような、期待されるチャネル間のOSNR偏差の抑制効果が得られないという課題を解決するため、本実施形態のプリエンファシス制御を行うシステムは、光ノード101又は光ファイバ102の特性パラメータを定期的にモニタし、プリプランターゲット値を定期的に更新する必要がある。さらに、プリプランターゲット値は、波長多重信号の波長数や、波長の配置に依存して更新する必要がある。
【0110】
図6は、本発明の第1の実施形態のパワーレベルモニタによるプリエンファシス制御の問題点を示す説明図である。
【0111】
図6において、プリプランターゲット値はあらかじめ、波長多重信号の全チャネルの光信号が存在する条件において算出されている。チャネル1に対応するプリプランターゲット値を、ch1プリプランターゲット値、チャネル2に対応するプリプランターゲット値を、ch2プリプランターゲット値とする。
【0112】
また、図6において、波長多重信号の波長数を2波長(2チャネル)とし、2波長共に短波長側に偏在している。
【0113】
まず、コントロールノード101cのch毎可変光減衰器制御回路12は、チャネル1及びチャネル2の光信号がch毎可変光減衰器2から出力される際の信号光パワーを、中心値Pcになるように、ch毎可変光減衰器2の減衰量を制御する。そして、光増幅器4#Mの出力点において、チャネル1及びチャネル2の光信号には、光増幅器4#1〜光増幅器4#Mの利得偏差によって、信号光パワーのチャネル間偏差が発生する。
【0114】
ここで光増幅器4#Mの出力点におけるチャネル1の信号光パワーとch1プリプランターゲット値との差、及び、チャネル2の信号光パワーとch2プリプランターゲット値との差を、それぞれΔ1及びΔ2と記載する。モニタノード101mは、このΔ1及びΔ2をコントロールノード101cへフィードバックし、コントロールノード101cのch毎可変光減衰器制御回路12は、Δ1及びΔ2を用いてch毎可変光減衰器2に第1回目のプリエンファシス制御(ALC制御)を実行させる。
【0115】
具体的には、光増幅器4#Mの出力点における信号光パワーのパワーレベルが、チャネル1及び2において、それぞれΔ1及びΔ2だけ、プリプランターゲット値よりも過剰であると判定されたため、ch毎可変光減衰器制御回路12は、ch毎可変光減衰器2から出力される信号光パワーが、中心値Pc(図6に示す破線)から、Δ1及びΔ2だけ減少した値になるように、ch毎可変光減衰器2を制御する(プリエンファシス制御)。
【0116】
ここで、一般的な光増幅器4には、すべての出力パワー(トータル出力パワー)を一定に保つよう制御(トータル出力パワー一定制御)する機能が備わる。
【0117】
本実施形態において、光増幅器4のトータル出力パワーの目標値=波長数×中心値Pcとした場合、光増幅器4#1は、トータル出力パワーを一定に保つようにパワーレベルを制御する。その結果、光増幅器4#1の出力点において、チャネル1及びチャネル2の信号光パワーは、中心値Pc付近にまで回復される。すなわち、チャネル1及びチャネル2の光信号は、光増幅器4#1によって、チャネル1及びチャネル2の光信号の信号光パワーの平均が中心値Pcとなるように、信号光パワーが増幅される。
【0118】
そして、プリプランターゲット値を用いたプリエンファシス制御によって、光増幅器4#Mの出力点において、チャネル1及びチャネル2の信号光パワーの偏差量と、チャネル1及びチャネル2のプリプランターゲット値の偏差量は、同じ量となる。しかし、チャネル1及びチャネル2の信号光パワーは、光増幅器4#1〜光増幅器4#Mのトータル出力パワー一定制御によって、中心値Pc近傍の値となるため、プリプランターゲット値よりも一定の差(=Δc)だけ大きい値となる。ここで、Δcは、中心値Pcとチャネル1及びチャネル2の信号光パワーの差である。
【0119】
次に、モニタノード101mは、このΔcの値をコントロールノード101cへフェードバックし、コントロールノード101cのch毎可変光減衰器制御回路12は、Δcの値を用いてch毎可変光減衰器2に第2回目のプリエンファシス制御を実行させる。
【0120】
第2回目のプリエンファシス制御の結果、ch毎可変光減衰器2の出力点において、チャネル1及びチャネル2の信号光パワーは、第1回目のプリエンファシス制御の結果よりも、Δcだけ低い値になる。一方、光増幅器4#1のトータル出力パワー一定制御が作用した結果、光増幅器4#1の出力点では、チャネル1及びチャネル2の信号光パワーは、中心値Pc付近にまで、再び、回復する。そして、光増幅器4#Mの出力点において、再び、プリプランターゲット値よりも一定の差Δcだけ大きい値となる。
【0121】
以降、プリエンファシス制御が実行される毎に、ch毎可変光減衰器2から出力される信号光パワーが、Δc減少するように制御される。このため、プリエンファシス制御を繰り返した場合、ch毎可変光減衰器2の減衰量が最大値に達するまで、出力される信号光パワーが減少方向に制御され続け、この結果、OSNRは、著しく悪化することになる。
【0122】
このため、波長多重信号の全チャネルの光信号が存在する条件において算出されたプリプランターゲット値は、波長数及び波長配置が異なった条件、例えば、図6に示すように光信号が短波長に偏在している条件、などにおいて適さない。このため、プリプランターゲット値によるプリエンファシス制御において、波長多重信号の波長数、又は、波長の配置に依存して、プリプランターゲット値を変更する必要がある。
【0123】
本実施形態は、前述の問題を解決するため、波長数若しくは波長配置、又は、光ノード101若しくは光ファイバ102の特性パラメータの変動に依存しない、安定性及び信頼性の高いプリエンファシス制御を提供する。
【0124】
図7は、本発明の第1の実施形態のパワーレベルモニタによるプリエンファシス制御を行う波長多重伝送システムの構成を示す図である。
【0125】
図7のコントロールノード101c及び光ノード101は、図3のコントロールノード101c及び光ノード101と同じである。また、図7のモニタノード101mに備わる光増幅器4#M、光カプラ5、光分波器6、フォトダイオード(PD)7、及び、監視制御信号送受信機9は、図3のモニタノード101mに備わる光増幅器4#M、光カプラ5、光分波器6、フォトダイオード(PD)7、及び、監視制御信号送受信機9と同じである。
【0126】
図7の可変光減衰器制御量演算回路8は、比較演算器23、制御ターゲット値生成部24、及び、比較演算器25を備える。
【0127】
PD7によって取得されたch毎パワーモニタ値21は、可変光減衰器制御量演算回路8に入力される。可変光減衰器制御量演算回路8において、比較演算器23は、ch毎パワーモニタ値21と、あらかじめ定められた制御しきい値22を各々比較演算する。
【0128】
制御しきい値22は、あらかじめ管理者等がモニタノード101mに備わる入出力装置等を用いてモニタノード101mに入力した値である。モニタノード101mは、メモリ又は補助記憶装置等に、制御しきい値22を保持する。
【0129】
比較の結果、制御しきい値22よりch毎パワーモニタ値21が大きいと判定された場合、制御ターゲット値生成部24は、ch毎パワーモニタ値21からch毎制御ターゲット値を算出する。制御ターゲット値生成部24は、ch毎パワーモニタ値21を引数として、ch毎制御ターゲット値を算出するための関数を保持する。
【0130】
比較演算器25は、制御ターゲット値生成部24によって算出されたch毎制御ターゲット値と、PD7によって取得されたch毎パワーモニタ値21とを比較演算し、ch毎可変光減衰器制御量26を算出する。算出されたch毎可変光減衰器制御量26は、監視制御信号送受信機9に送信され、他の制御信号と多重された後、監視制御信号伝送路10を介して、コントロールノード101cの監視制御信号送受信機9に送信される。
【0131】
コントロールノード101cの監視制御信号送受信機は、受信した信号から、ch毎可変光減衰器制御量26を抽出し、抽出されたch毎可変光減衰器制御量26をch毎可変光減衰器制御回路12に送信する。ch毎可変光減衰器制御回路12は、受信したch毎可変光減衰器制御量26にしたがって、ch毎可変光減衰器2の減衰量を制御する。これによって、ch毎可変光減衰器制御回路12は、ch毎可変光減衰器2から出力されるパワーレベルをプリエンファシス制御する。
【0132】
比較演算器23によって、ch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22の上限(上側)よりも大きいと判定された場合、又は、制御しきい値22の下限(下側)よりも小さいと判定された場合、制御ターゲット値生成部24が、ch毎パワーモニタ値21に基づいてch毎制御ターゲット値を算出する手順を以下に述べる。
【0133】
図8は、本発明の第1の実施形態のch毎パワーモニタ値21とch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【0134】
図8には、モニタノード101mにおけるch毎パワーモニタ値21(図8に示す黒丸)、制御しきい値(上側及び下側のしきい値を含む)22、及び、ch毎制御ターゲット値(図8に示す白丸)を示す。また、制御しきい値(上側)と制御しきい値(下側)との間に中心値Pcを示す。ここで、中心値Pcとは、後述する任意の値である。
【0135】
図8において、ch(k−1)及びch(k)の二つのチャネルのch毎パワーモニタ値21が、制御しきい値(上側)を上回る。このため、ch(k−1)及びch(k)の光信号が、本実施形態のプリエンファシス制御の対象であり、ch(k−1)及びch(k)の光信号に対応する、ch毎制御ターゲット値が、制御ターゲット値生成部24によって算出される。算出されるch毎制御ターゲット値は、制御しきい値(上側)と中心値Pcとの間の値に定められる。
【0136】
また、図8において、ch1及びch2の二つのチャネルのch毎パワーモニタ値21が、制御しきい値(下側)を下回る。このため、ch1及びch2の光信号が、本実施形態のプリエンファシス制御の対象であり、ch1及びch2の光信号に対応する、ch毎制御ターゲット値が、制御ターゲット値生成部24によって算出される。算出されるch毎制御ターゲット値は、制御しきい値(下側)と中心値Pcとの間の値に定められる。
【0137】
ch3からch(k−2)のch毎パワーモニタ値21は、制御しきい値(下側)と制御しきい値(上側)との間の値であり、制御しきい値の範囲内(下側の制御しきい値と上側の制御しきい値との間)である。このため、ch3からch(k−2)の光信号は、本実施形態のプリエンファシス制御の制御対象外である。そして、ch3からch(k−2)の光信号に対応するch毎制御ターゲット値は、算出されない。
【0138】
このように、本実施形態の制御ターゲット値生成部24は、ch毎パワーモニタ値21が制御しきい値(上側)を上回るチャネルの光信号に、制御しきい値(上側)と中心値Pcとの間に含まれる新しいch毎制御ターゲット値を算出する。また、ch毎パワーモニタ値21が制御しきい値(下側)を下回るチャネルの光信号に、制御しきい値(下側)と中心値Pcの間に含まれる新しいch毎制御ターゲット値を算出する。
【0139】
一方、図5に示すとおり、光増幅器4#Mにおける雑音光パワーのチャネル間偏差量は、(M+1)・Δである。信号光パワーのチャネル間偏差量と、雑音光パワーのチャネル間偏差量とが等しい場合、チャネル間のOSNR偏差量はゼロである。このため、プリエンファシス制御のch毎制御ターゲット値のチャネル間偏差量を(M+1)・Δとすることによって、OSNRを均一にすることができる。
【0140】
また、図8に示す新しいch毎制御ターゲット値は、チャネル毎に独立に算出される。つまり、ch毎パワーモニタ値21と制御しきい値との比較、及び、新しいch毎制御ターゲット値の算出は、いずれもチャネル毎に独立に行われ、チャネル間の制御情報に相互に依存しない。したがって、波長数及び波長配置に依存しない、汎用性、安定性、及び、信頼性の高い、プリエンファシス制御が可能である。
【0141】
図9は、本発明の第1の実施形態のch毎パワーモニタ値21と固定値であるch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【0142】
第1の実施形態のch毎制御ターゲット値の具体的な算出方法には、ch毎制御ターゲット値を固定値とする方法がある。
【0143】
ch毎パワーモニタ値21(パワーモニタ値Pmon)が、上側の制御しきい値22(Pth_u)を上回った(Pmon>Pth_u)場合、ch毎制御ターゲット値Ptgt_uは、中心値Pcと制御しきい値(上側)Pth_uとの間の値(Pc<Ptgt_u<Pth_u)に定められる。ch毎制御ターゲット値Ptgt_uは、固定値である。
【0144】
また、パワーモニタ値Pmonが、制御しきい値(下側)Pth_lを下回った(Pmon<Pth_l)場合、ch毎制御ターゲット値Ptgt_lは、中心値Pcと制御しきい値(下側)Pth_lとの間の値(Pc>Ptgt_l<Pth_l)に定められる。ch毎制御ターゲット値Ptgt_lは、固定値である。
【0145】
すなわち、ch1及びch2のch毎制御ターゲット値には、ch毎制御ターゲット値Ptgt_lが示す固定値が定められ、ch(k−1)及びch(k)のch毎制御ターゲット値には、ch毎制御ターゲット値Ptgt_uが示す固定値が定められる。
【0146】
このため、制御ターゲット値生成部24は、ch毎パワーモニタ値21が上側の制御しきい値22を上回った場合、固定値であるch毎制御ターゲット値Ptgt_uを算出し、ch毎パワーモニタ値21が下側の制御しきい値22を下回った場合、固定値であるch毎制御ターゲット値Ptgt_lを算出する関数を保持する。
【0147】
本実施形態の中心値Pcとは、本実施形態の波長多重システムの設計上のレベルダイヤグラムにおける、光パワーモニタ点(光信号をモニタする位置)における光信号のパワーレベルの期待値でもよいし、波長多重信号に含まれるすべてのch毎パワーモニタ値21の平均値、又は、ch毎パワーモニタ値21の中間値でもよい。ch毎パワーモニタ値21の中間値は、ch毎パワーモニタ値21の最大値と最小値とを加算し、加算された結果を2によって除算した値でもよい。
【0148】
また、モニタノード101mに備わる光増幅器4の出力側に光パワーモニタ点を配置する場合、中心値Pcは、光増幅器4の出力レベル調整機能における出力パワー制御の目標値(出力ターゲット値)をch毎パワーモニタ値に変換した値でもよい。
【0149】
中心値Pcは、制御ターゲット値生成部24によって算出される。制御ターゲット値生成部24は、PD7からch毎パワーモニタ値21を取得し、中心値Pcを算出してもよい。また、制御ターゲット値生成部24は、光増幅器4#(M−1)、又は、モニタノード101mの光増幅器4#Mから出力ターゲット値を取得し、中心値Pcを算出してもよい。
【0150】
さらに、中心値Pcは、モニタノード101mと、モニタノード101mの上流に配置される光ノード101(以下、光ノード101(M−1)と記載)との間の光ファイバ102におけるスパン損失によって算出されてもよい。
【0151】
具体的には、まず、光ノード101(M−1)に備わる監視制御信号送受信機9は、モニタノード101mの監視制御信号送受信機9に、制御信号を送信する。光ノード101(M−1)に備わる監視制御信号送受信機9からモニタノード101mの監視制御信号送受信機9に送信される制御信号には、制御信号が光ノード101(M−1)から送信される際のパワーモニタ値と、光ノード101(M−1)に備わる光増幅器4#(M−1)の出力ターゲット値とが含まれる。
【0152】
制御ターゲット値生成部24は、光ノード101(M−1)に備わる監視制御信号送受信機9から送信された制御信号に含まれる、制御信号が光ノード101(M−1)から送信される際のパワーモニタ値と、光ノード101(M−1)に備わる光増幅器4#(M−1)の出力ターゲット値とを取得する。また、光ノード101(M−1)に備わる監視制御信号送受信機9から送信された制御信号が、モニタノード101mに受信された際のパワーモニタ値も取得する。
【0153】
次に、制御ターゲット値生成部24は、制御信号が光ノード101(M−1)から送信された際のパワーモニタ値と、制御信号がモニタノード101mに受信された際のパワーモニタ値との差を算出することによって、スパン損失を取得する。さらに、制御信号に含まれる光増幅器4#(M−1)の出力ターゲット値と、取得されたスパン損失とを、対数に変換する。そして、対数に変換された制御信号に含まれる光増幅器4#(M−1)の出力ターゲット値から取得されたスパン損失を減算し、減算された結果を、中心値Pcとする。
【0154】
制御ターゲット値生成部24は、前述の方法によって、中心値Pcを算出してもよい。
【0155】
図10A〜図10Cは、本発明の第1の実施形態のch毎制御ターゲット値を固定値に定めた場合の、ch毎制御ターゲット値の具体例を示す説明図である。すなわち、図7に示す可変光減衰器制御量演算回路8によって、図9に示す固定値のch毎制御ターゲット値が定められ、定められたch毎制御ターゲット値を用いて第1の実施形態のプリエンファシス制御が実行された場合の、コントロールノード101c及びモニタノード101mにおける信号光パワー及びOSNRのシミュレーション結果を示す。
【0156】
図10A〜図10Cに示すシミュレーション結果の算出条件は、チャネル数kが16波長であり、チャネル番号が短波長側から順に、ch1、ch2、・・・、ch16であり、光増幅器4の接続段数Mが4台であり、光増幅器4の平均利得が20dBであり、雑音指数が7dBである。雑音指数は、波長によらない。また、光増幅器4の利得は、波長に対して直線的な傾きを持つものと仮定し、最長波長と最短波長との平均利得に対する利得偏差量(Gtilt)を±1.5dBとする。
【0157】
また、ALC制御条件(プリエンファシス制御条件)は、制御しきい値22(Pth)が中心値Pc±3.5dBである。
【0158】
図10Aは、本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御前のモニタノード101mにおけるch毎パワーモニタ値21とch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【0159】
ch毎パワーモニタ値21が上側の制御しきい値22を上回る場合、ch毎制御ターゲット値(Ptarget)は、固定値である中心値Pc+3.0dBに定められる。また、ch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22を下回る場合、ch毎制御ターゲット値(Ptarget)は、固定値である中心値Pc−3.0dBに定められる。
【0160】
すなわち、ch毎パワーモニタ値21が上側の制御しきい値22である中心値Pc+3.5dBを上回った場合、制御ターゲット値生成部24は、新規のch毎制御ターゲット値として中心値Pc+3.0dBを算出する。また、ch毎パワーモニタ値21が下側の制御しきい値である中心値Pc−3.5dBを下回った場合、制御ターゲット値生成部24は、新規のch毎制御ターゲット値として中心値Pc−3.0dBを算出する。
【0161】
図10Aに示すプリエンファシス制御前において、コントロールノード101cの光増幅器4#1の入力点における各チャネルの信号光パワーが等しくなるように、ch毎可変光減衰器2は制御されている。光増幅器4の利得偏差によって発生する信号光パワーのチャネル間偏差は、光増幅器4の接続段数に比例及び累積する。このため、モニタノード101mの光増幅器4#Mの出力点の信号光パワーのチャネル間偏差量は、±6dBである(図10Aに示す黒丸)。
【0162】
ここで、ch1、2、3及び4のch毎パワーモニタ値21が下側の制御しきい値22(図10Aに示す下側の破線)を下回る。このため、ch1、2、3及び4の光信号が、第1の実施形態のプリエンファシス制御の対象である。制御ターゲット値生成部24は、ch1、2、3及び4の光信号に、新規のch毎制御ターゲット値として中心値Pc−3.0dBを算出する(図10Aに示す白丸)。
【0163】
また、ch13、14、15及び16のch毎パワーモニタ値21が上側の制御しきい値22(図10Aに示す上側の破線)を上回る。このため、ch13、14、15及び16の光信号が、第1の実施形態のプリエンファシス制御の対象である。制御ターゲット値生成部24は、ch13、14、15及び16の光信号に、新規のch毎制御ターゲット値として中心値Pc+3.0dBを算出する(図10Aに示す白丸)。
【0164】
前述のように図10Aにおける算出条件において、可変光減衰器制御量演算回路8は、ch毎パワーモニタ値21(図10Aに示す黒丸)と制御しきい値22(図10Aに示す破線)とを比較した結果にしたがって、ch1、2、3、及び4、並びに、ch13、14、15、及び16に、中心値Pc±3.0dBのch毎制御ターゲット値(図10Aに示す白丸)を算出する。
【0165】
図10Bは、本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御後のコントロールノード101cにおける光信号パワーを示す説明図である。
【0166】
比較演算器25は、制御ターゲット値生成部24によって算出されたch毎制御ターゲット値と、ch毎パワーモニタ値21との差から、ch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16に対応する、新規のch毎可変光減衰器制御量26(図10Bに示す白丸)を算出する。図10Bにおいて、ch毎可変光減衰器制御量26が負である場合、ch毎可変光減衰器制御回路12が、ch毎可変光減衰器2による出力のパワーレベルを低下させる方向に制御する。
【0167】
ch毎可変光減衰器制御量26は、監視制御信号送受信機9及び監視制御信号伝送路10を介して、ch毎可変光減衰器制御回路12に送信される。ch毎可変光減衰器制御回路12は、受信したch毎可変光減衰器制御量26によってch毎可変光減衰器2の減衰量を制御する。この結果、光増幅器4#1の入力において、図10Bの黒丸に示すように、ch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16の光信号にプリエンファシス制御が実行される。
【0168】
図10Cは、本発明の第1の実施形態のモニタノード101mにおけるプリエンファシス制御前後のOSNR偏差量を示す説明図である。
【0169】
図10Cは、モニタノード101mに備わる光増幅器4#Mの出力点における、第1の実施形態によるプリエンファシス制御(ALC制御)前後のOSNR偏差量を示す。図10Cに示すOSNR偏差量は、波長多重信号に含まれる全チャネルのOSNR平均に対する、各チャネルのOSNRの相対値である。
【0170】
プリエンファシス制御前におけるOSNR偏差量(図10Cに示す×印)は、最大値が+2.1dBであり、最小値が−2.1dBである。このため、最大値から最小値までのチャネル間のOSNR偏差量は4.2dBである。
【0171】
一方、プリエンファシス制御後において(図10Cに示す白丸)、ch1、2、3及び4のOSNR偏差量は増大する。これは、プリエンファシス制御によって光増幅器4#1の入力が増大し、光増幅器4#Mの出力点におけるOSNRが増えるためである。
【0172】
さらに、プリエンファシス制御後において、ch13、14、15及び16のOSNR偏差量は、減少する。これは、プリエンファシス制御によって光増幅器4#1の入力が減少し、光増幅器4#Mの出力点におけるOSNRが抑制されるためである。
【0173】
その結果、OSNRの最大値は+1.2dBになり、最小値は−0.9dBになり、最大値から最小値までのチャネル間のOSNR偏差量は2.1dBとなる。したがって、プリエンファシス制御前後のOSNR偏差量は、2.1dB縮小する。
【0174】
前述のとおり、第1の実施形態によって、高価なOSNRモニタを用いることなく、信号光パワーのモニタリングによって、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス制御が可能である。
【0175】
図11A〜図11Cは、第1の実施形態のプリエンファシス制御が、波長数若しくは波長配置、又は、光ノード101若しくは光ファイバ102の特性パラメータの変化に依存しない、安定性かつ信頼性の高いプリエンファシス制御を実現することを示す説明図である。
【0176】
図11A〜図11Cは、図10Aと同じく、図7の可変光減衰器制御量演算回路8によって、ch毎制御ターゲット値を固定値とするプリエンファシス制御を実行した場合の、コントロールノード101c及びモニタノード101mの信号光パワー、並びに、OSNRのシミュレーション結果を示す。また、波長多重信号に含まれる光信号が、短波長に偏在している場合のシミュレーション結果である。
【0177】
図11Aは、本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御前のモニタノード101mにおけるch毎パワーモニタ値21とch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【0178】
図11A〜図11Cに示すシミュレーション結果の算出条件は、チャネル数kが8波長であり、チャネル番号が短波長側から順に、ch1、ch2、・・・、ch8であり、光増幅器4の接続段数Mが4台であり、光増幅器4の平均利得が20dBであり、雑音指数が7dBである。雑音指数は、波長によらない。また、光増幅器4の利得は、波長に対して直線的な傾きを持つものと仮定し、最長波長と最短波長との平均利得に対する利得偏差量(Gtilt)を±1.5dBである。
【0179】
また、ALC制御条件(プリエンファシス制御条件)は、制御しきい値22(Pth)が中心値Pc±3.5dBである。また、ch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22を上回る場合のch毎制御ターゲット値(Ptarget)が中心値Pc+3.0dBであり、ch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22を下回る場合のch毎制御ターゲット値(Ptarget)が中心値Pc−3.0dBである。
【0180】
図10における算出条件と異なる点は、チャネル数kが8波長である点と、光増幅器4の利得が短波長側において大である点とである。
【0181】
図11Aに示すプリエンファシス制御前において、コントロールノード101cの光増幅器4#1の入力点において、各チャネルの信号光パワーが等しくなるように、ch毎可変光減衰器2が制御されている。光増幅器4の利得偏差によって発生する信号光パワーのチャネル間偏差は、光増幅器4の接続段数に比例及び累積する。このため、モニタノード101mの光増幅器4#Mの出力点の信号光パワーのチャネル間偏差量は、プリエンファシス制御前において、±6dBである(図11Aに示す黒丸)。
【0182】
ここで、ch1及びch2のch毎パワーモニタ値21が上側の制御しきい値22(図11Aに示す上側の破線)を上回る。このため、ch1及びch2の光信号はプリエンファシス制御の対象であり、制御ターゲット値生成部24は、新規のch毎制御ターゲット値として中心値Pc+3.0dBを算出する(図11Aに示す白丸)。
【0183】
また、ch7及びch8のch毎パワーモニタ値21が下側の制御しきい値22(図11Aに示す下側の破線)を下回る。このため、ch7及びch8の光信号はプリエンファシス制御の対象であり、制御ターゲット値生成部24は、新規のch毎制御ターゲット値として中心値Pc−3.0dBを算出する(図11Aに示す白丸)。
【0184】
前述のように図11Aにおける算出条件において、可変光減衰器制御量演算回路8は、ch毎パワーモニタ値21(図11Aに示す黒丸)と制御しきい値22(図11Aに示す破線)とを比較した結果、ch1及びch2、並びに、ch7及びch8に対応する、中心値Pc±3.0dBのch毎制御ターゲット値(図11Aに示す白丸)を算出する。
【0185】
図11Bは、本発明の第1の実施形態のプリエンファシス制御後のコントロールノード101cにおける光信号パワーを示す説明図である。
【0186】
比較演算器25は、制御ターゲット値生成部24によって算出されたch毎制御ターゲット値と、ch毎パワーモニタ値21との差から、ch1及びch2、並びに、ch7及びch8に対応する、新規のch毎可変光減衰器制御量26(図11Bに示す白丸)を算出する。図11Bにおいて、ch毎可変光減衰器制御量26の符号が負の場合、ch毎可変光減衰器制御回路12が、ch毎可変光減衰器2による出力のパワーレベルを低下させる方向に制御する。
【0187】
ch毎可変光減衰器制御量26は、監視制御信号送受信機9及び監視制御信号伝送路10を介して、ch毎可変光減衰器制御回路12に送信される。ch毎可変光減衰器制御回路12は、送信されたch毎可変光減衰器制御量26によってch毎可変光減衰器2の減衰量を制御する。この結果、光増幅器4#1の入力において、図11Bの黒丸に示すように、ch1及びch2、並びに、ch7及びch8にプリエンファシス制御が実行される。
【0188】
図11Cは、本発明の第1の実施形態のモニタノード101mにおけるプリエンファシス制御前後のOSNR偏差量を示す説明図である。
【0189】
図11Cは、モニタノード101mに備わる光増幅器4#Mの出力点における、第1の実施形態によるALC制御(第1の実施形態によるプリエンファシス制御)前後のOSNR偏差量を示す。図10Cに示すOSNR偏差量は、波長多重信号に含まれる全チャネルのOSNR平均に対する、各チャネルのOSNRの相対値である。
【0190】
プリエンファシス制御前におけるOSNR偏差量(図11Cに示す×印)は、最大値が+2.1dBであり、最小値が−2.1dBである。このため、最大値から最小値までのチャネル間のOSNR偏差量は4.2dBである。
【0191】
一方、プリエンファシス制御後において(図11Cに示す白丸)、ch7及びch8のOSNR偏差量は増大する。これは、プリエンファシス制御によって光増幅器4#1の入力が増大し、光増幅器4#Mの出力点におけるOSNRが増えるためである。
【0192】
さらに、プリエンファシス制御後において、ch1及び26のOSNR偏差量は、減少する。これは、プリエンファシス制御によって光増幅器4#1の入力が減少し、光増幅器4#Mの出力点におけるOSNR偏差が抑制されるためである。
【0193】
その結果、プリエンファシス制御後において、最大OSNRは+1.1dBになり、最小OSNRは−0.9dBになり、最大値から最小値までのチャネル間のOSNR偏差量は2.0dBとなる。
【0194】
したがって、プリエンファシス制御前後において、OSNR偏差量は、2.2dB減少する。
【0195】
第1の実施形態によれば、チャネル毎に制御ターゲット値を算出するため、波長数及び波長配置によらずに、OSNR偏差を抑制できる。すなわち、チャネル間のOSNR偏差を抑制し、波長数及び波長配置に依存しない、安定性及び信頼性の高いプリエンファシス制御を実現することができる。
【0196】
図12A〜図12Eは、図11A〜図11Cにおける算出条件のうち、光増幅器4の利得偏差量のみを変化させた条件において、光増幅器4#Mの出力点におけるOSNRのシミュレーション結果を示す。
【0197】
各図における光増幅器4の利得偏差量は、図12Aにおいて±0.0dBであり、図12Bにおいて、±0.5dBであり、図12Cにおいて、±1.0dBであり、図12Dにおいて、±1.5dBであり、図12Eにおいて、±2.0dBである。
【0198】
なお、図12A〜図12Eに示すチャネルは、ch1〜ch12である。ch1は、波長多重信号のうち、最も短い波長のチャネルであり、ch16は、最も長い波長のチャネルである。
【0199】
図12Aは、本発明の第1の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±0.0dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0200】
図12Aに示す条件において、光増幅器4の利得偏差量は0であるため、全てのチャネルのOSNRは一定である。
【0201】
図12Bは、本発明の第1の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±0.5dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0202】
図12Bに示す条件において、プリエンファシス制御前のch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22を超える光信号は存在しない。このため、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差量は、プリエンファシス制御前のチャネル間のOSNR偏差量から変化しない。
【0203】
図12Cは、本発明の第1の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±1.0dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0204】
図12Cに示す条件において、ch1及びch16のプリエンファシス制御前のch毎パワーモニタ値21が、制御しきい値22の範囲から外れる。このため、ch1及びch16の光信号にプリエンファシス制御が実行される。この結果、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差量は、約±1.25dBとなり、プリエンファシス制御前のチャネル間のOSNR偏差量(約±1.5dB)から改善する。
【0205】
図12Dは、本発明の第1の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±1.5dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0206】
図12Dに示す条件において、ch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16のプリエンファシス制御前のch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22の範囲から外れる。このため、ch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16の光信号にプリエンファシス制御が実行される。この結果、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差量は、約±1.0dBとなり、プリエンファシス制御前のチャネル間のOSNR偏差量(約±2.0dB)から改善する。
【0207】
図12Eは、本発明の第1の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±2.0dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0208】
図12Eに示す条件において、ch1、2、3、4及び5、並びに、ch12、13、14、15及び16のプリエンファシス制御前のch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22の範囲から外れる。このため、ch1、2、3、4及び5、並びに、ch12、13、14、15及び16の光信号にプリエンファシス制御が実行される。この結果、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差量は、約±2.0dBとなり、プリエンファシス制御前のチャネル間のOSNR偏差量(約±3.0dB)から改善する。
【0209】
図12A〜図12Eのとおり、光増幅器4の利得偏差が変化した場合においても、第1の実施形態によるプリエンファシス制御によって、OSNR偏差量は一定範囲に抑制される。
【0210】
光ファイバ102における光信号の損失量が変化した場合においても、光増幅器4中の利得状態の変化によって、チャネル間の利得偏差が変化する可能性がある。例えば、光増幅器4がエルビウム添加ファイバ増幅器の場合、光ファイバ102の損失量が変化することによって、光増幅器4の入力光パワーが変化する。
【0211】
この結果、エルビウムイオン中の反転分布係数(レーザー上準位とレーザー下準位との電子数の比)が変化し、光増幅器の波長に対する利得プロファイル、すなわち、利得偏差が変化する。さらに、一般的な光増幅器4は、光増幅器4への入力値が減少した場合、長波長側の利得が下がり、入力値が増大した場合、短波長側の利得が下がる特性を持つ。
【0212】
すなわち、図12A〜図12Eのとおり、光増幅器4の利得偏差が変化した場合においても、第1の実施形態によるプリエンファシス制御によって、OSNR偏差量が一定範囲に抑制されるが、光ファイバ102における損失量が変化した場合においても、OSNR偏差量が一定範囲に抑制される。
【0213】
前述のとおり、第1の実施形態は、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス制御において、光ノード101及び光ファイバ102の特性パラメータの変化に依存しない、安定性及び信頼性の高いプリエンファシス制御を実現する。
【0214】
なお、図7に示すコントロールノード101cは、光分波器1、ch毎可変光減衰器2、及び、光合波器3を備えることによって、波長多重信号のパワーレベルをチャネル毎に制御したが、本発明のコントロールノード101cは、波長多重信号のパワーレベルをいかなる方法又は装置によって制御してもよい。
【0215】
例えば、コントロールノード101cは、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selectable Switch)のような、統合された機能を備えてもよく、ch毎にパワーレベルを制御可能な素子又はモジュールを備えてもよい。
【0216】
また、図7に示すコントロールノード101cは、ch毎可変光減衰器2を光増幅器4#1の上流に備えたが、本発明のコントロールノード101cは、光増幅器4#1の下流にch毎可変光減衰器2を備えてもよい。また、本発明のコントロールノード101cは、光増幅器4#1を備えなくてもよい。
【0217】
また、図7に示すモニタノード101mは、光分波器6、及び、波長毎のフォトダイオード(PD)7を備えることによって、波長多重信号のパワーレベルをチャネル毎にモニタしたが、本発明のモニタノード101mは、波長多重信号のパワーレベルをいかなる方法又は装置によってモニタしてもよい。
【0218】
例えば、本発明のモニタノード101mは、時間とともに中心波長をスイープさせる波長可変フィルタと、一つのPDと、そのPDの時系列データを(スイープタイミングと同期させて)波長データに変換する信号処理回路とを備えることによって、波長多重信号のパワーレベルをモニタしてもよい。
【0219】
さらに、図7のモニタノード101mは、ch毎に波長多重信号のパワーレベルをモニタする装置を光増幅器4#Mの下流に備えたが、本発明のモニタノード101mは、ch毎に波長多重信号のパワーレベルをモニタする機能を、光増幅器4の上流に備えてもよい。また、本発明のモニタノード101mは、光増幅器4#Mを備えなくてもよい。
【0220】
また、図7の監視制御信号伝送路10は、論理的な伝送路を示し、物理的な伝送路には、光ファイバ102と同一の伝送路が用いられてもよい。この場合には、監視制御信号が波長多重信号に波長多重されてもよく、具体的には、時間多重、パケット多重、又はオーバーヘッド部分に多重されてもよい。本発明の実施形態を実現するための物理的な構成は、本発明を制限しない。
【0221】
前述の第1の実施形態によれば、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス制御において、高価なOSNRモニタ機能を用いることなく、かつ、波長多重信号の波長数や波長配置に依存しない、かつ、伝送装置や伝送ファイバの特性パラメータの変化に依存しない、安定性かつ信頼性の高いプリエンファシス制御を実現する。
【0222】
(第2の実施形態)
図13Aは、本発明の第2の実施形態のch毎制御ターゲット値の算出方法を示す説明図である。
【0223】
図8に示すch毎制御ターゲット値を、ch毎パワーモニタ値21(パワーモニタ値Pmon)に基づいて算出する方法の概念図を、図13Aに示す。パワーモニタ値Pmonが、上側の制御しきい値22(Pth_u)を上回った(Pmon>Pth_u)場合、ch毎制御ターゲット値Ptgt_uには、中心値Pcと制御しきい値(上側)Pth_uとの間の値(Pc<Ptgt_u<Pth_u)が算出される。
【0224】
また、パワーモニタ値Pmonが、制御しきい値(下側)Pth_lを下回った(Pmon<Pth_l)場合、ch毎制御ターゲット値Ptgt_lには、中心値Pcと制御しきい値(下側)Pth_lとの間の値(Pc>Ptgt_l<Pth_l)が算出される。
【0225】
図13Aにおいて、ch1及びch2、並びに、ch(k)及び(k−1)の光信号の制御ターゲット値が算出される。
【0226】
図13Bは、本発明の第2の実施形態のch毎パワーモニタ値21に基づいて制御ターゲット値を算出する方法を示す説明図である。
【0227】
第2の実施形態におけるch毎制御ターゲット値Ptgt(ch毎可変光減衰器制御量26に相当)は、例えば、パワーモニタ値Pmonの中心値Pcに対する相対値を1/2とする値を、ch毎制御ターゲット値の中心値Pcに対する相対値とすることによって算出される。
【0228】
この算出方法は、図5に示す計算結果に基づく。図5に示すとおり、信号光パワーのチャネル間偏差量、すなわち、制御に用いるモニタ値のチャネル間偏差量は、光増幅器4#Mの出力点において2・M・Δである。また、同じく図5に示すとおり、雑音光パワーのチャネル間偏差量、すなわち、OSNR偏差量をゼロにするための信号光パワーの新規のch毎制御ターゲット値のチャネル間偏差量は、光増幅器4#Mの出力点において(M+1)・Δで表される。つまり、新規のch毎制御ターゲット値は、ch毎パワーモニタ値21の値×(M+1)/(2・M)≒ch毎パワーモニタ値21の値×1/2(M→∞)によって算出される。
【0229】
このため、図13Bのとおり、ch1の新たなch毎制御ターゲット値は、チャネル1のch毎パワーモニタ値21と中心値Pcとを加算した値を2によって除算した結果であり、ch2の新たなch毎制御ターゲット値は、チャネル2のch毎パワーモニタ値21と中心値Pcとを加算した結果を2によって除算した結果である。また、ch(k)の新たな制御ターゲット値は、チャネル(k)のch毎パワーモニタ値21と中心値Pcとを加算した結果を2によって除算した結果であり、ch(k−1)の新たな制御ターゲット値は、チャネル(k−1)のch毎パワーモニタ値21と中心値Pcとを加算した結果を2によって除算した結果である。
【0230】
第2の実施形態の制御ターゲット値生成部24は、前述のように、ch毎パワーモニタ値21と中心値Pcとを加算した値を2によって除算する関数を保持する。そして、制御しきい値22の範囲から外れたch毎パワーモニタ値21の光信号に対応するch毎可変光減衰器制御量26を、保持される関数によって算出する。
【0231】
図14A〜図14Cは、本発明の第1の実施形態のch毎制御ターゲット値をch毎パワーモニタ値21に基づいて算出した場合の、ch毎制御ターゲット値の具体例を示す説明図である。すなわち、図7に示す可変光減衰器制御量演算回路8によって、図13に示すch毎制御ターゲット値が算出され、算出されたch毎制御ターゲット値を用いてプリエンファシス制御が実行された場合の、コントロールノード101c及びモニタノードmにおけるチャネル毎の信号光パワー及びOSNRのシミュレーション結果が、図14A〜図14Cに示される。
【0232】
図14A〜図14Cに示すシミュレーション結果の算出条件は、チャネル数kが16波長であり、チャネル番号が短波長側から順に、ch1、ch2、・・・、ch16であり、光増幅器4の接続段数Mを4台であり、光増幅器4の平均利得が20dBであり、雑音指数が7dBである。雑音指数は、波長によらない。また、光増幅器4の利得は、波長に対して直線的な傾きを持つものと仮定し、最長波長と最短波長との平均利得に対する利得偏差量(Gtilt)を±1.5dBとする。
【0233】
また、ALC制御条件(プリエンファシス制御条件)は、制御しきい値22(Pth)を中心値Pc±3.5dBである。
【0234】
図14Aは、本発明の第2の実施形態のプリエンファシス制御前のモニタノード101mにおけるch毎パワーモニタ値21とch毎制御ターゲット値とを示す説明図である。
【0235】
ch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22を上回る場合のch毎制御ターゲット値(Ptarget)は、前述の通り、ch毎パワーモニタ値21の値×1/2によって算出される。ここで、ch毎パワーモニタ値21は中心値Pcに対する相対値(中心値Pcからの偏差量)である。
【0236】
図14Aに示すプリエンファシス制御前において、コントロールノード101cの光増幅器4#1の入力点における各チャネルの信号光パワーが等しくなるように、ch毎可変光減衰器2は制御されている。光増幅器4の利得偏差によって発生する信号光パワーのチャネル間偏差は、光増幅器4の接続段数に比例及び累積する。このため、モニタノード101mの光増幅器4#Mの出力点の信号光パワーのチャネル間偏差量は、図14Aに示すように±6dBである(図14Aに示す黒丸)。
【0237】
ここで、ch1、2、3及び4が下側の制御しきい値(図14Aに示す下側の破線)を下回る場合、ch1、2、3及び4の光信号は、プリエンファシス制御の対象である。
【0238】
図10Aに示す算出条件において、可変光減衰器制御量演算回路8は、ch毎パワーモニタ値21(図14Aに示す黒丸)と制御しきい値22(図14Aに示す破線)とを比較し、比較の結果、制御しきい値22の範囲から外れるch毎パワーモニタ値21のチャネルの光信号に、新たなch毎制御ターゲット値を算出する。
【0239】
すなわち、可変光減衰器制御量演算回路8の制御ターゲット値生成部24は、図14Aに示すch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16に対応する、新たなch毎制御ターゲット値(図14Aに示す白丸)を、ch毎パワーモニタ値21に1/2を乗じることによって、算出する。
【0240】
図14Bは、本発明の第2の実施形態のプリエンファシス制御後のコントロールノード101cにおける光信号パワーを示す説明図である。
【0241】
比較演算器25は、制御ターゲット値生成部24によって算出されたch毎制御ターゲット値と、ch毎パワーモニタ値21との差から、ch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16に対応する、新規のch毎可変光減衰器制御量26(図14Bに示す白丸)を算出する。図10Bにおいて、ch毎可変光減衰器制御量26が負である場合、ch毎可変光減衰器制御回路12が、ch毎可変光減衰器2の出力パワーレベルを低下させる方向に制御するものとして定義される。
【0242】
ch毎可変光減衰器制御量26は、監視制御信号送受信機9及び監視制御信号伝送路10を介して、ch毎可変光減衰器制御回路12に送信される。ch毎可変光減衰器制御回路12は、送信されたch毎可変光減衰器制御量によってch毎可変光減衰器2の減衰量を制御する。この結果、光増幅器4#1の入力において、図14Bの黒丸に示すように、ch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16の光信号にプリエンファシス制御が実行される。
【0243】
図14Cは、本発明の第2の実施形態のモニタノード101mにおけるプリエンファシス制御前後のOSNR偏差量を示す説明図である。
【0244】
図14Cは、モニタノード101mに備わる光増幅器4#Mの出力点における、第2の実施形態によるALC制御(第2の実施形態によるプリエンファシス制御)前後のOSNR偏差量を示す。図14Cに示すOSNR偏差量は、波長多重信号に含まれる全チャネルのOSNR平均に対する、各チャネルのOSNRの相対値である。
【0245】
プリエンファシス制御前におけるOSNR偏差量(図14Cに示す×印)は、最大値が+2.1dBであり、最小値が−2.1dBである。このため、最大値から最小値までのチャネル間のOSNR偏差量は、4.2dBである。
【0246】
一方、プリエンファシス制御後において(図14Cに示す白丸)、ch1、2、3及び4のOSNR偏差量は増大する。これは、プリエンファシス制御によって光増幅器4#1の入力が増大し、光増幅器4#Mの出力点におけるOSNRが増えるためである。
【0247】
さらに、プリエンファシス制御後において、ch13、14、15及び16のOSNR偏差量は、減少する。これは、プリエンファシス制御によって光増幅器4#1の入力が減少し、光増幅器4#Mの出力点におけるOSNRが抑制されるためである。
【0248】
その結果、OSNRの最大値は+1.2dBになり、最小値は−0.9dBになり、最大値から最小値までのチャネル間のOSNR偏差量は2.1dBとなる。したがって、プリエンファシス制御前後のOSNR偏差量は、2.1dB縮小する。
【0249】
前述のとおり、第2の実施形態によれば、高価なOSNRモニタを用いることなく、信号光パワーのモニタリングによって、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス制御が可能である。また、プリエンファシス制御後のOSNRが、前チャネルにおいて一定の範囲に抑制される。これは、第1の実施形態よりも、第2の実施形態のプリエンファシス制御が、OSNR偏差をより安定して抑制できることを示す。
【0250】
図15A〜図15Eは、図14A〜図14Cにおける算出条件のうち、光増幅器4の利得偏差量のみを変化させた条件において、光増幅器4#Mの出力点におけるOSNRのシミュレーション結果を示す。
【0251】
各図における光増幅器4の利得偏差量は、図15Aにおいて±0.0dBであり、図15Bにおいて、±0.5dBであり、図15Cにおいて、±1.0dBであり、図15Dにおいて、±1.5dBであり、図15Eにおいて、±2.0dBである。
【0252】
なお、図15A〜図15Eに示すチャネルは、ch1〜ch12である。ch1は、波長多重信号のうち、最も短い波長のチャネルであり、ch16は、最も長い波長のチャネルである。
【0253】
図15Aは、本発明の第2の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±0.0dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0254】
図15Aに示す条件において、光増幅器4の利得偏差量は0であるため、全てのチャネルのOSNRは一定である。このため、プリエンファシス制御前後において、全てのチャネルのOSNR偏差量は変化しない。
【0255】
図15Bは、本発明の第2の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±0.5dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0256】
図15Bに示す条件において、プリエンファシス制御前のch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22を超えるチャネルは存在しない。このため、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差量は、プリエンファシス制御前のチャネル間のOSNR偏差量から変化しない。
【0257】
図15Cは、本発明の第2の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±1.0dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0258】
図15Cに示す条件において、ch1及びch16のプリエンファシス制御前のch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22の範囲から外れる。このため、ch1及びch16の光信号にプリエンファシス制御が実行される。この結果、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差量は、約±1.25dBとなり、プリエンファシス制御前のチャネル間のOSNR偏差量(約±1.5dB)から改善する。
【0259】
図15Dは、本発明の第2の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±1.5dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0260】
図15Dに示す条件において、ch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16のプリエンファシス制御前のch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22の範囲から外れる。このため、ch1、2、3及び4、並びに、ch13、14、15及び16の光信号にプリエンファシス制御が実行される。この結果、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差量は、約±1.0dBとなり、プリエンファシス制御前のチャネル間のOSNR偏差量(約±2.0dB)から改善する。
【0261】
図15Eは、本発明の第2の実施形態の光増幅器4の利得偏差量が±2.0dBである場合の、光増幅器4#MにおけるOSNR偏差量を示す説明図である。
【0262】
図15Eに示す条件において、ch1、2、3、4及び5、並びに、ch12、13、14、15及び16のプリエンファシス制御前のch毎パワーモニタ値21が制御しきい値22の範囲から外れる。このため、ch1、2、3、4及び5、並びに、ch12、13、14、15及び16の光信号にプリエンファシス制御が実行される。この結果、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差量は、約±1.5dBとなり、プリエンファシス制御前のチャネル間のOSNR偏差量(約±3.0dB)から改善する。
【0263】
図12E及び図15Eのとおり、第2の実施形態において、光増幅器4の利得偏差量の変化にしたがって、プリエンファシス制御後のチャネル間のOSNR偏差の変化量は、第1の実施形態におけるOSNR偏差の変化量よりも小さい。このため、第2の実施形態におけるプリエンファシス制御によれば、第1の実施形態におけるプリエンファシス制御よりも、いずれの波長においてもOSNR偏差を一定の範囲に抑えることができる。
【0264】
光ファイバ102における光信号の損失量が変化した場合においても、光増幅器4中の利得状態の変化によって、チャネル間の利得偏差が変化する可能性がある。例えば、光増幅器4がエルビウム添加ファイバ増幅器の場合、光ファイバ102の損失量が変化することによって、光増幅器4の入力光パワーが変化する。この結果、エルビウムイオン中の反転分布係数(レーザー上準位とレーザー下準位との電子数の比)が変化し、光増幅器の波長に対する利得プロファイル、すなわち、利得偏差が変化する。さらに、一般的な光増幅器4は、光増幅器4への入力値が減少した場合、長波長側の利得が下がり、入力値が増大した場合、短波長側の利得が下がる特性を持つ。
【0265】
すなわち、図15A〜図15Eのとおり、光増幅器4の利得偏差が変化した場合においても、本実施形態によるプリエンファシス制御によって、OSNR偏差量が一定範囲に抑制されるが、光ファイバ102における損失量が変化した場合においても、OSNR偏差量が一定範囲に抑制される。
【0266】
前述のとおり、第2の実施形態によれば、チャネル間のOSNR偏差を抑制するプリエンファシス制御において、チャネル毎にパワーレベルをモニタし、制御ターゲット値を定めることによって、光ノード101及び光ファイバ102の特性パラメータの変化に依存しない、安定性及び信頼性の高いプリエンファシス制御を実現する。さらに、ch毎制御ターゲット値を、チャネル毎のパワーレベルに基づいて算出することによって、すべてのチャネルにおいてOSNRが一定の範囲になるように波長多重信号のパワーレベルを制御することができる。
【符号の説明】
【0267】
1 光分波器
2 ch毎可変光減衰器
3 光合波器
4 光増幅器
5 光カプラ
6 光分波器
7 フォトダイオード(PD)
8 可変光減衰器制御量演算回路
9 監視制御信号送受信機
10 監視制御信号伝送路
12 ch毎可変光減衰器制御回路
21 ch毎パワーモニタ値
22 制御しきい値
23 比較演算器
24 制御ターゲット値生成部
25 比較演算器
26 ch毎可変光減衰器制御量
51 ch毎パワーモニタ値
52 ch毎制御ターゲット値
53 比較演算器
54 ch毎可変光減衰器制御量
101 光ノード
101c コントロールノード
101m モニタノード
102 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの波長の光信号を含む波長多重信号を、光ファイバを介して送受信する複数の光ノードを備える光伝送システムであって、
前記各光ノードは、
前記波長多重信号を増幅する少なくとも一つの光増幅部と、
制御信号を送受信するための制御信号送受信部と、を備え、
第1の前記光ノードは、前記波長多重信号を、第2の前記光ノードに送信し、
前記第1の光ノードは、前記波長多重信号のパワーレベルを前記波長毎に変更する光制御部を備え、
前記第2の光ノードは、
前記第1の光ノードから送信された前記波長多重信号のパワーレベルを前記波長毎にモニタすることによって、前記波長毎の光信号のパワーレベル値を取得する光監視部と、
前記取得された波長毎の光信号のパワーレベル値と、所定の上限値及び下限値とを比較する比較演算部と、
前記比較の結果に基づいて、前記波長毎の光信号のパワーレベルの目標値を生成する目標値算出部とを備え、
前記目標値算出部は、
前記光監視部から取得された波長毎の光信号のパワーレベル値に基づいて、前記波長多重信号のパワーレベルの中心値を求め、
前記比較演算部による比較の結果、前記取得された波長毎のパワーレベル値が前記所定の上限値を上回る場合、前記中心値と前記所定の上限値との間の第1の値を、当該波長のパワーレベルの目標値とし、
前記比較演算部による比較の結果、前記取得された波長毎のパワーレベル値が前記所定の下限値を下回る場合、前記中心値と前記所定の下限値との間の第2の値を、当該波長のパワーレベルの目標値とし、
前記第2の光ノードの第2の前記制御信号送受信部は、前記算出された目標値を含む第1の制御信号を、前記第1の光ノードの第1の前記制御信号送受信部に送信し、
前記第1の光ノードの光制御部は、第2の前記制御信号送受信部によって送信された第1の制御信号に含まれる目標値にしたがって、前記波長多重信号のパワーレベルを波長毎に変更することを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記目標値算出部は、前記第1の値及び前記第2の値をあらかじめ保持し、
前記第1の値及び前記第2の値は、前記波長に依存しないことを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記目標値算出部は、
前記第1の値及び前記第2の値を算出するための関数を保持し、
前記第1の値及び前記第2の値を、前記波長毎の光信号のパワーレベルを前記関数に入力することによって生成することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記関数は、前記波長毎の光信号のパワーレベルと前記中心値とを加算した結果を2で除する式であることを特徴とする請求項3に記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記目標値算出部は、前記波長毎の光信号のパワーレベルの最大値と最小値とを加算した結果を2で除した値、又は、前記波長多重信号に含まれるすべての波長の光信号のパワーレベルの平均値を求めることによって、前記中心値を算出することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項6】
前記目標値算出部は、
前記光監視部に波長多重信号を直接送信した光増幅部の出力ターゲット値を取得し、
前記取得された出力ターゲット値を、前記中心値とすることを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項7】
前記第1の光ノードと前記第2の光ノードとの間に、第3の前記光ノードが配置され、
前記第3の光ノードは、前記第2の制御信号送受信部から前記第1の制御信号送受信部へ送信された第1の前記制御信号を、直接受信する第3の前記制御信号送受信部を備え、
前記第3の制御信号送受信部は、前記第2の制御信号送受信部へ、第2の前記制御信号を送信し、
前記第2の制御信号には、前記第2の制御信号のパワーレベル値と、前記第3の光ノードに備わる光増幅部の出力ターゲット値とが含まれ、
前記目標値算出部は、前記第2の制御信号に含まれる第2の制御信号のパワーレベル値と、前記第2の制御信号送受信部によって受信された際の前記第2の制御信号のパワーレベル値との差を算出することによって、スパン損失を取得し、
前記第2の制御信号に含まれる前記第3の光ノードに備わる光増幅部の出力ターゲット値から、前記取得されたスパン損失を減じることによって、前記中心値を算出することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項8】
少なくとも二つの波長の光信号を含む波長多重信号を、光ファイバを介して送受信する光ノードであって、
前記光ノードは、
前記波長多重信号を増幅する少なくとも一つの光増幅部と、
制御信号を送受信するための制御信号送受信部と、
他の前記光ノードから送信された前記波長多重信号のパワーレベルを前記波長毎にモニタすることによって、前記波長毎の光信号のパワーレベル値を取得する光監視部と、
前記取得された波長毎の光信号のパワーレベル値と、所定の上限値及び下限値とを比較する比較演算部と、
前記比較の結果に基づいて、前記波長毎の光信号のパワーレベルの目標値を生成する目標値算出部とを備え、
前記目標値算出部は、
前記光監視部から取得された波長毎の光信号のパワーレベル値に基づいて、前記波長多重信号のパワーレベルの中心値を求め、
前記比較演算部による比較の結果、前記取得された波長毎のパワーレベル値が前記所定の上限値を上回る場合、前記中心値と前記所定の上限値との間の値を、当該波長のパワーレベルの目標値とし、
前記比較演算部による比較の結果、前記取得された波長毎のパワーレベル値が前記所定の下限値を下回る場合、前記中心値と前記所定の下限値との間の値を、当該波長のパワーレベルの目標値とし、
前記制御信号送受信部は、前記目標値にしたがって前記波長多重信号のパワーレベルを波長毎に前記他のノードに変更させるため、前記算出された目標値を含む第1の制御信号を、前記他の光ノードの前記制御信号送受信部に送信することを特徴とする光ノード。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図12C】
image rotate

【図12D】
image rotate

【図12E】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図15C】
image rotate

【図15D】
image rotate

【図15E】
image rotate


【公開番号】特開2012−178686(P2012−178686A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40167(P2011−40167)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】