説明

光伝送構造体および光伝送モジュール

【課題】 信頼性の高い光導波路を有する光伝送構造体および光伝送モジュールを提供する。
【解決手段】 発光伝送構造体20は、2つの主面で開口する第1貫通孔30aを有する主基板30と、第1貫通孔30aの内部に位置し、且つ当該第1貫通孔30aの開口の一方から突出しつつ周囲に延在している第1光学部材40と、を有する。第1光学部材40は、突出している部位から他方の主面の側に窪んでいる窪み部40aを有し、該窪み部40aの内から他方の主面に向かって貫通している第2貫通孔40bを有している。該第2貫通孔40bの内部には、第1光学部材30の屈折率に比べて大きい屈折率を有する第2光学部材50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送構造体および光伝送モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理能力の向上を図るべく、集積回路素子などの電気素子の間の電気通信を光伝送に変更することが検討されている。例えば、特許文献1には、基板の厚み方向に延びる複数の光導波路を有する光伝送構造体に、複数の発光素子などの光電変換素子を実装した光伝送モジュールが開示されている。この光導波路は、基板を厚み方向に貫通する複数の貫通孔の各々に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−294857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された光伝送構造体では、周囲の温度変動によって生じる熱応力が貫通孔の開口に集中し、基板から光導波路が剥離してしまう場合があった。
【0005】
本発明は、上述の事情のもとで考え出されたものであって、信頼性の高い光導波路を有する光伝送構造体および光伝送モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る光伝送構造体は、2つの主面で開口する第1貫通孔を有する基板と、前記第1貫通孔の内部に位置し、且つ当該第1貫通孔の前記開口の一方から突出しつつ周囲に延在している第1光学部材と、を有する。前記第1光学部材は、前記突出している部位から他方の前記主面の側に窪んでいる窪み部を有し、該窪み部から前記他方の主面に貫通している第2貫通孔を有している。該第2貫通孔の内部には、前記第1光学部材の屈折率に比べて大きい屈折率を有する第2光学部材が設けられている。
【0007】
本発明の実施形態に係る光伝送モジュールは、本発明に係る光伝送構造体と、前記第2光学部材に光学的に結合される光素子と、を含んで構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、信頼性の高い光導波路を有する光伝送構造体および光伝送モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る光伝送モジュールの1つの実施形態の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係る光伝送構造体の1つの実施形態の概略構成を示す平面図である。
【図3】図2に示したIII−III線に沿った要部断面図である。
【図4】本発明に係る光伝送構造体の製造工程の1つの実施形態を示す要部断面図である。
【図5】図4に示した光伝送構造体の製造工程の続きの工程を示す要部断面図である。
【図6】図5に示した光伝送構造体の製造工程の続きの工程を示す要部断面図である。
【図7】本発明に係る光伝送構造体の他の実施形態の概略構成を示す平面図である。
【図8】図7に示したVIII−VIII線に沿った要部断面図である。
【図9】図3に示した光伝送構造体の他の実施形態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<光伝送構造体および光伝送モジュールの第1の実施形態>
以下、本発明に係る光伝送構造体および光伝送モジュールの一実施形態として光伝送構造体20および光伝送モジュール10を例示し、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1に示した光伝送モジュール10は、光伝送構造体20と、光素子としての光電変換素子11と、回路素子12とを備えている。
【0012】
図2,3に示した光伝送構造体20は、主基板30と、第1光学部材40と、複数の第2光学部材50と、電気配線60とを備えている。
【0013】
主基板30は、第1光学部材40、第2光学部材50、および電気配線60を支持する機能を担っている。この主基板30の厚みとしては、例えば0.1〜2〔mm〕の範囲が挙げられる。この主基板30としては、例えばガラス基材エポキシ樹脂基板、ガラス基材銅張基板、ポリイミド樹脂基板、セラミック基板などが使用される。この主基板30は、単層の基板、または複数の基板を積層した積層体として形成される。本実施形態では、複層のセラミック基板を採用している。本実施形態の主基板30は、複数の副基板31が積層されて構成されている。
【0014】
この主基板30は、厚み方向に貫通している貫通孔を有している。ここでは、この貫通孔を第1貫通孔30aとしている。この第1貫通孔30aは、主基板30の2つの主面で開口している。この第1貫通孔30aは、副基板31に設けられている副貫通孔31aが連通して構成されている。この副貫通孔31aは、副基板31の各々に設けられており、副基板31を厚み方向に貫通している。この厚み方向を図3ではD1,D2方向として示している。この第1貫通孔30aの内には、第1光学部材40が設けられている。
【0015】
第1光学部材40は、一部が第1貫通孔30aの内部に設けられている。この第1光学部材40は、第1貫通孔30aの開口の一方から突出し、当該突出した部位が第1貫通孔30aの開口の周囲に延在している。この第1光学部材40の突出した部位には、窪み部40aが設けられている。この窪み部40aは、主基板30の主面よりも突出した位置で開口し、他の主面側に窪んでいる。この光伝送構造体20では、窪み部40aを設けることによって、主基板30の第1貫通孔30aの開口との接触部に集中していた応力の一部を当該窪み部40aに分散することができる。この窪み部40aは、第1貫通孔30aの内に窪んでおり、底面が主基板30の一方の主面よりも窪んでいる。この光伝送構造体20では、第1貫通孔30aの開口よりも窪んだ位置に応力を分散することができる。
【0016】
この第1光学部材40には、窪み部40aの内から他方の主面に向かって貫通している貫通孔が設けられている。ここでは、この複数の貫通孔を第2貫通孔40bとしている。この第2貫通孔40bは、第1貫通孔30aの内側に位置している。この第2貫通孔40bは、主基板30の主面よりも窪んだ位置で開口している。この第2貫通孔40bは、複数設けられており、厚み方向と直交する1つの方向に沿って並んでいる。この1つの方向を本実施形態では配列方向としている。この配列方向を図1〜3ではD3,D4方向として示している。この配列方向は、主基板30の面方向のうち1方向に延びている。
【0017】
この第2貫通孔40bの各々の内には、第2光学部材50が設けられている。この第2光学部材50は、複数が配列方向に沿って配列され、各々が厚み方向に沿って延びている。この第2光学部材50の配列方向における間隔としては、例えば62.5〜250〔μm〕の範囲が挙げられる。また、配列方向に沿った第2光学部材50の径としては、例えば10〜100〔μm〕の範囲が挙げられる。
【0018】
第2光学部材50は、光伝送構造体20の光導波路20aとしての機能を有している。この第2光学部材50の屈折率は、第1光学部材40の屈折率に比べて大きくなっている。このように、第1光学部材40の屈折率に比べて第2光学部材50の屈折率を大きくすることで、第2光学部材50が光導波路20aとして機能することができるようになる。つまり、この第1光学部材40は光導波路20aのいわゆるクラッドとして機能し、第2光学部材50は光導波路20aのいわゆるコアとして機能している。この第2光学部材50の屈折率としては、第1光学部材40の屈折率に対しての比屈折率差としては、例えば0.8〜4〔%〕の範囲が挙げられる。
【0019】
この第2光学部材50は、1つの第1貫通孔30aの内に複数設けられている。この第2光学部材50は、1つの第1貫通孔の内に1つの第2光学部材を設ける場合に比べて、中心間の間隔を狭くすることができる。つまり、本実施形態の光伝送構造体20では、2つの第2貫通孔40bの間に第1光学部材40が介在するだけでよいので、中心間の間隔を狭くすることができる。さらに、本実施形態のように、主基板30として積層型セラミック基板を採用する際には、複数の副基板31を積層する際の積層ズレに対する許容誤差を大きくすることができる。
【0020】
この第1光学部材40を形成する材料としては、種々の樹脂が挙げられ、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などが含まれる。本実施形態では、第1光学部材40を形成する材料として、感光性を有する樹脂を採用している。このように感光性を有する樹脂を採用することで、フォトリソグラフィ技術を採用して第2貫通孔40bを形成することができる。
【0021】
フォトリソグラフィ技術を採用して第2貫通孔40bを形成する場合、次の利点がある。第1に、複数の第2貫通孔40bの間での相対的な位置ズレを極めて小さくすることができる点が挙げられる。複数の第2貫通孔40bを一度の露光によって一括形成することができるからである。第2貫通孔40bの位置ズレを小さくすると、他の光導波路に光学的に接続する際に、当該他の光導波路に対して第2貫通孔40bの内部を伝わる光を良好に伝送することができる。当業者の間では、複数の光導波路の間の相対的なズレが5〔μm〕以下であることが好ましいとされている。フォトリソグラフィ技術を採用する場合のズレは、第2貫通孔40bに相当するフォトマスクにおけるマスク部分の位置ズレに依存することになる。このフォトマスクの製造誤差は、一般的に1〔μm〕未満とされているので、第2貫通孔40bの位置ズレを5〔μm〕以下に抑えることが容易に可能である。
【0022】
第2に、第2貫通孔40bの内壁を滑らかにすることができる点が挙げられる。直進性の高い光を利用して第2貫通孔40bを形成するからである。内壁面を滑らかにすることで、第2貫通孔40bの内部を伝わる光の損失を小さくすることができる。当業者の間では、内部を伝わる光の波長に対して、内壁面の粗さが十分に小さいことが好ましいとされている。
【0023】
電気配線60は、第2光学部材50に光学的に結合している光電変換素子11に電気的に接続されている。この電気配線60は、主基板30のD1方向側の表面に設けられている表面配線層61を含んでいる。この電気配線60は、副基板31を貫通して形成されている貫通導体、および2つの副基板31の間に形成される中間配線層が含まれていてもよ
い。この貫通導体としては、中央が中空となった形状でも、また中央が導電ペーストなどにより埋められた構成でもかまわない。この貫通導体は、めっき法、金属膜の蒸着法、導電性樹脂の注入法などの方法を用いて形成できる。
【0024】
上述のように、電気配線60の表面配線層61には、光電変換素子11が電気的に接続されている。本実施形態の光電変換素子11は、電気配線60の表面配線層61に金属バンプ、導電性接着剤などによって実装される。この光電変換素子11と表面配線層61との接続部を除く他の部位は、保護層で覆われていてもよい。
【0025】
この光電変換素子11は、入力された電気信号に応じて光を発する機能、または入射された光に応じて電気信号に変換する機能を有している。この光電変換素子11は、光導波路20aに光学的に結合している。本実施形態の光電変換素子11は、電気配線60を介して入力された電気信号に応じて光導波路20aに光信号を伝送する機能、または光導波路20aを介して入力された光信号に応じて電気配線60に電気信号を伝送する機能を担っている。
【0026】
上述の光を発する光電変換素子11としては、種々の発光素子が適用できる。この光電変換素子11としては、例えば垂直共振器面発光レーザ(VCSEL;Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が好ましい。光を受ける光電変換素子11としては、例えばフォトダイオード(PD;Photo Diode)など種々の受光素子が適用できる。この受光素子
としてPDを採用する場合は、応答速度の速い素子が好ましく、例えばPIN−PDなどが挙げられる。
【0027】
光電変換素子11は、1つの素子に1つの光電変換部を有していても、1つの素子に複数の光電変換部を有していてもよい。本実施形態の光電変換素子11は、1つの素子に1つの光電変換部を有している。1つの光電変換部は、1つの第2光学部材50に対応して配置されている。この1つの光電変換部は、1つの光導波路20aに対応して配置されている。
【0028】
回路素子12は、電気配線60を介して光電変換素子11と電気的に接続されている。この回路素子12は、光電変換素子11の担う機能によって、担う機能が異なっている。光電変換素子11が光を発する場合、回路素子12は、光電変換素子11に変調された電気信号(変調電圧)を入力して、光電変換素子11の発光強度を制御している。また、光電変換素子11が光を受ける場合、回路素子12は、光電変換素子11で受光する光信号強度に応じて出力される電流信号を電圧信号に変換して出力している。また、この回路素子12は、信号の波形を制御したり、ノイズ成分を除去したりする機能を併せ持っていてもよい。なお、光電変換素子11で発する電気信号の出力が小さい場合、信号を増幅する機能を担っていても良い。この信号増幅機能は、光電変換素子11自体が有していてもよい。また、この回路素子12は、論理演算および数値計算を行う機能を有していてもよい。
【0029】
<光伝送構造体の製造方法の実施形態>
以下、本発明に係る光伝送構造体の製造方法の一実施形態として光伝送構造体20の製造方法を例示し、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
まず、主基板30を準備する。本実施形態の主基板30は、次の工程を経て製造される。まず、図4(a)に示したように、焼成することで副基板31となる複数のグリーンシート31Xを準備する。次に、図4(b)に示したように、このグリーンシート31Xに副貫通孔31aとなるシート孔31Xaを空ける。このシート孔31Xaの形成と併せて、電気配線60の貫通導体に用いられる貫通孔が必要に応じて形成される。これらの孔空
けは、種々の方法で形成でき、例えば、ピンおよび金型でシートを打ち抜いたり、レーザ光で削ったりして形成できる。次に、このグリーンシート31Xに電気配線60となる金属ペーストを配置する。この金属ペーストは、例えばスクリーン印刷技術を利用したり、インクジェット印刷技術を採用したりして形成することができる。この電気配線60となる金属ペーストとしては、例えばタングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)、および銅(Cu)などの金属を含有させたものが挙げられる。次に、図4(c)に示したように、シート孔31Xaが連通するようにグリーンシート31Xを積層する。次に、積層したグリーンシート31Xを焼成して、図5(a)に示したように、第1貫通孔30aを有する主基板30を形成する。このグリーンシート31Xの焼成と併せて金属ペーストを焼成し、電気配線60を形成する。
【0031】
次に、図5(b)に示したように、主基板30の第1貫通孔30aに、硬化することによって第1光学部材40となる感光性材料40Xを充填する。この感光性材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびポリイミド樹脂などを基材としたものが挙げられる。本実施形態では、露光することで現像液に対しての溶解性が低下するネガ型のフォトレジストを採用する。次に、図5(c)に示したように感光性材料40Xに窪み部40aとなる凹部40Xaを型押し形成しながら、プリベークをする。このプリベーク後に感光性材料40Xを露光する。この露光の際には、第2貫通孔40bとなる領域に光が照射されないようにしたフォトマスクを採用する。このようなフォトマスクを採用することによって、第2貫通孔40bとなる領域を一括して形成することができる。この露光の際の光源としては、例えば、各種ランプ、レーザ、および電子線などの種々のものが採用できる。次に、露光した感光性材料40Xをポストベークする。次に、ポストベークした感光性材料40Xを現像液で現像して、図6(a)に示したように、第2貫通孔40bを有する第1光学部材40を形成する。
【0032】
次に、第1光学部材40の第2貫通孔40bに第2光学部材50となる透光性材料を充填する。次にこの透光性材料を硬化して、図6(b)に示したように、第2光学部材50を形成する。
【0033】
上述の工程を経て、図6(b)に示した光伝送構造体20を製造することができる。本実施形態では、感光性材料40Xに凹部40Xaを形成することによって、硬化する際に感光性材料40Xが収縮しても第1貫通孔30aの開口に集中する応力を低減することができる。
【0034】
<光伝送構造体の第2の実施形態>
以下、本発明に係る光伝送構造体および光伝送モジュールの他の実施形態として光伝送構造体20Aを例示し、図面を参照しつつ説明する。
【0035】
図7,8に示した光伝送構造体20Aは、主基板30Aと、第1光学部材40Aと、複数の第2光学部材50と、電気配線60とを備えている。この光伝送構造体20Aは、主基板30Aおよび第1光学部材40Aを備える点において光伝送構造体20の構成と異なっている。この光伝送構造体20は、光電変換素子11を例示した光素子、および回路素子12を実装して光伝送モジュールとすることが可能である。
【0036】
主基板30Aは、複数の第1貫通孔30Aaを有している点において主基板30の構成と異なっている。この第1貫通孔30Aaは、主基板30Aの2つの主面で開口している。この第1貫通孔30Aaは、各光導波路20Aaに応じて設けられている。この第1貫通孔30Aaは、上述の配列方向に沿って配列されている。この第1貫通孔30Aaは、副基板31Aに設けられている副貫通孔31Aaが連通して構成されている。この副貫通孔31Aaは、副基板31Aの各々に設けられており、副基板31Aを厚み方向に貫通し
ている。この第1貫通孔30Aaの内には、第1光学部材40Aが設けられている。
【0037】
第1光学部材40Aは、一部が複数の第1貫通孔30Aaの内部に設けられている。この第1光学部材40Aは、第1貫通孔30Aaの開口の一方から突出し、当該突出した部位が第1貫通孔30Aaの開口の周囲に延在している。本実施形態では、第1光学部材40Aが一体的に構成されているが、第1貫通孔30Aaごとに分かれている構成も採用可能である。
【0038】
各第1光学部材40Aの突出した部位には、窪み部40Aaが設けられている。この窪み部40Aaは、主基板30Aの主面よりも突出した位置で開口し、他の主面側に窪んでいる。この光伝送構造体20Aでは、窪み部40aを設けることによって、主基板30Aの第1貫通孔30Aaの開口との接触部に集中していた応力の一部を当該窪み部40Aaに分散することができる。この窪み部40Aaは、第1貫通孔30Aaの内に窪んでおり、底面が主基板30Aの一方の主面よりも窪んでいる。この光伝送構造体20Aでは、第1貫通孔30Aaの開口よりも窪んだ位置に応力を分散することができる。
【0039】
光伝送構造体20Aの他の構成は、光伝送構造体20と共通の構成を採用している。また、主基板30Aおよび第1光学部材40Aは、上述した構成を除き、光伝送構造体20と共通の構成を採用している。
【0040】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0041】
上述の光伝送構造体20の製造方法では、ネガ型のフォトレジストを採用しているが、露光することで現像液に対しての溶解性が増加するポジ型のフォトレジストを採用してもよい。ポジ型を採用する場合には、露光する領域も併せて変更する。
【0042】
上述の光伝送構造体20の製造方法では、主基板30としてセラミック基板を採用した製造方法を記載しているが、有機基板を採用して光伝送構造体を製造してもよい。有機基板を採用して光伝送構造体を製造する場合は、副基板の積層後に、基体を打ち抜き加工して、第1貫通孔を形成してもよい。このようにして、副基板を一括で打ち抜く場合は副貫通孔の位置ズレを低減することができる。
【0043】
上述の光伝送構造体20では、第1光学部材40の第2貫通孔40bの内側に第2光学部材50が位置している。この第2光学部材50は、第2貫通孔40bから窪み部40aの内側に延出していてもよい。さらに、延出した第2光学部材50Bが窪み部40aの底面に広がり、一体的に構成されていてもよい。図9に示したように第2光学部材50Bが一体的に構成されている場合、第2貫通孔40bの内部に設けられる第2光学部材50Bの形状バラツキを低減することができる。第2光学部材50Bの形状バラツキを低減することで、伝送する光信号にズレが生じるのを低減することができる。
【0044】
上述の光伝送構造体20の製造方法では、感光性材料40Xを硬化する前に凹部40Xaを形成しているが、他の製造方法で窪み部40aを形成してもよい。例えば、感光性材料40Xを露光して第2貫通孔40bとなる貫通孔を形成し、硬化後に窪み部40aを形成してもよい。また、感光性材料40Xが硬化する際の重合収縮を利用して窪み部40aを形成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10・・・光伝送モジュール
11・・・光電変換素子
12・・・回路素子
20・・・光伝送構造体
20a・・・光導波路
21・・・光配線基板
30・・・主基板(基板)
30a・・・第1貫通孔
31・・・副基板
31X・・・グリーンシート
31a・・・副貫通孔
31Xa・・・シート孔
40・・・第1光学部材
40X・・・感光性材料
40a・・・窪み部
40b・・・第2貫通孔
50・・・第2光学部材
60・・・電気配線
61・・・表面配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの主面で開口する第1貫通孔を有する基板と、
前記第1貫通孔の内部に位置し、且つ当該第1貫通孔の前記開口の一方から突出しつつ周囲に延在している第1光学部材と、を有し、
前記第1光学部材は、前記突出している部位から他方の前記主面の側に窪んでいる窪み部を有し、該窪み部の内から前記他方の主面に向かって貫通している第2貫通孔を有しており、
該第2貫通孔の内部には、前記第1光学部材の屈折率に比べて大きい屈折率を有する第2光学部材が設けられている、光伝送構造体。
【請求項2】
前記窪み部の底面は、前記基板の一方の主面に比べて前記他方の主面側に窪んでいる、請求項1に記載の光伝送構造体。
【請求項3】
前記第2光学部材は、前記第1貫通孔から前記窪み部の内部に延出している、請求項1に記載の光伝送構造体。
【請求項4】
前記第1貫通孔は、前記主面の面方向に伸びる1つの方向に沿って配列している、請求項1に記載の光伝送構造体。
【請求項5】
請求項1に記載の光伝送構造体と、
前記第2光学部材に光学的に結合されている光素子と、を有する、光伝送モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−185353(P2012−185353A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48748(P2011−48748)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】