光伝送装置
【課題】非線形光学現象の発生を低減するために光波長を変動させた場合に、光波長が変動することに伴う光変動を抑制して高品質な光伝送を行う。
【解決手段】レーザ11は、光を発出する。レーザ駆動制御部12は、レーザ11の駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、レーザ駆動重畳信号をレーザ11に印加して、レーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象を抑圧して、レーザ11の駆動制御を行う。光パワー可変制御部13は、レーザ出力光のパワーを可変制御する。光変動補償部14は、光パワー可変制御部13の出力光をモニタし、モニタ結果から、レーザ出力光の波長変動に伴って生じるレーザ出力光の光変動を検出し、光変動を抑制するように光パワー可変制御部13の利得を制御する。
【解決手段】レーザ11は、光を発出する。レーザ駆動制御部12は、レーザ11の駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、レーザ駆動重畳信号をレーザ11に印加して、レーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象を抑圧して、レーザ11の駆動制御を行う。光パワー可変制御部13は、レーザ出力光のパワーを可変制御する。光変動補償部14は、光パワー可変制御部13の出力光をモニタし、モニタ結果から、レーザ出力光の波長変動に伴って生じるレーザ出力光の光変動を検出し、光変動を抑制するように光パワー可変制御部13の利得を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送を行う光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信システムにおいて、中継間隔を長くするためには、高強度の光を光ファイバ中に入射して伝送損失を補償しなければならない。しかし、光ファイバの非線形光学現象により入射可能な光強度には限界があり、特に、誘導ブリリュアン散乱(SBS:Stimulated Brillouin Scattering)と呼ばれる非線形光学現象が、最大入力光パワーを制限してしまう。
【0003】
SBSとは、強度の高い光を光ファイバに入射して伝送したときに、光ファイバの屈折率が変化して、入射した光の周波数がずれて散乱を引き起こす現象である。
光ファイバ伝送時にSBSが生じると、信号光が歪んでしまい、長距離伝送ができなくなるため、SBSの発生を抑圧した光伝送制御を行うことが必要である。SBSの発生を抑圧するためには、信号光の波長スペクトル幅(線幅)を拡げることでSBSの発生が抑えられることが知られている。
【0004】
図10は線幅を拡大した信号光を示す図である。横軸は光周波数であり、縦軸は光強度である。波形G1は、線幅を拡大する前の信号光を示し、波形G2は線幅拡大後の信号光を示している。
【0005】
波形G2のように、信号光の線幅を拡げて光ファイバへ入射することで、SBSの発生が抑えられ、光ファイバへの許容入射光レベルの限界を高めることができる。線幅の拡大は、信号光の周波数(波長)を時間変動させて、単位周波数辺りで見たときの光パワーを下げることで実現される。
【0006】
図11は光送信器の構成を示す図である。SBS抑圧機能を持つ従来の光送信器100の構成を示している。光送信器100は、DFB(Distributed Feedback)レーザ101、DFBドライバ102、発振器103、TEC(Thermo-Electrical Cooler)104、SOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)105、外部変調部106、APC(Auto Power Control)部110、カプラCp0から構成される。また、APC部110は、PD(Photo Diode)111、I/V変換部112、SOAドライバ113を含む。
【0007】
信号光の出力制御においては、DFBドライバ102は、DFBレーザ101を駆動するためのDFB駆動電流を送出する。光源であるDFBレーザ101は、電気信号が印加されることによって温度安定化を行うTEC104(ペルチェ素子などに該当)上に設置されており、DFBレーザ101は、DFB駆動電流にもとづいて、一定の光波長で発振する。
【0008】
SOA105は、DFBレーザ101から出力された光を増幅する。カプラCp0は、SOA105からの出力光を2分岐し、一方を外部変調部106へ送信し、他方をAPC部110へ送信する。外部変調部106は、光の強度に変調をかける外部変調を行って、所定の伝送レートを持つ信号光を出力する。
【0009】
また、PD111は、SOA105からの出力光をモニタして電流信号に変換し、I/V変換部112は、電流信号を電圧信号に変換する。SOAドライバ113は、入力された電圧信号と参照電圧とにもとづいて、I/V変換部112から出力された電圧信号が参照電圧と同じ値になるようにSOA駆動電流を生成し、SOA105の出力パワーが一定化するように利得制御(APC)を行う。
【0010】
一方、SBSの抑圧制御については、発振器103からの発振信号をDFBドライバ102へ送信する。DFBドライバ102は、発振信号によってDFB駆動電流を時間変動させて、DFBレーザ101の発振波長を変動させ、線幅の拡大を図る。
【0011】
例えば、20〜100KHzの発振信号をDFB駆動電流に重畳することによってDFB駆動電流を変動させ、変動させる振幅(変調振幅)を大きくすると、SBS抑圧の効果は大きくなり、光ファイバへの入射許容光パワーは大きくなる。
【0012】
従来のSBSを抑圧して光伝送を行う技術として、DFBレーザに入力する電流信号の信号源と、SOAに入力する電流信号の信号源とを別個に設けて、独立して制御する技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−261590号公報(段落番号〔0016〕〜〔0020〕,第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のように、SBSの発生を抑圧するためには、DFB駆動電流を変動させて、光波長を変動させることが必要であるが、DFB駆動電流を変動させると、光波長の変動に伴ってDFBレーザ101からの出力光の振幅も変動してしまい、伝送品質が劣化するといった問題があった。
【0014】
図12は光出力が変動する様子を示す図である。横軸は時間、縦軸は光パワーである。出力光G11は、DFBレーザ101の出力光の波形を示す。出力光G12は、外部変調部106から出力された信号光の波形を示す。
【0015】
DFB駆動電流を変動させることによって、DFBレーザ101からの出力光G11も変動するが、変動した状態のままの出力光G11に対して、外部変調を施して信号光を生成して伝送すると、出力光G11の変動は、グラフG12のように伝送波形の劣化(干渉劣化)となって現れることになる。
【0016】
ここで、出力光G11のレベルp1のときに強度変調(外部変調)されたときの信号光をs1とし、レベルp2のときに強度変調されたときの信号光をs2とし、レベルp3のときに強度変調されたときの信号光をs3とし、レベルp4のときに強度変調されたときの信号光をs4とし、レベルp5のときに強度変調されたときの信号光をs5とし、レベルp6のときに強度変調されたときの信号光をs6とすると、信号光s1〜s6の光ファイバ伝送時には、これらの信号光s1〜s6が互いに干渉してしまい、伝送劣化が生じることになる(このような信号光を受信側で測定すると、アイ(開口度)が狭いアイパターンが測定される)。
【0017】
図13は波形干渉による伝送特性劣化を示す図である。横軸は受信器側の光受信レベル、縦軸がビットエラーレート(BER)である。グラフG13は、波形干渉がないときの伝送特性劣化を示し、グラフG14は、波形干渉があるときの伝送特性劣化を示している。
【0018】
光受信レベルがP1のとき、波形干渉がないときのビットエラーレートはb1であるが、波形干渉があるときのビットエラーレートはb2となって(b1<b2)、波形干渉が生じると伝送特性の劣化が大きくなることがわかる。
【0019】
このように、SBSの発生を抑圧して、光ファイバへの入射許容光パワーを大きくするためには、DFB駆動電流の変動幅を大きくする必要があるが、DFB駆動電流の変動幅を大きくすると、光出力変動も大きくなって伝送劣化が生じるといったトレードオフが発生してしまう。近年では、光ファイバへの許容光パワーの拡大が求められているが、SBS抑圧時の伝送特性劣化を抑制することが課題となっている。
【0020】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、光ファイバ伝送時の非線形光学現象の発生を低減するために光波長を変動させた場合に、光波長が変動することに伴う光出力変動を抑制して、高品質な光伝送を行う光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、光伝送を行う光伝送装置が提供される。この光伝送装置は、光を発出するレーザと、前記レーザの駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、前記レーザ駆動重畳信号を前記レーザに印加して、レーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象を抑圧して、前記レーザの駆動制御を行うレーザ駆動制御部と、前記レーザ出力光のパワーを可変制御する光パワー可変制御部と、前記光パワー可変制御部の出力光をモニタし、モニタ結果から、前記レーザ出力光の波長変動に伴って生じる前記レーザ出力光の光変動を検出し、前記光変動を抑制するように前記光パワー可変制御部の利得を制御する光変動補償部とを有する。
【0022】
ここで、レーザは、光を発出する。レーザ駆動制御部は、レーザの駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、レーザ駆動重畳信号をレーザに印加して、レーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象を抑圧して、レーザの駆動制御を行う。光パワー可変制御部は、レーザ出力光のパワーを可変制御する。光変動補償部は、光パワー可変制御部の出力光をモニタし、モニタ結果から、レーザ出力光の波長変動に伴って生じるレーザ出力光の光変動を検出し、光変動を抑制するように光パワー可変制御部の利得を制御する。
【発明の効果】
【0023】
光ファイバ伝送時の非線形光学現象の発生を低減するために光波長を変動させた場合に、光波長が変動することに伴う光変動を除去し、伝送特性劣化を抑制して高品質な光伝送を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は光伝送装置の原理図である。光伝送装置1は、レーザ11、レーザ駆動制御部12、光パワー可変制御部13、光変動補償部14、外部変調部16、カプラCp1から構成される。
【0025】
レーザ11は、光を発出する。レーザ駆動制御部12は、レーザ11の駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、レーザ駆動重畳信号をレーザ11に印加して、高強度のレーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象(誘導ブリリュアン散乱:SBS)を抑圧して、レーザ11の駆動制御を行う。
【0026】
光パワー可変制御部13は、レーザ出力光のパワーを可変制御する。光変動補償部14は、カプラCp1で分岐された、光パワー可変制御部13の出力光をモニタして、レーザ出力光の波長変動に伴って生じるレーザ出力光の光変動(光振幅変動)を検出し、変調信号の位相と、光変動の位相とを比較して、光変動を抑制するための利得補償信号を生成する。そして、利得補償信号にもとづいて、光パワー可変制御部13の利得を制御することで、光変動を抑制する。外部変調部16は、光パワー可変制御部13からの出力光の外部変調を行って、信号光a3を生成し光ファイバを通じて伝送する。
【0027】
なお、出力光a1は、SBS抑圧のためにレーザ駆動重畳信号により波長変動されたもので、波長変動に伴い光変動を持っている。また、出力光a2は、光変動補償部14による光パワー可変制御部13の利得制御によって光変動が取り除かれている。
【0028】
したがって、出力光a2に外部変調を施すことで、SBS抑圧のために波長変動はされているが(線幅が拡大されているが)、光変動が抑制された信号光a3が生成されるので、許容光パワーを拡大して、SBS抑圧時の伝送特性劣化を抑制した光ファイバ伝送が可能になる。
【0029】
次に光変動補償制御について説明する。図2は光変動補償の概念を説明するための図である。横軸は時間、縦軸は光パワーである。出力光a1(レーザ出力光a1)の波形に対して、レーザ出力光a1の波形を反転させた形状を持つ利得g0で光パワー可変制御部13を制御する。
【0030】
この利得g0で光パワー可変制御部13を制御することにより、レーザ出力光a1は、反転波形で補償されることになる。例えば、区間t1では光パワー可変制御部13の利得補償量を小さくして、出力光a1が平坦化するように増幅利得を小さく制御し、区間t2では光パワー可変制御部13の利得補償量を大きくして、出力光a1が平坦化するように増幅利得を大きく制御する。これにより、光変動分が除去された出力光a2が、光パワー可変制御部13から出力することになる。
【0031】
上記の図2は、光パワー可変制御部13による補償が適正である状態を示しており、SBS抑圧のために生じたレーザ出力光a1の光変動は、光パワー可変制御部13で過不足なく補償され、出力光a2は平滑化して安定している。
【0032】
次に光伝送装置1の具体的な構成および動作について説明する。図3は光伝送装置の構成を示す図である。光伝送装置1−1は、DFBレーザ11a、TEC11b、レーザ駆動制御部12−1、SOA13−1、光変動補償部14−1、APC部15−1、外部変調部16、カプラCp1から構成される。なお、SOA13−1は光パワー可変制御部13に該当し、SOAの代わりにVOA(Variable Optical Attenuator)を使用してもよい。
【0033】
また、レーザ駆動制御部12−1は、OSC(Optical Supervisor Channel)源信号発振部12a、DFBドライバ12b、コンデンサC1を含む。光変動補償部14−1は、バンドパスフィルタ14a、位相比較部14b、ローパスフィルタ14c、利得可変アンプ14d、位相設定部14e−1、14e−2、コンデンサC2を含む。APC部15−1は、PD15a、I/V変換部15b、比較部15c、SOAドライバ15dを含む。
【0034】
OSC源信号発振部12aは、低周波の変調信号であるOSC源信号を発振する。OSC源信号は、位相設定部14e−1、14e−2およびDFBドライバ12bへ送信される。なお、OSC源信号とは、装置状態を監視して他の装置と通信する際に用いられる監視制御用の光信号であるOSC信号の源信号となるものである。ここでは、OSC源信号をOSC信号の生成だけでなく、SBS抑圧のための変調信号としても使用している。
【0035】
DFBドライバ12bは、コンデンサC1によってDC成分がカットされたOSC源信号によって、DFB駆動電流を時間変動させて、DFBレーザ11aの発振波長を変動させるためのDFB駆動重畳信号を生成して、DFBレーザ11aへ送信する。
【0036】
LD(Laser Diode)光源であるDFBレーザ11aは、電気信号が印加されることによって温度安定化を行うTEC11b(ペルチェ素子などに該当)上に設置されており、DFBレーザ11aは、DFB駆動重畳信号にもとづいて、光波長が変動したレーザ出力光a1を出力する。
【0037】
SOA13−1は、レーザ出力光a1を増幅してSOA出力光a2を出力する。カプラCp1は、SOA出力光a2を2分岐し、一方を外部変調部16へ送信し、他方をAPC部15−1へ送信する。外部変調部16は、SOA出力光a2の強度に変調をかける外部変調を行って、所定の伝送レートを持つ信号光a3を生成して、光ファイバを通じて送出する。
【0038】
また、APC部15−1において、PD15aは、SOA出力光a2をモニタして電流信号に変換し、I/V変換部15bは、電流信号を電圧信号に変換する。比較部15cは、入力された電圧信号と、あらかじめ設定された参照電圧refとにもとづいて、I/V変換部15bから出力された電圧信号が参照電圧refと同じ値になるような制御信号を生成する。SOAドライバ15dは、制御信号にもとづいて、SOA駆動電流を生成し、SOA13−1の出力パワーが一定化するように利得制御(APC)を行う。
【0039】
さらに、光変動補償部14−1において、バンドパスフィルタ14aは、I/V変換部15bから出力される電気信号に対して、バンドパスフィルタリングを行って、光変動の周波数成分を抽出し、光変動信号を出力する。
【0040】
位相設定部14e−1は、光伝送装置1−1内部のアナログ回路系や演算処理等で生じる遅延を設定する遅延設定部であって、バンドパスフィルタ14aの出力位相と、OSC源信号の位相とを比較する際に必要な遅延量を、OSC源信号に対して設定する。
【0041】
位相比較部14bは、バンドパスフィルタ14aから出力される光変動信号(以下、BPF出力と呼ぶ)の位相と、位相設定部14e−1から出力される所定の遅延量が設定されたOSC源信号(以下、OSC源出力と呼ぶ)の位相とを比較して、位相検出信号d1(位相検出結果)を出力する。ローパスフィルタ14cは、位相検出信号d1を平滑化して、利得補償量を生成して利得可変アンプ14dへ出力する。
【0042】
位相設定部14e−2は、位相設定部14e−1と同様に、OSC源信号に任意の遅延を設定する機能を有しており、レーザ出力光a1の変動波形に対して反転波形となるために必要な位相シフト分の遅延量を、OSC源出力に設定する。
【0043】
利得可変アンプ14dは、位相設定部14e−1から出力される所定の遅延量が設定されたOSC源出力(位相シフト変調信号)に、ローパスフィルタ14cから与えられる利得補償量を設定して利得補償信号g1を生成する。
【0044】
利得補償信号g1は、コンデンサC2でDCカットされた後に、SOAドライバ15dから出力されるSOA駆動電流に重畳され、SOA駆動重畳信号となってSOA13−1へ入力される。
【0045】
次に光変動補償の制御について説明する。図4は光変動補償が過剰な場合の状態を示す図である。横軸は時間、縦軸は光パワーである。レーザ出力光a1の光変動は、SOA13−1(光パワー可変制御部13)で補償されているが過剰であり、SOA出力光a2は、利得補償信号g1によって変動している。
【0046】
このとき、SOA出力光a2と、利得補償信号g1とは正位相になっている。すなわち、SOA出力光a2と利得補償信号g1との極性は共に、区間t1では負、区間t2では正、区間t3では負であるので正位相となる。
【0047】
図5は光変動補償が不足している場合の状態を示す図である。横軸は時間、縦軸は光パワーである。SBS抑圧のために生じたレーザ出力光a1の光変動は、SOA13−1で補償されているが不十分であり、SOA出力光a2には光変動が残っている。
【0048】
このとき、SOA出力光a2と、利得補償信号g1とは逆位相になっている。すなわち、区間t1では、SOA出力光a2の極性は正、利得補償信号g1の極性は負であり、区間t2では、SOA出力光a2の極性は負、利得補償信号g1の極性は正であり、区間t3では、SOA出力光a2の極性は正、利得補償信号g1の極性は負であるので逆位相となる。
【0049】
図6は補償が過剰な場合の利得補償量を生成する様子を示す図である。図4で示したように、利得補償が過剰な場合は、BPF出力の位相(SOA出力光a2の位相に対応)と、OSC源出力の位相(利得補償信号g1の位相に対応)とは正位相になる。
【0050】
位相比較部14bは、このような位相状態のBPF出力とOSC源出力との互いの位相を比較して位相検出信号d1を出力する。位相比較動作として、OSC源出力が正転の場合は、正転区間内のBPF出力の極性の値を持つ信号を出力し、OSC源出力が反転の場合は、反転区間内のBPF出力の極性を反転させた値を持つ信号を出力して位相検出信号d1を出力する。
【0051】
図6の場合、OSC源出力の正転区間r1では、BPF出力の極性は正なので、極性がそのままの正極性の位相検出信号d1が出力し、OSC源出力の反転区間r2では、BPF出力の極性は負なので、極性が反転された正極性の位相検出信号d1が出力し、OSC源出力の正転区間r3では、BPF出力の極性は正なので、極性がそのままの正極性の位相検出信号d1が出力する。
【0052】
したがって、位相比較部14bからは、基準値(0)に対して正側に位置する位相検出信号d1が出力することになる。なお、位相検出信号d1は、ローパスフィルタ14cに入力して平滑化処理されることで平坦化信号となり、これが利得補償量(+)となる。
【0053】
利得補償量(+)は、利得可変アンプ14dに与えられることになり、利得補償量が正の場合、利得可変アンプ14dは、利得が過剰であることを認識して、利得を小さくして補償量を減らす制御を行う。
【0054】
図7は補償が不足している場合の利得補償量を生成する様子を示す図である。図5で示したように、利得補償が不足している場合は、BPF出力の位相(SOA出力光a2の位相に対応)と、OSC源出力の位相(利得補償信号g1の位相に対応)とは逆位相になる。
【0055】
位相比較部14bは、このような位相状態のBPF出力とOSC源出力との互いの位相を比較して位相検出信号d1を出力する。図7の場合、OSC源出力の正転区間r1では、BPF出力の極性は負なので、極性がそのままの負極性の位相検出信号d1が出力し、OSC源出力の反転区間r2では、BPF出力の極性は正なので、極性が反転した負極性の位相検出信号d1が出力し、OSC源出力の正転区間r3では、BPF出力の極性は負なので、極性がそのままの負極性の位相検出信号d1が出力する。
【0056】
したがって、位相比較部14bからは、基準値(0)に対して負側に位置する位相検出信号d1が出力することになる。なお、位相検出信号d1は、ローパスフィルタ14cに入力して平滑化処理されることで平坦化信号となり、これが利得補償量(−)となる。
【0057】
利得補償量(−)は、利得可変アンプ14dに与えられることになり、利得補償量が負の場合、利得可変アンプ14dは、利得が不足していることを認識して、利得を大きくして補償量を増やす制御を行う。
【0058】
なお、利得補償信号g1は、図3の構成からわかるように、APCループ外からオフセットとして与えられ、ループ時定数の影響を受けない部位から印加している。このため、APCループ時定数の影響を受けずに、光変動補償を行うことができる。
【0059】
次に光伝送装置1の構成の他の実施の形態について説明する。図8は光伝送装置の構成を示す図である。図3で示した光伝送装置1−1は、SOA出力光a2をフィードバックして光変動補償を行う構成としたが、光伝送装置1−2は、外部変調部16で出力される信号光a3をフィードバックして、光変動補償を行う構成である。
【0060】
光伝送装置1−2は、DFBレーザ11a、TEC11b、レーザ駆動制御部12−1、SOA13−1、光変動補償部14−2、APC部15−1、外部変調部16、カプラCp1、Cp2から構成される。
【0061】
また、レーザ駆動制御部12−1は、OSC源信号発振部12a、DFBドライバ12b、コンデンサC1を含む。光変動補償部14−2は、バンドパスフィルタ14a、位相比較部14b、ローパスフィルタ14c、利得可変アンプ14d、位相設定部14e−1、14e−2、コンデンサC2、PD14f、I/V変換部14gを含む。APC部15−1は、PD15a、I/V変換部15b、比較部15c、SOAドライバ15dを含む。
【0062】
ここで、カプラCp2は、外部変調部16で出力される信号光a3を分岐し、PD14fは、分岐された信号光a3をモニタして電流信号を生成する。I/V変換部14gは、電流信号を電圧信号に変換し、バンドパスフィルタ14aへ出力する。その他の動作は図3と同じなので説明は省略する。
【0063】
図9は光伝送装置の構成を示す図である。光伝送装置1−3は、CPU制御によって光変動補償を行う(利得補償量の抽出をCPU演算処理で行う)構成である。なお、図では、CPUでディジタル演算制御する構成ブロックを太線枠で示している。
【0064】
光伝送装置1−3は、DFBレーザ11a、TEC11b、レーザ駆動制御部12−3、SOA13−1、光変動補償部14−3、APC部15−3、外部変調部16、カプラCp1から構成される。
【0065】
また、レーザ駆動制御部12−3は、OSC源信号発振部12a、DFBドライバ12b、分周部12c、DFB変調波形生成部12d、D/A部12e、コンデンサC1を含む。
【0066】
光変動補償部14−3は、バンドパスフィルタ14a、位相比較部14b、ローパスフィルタ14c、位相設定部14e−1、14e−2、A/D部14h、補償波形生成部14i、D/A部14j、コンデンサC2を含む。APC部15−3は、PD15a、I/V変換部15b、比較部15c、ローパスフィルタ15e、15f、A/D部15g、D/A部15hを含む。
【0067】
基本的な動作は図3と同じなのでCPU制御に関連する構成要素の動作を中心に説明する。分周部12cは、OSC源信号を分周してSBS抑圧のための発振周波数を生成する。DFB変調波形生成部12dは、分周部12cから出力された低周波クロックの波形整形および振幅を設定して変調信号を生成する。
【0068】
D/A部12eは、ディジタルの変調信号をアナログの変調信号に変換する。変調信号はコンデンサC1でDC成分がカットされて、DFBドライバ12bから出力されたDFB駆動信号に重畳され、DFB駆動重畳信号となってDFBレーザ11aに印加される。
【0069】
一方、バンドパスフィルタ14aの出力信号であるBPF出力は、A/D部14hによりディジタル信号に変換されて位相比較部14bに入力する。位相比較部14bは、ディジタルのBPF出力の位相と、位相設定部14e−1から出力される所定の遅延量が設定された低周波クロックであるOSC源出力の位相とを比較して、位相検出信号d1を出力する。ローパスフィルタ14cは、位相検出信号d1を平滑化して、利得補償量を生成して補償波形生成部14iへ出力する。
【0070】
位相設定部14e−2は、レーザ出力光a1の変動波形に対して反転波形となるために必要な位相シフト分の遅延量を、OSC源出力に設定する。補償波形生成部14iは、位相設定部14e−2から出力される所定の遅延量が設定されたOSC源出力に、ローパスフィルタ14cから与えられる利得補償量を設定して利得補償信号g1を生成する。
【0071】
利得補償信号g1は、D/A部14jでアナログ信号に変換され、コンデンサC2でDCカットされた後に、D/A部15hから出力されたSOA13−1の駆動電流に重畳され、SOA駆動重畳信号となってSOA13−1へ入力される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】光伝送装置の原理図である。
【図2】光変動補償の概念を説明するための図である。
【図3】光伝送装置の構成を示す図である。
【図4】光変動補償が過剰な場合の状態を示す図である。
【図5】光変動補償が不足している場合の状態を示す図である。
【図6】補償が過剰な場合の利得補償量を生成する様子を示す図である。
【図7】補償が不足している場合の利得補償量を生成する様子を示す図である。
【図8】光伝送装置の構成を示す図である。
【図9】光伝送装置の構成を示す図である。
【図10】線幅を拡大した信号光を示す図である。
【図11】光送信器の構成を示す図である。
【図12】光出力が変動する様子を示す図である。
【図13】波形干渉による伝送特性劣化を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 光伝送装置
11 レーザ
12 レーザ駆動制御部
13 光パワー可変制御部
14 光変動補償部
16 外部変調部
Cp1 カプラ
a1、a2 出力光
a3 信号光
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送を行う光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信システムにおいて、中継間隔を長くするためには、高強度の光を光ファイバ中に入射して伝送損失を補償しなければならない。しかし、光ファイバの非線形光学現象により入射可能な光強度には限界があり、特に、誘導ブリリュアン散乱(SBS:Stimulated Brillouin Scattering)と呼ばれる非線形光学現象が、最大入力光パワーを制限してしまう。
【0003】
SBSとは、強度の高い光を光ファイバに入射して伝送したときに、光ファイバの屈折率が変化して、入射した光の周波数がずれて散乱を引き起こす現象である。
光ファイバ伝送時にSBSが生じると、信号光が歪んでしまい、長距離伝送ができなくなるため、SBSの発生を抑圧した光伝送制御を行うことが必要である。SBSの発生を抑圧するためには、信号光の波長スペクトル幅(線幅)を拡げることでSBSの発生が抑えられることが知られている。
【0004】
図10は線幅を拡大した信号光を示す図である。横軸は光周波数であり、縦軸は光強度である。波形G1は、線幅を拡大する前の信号光を示し、波形G2は線幅拡大後の信号光を示している。
【0005】
波形G2のように、信号光の線幅を拡げて光ファイバへ入射することで、SBSの発生が抑えられ、光ファイバへの許容入射光レベルの限界を高めることができる。線幅の拡大は、信号光の周波数(波長)を時間変動させて、単位周波数辺りで見たときの光パワーを下げることで実現される。
【0006】
図11は光送信器の構成を示す図である。SBS抑圧機能を持つ従来の光送信器100の構成を示している。光送信器100は、DFB(Distributed Feedback)レーザ101、DFBドライバ102、発振器103、TEC(Thermo-Electrical Cooler)104、SOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)105、外部変調部106、APC(Auto Power Control)部110、カプラCp0から構成される。また、APC部110は、PD(Photo Diode)111、I/V変換部112、SOAドライバ113を含む。
【0007】
信号光の出力制御においては、DFBドライバ102は、DFBレーザ101を駆動するためのDFB駆動電流を送出する。光源であるDFBレーザ101は、電気信号が印加されることによって温度安定化を行うTEC104(ペルチェ素子などに該当)上に設置されており、DFBレーザ101は、DFB駆動電流にもとづいて、一定の光波長で発振する。
【0008】
SOA105は、DFBレーザ101から出力された光を増幅する。カプラCp0は、SOA105からの出力光を2分岐し、一方を外部変調部106へ送信し、他方をAPC部110へ送信する。外部変調部106は、光の強度に変調をかける外部変調を行って、所定の伝送レートを持つ信号光を出力する。
【0009】
また、PD111は、SOA105からの出力光をモニタして電流信号に変換し、I/V変換部112は、電流信号を電圧信号に変換する。SOAドライバ113は、入力された電圧信号と参照電圧とにもとづいて、I/V変換部112から出力された電圧信号が参照電圧と同じ値になるようにSOA駆動電流を生成し、SOA105の出力パワーが一定化するように利得制御(APC)を行う。
【0010】
一方、SBSの抑圧制御については、発振器103からの発振信号をDFBドライバ102へ送信する。DFBドライバ102は、発振信号によってDFB駆動電流を時間変動させて、DFBレーザ101の発振波長を変動させ、線幅の拡大を図る。
【0011】
例えば、20〜100KHzの発振信号をDFB駆動電流に重畳することによってDFB駆動電流を変動させ、変動させる振幅(変調振幅)を大きくすると、SBS抑圧の効果は大きくなり、光ファイバへの入射許容光パワーは大きくなる。
【0012】
従来のSBSを抑圧して光伝送を行う技術として、DFBレーザに入力する電流信号の信号源と、SOAに入力する電流信号の信号源とを別個に設けて、独立して制御する技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−261590号公報(段落番号〔0016〕〜〔0020〕,第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のように、SBSの発生を抑圧するためには、DFB駆動電流を変動させて、光波長を変動させることが必要であるが、DFB駆動電流を変動させると、光波長の変動に伴ってDFBレーザ101からの出力光の振幅も変動してしまい、伝送品質が劣化するといった問題があった。
【0014】
図12は光出力が変動する様子を示す図である。横軸は時間、縦軸は光パワーである。出力光G11は、DFBレーザ101の出力光の波形を示す。出力光G12は、外部変調部106から出力された信号光の波形を示す。
【0015】
DFB駆動電流を変動させることによって、DFBレーザ101からの出力光G11も変動するが、変動した状態のままの出力光G11に対して、外部変調を施して信号光を生成して伝送すると、出力光G11の変動は、グラフG12のように伝送波形の劣化(干渉劣化)となって現れることになる。
【0016】
ここで、出力光G11のレベルp1のときに強度変調(外部変調)されたときの信号光をs1とし、レベルp2のときに強度変調されたときの信号光をs2とし、レベルp3のときに強度変調されたときの信号光をs3とし、レベルp4のときに強度変調されたときの信号光をs4とし、レベルp5のときに強度変調されたときの信号光をs5とし、レベルp6のときに強度変調されたときの信号光をs6とすると、信号光s1〜s6の光ファイバ伝送時には、これらの信号光s1〜s6が互いに干渉してしまい、伝送劣化が生じることになる(このような信号光を受信側で測定すると、アイ(開口度)が狭いアイパターンが測定される)。
【0017】
図13は波形干渉による伝送特性劣化を示す図である。横軸は受信器側の光受信レベル、縦軸がビットエラーレート(BER)である。グラフG13は、波形干渉がないときの伝送特性劣化を示し、グラフG14は、波形干渉があるときの伝送特性劣化を示している。
【0018】
光受信レベルがP1のとき、波形干渉がないときのビットエラーレートはb1であるが、波形干渉があるときのビットエラーレートはb2となって(b1<b2)、波形干渉が生じると伝送特性の劣化が大きくなることがわかる。
【0019】
このように、SBSの発生を抑圧して、光ファイバへの入射許容光パワーを大きくするためには、DFB駆動電流の変動幅を大きくする必要があるが、DFB駆動電流の変動幅を大きくすると、光出力変動も大きくなって伝送劣化が生じるといったトレードオフが発生してしまう。近年では、光ファイバへの許容光パワーの拡大が求められているが、SBS抑圧時の伝送特性劣化を抑制することが課題となっている。
【0020】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、光ファイバ伝送時の非線形光学現象の発生を低減するために光波長を変動させた場合に、光波長が変動することに伴う光出力変動を抑制して、高品質な光伝送を行う光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、光伝送を行う光伝送装置が提供される。この光伝送装置は、光を発出するレーザと、前記レーザの駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、前記レーザ駆動重畳信号を前記レーザに印加して、レーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象を抑圧して、前記レーザの駆動制御を行うレーザ駆動制御部と、前記レーザ出力光のパワーを可変制御する光パワー可変制御部と、前記光パワー可変制御部の出力光をモニタし、モニタ結果から、前記レーザ出力光の波長変動に伴って生じる前記レーザ出力光の光変動を検出し、前記光変動を抑制するように前記光パワー可変制御部の利得を制御する光変動補償部とを有する。
【0022】
ここで、レーザは、光を発出する。レーザ駆動制御部は、レーザの駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、レーザ駆動重畳信号をレーザに印加して、レーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象を抑圧して、レーザの駆動制御を行う。光パワー可変制御部は、レーザ出力光のパワーを可変制御する。光変動補償部は、光パワー可変制御部の出力光をモニタし、モニタ結果から、レーザ出力光の波長変動に伴って生じるレーザ出力光の光変動を検出し、光変動を抑制するように光パワー可変制御部の利得を制御する。
【発明の効果】
【0023】
光ファイバ伝送時の非線形光学現象の発生を低減するために光波長を変動させた場合に、光波長が変動することに伴う光変動を除去し、伝送特性劣化を抑制して高品質な光伝送を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は光伝送装置の原理図である。光伝送装置1は、レーザ11、レーザ駆動制御部12、光パワー可変制御部13、光変動補償部14、外部変調部16、カプラCp1から構成される。
【0025】
レーザ11は、光を発出する。レーザ駆動制御部12は、レーザ11の駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、レーザ駆動重畳信号をレーザ11に印加して、高強度のレーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象(誘導ブリリュアン散乱:SBS)を抑圧して、レーザ11の駆動制御を行う。
【0026】
光パワー可変制御部13は、レーザ出力光のパワーを可変制御する。光変動補償部14は、カプラCp1で分岐された、光パワー可変制御部13の出力光をモニタして、レーザ出力光の波長変動に伴って生じるレーザ出力光の光変動(光振幅変動)を検出し、変調信号の位相と、光変動の位相とを比較して、光変動を抑制するための利得補償信号を生成する。そして、利得補償信号にもとづいて、光パワー可変制御部13の利得を制御することで、光変動を抑制する。外部変調部16は、光パワー可変制御部13からの出力光の外部変調を行って、信号光a3を生成し光ファイバを通じて伝送する。
【0027】
なお、出力光a1は、SBS抑圧のためにレーザ駆動重畳信号により波長変動されたもので、波長変動に伴い光変動を持っている。また、出力光a2は、光変動補償部14による光パワー可変制御部13の利得制御によって光変動が取り除かれている。
【0028】
したがって、出力光a2に外部変調を施すことで、SBS抑圧のために波長変動はされているが(線幅が拡大されているが)、光変動が抑制された信号光a3が生成されるので、許容光パワーを拡大して、SBS抑圧時の伝送特性劣化を抑制した光ファイバ伝送が可能になる。
【0029】
次に光変動補償制御について説明する。図2は光変動補償の概念を説明するための図である。横軸は時間、縦軸は光パワーである。出力光a1(レーザ出力光a1)の波形に対して、レーザ出力光a1の波形を反転させた形状を持つ利得g0で光パワー可変制御部13を制御する。
【0030】
この利得g0で光パワー可変制御部13を制御することにより、レーザ出力光a1は、反転波形で補償されることになる。例えば、区間t1では光パワー可変制御部13の利得補償量を小さくして、出力光a1が平坦化するように増幅利得を小さく制御し、区間t2では光パワー可変制御部13の利得補償量を大きくして、出力光a1が平坦化するように増幅利得を大きく制御する。これにより、光変動分が除去された出力光a2が、光パワー可変制御部13から出力することになる。
【0031】
上記の図2は、光パワー可変制御部13による補償が適正である状態を示しており、SBS抑圧のために生じたレーザ出力光a1の光変動は、光パワー可変制御部13で過不足なく補償され、出力光a2は平滑化して安定している。
【0032】
次に光伝送装置1の具体的な構成および動作について説明する。図3は光伝送装置の構成を示す図である。光伝送装置1−1は、DFBレーザ11a、TEC11b、レーザ駆動制御部12−1、SOA13−1、光変動補償部14−1、APC部15−1、外部変調部16、カプラCp1から構成される。なお、SOA13−1は光パワー可変制御部13に該当し、SOAの代わりにVOA(Variable Optical Attenuator)を使用してもよい。
【0033】
また、レーザ駆動制御部12−1は、OSC(Optical Supervisor Channel)源信号発振部12a、DFBドライバ12b、コンデンサC1を含む。光変動補償部14−1は、バンドパスフィルタ14a、位相比較部14b、ローパスフィルタ14c、利得可変アンプ14d、位相設定部14e−1、14e−2、コンデンサC2を含む。APC部15−1は、PD15a、I/V変換部15b、比較部15c、SOAドライバ15dを含む。
【0034】
OSC源信号発振部12aは、低周波の変調信号であるOSC源信号を発振する。OSC源信号は、位相設定部14e−1、14e−2およびDFBドライバ12bへ送信される。なお、OSC源信号とは、装置状態を監視して他の装置と通信する際に用いられる監視制御用の光信号であるOSC信号の源信号となるものである。ここでは、OSC源信号をOSC信号の生成だけでなく、SBS抑圧のための変調信号としても使用している。
【0035】
DFBドライバ12bは、コンデンサC1によってDC成分がカットされたOSC源信号によって、DFB駆動電流を時間変動させて、DFBレーザ11aの発振波長を変動させるためのDFB駆動重畳信号を生成して、DFBレーザ11aへ送信する。
【0036】
LD(Laser Diode)光源であるDFBレーザ11aは、電気信号が印加されることによって温度安定化を行うTEC11b(ペルチェ素子などに該当)上に設置されており、DFBレーザ11aは、DFB駆動重畳信号にもとづいて、光波長が変動したレーザ出力光a1を出力する。
【0037】
SOA13−1は、レーザ出力光a1を増幅してSOA出力光a2を出力する。カプラCp1は、SOA出力光a2を2分岐し、一方を外部変調部16へ送信し、他方をAPC部15−1へ送信する。外部変調部16は、SOA出力光a2の強度に変調をかける外部変調を行って、所定の伝送レートを持つ信号光a3を生成して、光ファイバを通じて送出する。
【0038】
また、APC部15−1において、PD15aは、SOA出力光a2をモニタして電流信号に変換し、I/V変換部15bは、電流信号を電圧信号に変換する。比較部15cは、入力された電圧信号と、あらかじめ設定された参照電圧refとにもとづいて、I/V変換部15bから出力された電圧信号が参照電圧refと同じ値になるような制御信号を生成する。SOAドライバ15dは、制御信号にもとづいて、SOA駆動電流を生成し、SOA13−1の出力パワーが一定化するように利得制御(APC)を行う。
【0039】
さらに、光変動補償部14−1において、バンドパスフィルタ14aは、I/V変換部15bから出力される電気信号に対して、バンドパスフィルタリングを行って、光変動の周波数成分を抽出し、光変動信号を出力する。
【0040】
位相設定部14e−1は、光伝送装置1−1内部のアナログ回路系や演算処理等で生じる遅延を設定する遅延設定部であって、バンドパスフィルタ14aの出力位相と、OSC源信号の位相とを比較する際に必要な遅延量を、OSC源信号に対して設定する。
【0041】
位相比較部14bは、バンドパスフィルタ14aから出力される光変動信号(以下、BPF出力と呼ぶ)の位相と、位相設定部14e−1から出力される所定の遅延量が設定されたOSC源信号(以下、OSC源出力と呼ぶ)の位相とを比較して、位相検出信号d1(位相検出結果)を出力する。ローパスフィルタ14cは、位相検出信号d1を平滑化して、利得補償量を生成して利得可変アンプ14dへ出力する。
【0042】
位相設定部14e−2は、位相設定部14e−1と同様に、OSC源信号に任意の遅延を設定する機能を有しており、レーザ出力光a1の変動波形に対して反転波形となるために必要な位相シフト分の遅延量を、OSC源出力に設定する。
【0043】
利得可変アンプ14dは、位相設定部14e−1から出力される所定の遅延量が設定されたOSC源出力(位相シフト変調信号)に、ローパスフィルタ14cから与えられる利得補償量を設定して利得補償信号g1を生成する。
【0044】
利得補償信号g1は、コンデンサC2でDCカットされた後に、SOAドライバ15dから出力されるSOA駆動電流に重畳され、SOA駆動重畳信号となってSOA13−1へ入力される。
【0045】
次に光変動補償の制御について説明する。図4は光変動補償が過剰な場合の状態を示す図である。横軸は時間、縦軸は光パワーである。レーザ出力光a1の光変動は、SOA13−1(光パワー可変制御部13)で補償されているが過剰であり、SOA出力光a2は、利得補償信号g1によって変動している。
【0046】
このとき、SOA出力光a2と、利得補償信号g1とは正位相になっている。すなわち、SOA出力光a2と利得補償信号g1との極性は共に、区間t1では負、区間t2では正、区間t3では負であるので正位相となる。
【0047】
図5は光変動補償が不足している場合の状態を示す図である。横軸は時間、縦軸は光パワーである。SBS抑圧のために生じたレーザ出力光a1の光変動は、SOA13−1で補償されているが不十分であり、SOA出力光a2には光変動が残っている。
【0048】
このとき、SOA出力光a2と、利得補償信号g1とは逆位相になっている。すなわち、区間t1では、SOA出力光a2の極性は正、利得補償信号g1の極性は負であり、区間t2では、SOA出力光a2の極性は負、利得補償信号g1の極性は正であり、区間t3では、SOA出力光a2の極性は正、利得補償信号g1の極性は負であるので逆位相となる。
【0049】
図6は補償が過剰な場合の利得補償量を生成する様子を示す図である。図4で示したように、利得補償が過剰な場合は、BPF出力の位相(SOA出力光a2の位相に対応)と、OSC源出力の位相(利得補償信号g1の位相に対応)とは正位相になる。
【0050】
位相比較部14bは、このような位相状態のBPF出力とOSC源出力との互いの位相を比較して位相検出信号d1を出力する。位相比較動作として、OSC源出力が正転の場合は、正転区間内のBPF出力の極性の値を持つ信号を出力し、OSC源出力が反転の場合は、反転区間内のBPF出力の極性を反転させた値を持つ信号を出力して位相検出信号d1を出力する。
【0051】
図6の場合、OSC源出力の正転区間r1では、BPF出力の極性は正なので、極性がそのままの正極性の位相検出信号d1が出力し、OSC源出力の反転区間r2では、BPF出力の極性は負なので、極性が反転された正極性の位相検出信号d1が出力し、OSC源出力の正転区間r3では、BPF出力の極性は正なので、極性がそのままの正極性の位相検出信号d1が出力する。
【0052】
したがって、位相比較部14bからは、基準値(0)に対して正側に位置する位相検出信号d1が出力することになる。なお、位相検出信号d1は、ローパスフィルタ14cに入力して平滑化処理されることで平坦化信号となり、これが利得補償量(+)となる。
【0053】
利得補償量(+)は、利得可変アンプ14dに与えられることになり、利得補償量が正の場合、利得可変アンプ14dは、利得が過剰であることを認識して、利得を小さくして補償量を減らす制御を行う。
【0054】
図7は補償が不足している場合の利得補償量を生成する様子を示す図である。図5で示したように、利得補償が不足している場合は、BPF出力の位相(SOA出力光a2の位相に対応)と、OSC源出力の位相(利得補償信号g1の位相に対応)とは逆位相になる。
【0055】
位相比較部14bは、このような位相状態のBPF出力とOSC源出力との互いの位相を比較して位相検出信号d1を出力する。図7の場合、OSC源出力の正転区間r1では、BPF出力の極性は負なので、極性がそのままの負極性の位相検出信号d1が出力し、OSC源出力の反転区間r2では、BPF出力の極性は正なので、極性が反転した負極性の位相検出信号d1が出力し、OSC源出力の正転区間r3では、BPF出力の極性は負なので、極性がそのままの負極性の位相検出信号d1が出力する。
【0056】
したがって、位相比較部14bからは、基準値(0)に対して負側に位置する位相検出信号d1が出力することになる。なお、位相検出信号d1は、ローパスフィルタ14cに入力して平滑化処理されることで平坦化信号となり、これが利得補償量(−)となる。
【0057】
利得補償量(−)は、利得可変アンプ14dに与えられることになり、利得補償量が負の場合、利得可変アンプ14dは、利得が不足していることを認識して、利得を大きくして補償量を増やす制御を行う。
【0058】
なお、利得補償信号g1は、図3の構成からわかるように、APCループ外からオフセットとして与えられ、ループ時定数の影響を受けない部位から印加している。このため、APCループ時定数の影響を受けずに、光変動補償を行うことができる。
【0059】
次に光伝送装置1の構成の他の実施の形態について説明する。図8は光伝送装置の構成を示す図である。図3で示した光伝送装置1−1は、SOA出力光a2をフィードバックして光変動補償を行う構成としたが、光伝送装置1−2は、外部変調部16で出力される信号光a3をフィードバックして、光変動補償を行う構成である。
【0060】
光伝送装置1−2は、DFBレーザ11a、TEC11b、レーザ駆動制御部12−1、SOA13−1、光変動補償部14−2、APC部15−1、外部変調部16、カプラCp1、Cp2から構成される。
【0061】
また、レーザ駆動制御部12−1は、OSC源信号発振部12a、DFBドライバ12b、コンデンサC1を含む。光変動補償部14−2は、バンドパスフィルタ14a、位相比較部14b、ローパスフィルタ14c、利得可変アンプ14d、位相設定部14e−1、14e−2、コンデンサC2、PD14f、I/V変換部14gを含む。APC部15−1は、PD15a、I/V変換部15b、比較部15c、SOAドライバ15dを含む。
【0062】
ここで、カプラCp2は、外部変調部16で出力される信号光a3を分岐し、PD14fは、分岐された信号光a3をモニタして電流信号を生成する。I/V変換部14gは、電流信号を電圧信号に変換し、バンドパスフィルタ14aへ出力する。その他の動作は図3と同じなので説明は省略する。
【0063】
図9は光伝送装置の構成を示す図である。光伝送装置1−3は、CPU制御によって光変動補償を行う(利得補償量の抽出をCPU演算処理で行う)構成である。なお、図では、CPUでディジタル演算制御する構成ブロックを太線枠で示している。
【0064】
光伝送装置1−3は、DFBレーザ11a、TEC11b、レーザ駆動制御部12−3、SOA13−1、光変動補償部14−3、APC部15−3、外部変調部16、カプラCp1から構成される。
【0065】
また、レーザ駆動制御部12−3は、OSC源信号発振部12a、DFBドライバ12b、分周部12c、DFB変調波形生成部12d、D/A部12e、コンデンサC1を含む。
【0066】
光変動補償部14−3は、バンドパスフィルタ14a、位相比較部14b、ローパスフィルタ14c、位相設定部14e−1、14e−2、A/D部14h、補償波形生成部14i、D/A部14j、コンデンサC2を含む。APC部15−3は、PD15a、I/V変換部15b、比較部15c、ローパスフィルタ15e、15f、A/D部15g、D/A部15hを含む。
【0067】
基本的な動作は図3と同じなのでCPU制御に関連する構成要素の動作を中心に説明する。分周部12cは、OSC源信号を分周してSBS抑圧のための発振周波数を生成する。DFB変調波形生成部12dは、分周部12cから出力された低周波クロックの波形整形および振幅を設定して変調信号を生成する。
【0068】
D/A部12eは、ディジタルの変調信号をアナログの変調信号に変換する。変調信号はコンデンサC1でDC成分がカットされて、DFBドライバ12bから出力されたDFB駆動信号に重畳され、DFB駆動重畳信号となってDFBレーザ11aに印加される。
【0069】
一方、バンドパスフィルタ14aの出力信号であるBPF出力は、A/D部14hによりディジタル信号に変換されて位相比較部14bに入力する。位相比較部14bは、ディジタルのBPF出力の位相と、位相設定部14e−1から出力される所定の遅延量が設定された低周波クロックであるOSC源出力の位相とを比較して、位相検出信号d1を出力する。ローパスフィルタ14cは、位相検出信号d1を平滑化して、利得補償量を生成して補償波形生成部14iへ出力する。
【0070】
位相設定部14e−2は、レーザ出力光a1の変動波形に対して反転波形となるために必要な位相シフト分の遅延量を、OSC源出力に設定する。補償波形生成部14iは、位相設定部14e−2から出力される所定の遅延量が設定されたOSC源出力に、ローパスフィルタ14cから与えられる利得補償量を設定して利得補償信号g1を生成する。
【0071】
利得補償信号g1は、D/A部14jでアナログ信号に変換され、コンデンサC2でDCカットされた後に、D/A部15hから出力されたSOA13−1の駆動電流に重畳され、SOA駆動重畳信号となってSOA13−1へ入力される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】光伝送装置の原理図である。
【図2】光変動補償の概念を説明するための図である。
【図3】光伝送装置の構成を示す図である。
【図4】光変動補償が過剰な場合の状態を示す図である。
【図5】光変動補償が不足している場合の状態を示す図である。
【図6】補償が過剰な場合の利得補償量を生成する様子を示す図である。
【図7】補償が不足している場合の利得補償量を生成する様子を示す図である。
【図8】光伝送装置の構成を示す図である。
【図9】光伝送装置の構成を示す図である。
【図10】線幅を拡大した信号光を示す図である。
【図11】光送信器の構成を示す図である。
【図12】光出力が変動する様子を示す図である。
【図13】波形干渉による伝送特性劣化を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 光伝送装置
11 レーザ
12 レーザ駆動制御部
13 光パワー可変制御部
14 光変動補償部
16 外部変調部
Cp1 カプラ
a1、a2 出力光
a3 信号光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送を行う光伝送装置において、
光を発出するレーザと、
前記レーザの駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、前記レーザ駆動重畳信号を前記レーザに印加して、レーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象を抑圧して、前記レーザの駆動制御を行うレーザ駆動制御部と、
前記レーザ出力光のパワーを可変制御する光パワー可変制御部と、
前記光パワー可変制御部の出力光をモニタし、モニタ結果から、前記レーザ出力光の波長変動に伴って生じる前記レーザ出力光の光変動を検出し、前記光変動を抑制するように前記光パワー可変制御部の利得を制御する光変動補償部と、
を有することを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記光変動補償部は、
前記光パワー可変制御部をモニタしたモニタ信号をフィルタリングして、前記光変動の周波数成分を持つ光変動信号を抽出し、
前記変調信号の位相と、前記光変動信号の位相とを比較して、位相比較結果を利得補償量として生成し、
前記レーザ出力光の波形を反転させた位相形状となるように、前記変調信号の位相をシフトし、位相シフト後の前記変調信号である位相シフト変調信号に対して、前記利得補償量を設定して利得補償信号を生成し、
前記光パワー可変制御部を駆動するための駆動信号に対して、前記利得補償信号を重畳して駆動重畳信号を生成し、
前記駆動重畳信号を前記光パワー可変制御部に印加し、前記光パワー可変制御部の利得を調整して前記光変動を抑制する、
ことを特徴とする請求項1記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記光変動補償部は、
前記変調信号の位相と、前記光変動信号の位相との比較時に、前記変調信号の正転区間では、前記正転区間内に入る前記光変動信号の極性に対して同じ極性の値を前記位相比較結果として出力し、
前記変調信号の反転区間では、前記反転区間内に入る前記光変動信号の極性に対して反転させた極性の値を前記位相比較結果として出力し、
前記位相比較結果を平滑化して前記利得補償量を生成し、
前記利得補償量が正の場合、前記光パワー可変制御部に現在与えている利得は過剰であることを認識して、利得を小さくして補償量を減らした前記利得補償信号を生成し、
前記利得補償量が負の場合、前記光パワー可変制御部に現在与えている利得は不足していることを認識して、利得を大きくして補償量を増やした前記利得補償信号を生成する、
ことを特徴とする請求項2記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記光パワー可変制御部の出力光をモニタして、モニタ値があらかじめ定めた参照値と等しくなるように前記出力光のパワーを一定化制御するAPC部をさらに有し、前記光変動補償部は、前記利得補償信号をAPCループ外からオフセットとして与えることを特徴とする請求項1記載の光伝送装置。
【請求項1】
光伝送を行う光伝送装置において、
光を発出するレーザと、
前記レーザの駆動信号に変調信号を重畳してレーザ駆動重畳信号を生成し、前記レーザ駆動重畳信号を前記レーザに印加して、レーザ出力光の波長を変動させることで、光ファイバ伝送時に生じる非線形光学現象を抑圧して、前記レーザの駆動制御を行うレーザ駆動制御部と、
前記レーザ出力光のパワーを可変制御する光パワー可変制御部と、
前記光パワー可変制御部の出力光をモニタし、モニタ結果から、前記レーザ出力光の波長変動に伴って生じる前記レーザ出力光の光変動を検出し、前記光変動を抑制するように前記光パワー可変制御部の利得を制御する光変動補償部と、
を有することを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記光変動補償部は、
前記光パワー可変制御部をモニタしたモニタ信号をフィルタリングして、前記光変動の周波数成分を持つ光変動信号を抽出し、
前記変調信号の位相と、前記光変動信号の位相とを比較して、位相比較結果を利得補償量として生成し、
前記レーザ出力光の波形を反転させた位相形状となるように、前記変調信号の位相をシフトし、位相シフト後の前記変調信号である位相シフト変調信号に対して、前記利得補償量を設定して利得補償信号を生成し、
前記光パワー可変制御部を駆動するための駆動信号に対して、前記利得補償信号を重畳して駆動重畳信号を生成し、
前記駆動重畳信号を前記光パワー可変制御部に印加し、前記光パワー可変制御部の利得を調整して前記光変動を抑制する、
ことを特徴とする請求項1記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記光変動補償部は、
前記変調信号の位相と、前記光変動信号の位相との比較時に、前記変調信号の正転区間では、前記正転区間内に入る前記光変動信号の極性に対して同じ極性の値を前記位相比較結果として出力し、
前記変調信号の反転区間では、前記反転区間内に入る前記光変動信号の極性に対して反転させた極性の値を前記位相比較結果として出力し、
前記位相比較結果を平滑化して前記利得補償量を生成し、
前記利得補償量が正の場合、前記光パワー可変制御部に現在与えている利得は過剰であることを認識して、利得を小さくして補償量を減らした前記利得補償信号を生成し、
前記利得補償量が負の場合、前記光パワー可変制御部に現在与えている利得は不足していることを認識して、利得を大きくして補償量を増やした前記利得補償信号を生成する、
ことを特徴とする請求項2記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記光パワー可変制御部の出力光をモニタして、モニタ値があらかじめ定めた参照値と等しくなるように前記出力光のパワーを一定化制御するAPC部をさらに有し、前記光変動補償部は、前記利得補償信号をAPCループ外からオフセットとして与えることを特徴とする請求項1記載の光伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−11098(P2010−11098A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168129(P2008−168129)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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