説明

光効率改善層を具備した有機発光素子

【課題】光効率改善層を具備した有機発光素子を提供する。
【解決手段】下記化学式で表示される化合物を含んだ光効率改善層を発光光取りだし電極の有機層と反対側に具備した有機発光素子:

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記化学式1で表示される化合物を含んだ光効率改善層を具備した有機発光素子が提供される。前記光効率改善層は、有機発光素子の第1電極及び第2電極の一面のうち、有機層と反対側に位置した一面に形成され、有機層で生成された光が有機発光素子の外部に取り出される効率を上昇させる役割を行う。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(organic light emitting diode)は、自発光型素子であって、視野角が広く、コントラストにすぐれるばかりではなく、応答時間が早く、かつ輝度、駆動電圧及び応答速度特性にすぐれ、さらに多色化が可能であるという長所を有している。
【0003】
一般的な有機発光素子は、基板上部にアノードが形成されており、このアノード上部に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及びカソードが順次に形成されている構造を有することができる。ここで、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層は、有機化合物からなる有機薄膜である。一般的な有機発光素子の構造は、例えば、大韓民国特許公開公報2003−0034732号を参照する。
【0004】
前述のような構造を有する有機発光素子の駆動原理は、次の通りである。
【0005】
前記アノード及びカソード間に電圧を印加すれば、アノードから注入された正孔は、正孔輸送層を経由して発光層に移動し、カソードから注入された電子は、電子輸送層を経由して発光層に移動する。前記正孔及び電子のようなキャリアは、発光層領域で再結合して励起子(exciton)を生成する。この励起子が励起状態から基底状態に変わりつつ光が生成される。
【0006】
有機発光素子の光効率は、一般的に内部発光効率(internal luminescent efficiency)と外部発光効率(external luminescent efficiency)とに分けることができる。内部発光効率は、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層のように、第1電極と第2電極間(すなわち、アノードとカソードとの間)に介在された有機層で、どれほど効率的に励起子が生成されて光変換がなされるかということと関連している。一方、外部発光効率(以下、「光取り出し率(light coupling efficiency)」ともいう)とは、有機層で生成された光が有機発光素子の外部に取り出される効率を指すものであり、有機層で高い光変換効率を達成しても(すなわち、内部発光効率が高くても)、外部発光効率が低ければ、有機発光素子の全体的な光効率は、低下されざるをえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国特許公開公報2003−0034732号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下、有機発光素子の光効率を改善させることができる方案を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、基板と、前記基板上に形成された第1電極と、前記第1電極上に形成された有機層と、前記有機層上に形成された第2電極と、光効率改善層とを具備し、前記第1電極は、前記有機層と接触した第1面及び前記有機層と反対側に位置した第2面を有し、前記第2電極は、前記有機層と接触した第1面と前記有機層と反対側に位置した第2面とを有し、前記光効率改善層は、前記第1電極の第2面の下部及び前記第2電極の第2面の上部のうち一つ以上に形成されており、下記化学式1で表示される化合物を含んだ有機発光素子を提供する:
【化1】

前記化学式1で、Arは、置換または非置換のC5−C30芳香族環システム、または置換または非置換のC−C30ヘテロ芳香族環システムであり、Lは、置換または非置換のC−C30アルキレン基、置換または非置換のC−C30アリーレン基、または置換または非置換のC−C30ヘテロアリーレン基であり、Xは、LまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり、Xは、LまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり、Xは、LまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり、Xは、Nであり、Xは、炭素原子であり、Xは、NまたはCYであり、前記XないしXのうち一つ以上は、LまたはArと結合した炭素原子であり、RないしR及びYないしYは互いに独立的に、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、置換または非置換のC−C30アルキル基、置換または非置換のC−C30アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アシル基、置換または非置換のC−C30アルケニル基、置換または非置換のC−C30アルキニル基、置換または非置換のC−C30アリール基、または置換または非置換のC2−C30ヘテロアリール基であり、前記RないしR及びYないしYのうち隣接した2以上は互いに結合し、飽和または不飽和の環を形成でき、aは、0ないし10の整数であり、mは、1ないし5の整数であり、nは、1ないし10の整数である。
【発明の効果】
【0010】
前述のような化学式1で表示される化合物を含んだ光効率改善層を具備した有機発光素子は、優秀な光効率を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一具現例による有機発光素子の構造を概略的に示した図面である。
【図2】本発明の他の一具現例による有機発光素子の構造を概略的に示した図面である。
【図3】本発明のさらに他の一具現例による有機発光素子の構造を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一具現例による有機発光素子10の断面図を概略的に図示したものである。
【0013】
有機発光素子10は、基板11、第1電極13、有機層15、第2電極17及び光効率改善層18を順に具備する。前記第2電極17は透過型電極であって、有機層15で生成された光は、第2電極17を過ぎて光効率改善層18を通過し、有機発光素子10の外部に取り出されうる。
【0014】
前記基板11としては、一般的な有機発光素子で使われる基板を使用できるが、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性にすぐれるガラス基板または透明プラスチック基板を使用できる。
【0015】
前記第1電極13は、基板上部に、第1電極用物質を蒸着法またはスパッタリング法などを利用して提供することによって形成されうる。前記第1電極13は、前記有機層15と接触する第1面及び前記有機層と反対側に位置した第2面を有する。前記第1電極13がアノードである場合、正孔注入が容易なように、第1電極用物質は大きい仕事関数を有する物質のうちから選択されうる。前記第1電極13は、反射型電極または透過型電極でありうる。第1電極用物質としては、透明であって伝導性にすぐれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などを利用できる。または、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを利用すれば、前記第1電極13を反射型電極として形成することもできる。
【0016】
前記第1電極13の上部には、有機層15が備わっている。本明細書において、「有機層」とは、第1電極と第2電極との間に介在されたあらゆる層を包括して指すものであり、前記有機層は、金属錯体なども含むことができ、必ずしも有機物だけからなる層を意味するものではない。
【0017】
前記有機層15は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層のうち、一層以上の層を含むことができる。
【0018】
正孔注入層(HIL)は、前記第1電極13の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法のような多様な方法を利用して形成できる。
【0019】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性などによって異なるが、一般的に、蒸着温度100ないし500℃、真空度10−8ないし10−3torr、蒸着速度0.01ないし100Å/secの範囲で適切に選択することが望ましい。
【0020】
スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、そのコーティング条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるが、およそ2,000rpmないし5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、およそ80℃ないし200℃の温度範囲で適切に選択することが望ましい。
【0021】
正孔注入層物質としては、公知の正孔注入材料を使用でき、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、TDATA、2T−NATA、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0022】
【化2】

【0023】
前記正孔注入層の厚さは、およそ100Åないし10,000Å、望ましくは100Åないし1,000Åでありうる。前記正孔注入層の厚さが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足すべきほどの正孔注入特性を得ることができる。
【0024】
次に、前記正孔注入層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用し、正孔輸送層(HTL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔輸送層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0025】
正孔輸送層物質は、公知の正孔輸送材料を利用して形成できるが、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールのようなカルバゾール誘導体;N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)のような芳香族縮合環を有するアミン誘導体;4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)のようなトリフェニルアミン系物質のような公知の正孔輸送物質を使用できる。このうち、例えば、TCTAの場合、正孔輸送の役割以外にも、発光層から励起子が広がることを防止する役割も行うことができる。
【0026】
【化3】

【0027】
前記正孔輸送層の厚さは、およそ50Åないし1,000Å、望ましくは100Åないし800Åでありうる。前記正孔輸送層の厚さが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足すべきほどの正孔輸送特性を得ることができる。
【0028】
前記正孔輸送層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用し、発光層(EML)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0029】
前記発光層は、1つの化合物を含むか、またはホストとドーパントとの組み合わせを含むことができる。公知のホストの例としては、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、TCTA、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾル−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、E3、ジスチリルアリーレン(DSA)などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
【化4】

【0031】
一方、公知の赤色ドーパントとして、PtOEP、Ir(piq)、BtpIr(acac)、4−(ジシアノメチレン)−2−tert-ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(DCJTB)などを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
【化5】

【0033】
また、公知の緑色ドーパントとして、Ir(ppy)(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mpyp)、C545T(林原社製)などを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
【化6】

【0035】
一方、公知の青色ドーパントとして、FIrpic、(Fppy)Ir(tmd)、Ir(dfppz)、ter−フルオレン、4,4’−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBPe)などを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
【化7】

【0037】
ドーパントとホストとを共に使用する場合、ドーパントのドーピング濃度は、特別に制限されるものではないが、一般的に、ホスト100重量部を基準として、前記ドーパントの含有量は、0.01〜15重量部である。
【0038】
前記発光層の厚さは、およそ100Åないし1,000Å、望ましくは200Åないし600Åでありうる。前記発光層の厚さが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに優秀な発光特性を示すことができる。
【0039】
発光層にリン光ドーパントを共に使用する場合には、三重項励起子または正孔が電子輸送層に広がる現象を防止するために、前記電子輸送層と発光層との間に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用し、正孔阻止層(HBL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔阻止層を形成する場合、その条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。公知の正孔阻止層の材料も使用できるが、その例としては、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などを挙げることができる。
【0040】
前記正孔阻止層の厚さは、およそ50Åないし1,000Å、望ましくは100Åないし300Åでありうる。前記正孔阻止層の厚さが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに優秀な正孔阻止特性を得ることができる。
【0041】
次に、電子輸送層(ETL)を真空蒸着法、またはスピンコーティング法、キャスト法などの多様な方法を利用して形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって電子輸送層を形成する場合、その条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。前記電子輸送層材料は、電子注入電極(カソード)から注入された電子を安定的に輸送する機能を果たすものであって、公知の電子輸送物質を利用できる。その例としては、キノリン誘導体、特に、Alq3、TAZ、Balqのような公知の材料を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
【化8】

【0043】
前記電子輸送層の厚さは、およそ100Åないし1,000Å、望ましくは150Åないし500Åでありうる。前記電子輸送層の厚さが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足すべきほどの電子輸送特性を得ることができる。
【0044】
また、電子輸送層の上部に、カソードから電子の注入を容易にする機能を有する物質である電子注入層(EIL)が積層されるが、これは、特別に材料を制限するものではない。
【0045】
前記電子注入層の形成材料としては、LiF、NaCl、CsF、LiO、BaOのような電子注入層の形成材料であって、公知の任意の物質を利用できる。前記電子注入層の蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0046】
前記電子注入層の厚さは、およそ1Åないし100Å、望ましくは5Åないし90Åでありうる。前記電子注入層の厚さが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足すべきほどの電子注入特性を得ることができる。
【0047】
かような有機層15の上部には、透過型電極の第2電極17が備わっている。前記第2電極17は、前記有機層15と接触する第1面及び前記有機層15の反対側に位置した第2面を有する。前記第2電極は、電子注入電極であるカソードであるが、このとき、前記第2電極形成用の金属としては、小さい仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物及びそれらの混合物を使用できる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを薄膜に形成して透過型電極を得ることができる。一方、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを利用した透過型電極を形成できるなど、多様な変形が可能である。
【0048】
前記第2電極17の第2面の上部には、光効率改善層18が備わっている。
【0049】
前記光効率改善層18は、下記化学式1で表示される化合物を含む:
【0050】
【化9】

【0051】
前記化学式1で、Arは、置換または非置換のC−C30芳香族環システム、または置換または非置換のC−C30ヘテロ芳香族環システムでありうる。
【0052】
具体的に、前記Arは、置換または非置換のペンタレン、置換または非置換のインデン、置換または非置換のナフタレン、置換または非置換のアズレン、置換または非置換のヘプタレン、置換または非置換のインダセン、置換または非置換のアセナフチレン、置換または非置換のフルオレン、置換または非置換のフェナレン、置換または非置換のフェナントレン、置換または非置換のアントラセン、置換または非置換のフルオランテン、置換または非置換のトリフェニレン、置換または非置換のピレン、置換または非置換のクリセン、置換または非置換のナフタセン、置換または非置換のピセン、置換または非置換のペリレン、置換または非置換のペンタフェン、置換または非置換のヘキサセン、置換または非置換のピロール、置換または非置換のピラゾール、置換または非置換のイミダゾール、置換または非置換のイミダゾリン、置換または非置換のピリジン、置換または非置換のピラジン、置換または非置換のピリミジン、置換または非置換のインドール、置換または非置換のプリン、置換または非置換のキノリン、置換または非置換のフタラジン、置換または非置換のインドリジン、置換または非置換のナフチリジン、置換または非置換のキナゾリン、置換または非置換のシノリン、置換または非置換のインダゾール、置換または非置換のカルバゾール、置換または非置換のフェナジン、置換または非置換のフェナントリジン、置換または非置換のピラン、置換または非置換のクロメン、置換または非置換のベンゾフラン、置換または非置換のチオフェン、置換または非置換のベンゾチオフェン、置換または非置換のイソチアゾール、及び置換または非置換のイソキサゾールからなる群から選択されうる。
【0053】
一方、前記Arは、前述のように、非置換のC−C30芳香族環システムまたは非置換のC−C30ヘテロ芳香族環システム以外に、置換されたC−C30芳香族環システム、または置換されたC−C30ヘテロ芳香族環システムでありうるが、置換されたC−C30芳香族環システム、または置換されたC−C30ヘテロ芳香族環システムのうち置換基は、置換または非置換のC−C14アリール基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリール基でありうる。
【0054】
具体的に、前記置換基は、フェニル基、ハロフェニル基、C−C10アルキルフェニル基、C−C10アルコキシフェニル基、ナフチル基、ハロナフチル基、C−C10アルキルナフチル基、C−C10アルコキシナフチル基、ピリジニル基、ハロピリジニル基、C−C10アルキルピリジニル基、C−C10アルコキシピリジニル基、キノリニル基、ハロキノリニル基、C−C10アルキルキノリニル基、C−C10アルコキシキノリニル基、イソキノリニル基、ハロイソキノリニル基、C−C10アルキルイソキノリニル基、またはC−C10アルコキシイソキノリニル基でありうるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
前記化学式1で、Lは、置換または非置換のC−C30アルキレン基、置換または非置換のC−C30アリーレン基、または置換または非置換のC−C30ヘテロアリーレン基でありうる。
【0056】
具体的に、前記Lは、置換または非置換のC−C14アリーレン基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリーレン基でありうる。さらに具体的に、前記Lは、フェニレン基、ハロフェニレン基、C−C10アルキルフェニレン基、C−C10アルコキシフェニレン基、ナフチレン基、ハロナフチレン基、C−C10アルキルナフチレン基、またはC−C10アルコキシナフチレン基でありうるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
前記化学式1で、aは、Lの反復回数を示したものであり、0ないし10の整数でありうる。aが0である場合、化学式1で、L右側の複素環は、Arと直接連結されうる。一方、aが2以上である場合、複数のLは、互いに同一であるか、または異なることもある。
【0058】
前記化学式1で、−(L−の具体例は、下記化学式2aないし2gのうちいずれか一つでありうるが、これらに限定されるものではない。例えば、aは0ないし3の整数でありうる。下記化学式のうち、*はArとの結合サイトを示し、*’は化学式1のうち、Lの右側に位置したヘテロサイクリック環との結合サイトを示すものである:
【0059】
【化10】

【0060】
前記化学式1のうち、XはLまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり;XはLまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり;XはLまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり;XはNであり;Xは炭素原子であり;XはNまたはCYでありうる。そのうち、前記XないしXのうちの1つは、必ずLまたはArと結合した炭素原子である。例えば、XはCYまたはCであり;XはLまたはArと結合した炭素原子であり;XはCYまたはNであり;XはNであり;Xは炭素原子であり;XはNまたはCYでありうる
【0061】
具体的に、X,X及びXのうち一つ以上がNでありうる。さらに具体的に、X及びXがNでありうる。またはX,X及びXがいずれもNであるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
前記化学式1で、RないしRと前記XないしXとのうち、YないしYは、互いに独立的に、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、置換または非置換のC−C30アルキル基、置換または非置換のC−C30アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アシル基、置換または非置換のC−C30アルケニル基、置換または非置換のC−C30アルキニル基、置換または非置換のC−C30アリール基、または置換または非置換のC−C30ヘテロアリール基でありうる。このとき、前記RないしR及びYないしYのうち隣接した2以上は互いに結合し、飽和または不飽和の環を形成できる。
【0063】
具体的に、RないしR及びYないしYが互いに独立的に、水素、置換または非置換のC−C10アルキル基、置換または非置換のC−C10アルケニル基、置換または非置換のC−C14アリール基、またはC−C14ヘテロアリール基でありうる。
【0064】
さらに具体的に、前記RないしR及びYないしYが互いに独立的に、水素、C−C10アルキル基、C−C10ハロアルキル基、C−C10アルケニル基、C−C10ハロアルケニル基、フェニル基、ハロフェニル基、C−C10アルキルフェニル基、C−C10アルコキシフェニル基、ナフチル基、ハロナフチル基、C−C10アルキルナフチル基、またはC−C10アルコキシナフチル基でありうるが、これらに限定されるものではない。例えば、RないしR及びYないしYのうち1つは、互いに独立して水素原子、メチル基及びフェニル基からなる群から選択されうる。例えば、Y、Y6、1、及びRは、水素原子でありうる。例えば、Rは水素原子、メチル基及びゲニル基からなる群から選択されうる。例えば、Y及びRは互いに結合して飽和または不飽和環(例えば、フェニル基)を形成しうる。
【0065】
前記化学式1で、mは、LまたはArに結合されうるL右側の複素環の数であり、これは、ArまたはLの構造によって決定されうる。例えば、mは、1ないし5でありうる。例えば、mは1でありうる。
【0066】
前記化学式1で、nは、1ないし10の整数であり、Arの構造によって決定されうる。例えば、nは1または2でありうる。
【0067】
本発明による一具現例によれば、前記化学式1で表示される化合物は、下記化学式1aないし1xのうちいずれか一つでありうるが、これに限定されるものではない:
【0068】
【化11】









【0069】
前記化学式1aないし1xのうち、QないしQ11は互いに独立的に、水素、置換または非置換のC−C14アリール基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリール基でありうる。
【0070】
具体的に、前記QないしQ11は互いに独立的に、水素、フェニル基、ハロフェニル基、C−C10アルキルフェニル基、C−C10アルコキシフェニル基、ナフチル基、ハロナフチル基、C−C10アルキルナフチル基、C−C10アルコキシナフチル基、ピリジニル基、ハロピリジニル基、C−C10アルキルピリジニル基、C−C10アルコキシピリジニル基、キノリニル基、ハロキノリニル基、C−C10アルキルキノリニル基、C−C10アルコキシキノリニル基、イソキノリニル基、ハロイソキノリニル基、C−C10アルキルイソキノリニル基、またはC−C10アルコキシイソキノリニル基でありうるが、これらに限定されるものではない。例えば、Q及びQそれぞれは互いに独立してフェニル基及びナフチル基からなる群から選択され、Q、Q−Q及びQ−Qはいずれも水素原子でありうる。
【0071】
特に、化学式1aないし1d及び1mないし1pのうち、Q及びQは、置換または非置換のC−C14アリール基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリール基でありうる。すなわち、化学式1aないし1d及び1mないし1pは、Q及びQの位置(position)であるアントラセン環の9または10の位置(position)には、L右側の複素環が連結されていないことが望ましい。これは、アントラセン環の9及び10の位置が構造的に弱い地点(weak point)であるので、アントラセン環の9及び10の位置に特定機能を有する基を置換させる場合、前記基は、熱、酸素、水分などによって、アントラセン環から容易に離れて行ってしまうためである。例えば、L右側の複素環がアントラセン環の9及び10の位置に連結されている場合、有機発光素子の有機層を成膜するための工程(例えば、蒸着法など)、または有機発光素子の駆動時に発生する熱などによって、L右側の複素環はアントラセン環から容易に離れ、素子特性の低下を招きうる。
【0072】
前記化学式1aないし1xのうち、Lは、置換または非置換のC−C14アリーレン基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリーレン基でありうる。
【0073】
さらに具体的に、前記Lは、フェニレン基、ハロフェニレン基、C−C10アルキルフェニレン基、C−C10アルコキシフェニレン基、ナフチレン基、ハロナフチレン基、C−C10アルキルナフチレン基、またはC−C10アルコキシナフチレン基でありうるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
前記化学式1aないし1xのうち、R、R、R、Y、Y及びYは互いに独立的に、水素、置換または非置換のC−C10アルキル基、置換または非置換のC−C10アルケニル基、置換または非置換のC−C14アリール基、またはC−C14ヘテロアリール基である。このとき、前記R、R、R、Y及びYのうち、隣接した2以上は互いに結合し、C−C12芳香族環を形成できる。
【0075】
前記化学式1aないし1xのうち、aは1または2である。
【0076】
前記化学式1で表示される化合物の一具現例は、下記化合物1ないし64のうち一つでありうるが、これらに限定されるものではない:
【0077】
【化12】

















【0078】
本明細書で、非置換のC−C30アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前記アルキル基のうち一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、またはC−C30アルキル基、C−C30アルケニル基、C−C30アルキニル基、C−C30アリール基、C−C20アリールアルキル基、C−C20ヘテロアリール基またはC3−C30ヘテロアリールアルキル基で置換されうる。
【0079】
本明細書で、非置換のC−C30アルキレン基は、前述のようなC−C30アルキル基と同様の構造を有する二価基を指す。
【0080】
本明細書で、非置換のC−C30アルコキシ基は、−OA(ただし、Aは、前述のようなC−C30アルキル基である)の化学式を有し、その具体的な例として、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシなどがあり、これらアルコキシ基のうち少なくとも一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0081】
本明細書で、非置換のC−C30アシル基の具体的な例として、アセチル、エチルカルボニル、イソプロピルカルボニル、フェニルカルボニル、ナフチレンカルボニル、ジフェニルカルボニル、シクロヘキシルカルボニルなどがあり、これらアシル基のうち少なくとも一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0082】
本明細書で、非置換のC−C30アルケニル基は、前記定義されたようなアルキル基の中間や最末端に炭素二重結合を含有しているものを意味する。例としては、エテニル、プロペニル、ブテニルなどがある。これらアルケニル基のうち少なくとも一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0083】
本明細書で、非置換のC−C30アルキニル基は、前記定義されたようなアルキル基の中間や最末端に炭素三重結合を含有しているものを意味している。例としては、アセチレン、プロピレン、フェニルアセチレン,ナフチルアセチレン、イソプロピルアセチレン、t−ブチルアセチレン、ジフェニルアセチレンなどがある。これらアルキニル基のうち少なくとも一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0084】
本明細書で、非置換のC−C30芳香族環システムは、一つ以上の芳香族環を含むC−C30炭素環芳香族システムを意味する。前記芳香族環システムが2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに融合されたり(fused)、単一結合などを介して連結されうる。前記芳香族環システムのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。さらに具体的に、置換または非置換のC−C30芳香族環システムの非制限的な例及びその置換基の非制限的な例は、前述のところを参照する。
【0085】
本明細書で、非置換のC−C30ヘテロ芳香族環システムはN,O,PまたはSのうちから選択された1個以上のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである一つ以上の芳香族環からなる芳香族システムを意味する。ここで、前記ヘテロ芳香族環システムが2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに融合されたり、または単一結合などを介して連結されうる。前記ヘテロ芳香族環システムのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。さらに具体的に、置換または非置換のC−C30ヘテロ芳香族環システムの非制限的な例及びその置換基の非制限的な例は、前述のところを参照する。
【0086】
本明細書で、非置換のC−C30アリール基は、一つ以上の芳香族環を含むC−C30炭素環芳香族システムを有する一価基を意味し、非置換のC−C30アリーレン基は、一つ以上の芳香族環を含むC−C30炭素環芳香族システムを有する二価基を意味する。前記アリール基及びアリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに融合されたり、または単一結合などを介して連結されうる。前記アリール基及びアリーレン基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0087】
前記置換または非置換のC−C30アリール基の例としては、フェニル基、C−C10アルキルフェニル基(例えば、エチルフェニル基)、C−C10アルキルビフェニル基(例えば、エチルビフェニル基)、ハロフェニル基(例えば、o−,m−及びp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基)、ジシアノフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、o−,m−及びp−トリル基、o−,m−及びp−クメニル基、メシチル基、フェノキシフェニル基、(α,α−ジメチルベンゼン)フェニル基、(N,N’−ジメチル)アミノフェニル基、(N,N’−ジフェニル)アミノフェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ハロナフチル基(例えば、フルオロナフチル基)、C−C10アルキルナフチル基(例えば、メチルナフチル基)、C−C10アルコキシナフチル基(例えば、メトキシナフチル基)、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントラキノリル基、メチルアントリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、エチル−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネリル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基などを挙げることができる。前記置換または非置換のC−C30アリーレン基の例は、前記置換または非置換のC−C30アリーレン基の例を参照して容易に認識されうる。
【0088】
本明細書で、非置換のC−C30ヘテロアリール基は、N,O,PまたはSのうちから選択された1個以上のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである一つ以上の芳香族環からなるシステムを有する一価基を意味し、非置換のC−C30ヘテロアリーレン基は、N,O,PまたはSのうちから選択された1個以上のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである一つ以上の芳香族環からなるシステムを有する二価基を意味する。ここで、前記ヘテロアリール基及びヘテロアリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに融合されたり、または単一結合などを介して連結されうる。前記ヘテロアリール基及びヘテロアリーレン基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0089】
前記非置換のC−C30ヘテロアリール基の例には、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、カルバゾリル基、インドリル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを挙げることができる。前記置換または非置換のC−C30ヘテロアリーレン基の例は、前記置換または非置換のC−C30アリーレン基の例を参照して容易に認識されうる。
【0090】
前記化学式1で表示される化合物は、公知の多様な方法を利用して製造可能であり、これは、当業者に容易に認識可能である。
【0091】
例えば、前記化学式1で表示される化合物は、下記化学式3で表示される化合物と、下記化学式4で表示される化合物とを反応させて得ることができる:
【化13】

【0092】
前記化学式3及び4のうち、Ar、XないしX、RないしR、L、a,m及びnについての説明は、前述のところを参照する。前記化学式4のうち、Haは、ハロゲン元素でありうる。前記化学式3で表示される化合物と前記化学式4で表示される化合物との反応は鈴木反応(Suzuki reaction)を応用したものでありうる。
【0093】
前述のような化学式1で表示される化合物を含んだ光効率改善層18は、高い屈折率を有するが、有機発光素子の光効率、特に、外部発光効率の向上に寄与できる。例えば、前記光効率改善層は、およそ630nmの波長で、1.8以上、望ましくは1.9以上の屈折率を有することができる。
【0094】
有機発光素子は、一般的に多様な材料からなる多層が積層された構造を有するために、有機層で生成された光の一部以上は、素子内のさまざまな層を通過しつつ、全反射によって、有機発光素子の外部の空気中に取り出されずに素子内で消滅しうる。このように、有機発光素子の外部に取り出される効率である外部発光効率が低い場合、有機層内での光変換効率が高くても、有機発光素子の全体光効率は低下しうる。しかし、前記光効率改善層18は、有機層15で生成された光が、第2電極17を過ぎて空気中に進むとき、補強干渉の原理によって、有機発光素子の外部に取り出される効率を上昇させることができるので、有機発光素子の光効率の改善に大きく寄与できる。
【0095】
図1で、光効率改善層18は、第2電極17の第2面に接触して形成されていると図示されているが、光効率改善層18と第2電極17との間には、必要によって、多様な層がさらに備わりうる。一方、図1には図示されていないが、光効率改善層18の上部には、有機発光素子10の密封のための公知の構造の密封層がさらに備わりうるなど、多様な変形例が可能である。
【0096】
図2は、本発明の他の一具現例による有機発光素子20を簡略に図示したものである。該有機発光素子20は、基板21、光効率改善層28、第1電極23、有機層25及び第2電極27が順に積層された構造を有する。前記第1電極23は、前記有機層25に接触する第1面及び前記有機層25の反対側に位置した第2面を有する。前記光効率改善層28は、前記第1電極23の第2面の下部に形成されている。このとき、第1電極23は、透過型電極であり、有機層25で生成された光は、第1電極23を過ぎて光効率改善層28を通過し、外部に取り出されうる。有機発光素子20をなす各層に係る詳細な説明は、前述したところを参照する。前述のような化学式1で表示される化合物を含んだ光効率改善層28は、高い屈折率を有するが、有機層25で生成された光は、補強干渉の原理によって、効果的に空気中に取り出されうるので、改善された光効率特性を有することができる。
【0097】
図3は、本発明のさらに他の一具現例による有機発光素子30を簡略に図示したものである。該有機発光素子30は、基板31、第1光効率改善層38、第1電極33、有機層35、第2電極37及び第2光効率改善層39を順に具備する。有機発光素子30のうち、第1電極31及び第2電極37は、透過型電極であり、有機層35で生成された光は、第1電極31及び第2電極37を過ぎ、それぞれ第1光効率改善層38及び第2光効率改善層39を介して空気中に取り出されうる。有機発光素子30をなす各層に係る詳細な説明は、前述したところを参照する。前述のような化学式1で表示される化合物を含んだ第1光効率改善層38及び第2光効率改善層39は、高い屈折率を有するが、有機層35で生成された光は、補強干渉の原理によって、効果的に空気中に取り出されうるので、改善された光効率特性を有することができる。
【0098】
一方、本発明の一具現例による有機発光素子の有機層は、R,G及びBの画素別にパターニングされている。従って、前記有機層は、赤色発光有機層、緑色発光有機層及び青色発光有機層からなりうる。
【0099】
このとき、前述のような化学式1で表示される化合物を含んだ光効率改善層は、R,G及びBの画素に対して共通層として形成されうる。前記光効率改善層がR,G及びBの画素に対して共通層として形成される場合、その厚さは、500Åないし800Å、望ましくは600Åないし700Åでありうる。前記範囲を満足する場合、優秀な光効率改善の効果を得ることができる。
【0100】
または、前記光効率改善層は、光効率改善層−R、光効率改善層−G及び光効率改善層−Bのうち一つ以上からなりうる。すなわち、前記光効率改善層は、R,G及びB別にパターニングされうる。
【0101】
本明細書において、「光効率改善層−R」という用語は、R画素に対応する領域に形成されている光効率改善層を指す。
【0102】
本明細書において、「光効率改善層−G」という用語は、G画素に対応する領域に形成されている光効率改善層を指す。
【0103】
本明細書において、「光効率改善層−B」という用語は、B画素に対応する領域に形成されている光効率改善層を指す。
【0104】
前記光効率改善層−R、光効率改善層−G及び光効率改善層−Bは、第1電極及び第2電極の一面のうち、有機層と反対側に位置した一面のうち、一つ以上に形成されうる。
【0105】
前記光効率改善層−R、光効率改善層−G及び光効率改善層−Bの厚さは、互いに同一でもあり、異なっていてもよい。
【0106】
以下、合成例及び実施例を挙げ、本発明の一具現例による有機発光素子についてさらに具体的に説明するが、本発明が下記の合成例及び実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0107】
合成例1:化合物1の合成
下記反応式1の反応経路によって、化合物1を合成した:
【化14】

【0108】
中間体1aの合成
ブロム酸250mlに、臭化銅(10g、44mmol)と2−アミノアントラキノン(8g、35.8mmol)とを入れ、65℃に加熱した。ガス発生が終わってから、常温に冷却させた後、反応溶液を20%塩酸水溶液(1,000ml)に添加した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層の残留水分を無水硫酸マグネシウムで除去した後、減圧して乾燥させた。カラムクロマトグラフィで分離(ジクロロメタン:ノルマルヘキサン=4:1)し、中間体1aを7.7g(収率75%)得た。
【0109】
中間体1bの合成
窒素雰囲気下で乾燥されたテトラヒドロフラン(THF)100mlに、前記中間体1a(10g、34。8mmol)を入れ、−78℃に温度を下げた後、2−臭化ナフチルマグネシウム(0.5M、10mmol)をゆっくり添加した。常温に温度を上げて3時間撹拌した。反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を添加した後、塩化メチレンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を除去した。これから得た混合物をエチルエーテルの少量に溶かした後、石油エーテルを添加して数時間撹拌し、固体化合物を得た。これを濾過した後で真空乾燥し、ジナフチルジアルコール17.6gを得た。
【0110】
窒素雰囲気下で、前記ジナフチルジアルコール(17.6g、32.4mmol)を酢酸200mlに分散させた後、ヨード化カリウム(53.4g、330mmol)、ジ亜リン酸ナトリウム水和物(58g、660mmol)を添加した後で3時間撹拌還流した。これを常温に冷却した後で濾過し、水とメタノールとで洗浄した後で真空乾燥し、薄黄色の中間体1bを11.3g得た。
【0111】
中間体1cの合成
窒素雰囲気下で乾燥されたTHF 70mlに前記中間体1b(5g、9.81mmol)を溶かし、−78℃でブチルリチウム(4.7ml、11.8mmol)を滴加した。同一温度で1時間撹拌した後、ホウ酸トリメチル(2.20ml、29.4mmol)を添加した。常温に温度を上げ、1時間後に2N塩酸水溶液を添加して3時間撹拌した。生成された固体化合物をトルエンで洗浄しつつ濾過して薄黄色の中間体1cを得た(3.27g、70%収率)。
【0112】
中間体1dの合成
エタノール(150ml)に2−アミノピリジン(3.39g、35.98mmol)と、2,4’−ジブロモアセトフェノン(10g、35.98mmol)とを溶かして12時間還流した。常温に冷却すると白色固体が生成され、これをNaHCO飽和水溶液で洗浄した。有機層の残留水分を無水硫酸マグネシウムで除去した後で減圧乾燥した後、再結晶(ジクロロメタン/ノルマルヘキサン)し、板状の結晶形態を有する中間体1dを得た(8.02g、82%収率)。
【0113】
化合物1の合成
前記中間体1c(1.85g、3.90mmol)と中間体1d(1g、3.90mmol)とを炭酸カリウム(2.7g、19.5mmol)水溶液とTHFとの混合溶媒に入れて撹拌しつつ、Pd(PPh(225mg、0.196mmol)を入れて6時間還流した。常温に冷却した後、生成された固体化合物を水、エタノール及びTHFで洗浄しつつ濾過して薄黄色粉末形態の化合物1を得た(1.73g、71%収率)。
H NMR(400MHz、CDCl)8.13−8.04(7H)、8.01(1H)、7.97−7.92(4H)、7.86−7.82(2H)、7.75(2H)、7.71−7.58(10H)、7.32(2H)、7.15(1H)、6.75(1H)
【0114】
合成例2:化合物2の合成
下記反応式2の反応経路によって、化合物2を合成した:
【化15】

【0115】
前記合成例1の中間体1b及び1cの合成のうち、2−臭化ナフチルマグネシウムの代わりに臭化フェニルマグネシウムを使用し、前記中間体2cを得てこれを利用したという点を除いては、前記合成例1と同じ方法を利用して化合物2を製造した。中間体2c 5g(13.36mmo)と中間体1d 3.32g(12.15mmol)との鈴木反応を介して、黄色粉末状の化合物2を4.6g(収率73%)得た。
【0116】
H NMR(400MHz、CDCl)8.11(1H)、7.99(2H)、7.95(1H)、7.86(1H)、7.64(1H)、7.73−7.70(2H)、7.69(1H)、7.66−7.61(7H)、7.58(2H)、7.56−7.50(4H)、7.34(2H)、7.17(1H)、6.78(1H)
【0117】
合成例3:化合物3の合成
下記反応式3の反応経路によって、化合物3を合成した:
【化16】

【0118】
前記合成例1の中間体1dの合成のうち、2,4’−ジブロモアセトフェノンの代わりに2,4’−ジブロモプロピオフェノンを使用し、前記中間体3dを得てこれを利用したという点を除いては、前記合成例1と同じ方法を利用して化合物3を製造した。中間体1c 5g(10.54mmol)と中間体3d 2.75g(9.58mmol)との鈴木反応を介して、薄黄色粉末状の化合物3を4.15g(収率68%)得た。
【0119】
H NMR(400MHz、CDCl)8.12(2H)、8.07−8.02(5H)、7.97−7.95(2H)、7.89−7.84(2H)、7.80−7.71(4H)、7.70−7.66(3H)、7.63−7.60(7H)、7.32(2H)、7.15(1H)、6.83(1H)、2.62(3H)
【0120】
合成例4:化合物4の合成
下記反応式4の反応経路によって、化合物4を合成した:
【化17】

【0121】
中間体4dの合成
イミダゾールピリジン化合物1d(前記合成例1参照)5g(18.3mmol)とNIS(N−ヨードコハク酸イミド)4.12g(18.3mmol)とをアセトニトリル溶媒に溶かし、常温で1時間撹拌した後でクロロホルム100mlを加えて10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液と水とで洗浄した後で無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した後、溶媒を除去した。得られた固体をメタノールで洗浄して濾過し、ヨード化合物を5.8g(収率79%)得た。得られたヨード化合物とホウ酸フェニル1.76g(14.5mmol)とを炭酸カリウム(10g)水溶液とTHFとの混合溶媒に入れて撹拌しつつ、Pd(PPh(335mg)を入れて24時間還流した。反応溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層の残留水分を無水硫酸マグネシウムで除去した後で減圧して乾燥させた。カラムクロマトグラフィで分離(酢酸エチル:ノルマルヘキサン=2:3)し、中間体4dを2.93g(収率58%)得た。
【0122】
化合物4の合成
前記合成例1の中間体1dの代わりに中間体4dを利用したという点を除いては、前記合成例1の化合物1の製造方法と同じ方法を利用して化合物4を製造した。中間体1c 10g(21.08mmol)と中間体4d 6.69g(19.16mmol)との鈴木反応を介して、薄黄色粉末状の化合物4を9.72g(収率73%)得た。
【0123】
H NMR(400MHz、CDCl)8.08(1H)、8.03−8.01(2H)、7.97−7.88(3H)、7.81(1H)、7.74−7.58(12)、7.51−7.4010、7.29−7.23(3H)、7.15(1H)、6.69(1H)
【0124】
合成例5:化合物7の合成
下記反応式5の反応経路によって、化合物7を合成した:
【化18】

【0125】
前記合成例1の中間体1dの合成のうち、2−アミノピリジンの代わりに1−アミノイソキノリンを使用し、前記中間体7dを得てこれを利用したという点を除いては、前記合成例1と同じ方法を利用して化合物7を製造した。中間体1c 10g(21.08mmol)と中間体7d 6.19g(19.16mmol)との鈴木反応を介して、薄黄色粉末状の化合物7を9.03g(収率70%)を得た。
【0126】
H NMR(400MHz、CDCl)8.69(1H)、8.12(2H)、8.07−8.02(5H)、7.99−7.95(4H)、7.89−7.84(2H)、7.79−7.75(3H)、7.71−7.65(4H)、7.64−7.54(8H)、7.33(2H)、7.02(1H)
【0127】
合成例6:化合物11の合成
下記反応式6の反応経路によって、化合物11を合成した:
【化19】

前記合成例2及び合成例3と同じ方法で中間体2cと中間体3dとをそれぞれ得て、化合物11を製造した。中間体2c 5g(13.36mmol)と中間体3d 3.49g(12.15mmol)との鈴木反応を介して、薄黄色粉末状の化合物11 4.72g(収率72%)と得た。
H NMR(400MHz、CDCl)7.97(1H)、7.91(1H)、7.85(2H)、7.80(1H)、7.73−7.70(2H)、7.69(1H)、7.66−7.61(7H)、7.58(2H)、7.56−7.50(4H)、7.34(2H)、7.19(1H)、6.86(1H)、2.67(3H)
合成例7:化合物12の合成
下記反応式7の経路によって、化合物12を合成した。
【化20】

【0128】
前記合成例1と同じ方法で中間体1dを製造した後、中間体1d 5g、ピレン−1−イル−1−ホウ酸4.5g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.46g、炭酸カリウム6gをTHF 80mLと水80mLとに溶かした後、還流温度で18時間撹拌した。常温に冷やした後で有機層を別に分離し、水層は、ジクロロメタン80mLで抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて粗生成物を得て、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製して化合物12を5.5g得た。
【0129】
H NMR(DMSO−d6、400MHz)δ(ppm)8.56(1H、d)、8.51(1H、s)、8.36(1H、d)、8.31(1H、d)、8.28(1H、d)、8.22〜8.18(6H、m)、8.10〜8.05(2H、m)、7.70(2H、d)、7.61(1H、d)、7.26(1H、t)、6.91(1H、t)
【0130】
合成例8:化合物14の合成
下記反応式8の経路によって、化合物14を合成した。
【化21】

【0131】
前記合成例4と同じ方法で中間体4dを製造した後、中間体4d 2.9g、ピレン−1−イル−1−ホウ酸2.0g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.03g、炭酸カリウム13gを、THF40mLと水40mLとに溶かした後、還流温度で18時間撹拌した。常温に冷やした後で有機層を別に分離し、水層は、ジクロロメタン40mLで抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて粗生成物を得て、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製して化合物14を3.0g得た。
【0132】
H NMR(DMSO−d6、400MHz)d(ppm)8.24〜8.13(4H、m)、8.07(2H、s)、8.01〜7.97(4H、m)、7.89(2H、d)、7.73(1H、d)、7.57(7H、brs)、7.22(1H、t)、6.74(1H、t)
【0133】
合成例9:化合物17の合成
下記反応式9の経路によって、化合物17を合成した。
【化22】

【0134】
前記合成例5と同じ方法で中間体7dを合成した後、中間体7d 3.94g、ピレン−1−イル−1−ホウ酸3g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.7g、炭酸カリウム8gを、THF70mLと水70mLとに溶かした後、還流温度で18時間撹拌した。常温に冷やした後で有機層を別に分離して、水層は、ジクロロメタン70mLで抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて粗生成物を得て、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製して化合物17を3.7g得た。
【0135】
H NMR(DMSO−d6、400MHz)d(ppm)8.59(1H、d)、8.56(1H、s)、8.41(1H、d)、8.40(1H、d)、8.34(1H、d)、8.32(1H、d)、8.27〜8.19(6H、m)、8.13〜8.10(2H、m)、7.91(1H、d)、7.75(2H、d)、7.72〜7.66(2H、m)、7.31(1H、d)
【0136】
合成例10:化合物36の合成
下記反応式10の反応経路によって、化合物36を合成した:
【化23】

【0137】
まず、前記合成例1でのように、中間体1a、1b及び1cを合成した。
【0138】
中間体36dの合成
エタノール(150ml)に、2−アミノピリミジン(3.39g、35.98mmol)と2,4’−ジブロモアセトフェノン(10g、35.98mmol)とを溶かして12時間還流した。常温に冷却すれば白色固体が生成され、これをNaHCO飽和水溶液で洗浄しつつ濾過した。有機層の残留水分を無水硫酸マグネシウムで除去した後で減圧乾燥した後、再結晶(ジクロロメタン/ノルマルヘキサン)して板状の結晶形態を有する中間体36dを得た(8.02g、82%収率)。
【0139】
化合物36の合成
前記中間体1c(1.85g、3.90mmol)と中間体36d(1g、3.90mmol)とを炭酸カリウム(2.7g、19.5mmol)水溶液とTHFとの混合溶媒に入れて撹拌しつつ、Pd(PPh(225mg、0.196mmol)を入れて6時間還流した。常温に冷却した後、生成された固体化合物を水、エタノール及びトルエンで洗浄しつつ濾過し、化合物36を得た(1.73g、71%収率)。
【0140】
H NMR(400MHz、CDCl)8.51(1H)、8.40(1H)、8.12(1H)、8.06−7.99(5H)、7.96(2H)、7.85(1H)、7.78−7.59(15H)、7.32(2H)、6.84(1H)
【0141】
合成例11:化合物37の合成
前記合成例10での中間体1bの合成方法のうち、2−臭化ナフチルマグネシウムの代わりに臭化フェニルマグネシウムを使用した点を除いては、合成例10と同じ方法で化合物37を合成した。
【0142】
H NMR(400MHz、CDCl)8.54(1H)、8.42(1H)、8.07(2H)、7.96(1H)、7.83(1H)、7.80(1H)、7.73−7.48(15H)、7.35(2H)、6.87(1H)
【0143】
合成例12:化合物38の合成
前記合成例10での中間体1bの合成方法のうち、2−臭化ナフチルマグネシウムの代わりに臭化フェニルマグネシウムを使用した点と、中間体36dの合成方法のうち、2,4’−ジブロモアセトフェノンの代わりに2,4’−ジブロモプロピオフェノンを利用したという点とを除いては、前記合成例10の化合物36の製造方法と同じ方法を利用して化合物38を製造した。
【0144】
H NMR(400MHz、CDCl)8.54(1H)、8.22(1H)、7.97(1H)、7.93(2H)、7.70(1H)、7.71−7.52(15H)、7.35(2H)、6.92(1H)、2.73(3H)
【0145】
合成例13:化合物45の合成
下記反応式11の経路によって、化合物45を合成した。
【化24】

【0146】
前記合成例10と同じ方法で中間体36dを合成した後、中間体36d 3.3g、ピレン−1−イル−1−ホウ酸3g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.7g、炭酸カリウム8gを、THF 70mLと水70mLとに溶かした後、還流温度で18時間撹拌した。常温に冷やした後、有機層に生成された固体生成物を濾過し、水とTHFとで洗浄して化合物45を2.7g得た。
【0147】
H NMR(DMSO−d6、400MHz)d(ppm)9.01(1H、dd)、8.56(1H、q)、8.51(1H、s)、8.39(1H、d)、8.32(2H、q)、8.25〜8.19(6H、m)、8.10(2H、t)、7.75(2H、d)、7.09(1H、dd)
【0148】
実施例1
基板上部に、合成例1から得た化合物1を真空蒸着し、600Å厚の光効率改善層を形成した。前記光効率改善層の上部に、アノードとして15Ω/cm(1,200Å)ITOを形成した後、前記アノード上部に、m−MTDATAを真空蒸着して750Å厚の正孔注入層を形成した後、前記正孔注入層の上部に、α−NPDを真空蒸着して150Å厚の正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に、ホストとしてDSA 97重量%、ドーパントとしてTBPeを3重量%使用して300Å厚の発光層を形成した。前記発光層の上部に、Alq3を真空蒸着して200Å厚の電子輸送層を形成した。前記電子輸送層の上部に、LiFを真空蒸着して80Å厚の電子注入層を形成した後、Alを真空蒸着して3,000Å厚のカソードを形成することによって、有機発光素子を完成した。
【0149】
実施例2ないし9
前記実施例1のうち、光効率改善層材料として、化合物1の代わりに、化合物2、3、4、7、11,36、37及び38をそれぞれ使用したという点を除いては、前記実施例1と同じ方法で有機発光素子を完成した。
【0150】
比較例
前記実施例1のうち、光効率改善層材料として、化合物1の代わりに、Alq3を使用したという点を除いては、前記実施例1と同じ方法で有機発光素子を完成した。
【0151】
評価例1
前記実施例1ないし9の有機発光素子及び比較例の有機発光素子の効率(cd/A)をPR650(Spectroscan)Source Measurement Unit.(PhotoResearch社製)を利用して評価し、その結果を下記表1に示した。
【0152】
【表1】

【符号の説明】
【0153】
10,20,30 有機発光素子
11,21,31 基板
13,23,33 第1電極
15,25,35 有機層
17,27,37 第2電極
18,28 光効率改善層
38 第1光効率改善層
39 第2光効率改善層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成された第1電極と、前記第1電極上に形成された有機層と、前記有機層上に形成された第2電極と、光効率改善層とを具備し、前記第1電極は、前記有機層と接触した第1面及び前記有機層と反対側に位置した第2面を有し、前記第2電極は、前記有機層と接触した第1面と前記有機層と反対側に位置した第2面とを有し、前記光効率改善層は、前記第1電極の第2面の下部及び前記第2電極の第2面の上部のうち、一つ以上に形成されており、下記化学式1で表示される化合物を含んだことを特徴とする有機発光素子:
【化1】

前記化学式1で、
Arは、置換または非置換のC−C30芳香族環システム、または置換または非置換のC−C30ヘテロ芳香族環システムであり、
は、置換または非置換のC−C30アルキレン基、置換または非置換のC−C30アリーレン基、または置換または非置換のC−C30ヘテロアリーレン基であり、
は、LまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり、
は、LまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり、
は、LまたはArと結合した炭素原子であるか、NまたはCYであり、
は、Nであり、
は、炭素原子であり、
は、NまたはCYであり、
前記XないしXのうち一つは、LまたはArと結合した炭素原子であり、
ないしR及びYないしYは互いに独立的に、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、置換または非置換のC−C30アルキル基、置換または非置換のC−C30アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アシル基、置換または非置換のC−C30アルケニル基、置換または非置換のC−C30アルキニル基、置換または非置換のC−C30アリール基、または置換または非置換のC−C30ヘテロアリール基であり、前記RないしR及びYないしYのうち隣接した2以上は互いに結合し、飽和または不飽和の環を形成でき、
aは、0ないし10の整数であり、
mは、1ないし5の整数であり、
nは、1ないし10の整数である。
【請求項2】
Arが、置換または非置換のペンタレン、置換または非置換のインデン、置換または非置換のナフタレン、置換または非置換のアズレン、置換または非置換のヘプタレン、置換または非置換のインダセン、置換または非置換のアセナフチレン、置換または非置換のフルオレン、置換または非置換のフェナレン、置換または非置換のフェナントレン、置換または非置換のアントラセン、置換または非置換のフルオランテン、置換または非置換のトリフェニレン、置換または非置換のピレン、置換または非置換のクリセン、置換または非置換のナフタセン、置換または非置換のピセン、置換または非置換のペリレン、置換または非置換のペンタフェン、置換または非置換のヘキサセン、置換または非置換のピロール、置換または非置換のピラゾール、置換または非置換のイミダゾール、置換または非置換のイミダゾリン、置換または非置換のピリジン、置換または非置換のピラジン、置換または非置換のピリミジン、置換または非置換のインドール、置換または非置換のプリン、置換または非置換のキノリン、置換または非置換のフタラジン、置換または非置換のインドリジン、置換または非置換のナフチリジン、置換または非置換のキナゾリン、置換または非置換のシノリン、置換または非置換のインダゾール、置換または非置換のカルバゾール、置換または非置換のフェナジン、置換または非置換のフェナントリジン、置換または非置換のピラン、置換または非置換のクロメン、置換または非置換のベンゾフラン、置換または非置換のチオフェン、置換または非置換のベンゾチオフェン、置換または非置換のイソチアゾール、及び置換または非置換のイソキサゾールからなる群から選択されたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記Arでありうる置換されたC−C30芳香族環システム、または置換されたC−C30ヘテロ芳香族環システムのうち置換基が、置換または非置換のC−C14アリール基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリール基であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記Arでありうる置換されたC−C30芳香族環システム、または置換されたC−C30ヘテロ芳香族環システムのうち置換基が、フェニル基、ハロフェニル基、C−C10アルキルフェニル基、C−C10アルコキシフェニル基、ナフチル基、ハロナフチル基、C−C10アルキルナフチル基、C−C10アルコキシナフチル基、ピリジニル基、ハロピリジニル基、C−C10アルキルピリジニル基、C−C10アルコキシピリジニル基、キノリニル基、ハロキノリニル基、C−C10アルキルキノリニル基、C−C10アルコキシキノリニル基、イソキノリニル基、ハロイソキノリニル基、C−C10アルキルイソキノリニル基、及びC−C10アルコキシイソキノリニル基からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記Lが、置換または非置換のC−C14アリーレン基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリーレン基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記Lが、フェニレン基、ハロフェニレン基、C−C10アルキルフェニレン基、C−C10アルコキシフェニレン基、ナフチレン基、ハロナフチレン基、C−C10アルキルナフチレン基、及びC−C10アルコキシナフチレン基からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項7】
−(L−が下記化学式2aないし2gのうちいずれか一つで表示されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【化2】

【請求項8】
,X及びXのうち、一つ以上がNであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項9】
及びXがNであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項10】
,X及びXがNであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項11】
ないしR及びYないしYが互いに独立的に、水素、置換または非置換のC−C10アルキル基、置換または非置換のC−C10アルケニル基、置換または非置換のC−C14アリール基、またはC−C14ヘテロアリール基であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記RないしR及びYないしYが互いに独立的に、水素、C−C10アルキル基、C−C10ハロアルキル基、C−C10アルケニル基、C−C10ハロアルケニル基、フェニル基、ハロフェニル基、C−C10アルキルフェニル基、C−C10アルコキシフェニル基、ナフチル基、ハロナフチル基、C−C10アルキルナフチル基、またはC−C10アルコキシナフチル基であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項13】
nが1または2であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記化学式1で表示される化合物が、下記化学式1aないし1xのうち、いずれか一つを有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の有機発光素子:
【化3】








前記化学式で、
ないしQ11は互いに独立的に、水素、置換または非置換のC−C14アリール基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリール基であり、
は、置換または非置換のC−C14アリーレン基、または置換または非置換のC−C14ヘテロアリーレン基であり、
,R,R,Y及びYは互いに独立的に、水素、置換または非置換のC−C10アルキル基、置換または非置換のC−C10アルケニル基、置換または非置換のC−C14アリール基、またはC−C14ヘテロアリール基であり、前記R,R,R,Y及びYのうち隣接した2以上は、互いに結合してC−C12芳香族環を形成でき、
aは、1または2である。
【請求項15】
前記QないしQ11は互いに独立的に、水素、フェニル基、ハロフェニル基、C−C10アルキルフェニル基、C−C10アルコキシフェニル基、ナフチル基、ハロナフチル基、C−C10アルキルナフチル基、C−C10アルコキシナフチル基、ピリジニル基、ハロピリジニル基、C−C10アルキルピリジニル基、C−C10アルコキシピリジニル基、キノリニル基、ハロキノリニル基、C−C10アルキルキノリニル基、C−C10アルコキシキノリニル基、イソキノリニル基、ハロイソキノリニル基、C−C10アルキルイソキノリニル基、及びC−C10アルコキシイソキノリニル基からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記Lが、フェニレン基、ハロフェニレン基、C−C10アルキルフェニレン基、C−C10アルコキシフェニレン基、ナフチレン基、ハロナフチレン基、C−C10アルキルナフチレン基、及びC−C10アルコキシナフチレン基からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項17】
前記第2電極が透過型電極であり、前記光効率改善層が前記第2電極の一面のうち、前記有機層と反対側に位置した一面に形成されたことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項18】
前記第1電極が透過型電極であり、前記光効率改善層が前記第1電極の一面のうち、前記有機層と反対側に位置した一面に形成されたことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項19】
前記第1電極及び前記第2電極が透過型電極であり、前記光効率改善層が前記第1電極及び第2電極の一面のうち、前記有機層と反対側に位置した一面に形成されたことを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項20】
前記有機層がR,G及びBの画素別にパターニングされており、前記光効率改善層が前記R,G及びBの画素に対して共通層として形成されたことを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項21】
前記有機層がR,G及びBの画素別にパターニングされており、前記光効率改善層が前記R,G及びBの画素に対して、R画素に対応する領域に形成された光効率改善層−R、前記G画素に対応する領域に形成された光効率改善層−G、及び前記B画素に対応する領域に形成された光効率改善層−Bのうち、一つ以上からなることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項22】
前記光効率改善層−R、光効率改善層−G及び光効率改善層−Bの厚さが、互いに異なることを特徴とする請求項21に記載の有機発光素子。
【請求項23】
前記光効率改善層が光効率改善層−R、光効率改善層−G及び光効率改善層−Bからなることを特徴とする請求項21に記載の有機発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−45033(P2010−45033A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188534(P2009−188534)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】