説明

光制御装置、制御装置、光学スコープ及び光走査型光学装置

【課題】特定波長帯域に対応する画像の照明不足を解消し、クリアな画像を生成できる光制御装置、制御装置、光学スコープ及び光走査型光学装置等を提供すること。
【解決手段】光制御装置は、光源からの光をスポット状に被検体に対して照射し、スポット状に照射された光であるスポット光を走査しながらその戻り光を検出する光走査型光学装置に搭載される光制御装置であって、白色光と、特定の波長帯域を有する特殊光とを被検体に照射する光照射部103と、白色光の照射時間に対して特殊光の照射時間が長くなるよう制御する照射時間制御部112と、照射時間が制御された白色光の照射による被検体からの第1の戻り光を検出し、照射時間が制御された特殊光の照射による被検体からの第2の戻り光を検出する光検出部107とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御装置、制御装置、光学スコープ及び光走査型光学装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検診において、被写体の画像を診察用モニタに表示するため、内視鏡スコープの挿入部先端にライトガイド、鉗子チャンネル、CCD及び送気・送水チャンネルなどを取り付けることが普通である。ただし、この場合、内視鏡スコープの挿入部のサイズが太くなり、患者や医者に負担がかかる。また、従来の内視鏡スコープにおいて、通常光光源及び特殊光光源を切換えて診査能力を向上させることが可能だが、同じタイミングで通常光画像と特殊光画像を同時に表示させることが困難である。
【0003】
これらの課題を改善するために、特許文献1は、RGBレーザまたは他の光源をそれぞれ、迅速に光源を順次に切り替えて発光し、光ファイバーを通して被写体に対してスポット状に順次走査しながら照射し、その戻り光を検出して画像を形成する技術を提案している。特許文献1では、細い光ファイルバーを用いるため、内視鏡スコープの小型化が実現できる。また、通常光画像と特殊光画像を同時に構成することも可能のため、診断能力を高めることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−535659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1においては、通常光光源と特殊光光源に対して時系列的に発光させるため、その戻り光から形成した通常光画像に比べて、特殊光に対応する波長帯域が狭いことが原因で、形成した特殊光画像は暗いという課題が残る。後段の処理でゲインアップなどの処理で明るくすることも可能だが、暗部のノイズも増幅される怖れがある。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、特定波長帯域に対応する画像の照明不足を解消し、クリアな画像を生成できる光制御装置、制御装置、光学スコープ及び光走査型光学装置等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、光源からの光をスポット状に被検体に対して照射し、スポット状に照射された光であるスポット光を走査しながらその戻り光を検出する光走査型光学装置に搭載される光制御装置であって、白色光と、特定の波長帯域を有する特殊光とを被検体に照射する光照射部と、前記白色光の照射時間に対して前記特殊光の照射時間が長くなるように制御する照射時間制御部と、照射時間が制御された前記白色光の照射による前記被検体からの第1の戻り光を検出し、照射時間が制御された前記特殊光の照射による前記被検体からの第2の戻り光を検出する光検出部と、を含む光制御装置に関係する。
【0008】
本発明の一態様では、白色光の照射時間に対して、特殊光の照射時間が長くなるように制御される。そしてその戻り光を検出するため、特定波長帯域に対応する画像の照明不足を解消し、クリアな画像を取得できる。
【0009】
本発明の他の態様は、光源からの光をスポット状に被検体に対して照射し、スポット状に照射された光であるスポット光を走査しながらその戻り光を検出する光走査型光学装置であって、白色光と、特定の波長帯域を有する特殊光とを被検体に照射する光照射部と、前記白色光の照射時間に対して前記特殊光の照射時間が長くなるように制御する照射時間制御部と、照射時間が制御された前記白色光の照射による前記被検体からの第1の戻り光を検出し、照射時間が制御された前記特殊光の照射による前記被検体からの第2の戻り光を検出する光検出部と、を含み、前記光照射部は、前記白色光を発光する通常光光源から前記白色光を取得して照射し、前記特殊光を発光する特殊光光源から前記特殊光を取得して照射する光走査型光学装置に関係する。
【0010】
本発明の他の態様によれば、通常光光源から白色光を取得し、特殊光光源から特殊光を取得する。そして白色光の照射時間に対して、特殊光の照射時間が長くなるように制御される。その上で戻り光を検出するため、特定波長帯域に対応する画像の照明不足を解消し、クリアな画像を取得できる光走査型光学装置を実現できる。
【0011】
本発明の他の態様は、光源からの光をスポット状に被検体に対して照射し、スポット状に照射された光であるスポット光を走査しながらその戻り光を検出する光走査型光学装置であって、白色光と、特定の波長帯域を有する特殊光とを被検体に照射する光照射部と、前記白色光の照射時間に対して前記特殊光の照射時間が長くなるように制御する照射時間制御部と、照射時間が制御された前記白色光の照射による前記被検体からの第1の戻り光を検出し、照射時間が制御された前記特殊光の照射による前記被検体からの第2の戻り光を検出する光検出部と、を含み、前記光照射部は、単一の前記光源が発した光に対し、前記白色光を透過する第1のフィルタを適用することで前記白色光を取得し、前記特殊光を透過する第2のフィルタを適用することで前記特殊光を取得する光走査型光学装置。
【0012】
本発明の他の態様によれば、単一の白色光光源と複数のフィルタを用いて、白色光と特殊光を取得する。そして白色光の照射時間に対して、特殊光の照射時間が長くなるように制御される。その上で戻り光を検出するため、特定波長帯域に対応する画像の照明不足を解消し、クリアな画像を取得できる光走査型光学装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光走査型光学装置の構成例。
【図2】通常光光源の分光特性。
【図3】NBIにおける特殊光光源の分光特性。
【図4】通常光光源と特殊光光源の発光タイミングの例。
【図5】通常光光源と特殊光光源の発光タイミングの他の例。
【図6】発光制御部の構成例。
【図7】光照射部の構成例。
【図8】光ファイバーの走査方向の例。
【図9】点順次操作における照射スポットと発光光源の例。
【図10】光ファイバーの走査方向の他の例。
【図11】光ファイバーの走査方向の他の例。
【図12】光検出部と画像処理部の構成例。
【図13】第1の画像構成部の構成例。
【図14】第2の画像構成部の構成例。
【図15】第1補間部の構成例。
【図16】第2補間部の構成例。
【図17】ラスタスキャン形式の画像構成の説明図。
【図18】バイリニア補間の説明図。
【図19】AFIにおける特殊光光源の分光特性。
【図20】AFIにおける光検出部の構成例。
【図21】光走査型光学装置の他の構成例。
【図22】光照射部の他の構成例。
【図23】光照射部の他の構成例。
【図24】図24(A)、図24(B)、図24(C)は回転フィルタの構成例。
【図25】鉗子チャンネル系内視鏡の挿入部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0015】
1.第1の実施形態
まず、本実施形態の手法の概要について説明する。通常光画像と同時に特殊光画像を取得し、病変部を観察する手法において、特殊光画像は病変部が周囲とは異なった色味で表示されるため(例えば狭帯域光観察において扁平上皮癌等の病変が褐色で表示される)、通常光による観察に比べて病変部の視認性が高い。しかし通常光による観察に比べて照射する光の波長帯域が狭く、光量が少ないため、全体には暗く見づらい画像になってしまう。
【0016】
そこで本出願人は特殊光照射時間を通常光の照射時間に比べて長くして、明るくノイズの少ない特殊光画像を取得する手法を提案している。具体的には、図1に示すように、照射時間制御部112により特殊光の照射時間が通常光の照射時間に比べ長くなるように制御される。実際の発光制御は発光制御部106によって行われ、発光制御部106からの信号により通常光光源101と特殊光光源102の発光が制御される。
【0017】
具体的な発光タイミングを示したものが後述する図4である。ここでL1、L2、L3が通常光の発光タイミングであり、L4、L5が特殊光の発光タイミングである。このようにL1、L2、L3に比べてL4、L5の発光時間が長くなるような制御が行われる。これにより特殊光画像の照明不足を解消し、明るくノイズの少ない特殊光画像を取得することが可能になる。詳細については第1の実施形態において説明する。
【0018】
なおシステムの構成は図1に限定されるものではなく、光源部等について異なった構成であっても良い。変形例を第2の実施形態において詳細に説明する。
【0019】
図1は、本願の第1の実施形態の構成例である。被写体100を観察する光制御装置(光走査型光学装置)は、通常光光源101、特殊光光源102、光照射部103、光ファイバー104、挿入部105、発光制御部106、光検出部107、画像処理部108、信号制御部109、表示装置110、メモリ111、照射時間制御部112を含む。なお光制御装置の構成はこれに限定されず、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0020】
この光制御装置は内視鏡検査に適用することも考えられるため、挿入部105は体内に挿入できるように湾曲が可能で細長くパイプ状になっており、光ファイバー104は挿入部105の後部から貫通し挿入部105の先端部までつながっている。光照射部103は挿入部105に接続されている。光検出部107は光照射部103から光信号を受け取り、画像処理部108へ光信号を送り出す構成となっている。画像処理部108は、表示装置110に接続されている。発光制御部106は通常光光源101、特殊光光源102、光照射部103、光検出部107、画像処理部108及びメモリ111と双方向に接続されている。メモリ111は画像処理部108に接続されている。信号制御部109は、光検出部107、画像処理部108と双方向に接続されている。照射時間制御部112は発光制御部106に接続されている。
【0021】
図1において、光源の発光制御、光信号及び画像信号の流れを説明する。通常光光源101はL1、L2、L3の三つのLED単色光源から構成されている。この三つのLED単色光源はそれぞれに特定の分光特性をもっている。本実施形態では、図2に示すように、L1のLED単色光源はR0(580nm〜700nm)、L2のLED単色光源はG0(480nm〜600nm)、L3のLED単色光源はB0(400nm〜500nm)の分光特性に対応している。このL1は赤色、L2は緑色、L3は青色を発光するため、3つのLED単色光源の発光を合成すると、白色光になる。このL1、L2、L3のLED単色光源の照射からの戻り光から形成した画像は通常光画像である。
【0022】
一方、特殊光光源102はL4、L5の二つのLED単色光源から構成されている。この二つのLED単色光源はそれぞれ特定の分光特性をもっている。本実施形態では、図3に示すように、L4のLED単色光源はG1(530nm〜550nm)、L5のLED単色光源はB1(390nm〜445nm)の分光特性に対応している。内視鏡診断の分野では、血液中のヘモグロビンに吸収しやすいこのG1及びB1の狭帯域の分光特性を持つ光源を生体に照射することにより、特殊光画像(NBI画像)を形成し、粘膜表層の毛細血管、粘膜微細模様の強調表示を実現する。このNBI画像は食道や大腸、胃などのがんの診断に効果が高い。本実施形態においては、特に説明がない限り、特殊光がG1及びB1から構成される狭帯域光観察(NBI)を例にとって説明するものとする。なお特殊光はNBIモードによるものに限定されず、後述するようにAFIなど、他の波長帯域の光を用いてもよいことは言うまでもない。
【0023】
本実施形態では、発光制御部106の制御に基づき、所定の発光タイミングに合わせて、例えば図4に示すようにL1→L2→L3→L4→L5の順に、あるいは、図5に示すようにL1→L4→L2→L5→L3の順に、各LED単色光源を1色ずつ繰り返して順次発光させ、順次に各単色光源の発光による光を光照射部103へ転送する。具体的には、図4及び図5に示すように、照射時間制御部112は、発光制御部106の発光タイミングを調整し、通常光光源L1、L2、L3に比べ特殊光光源L4、L5の発光の時間を長くするように制御する。
【0024】
なお、1つの光源が発光している間は1つの照射スポットにとどまっている必要がある。そのためL4、L5では照射スポットでの停滞時間を長くする(もしくは走査速度を遅くする)必要がある。そのため、図5の手法に比べ、図4の手法は頻繁に停滞時間を変更する必要がなくなり、機械的な制御が容易であり、有利であると考えられる。特に点順次では、1つのスポットごとに光源の発光を切り替えることになるため、その傾向が顕著になる。
【0025】
図6は、発光制御部106の構成の一例を示すもので、周期制御部211及び係数保存部212の構成を含む。周期制御部211は、通常光光源101、特殊光光源102、光照射部103、光検出部107及び信号制御部109と双方向に接続されている。係数保存部212は、メモリ111及び周期制御部211に接続されている。照射時間制御部112は係数保存部212に接続されている。
【0026】
本実施形態では、係数保存部212には、照射時間制御部112の制御により、通常光光源L1、L2、L3に比べ特殊光光源L4、L5の発光時間を長くするような発光時間係数が保存されている。具体的には、通常光の発光時間係数F1(ns)及び特殊光の発光時間係数F2(ns)(F1<F2)が保存されており、F1及びF2を周期制御部211へ転送する。周期制御部211は、転送されてきた発光時間係数F1及びF2の時間間隔で順次にL1→L2→L3→L4→L5、あるいはL1→L4→L2→L5→L3の順に1色ずつ繰り返して通常光光源101及び特殊光光源102の発光を制御する。例えば、通常光光源101のL1の場合、F1(ns)発光→F1+F1+F2+F2(ns)消灯(時間の長さは他の光源が発光している時間に相当)→発光→消灯を繰り返すように制御する。発光の情報(発行タイミング、発光周期)は光照射部103、光検出部107及び画像処理部108へ転送される。
【0027】
図7は、光照射部103の構成の一例を示すもので、集光レンズ201、調整ミラー202、走査制御部203及びハーフミラー208を含む。通常光光源101及び特殊光光源102からの光は集光レンズ201に入る。集光レンズ201に入った光は、調整ミラー202によりハーフミラー208に入射される。挿入部105は、光照射部に接続されている。光ファイバー104はハーフミラー208を介して照射光を受け取り、また、被写体100からの戻り光を光照射部103へ転送する。走査制御部203は光ファイバー104に接続されている。調整ミラー202及び走査制御部203は発光制御部106と双方向に接続されている。
【0028】
本実施形態では、発光制御部106の制御により、通常光光源のL1、L2、L3、及び特殊光光源L4、L5の単色LED光源から発せられた光は、上記の発光タイミングに基づき1色ずつ所定の時間間隔で順次に光照射部103に入射される。本実施形態において、調整ミラー202は中心部を軸に、角度調整が可能な構成となっている。そのため、発光制御部106の制御に基づき、光照射部103に入ってくる単色光源の種類に応じて調整ミラー202の向きの角度を適切に調整する。具体的には調整ミラー202に当たる光の反射光が常にハーフミラー208を介して光ファイバー104に入射されるように調整する。これにより、通常光光源101及び特殊光光源102は発光タイミングに合わせて、所定の時間間隔でL1→L2→L3→L4→L5、あるいはL1→L4→L2→L5→L3の順に1色ずつ特定の分光特性を持つ光が照明光として繰り返して発光され、光ファイバー104に入射されることになる。入射された1色ずつの単色光は光ファイバー104を介して被写体100へ照射される。
【0029】
次に走査の方法について説明する。走査制御部203は、発光制御部106の制御により光ファイバー104を振動させ挿入部105の先端部までにつながる光ファイバー104の先端部を光ファイバーの軸を中心にして、らせん状に走査する。例えば、図8に示すように、中心部S1からスタートして、らせん状に終点のS2に向かって走査する。
【0030】
本実施形態では、発光タイミングと走査による照射スポットの移動とを対応させる。例えば、図9に示すように発光の順番L1→L2→L3→L4→L5の順に合わせ、繰り返して光ファイバー104へ光線を送り出しながら、光ファイバー104を振動させて始点S1から終点S2まで走査するケースを考える。この場合、発光タイミングを制御することで、上記所定の発光時間間隔と1つの照射スポットへの照射時間とが対応するように制御される。このとき、1つの照射スポットへの照射が、後の処理で構成する画像の1画素に対応する。S1からS2まで、走査をしながら照射を行うことで得られる戻り光から、1枚の平面2次元画像が構成される。
【0031】
このように、S1からS2までの全領域の走査において、照射スポットごとに通常光光源L1、L2、L3からの単色光と特殊光光源L4、L5からの単色光を順次に切り替えて照射する方法は点順次走査という。上述したように、照射時間制御部112は、発光制御部106の発光タイミングを調整する。具体的には、通常光光源L1、L2、L3に比べ特殊光光源L4、L5の発光時間を長くするように制御するため、特殊光光源が発光する場合、通常光光源が発光する場合より1つの照射スポットへの照射時間が長いことが特徴となる。この場合、走査制御部203は、特殊光光源が発光する場合は通常光光源が発光する場合に比べて、照射スポットでの停滞時間も長くするように光ファイバーの走査スピートを落して制御する。
【0032】
なお上記の構成は、1つの照射スポットにおいて、1種類の単色光源が発光し照射される構成となっているが、このような構成に限定する必要はない。例えば、1つの照射スポットにおいて通常光光源L1、L2、L3及び特殊光光源L4、L5の5つの光源が一巡順次発光し、それぞれの戻り光を取得してから次の照射スポットへ移動させるように光ファイバーを振動させ制御してもよい。
【0033】
この場合、同じスポットにおいて、すべての単色光源が発光し照射することになる。通常光の単色光源に比べ特殊光の単色光源の照射時間を長く設定する点は同様である。1つの照射スポットにおいて、全ての光源を発光させるため、照射スポットでの停滞時間が長くなり、1回の全域走査にかかる時間が長くなる。そのため、単位時間あたりに得られる画像の枚数が少なくなり、時間分解能(動画性能)が通常の点順次に比べて劣ることになる。しかし、全ての照射スポットにおいて、全ての光源に対応する情報を取得することが可能なため、画像の解像度を上げることができる。
【0034】
また、中心部S1からスタートして、らせん状に終点のS2に向かって全領域の走査が完了するまで、1種類の単色光源のみを発光させる走査方法もある。このような方法を面順次走査という。面順次走査の場合、通常光光源L1、L2、L3、及び特殊光光源L4、L5の光源のうち、1種類の単色光源で全領域を走査し、全領域の照射スポットにおいて照射による戻り光を取得する。その後、他の種類の単色光源の発光に切り替え、同様に1種類の光源で全領域を走査する。
【0035】
この場合、点順次走査と同じように、照射時間制御部112は、発光制御部106の発光タイミングを調整し、通常光光源L1、L2、L3に比べ特殊光光源L4、L5が発光する時間を長くするように制御する。そのため、特殊光光源が発光する場合、通常光光源が発光する場合に比べて、1つの照射スポットでの照射時間が長いことが特徴となる。これに伴い、走査制御部203は、特殊光光源が発光する場合は、通常光光源が発光する場合に比べて全領域の各スポットへの停滞時間も長くするように光ファイバーの走査スピートを落して制御する。
【0036】
本実施形態では、これ以降特に説明がない限りは、点順次の走査方法を例にとって説明する。
【0037】
また、らせん状の走査方向は上述した図8の方法に限定されるものではない。図8では、らせん状に内側から外側1回の全領域の走査(S1→S2)が完了後、S2→S1の順に逆方向(矢印方向)で次の全領域走査を行う構成となっている。しかし図10に示すように、S1→S2での走査方向と同じ走査方向でS2→S1の順に外側から内側(矢印方向)へ次の全領域走査を行う構成にしてもよい。この場合、S2において速度方向を変えずに走査を継続することが可能になり、機械的な制御が容易になるという利点がある。
【0038】
また図11に示すように、らせん状に沿って内側から外側へ1回の全領域の走査(S1→S2)が完了後、走査制御部203の制御により、点S2から直線的(矢印方向)に点S1に復帰させ、再度内側から同じ方向に走査してもよい。
【0039】
なお、発光制御部106の制御により走査時に各照射スポットの座標情報及び光線の種類や順番の情報はメモリ111へ転送される。本実施形態では、2次元画像を構成するため、各スポット(画像の画素に対応)に対応する座標情報は(x,y)で表す。ここで、xは2次元画像の横幅の座標、yは2次元画像の縦幅の座標である。
【0040】
次に発光タイミングの制御について説明する。光照射部103は発光タイミングに合わせ、白色光を構成するL1、L2、L3の単色の光、及び特殊光を構成するL4、L5の単色の光を順次に繰り返して挿入部105に貫通する光ファイバー104の先端部まで転送し、被写体100に照射する。それと同時に、光ファイバー104は、照射スポットごとに、各単色の光の照射による被写体100からの戻り光をキャッチして光ファイバー104の後部に接続されている光検出部107へ転送する。本実施形態では、L1、L2、L3、L4、L5の全5種類の単色光源の所定の発光切り替えの時間間隔をT1に、各単色光源からの光が光照射部103及び光ファイバー104を介し被写体100に照射されるまでの経由時間をT2に、被写体100からの戻り光が光ファイバー104を介し光検出部107で検出されるまでの経由時間をT3に設定し、下式(1)で発光タイミングを制御する。
【0041】
T1≧T2+T3・・・・・(1)
【0042】
上式(1)のように制御することで、ある光源が発光してから、その戻り光を光検出部107で検出するまでの時間以上に、発光間隔が制御されることになる。つまり、ある光(照射光又は照射光による被検体からの戻り光)が光ファイバー内にある間は、次の光を照射しないように制御することが可能になる。よって2種類以上の光が同時に光ファイバーに入らないため、1本のファイバーのみで、光信号が衝突することなく、観察を行うことができる。
【0043】
次に光検出部107及び画像処理部108について説明する。被写体100からの戻り光は光ファイバー104を通して、光照射部103に入り、ハーフミラー208を介して、光検出部107に入る。光検出部107からの信号は、画像処理部108へ送られる。
【0044】
図12は、光検出部107及び画像処理部108の構成の一例を示すものある。光検出部107は、光電変換部401、アンプ部402、A/D変換部403を含む。画像処理部108は、分離部404、情報取得部410及び画像生成部411を含む。画像生成部411は、第1の画像構成部405、第2の画像構成部406、第1補間部407、第2補間部408、出力画像生成部409を含む。なお光検出部107及び画像処理部108の構成はこれに限定されず、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0045】
光電変換部401は、アンプ部402、A/D変換部403を介して分離部404に接続されている。分離部404は、第1の画像構成部405を介して第1補間部407に接続されている。また、分離部404は第2の画像構成部406を介して第2補間部408へも接続されている。第1補間部407及び第2補間部408は出力画像生成部409に接続されている。メモリ111は分離部404、第1の画像構成部405、第2の画像構成部406、第1補間部407及び第2補間部408に接続されている。信号制御部109は、光検出部107及び画像処理部108の各部と双方向に接続されている。発光制御部106は信号制御部109と双方向に接続されている。第1補間部407及び第2補間部408は出力画像生成部409に接続されている。情報取得部410は、分離部404に接続されている。
【0046】
本実施形態では、信号制御部109の制御に基づき、光検出部107からの照射スポットごとの戻り光を用いて光電変換部401にて光電変換処理を行い、1照射スポットに1画素が対応するように電荷信号を生成する。生成した電荷信号をアンプ部402にて増幅させ、さらにA/D変換部403にてデジタル単色画像信号へ変換し、分離部404へ転送する。
【0047】
分離部404は、信号制御部109の制御に基づき、メモリ111からの当該照射スポットに対応する走査時の光源の種類に基づいて、デジタル単色画像信号の分離を行う。具体的には、走査時の発光光源が通常光光源L1、L2、L3の場合は、対応するデジタル単色画像信号Rd0(赤色帯域),Gd0(緑色帯域),Bd0(青色帯域)を第1の画像構成部405へ転送し、走査時の光源が特殊光光源L4、L5の場合は、デジタル単色画像信号Gd1、Bd1を第2の画像構成部406へ転送する。
【0048】
図13は、第1の画像構成部405の構成の一例を示すもので、第1の色信号蓄積部501、第2の色信号蓄積部502及び第3の色信号蓄積部503を含む。分離部404は、第1の色信号蓄積部501、第2の色信号蓄積部502及び第3の色信号蓄積部503に接続されている。第1の色信号蓄積部501、第2の色信号蓄積部502及び第3の色信号蓄積部503はそれぞれ第1補間部407に接続されている。また、信号制御部109は第1の色信号蓄積部501、第2の色信号蓄積部502及び第3の色信号蓄積部503と双方向に接続されている。
【0049】
本実施形態では、信号制御部109の制御により、分離部404は通常光光源L1、L2、L3の照射の戻り光に対応する上記デジタル単色画像信号Rd0(赤色帯域)を第1の色信号蓄積部501へ、デジタル単色画像信号Gd0(緑色帯域)を第2の色信号蓄積部502へ、デジタル単色画像信号Bd0(青色帯域)を第3の色信号蓄積部503へそれぞれ分けて転送し上記座標情報(x,y)に対応づけて蓄積する。
【0050】
信号制御部109の制御により光ファイバー104で1回全領域の走査が完了後、上記第1の色信号蓄積部501に蓄積されている全領域のデジタル単色画像Rd0(赤色帯域)、第2の色信号蓄積部502に蓄積されている全領域のデジタル単色画像Gd0(緑色帯域)、及び第3の色信号蓄積部503に蓄積されている全領域のデジタル単色画像Bd0(青色帯域)を、第1補間部407へ転送する。
【0051】
なお、面順次走査の場合、信号制御部109の制御により通常光光源L1、L2、L3は全領域走査ごとにそれぞれ発光して、通常光光源L1、L2、L3で合わせて三回の全領域走査により上記第1の色信号蓄積部501に蓄積されている全領域のデジタル単色画像Rd0(赤色帯域)、第2の色信号蓄積部502に蓄積されている全領域のデジタル単色画像Gd0(緑色帯域)、第3の色信号蓄積部503に蓄積されている全領域のデジタル単色画像Bd0(青色帯域)を、第1補間部407へ転送する。
【0052】
図14は、第2の画像構成部406の構成の一例を示すもので、第4の色信号蓄積部504、第5の色信号蓄積部505を含む。分離部404は、第4の色信号蓄積部504、第5の色信号蓄積部505に接続されている。第4の色信号蓄積部504、第5の色信号蓄積部505はそれぞれ第2補間部408に接続されている。また、信号制御部109は第4の色信号蓄積部504、第5の色信号蓄積部505と双方向に接続されている。
【0053】
信号制御部109の制御により、分離部404は特殊光光源L4、L5の照射の戻り光に対応する上記デジタル単色画像信号Gd1(狭帯域色)を第4の色信号蓄積部504へ、デジタル単色画像信号Bd1(狭帯域色)を第5の色信号蓄積部505へそれぞれ分けて転送し、上記座標情報(x,y)に対応づけて蓄積する。上記第1の画像構成部405と同様に、第4の色信号蓄積部504に蓄積されている全領域のデジタル単色画像Gd1(狭帯域色)、第5の色信号蓄積部505に蓄積されている全領域のデジタル単色画像Bd1(狭帯域色)を第2補間部408へ転送する。
【0054】
デジタル単色画像Rd0、Gd0、Bd0は通常光光源による全領域走査に対応するものであり、デジタル単色画像Gd1、Bd1は特殊光光源による全領域走査に対応するものである。Rd0、Gd0、Bd0、Gd1及びBd1のそれぞれの信号集合体は光ファイバーの走査方向に対応し2次元のらせん状の画像となっている。
【0055】
図15は、第1補間部407の構成の一例を示すもので、第1のスキャン変換部601、第2のスキャン変換部602、第3のスキャン変換部603及び第1の画像合成部610を含む。第1の画像構成部405は、第1のスキャン変換部601、第2のスキャン変換部602、第3のスキャン変換部603に接続されている。第1のスキャン変換部601、第2のスキャン変換部602、第3のスキャン変換部603は第1の画像合成部610に接続されている。第1の画像合成部610は出力画像生成部409に接続されている。信号制御部109は、第1のスキャン変換部601、第2のスキャン変換部602、第3のスキャン変換部603及び第1の画像合成部610と双方向に接続されている。なお第1補間部の構成はこれに限定されず、これらの構成要素の一部を省略するなどの種々の変形実施が可能である。
【0056】
信号制御部109の制御に基づき、第1の画像構成部405からのらせん状のRd0単色画像が第1のスキャン変換部601へ、Gd0単色画像が第2のスキャン変換部602へ、Bd0単色画像が第3のスキャン変換部603へ転送される。第1のスキャン変換部601に入力されたRd0単色画像、第2のスキャン変換部602に入力されたGd0単色画像及び第3のスキャン変換部603に入力されたBd0単色画像は2次元らせん状になっているため、各画素は本来の位置からずれる。この場合、下式(2)の形状補正関数を用いて、幾何学的変換を施し、ゆがみを補正する必要がある。
【0057】
V’([x’],[y’]) = f(V([x],[y]))・・・・・(2)
【0058】
上式(2)において、V(x,y)はらせん状画像の画素値、xはらせん状画像の横幅の座標、yはらせん状画像の縦幅の座標である。一方、V’(x’,y’)はラスタスキャン形状の画像の画素値、x’はラスタスキャン形状画像の横幅の座標、y’はラスタスキャン形状画像の縦幅の座標である。
【0059】
しかし、幾何学的変換後の画像は画素欠けが発生するため、図17に示す2次元ラスタスキャン形式の目標画像にするには、さらに補間する必要がある。本実施形態では、図18に示すように、公知のバイリニア補間方法に基づいて求めたい目標位置の画素値I(x’,y’)を周囲4点の画素値を用い、下式(3)で求める。
【0060】
I(x’,y’) = ([x’] + 1 - x’)([y’] + 1 - y’) V’([x’],[y’]) + ([x’] + 1 - x’)(y’- [y’])V’([x’],[y’] + 1) + (x’-[ x’])([y’] + 1 - y’)V’([x’] + 1 ,[y’]) + (x’- [x’])(y’ - [y’])V’([x’] + 1, [y’] + 1) ・・・・・(3)
【0061】
上式(3)の補間処理により、図17に示すように2次元ラスタスキャン形式の画像に変換される。
【0062】
第1のスキャン変換部601からラスタスキャン形状に変換されたRd0単色画像、第2のスキャン変換部602からラスタスキャン形状に変換されたGd0単色画像及び第3のスキャン変換部603からラスタスキャン形状に変換されたBd0単色画像が第1の画像合成部610へ転送される。
【0063】
第1の画像合成部610は、信号制御部109の制御により転送されてきたラスタスキャン形状のRd0単色画像、Gd0単色画像及びBd0単色画像に対し、下式(4)に基づき3チャンネルのRGB通常光画像を合成し、出力画像生成部409へ転送する。
【0064】
Rch_v = Rd0_v
Gch_v = Gd0_v
Bch_v = Bd0_v ・・・・・(4)
【0065】
上式(4)中のRch_vはRGB通常光画像のRチャンネルの画素値、Gch_vはRGB通常光画像のGチャンネルの画素値、Bch_vはRGB通常光画像のBチャンネルの画素値である。また、Rd0_vはRd0単色画像の画素値、Gd0_vはGd0単色画像の画素値、Bd0_vはBd0単色画像の画素値に対応している。
【0066】
図16は、第2補間部408の構成の一例を示すもので、第4のスキャン変換部604、第5のスキャン変換部605、及び第2の画像合成部620を含む。第2の画像構成部406は、第4のスキャン変換部604、第5のスキャン変換部605に接続されている。第4のスキャン変換部604、第5のスキャン変換部605は第2の画像合成部620に接続されている。第2の画像合成部620は出力画像生成部409に接続されている。信号制御部109は、第4のスキャン変換部604、第5のスキャン変換部605及び第2の画像合成部620と双方向に接続されている。
【0067】
信号制御部109の制御に基づき、第2の画像構成部406からのらせん状のGd1単色画像を第4のスキャン変換部604へ、Bd1単色画像を第5のスキャン変換部605へ転送する。第4のスキャン変換部605に入力されたGd1単色画像及び第5のスキャン変換部605に入力されたBd1単色画像は2次元らせん状になっているため、上式(2)の形状補正関数及び上式(3)のバイリニア補間を用いて図17に示すように2次元ラスタスキャン形式に変換する。
【0068】
第2の画像合成部620は、信号制御部109の制御により転送されてきたラスタスキャン形状のGd1単色画像及びBd1単色画像に対し、下式(5)に基づき3チャンネルのNBI特殊光画像(NBI疑似カラー画像)を合成し、出力画像生成部409へ転送する。
【0069】
Rch_v = p1 * Bd1_v
Gch_v = p2 * Bd1_v
Bch_v = p3 * Gd1_v ・・・・・(5)
【0070】
上式(5)中のRch_vはNBI特殊光画像のRチャンネルの画素値、Gch_vはNBI特殊光画像のGチャンネルの画素値、Bch_vはNBI特殊光画像のBチャンネルの画素値である。また、Bd1_vはBd1画像の画素値、Gd1_vはGd1画像の画素値、p1、p2、p3は所定係数である。
【0071】
出力画像生成部409は、第1の画像合成部610及び第2の画像合成部620から転送されてきたラストスキャン形状の3チャンネルのRGB通常光画像及びNBI特殊光画像に対し、画素ごとに公知のノイズ低減、ホワイトバランス補正、色変換、階調変換等の画像処理を行い、処理後のRGB通常光画像及びNBI特殊光画像を表示装置110へ転送する。
【0072】
このように、光ファイバー104を振動させると同時に、通常光光源L1、L2、L3、及び特殊光光源L4、L5の単色光源を、所定の発光タイミングで1色ずつ順次に繰り返して発光させる。そして光ファイバー104を介して、被写体に照射し、その戻り光を順次に繰り返して受け取ることで、通常光画像と特殊光画像(NBI画像)を同時に構成することが可能となる。また、通常光光源L1、L2、L3に比べ特殊光光源L4、L5の発光時間を長くするように制御するため、特殊光光源が発光する場合、通常光光源が発光する場合より1つの照射スポットへの照射時間が長くなり、形成した特殊光画像の感度アップにつながる。この構成により、食道や大腸、胃などのがんの診断能力の向上が可能となる。
【0073】
なお、本実施形態では、血液中のヘモグロビンに吸収される波長の波長帯域に対応する狭帯域の特殊光光源の照射によりNBI(Narrow Band Imaging)画像を形成したが、図19に示すように、コラーゲンなどの蛍光物質からの自家蛍光を観察するための励起光(390〜470nm)及び血液中のヘモグロビンに吸収される波長(540〜560nm)の分光特性を持つ特殊光光源で照射し、その戻り光に基づきAFI(Auto Fluorescence Imaging)特殊光画像を形成する構成にしてもよい。AFIは、被写体に狭い帯域の励起光を照射し、励起光により生体被写体から発生する自家蛍光を検出し特殊光画像を形成する技術である。この技術は、気管支上の偏平上皮がんや、早期食道がん及び大腸腫瘍性病変部の検診に効果がある。
【0074】
AFI技術を適用する場合、基本的に本実施形態のNBI特殊光画像を形成する形態例と同等であり、異なる部分のみを説明する。
【0075】
特殊光光源102において、L4のLED単色光源はG2(540nm〜560nm)、L5のLED単色光源はB2(390nm〜470nm)の透過率特性をもつ。
【0076】
図20は、光検出部107の構成の一例を示すもので、集光レンズ301、バリアフィルタ302を含む。バリアフィルタ302は発光制御部106と双方向に接続されている。
【0077】
本実施形態では、バリアフィルタ302は発光制御部106の制御に基づき移動できるような構成となる。発光制御部106の制御に基づき、上記励起光に対応するL5のLED単色光源を照射する場合、バリアフィルタ302(470nm〜690nmの透過率特性をもつ)を移動させ、光照射部103から入ってくる照射スポットごとの戻り光の光路中に挿入し自家蛍光(490nm〜625nm)を通過させ、励起光の戻り光(390nm〜470nm)をカットする。また、L5以外のLED単色光源で照射する場合、発光制御部106の制御により、バリアフィルタ302を、光ファイバーから転送してくる戻り光の光路から引き出すようにする。このように、発光制御部106の制御によりL1、L2、L3、L4、L5のLED単色光源が繰り返して順次に発光するタイミングに合わせてバリアフィルタ302を、光ファイバーから転送されてくる戻り光の光路中に繰り返して挿脱する。
【0078】
また、第2の画像合成部620は、信号制御部109の制御により転送されてきたラスタスキャン形状の単色Gd2(狭帯域)画像及びBd2(狭帯域)画像に対し、下式(6)に基づき3チャンネルのAFI特殊光画像を合成し、出力画像生成部409へ転送する。Gd2画像はL4のLED単色光源(分光特性540nm〜560nm)の照射により形成された画像である。また、Bd2画像はL5のLED単色光源(分光特性390nm〜470nm)の照射により生体組織で発生した自家蛍光(分光特性490nm〜625nm)から形成された画像である。
【0079】
Rch_v = Gd2_v
Gch_v = Bd2_v
Bch_v = Gd2_v ・・・・・(6)
【0080】
上式(6)中のRch_vはAFI特殊光画像のRチャンネルの画素値、Gch_vはAFI特殊光画像のGチャンネルの画素値、Bch_vはAFI特殊光画像のBチャンネルの画素値、Gd2_vは照射戻り光Gd2画像の画素値、Bd2_vは照射戻り光Bd2画像の画素値に対応している。
【0081】
さらに、赤外光が吸収されやすいインドシアニングリーン(ICG)を静脈注射した上で、赤外光(790nm〜820nm)の分光特性をもつLED単色光源を特殊光光源102のL4に設置し、赤外光(905nm〜970nm)の分光特性を持つLED単色光源を特殊光光源102のL5に設置して被写体へ照射し、その戻り光からIRI(Infra Red Imaging)特殊光画像を形成する構成にしてもよい。この場合、人間の目では視認が難しい粘膜深部の血管や血流を強調して観察できるため、胃がんの深達度診断と治療方針の判定や、食道静脈瘤硬化の治療に役が立つ。
【0082】
このように、所定の発光タイミングに合わせて光ファイバーを振動させる同時に、光源からの光をもとに、白色光と特定波長帯域を有する特殊光を取得し、光ファイバーを通してその取得した白色光と特殊光を被写体に順次に繰り返して照射する。被写体からの白色光の戻り光を検出して通常光画像を、被写体からの特殊光の戻り光を検出して特殊光画像を構成し、同時に表示装置に表示できるため、診断能力を向上することが可能となる。また、発光タイミングを調整し、白色光の照射時間に対して特殊光の照射時間が長くなるように制御するため、形成した特殊光画像の感度を改善することができる。
【0083】
以上の本実施形態は、スポット光を被検体に対して照射し、スポット光を走査しながら、その戻り光を検出する光走査型光学装置(狭義には例えば内視鏡装置)に搭載される光制御装置に適用できる。光制御装置とは本実施形態においては、少なくとも光照射部103と照射時間制御部112と光検出部107を含む機能ブロックに相当する。光照射部103は、白色光と特殊光を被検体に照射する。照射時間制御部112は、白色光の照射時間に対して特殊光の照射時間が長くなるように制御を行う。また光検出部107は、白色光の照射による被検体からの第1の戻り光と、特殊光の照射による被検体からの第2の戻り光を検出する。
【0084】
ここで、スポット光とはスポット状に被検体に対して照射される光のことである。また特殊光とは特定の波長帯域を有する光のことであり、例えば狭帯域光観察(NBI)においては、390〜445nm及び530〜550nmの波長帯域を有する光のことである。
【0085】
これにより、白色光及び特殊光を照射光としてスポット状に照射する際に、特殊光の照射時間を白色光の照射時間に比べて長くすることができる。よって特殊光の照射量(単位時間あたりの照射光量×照射時間)を通常光に比べて増加させることができるため、特定波長帯域に対応する画像(広義には第2の画像)の照明不足を解消し、クリアな画像を生成できる。
【0086】
また、光照射部103は、白色光を発光する通常光光源から白色光を取得して照射し、特殊光を発光する特殊光光源から特殊光を取得して照射してもよい。
【0087】
これにより、通常光光源により白色光を取得し、特殊光光源から特殊光を取得することができるため、直感的にわかりやすい方法で白色光及び特殊光を取得することが可能になる。また、フィルタ等を用いる必要がないため光照射部103の構成を簡略化することが可能になる。
【0088】
また、光制御装置は発光制御部106を含む。発光制御部106は特殊光の照射時間を白色光の照射時間よりも長くするように、通常光光源及び特殊光光源の発光タイミングを制御する。
【0089】
これにより、照射時間制御部112により設定(制御)された時間の長さ(すなわち特殊光の照射時間が白色光の照射時間よりも長い)を実現するように、実際に通常光光源及び特殊光光源の発光を制御することが可能になる。
【0090】
また、通常光光源101は白色光を構成する第1〜第N(Nは2以上の整数)の単色光を発光する第1〜第Nの単色光源を含む。発光制御部106は第1〜第Nの単色光源が順次発光するような制御を行い、光照射部103は第1〜第Nの単色光を順次取得して照射する。ここで第1〜第Nの単色光は、R色光、G色光及びB色光であってもよい。
【0091】
これにより、通常光光源として、白色光を構成する複数の単色光を発する光源を採用することが可能になる。そして複数の光源の発光を順次切り替えることで、白色光を構成する複数の単色光を順次被検体に対して照射することができる。
【0092】
ここで白色光を構成する複数の単色光はR、G、Bの3色の光であっても良い。この場合一般的に用いられており、よく知られている光を発する光源を用いて、通常光光源を構成することが可能になる。
【0093】
また、特殊光光源102は特殊光を構成する第N+1〜第M(MはM>N+1となる整数、Nは整数)の単色光を発光する第N+1〜第Mの単色光源を含む。発光制御部106は第N+1〜第Mの単色光源が順次発光するような制御を行い、光照射部103は第N+1〜第Mの単色光を順次取得して照射する。
【0094】
これにより、特殊光光源として、特殊光を構成する複数の単色光を発する光源を採用することが可能になる。そして複数の光源の発光を順次切り替えることで、特殊光を構成する複数の単色光を順次被検体に対して照射することができる。具体的には例えば、狭帯域光観察(NBI)においては390〜445nmの波長帯域を有する光を発する光源と、530〜550nmの波長帯域を有する光を発する光源の2つを用いることなどが考えられる。
【0095】
また、光照射部103は、白色光と特殊光を用いて走査対象領域を走査する。そして光検出部107は、光照射部103の走査により、被検体からの第1の戻り光(狭義には白色光の照射に対応する戻り光、さらに狭義には反射光)及び第2の戻り光(狭義には特殊光の照射に対応する戻り光、さらに狭義には反射光や発生する蛍光)を検出する。ここで走査対象領域とは被検体を含む領域であって、表示装置110に表示される1画面に対応する領域のことである。
【0096】
これにより、走査対象領域を走査して、その戻り光を検出することが可能になる。このような走査及び戻り光の検出が行われることで、1スポットに対する照射では1画素に対応する光情報しか取得できなくても、1画面を構成するに足るだけの光情報を順次取得することができる。
【0097】
また、光照射部103による白色光及び特殊光のいずれか一方の光を用いた、走査対象領域の全域走査が終わったことを条件に、発光制御部106は他方の光を発する光源に発光を切り替え、その後光照射部103は、他方の光を用いて走査対象領域の全域走査を行ってもよい。
【0098】
図8のようにS1→S2へ反時計回りに全域走査を行い、その後S2→S1へ時計回りに全域走査を行うような走査方法を例にとって説明する。この場合、まず一方の光(例えば白色光)を用いて、S1→S2間の全域走査を行う。この間、白色光の照射が続けられる。その後、他方の光(例えば特殊光)を用いて、S2→S1間の全域走査を行う。この間は特殊光の照射が続けられる。これ以降も同様に、一方の光による全域走査終了後に他方の光による全域走査が行われる。
【0099】
これにより、面順次による走査が可能になる。面順次とはある光を用いた全域走査が終わった後に、次の光を用いた全域走査を行う走査方法である。面順次では1回の全域走査に対して1色の画像しか得られないため、P個の光を用いる場合には、1画面を構成するためにP回の全域走査が必要になる。そのため単位時間あたりに得られる画像枚数は少なくなり、時間分解能(動画性能)は後述する点順次に比べて低くなることになるが、全ての光が全ての照射スポットに対して情報を持つため、解像度を高くすることが可能である。
【0100】
また、通常光光源101は白色光を構成する第1〜第N(Nは2以上の整数)の単色光を発光する第1〜第Nの単色光源を含んでもよい。そして、光照射部103による第iの光を用いた、走査対象領域の全域走査が終わったことを条件に、発光制御部106は第i+1の光を発する光源に発光を切り替え、その後光照射部103は、第i+1の光を用いて走査対象領域の全域走査を行ってもよい。
【0101】
上述した図8の走査方法を例にとって説明する。ここで白色光を構成する第1〜第Nの単色光を発光する第1〜第Nの単色光源として、R、G、Bの3色の単色光源を考える。この場合、まずR光源を用いてS1→S2の全域走査を行う。その後G光源を用いてS2→S1の全域走査を行い、終了後、B光源を用いてS1→S2の全域走査を行う。以上の走査により、1枚の通常光画像に対応する光情報を取得することができる。画像取得を続ける場合は、以降、R光源によるS2→S1の全域走査、G光源によるS1→S2の全域走査と続いていく。
【0102】
これにより、白色光と特殊光という切り替えにとどまらず、白色光内でも、白色光を構成する複数の光を発する光源を順次切り替えて面順次を行うことが可能になる。
【0103】
また、特殊光光源102は特殊光を構成する第N+1〜第M(MはM>N+1となる整数、Nは整数)の光を発光する第N+1〜第Mの単色光源を含んでもよい。そして、光照射部103による第jの光を用いた、走査対象領域の全域走査が終わったことを条件に、発光制御部106は第j+1の光を発する光源に発光を切り替え、その後光照射部103は、第j+1の光を用いて走査対象領域の全域走査を行ってもよい。
【0104】
上述した図8の走査方法を例にとって説明する。ここで特殊光を構成する第N+1〜第Mの単色光を発光する第N+1〜第Mの単色光源として、NBIで用いられるG1、B1の2色の単色光源を考える。この場合、まずG1光源を用いてS1→S2の全域走査を行う。その後B1光源を用いてS2→S1の全域走査を行う。以上の走査により、1枚の特殊光画像に対応する光情報を取得することができる。画像取得を続ける場合は、以降、G1によるS1→S2の全域走査、B1によるS2→S1の全域走査を繰り返せばよい。
【0105】
これにより、白色光と特殊光という切り替えにとどまらず、特殊光内でも、特殊光を構成する複数の光を発する光源を順次切り替えて面順次を行うことが可能になる。
【0106】
また、光照射部103による白色光及び特殊光のいずれか一方の光を用いた、1つの照射スポットへの照射が終わったことを条件に、発光制御部106は他方の光を発する光源に発光を切り替え、その後光照射部103は、他方の光を用いて次の照射スポットへの照射を行ってもよい。
【0107】
この場合の例を図9に示す。図4で示したようにL1〜L5の光源(L1〜L3が通常光に対応し、L4〜L5が特殊光に対応)を順次発光させる場合に、S1(図9では不図示。らせんの中心点)→S2の全域走査において、最初の照射スポットではL1(例えばR光源)が発光する。その後、次の照射スポットに移動して、L2(例えばG光源)の発光に切り替える。以降、次の照射スポットではL3(例えばB光源)、その次の照射スポットではL4(例えばG1光源)、さらに次の照射スポットではL5(例えばB1光源)といったように、1照射スポットに1光源が対応するように、発光及び照射スポットを切り替えていく。L5の後は再度L1に戻り、S2に到達するまで継続される。S1→S2の1回の全域走査で、1枚の通常光画像と1枚の特殊光画像に対応する光情報を取得することができる。画像取得を続ける場合は、全域走査を繰り返せばよく、その走査方法は図8、図10、図11のどの方法で行われてもよい。
【0108】
これにより、点順次による走査が可能になる。点順次とは1照射スポットごとに照射する光を順次変えていく走査方法である。点順次では、1回の全域走査により全色に対する画像を取得することが可能になる。よって単位時間あたりに得られる画像枚数が多く、時間分解能が高い。反面、Q色の光を用いた場合、ある色の光はQスポットあたり1スポットしか情報を得られないため、解像度の点で面順次に劣るという特性がある。点順次と前述した面順次のどちらを採用すればよいかは場合によって異なる。比較的高速で移動するようなケース(例えば病変部のサーチ時等)では動画性能が高い点順次を採用することが考えられるし、動きが少なく解像度を優先したいケース(病変部の詳細を観察する時等)では面順次を採用することが考えられる。
【0109】
また、発光制御部106は、各周期において白色光と特殊光が交互に発光するように、通常光光源と特殊光光源の発光タイミングを制御する周期制御部211を含む。ここで周期とは通常光光源及び特殊光光源が1回ずつ発光する時間のことである。なお白色光及び特殊光が複数の光源の発光により実現される場合には、全ての光源が1回ずつ発光する時間のことになる。
【0110】
これにより、各周期において通常光光源と特殊光光源が交互に発光するように発光タイミングを制御することが可能になる。具体的には図4及び図5に示すようなタイミングになる。図4に示すように、L1、L2及びL3を一体の通常光光源、L4及びL5を一体の特殊光光源と見て、通常光光源の発光の後、特殊光光源が発光するようなタイミングにしてもよい(これも交互に発光しているうちに入る)。また図5に示すように、白色光を構成する各色と、特殊光を構成する各色とが交互に発光してもよい。
【0111】
また、特定の波長帯域とは、白色光の波長帯域よりも狭い帯域である。具体的には、特定の波長帯域とは、血液中のヘモグロビンに吸収される光の波長帯域である。さらに具体的には、390nm〜445nmまたは530nm〜550nmの波長帯域である。
【0112】
これにより、NBIと呼ばれる狭帯域光観察が可能になる。NBIでは生体の表層部及び、深部に位置する血管の構造を観察することができる。また得られた信号を特定のチャンネル(R,G,B)に入力することで、扁平上皮癌等の通常光では視認が難しい病変などを褐色等で表示することができ、病変部の見落としを抑止することができる。なお、390nm〜445nmまたは530nm〜550nmとはヘモグロビンに吸収されるという特性及び、それぞれ生体の表層部または深部まで到達するという特性から得られた数字である。ただし、この場合の波長帯域はこれに限定されず、例えばヘモグロビンによる吸収と生体の表層部又は深部への到達に関する実験結果等の変動要因により、波長帯域の下限値が0〜10%程度減少し、上限値が0〜10%程度上昇することも考えられる。
【0113】
また、特定の波長帯域とは、蛍光物質に蛍光を発生させるための励起光の波長帯域であってもよい。具体的には蛍光の波長帯域は490nm〜625nmであり、励起光の波長帯域は390nm〜445nmの波長帯域である。
【0114】
これにより、AFIと呼ばれる蛍光観察が可能となる。励起光(390nm〜470nm)を照射することで、コラーゲンなどの蛍光物質からの自家蛍光を観察することができる。このような観察では病変を正常粘膜とは異なった色調で強調表示することができ、病変部の見落としを抑止すること等が可能になる。なお490nm〜625nmという数字は、前述の励起光を照射した際、コラーゲンなどの蛍光物質が発する自家蛍光の波長帯域を示したものであり、390nm〜445nmとは蛍光を発生させる励起光の波長帯域を示したものである。ただし、この場合の波長帯域はこれに限定されず、例えば蛍光物質が発する蛍光の波長帯域に関する実験結果等の変動要因により、波長帯域の下限値が0〜10%程度減少し、上限値が0〜10%程度上昇することも考えられる。また、ヘモグロビンに吸収される波長帯域(540nm〜560nm)を同時に照射し、擬似カラー画像を生成してもよい。
【0115】
また、特定の波長帯域とは、赤外光の波長帯域であってもよい。具体的には790nm〜820nmまたは905nm〜970nmの波長帯域である。
【0116】
これにより、IRIと呼ばれる赤外光観察が可能となる。赤外光が吸収されやすい赤外指標薬剤であるICG(インドシアニングリーン)を静脈注射した上で、上記波長帯域の赤外光を照射することで、人間の目では視認が難しい粘膜深部の血管や血流情報を強調表示することができ、胃癌の深達度診断や治療方針の判定などが可能になる。なお790nm〜820nmという数字は赤外指標薬剤の吸収がもっとも強いという特性から、905nm〜970nmという数字は赤外指標薬剤の吸収がもっとも弱いという特性から求められたものである。ただし、この場合の波長帯域はこれに限定されず、例えば赤外指標薬剤の吸収に関する実験結果等の変動要因により、波長帯域の下限値が0〜10%程度減少し、上限値が0〜10%程度上昇することも考えられる。
【0117】
また、本実施形態における光走査型光学装置は光走査型内視鏡であっても良い。
【0118】
これにより、本実施形態で示された光制御装置を搭載した光走査型内視鏡を実現することが可能になる。
【0119】
また、本実施形態は前述してきた光制御装置と、画像処理部108とを含む制御装置にも適用できる。画像処理部108は第1の戻り光と第2の戻り光を用いて、出力画像を生成する。
【0120】
これにより、まず光制御装置において、光信号を取得し電気信号に変換した上でA/D変換をしてデジタル信号を取得することができる。そして画像処理部108により、取得したデジタル信号に画像処理を施すことにより、適切な形式で画像を表示することが可能になる。具体的には第1の戻り光から第1の画像(狭義には通常光画像)を作成し、第2の戻り光から第2の画像(狭義には特殊光画像)を作成する。さらに第1の画像と第2の画像から出力画像を生成する。
【0121】
また、画像処理部108は情報取得部410と分離部404と画像生成部411とを含む。情報取得部410は光特定情報を取得する。分離部404は光特定情報に基づいて、被検体からの戻り光を第1の戻り光と第2の戻り光とに分離する。画像生成部411は第1の戻り光と第2の戻り光とに基づいて出力画像を生成する。ここで光特定情報とは、照射された光の種類を特定する情報であり、例えば白色光か特殊光かを特定する。通常光光源101及び特殊光光源102が複数の光源から構成されているような場合には、複数の光源のうち、どの光源の発光による光なのかを特定する。
【0122】
これにより、照射された光の種類を特定することが可能になる。それに伴い、戻り光を適切に第1の戻り光と第2の戻り光とに分離することが可能になる。さらに第1の画像と第2の画像とを適切な戻り光に基づいて生成することが可能になり、したがって適切な出力画像の生成ができる。
【0123】
また、光検出部107は、白色光の照射により第1の戻り光を取得し、特殊光の照射により第2の戻り光を取得する。図1を例にとって具体的に説明すると、L1〜L3の発光に対応する戻り光が第1の戻り光になり、L4〜L5の発光に対応する戻り光が第2の戻り光になる。
【0124】
これにより、白色光と第1の戻り光という対応づけ及び特殊光と第2の戻り光という対応づけを明確にすることが可能になる。
【0125】
また、画像生成部411は、第1の戻り光に基づいて第1の画像を生成し、第2の戻り光に基づいて第2の画像を生成する。そして第1の画像と第2の画像から出力画像を生成する。
【0126】
これにより、第1の戻り光と第1の画像(つまりは白色光と第1の画像)という対応づけ及び第2の戻り光と第2の画像(つまりは特殊光と第2の画像)という対応づけを明確にすることが可能になる。したがって第1の画像及び第2の画像を適切に生成することが可能になり、出力画像も適切なものとすることができる。
【0127】
また、情報取得部410は照射光が白色光を構成する第1〜第Nの単色照射光であるか、もしくは特殊光を構成する第N+1〜第Mの単色照射光であるかを特定する光特定情報を取得する。分離部404は光特定情報に基づいて、戻り光を第1〜第Nの戻り光と第N+1〜第Mの戻り光とに分離する。
【0128】
図1のように光源がL1〜L5の5つの光源から構成されている場合を例にとって説明する。この場合、図12に示すように分離部404は、光特定情報に基づいて、L1〜L3に対応する情報を第1の画像構成部405に送り、L4〜L5に対応する情報を第2の画像構成部406に送ることで2つに分離する。さらに図13、図14に示すように、L1に対応する情報を第1の色信号蓄積部501に送り、L2に対応する情報を第2の色信号蓄積部502に送る。L3〜L5に対応する情報も同様に別々の色信号蓄積部に送る。
【0129】
これにより、通常光光源が白色光を構成する複数の光をそれぞれ発する複数の単色光源から構成され、また特殊光光源が特殊光を構成する複数の光をそれぞれ発する複数の単色光源から構成されているような場合にも、適切に戻り光を分離することが可能になる。
【0130】
また、光検出部107は、白色光を構成する第1〜第Nの単色照射光が照射されることで、第1〜第Nの単色戻り光を検出する。そして画像生成部411は、第1〜第Nの戻り光に基づいて、第1の画像を構成する第1〜第Nの単色画像を生成する。
【0131】
これにより、第1〜第Nの単色戻り光から、第1〜第Nの単色画像を生成することが可能になる。具体的には例えばR色の単色画像、G色の単色画像及びB色の単色画像を生成することができる。これらの単色画像をRチャンネル、Gチャンネル及びBチャンネルに入力することで第1の画像(狭義には通常光画像)を生成することが可能になる。
【0132】
また、光検出部107は、特殊光を構成する第N+1〜第Mの単色照射光が照射されることで、第N+1〜第Mの単色戻り光を検出する。そして画像生成部411は、第N+1〜第Mの戻り光に基づいて、第2の画像を構成する第N+1〜第Mの単色画像を生成する。
【0133】
これにより、第N+1〜第Mの戻り光から、第N+1〜第Mの単色画像を生成することが可能になる。具体的には例えば、狭帯域観察におけるG1色の単色画像およびB1色の単色画像を生成することができる。これらの単色画像をRチャンネル、Gチャンネル及びBチャンネルに入力することで第2の画像(狭義には特殊光画像)を生成することが可能になる。
【0134】
また、光照射部103はスポット光をらせん状に照射する。図12に示すように、画像処理部108はスポット光の位置情報を取得する情報取得部410を含み、画像処理部108の画像生成部411は第1補間部407及び第2補間部408を含む。第1補間部407は分類部404で分類された第1の戻り光に対応する第1の画像信号(例えば図1におけるL1〜L3の発光に対応する画像信号)の配置態様を、情報取得部410が取得した位置情報に基づいてラスタスキャン形式に変換する。同様に第2補間部408は第2の戻り光に対応する第2の画像信号(例えば図1のL4〜L5に対応)の配置態様を、位置情報に基づいて、ラスタスキャン形式に変換する。ここでラスタスキャン形式とは、図17に示すような画像形式である。また第1補間部407及び第2補間部408では図18に示すようなバイリニア補間も行われる。そして画像生成部411はラスタスキャン形式に変換された第1の画像信号に基づいて第1の画像を生成し、第2の画像信号に基づいて第2の画像を生成する。具体的には図15における第1の画像合成部610において第1の画像を生成し、図16における第2の画像合成部620において第2の画像を生成する。
【0135】
これにより、らせん状の走査により得られた画像(自然な画像ではなく、被検体が歪んで見える)を図17に示すようなラスタスキャン形式に変換することが可能になる。また歪みの補正だけでは、情報が格納されない画素が出てくるため、例えばバイリニア補間などの方法により補間する。そして得られたラスタスキャン形式の画像信号に基づいて画像を生成することができる。
【0136】
また、本実施形態は、本実施形態の光制御装置内の光照射部により照射された白色光を通過させ、被検体からの戻り光を光検出部に返す光学スコープにも適用できる。
【0137】
ここで光学スコープとは、図1における挿入部105に対応するもので、具体的には上部消化器用スコープや下部消化器用スコープ等がある。光学スコープには固有の識別番号があり、例えば識別番号をメモリに格納しておくことで、使用されているスコープを識別することが可能になる。上述したように観察部位により使用されるスコープが異なるため、スコープを識別することで観察部位を特定することもできる。
【0138】
また、本実施形態は、光照射部103と照射時間制御部112と光検出部107とを含む光走査型光学装置にも適用できる。光照射部103は、白色光と特殊光を被検体に照射する。照射時間制御部112は、白色光の照射時間に対して特殊光の照射時間が長くなるように制御を行う。また光検出部107は、白色光の照射による被検体からの第1の戻り光と、特殊光の照射による被検体からの第2の戻り光を検出する。そして光照射部は通常光光源から白色光を取得して照射し、特殊光光源から特殊光を取得して照射する。なお通常光源は、白色光を構成する複数の光をそれぞれ発する、複数の光源から構成されてもよく、特殊光光源は、特殊光を構成する複数の光をそれぞれ発する、複数の光源から構成されてもよい。
【0139】
これにより、白色光及び特殊光を照射光としてスポット状に照射する際に、特殊光の照射時間を白色光の照射時間に比べて長くすることができる。よって特殊光の照射量(単位時間あたりの照射光量×照射時間)を通常光に比べて増加させることができるため、特定波長帯域に対応する画像(広義には第2の画像)の照明不足を解消し、クリアな画像を生成可能な光走査型光学装置(狭義には例えば光走査型内視鏡)を実現することができる。その際白色光は通常光光源から取得し、特殊光は特殊光光源から取得するという直感的にわかりやすく、光照射部103の構成を簡略にするような形態をとることができる。なお、通常光光源と特殊光光源は複数の単色光源から構成されるような形態も可能である。
【0140】
2.第2の実施形態
図21は、第2の実施形態の構成例である。被写体100、通常光光源101、光照射部103、光ファイバー104、挿入部105、発光制御部106、光検出部107、画像処理部108、信号制御部109、表示装置110、メモリ111、照射時間制御部112を含む。なお光制御装置の構成はこれに限定されず、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0141】
基本的に第1の実施形態と同等であり、異なる部分のみを説明する。本実施形態において、通常光光源101は白色光を発光する構成となる。
【0142】
図22は、光照射部103の構成の一例を示すもので、集光レンズ201、調整ミラー202、走査制御部203、第1のフィルタ204、第2のフィルタ205、フィルタ制御部206及びハーフミラー208を含む。通常光光源101からの光は集光レンズ201に入る。挿入部105は、光照射部103に接続されている。光ファイバー104はハーフミラー208を介して照射光を受け取り、また、被写体100からの戻り光を光照射部103へ転送する。第1のフィルタ204、第2のフィルタ205はフィルタ制御部206に接続されている。走査制御部203は光ファイバー104へ接続されている。発光制御部106は調整ミラー202、走査制御部203、フィルタ制御部206と双方向に接続されている。通常光光源101からの白色光は集光レンズ201へ入る構成となっている。
【0143】
本実施形態において、第1のフィルタは3つのフィルタF1、F2、F3を含む。図2に示すように、F1フィルタはR0(580nm〜700nm)、F2フィルタはG0(480nm〜600nm)、F3フィルタはB0(400nm〜500nm)の波長帯域の光を透過させる透過率特性をもつ。すなわち、通常光光源101からの白色光はF1フィルタを透過すると赤色光、F2フィルタを透過すると緑色光、F3フィルタを透過すると青色光となる。このF1、F2、F3の3つのフィルタを透過した各色光が光ファイバー104を通して被写体に照射され、その戻り光で形成された画像は通常光画像となる。
【0144】
一方、第2のフィルタは2つのフィルタF4、F5を含む。図3に示すように、F4フィルタはG1(530nm〜550nm)、F5フィルタはB1(390nm〜445nm)の波長帯域の光を透過させる透過率特性をもつ。このF4、F52つのフィルタを透過した光は狭帯域光であり、光ファイバー104を通して被写体に照射され、その戻り光で形成した画像はNBI特殊光画像となる。
【0145】
また、F4フィルタがG2(540nm〜560nm)、F5フィルタがB2(390nm〜470nm)の波長帯域の光を透過させる透過率特性をもつ場合、AFI特殊光画像を構成することが可能となる。さらに、F4フィルタが赤外光(790nm〜820nm)、F5フィルタが赤外光(905nm〜970nm)の波長帯域の光を透過させる透過率特性をもつ場合、IRI特殊光画像を構成することが可能となる。
【0146】
本実施形態では、通常光光源101を固定し、フィルタ制御部206は繰り返して水平移動(左→右、あるいは左→右)できるような構成になっている。よって発光制御部106の制御に基づき、通常光光源からの白色光は繰り返して順次にF1、F2、F3、F4、F5のフィルタに1つずつ当たるようになる。各フィルタを透過した単色光は順次に調整ミラー202及びハーフミラー208を介して光ファイバー104へ転送される。また、F1、F2、F3、F4、F5のフィルタを縦方向に設置し、発光制御部106の制御に基づき、フィルタ制御部206を上下に移動させながら、通常光光源101からの白色光をF1、F2、F3、F4、F5のフィルタに順次に繰り返して照射する構成してもよい。
【0147】
本実施形態では、照射時間制御部112は発光制御部106を介して、特殊光を透過させるF4、F5二つのフィルタへの照射時間を、通常光を透過させるF1、F2、F3三つのフィルタへの照射時間より長く制御することが特徴である。この処理は、結果的に第1の実施形態においてL1、L2、L3、L4、L5の各LED単色光源が、白色光の照射時間に比べて特殊光の照射時間を長くするよう順次に繰り返して発光する場合と同じ発光効果が得られる。
【0148】
また、図23は、光照射部103の構成の1つの変形例を示すもので、集光レンズ201、調整ミラー202、走査制御部203、フィルタ制御部206、回転フィルタ207及びハーフミラー208の構成を含む。通常光光源101からの光は集光レンズ201に入る。挿入部105は、光照射部に接続されている。光ファイバー104はハーフミラー208を介して照射光を受け取り、また、被写体100からの戻り光を光照射部103へ転送する。回転フィルタ207はフィルタ制御部206に接続されている。走査制御部203は光ファイバー104に接続されている。発光制御部106は調整ミラー202、走査制御部203、フィルタ制御部206と双方向に接続されている。
【0149】
本実施形態では、図24(A)に示すように、1枚の回転フィルタにF1、F2、F3、F4、F5の5つの単色フィルタを含む。F1〜F5フィルタの透過率特性は上記本実施形態のF1〜F5フィルタと同等のものである。すなわち、上記の第1のフィルタと第2のフィルタを合成して1枚の回転フィルタとしている。ただし、白色光に対応するF1、F2、F3フィルタの面積に比べ、特殊光に対応するF4、F5フィルタの面積が広いことが特徴である。
【0150】
発光制御部106の制御に基づき、所定の発光タイミングに合わせてフィルタ制御部206を制御し、回転フィルタ207を回転させる。そうすることによって、通常光光源101の白色光は順次に繰り返してF1、F2、F3、F4、F5に照射し、各フィルタを透過した光は順次に繰り返して調整ミラー202及びハーフミラー208を介して光ファイバー104へ転送される。上記のように、白色光に対応するF1、F2、F3フィルタの面積に比べて、特殊光に対応するF4、F5フィルタの面積が広いため、結果的に白色光の照射時間に対して特殊光の照射時間が長くなるよう順次に繰り返して発光する場合と同じ発光効果が得られる。
【0151】
さらに、図24(B)及び図24(C)に示すように、F1、F2、F3の3つの透過率特性をもつフィルタを1枚の回転フィルタに集結させ、第1の回転フィルタを構成し、F4、F5の2つの透過率特性をもつフィルタを1枚の回転フィルタに集結させ、第2の回転フィルタを構成するようにしてもよい。ただし、白色光に対応するF1、F2、F3フィルタの面積が特殊光に対応するF4、F5フィルタのより狭いことが特徴である。
【0152】
この場合、発光制御部106の制御に基づき、所定の発光タイミングに合わせてフィルタ制御部206を制御し、第1及び第2の回転フィルタを所定の発光タイミングに合わせて回転させると同時に、通常光光源101からの白色光を順次に繰り返して第1の回転フィルタ及び第2の回転フィルタに照射する。図24(A)を用いて前述した場合と同様に、白色光に比べ特殊光の発光時間を長くする効果が得られる。
【0153】
また、コスト低減するため、本発明に提案する光制御装置を従来の鉗子チャンネル付きの内視鏡スコープに装着して活用することも可能である。例えば、鉗子チャンネル付きの内視鏡スコープの鉗子チャンネルに本光制御装置の光ファイバーを挿入する構成にする。
【0154】
図25は、従来の鉗子チャンネル付きの内視鏡スコープの一例を示す。内視鏡スコープの挿入部105の先端部はライトガイド701、鉗子チャンネル702、CCD703及び送気・送水チャンネル704の構成を含む。例えば、鉗子チャンネル702に鉗子チャンネル702の後部から先端部まで光ファイバー104を挿入する。この構成で診査する場合、ライトガイド701及びCCD703をOFFに設定し、上記の本実施形態及び第1の実施形態と同様に、所定の発光タイミングに合わせて光ファイバーを振動させる。それと同時に、光ファイバー104を通して白色光の照射時間に対して特殊光の照射時間が長くなるように制御し、白色光と特殊光を被検体に順次に繰り返して照射し、それぞれの戻り光を用いて通常光画像及び特殊光画像を構成することが可能となる。
【0155】
このように、従来鉗子チャンネル付きの内視鏡スコープに光ファイバーを挿入して白色光及び特殊光を順次に繰り返して照射し、白色光画像と特殊光画像を同時生成できる。また、もともと特殊光による観察ができない内視鏡スコープ(白色光のみに対応)においても白色光と特殊光の両方で観察できるようになる。このため、診断能力が向上すると同時にコストの低減効果もある。
【0156】
以上の本実施形態では、光源として単一の光源が設けられる。光照射部103は単一の光源が発した光に対して、白色光を透過する第1のフィルタを適用することで白色光を取得し、特殊光を透過する第2のフィルタを適用することで特殊光を取得する。そして照射時間制御部112は、第2のフィルタの適用時間を第1のフィルタの適用時間に比べて長くなるように制御する。ここで第1のフィルタとは図22における204に対応し、白色光を構成する光を透過させるようなフィルタから構成されている。同様に、第2のフィルタとは205に対応し、特殊光を構成する光を透過させるようなフィルタから構成されている。
【0157】
これにより、単一の光源から白色光と特殊光とを取得することが可能になる。特殊光の照射時間を通常光よりも長くするという制御は、フィルタの適用時間を変えることで実現する。光源が単一のため光源部の構成が簡略化され、また図22、図23において202で示される調整ミラーを、光の種類に応じて調整する必要がなくなり、機械的な制御が容易になる。
【0158】
また、光照射部103は第1のフィルタ及び第2のフィルタを含む回転フィルタを回転させることで、白色光及び特殊光を順次取得してもよい。この場合回転フィルタは、第2のフィルタのサイズが第1のフィルタのサイズよりも大きい。
【0159】
これにより、図23に示すように、回転フィルタにより白色光及び通常光を取得することが可能になる。回転フィルタの構成は例えば図24(A)に示すようなものになる。フィルタを回転させることで取得する光を変えられるため、図22に示すような横または縦にフィルタを移動させるような形態に比べて、機械的な制御が容易で、高速に第1のフィルタと第2のフィルタを切り替えることが可能になる。
【0160】
また、本実施形態は、光照射部103と照射時間制御部112と光検出部107とを含む光走査型光学装置にも適用できる。光照射部103は、白色光と特殊光を被検体に照射する。照射時間制御部112は、白色光の照射時間に対して特殊光の照射時間が長くなるように制御を行う。また光検出部107は、白色光の照射による被検体からの第1の戻り光と、特殊光の照射による被検体からの第2の戻り光を検出する。そして光照射部は第1のフィルタを用いて白色光を取得し、第2のフィルタを用いて特殊光を取得する。
【0161】
これにより、白色光及び特殊光を照射光としてスポット状に照射する際に、特殊光の照射時間を白色光の照射時間に比べて長くすることができる。よって特殊光の照射量(単位時間あたりの照射光量×照射時間)を通常光に比べて増加させることができるため、特定波長帯域に対応する画像(広義には第2の画像)の照明不足を解消し、クリアな画像を生成可能な光走査型光学装置(狭義には例えば光走査型内視鏡)を実現することができる。その際、単一の光源にフィルタを適用することで、白色光及び特殊光を取得するため、光源部の構成を簡略化することが可能になる。
【0162】
以上、本発明を適用した2つの実施形態1〜2及びその変形例について説明したが、本発明は、各実施形態1〜2やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態1〜2や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態1〜2や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【0163】
また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(例えば第1の画像、第2の画像等)と共に記載された用語(例えば通常光画像、特殊光画像等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0164】
100 被写体、101 通常光光源、102 特殊光光源、103 光照射部、
104 光ファイバー、105 挿入部、106 発光制御部、107 光検出部、
108 画像処理部、109 信号制御部、110 表示装置、111 メモリ、
112 照射時間制御部、201 集光レンズ、202 調整ミラー、
203 走査制御部、204 第1のフィルタ、205 第2のフィルタ、
206 フィルタ制御部、207 回転フィルタ、208 ハーフミラー、
211 周期制御部、212 係数保存部、
301 集光レンズ、302 バリアフィルタ、
401 光電変換部、402 アンプ部、403 変換部、404 分離部、
405 第1の画像構成部、406 第2の画像構成部、407 第1の補間部、
408 第2の補間部、409 出力画像生成部、410 情報取得部、
411 画像生成部、501 第1の色信号蓄積部、502 第2の色信号蓄積部、
503 第3の色信号蓄積部、504 第4の色信号蓄積部、
505 第5の色信号蓄積部、601 第1のスキャン変換部、
602 第2のスキャン変換部、603 第3のスキャン変換部、
604 第4のスキャン変換部、605 第5のスキャン変換部、
610 第1の画像合成部、620 第2の画像合成部、
701 ライトガイド、702 鉗子チャンネル、704 送気・送水チャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光をスポット状に被検体に対して照射し、スポット状に照射された光であるスポット光を走査しながらその戻り光を検出する光走査型光学装置に搭載される光制御装置であって、
白色光と、特定の波長帯域を有する特殊光とを被検体に照射する光照射部と、
前記白色光の照射時間に対して前記特殊光の照射時間が長くなるように制御する照射時間制御部と、
照射時間が制御された前記白色光の照射による前記被検体からの第1の戻り光を検出し、照射時間が制御された前記特殊光の照射による前記被検体からの第2の戻り光を検出する光検出部と、
を含むことを特徴とする光制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記光照射部は、
前記白色光を発光する通常光光源から前記白色光を取得して照射し、前記特殊光を発光する特殊光光源から前記特殊光を取得して照射することを特徴とする光制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記白色光の照射時間に対して前記特殊光の照射時間が長くなるように、前記通常光光源及び前記特殊光光源の発光タイミングを制御する発光制御部を含むことを特徴とする光制御装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記通常光光源は、
前記白色光を構成する第1〜第N(Nは2以上の整数)の単色光をそれぞれ発光する第1〜第Nの単色光源を含み、
前記発光制御部は、
前記第1〜第Nの単色光源の発光を順次切り換え、
前記光照射部は、
前記白色光を構成する前記第1〜第Nの単色光を順次取得して照射することを特徴とする光制御装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1〜第Nの単色光は、R色光、G色光及びB色光であることを特徴とする光制御装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記特殊光光源は、
前記特殊光を構成する第N+1〜第M(MはM>N+1となる整数、Nは整数)の単色光をそれぞれ発光する第N+1〜第Mの単色光源を含み、
前記発光制御部は、
第N+1〜第Mの前記単色光源の発光を順次切り換え、
前記光照射部は、
前記特殊光を構成する前記第N+1〜第Mの単色光を順次取得して照射することを特徴とする光制御装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記光照射部は、
取得された前記白色光と前記特殊光を用いて、前記被検体を含む走査対象領域を走査し、
前記光検出部は、
前記光照射部の走査により、前記被検体からの前記第1の戻り光及び前記第2の戻り光を検出することを特徴とする光制御装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記光照射部は、
前記白色光及び前記特殊光のいずれか一方の光を用いた前記走査対象領域の全域走査を行い、
前記発光制御部は、
前記一方の光を用いた前記走査対象領域の全域走査が完了したことを条件に、他方の光を発する光源の発光に切り替える制御を行い、
前記光照射部は、
前記他方の光を用いて前記走査対象領域の全域を走査することを特徴とする光制御装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記通常光光源は、
前記白色光を構成する第1〜第N(Nは2以上の整数)の単色光をそれぞれ発光する第1〜第Nの単色光源を含み、
前記光照射部は、
前記第1〜第Nの単色光源のうちの第iの単色光源(1≦i≦N−1)の光を用いた前記走査対象領域の全域走査を行い、
前記発光制御部は、
前記第iの単色光源の光を用いた前記走査対象領域の全域走査が完了したことを条件に、前記第1〜第Nの単色光源のうちの第i+1の単色光源の発光に切り替える制御を行い、
前記光照射部は、
前記第i+1の光を用いて前記走査対象領域の全域を走査することを特徴とする光制御装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記特殊光光源は、
前記特殊光を構成する第N+1〜第M(MはM>N+1となる整数、Nは整数)の単色光をそれぞれ発光する第N+1〜第Mの単色光源を含み、
前記光照射部は、
前記第N+1〜第Mの単色光源のうちの第jの単色光源(1≦j≦M−1)の光を用いた前記走査対象領域の全域走査を行い、
前記発光制御部は、
前記第jの単色光源の光を用いた前記走査対象領域の全域走査が完了したことを条件に、前記第N+1〜第Mの単色光源のうちの第j+1の単色光源の発光に切り替える制御を行い、
前記光照射部は、
前記第j+1の光を用いて前記走査対象領域の全域を走査することを特徴とする光制御装置。
【請求項11】
請求項7において、
前記光照射部は、
前記白色光及び前記特殊光のいずれか一方の光を用いて照射スポットへの照射を行い、
前記発光制御部は、
前記一方の光を用いた照射スポットへの照射が完了したことを条件に、前記他方の光を発する光源の発光に切り換える制御を行い、
前記光照射部は、
前記他方の光を用いて次の照射スポットへの照射を行うことを特徴とする光制御装置。
【請求項12】
請求項3において、
前記発光制御部は、
各周期において、前記通常光光源と前記特殊光光源が交互に発光するように、前記通常光光源と前記特殊光光源の発光タイミングを制御する周期制御部を含むことを特徴とする光制御装置。
【請求項13】
請求項1において、
前記光照射部は、
単一の前記光源が発した光に対し、前記白色光を透過する第1のフィルタを適用することで前記白色光を取得し、前記特殊光を透過する第2のフィルタを適用することで前記特殊光を取得し、
前記照射時間制御部は、
前記第2のフィルタの適用時間が前記第1のフィルタの適用時間よりも長くなるよう制御することを特徴とする光制御装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記光照射部は、
前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタを含む回転フィルタを回転させることで、前記白色光及び前記特殊光を順次取得し、
前記回転フィルタは、
前記第2のフィルタのサイズが前記第1のフィルタのサイズよりも大きいことを特徴とする光制御装置。
【請求項15】
請求項1において、
前記特定の波長帯域は、前記白色光の波長帯域よりも狭い帯域であることを特徴とする光制御装置。
【請求項16】
請求項1において、
前記特定の波長帯域は、血液中のヘモグロビンに吸収される波長の波長帯域であることを特徴とする光制御装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記波長帯域は、390ナノメータ〜445ナノメータ、または530ナノメータ〜550ナノメータであることを特徴とする光制御装置。
【請求項18】
請求項1において、
前記特定の波長帯域は、蛍光物質に蛍光を発生させる励起光の波長帯域であることを特徴とする光制御装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記特定の波長帯域は、490ナノメータ〜625ナノメータの波長帯域の蛍光を発生させるための390ナノメータ〜470ナノメータの励起光の波長帯域であることを特徴とする光制御装置。
【請求項20】
請求項1において、
前記特定の波長帯域は、赤外光の波長帯域であることを特徴とする光制御装置。
【請求項21】
請求項20において、
前記特定の波長帯域は、790ナノメータ〜820ナノメータ、または905ナノメータ〜970ナノメータの波長帯域であることを特徴とする光制御装置。
【請求項22】
請求項1において、
前記光走査型光学装置は、光走査型内視鏡装置であることを特徴とする光制御装置。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれかの光制御装置である光制御部と、
前記光制御部が取得した光信号に基づいて、出力画像を生成する画像処理部と、
を含み、
前記画像処理部は、
検出された前記第1の戻り光と、前記第2の戻り光とを用いて、出力画像を生成することを特徴とする制御装置。
【請求項24】
請求項23において、
前記画像処理部は、
前記照射された光の種類を特定する光特定情報を取得する情報取得部と、
取得された前記光特定情報に基づいて、前記被検体からの戻り光を、前記第1の戻り光と前記第2の戻り光とに分離する分離部と、
分離された前記第1の戻り光及び前記第2の戻り光に基づいて、出力画像を生成する画像生成部と、
を含むことを特徴とする制御装置。
【請求項25】
請求項24において、
前記光検出部は、
前記光照射部により前記白色光が照射されることによる前記第1の戻り光と、前記特殊光が照射されることによる前記第2の戻り光とを検出することを特徴とする制御装置。
【請求項26】
請求項25において、
前記画像生成部は、
検出された前記第1の戻り光に基づいて第1の画像を生成し、検出された第2の戻り光に基づいて前記第2の画像を生成し、前記第1の画像と前記第2の画像から出力画像を生成することを特徴とする制御装置。
【請求項27】
請求項24において、
前記情報取得部は、
前記照射スポットに照射した光が、前記白色光を構成する第1〜第N(Nは2以上の整数)の単色照射光であるか、前記特殊光を構成する第N+1〜第M(MはM>N+1となる整数)の単色照射光であるかを特定する光特定情報を取得し、
前記分離部は、
前記光特定情報に基づいて、前記戻り光を、前記白色光を構成する前記第1〜第Nの単色照射光に対応する第1〜第Nの単色戻り光と、前記特殊光を構成する前記第N+1〜第Mの単色照射光に対応する第N+1〜第Mの単色戻り光とに分離することを特徴とする制御装置。
【請求項28】
請求項27において、
前記光検出部は、
前記光照射部により前記第1〜第N(Nは2以上の整数)の単色照射光が照射されることで、前記第1〜第Nの単色戻り光を検出し、
前記画像生成部は、
検出された前記第1〜第Nの単色戻り光に基づいて、前記第1の画像を構成する第1〜第Nの単色画像を生成することを特徴とする制御装置。
【請求項29】
請求項27において、
前記光検出部は、
前記光照射部により前記第N+1〜第Mの単色照射光が照射されることで、前記第N+1〜第Mの単色戻り光を検出し、
前記画像生成部は、
検出された前記第N+1〜第Mの単色戻り光に基づいて、前記第2の画像を構成する第N+1〜第Mの単色画像を生成することを特徴とする制御装置。
【請求項30】
請求項24において、
前記光照射部は、
前記スポット光を前記被検体にらせん状に照射し、
前記情報取得部は、
前記スポット光の位置情報を取得し、
前記画像生成部は、
分類された前記第1の戻り光に対応する第1の画像信号の配置態様を、前記スポット光の位置情報に基づいて、ラスタスキャン形式に変換する第1補間部と、
分類された前記第2の戻り光に対応する第2の画像信号の配置態様を、前記スポット光の位置情報に基づいて、ラスタスキャン形式に変換する第2補間部と、
を含み、
前記画像生成部は、
ラスタスキャン形式に変換された前記第1の画像信号に基づいて前記第1の画像を生成し、ラスタスキャン形式に変換された前記第2の画像信号に基づいて前記第2の画像を生成することを特徴とする制御装置。
【請求項31】
請求項1に記載の光制御装置内の前記光照射部により照射された前記白色光を通過させ、前記被検体からの戻り光を前記光検出部に返すことを特徴とする光学スコープ。
【請求項32】
光源からの光をスポット状に被検体に対して照射し、スポット状に照射された光であるスポット光を走査しながらその戻り光を検出する光走査型光学装置であって、
白色光と、特定の波長帯域を有する特殊光とを被検体に照射する光照射部と、
前記白色光の照射時間に対して前記特殊光の照射時間が長くなるように制御する照射時間制御部と、
照射時間が制御された前記白色光の照射による前記被検体からの第1の戻り光を検出し、照射時間が制御された前記特殊光の照射による前記被検体からの第2の戻り光を検出する光検出部と、
を含み、
前記光照射部は、
前記白色光を発光する通常光光源から前記白色光を取得して照射し、前記特殊光を発光する特殊光光源から前記特殊光を取得して照射することを特徴とする光走査型光学装置。
【請求項33】
請求項32において、
前記通常光光源は、
前記白色光を構成する第1〜第N(Nは2以上の整数)の単色光をそれぞれ発光する第1〜第Nの単色光源を含み、
前記特殊光光源は、
前記特殊光を構成する第N+1〜第M(MはM>N+1となる整数)の光をそれぞれ発光する第N+1〜第Mの単色光源を含むことを特徴とする光走査型光学装置。
【請求項34】
光源からの光をスポット状に被検体に対して照射し、スポット状に照射された光であるスポット光を走査しながらその戻り光を検出する光走査型光学装置であって、
白色光と、特定の波長帯域を有する特殊光とを被検体に照射する光照射部と、
前記白色光の照射時間に対して前記特殊光の照射時間が長くなるように制御する照射時間制御部と、
照射時間が制御された前記白色光の照射による前記被検体からの第1の戻り光を検出し、照射時間が制御された前記特殊光の照射による前記被検体からの第2の戻り光を検出する光検出部と、
を含み、
前記光照射部は、
単一の前記光源が発した光に対し、前記白色光を透過する第1のフィルタを適用することで前記白色光を取得し、前記特殊光を透過する第2のフィルタを適用することで前記特殊光を取得することを特徴とする光走査型光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−125404(P2011−125404A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284471(P2009−284471)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】