説明

光信号調整方法及び光信号調整装置

【課題】光信号調整装置において、回路規模を削減することを目的とする。
【解決手段】複数波長の信号光の光信号強度を波長毎に光検出部で検出し、各波長の信号光それぞれを可変光減衰器で波長毎に調整して同レベルとする光信号調整装置において、前記波長毎の光検出部の検出信号を順次選択し、選択した検出信号に基づいて前記波長毎の制御信号を生成する制御部を有し、前記制御部で生成した制御信号を選択された検出信号に対応する可変光減衰器に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数波長の信号光を波長毎に調整して同レベルとする光信号調整方法及び光信号調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
WDM(Wavelength Division Multiplexer:波長分割多重)伝送システムは、OADM(Optical Add−Drop Multiplexer)や光アンプ等で、光波長(収容ポート)の増減設や伝送路中のスパンロスが変動した場合、通信品質を保つために、VOA(Variable Optical Attenuator:可変光減衰器)を用いて、光信号の強度(パワー)が一定になるよう光信号レベル調整部にて調整している。
【0003】
図1は、従来のWDM伝送装置の一例のブロック図を示す。同図中、光伝送路を伝送された、波長λ1〜λNが多重された光信号は光アンプ11で増幅されたのち波長分離部(DMUX)12で波長分離される。各波長の光信号は光スイッチ(OSW)13でスイッチングされたのち、光信号レベル調整部14−1〜14−Nで光信号の強度(パワー)が一定になるよう調整され、波長多重部(MUX)15で波長多重されたのち、送信アンプ16で増幅されて光伝送路に出力される。
【0004】
図2は、従来の光信号レベル調整部の一例のブロック図を示す。同図中、光信号レベル調整部は、光信号の強度を検出するモニタ部(PD)14aと、検出された光強度レベルに応じた制御信号を生成する制御部(CNT)14bと、調整部(VOA)14cを有している。
【0005】
ところで、複数の波長それぞれに対応したVOAの出力の波長多重光をモニタして各波長のレベルを分析した分析レベルと、各VOAの出力レベルとに応じて、該各VOAを制御することが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−140631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の急激な光通信トラフィックの増加に伴い、WDM伝送システムも大規模化の傾向にあり、光信号のパワーを調整する回路のコンパクト化が要求されている。
【0007】
しかし、WDM伝送システムの大規模化により、光信号レベル調整を行う制御部14bに搭載されている補正部14b1やVOA制御部回路14b2も波長数分必要となり、回路規模が増大するという問題があった。
【0008】
開示の装置は、回路規模を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の一実施態様による光信号調整装置は、複数波長の信号光の光信号強度を波長毎に光検出部で検出し、各波長の信号光それぞれを可変光減衰器で波長毎に調整して同レベルとする光信号調整装置において、
前記波長毎の光検出部の検出信号を順次選択し、選択した検出信号に基づいて前記波長毎の制御信号を生成する制御部を有し、
前記制御部で生成した制御信号を選択された検出信号に対応する可変光減衰器に供給する。
【0010】
好ましくは、前記制御部は、前記波長毎の光検出部の検出信号を選択する順序を示す順序テーブルを有する。
【0011】
開示の一実施態様による光信号調整方法は、複数波長の信号光の光信号強度を波長毎に光検出部で検出し、各波長の信号光それぞれを可変光減衰器で波長毎に調整して同レベルとする光信号調整方法において、
前記波長毎の光検出部の検出信号を順次選択し、選択した検出信号に基づいて前記波長毎の制御信号を生成し、
生成した制御信号を選択された検出信号に対応する可変光減衰器に供給する。
【0012】
好ましくは、前記波長毎の光検出部の検出信号を選択する順序を順序テーブルで示す。
【発明の効果】
【0013】
本実施形態によれば、回路規模を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて実施形態を説明する。
【0015】
<WDM伝送装置の構成>
図3は、WDM伝送装置の一実施形態のブロック図を示す。同図中、光伝送路を伝送された、波長λ1〜λNが多重された光信号は光アンプ21で増幅されたのち波長分離部22で波長分離される。各波長の光信号は光スイッチ23でスイッチングされたのち、光信号レベル調整部24で光信号の強度(パワー)が一定になるよう調整され、波長多重部(MUX)25で波長多重されたのち、送信アンプ26で増幅されて光伝送路に出力される。
【0016】
光信号レベル調整部24は、波長毎に設けられたモニタ及び調整部30−1〜30−Nと、共通化された制御部35を有している。
【0017】
図4は、光信号レベル調整部24の一実施形態のブロック図を示す。同図中、モニタ及び調整部30−1〜30−Nそれぞれは、モニタ部31と調整部32を有している。モニタ部31は、光信号の強度を検出するフォトダイオード(PD)31aと、フォトダイオード31a出力を増幅して制御部35に供給する増幅部31bを有する。調整部32は、制御部35から供給される制御信号に応じてVOAを駆動するVOA駆動部32aと、入力光信号に対する減衰量を可変する可変光減衰器(VOA)32bを有する。
【0018】
制御部35は、モニタ及び調整部30−1〜30−Nそれぞれのモニタ部31から供給される光強度検出信号からいずれか1つを選択して出力する選択部(SEL)36と、選択部36の出力信号をアナログ/デジタル変換するA/D変換部37と、個々のフォトダイオード31aの特性のバラツキを補正する補正処理部38と、補正された光強度検出値に応じてVOA制御値を生成するVOA制御部39と、VOA制御部39からのVOA制御値を閾値と比較すると共に記憶する比較及びメモリ部40と、比較及びメモリ部40から出力される波長毎のVOA制御値を波長毎にデジタル/アナログ変換して波長毎に調整部32に供給するD/A変換部41を有している。
【0019】
図5は、VOA制御部39及び比較及びメモリ部40の一実施形態の機能ブロック図を示す。同図中、図4と同一部分には同一符号を付す。
【0020】
図5において、VOA制御部39及び比較及びメモリ部40内の設定閾値レベル算出部51には外部の図示しない上位装置から装置設定情報つまりシステム構成及び使用波長数が供給されて保持され、設定閾値レベル算出部51はこの装置設定情報に基づいて閾値レベル(上限閾値と下限閾値、及び上限閾値と下限閾値の中心値(制御目標値))を算出して閾値メモリ52に書き込む。この閾値は閾値メモリ52から読み出されて設定閾値比較部53及び変化量算出部54に供給される。
【0021】
設定閾値比較部53は、補正処理部38から供給される補正された光強度検出値と上限閾値又は下限閾値の近い方と比較して差分を求めて順序テーブル作成部56に供給すると共に、補正された光強度検出値と中心値(制御目標値)との差分(偏差)を求め、光強度検出値と共にVOA制御部55に供給する。VOA制御部55は補正された光強度検出値と中心値との差分(偏差)に応じてVOA制御値を生成する。このVOA制御値は制御メモリ59に書き込まれる。
【0022】
変化量算出部54は、補正処理部38から供給される補正された光強度検出値を前回メモリ54aに保持している該当波長の前回の補正された光強度検出値からの変化量を算出して順序テーブル作成部56に供給する。そして、今回の(最新の)補正された光強度検出値を該当波長の前回の補正された光強度検出値として前回メモリ54aに保持する。
【0023】
順序テーブル作成部56は、設定閾値比較部53から供給される光強度検出値と上限閾値又は下限閾値の近い方との差分、又は、変化量算出部54から供給される変化量に基づいて、差分又は変化量が大きい順に順序テーブル用メモリ57に記憶されている順序テーブルの波長番号の並べ替えを行う。
【0024】
アドレス制御部58は、設定閾値レベル算出部51から波長数を供給され、順序テーブルから順次読み出される波長番号に対応する制御アドレスを生成して制御メモリ59の読み出しアクセスを行い、これによって制御メモリ59から読み出されるVOA制御値はデータラッチ部60に供給され波長番号毎にラッチされる。また、アドレス制御部58は波長選択部36の選択タイミング、及びデータラッチ部60のラッチタイミングを指示している。
【0025】
データラッチ部60は、波長毎にラッチしているVOA制御値をD/A変換部41に供給する。
【0026】
<WDM伝送装置の動作>
図6は、VOA制御処理の一実施形態のフローチャートを示す。この処理は、VOA制御部39及び比較及びメモリ部40により実行される。
【0027】
同図中、WDM伝送装置の電源投入により、ステップS1で装置設定情報のシステム構成及び使用波長数よりVOA制御の閾値(上限閾値と下限閾値)を設定する。次に、ステップS2の初期設定でモニタした光強度検出値を上記上限閾値と下限閾値の中心値とするようにVOA制御値を波長毎に求める。
【0028】
ステップS3で1回目のVOA制御を行い、VOA制御順序テーブルを作成する。次に、ステップS4で2回目以降のVOA制御を行い、VOA制御順序テーブルを作成する。
【0029】
ステップS5で設定変更の有無を判別し、設定変更があればステップS1に進み、設定変更がなければステップS6で装置状態を確認し、WDM伝送装置の電源が入っていればステップS4に進んで処理を繰り返す。
【0030】
図7は、ステップS1で実行する前処理の一実施形態の詳細フローチャートを示す。同図中、ステップS11で、装置制御部からの装置設定情報つまりシステム構成及び使用波長数(N)を参照する。次に、ステップS12で装置設定情報を基に、VOA制御の閾値(上限閾値と下限閾値)を設定する。ステップS13で上限閾値と下限閾値と、上限閾値と下限閾値との中心値を求めて閾値メモリ52に書き込む。
【0031】
図8は、ステップS2で実行する初期設定処理の一実施形態の詳細フローチャートを示す。同図中、ステップS21で、波長番号n=1として入力波長(λn)を選択する。ステップS22で選択された波長(λn)の入力レベルである光信号強度P(λn)[dBm]をサンプリングする。
【0032】
ステップS23で選択した波長のフォトダイオード31aのバラツキ補正処理を実行する。なお、補正処理部38には各フォトダイオード31aのバラツキを補正するための特性データが予め設定されている。
【0033】
ステップS24で補正された光信号強度を設定閾値の中心値とするようなVOA制御値を求める。ステップS25で上記VOA制御値を制御メモリ59に書き込む。制御メモリ59からは所定の制御周期で波長毎にVOA制御値が読み出されてデータラッチ部60にラッチされ、VOA制御が行われる。
【0034】
この後、ステップS26でnを1だけインクリメントし、ステップS27でnが使用周波数Nを超えない限りステップS22に進んで上記の処理を繰り返す。
【0035】
図9は、ステップS3で実行する1回目のVOA制御処理の一実施形態の詳細フローチャートを示す。同図中、ステップS31で、波長番号n=1として入力波長(λn)を選択する。ステップS32で選択された波長(λn)の入力レベルである光信号強度P(λn)[dBm]をサンプリングする。ステップS33で選択した波長のフォトダイオード31aのバラツキ補正処理を実行する。
【0036】
ステップS34で補正された光信号強度を上限閾値及び下限閾値と比較し、補正された光信号強度が上限閾値と下限閾値の範囲内であるか否かを判別する。上限閾値と下限閾値の範囲内であればVOA制御値を変更せずに制御の順序を更新するためにステップS35に進み、上限閾値と下限閾値の範囲外であればVOA制御値を変更するためにステップS38に進む。
【0037】
ステップS35では補正された光信号強度が上限閾値又は下限閾値に近い順つまり中心値からの偏差が大きい順となるように順序テーブルを作成し、ステップS36でこの順序テーブルを順序テーブル用メモリ57に書き込んでステップS39に進む。
【0038】
一方、ステップS38では補正された光信号強度を設定閾値の中心値とするようなVOA制御値を求める。また、VOA制御値を求めた当該波長番号nを順序テーブルの先頭(1番目)とし、この順序テーブルを順序テーブル用メモリ57に書き込んで更新する。
【0039】
ステップS39では制御メモリ59から所定の制御周期(割り込み等による)で波長毎にVOA制御値を読み出してデータラッチ部60にラッチして、VOA制御が行う。
【0040】
この後、ステップS40でnを1だけインクリメントし、ステップS41でnが使用周波数Nを超えない限りステップS32に進んで上記の処理を繰り返す。
【0041】
図10は、ステップS4で実行する2回目以降のVOA制御処理の第1実施形態の詳細フローチャートを示す。同図中、ステップS51で、波長番号n=1として入力波長(λn)を選択する。ステップS52で選択された波長(λn)の入力レベルである光信号強度P(λn)[dBm]をサンプリングする。ステップS53で選択した波長のフォトダイオード31aのバラツキ補正処理を実行する。
【0042】
ステップS54で補正された光信号強度を上限閾値及び下限閾値と比較し、補正された光信号強度が上限閾値と下限閾値の範囲内であるか否かを判別する。上限閾値と下限閾値の範囲内であればVOA制御値を変更せずに制御の順序を更新するためにステップS55に進み、上限閾値と下限閾値の範囲外であればVOA制御値を変更するためにステップS58に進む。
【0043】
ステップS55では、今回の(最新の)補正された光強度検出値と前回の補正された光強度検出値からの変化量が大きい順となるように順序テーブルを作成し、ステップS56でこの順序テーブルを順序テーブル用メモリ57に書き込んでステップS59に進む。
【0044】
一方、ステップS58では補正された光信号強度を設定閾値の中心値とするようなVOA制御値を求める。また、VOA制御値を求めた当該波長番号nを順序テーブルの先頭(1番目)とし、この順序テーブルを順序テーブル用メモリ57に書き込んで更新する。
【0045】
ステップS59では制御メモリ59から所定の制御周期(割り込み等による)で波長毎にVOA制御値を読み出してデータラッチ部60にラッチして、VOA制御が行う。
【0046】
この後、ステップS60でnを1だけインクリメントし、ステップS61でnが使用周波数Nを超えない限りステップS52に進んで上記の処理を繰り返す。
【0047】
図11は、ステップS4で実行する2回目以降のVOA制御処理の第2実施形態の詳細フローチャートを示す。同図中、図10と同一部分には同一符号を付す。この実施形態は1回目のVOA制御処理(図9)と同様に、補正された光信号強度が上限閾値又は下限閾値に近い順つまり中心値からの偏差が大きい順となるように順序テーブルを作成する。
【0048】
図11において、ステップS51で、波長番号n=1として入力波長(λn)を選択する。ステップS52で選択された波長(λn)の入力レベル(光信号強度)P(λn)[dBm]をサンプリングする。ステップS53で選択した波長のフォトダイオード31aのバラツキ補正処理を実行する。
【0049】
ステップS54で補正された光信号強度を上限閾値及び下限閾値と比較し、補正された光信号強度が上限閾値と下限閾値の範囲内であるか否かを判別する。上限閾値と下限閾値の範囲内であればVOA制御値を変更せずに制御の順序を更新するためにステップS65に進み、上限閾値と下限閾値の範囲外であればVOA制御値を変更するためにステップS58に進む。
【0050】
ステップS65では、補正された光信号強度が上限閾値又は下限閾値に近い順つまり中心値からの偏差が大きい順となるように順序テーブルを作成し、ステップS56でこの順序テーブルを順序テーブル用メモリ57に書き込んでステップS59に進む。
【0051】
一方、ステップS58では補正された光信号強度を設定閾値の中心値とするようなVOA制御値を求める。また、VOA制御値を求めた当該波長番号nを順序テーブルの先頭(1番目)とし、この順序テーブルを順序テーブル用メモリ57に書き込んで更新する。
【0052】
ステップS59では制御メモリ59から所定の制御周期(割り込み等による)で波長毎にVOA制御値を読み出してデータラッチ部60にラッチして、VOA制御が行う。
【0053】
この後、ステップS60でnを1だけインクリメントし、ステップS61でnが使用周波数Nを超えない限りステップS52に進んで上記の処理を繰り返す。
【0054】
この実施形態では、順序テーブルの並べ替えを行うために前回の補正された光強度検出値を保持する必要がないため、前回メモリ54aを設ける必要がなく、メモリ容量を縮小することができる。
【0055】
<VOA制御の一例>
VOA制御の一例について説明する。上位装置からシステム閾値−2.5〜+0.5dBmを設定され、使用波長数N=4を設定されると、図12に示すように、設定閾値レベル算出部51はシステム閾値−2.5〜+0.5dBmから0.5dB内側に下限閾値−1.0dBm及び上限閾値0.0dBmを算出し、これから中心値−1.0dBmを算出し、これらを閾値メモリ52に書き込む。
【0056】
図13にVOA制御における各データの一例を示し、図14にVOA制御のタイムチャートの一例を示す。
【0057】
図13及び図14に示すように、初期設定(図8)において、波長λ1の補正された光信号強度が0.0dBm、波長λ2の補正された光信号強度が+0.5dBm、波長λ3の補正された光信号強度が−1.0dBm、波長λ4の補正された光信号強度が−2.0dBmとなると、これらの光信号強度が前回メモリ54aに保持され、各波長の光信号強度を中心値−1.0dBmとするようVOA制御値が算出されて制御メモリ59に書き込まれ、VOA制御が実行される。これにより、制御後の波長λ1,λ2,λ3,λ4それぞれの光信号強度は全て−1.0dBmとなる。
【0058】
次に、1回目のVOA制御(図9)において、VOA制御の順に、波長λ1の補正された光信号強度が−1.0dBm、波長λ2の補正された光信号強度が−1.2dBm、波長λ3の補正された光信号強度が−1.5dBm、波長λ4の補正された光信号強度が−1.8dBmとなると、これらの光信号強度が前回メモリ54aに保持される。そして、光信号強度が下限閾値−1.0dBm又は上限閾値0.0dBmに近い順(λ4,λ3,λ2,λ1の順)に順序テーブルを作成する。
【0059】
また、制御メモリ59に格納されているVOA制御値でVOA制御が実行される。これにより、制御後の波長λ1,λ2,λ3,λ4それぞれの光信号強度は−1.0dBm,−1.2dBm,−1.5dBm,−1.8dBmとなる。
【0060】
2回目のVOA制御(図10)において、VOA制御の順に、波長λ4の補正された光信号強度が−1.8dBm、波長λ3の補正された光信号強度が−1.0dBm、波長λ2の補正された光信号強度が−1.5dBm、波長λ1の補正された光信号強度が−0.8dBmとなると、これらの光信号強度が前回メモリ54aに保持される。そして、今回の補正された光強度検出値と前回の補正された光強度検出値からの変化量が大きい順(λ3,λ2,λ1,λ4の順)に順序テーブルを作成する。
【0061】
また、制御メモリ59に格納されているVOA制御値でVOA制御が実行される。これにより、制御後の波長λ4,λ3,λ2,λ1それぞれの光信号強度は−1.8dBm,−1.0dBm,−1.5dBm,−0.8dBmとなる。
【0062】
2回目のVOA制御で図10に示す第1実施形態を用いた場合、3回目以降のVOA制御も図10に示す第1実施形態を用いることになるのであるが、図12では3回目のVOA制御を図11に示す第2実施形態を用いることとして説明する。
【0063】
3回目のVOA制御(図11)において、VOA制御の順に、波長λ3の補正された光信号強度が−2.1dBm、波長λ2の補正された光信号強度が−1.5dBm、波長λ1の補正された光信号強度が−1.0dBm、波長λ4の補正された光信号強度が−1.3dBmとなると、これらの光信号強度が前回メモリ54aに保持され、波長λ3のVOA制御値が更新される。そして、VOA制御値を更新した波長λ3を先頭として、光信号強度が下限閾値−1.0dBm又は上限閾値0.0dBmに近い順(λ3,λ4,λ1,λ2の順)に順序テーブルを作成する。
【0064】
また、制御メモリ59に格納されているVOA制御値でVOA制御が実行される。これにより、制御後の波長λ3,λ2,λ1,λ4それぞれの光信号強度は−1.0dBm,−1.5dBm,−1.0dBm,−1.3dBmとなる。
【0065】
このように、制御部35で時分割多重処理を行って、モニタ及び調整部30−1〜30−NそれぞれのVOA制御を行うことにより、制御部35の回路規模を小さくすることができる。また、順序テーブルを用いて優先順位を付けてVOA制御を行うことで、VOA制御の処理効率が向上し、システム全体のパフォーマンス向上に寄与することができる。
【0066】
なお、上記実施形態では複数波長の信号光を波長毎に調整して同レベルとしたのち多重しているが、複数波長の信号光を波長毎に調整して同レベルとしたのちいずれかの波長の信号光を選択するような場合にも適用することができる。
(付記1)
複数波長の信号光の光信号強度を波長毎に光検出部で検出し、各波長の信号光それぞれを可変光減衰器で波長毎に調整して同レベルとする光信号調整装置において、
前記波長毎の光検出部の検出信号を順次選択し、選択した検出信号に基づいて前記波長毎の制御信号を生成する制御部を有し、
前記制御部で生成した制御信号を選択された検出信号に対応する可変光減衰器に供給することを特徴とする光信号調整装置。
(付記2)
付記1記載の光信号調整装置において、
前記制御部は、前記波長毎の光検出部の検出信号を選択する順序を示す順序テーブルを
有することを特徴とする光信号調整装置。
(付記3)
付記2記載の光信号調整装置において、
前記制御部は、前回の検出信号に対する最新の検出信号の変化量が大きい順に前記順序テーブルの示す選択順序を並べ替えることを特徴とする光信号調整装置。
(付記4)
付記2記載の光信号調整装置において、
前記制御部は、前記検出信号の値と制御目標値との偏差が大きい順に前記順序テーブルの示す選択順序を並べ替えることを特徴とする光信号調整装置。
(付記5)
複数波長の信号光の光信号強度を波長毎に光検出部で検出し、各波長の信号光それぞれを可変光減衰器で波長毎に調整して同レベルとする光信号調整方法において、
前記波長毎の光検出部の検出信号を順次選択し、選択した検出信号に基づいて前記波長毎の制御信号を生成し、
生成した制御信号を選択された検出信号に対応する可変光減衰器に供給することを特徴とする光信号調整方法。
(付記6)
付記5記載の光信号調整方法において、
前記波長毎の光検出部の検出信号を選択する順序を順序テーブルで示すことを特徴とする光信号調整方法。
(付記7)
付記6記載の光信号調整方法において、
前記前記順序テーブルは、前回の検出信号に対する最新の検出信号の変化量が大きい順に選択順序を並べ替えることを特徴とする光信号調整方法。
(付記8)
付記6記載の光信号調整方法において、
前記前記順序テーブルは、前記検出信号の値と制御目標値との偏差が大きい順に選択順序を並べ替えることを特徴とする光信号調整方法。
(付記9)
請求項1乃至4のいずれか1項記載の光信号調整装置を用いて構成した
ことを特徴とするWDM伝送装置。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】従来のWDM伝送装置の一例のブロック図である。
【図2】従来の光信号レベル調整部の一例のブロック図である。
【図3】WDM伝送装置の一実施形態のブロック図である。
【図4】光信号レベル調整部の一実施形態のブロック図である。
【図5】VOA制御部及び比較及びメモリ部の一実施形態の機能ブロックである。
【図6】VOA制御処理の一実施形態のフローチャートである。
【図7】前処理の一実施形態の詳細フローチャートである。
【図8】初期設定処理の一実施形態の詳細フローチャートである。
【図9】1回目のVOA制御処理の一実施形態の詳細フローチャートである。
【図10】2回目以降のVOA制御処理の第1実施形態の詳細フローチャートである。
【図11】2回目以降のVOA制御処理の第2実施形態の詳細フローチャートである。
【図12】VOA制御の一例について説明するための図である。
【図13】VOA制御における各データの一例を示す図である。
【図14】VOA制御のタイムチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
21 光アンプ
22 波長分離部
23 光スイッチ
24 光信号レベル調整部
25 波長多重部
26 送信アンプ
30−1〜30−N モニタ及び調整部
31 モニタ部
32 調整部
35 制御部
36 選択部
37 A/D変換部
38 補正処理部
39 VOA制御部
40 比較及びメモリ部
41 D/A変換部
51 設定閾値レベル算出部
52 閾値メモリ
53 設定閾値比較部
54 変化量算出部
55 VOA制御部
56 順序テーブル作成部
57 順序テーブル用メモリ
58 アドレス制御部
59 制御メモリ
60 データラッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数波長の信号光の光信号強度を波長毎に光検出部で検出し、各波長の信号光それぞれを可変光減衰器で波長毎に調整して同レベルとする光信号調整装置において、
前記波長毎の光検出部の検出信号を順次選択し、選択した検出信号に基づいて前記波長毎の制御信号を生成する制御部を有し、
前記制御部で生成した制御信号を選択された検出信号に対応する可変光減衰器に供給することを特徴とする光信号調整装置。
【請求項2】
請求項1記載の光信号調整装置において、
前記制御部は、前記波長毎の光検出部の検出信号を選択する順序を示す順序テーブルを
有することを特徴とする光信号調整装置。
【請求項3】
請求項2記載の光信号調整装置において、
前記制御部は、前回の検出信号に対する最新の検出信号の変化量が大きい順に前記順序テーブルの示す選択順序を並べ替えることを特徴とする光信号調整装置。
【請求項4】
請求項2記載の光信号調整装置において、
前記制御部は、前記検出信号の値と制御目標値との偏差が大きい順に前記順序テーブルの示す選択順序を並べ替えることを特徴とする光信号調整装置。
【請求項5】
複数波長の信号光の光信号強度を波長毎に光検出部で検出し、各波長の信号光それぞれを可変光減衰器で波長毎に調整して同レベルとする光信号調整方法において、
前記波長毎の光検出部の検出信号を順次選択し、選択した検出信号に基づいて前記波長毎の制御信号を生成し、
生成した制御信号を選択された検出信号に対応する可変光減衰器に供給することを特徴とする光信号調整方法。
【請求項6】
請求項5記載の光信号調整方法において、
前記波長毎の光検出部の検出信号を選択する順序を順序テーブルで示すことを特徴とする光信号調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−284205(P2009−284205A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134030(P2008−134030)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】