光伝送装置
【課題】予備系への切替えを行う際に要する時間を短縮する。
【解決手段】予備系13,14は、異なる種別の信号を収容可能な予備系TPND131,132、および、各種別の信号を収容可能な予備系TPND141を有し、現用系TPND11の障害を検出する障害検出部151と、障害が検出された場合に、現用系TPND11で収容中の信号種別に対応する予備系TPND131(132)に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部155と、障害が検出された場合に、予備系TPND141に対して、現用系TPND11と同等の設定を行う第2設定部156と、第1設定部155による設定完了後、現用系TPND11から予備系TPND131(132)へ切替える第1段階切替部157と、第2設定部156による設定完了後、予備系TPND131(132)から予備系TPND141へ切替える第2段階切替部158とを備えた。
【解決手段】予備系13,14は、異なる種別の信号を収容可能な予備系TPND131,132、および、各種別の信号を収容可能な予備系TPND141を有し、現用系TPND11の障害を検出する障害検出部151と、障害が検出された場合に、現用系TPND11で収容中の信号種別に対応する予備系TPND131(132)に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部155と、障害が検出された場合に、予備系TPND141に対して、現用系TPND11と同等の設定を行う第2設定部156と、第1設定部155による設定完了後、現用系TPND11から予備系TPND131(132)へ切替える第1段階切替部157と、第2設定部156による設定完了後、予備系TPND131(132)から予備系TPND141へ切替える第2段階切替部158とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現用系(運用系)トランスポンダと予備系(冗長系)トランスポンダとの切替えを行う伝送路切替制御機能を有する光伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークシステムにおける従来の伝送路切替制御として、例えば特許文献1に開示された技術がある。この特許文献1に開示された光ネットワークシステムでは、N個の現用系TPND(トランスポンダ)と、M個の予備系TPNDとを備えている。TPNDとは、光ネットワークシステムにおいて、外部クライアント装置からの光信号(以下クライアント信号と称す)の中継を、TPNDのクライアントCH(チャネル)に実装されたIFモジュール(インタフェースモジュール)を用いて実施する光伝送装置である。
【0003】
光ネットワークシステムでは、外部クライアント装置から受信したN個のクライアント信号を、N個の現用系信号とM個の予備系信号とに分岐する。なお、予備系TPNDにはマルチレート対応予備系TPNDを用いる。マルチレート対応予備系TPNDとは、マルチレート対応IFモジュールが実装された光伝送装置である。このマルチレート対応IFモジュールでは、設定によってSTM−64(Synchronous Transport Module−64)や10GbE−LAN(10Gigabit Ethernet−Local Area Network/Ethernetは登録商標)など、様々な信号種別のクライアント信号が収容可能である。
【0004】
このような光ネットワークシステムにおいて、現用系TPNDに障害が無い状態(通常の通信時)では、クライアント信号を、現用系TPNDを介して転送する。一方、現用系TPNDに障害が発生した場合、まず、監視制御装置が障害を検出する。障害を検出した監視制御装置は、予備系TPNDで収容する信号種別を、現用系TPNDで収容している信号種別と同一の種別に設定する。設定が完了した後、クライアント信号の収容先を、現用系TPNDから予備系TPNDへと切替え、転送する。このように、予備系TPNDにマルチレート対応予備系TPNDを用いることで、単純な構成かつ安価な設備コストで、信頼性の高いクライアント信号の光伝送が実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2010/044154
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の技術では、現用系TPNDに障害が発生した後、予備系TPNDのIFモジュールで収容する信号種別を同一種別に設定し、現用系から予備系への切替えが完了するまでの間、クライアント信号の瞬断が発生するという課題がある。この対策として、誤り訂正や光信号の再送により、瞬断の影響を軽減することが可能であるが、切替完了までの時間が増加すると、障害が発生する可能性が高くなると考えられる。
【0007】
さらに、近年、1つのTPNDにおいて、複数のIFモジュールが実装され、複数のクライアント信号をクライアントCH毎に時分割で送信し、波長単位の伝送速度を向上するMPND(多重TPND)のような光伝送装置が開発されている。このような高速かつ複雑なTPNDに対しては、従来のTPNDより複雑な制御技術が必要となり、その結果、設定に要する時間は増加すると考えられる。また、クライアント信号のロス時間が同一であるとき、伝送速度に比例して、損失する情報量は増加すると考えられる。つまり、近年のTPNDの高速・複雑化により、上記のような予備系への設定時間が増加し、また、障害によるクライアント信号ロスの可能性や、その影響が大きくなるといった問題が発生する。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、現用系と予備系の切替えを行う際に要する時間が短い伝送路切替制御機能を有する光伝送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る光伝送装置は、複数の種別の信号を収容可能な現用系トランスポンダと、現用系トランスポンダに障害が発生した場合に系が切替えられる予備系トランスポンダとを備え、予備系トランスポンダは、各種別のうち各々異なる種別の信号を収容可能な複数の第1予備系トランスポンダ部、および、各種別の信号を収容可能な第2予備系トランスポンダ部を有し、現用系トランスポンダに障害が発生したことを検出する障害検出部と、障害検出部により障害発生が検出された場合に、当該障害が発生した現用系トランスポンダで収容中の信号種別に対応する第1予備系トランスポンダ部に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部と、障害検出部により障害発生が検出された場合に、第2予備系トランスポンダ部に対して、当該障害が発生した現用系トランスポンダと同等の設定を行う第2設定部と、第1設定部による設定完了後に、障害が発生した現用系トランスポンダから第1予備系トランスポンダ部への切替えを行う第1段階切替部と、第2設定部による設定完了後に、第1予備系トランスポンダ部から第2予備系トランスポンダ部への切替えを行う第2段階切替部とを備えたものである。
【0010】
また、この発明に係る光伝送装置は、複数の種別の信号を収容可能な現用系トランスポンダと、現用系トランスポンダに障害が発生した場合に系が切替えられる予備系トランスポンダとを備え、予備系トランスポンダは、各種別の信号を収容可能であり、各々異なる種別の信号を収容するように初期設定された複数の予備系トランスポンダ部を有し、現用系トランスポンダに障害が発生したことを検出する障害検出部と、障害検出部により障害発生が検出された場合に、当該障害が発生した現用系トランスポンダで収容中の信号種別に対応するように初期設定された予備系トランスポンダ部に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部と、障害検出部により障害発生が検出された場合に、第1設定部による設定対象の予備系トランスポンダ部以外の所定の予備系トランスポンダ部に対して、当該障害が発生した現用系トランスポンダと同様の設定を行う第2設定部と、第1設定部による設定完了後に、障害が発生した現用系トランスポンダから当該第1設定部により設定された予備系トランスポンダ部への切替えを行う第1段階切替部と、第2設定部による設定完了後に、第1段階切替部により切替えられた予備系トランスポンダ部から、当該第2設定部により設定された予備系トランスポンダ部への切替えを行う第2段階切替部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、上記のように構成したので、既存方式の予備系への切替えよりも短時間での実施が可能となり、外部クライアント装置からの光信号における、情報損失の発生の低減や情報損失量の低減が可能となる。また、現用系と同等の設定が完了した後に第2段階の切替えを実施することで、既存の予備系と同程度の保守効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1における予備系の構成例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1における監視制御装置の構成例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムによる切替可否判断動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムの現用系から予備系への切替えを示すイメージ図である。
【図6】この発明の実施の形態1におけるノード間の動作概要を示すシーケンスである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2における予備系の構成例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る光ネットワークシステムの現用系から予備系への切替えを示すイメージ図である。
【図10】この発明の実施の形態2におけるノード間の動作概要を示すシーケンスである。
【図11】この発明の実施の形態3に係る光ネットワーク装置の構成例を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態3における予備系の構成例を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態3に係る光ネットワークシステムの現用系から予備系への切替えを示すイメージ図である。
【図14】この発明の実施の形態3におけるノード間の動作概要を示すシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
光ネットワークシステムは、図1に示すように、送信側の光伝送装置(送信ノード1)および受信側の光伝送装置(受信ノード2)から構成されている。また、送信ノード1は送信側の伝送路切替制御機能を有し、受信ノード2は受信側の伝送路切替制御機能を有している。この送信ノード1および受信ノード2により、外部クライアント装置3−1〜3−nと外部クライアント装置4−1〜4−nとの通信を中継する。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、外部クライアント装置3−1〜3−nおよび外部クライアント装置4−1〜4−nを、外部クライアント装置3および外部クライアント装置4と称す。
【0014】
なお図1では、伝送路切替制御に関わる構成要素のみを図示し、光信号の波長多重や波長分離、増幅などの処理を行う部分を省略している。また、説明の便宜上、外部クライアント装置3,4からの光信号は片方向送信のみを図示しているが、1本の伝送路上で双方向受信を実施することが可能である。
【0015】
送信ノード1は、光カプラ10−1〜10−n、現用系TPND(現用系トランスポンダ)11−1〜11−n、n:2光スイッチ部(光SW)12、第1予備系13、第2予備系14および監視制御装置15から構成されている。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、光カプラ10−1〜10−nおよび現用系TPND11−1〜11−nを、光カプラ10および現用系TPND11と称す。
【0016】
光カプラ10は、対応する外部クライアント装置3から受信した光信号を分岐して、対応する現用系TPND11、およびn:2光スイッチ部12へ出力するものである。
現用系TPND11は、通常の通信時において、対応する現用系TPND20へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この現用系TPND11は、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
n:2光スイッチ部12は、各光カプラ10からの光信号を1つ選択し、第1予備系13または第2予備系14へ出力するものである。
【0017】
第1予備系13は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生した場合に、第1予備系21へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第1予備系13は、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行って用いられる系である。
第2予備系14は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生した場合に、第2予備系22へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第2予備系14は、現用系TPND11と同等の設定を行って用いられる系である。
この予備系13,14の詳細な構成例については後述する。
【0018】
監視制御装置15は、送信ノード1内の各部の動作を監視制御するものである。この監視制御装置15の詳細な構成例については後述する。
【0019】
受信ノード2は、現用系TPND(現用系トランスポンダ)20−1〜20−n、第1予備系21、第2予備系22、2:n光スイッチ部(光SW)23、2:1光スイッチ部(光SW)24−1〜24−nおよび監視制御装置25から構成されている。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、現用系TPND20−1〜20−nおよび2:1光スイッチ部24−1〜24−nを、現用系TPND20および2:1光スイッチ部24と称す。
【0020】
現用系TPND20は、通常の通信時において、対応する現用系TPND11から光信号を受信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この現用系TPND20は、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
【0021】
第1予備系21は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生した場合に、第1予備系13から光信号を受信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第1予備系21は、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行って用いられる系である。
第2予備系22は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生した場合に、第2予備系14から光信号を受信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第2予備系22は、現用系TPND20と同等の設定を行って用いられる系である。
この予備系21,22の詳細な構成例については後述する。
【0022】
2:n光スイッチ部23は、予備系21,22からの光信号を所定の光スイッチ部24へ出力するものである。
光スイッチ部24は、対応する現用系TPND20からの光信号、または、2:n光スイッチ部23からの光信号を、外部クライアント装置4へ出力するものである。
【0023】
監視制御装置25は、受信ノード2内の各部の動作を監視制御するものである。この監視制御装置25の詳細な構成例については後述する。
【0024】
次に、予備系13,14および予備系21,22の構成例について、図2を参照しながら説明する。
第1予備系13,21は、現用系TPND11,20で収容可能な信号種別のうち、各々異なる種別の信号を収容可能な複数のTPNDを備えている。すなわち、第1予備系13は、STM64の信号を収容可能な予備系TPND(第1予備系トランスポンダ部)131と、10GbEの信号を収容可能な予備系TPND(第1予備系トランスポンダ部)132と、各予備系TPND131,132への入力信号を選択する光スイッチ部(光SW)133とを備えている。
また、同様に、第1予備系21は、STM64の信号を収容可能な予備系TPND(第1予備系トランスポンダ部)211と、10GbEの信号を収容可能な予備系TPND(第1予備系トランスポンダ部)212と、各予備系TPND211,212からの出力信号を選択する光スイッチ部(光SW)213とを備えている。
なお、予備系TPND131,132および予備系TPND211,212はそれぞれ、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
【0025】
また、本発明においては、簡単のために、現用系TPND11,20で収容可能な信号種別がSTM64および10GbEの2種類であるとしているが、信号種別が増加する場合には、さらに第1予備系13,21の予備系TPNDを追加すればよい。
これにより、第1予備系13,21では、現用系からの切替時において、信号種別の設定変更は不要となる。
【0026】
一方、第2予備系14,22は、現用系TPND11,20で収容可能な全ての信号種別を収容可能なTPNDを備えている。すなわち、第2予備系14は、マルチレート対応予備系TPND(第2予備系トランスポンダ部)141を備えている。また、同様に、第2予備系22は、マルチレート対応予備系TPND(第2予備系トランスポンダ部)221を備えている。なお以下では、単に予備系TPND141,221と称す。
また、予備系TPND141および予備系TPND221はそれぞれ、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
この第2予備系14,22では、切替時に、障害が発生した現用系TPND11,20で収容中の信号種別に設定変更後、現用系と同様の設定を実施する。
【0027】
上記のように構成された予備系13,14および予備系21,22での光信号は、現用系TPND11,20に障害が無い状態では、現用系TPND11,20での光信号と同様に、監視制御装置15,25により監視されている。
【0028】
次に、監視制御装置15,25の構成例について、図3を参照しながら説明を行う。
監視制御装置15は、図3に示すように、データ保持部150、障害検出部151、利用確認部152、使用状況確認部153、優先度比較部154、第1設定部155、第2設定部156、第1段階切替部157および第2段階切替部158を備えている。なお、第1設定部155、第2設定部156、第1段階切替部157および第2段階切替部158は、切替制御部159を構成する。
【0029】
データ保持部150は、現用系TPND11を利用するコネクションに対して、個別に、予備系13,14の利用可否および優先度を設定したデータテーブルを保持するものである。
障害検出部151は、現用系TPND11に障害が発生したことを検出するものである。
【0030】
利用確認部152は、障害検出部151により現用系TPND11の障害発生が検出された場合に、データ保持部150に保持されているデータテーブルを検索して、現用系から予備系への切替えを実施するコネクションであるかを確認するものである。
【0031】
使用状況確認部153は、利用確認部152により現用系から予備系への切替えを実施するコネクションであることが確認された場合に、予備系13,14の使用状況を確認するものである。
【0032】
優先度比較部154は、使用状況確認部153により予備系13,14を使用している他のコネクションがあることが確認された場合に、データ保持部150に保持されているデータテーブルを検索して、当該他のコネクションと切替判断対象のコネクションとの優先度を比較するものである。
【0033】
切替制御部159は、障害検出部151により現用系TPND11の障害発生が検出された場合に、利用確認部152、使用状況確認部153および優先度比較部154による確認・比較結果に基づいて、現用系から予備系への切替えを実施するものである。
【0034】
第1設定部155は、現用系から予備系への切替えを実施する場合に、障害が発生した現用系TPND11で収容中の信号種別に対応した予備系TPND(131または132)に対して、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行うものである。
第2設定部156は、現用系から予備系への切替えを実施する場合に、予備系TPND141に対して、障害が発生した現用系TPND11と同等の設定を行うものである。
【0035】
第1段階切替部157は、第1設定部155による設定が完了した後に、障害が発生した現用系TPND11から、第1設定部155により設定された予備系TPND(131または132)への切替えを行うものである。
第2段階切替部158は、第2設定部156による設定が完了した後に、第1段階切替部157により切替えられた予備系TPND(131または132)から、第2設定部156により設定された予備系TPND141への切替えを行うものである。
【0036】
また、図示はしていないが、監視制御装置25についても同様に、データ保持部250、障害検出部251、利用確認部252、使用状況確認部253、優先度比較部254、第1設定部255、第2設定部256、第1段階切替部257および第2段階切替部258を備えている。なお、第1設定部255、第2設定部256、第1段階切替部257および第2段階切替部258は切替制御部259を構成する。
なお、監視制御装置25の各部250〜259の動作は、監視制御装置15の各部150〜159と同様であり、その説明を省略する。
【0037】
次に、上記のように構成された光ネットワークシステムによる、現用系TPND11,20のいずれかに障害が発生した場合での予備系への切替動作について説明する。
【0038】
まず、光ネットワークシステムにおいて、現用系TPND11,20のいずれかに障害が発生した場合に、予備系への切替えを実施するかを判断する動作について、図4を参照しながら説明する。なお以下では、監視制御装置15による切替可否判断動作について説明を行うが、監視制御装置25についても同様である。
【0039】
監視制御装置15による切替可否判断動作では、図4に示すように、まず、障害検出部151が、現用系TPND11に障害が発生したことを検出すると(ステップST401)、利用確認部152は、データ保持部150により保持されているデータテーブルを検索して、現用系から予備系への切替えを実施するコネクションであるかを確認する(ステップST402)。
【0040】
このステップST402において、利用確認部152が、予備系への切替えを実施するコネクションであることを確認した場合には、使用状況確認部153は、予備系13,14が未使用であるかを確認する(ステップST403)。
【0041】
このステップST403において、使用状況確認部153が、予備系13,14を使用している他のコネクションがあることを確認した場合には、優先度比較部154は、データ保持部150により保持されているデータテーブルを検索して、当該他のコネクションより切替判断対象のコネクションの方が優先度が高いかを比較する(ステップST404)。
【0042】
ここで、ステップST403において、使用状況確認部153が、予備系13,14が未使用であることを確認した場合、または、ステップST404において、優先度比較部154が、切替判断対象のコネクションの方が優先度が高いことを確認した場合には、切替制御部159は、現用系から予備系への切替えを実施する(ステップST405)。
【0043】
一方、ステップST402において、利用確認部152が、予備系を利用しないコネクションであることを確認した場合、または、ステップST404において、優先度比較部154が、切替判断対象のコネクションの方が優先度が低いことを確認した場合には、切替制御部159は、現用系から予備系への切替えを実施しない(ステップST406)。
【0044】
次に、光ネットワークシステムによる、現用系から予備系への切替動作について、図5のイメージ図を参照しながら説明する。なお図5では、現用系TPND11−1に障害が発生した場合の送信ノード1での切替動作について示している。また、現用系TPND11−1の信号種別はSTM64であるとし、図5に示す黒丸は光信号の収容を行っている信号収容部を表している。
【0045】
通常の通信時では、図5(a)に示すように、現用系TPND11−1が通信中継を行っている。そして、現用系TPND11−1に障害が発生すると、予備系への切替えが実施される。
【0046】
この際、図5(b)に示すように、まず、直ちに、STM64の信号を収容可能な予備系TPND131への切替えが実施される(第1段階切替)。その後、予備系TPND141の設定が完了するまで、予備系TPND131を継続して使用する。
その後、予備系TPND141が切替可能となった時点で、図5(c)に示すように、予備系TPND131から予備系TPND141への切替えを実施する(第2段階切替)。以上により予備系への切替えを完了する。
【0047】
ここで、第1段階切替で切替えが実施される予備系TPND131,132に設定する項目と、第2段階切替で切替えが実施される予備系TPND141に設定する項目との違いについて簡潔に説明する。
通常、光ネットワークシステムでは、システムを利用する外部クライアント装置3,4からの光信号に加えて、オーバヘッド部分を加えて送信することで、保守運用や監視制御の効率化が可能となっている。そして、予備系TPND141では、このオーバヘッド部分について、現用系における設定と完全に同一となるまで設定する。
【0048】
一方、第1段階切替では、例えば、図1における第1予備系13と第1予備系21との間に発生する警報を全て抑止しても、外部クライアント装置3,4からの信号には影響はない。そこで、緊急にクライアント信号のみを復旧することが目的である第1段階切替で切替えが実施される予備系TPND131,132に対しては、第1予備系13と第1予備系21との間に発生する警報に関する設定を実施しない。
【0049】
このように、第1段階切替で切替えが実施される予備系TPND131,132では、クライアント信号の伝送に必要のない項目の設定を省略し、また、予備系TPND131,132として、信号種別に対応したTPND(STM64や10GbEなど)を事前に用意することで、短時間での切替えを実現することが可能になると考えられる。
【0050】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図6のシーケンス図を参照しながら説明する。なお図6でも、図5と同様に、STM64の信号を収容可能な現用系TPND11−1に障害が発生した場合について示している。
【0051】
監視制御装置15,25による切替動作では、図6に示すように、まず、監視制御装置15の障害検出部151は、現用系TPND11−1の障害発生を検出する(ステップST601)。
次いで、監視制御装置15の各部152〜154は、図4に示すフローに従って、予備系への切替えを実施するかを判断する(ステップST602)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0052】
次いで、監視制御装置15は、予備系への切替えを実施することを示す切替制御情報を受信ノード2の監視制御装置25に送信する(ステップST603)。
次いで、監視制御装置25の各部252〜254は、受け取った切替制御情報が示す切替えが実施可能であるかを判断する(ステップST604)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0053】
次いで、監視制御装置25は、予備系への切替えを実施可能であることを示す切替制御応答を監視制御装置15に送信する(ステップST605)。そして、それぞれのノード1,2上で、第1設定部155,255および第2設定部156,256により、STM64の信号を収容可能な予備系TPND131,211の簡易設定、および予備系TPND141,221の設定が実施される。
【0054】
次いで、予備系TPND131への最低限の簡易設定が完了した後、監視制御装置15の第1段階切替部157は、直ちに、予備系TPND131への切替え(第1段階切替)を実施する(ステップST606)。
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第1段階切替の実施要求を送信する(ステップST607)。
【0055】
次いで、監視制御装置25の第1段階切替部257は、受け取った第1段階切替の実施要求に応じて、直ちに、予備系TPND211への切替えを実施する(ステップST608)。
次いで、監視制御装置25は、第1段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST609)。その後、予備系TPND141,221への信号種別の変更や他の設定が完了するまで待機する。
【0056】
次いで、予備系TPND141の信号種別の変更や他の設定が完了した後、監視制御装置15の第2段階切替部158は、予備系TPND131から予備系TPND141への切替え(第2段階切替)を実施する(ステップST610)。
【0057】
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第2段階切替の実施要求を送信する(ステップST611)。
次いで、監視制御装置25の第2段階切替部258は、受け取った第2段階切替の実施要求に応じ、予備系TPND221の信号種別の変更や他の設定が完了した後、予備系TPND211から予備系TPND221への切替えを実施する(ステップST612)。
次いで、監視制御装置25は、第2段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST613)。
以上の動作により現用系から予備系への切替えを完了する。
【0058】
なお、複数障害に対しては、例えば、既存方式と同様に、予備系TPNDに切替可能なTPNDがあるとき、設定が完了した後に切替えを実施することで冗長効率を向上する方式がある。また、2個目以上の障害に対する切替えを実施せずに、予備系TPNDは常に高速切替が可能な状態を維持する方式がある。このように、複数障害に対する切替方式は、目的によって多様な形態で実施可能である。
【0059】
以上のように、この実施の形態1によれば、現用系から予備系への切替えを、クライアント信号伝送に最低限必要な簡易設定のみを行って、高速切替を実施する第1段階切替と、現用系と同等の設定を行って切替を実施する第2段階切替とに分けて行うように構成したので、切替えに要する時間を短縮化することができ、情報損失の発生の低減や情報損失量の低減が可能となる。また、現用系と同等の設定が完了した後に第2段階の切替えを実施することで、既存の予備系と同程度の保守効率を実現することができる。
【0060】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。図7に示す実施の形態2に係る光ネットワークシステムは、図1に示す実施の形態1に係る光ネットワークシステムの予備系13,14および予備系21,22を、1つの予備系16および予備系26に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0061】
予備系16は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生したときに、予備系26へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。
予備系26は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生したときに、予備系16から光信号を受信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。
【0062】
次に、予備系16および予備系26の構成例について、図8を参照しながら説明する。
予備系16,26は、現用系TPND11で収容可能な全ての信号種別を収容可能であり、各々異なる種別の信号を収容するように初期設定されたTPNDを複数備えている。すなわち、予備系16は、マルチレート対応予備系TPND161,162と、各マルチレート対応予備系TPND161,162への入力信号を選択する光スイッチ部(光SW)163とを備えている。なお以下では、単に予備系TPND161,162と称す。この予備系TPND161,162はそれぞれ、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
また、予備系TPND161は事前にSTM64の信号を収容するように初期設定され、予備系TPND162は事前に10GbEの信号を収容するように初期設定されている。
【0063】
また、同様に、予備系26は、マルチレート対応予備系TPND261,262と、各マルチレート対応予備系TPND261,262からの出力信号を選択する光スイッチ部(光SW)263とを備えている。なお以下では、単に予備系TPND261,262と称す。この予備系TPND261,262はそれぞれ、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
また、予備系TPND261は事前にSTM64の信号を収容するように初期設定され、予備系TPND262は事前に10GbEの信号を収容するように初期設定されている。
【0064】
なお、監視制御装置15の第1設定部155は、現用系から予備系への切替えを実施する場合に、障害が発生した現用系TPND11で収容中の信号種別に対応するように初期設定された予備系TPND(161または162)に対して、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行う。
また、第2設定部156は、現用系から予備系への切替えを実施する場合に、第1設定部155による設定対象の予備系TPND以外の所定の予備系TPNDに対して、現用系TPND11と同様の設定を行う。
また、監視制御装置25の第1設定部255および第2設定部256についても同様である。
【0065】
この実施の形態2では、2段階の切替えのうち、第1段階切替は実施の形態1と同様に実施する。すなわち、対応する信号種別に初期設定された予備系TPND(161または162)を用いることで、信号種別の変更は不要となる。一方、第2段階切替では、第1段階切替で使用されず、他の信号種別に初期設定された予備系TPND(162または161)の設定を変更して使用する。これにより、実施の形態1と比較して、予備系に使用するTPNDの数を削減することが可能である。
【0066】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図9のイメージ図を参照しながら説明する。なお図9では、現用系TPND11−1に障害が発生した場合の送信ノード1での切替動作について示している。また、現用系TPND11−1の信号種別はSTM64であるとし、図9に示す黒丸は光信号の収容を行っている信号収容部を表している。
【0067】
通常の通信時では、図9(a)に示すように、現用系TPND11−1が通信中継を行っている。そして、現用系TPND11−1に障害が発生すると、予備系への切替えが実施される。
【0068】
この際、図9(b)に示すように、まず、直ちに、STM64の信号を収容するように初期設定された予備系TPND161への切替えが実施される(第1段階切替)。また、並行して、予備系TPND162の信号種別の変更および各種設定を実施する。その後、予備系TPND162の設定が完了するまで、予備系TPND161を継続して使用する。
その後、予備系TPND162が切替可能となった時点で、図9(c)に示すように、予備系TPND161から予備系TPND162への切替えを実施する(第2段階切替)。以上により予備系への切替えを完了する。
【0069】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図10のシーケンス図を参照しながら説明する。なお図10でも、図9と同様に、STM62の信号を収容可能な現用系TPND11−1に障害が発生した場合について示している。
【0070】
監視制御装置15,25による切替動作では、図10に示すように、まず、監視制御装置15の障害検出部151は、現用系TPND11−1の障害発生を検出する(ステップST1001)。
次いで、監視制御装置15の各部152〜154は、図4に示すフローに従って、予備系への切替えを実施するかの判断する(ステップST1002)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0071】
次いで、監視制御装置15は、予備系への切替えを実施することを示す切替制御情報を受信ノード2の監視制御装置25に送信する(ステップST1003)。
次いで、監視制御装置25の各部252〜254は、受け取った切替制御情報が示す切替えが実施可能であるかを判断する(ステップST1004)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0072】
次いで、監視制御装置25は、予備系への切替えを実施可能であることを示す切替制御応答を監視制御装置15に送信する(ステップST1005)。そして、それぞれのノード1,2上で、第1設定部155,255および第2設定部156,256により、STM64の信号を収容するように初期設定された予備系TPND161,261の簡易設定、およびその他に初期設定された予備系TPND162,262の設定が実施される。
【0073】
次いで、予備系TPND161への最低限の簡易設定が完了した後、監視制御装置15の第1設定部155は、直ちに、予備系TPND161への切替え(第1段階切替)を実施する(ステップST1006)。
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第1段階切替の実施要求を送信する(ステップST1007)。
【0074】
次いで、監視制御装置25の第1段階切替部257は、受け取った第1段階切替の実施要求に応じて、直ちに、予備系TPND261への切替えを実施する(ステップST1008)。
次いで、監視制御装置25は、第1段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST1009)。その後、予備系TPND162,262への信号種別の変更や他の設定が完了するまで待機する。
【0075】
次いで、予備系TPND162の信号種別の変更や他の設定が完了した後、監視制御装置15の第2段階切替部158は、予備系TPND161から予備系TPND162への切替え(第2段階切替)を実施する(ステップST1010)。
【0076】
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第2段階切替の実施要求を送信する(ステップST1011)。
次いで、監視制御装置25の第2段階切替部258は、受け取った第2段階切替の実施要求に応じ、予備系TPND262の信号種別の変更や他の設定が完了した後、予備系TPND261から予備系TPND262への切替えを実施する(ステップST1012)。
次いで、監視制御装置25は、第2段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST1013)。
以上の動作により現用系から予備系への切替えを完了する。
【0077】
以上のように、この実施の形態2によれば、各種別の信号を収容可能であり、各々異なる種別の信号を収容するように初期設定された複数のマルチレート対応予備系TPND161,162,261,262を設けたので、実施の形態1における効果に加えて、予備系に使用するTPNDの数を削減することが可能である。
【0078】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。図11に示す実施の形態3に係る光ネットワークシステムは、図1に示す実施の形態1に係る光ネットワークシステムの現用系TPND11および現用系TPND20を、現用系MPND17および現用系MPND27に変更し、予備系13,14および予備系21,22を、予備系18,19および予備系28,29に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、図11では、簡単のため現用系MPNDを1個のみ備えた場合について示しているが、複数個備えるようにしてもよい。
【0079】
現用系MPND17は、通常の通信時において、現用系MPND27へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。ここで、MPND(多重TPND)とは、複数の外部クライアント装置からの光信号を多重して1つの光信号へと変換する光伝送装置である。すなわち、各々異なる波長の光信号を収容するN個の信号収容部(N個のCH)を有している。
現用系MPND27についても、現用系MPND17と同様であり、その説明を省略する。
【0080】
第1予備系18は、システム内のいずれかの現用系MPND17,27に障害が発生した場合に、第1予備系28へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第1予備系18は、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行って用いられる系である。
第2予備系19は、システム内のいずれかの現用系MPND17,27に障害が発生した場合に、第2予備系29へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第2予備系19は、現用系TPND17と同等の設定を行って用いられる系である。
第1予備系28および第2予備系29についても、第1予備系18および第2予備系29と同様であり、その説明を省略する。
【0081】
次に、予備系18,19および予備系28,29の構成例について、図12を参照しながら説明する。
第1予備系18,28は、現用系MPND17,27で収容可能な信号の種別のうち、各々異なる種別の信号を収容可能であり、全ての信号収容部(全CH)で同一の信号種別であるMPNDを備えている。すなわち、第1予備系18は、STM64の信号を収容可能な予備系MPND181と、10GbEの信号を収容可能な予備系MPND182と、各予備系MPND181,182への入力信号を選択する光スイッチ部(光SW)183とを備えている。
また、同様に、第1予備系28は、STM64の信号を収容可能な予備系MPND281と、10GbEの信号を収容可能な予備系MPND282と、各予備系MPND281,282からの出力信号を選択する光スイッチ部(光SW)283とを備えている。
【0082】
また、本発明においては、簡単のために、現用系MPND17,27で収容可能な信号種別がSTM64および10GbEの2種類であるとしているが、信号種別が増加する場合には、さらに第1予備系18,28の予備系MPNDを追加すればよい。
これにより、第1予備系18,28では、現用系からの切替時において、信号種別の設定変更は不要となる。
【0083】
一方、第2予備系19,29は、現用系MPND17,27で収容可能な全ての信号種別を収容可能なMPNDを備えている。すなわち、第2予備系19は、マルチレート対応予備系MPND191を備えている。また、同様に、第2予備系29は、マルチレート対応予備系MPND291を備えている。なお以下では、単に予備系MPND191,291と称す。
この第2予備系19,29では、切替時に、障害が発生した現用系MPND17,27で収容中の信号種別に設定変更後、現用系と同様の設定を実施する。
【0084】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図13のイメージ図を参照しながら説明する。なお図13では、現用系MPND17に障害が発生した場合の送信ノード1での切替動作について示している。また、現用系MPND17の信号種別は各CHにおいてSTM64や10GbEなどであるとし、図13に示す黒丸は光信号の収容を行っている信号収容部を表している。
【0085】
通常の通信時では、図13(a)に示すように、現用系MPND17が通信中継を行っている。そして、現用系MPND17に障害が発生すると、予備系への切替えが実施される。
【0086】
この際、図13(b)に示すように、まず、直ちに、現用系MPND17の各CHで収容中の信号種別に対応する予備系MPND181,182の各CHへの切替えが実施される(第1段階切替)。その後、予備系MPND191の設定が完了するまで、予備系MPND181,182を継続して使用する。
その後、予備系MPND191が切替可能となった時点で、図13(c)に示すように、予備系MPND181,182の各CHから予備系MPND191の各CHへの切替えを実施する(第2段階切替)。以上により予備系への切替えを完了する。
【0087】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図14のシーケンス図を参照しながら説明する。なお図14でも、図13と同様に、障害の発生した現用系MPND17の信号種別が各CHにおいてSTM64や10GbEなどである場合について示している。
【0088】
監視制御装置15,25による切替動作では、図14に示すように、まず、監視制御装置15の障害検出部151は、現用系MPND17の障害発生を検出する(ステップST1401)。
次いで、監視制御装置15の各部152〜154は、図14に示すフローに従って、予備系への切替えを実施するかの判断する(ステップST1402)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0089】
次いで、監視制御装置15は、予備系への切替えを実施することを示す切替制御情報を受信ノード2の監視制御装置25に送信する(ステップST1403)。
次いで、監視制御装置25の各部252〜254は、受け取った切替制御情報が示す切替えが実施可能であるかを判断する(ステップST1404)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0090】
次いで、監視制御装置25は、予備系への切替えを実施可能であることを示す切替制御応答を監視制御装置15に送信する(ステップST1405)。そして、それぞれのノード1,2上で、第1設定部155,255および第2設定部156,256により、現用系MPND17の各CHで収容中の信号種別に対応する予備系MPND181,182,281,282の簡易設定、および予備系MPND191,291の設定が実施される。
【0091】
次いで、予備系MPND181,182への最低限の簡易な設定が完了した後、監視制御装置15の第1段階切替部157は、直ちに、予備系MPND181,182の各CHへの切替え(第1段階切替)を実施する(ステップST1406)。
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第1段階切替の実施要求を送信する(ステップST1407)。
【0092】
次いで、監視制御装置25の第1段階切替部257は、受け取った第1段階切替の実施要求に応じて、直ちに、予備系MPND281,282の各CHへの切替えを実施する(ステップST1408)。
次いで、監視制御装置25は、第1段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST1409)。その後、予備系MPND191,291への信号種別の変更や他の設定が完了するまで待機する。
【0093】
次いで、予備系MPND191の信号種別の変更や他の設定が完了した後、監視制御装置15の第2段階切替部158は、予備系MPND181,182の各CHから予備系MPND191の各CHへの切替え(第2段階切替)を実施する(ステップST1410)。
【0094】
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第2段階切替の実施要求を送信する(ステップST1411)。
次いで、監視制御装置25の第2段階切替部158は、受け取った第2段階切替の実施要求に応じ、予備系MPND291の信号種別の変更や他の設定が完了した後、予備系MPND291の各CHへの切替えを実施する(ステップST1412)。
次いで、監視制御装置25は、第2段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST1413)。
以上の動作により現用系から予備系への切替えを完了する。
【0095】
以上のように、この実施の形態3によれば、TPNDに代えてMPNDを備えた光伝送装置に対しても、予備系への切替えを2段階に分けて行うことで、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施の形態3では、予備系を、第1段階切替で用いられる第1予備系18,28と、第2段階切替で用いられる第2予備系19,29とに分けて構成したが、実施の形態2のように1つの予備系としてもよい。
【0096】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 送信ノード(光伝送装置)、2 受信ノード(光伝送装置)、3,3−1〜3−n,4,4−1〜4−n 外部クライアント装置、10,10−1〜10−n 光カプラ、11,11−1〜11−n,20,20−1〜20−n 現用系TPND、12 n:2光スイッチ部、13,21 第1予備系、14,22 第2予備系、15,25 監視制御装置、16,26 予備系、17,27 現用系MPND、18,28 第1予備系、19,29 第2予備系、23 2:n光スイッチ部、24,24−1〜24−n 2:1光スイッチ部、131,132,211,212 予備系TPND、133,213 光スイッチ部、141,221 マルチレート対応予備系TPND、150,250 データ保持部、151,251 障害検出部、152,252 利用確認部、153,253 使用状況確認部、154,254 優先度比較部、155,255 第1設定部、156,256 第2設定部、157,257 第1段階切替部、158,258 第2段階切替部、159,259 切替制御部、161,162,261,262 マルチレート対応予備系TPND、163,263 光スイッチ部、181,182,281,282 予備系MPND、183,283 光スイッチ部、191,291 マルチレート対応予備系MPND。
【技術分野】
【0001】
この発明は、現用系(運用系)トランスポンダと予備系(冗長系)トランスポンダとの切替えを行う伝送路切替制御機能を有する光伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークシステムにおける従来の伝送路切替制御として、例えば特許文献1に開示された技術がある。この特許文献1に開示された光ネットワークシステムでは、N個の現用系TPND(トランスポンダ)と、M個の予備系TPNDとを備えている。TPNDとは、光ネットワークシステムにおいて、外部クライアント装置からの光信号(以下クライアント信号と称す)の中継を、TPNDのクライアントCH(チャネル)に実装されたIFモジュール(インタフェースモジュール)を用いて実施する光伝送装置である。
【0003】
光ネットワークシステムでは、外部クライアント装置から受信したN個のクライアント信号を、N個の現用系信号とM個の予備系信号とに分岐する。なお、予備系TPNDにはマルチレート対応予備系TPNDを用いる。マルチレート対応予備系TPNDとは、マルチレート対応IFモジュールが実装された光伝送装置である。このマルチレート対応IFモジュールでは、設定によってSTM−64(Synchronous Transport Module−64)や10GbE−LAN(10Gigabit Ethernet−Local Area Network/Ethernetは登録商標)など、様々な信号種別のクライアント信号が収容可能である。
【0004】
このような光ネットワークシステムにおいて、現用系TPNDに障害が無い状態(通常の通信時)では、クライアント信号を、現用系TPNDを介して転送する。一方、現用系TPNDに障害が発生した場合、まず、監視制御装置が障害を検出する。障害を検出した監視制御装置は、予備系TPNDで収容する信号種別を、現用系TPNDで収容している信号種別と同一の種別に設定する。設定が完了した後、クライアント信号の収容先を、現用系TPNDから予備系TPNDへと切替え、転送する。このように、予備系TPNDにマルチレート対応予備系TPNDを用いることで、単純な構成かつ安価な設備コストで、信頼性の高いクライアント信号の光伝送が実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2010/044154
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の技術では、現用系TPNDに障害が発生した後、予備系TPNDのIFモジュールで収容する信号種別を同一種別に設定し、現用系から予備系への切替えが完了するまでの間、クライアント信号の瞬断が発生するという課題がある。この対策として、誤り訂正や光信号の再送により、瞬断の影響を軽減することが可能であるが、切替完了までの時間が増加すると、障害が発生する可能性が高くなると考えられる。
【0007】
さらに、近年、1つのTPNDにおいて、複数のIFモジュールが実装され、複数のクライアント信号をクライアントCH毎に時分割で送信し、波長単位の伝送速度を向上するMPND(多重TPND)のような光伝送装置が開発されている。このような高速かつ複雑なTPNDに対しては、従来のTPNDより複雑な制御技術が必要となり、その結果、設定に要する時間は増加すると考えられる。また、クライアント信号のロス時間が同一であるとき、伝送速度に比例して、損失する情報量は増加すると考えられる。つまり、近年のTPNDの高速・複雑化により、上記のような予備系への設定時間が増加し、また、障害によるクライアント信号ロスの可能性や、その影響が大きくなるといった問題が発生する。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、現用系と予備系の切替えを行う際に要する時間が短い伝送路切替制御機能を有する光伝送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る光伝送装置は、複数の種別の信号を収容可能な現用系トランスポンダと、現用系トランスポンダに障害が発生した場合に系が切替えられる予備系トランスポンダとを備え、予備系トランスポンダは、各種別のうち各々異なる種別の信号を収容可能な複数の第1予備系トランスポンダ部、および、各種別の信号を収容可能な第2予備系トランスポンダ部を有し、現用系トランスポンダに障害が発生したことを検出する障害検出部と、障害検出部により障害発生が検出された場合に、当該障害が発生した現用系トランスポンダで収容中の信号種別に対応する第1予備系トランスポンダ部に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部と、障害検出部により障害発生が検出された場合に、第2予備系トランスポンダ部に対して、当該障害が発生した現用系トランスポンダと同等の設定を行う第2設定部と、第1設定部による設定完了後に、障害が発生した現用系トランスポンダから第1予備系トランスポンダ部への切替えを行う第1段階切替部と、第2設定部による設定完了後に、第1予備系トランスポンダ部から第2予備系トランスポンダ部への切替えを行う第2段階切替部とを備えたものである。
【0010】
また、この発明に係る光伝送装置は、複数の種別の信号を収容可能な現用系トランスポンダと、現用系トランスポンダに障害が発生した場合に系が切替えられる予備系トランスポンダとを備え、予備系トランスポンダは、各種別の信号を収容可能であり、各々異なる種別の信号を収容するように初期設定された複数の予備系トランスポンダ部を有し、現用系トランスポンダに障害が発生したことを検出する障害検出部と、障害検出部により障害発生が検出された場合に、当該障害が発生した現用系トランスポンダで収容中の信号種別に対応するように初期設定された予備系トランスポンダ部に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部と、障害検出部により障害発生が検出された場合に、第1設定部による設定対象の予備系トランスポンダ部以外の所定の予備系トランスポンダ部に対して、当該障害が発生した現用系トランスポンダと同様の設定を行う第2設定部と、第1設定部による設定完了後に、障害が発生した現用系トランスポンダから当該第1設定部により設定された予備系トランスポンダ部への切替えを行う第1段階切替部と、第2設定部による設定完了後に、第1段階切替部により切替えられた予備系トランスポンダ部から、当該第2設定部により設定された予備系トランスポンダ部への切替えを行う第2段階切替部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、上記のように構成したので、既存方式の予備系への切替えよりも短時間での実施が可能となり、外部クライアント装置からの光信号における、情報損失の発生の低減や情報損失量の低減が可能となる。また、現用系と同等の設定が完了した後に第2段階の切替えを実施することで、既存の予備系と同程度の保守効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1における予備系の構成例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1における監視制御装置の構成例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムによる切替可否判断動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムの現用系から予備系への切替えを示すイメージ図である。
【図6】この発明の実施の形態1におけるノード間の動作概要を示すシーケンスである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2における予備系の構成例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る光ネットワークシステムの現用系から予備系への切替えを示すイメージ図である。
【図10】この発明の実施の形態2におけるノード間の動作概要を示すシーケンスである。
【図11】この発明の実施の形態3に係る光ネットワーク装置の構成例を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態3における予備系の構成例を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態3に係る光ネットワークシステムの現用系から予備系への切替えを示すイメージ図である。
【図14】この発明の実施の形態3におけるノード間の動作概要を示すシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
光ネットワークシステムは、図1に示すように、送信側の光伝送装置(送信ノード1)および受信側の光伝送装置(受信ノード2)から構成されている。また、送信ノード1は送信側の伝送路切替制御機能を有し、受信ノード2は受信側の伝送路切替制御機能を有している。この送信ノード1および受信ノード2により、外部クライアント装置3−1〜3−nと外部クライアント装置4−1〜4−nとの通信を中継する。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、外部クライアント装置3−1〜3−nおよび外部クライアント装置4−1〜4−nを、外部クライアント装置3および外部クライアント装置4と称す。
【0014】
なお図1では、伝送路切替制御に関わる構成要素のみを図示し、光信号の波長多重や波長分離、増幅などの処理を行う部分を省略している。また、説明の便宜上、外部クライアント装置3,4からの光信号は片方向送信のみを図示しているが、1本の伝送路上で双方向受信を実施することが可能である。
【0015】
送信ノード1は、光カプラ10−1〜10−n、現用系TPND(現用系トランスポンダ)11−1〜11−n、n:2光スイッチ部(光SW)12、第1予備系13、第2予備系14および監視制御装置15から構成されている。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、光カプラ10−1〜10−nおよび現用系TPND11−1〜11−nを、光カプラ10および現用系TPND11と称す。
【0016】
光カプラ10は、対応する外部クライアント装置3から受信した光信号を分岐して、対応する現用系TPND11、およびn:2光スイッチ部12へ出力するものである。
現用系TPND11は、通常の通信時において、対応する現用系TPND20へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この現用系TPND11は、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
n:2光スイッチ部12は、各光カプラ10からの光信号を1つ選択し、第1予備系13または第2予備系14へ出力するものである。
【0017】
第1予備系13は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生した場合に、第1予備系21へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第1予備系13は、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行って用いられる系である。
第2予備系14は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生した場合に、第2予備系22へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第2予備系14は、現用系TPND11と同等の設定を行って用いられる系である。
この予備系13,14の詳細な構成例については後述する。
【0018】
監視制御装置15は、送信ノード1内の各部の動作を監視制御するものである。この監視制御装置15の詳細な構成例については後述する。
【0019】
受信ノード2は、現用系TPND(現用系トランスポンダ)20−1〜20−n、第1予備系21、第2予備系22、2:n光スイッチ部(光SW)23、2:1光スイッチ部(光SW)24−1〜24−nおよび監視制御装置25から構成されている。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、現用系TPND20−1〜20−nおよび2:1光スイッチ部24−1〜24−nを、現用系TPND20および2:1光スイッチ部24と称す。
【0020】
現用系TPND20は、通常の通信時において、対応する現用系TPND11から光信号を受信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この現用系TPND20は、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
【0021】
第1予備系21は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生した場合に、第1予備系13から光信号を受信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第1予備系21は、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行って用いられる系である。
第2予備系22は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生した場合に、第2予備系14から光信号を受信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第2予備系22は、現用系TPND20と同等の設定を行って用いられる系である。
この予備系21,22の詳細な構成例については後述する。
【0022】
2:n光スイッチ部23は、予備系21,22からの光信号を所定の光スイッチ部24へ出力するものである。
光スイッチ部24は、対応する現用系TPND20からの光信号、または、2:n光スイッチ部23からの光信号を、外部クライアント装置4へ出力するものである。
【0023】
監視制御装置25は、受信ノード2内の各部の動作を監視制御するものである。この監視制御装置25の詳細な構成例については後述する。
【0024】
次に、予備系13,14および予備系21,22の構成例について、図2を参照しながら説明する。
第1予備系13,21は、現用系TPND11,20で収容可能な信号種別のうち、各々異なる種別の信号を収容可能な複数のTPNDを備えている。すなわち、第1予備系13は、STM64の信号を収容可能な予備系TPND(第1予備系トランスポンダ部)131と、10GbEの信号を収容可能な予備系TPND(第1予備系トランスポンダ部)132と、各予備系TPND131,132への入力信号を選択する光スイッチ部(光SW)133とを備えている。
また、同様に、第1予備系21は、STM64の信号を収容可能な予備系TPND(第1予備系トランスポンダ部)211と、10GbEの信号を収容可能な予備系TPND(第1予備系トランスポンダ部)212と、各予備系TPND211,212からの出力信号を選択する光スイッチ部(光SW)213とを備えている。
なお、予備系TPND131,132および予備系TPND211,212はそれぞれ、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
【0025】
また、本発明においては、簡単のために、現用系TPND11,20で収容可能な信号種別がSTM64および10GbEの2種類であるとしているが、信号種別が増加する場合には、さらに第1予備系13,21の予備系TPNDを追加すればよい。
これにより、第1予備系13,21では、現用系からの切替時において、信号種別の設定変更は不要となる。
【0026】
一方、第2予備系14,22は、現用系TPND11,20で収容可能な全ての信号種別を収容可能なTPNDを備えている。すなわち、第2予備系14は、マルチレート対応予備系TPND(第2予備系トランスポンダ部)141を備えている。また、同様に、第2予備系22は、マルチレート対応予備系TPND(第2予備系トランスポンダ部)221を備えている。なお以下では、単に予備系TPND141,221と称す。
また、予備系TPND141および予備系TPND221はそれぞれ、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
この第2予備系14,22では、切替時に、障害が発生した現用系TPND11,20で収容中の信号種別に設定変更後、現用系と同様の設定を実施する。
【0027】
上記のように構成された予備系13,14および予備系21,22での光信号は、現用系TPND11,20に障害が無い状態では、現用系TPND11,20での光信号と同様に、監視制御装置15,25により監視されている。
【0028】
次に、監視制御装置15,25の構成例について、図3を参照しながら説明を行う。
監視制御装置15は、図3に示すように、データ保持部150、障害検出部151、利用確認部152、使用状況確認部153、優先度比較部154、第1設定部155、第2設定部156、第1段階切替部157および第2段階切替部158を備えている。なお、第1設定部155、第2設定部156、第1段階切替部157および第2段階切替部158は、切替制御部159を構成する。
【0029】
データ保持部150は、現用系TPND11を利用するコネクションに対して、個別に、予備系13,14の利用可否および優先度を設定したデータテーブルを保持するものである。
障害検出部151は、現用系TPND11に障害が発生したことを検出するものである。
【0030】
利用確認部152は、障害検出部151により現用系TPND11の障害発生が検出された場合に、データ保持部150に保持されているデータテーブルを検索して、現用系から予備系への切替えを実施するコネクションであるかを確認するものである。
【0031】
使用状況確認部153は、利用確認部152により現用系から予備系への切替えを実施するコネクションであることが確認された場合に、予備系13,14の使用状況を確認するものである。
【0032】
優先度比較部154は、使用状況確認部153により予備系13,14を使用している他のコネクションがあることが確認された場合に、データ保持部150に保持されているデータテーブルを検索して、当該他のコネクションと切替判断対象のコネクションとの優先度を比較するものである。
【0033】
切替制御部159は、障害検出部151により現用系TPND11の障害発生が検出された場合に、利用確認部152、使用状況確認部153および優先度比較部154による確認・比較結果に基づいて、現用系から予備系への切替えを実施するものである。
【0034】
第1設定部155は、現用系から予備系への切替えを実施する場合に、障害が発生した現用系TPND11で収容中の信号種別に対応した予備系TPND(131または132)に対して、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行うものである。
第2設定部156は、現用系から予備系への切替えを実施する場合に、予備系TPND141に対して、障害が発生した現用系TPND11と同等の設定を行うものである。
【0035】
第1段階切替部157は、第1設定部155による設定が完了した後に、障害が発生した現用系TPND11から、第1設定部155により設定された予備系TPND(131または132)への切替えを行うものである。
第2段階切替部158は、第2設定部156による設定が完了した後に、第1段階切替部157により切替えられた予備系TPND(131または132)から、第2設定部156により設定された予備系TPND141への切替えを行うものである。
【0036】
また、図示はしていないが、監視制御装置25についても同様に、データ保持部250、障害検出部251、利用確認部252、使用状況確認部253、優先度比較部254、第1設定部255、第2設定部256、第1段階切替部257および第2段階切替部258を備えている。なお、第1設定部255、第2設定部256、第1段階切替部257および第2段階切替部258は切替制御部259を構成する。
なお、監視制御装置25の各部250〜259の動作は、監視制御装置15の各部150〜159と同様であり、その説明を省略する。
【0037】
次に、上記のように構成された光ネットワークシステムによる、現用系TPND11,20のいずれかに障害が発生した場合での予備系への切替動作について説明する。
【0038】
まず、光ネットワークシステムにおいて、現用系TPND11,20のいずれかに障害が発生した場合に、予備系への切替えを実施するかを判断する動作について、図4を参照しながら説明する。なお以下では、監視制御装置15による切替可否判断動作について説明を行うが、監視制御装置25についても同様である。
【0039】
監視制御装置15による切替可否判断動作では、図4に示すように、まず、障害検出部151が、現用系TPND11に障害が発生したことを検出すると(ステップST401)、利用確認部152は、データ保持部150により保持されているデータテーブルを検索して、現用系から予備系への切替えを実施するコネクションであるかを確認する(ステップST402)。
【0040】
このステップST402において、利用確認部152が、予備系への切替えを実施するコネクションであることを確認した場合には、使用状況確認部153は、予備系13,14が未使用であるかを確認する(ステップST403)。
【0041】
このステップST403において、使用状況確認部153が、予備系13,14を使用している他のコネクションがあることを確認した場合には、優先度比較部154は、データ保持部150により保持されているデータテーブルを検索して、当該他のコネクションより切替判断対象のコネクションの方が優先度が高いかを比較する(ステップST404)。
【0042】
ここで、ステップST403において、使用状況確認部153が、予備系13,14が未使用であることを確認した場合、または、ステップST404において、優先度比較部154が、切替判断対象のコネクションの方が優先度が高いことを確認した場合には、切替制御部159は、現用系から予備系への切替えを実施する(ステップST405)。
【0043】
一方、ステップST402において、利用確認部152が、予備系を利用しないコネクションであることを確認した場合、または、ステップST404において、優先度比較部154が、切替判断対象のコネクションの方が優先度が低いことを確認した場合には、切替制御部159は、現用系から予備系への切替えを実施しない(ステップST406)。
【0044】
次に、光ネットワークシステムによる、現用系から予備系への切替動作について、図5のイメージ図を参照しながら説明する。なお図5では、現用系TPND11−1に障害が発生した場合の送信ノード1での切替動作について示している。また、現用系TPND11−1の信号種別はSTM64であるとし、図5に示す黒丸は光信号の収容を行っている信号収容部を表している。
【0045】
通常の通信時では、図5(a)に示すように、現用系TPND11−1が通信中継を行っている。そして、現用系TPND11−1に障害が発生すると、予備系への切替えが実施される。
【0046】
この際、図5(b)に示すように、まず、直ちに、STM64の信号を収容可能な予備系TPND131への切替えが実施される(第1段階切替)。その後、予備系TPND141の設定が完了するまで、予備系TPND131を継続して使用する。
その後、予備系TPND141が切替可能となった時点で、図5(c)に示すように、予備系TPND131から予備系TPND141への切替えを実施する(第2段階切替)。以上により予備系への切替えを完了する。
【0047】
ここで、第1段階切替で切替えが実施される予備系TPND131,132に設定する項目と、第2段階切替で切替えが実施される予備系TPND141に設定する項目との違いについて簡潔に説明する。
通常、光ネットワークシステムでは、システムを利用する外部クライアント装置3,4からの光信号に加えて、オーバヘッド部分を加えて送信することで、保守運用や監視制御の効率化が可能となっている。そして、予備系TPND141では、このオーバヘッド部分について、現用系における設定と完全に同一となるまで設定する。
【0048】
一方、第1段階切替では、例えば、図1における第1予備系13と第1予備系21との間に発生する警報を全て抑止しても、外部クライアント装置3,4からの信号には影響はない。そこで、緊急にクライアント信号のみを復旧することが目的である第1段階切替で切替えが実施される予備系TPND131,132に対しては、第1予備系13と第1予備系21との間に発生する警報に関する設定を実施しない。
【0049】
このように、第1段階切替で切替えが実施される予備系TPND131,132では、クライアント信号の伝送に必要のない項目の設定を省略し、また、予備系TPND131,132として、信号種別に対応したTPND(STM64や10GbEなど)を事前に用意することで、短時間での切替えを実現することが可能になると考えられる。
【0050】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図6のシーケンス図を参照しながら説明する。なお図6でも、図5と同様に、STM64の信号を収容可能な現用系TPND11−1に障害が発生した場合について示している。
【0051】
監視制御装置15,25による切替動作では、図6に示すように、まず、監視制御装置15の障害検出部151は、現用系TPND11−1の障害発生を検出する(ステップST601)。
次いで、監視制御装置15の各部152〜154は、図4に示すフローに従って、予備系への切替えを実施するかを判断する(ステップST602)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0052】
次いで、監視制御装置15は、予備系への切替えを実施することを示す切替制御情報を受信ノード2の監視制御装置25に送信する(ステップST603)。
次いで、監視制御装置25の各部252〜254は、受け取った切替制御情報が示す切替えが実施可能であるかを判断する(ステップST604)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0053】
次いで、監視制御装置25は、予備系への切替えを実施可能であることを示す切替制御応答を監視制御装置15に送信する(ステップST605)。そして、それぞれのノード1,2上で、第1設定部155,255および第2設定部156,256により、STM64の信号を収容可能な予備系TPND131,211の簡易設定、および予備系TPND141,221の設定が実施される。
【0054】
次いで、予備系TPND131への最低限の簡易設定が完了した後、監視制御装置15の第1段階切替部157は、直ちに、予備系TPND131への切替え(第1段階切替)を実施する(ステップST606)。
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第1段階切替の実施要求を送信する(ステップST607)。
【0055】
次いで、監視制御装置25の第1段階切替部257は、受け取った第1段階切替の実施要求に応じて、直ちに、予備系TPND211への切替えを実施する(ステップST608)。
次いで、監視制御装置25は、第1段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST609)。その後、予備系TPND141,221への信号種別の変更や他の設定が完了するまで待機する。
【0056】
次いで、予備系TPND141の信号種別の変更や他の設定が完了した後、監視制御装置15の第2段階切替部158は、予備系TPND131から予備系TPND141への切替え(第2段階切替)を実施する(ステップST610)。
【0057】
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第2段階切替の実施要求を送信する(ステップST611)。
次いで、監視制御装置25の第2段階切替部258は、受け取った第2段階切替の実施要求に応じ、予備系TPND221の信号種別の変更や他の設定が完了した後、予備系TPND211から予備系TPND221への切替えを実施する(ステップST612)。
次いで、監視制御装置25は、第2段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST613)。
以上の動作により現用系から予備系への切替えを完了する。
【0058】
なお、複数障害に対しては、例えば、既存方式と同様に、予備系TPNDに切替可能なTPNDがあるとき、設定が完了した後に切替えを実施することで冗長効率を向上する方式がある。また、2個目以上の障害に対する切替えを実施せずに、予備系TPNDは常に高速切替が可能な状態を維持する方式がある。このように、複数障害に対する切替方式は、目的によって多様な形態で実施可能である。
【0059】
以上のように、この実施の形態1によれば、現用系から予備系への切替えを、クライアント信号伝送に最低限必要な簡易設定のみを行って、高速切替を実施する第1段階切替と、現用系と同等の設定を行って切替を実施する第2段階切替とに分けて行うように構成したので、切替えに要する時間を短縮化することができ、情報損失の発生の低減や情報損失量の低減が可能となる。また、現用系と同等の設定が完了した後に第2段階の切替えを実施することで、既存の予備系と同程度の保守効率を実現することができる。
【0060】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。図7に示す実施の形態2に係る光ネットワークシステムは、図1に示す実施の形態1に係る光ネットワークシステムの予備系13,14および予備系21,22を、1つの予備系16および予備系26に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0061】
予備系16は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生したときに、予備系26へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。
予備系26は、システム内のいずれかの現用系TPND11,20に障害が発生したときに、予備系16から光信号を受信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。
【0062】
次に、予備系16および予備系26の構成例について、図8を参照しながら説明する。
予備系16,26は、現用系TPND11で収容可能な全ての信号種別を収容可能であり、各々異なる種別の信号を収容するように初期設定されたTPNDを複数備えている。すなわち、予備系16は、マルチレート対応予備系TPND161,162と、各マルチレート対応予備系TPND161,162への入力信号を選択する光スイッチ部(光SW)163とを備えている。なお以下では、単に予備系TPND161,162と称す。この予備系TPND161,162はそれぞれ、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
また、予備系TPND161は事前にSTM64の信号を収容するように初期設定され、予備系TPND162は事前に10GbEの信号を収容するように初期設定されている。
【0063】
また、同様に、予備系26は、マルチレート対応予備系TPND261,262と、各マルチレート対応予備系TPND261,262からの出力信号を選択する光スイッチ部(光SW)263とを備えている。なお以下では、単に予備系TPND261,262と称す。この予備系TPND261,262はそれぞれ、光信号を収容する1つの信号収容部(1個のCH)を有している。
また、予備系TPND261は事前にSTM64の信号を収容するように初期設定され、予備系TPND262は事前に10GbEの信号を収容するように初期設定されている。
【0064】
なお、監視制御装置15の第1設定部155は、現用系から予備系への切替えを実施する場合に、障害が発生した現用系TPND11で収容中の信号種別に対応するように初期設定された予備系TPND(161または162)に対して、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行う。
また、第2設定部156は、現用系から予備系への切替えを実施する場合に、第1設定部155による設定対象の予備系TPND以外の所定の予備系TPNDに対して、現用系TPND11と同様の設定を行う。
また、監視制御装置25の第1設定部255および第2設定部256についても同様である。
【0065】
この実施の形態2では、2段階の切替えのうち、第1段階切替は実施の形態1と同様に実施する。すなわち、対応する信号種別に初期設定された予備系TPND(161または162)を用いることで、信号種別の変更は不要となる。一方、第2段階切替では、第1段階切替で使用されず、他の信号種別に初期設定された予備系TPND(162または161)の設定を変更して使用する。これにより、実施の形態1と比較して、予備系に使用するTPNDの数を削減することが可能である。
【0066】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図9のイメージ図を参照しながら説明する。なお図9では、現用系TPND11−1に障害が発生した場合の送信ノード1での切替動作について示している。また、現用系TPND11−1の信号種別はSTM64であるとし、図9に示す黒丸は光信号の収容を行っている信号収容部を表している。
【0067】
通常の通信時では、図9(a)に示すように、現用系TPND11−1が通信中継を行っている。そして、現用系TPND11−1に障害が発生すると、予備系への切替えが実施される。
【0068】
この際、図9(b)に示すように、まず、直ちに、STM64の信号を収容するように初期設定された予備系TPND161への切替えが実施される(第1段階切替)。また、並行して、予備系TPND162の信号種別の変更および各種設定を実施する。その後、予備系TPND162の設定が完了するまで、予備系TPND161を継続して使用する。
その後、予備系TPND162が切替可能となった時点で、図9(c)に示すように、予備系TPND161から予備系TPND162への切替えを実施する(第2段階切替)。以上により予備系への切替えを完了する。
【0069】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図10のシーケンス図を参照しながら説明する。なお図10でも、図9と同様に、STM62の信号を収容可能な現用系TPND11−1に障害が発生した場合について示している。
【0070】
監視制御装置15,25による切替動作では、図10に示すように、まず、監視制御装置15の障害検出部151は、現用系TPND11−1の障害発生を検出する(ステップST1001)。
次いで、監視制御装置15の各部152〜154は、図4に示すフローに従って、予備系への切替えを実施するかの判断する(ステップST1002)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0071】
次いで、監視制御装置15は、予備系への切替えを実施することを示す切替制御情報を受信ノード2の監視制御装置25に送信する(ステップST1003)。
次いで、監視制御装置25の各部252〜254は、受け取った切替制御情報が示す切替えが実施可能であるかを判断する(ステップST1004)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0072】
次いで、監視制御装置25は、予備系への切替えを実施可能であることを示す切替制御応答を監視制御装置15に送信する(ステップST1005)。そして、それぞれのノード1,2上で、第1設定部155,255および第2設定部156,256により、STM64の信号を収容するように初期設定された予備系TPND161,261の簡易設定、およびその他に初期設定された予備系TPND162,262の設定が実施される。
【0073】
次いで、予備系TPND161への最低限の簡易設定が完了した後、監視制御装置15の第1設定部155は、直ちに、予備系TPND161への切替え(第1段階切替)を実施する(ステップST1006)。
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第1段階切替の実施要求を送信する(ステップST1007)。
【0074】
次いで、監視制御装置25の第1段階切替部257は、受け取った第1段階切替の実施要求に応じて、直ちに、予備系TPND261への切替えを実施する(ステップST1008)。
次いで、監視制御装置25は、第1段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST1009)。その後、予備系TPND162,262への信号種別の変更や他の設定が完了するまで待機する。
【0075】
次いで、予備系TPND162の信号種別の変更や他の設定が完了した後、監視制御装置15の第2段階切替部158は、予備系TPND161から予備系TPND162への切替え(第2段階切替)を実施する(ステップST1010)。
【0076】
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第2段階切替の実施要求を送信する(ステップST1011)。
次いで、監視制御装置25の第2段階切替部258は、受け取った第2段階切替の実施要求に応じ、予備系TPND262の信号種別の変更や他の設定が完了した後、予備系TPND261から予備系TPND262への切替えを実施する(ステップST1012)。
次いで、監視制御装置25は、第2段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST1013)。
以上の動作により現用系から予備系への切替えを完了する。
【0077】
以上のように、この実施の形態2によれば、各種別の信号を収容可能であり、各々異なる種別の信号を収容するように初期設定された複数のマルチレート対応予備系TPND161,162,261,262を設けたので、実施の形態1における効果に加えて、予備系に使用するTPNDの数を削減することが可能である。
【0078】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3に係る光ネットワークシステムの構成例を示す図である。図11に示す実施の形態3に係る光ネットワークシステムは、図1に示す実施の形態1に係る光ネットワークシステムの現用系TPND11および現用系TPND20を、現用系MPND17および現用系MPND27に変更し、予備系13,14および予備系21,22を、予備系18,19および予備系28,29に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、図11では、簡単のため現用系MPNDを1個のみ備えた場合について示しているが、複数個備えるようにしてもよい。
【0079】
現用系MPND17は、通常の通信時において、現用系MPND27へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。ここで、MPND(多重TPND)とは、複数の外部クライアント装置からの光信号を多重して1つの光信号へと変換する光伝送装置である。すなわち、各々異なる波長の光信号を収容するN個の信号収容部(N個のCH)を有している。
現用系MPND27についても、現用系MPND17と同様であり、その説明を省略する。
【0080】
第1予備系18は、システム内のいずれかの現用系MPND17,27に障害が発生した場合に、第1予備系28へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第1予備系18は、信号伝送を可能とすることを目的とした簡易設定を行って用いられる系である。
第2予備系19は、システム内のいずれかの現用系MPND17,27に障害が発生した場合に、第2予備系29へ光信号を送信し、外部クライアント装置3,4間の通信を中継するものである。この第2予備系19は、現用系TPND17と同等の設定を行って用いられる系である。
第1予備系28および第2予備系29についても、第1予備系18および第2予備系29と同様であり、その説明を省略する。
【0081】
次に、予備系18,19および予備系28,29の構成例について、図12を参照しながら説明する。
第1予備系18,28は、現用系MPND17,27で収容可能な信号の種別のうち、各々異なる種別の信号を収容可能であり、全ての信号収容部(全CH)で同一の信号種別であるMPNDを備えている。すなわち、第1予備系18は、STM64の信号を収容可能な予備系MPND181と、10GbEの信号を収容可能な予備系MPND182と、各予備系MPND181,182への入力信号を選択する光スイッチ部(光SW)183とを備えている。
また、同様に、第1予備系28は、STM64の信号を収容可能な予備系MPND281と、10GbEの信号を収容可能な予備系MPND282と、各予備系MPND281,282からの出力信号を選択する光スイッチ部(光SW)283とを備えている。
【0082】
また、本発明においては、簡単のために、現用系MPND17,27で収容可能な信号種別がSTM64および10GbEの2種類であるとしているが、信号種別が増加する場合には、さらに第1予備系18,28の予備系MPNDを追加すればよい。
これにより、第1予備系18,28では、現用系からの切替時において、信号種別の設定変更は不要となる。
【0083】
一方、第2予備系19,29は、現用系MPND17,27で収容可能な全ての信号種別を収容可能なMPNDを備えている。すなわち、第2予備系19は、マルチレート対応予備系MPND191を備えている。また、同様に、第2予備系29は、マルチレート対応予備系MPND291を備えている。なお以下では、単に予備系MPND191,291と称す。
この第2予備系19,29では、切替時に、障害が発生した現用系MPND17,27で収容中の信号種別に設定変更後、現用系と同様の設定を実施する。
【0084】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図13のイメージ図を参照しながら説明する。なお図13では、現用系MPND17に障害が発生した場合の送信ノード1での切替動作について示している。また、現用系MPND17の信号種別は各CHにおいてSTM64や10GbEなどであるとし、図13に示す黒丸は光信号の収容を行っている信号収容部を表している。
【0085】
通常の通信時では、図13(a)に示すように、現用系MPND17が通信中継を行っている。そして、現用系MPND17に障害が発生すると、予備系への切替えが実施される。
【0086】
この際、図13(b)に示すように、まず、直ちに、現用系MPND17の各CHで収容中の信号種別に対応する予備系MPND181,182の各CHへの切替えが実施される(第1段階切替)。その後、予備系MPND191の設定が完了するまで、予備系MPND181,182を継続して使用する。
その後、予備系MPND191が切替可能となった時点で、図13(c)に示すように、予備系MPND181,182の各CHから予備系MPND191の各CHへの切替えを実施する(第2段階切替)。以上により予備系への切替えを完了する。
【0087】
次に、光ネットワークシステムによる現用系から予備系への切替動作について、図14のシーケンス図を参照しながら説明する。なお図14でも、図13と同様に、障害の発生した現用系MPND17の信号種別が各CHにおいてSTM64や10GbEなどである場合について示している。
【0088】
監視制御装置15,25による切替動作では、図14に示すように、まず、監視制御装置15の障害検出部151は、現用系MPND17の障害発生を検出する(ステップST1401)。
次いで、監視制御装置15の各部152〜154は、図14に示すフローに従って、予備系への切替えを実施するかの判断する(ステップST1402)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0089】
次いで、監視制御装置15は、予備系への切替えを実施することを示す切替制御情報を受信ノード2の監視制御装置25に送信する(ステップST1403)。
次いで、監視制御装置25の各部252〜254は、受け取った切替制御情報が示す切替えが実施可能であるかを判断する(ステップST1404)。以下では、予備系への切替えが可能であった場合について示す。
【0090】
次いで、監視制御装置25は、予備系への切替えを実施可能であることを示す切替制御応答を監視制御装置15に送信する(ステップST1405)。そして、それぞれのノード1,2上で、第1設定部155,255および第2設定部156,256により、現用系MPND17の各CHで収容中の信号種別に対応する予備系MPND181,182,281,282の簡易設定、および予備系MPND191,291の設定が実施される。
【0091】
次いで、予備系MPND181,182への最低限の簡易な設定が完了した後、監視制御装置15の第1段階切替部157は、直ちに、予備系MPND181,182の各CHへの切替え(第1段階切替)を実施する(ステップST1406)。
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第1段階切替の実施要求を送信する(ステップST1407)。
【0092】
次いで、監視制御装置25の第1段階切替部257は、受け取った第1段階切替の実施要求に応じて、直ちに、予備系MPND281,282の各CHへの切替えを実施する(ステップST1408)。
次いで、監視制御装置25は、第1段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST1409)。その後、予備系MPND191,291への信号種別の変更や他の設定が完了するまで待機する。
【0093】
次いで、予備系MPND191の信号種別の変更や他の設定が完了した後、監視制御装置15の第2段階切替部158は、予備系MPND181,182の各CHから予備系MPND191の各CHへの切替え(第2段階切替)を実施する(ステップST1410)。
【0094】
次いで、監視制御装置15は、監視制御装置25へ第2段階切替の実施要求を送信する(ステップST1411)。
次いで、監視制御装置25の第2段階切替部158は、受け取った第2段階切替の実施要求に応じ、予備系MPND291の信号種別の変更や他の設定が完了した後、予備系MPND291の各CHへの切替えを実施する(ステップST1412)。
次いで、監視制御装置25は、第2段階切替を実施したことを示す切替確認情報を監視制御装置15へ送信する(ステップST1413)。
以上の動作により現用系から予備系への切替えを完了する。
【0095】
以上のように、この実施の形態3によれば、TPNDに代えてMPNDを備えた光伝送装置に対しても、予備系への切替えを2段階に分けて行うことで、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施の形態3では、予備系を、第1段階切替で用いられる第1予備系18,28と、第2段階切替で用いられる第2予備系19,29とに分けて構成したが、実施の形態2のように1つの予備系としてもよい。
【0096】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 送信ノード(光伝送装置)、2 受信ノード(光伝送装置)、3,3−1〜3−n,4,4−1〜4−n 外部クライアント装置、10,10−1〜10−n 光カプラ、11,11−1〜11−n,20,20−1〜20−n 現用系TPND、12 n:2光スイッチ部、13,21 第1予備系、14,22 第2予備系、15,25 監視制御装置、16,26 予備系、17,27 現用系MPND、18,28 第1予備系、19,29 第2予備系、23 2:n光スイッチ部、24,24−1〜24−n 2:1光スイッチ部、131,132,211,212 予備系TPND、133,213 光スイッチ部、141,221 マルチレート対応予備系TPND、150,250 データ保持部、151,251 障害検出部、152,252 利用確認部、153,253 使用状況確認部、154,254 優先度比較部、155,255 第1設定部、156,256 第2設定部、157,257 第1段階切替部、158,258 第2段階切替部、159,259 切替制御部、161,162,261,262 マルチレート対応予備系TPND、163,263 光スイッチ部、181,182,281,282 予備系MPND、183,283 光スイッチ部、191,291 マルチレート対応予備系MPND。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種別の信号を収容可能な現用系トランスポンダと、前記現用系トランスポンダに障害が発生した場合に系が切替えられる予備系トランスポンダとを備えた光伝送装置において、
前記予備系トランスポンダは、前記各種別のうち各々異なる種別の信号を収容可能な複数の第1予備系トランスポンダ部、および、前記各種別の信号を収容可能な第2予備系トランスポンダ部を有し、
前記現用系トランスポンダに障害が発生したことを検出する障害検出部と、
前記障害検出部により障害発生が検出された場合に、当該障害が発生した現用系トランスポンダで収容中の信号種別に対応する前記第1予備系トランスポンダ部に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部と、
前記障害検出部により障害発生が検出された場合に、前記第2予備系トランスポンダ部に対して、当該障害が発生した現用系トランスポンダと同等の設定を行う第2設定部と、
前記第1設定部による設定完了後に、前記障害が発生した現用系トランスポンダから前記第1予備系トランスポンダ部への切替えを行う第1段階切替部と、
前記第2設定部による設定完了後に、前記第1予備系トランスポンダ部から前記第2予備系トランスポンダ部への切替えを行う第2段階切替部とを備えた
ことを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
複数の種別の信号を収容可能な現用系トランスポンダと、前記現用系トランスポンダに障害が発生した場合に系が切替えられる予備系トランスポンダとを備えた光伝送装置において、
前記予備系トランスポンダは、前記各種別の信号を収容可能であり、各々異なる種別の信号を収容するように初期設定された複数の予備系トランスポンダ部を有し、
前記現用系トランスポンダに障害が発生したことを検出する障害検出部と、
前記障害検出部により障害発生が検出された場合に、当該障害が発生した現用系トランスポンダで収容中の信号種別に対応するように初期設定された前記予備系トランスポンダ部に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部と、
前記障害検出部により障害発生が検出された場合に、前記第1設定部による設定対象の予備系トランスポンダ部以外の所定の予備系トランスポンダ部に対して、当該障害が発生した現用系トランスポンダと同様の設定を行う第2設定部と、
前記第1設定部による設定完了後に、前記障害が発生した現用系トランスポンダから当該第1設定部により設定された予備系トランスポンダ部への切替えを行う第1段階切替部と、
前記第2設定部による設定完了後に、前記第1段階切替部により切替えられた予備系トランスポンダ部から、当該第2設定部により設定された予備系トランスポンダ部への切替えを行う第2段階切替部とを備えた
ことを特徴とする光伝送装置。
【請求項3】
前記現用系トランスポンダおよび前記各予備系トランスポンダ部はそれぞれ、1つの信号を収容可能とする
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記現用系トランスポンダおよび前記各予備系トランスポンダ部はそれぞれ、波長の異なる複数の信号を収容可能とする
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光伝送装置。
【請求項1】
複数の種別の信号を収容可能な現用系トランスポンダと、前記現用系トランスポンダに障害が発生した場合に系が切替えられる予備系トランスポンダとを備えた光伝送装置において、
前記予備系トランスポンダは、前記各種別のうち各々異なる種別の信号を収容可能な複数の第1予備系トランスポンダ部、および、前記各種別の信号を収容可能な第2予備系トランスポンダ部を有し、
前記現用系トランスポンダに障害が発生したことを検出する障害検出部と、
前記障害検出部により障害発生が検出された場合に、当該障害が発生した現用系トランスポンダで収容中の信号種別に対応する前記第1予備系トランスポンダ部に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部と、
前記障害検出部により障害発生が検出された場合に、前記第2予備系トランスポンダ部に対して、当該障害が発生した現用系トランスポンダと同等の設定を行う第2設定部と、
前記第1設定部による設定完了後に、前記障害が発生した現用系トランスポンダから前記第1予備系トランスポンダ部への切替えを行う第1段階切替部と、
前記第2設定部による設定完了後に、前記第1予備系トランスポンダ部から前記第2予備系トランスポンダ部への切替えを行う第2段階切替部とを備えた
ことを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
複数の種別の信号を収容可能な現用系トランスポンダと、前記現用系トランスポンダに障害が発生した場合に系が切替えられる予備系トランスポンダとを備えた光伝送装置において、
前記予備系トランスポンダは、前記各種別の信号を収容可能であり、各々異なる種別の信号を収容するように初期設定された複数の予備系トランスポンダ部を有し、
前記現用系トランスポンダに障害が発生したことを検出する障害検出部と、
前記障害検出部により障害発生が検出された場合に、当該障害が発生した現用系トランスポンダで収容中の信号種別に対応するように初期設定された前記予備系トランスポンダ部に対して、信号伝送を可能とする簡易設定を行う第1設定部と、
前記障害検出部により障害発生が検出された場合に、前記第1設定部による設定対象の予備系トランスポンダ部以外の所定の予備系トランスポンダ部に対して、当該障害が発生した現用系トランスポンダと同様の設定を行う第2設定部と、
前記第1設定部による設定完了後に、前記障害が発生した現用系トランスポンダから当該第1設定部により設定された予備系トランスポンダ部への切替えを行う第1段階切替部と、
前記第2設定部による設定完了後に、前記第1段階切替部により切替えられた予備系トランスポンダ部から、当該第2設定部により設定された予備系トランスポンダ部への切替えを行う第2段階切替部とを備えた
ことを特徴とする光伝送装置。
【請求項3】
前記現用系トランスポンダおよび前記各予備系トランスポンダ部はそれぞれ、1つの信号を収容可能とする
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記現用系トランスポンダおよび前記各予備系トランスポンダ部はそれぞれ、波長の異なる複数の信号を収容可能とする
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−93764(P2013−93764A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235055(P2011−235055)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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