説明

光半導体装置用パッケージ及び光半導体装置

【課題】構成する部品点数が少なく、さらに容易に製造することが可能な光半導体装置用パッケージ及び光半導体装置を提供する。

【解決手段】本発明の光半導体装置は、発光素子を搭載するダイパッドを有する金属製の第1のリードフレームと、発光された光を反射させるリフレクタを有する金属製の第2のリードフレームと、それらを重ね合わせ一体に成形する樹脂製のモールド樹脂で構成された光半導体装置用パッケージを用いることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置用パッケージ及び光半導体装置に関し、特にリードフレームを二層に重ねた光半導体装置用パッケージ及び光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体装置は、リードフレームとリフレクタで構成されたパッケージに発光素子を搭載し、ワイヤ等で配線後、蛍光体樹脂で覆い完成する。近年では発光表示装置の他、種々の照明装置の光源として使用される。このパッケージに使用されるリフレクタは光を反射させ、蛍光体樹脂は色合いを調整する役目をする。製造方法としては、リードフレームを用いて、リフレクタを接合する。この時、反射効率を向上させるために、リフレクタの材質を選定する工夫がなされている。また、リードフレームとリフレクタとの密着性を高める工夫がなされている。
【0003】
発光素子を搭載する第1の金属板とリフレクタを形成する第2の金属板を薄膜状絶縁層により張り合わせた発光装置が従来技術として知られている(例えば、特許文献1参照、図1)これにより、高強度、高反射率、高放熱で安価な光半導体装置とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−35264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、光半導体装置は、微小な形態で取り扱い難く、常に製品価格のコストダウンが市場で要求されている。すなわち、取り扱い易くなるよう構成する部品点数が少なく、さらに製造容易なことが必要である。
【0006】
しかしながら、従来技術は、2つの金属板を重ねるが、第1の金属板では絶縁部材を備えるため、部品点数、製造工程数が多いという課題がある。また、薄く小さい貫通孔を有する金属板と貫通孔を有する接着シートで張り合わせるため、接着性と作業性に懸念があるという課題がある。
【0007】
従って、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、部品点数を削減し、製造容易な光半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】

上述の課題を解決するために、本発明は、以下に掲げる構成とした。
本発明の光半導体装置用パッケージは、ダイパッドを有する第1のリードフレームと、リフレクタを有する第2のリードフレームと、第1のリードフレームと第2のリードフレームを重ね合わせ一体に成形するモールド樹脂とを備えることを特徴とする。
また、第2のリードフレームの表面はアルマイト処理を備えていることを特徴とする。
また、モールド樹脂は、第1のリードフレームの厚さに納まっていることを特徴とする。
また、本発明の光半導体装置は、発光素子と、蛍光体樹脂とを備え、前述の光半導体装置用パッケージを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、絶縁部材と接合材に樹脂封止を用いるので、部品点数を増加させず、製造容易な光半導体装置用パッケージ及び光半導体装置を提供することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る光半導体装置用パッケージの上面図、正面図、下面図、側面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る第1のリードフレームの平面図、側面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る第2のリードフレームの平面図、断面側面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る第1のリードフレームと第2のリードフレームを重ね合わせた状態を示す平面図、断面側面図である。
【図5】本発明の実施例1に係るモールド状態を示す平面図、断面側面図である。
【図6】本発明の実施例1に係る光半導体装置の上面図、断面側面図、下面図である。
【図7】本発明の変形例1に係る接合部を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の変形例2に係る接合部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、寸法関係の比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【実施例1】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例1に係る光半導体装置用パッケージ1を説明する。図1は、本発明の実施例1に係る光半導体装置用パッケージ1の上面図、正面図、下面図、側面図である。
【0013】
図1に示すように、光半導体装置用パッケージ1は、第1のリードフレーム2、第2のリードフレーム3、モールド樹脂4の3種類の部材とで構成されている。すなわち、部品点数は3つである。
【0014】
第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3が重ね合わせた形態で、樹脂成形金型に挟持させ、トランスファーモールド方法によりモールド樹脂4が充填され、成形されて、第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3とモールド樹脂4とが一体化されている。外形寸法は、例えば、長さ6mm、幅5mm、高さ1mmである。尚、図は個片化された1つのパッケージで示している。
【0015】
図2に示すように、第1のリードフレーム2は、2箇所のダイパッドを備え、一方のダイパッド5は、一方の主面に発光素子を搭載し、もう一方の主面はパッケージの裏面として露出され放熱部及び電極の外部端子となっている。
【0016】
また、もう一方のダイパッド6は、一方の主面は、発光素子の電極とワイヤボンディングで接続されている。もう一方のダイパッド6はもう一方の電極となる。もう一方の主面はパッケージの裏面として露出され放熱部及びもう一方の電極の外部端子となっている。
【0017】
また、一方のダイパッド5ともう一方のダイパッド6は、電気的な絶縁を確保するように、間隔をあけており、後述するモールド樹脂が充填される。前述の特許文献では絶縁部材を充填している。
【0018】
また、第1のリードフレーム2には、吊り部7を有して、個々の光半導体装置のパターンをマトリクス形状に連結している。さらに、外周囲を囲むように外枠8が形成されている。図では、上下方向にパターンが2つ連結されており、左右方向の連結は省略してある。
【0019】
また、第1のリードフレーム2の材質は、平板形状をしており、銅、アルミニウム、鉄及びそれらの合金等の導電性、放熱性に優れた金属が使用される。製造方法としては、エッチング加工やプレス打ち抜き加工を用いることが可能である。
【0020】
また、第1のリードフレーム2の表面は、表面保護のため、ニッケル、銀等のめっきを施すことができる。また、これらのめっきの組み合わせも可能である。例えば、板厚は0.2mmで表面に銀めっきを施した銅合金を使用することが可能である。
【0021】
図3に示すように、第2のリードフレーム3は、逆円錐形状を有する貫通した開口部11がある。例えば、上面開口寸法は直径4mmで、45度の傾斜を付け、深さ方向へ狭め、開口下部では直径2.8mmである。開口部11は平面から見ると円形状であるが、四角形状等に変形することも可能である。この開口部が光半導体装置のリフレクタとなる。傾斜角度も任意に設定することが可能である。
【0022】
また、第2のリードフレーム3には、連結部12を有して、個々の光半導体装置のパターンをマトリクス形状に連結している。らに、外周囲を囲むように外枠13が形成されている。
【0023】
また、第2のリードフレーム3の材質は、平板形状をしており、銅、アルミニウム、鉄及びそれらの合金等の放熱性に優れた金属が使用される。製造方法としては、プレス打ち抜き加工を用いることが可能である。例えば、板厚は0.6mmのアルミニウムを使用することができる。このように薄い材料であれば、プレス加工により、打ち抜き加工の他、傾斜加工、凸出し加工が可能である。
【0024】
また、第2のリードフレーム3の表面は、光反射効率向上のため、ニッケル、銀等のめっきを施すことができる。また、これらのめっきの組み合わせも可能である。アルミニウム材料の場合には、光沢表面研磨加工により、反射面を形成することが可能である。
【0025】
また、第2のリードフレーム3には、凸部14を有して、板厚方向に突出している。第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3とを重ね合わせた時に、それぞれの絶縁空間を確保している。この絶縁空間に後述するモールド樹脂が充填される。例えば、図3の断面側面図の左右方向において、第2のリードフレーム3の板厚は0.6mm、突出は0.4mm、第1のリードフレーム2の板厚は0.2mmの場合、絶縁空間は0.2mmとなる。
【0026】
図4は、第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3とを重ね合わせた形態図である。外枠8(第1のリードフレーム2)と外枠13(第2のリードフレーム3)が接するように重ねる。これは、樹脂成形金型に位置決めピンを利用して、重ね置くだけよい。また、このとき、第2のリードフレーム3の凸部14が、第1のリードフレーム2のダイパッド(5、6)を跨ぐように位置している。これにより、第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3との間には空間が形成される。
【0027】
図5は、第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3との空間に、モールド樹脂4が充填された状態を示している。このモールド樹脂4によって、第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3を強固に接合し、一体化している。例えば、モールド樹脂4は、熱硬化型エポキシ樹脂を使用することが可能である。
【0028】
製造方法としては、半導体では一般的におこなわれているトランスファーモールド方法を使用し、予め位置決めピンが配置されている樹脂成形金型に第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3を順次配設し、樹脂成形金型を閉じれば良い。尚、図5では、樹脂成形金型を省略している。
【0029】
次に、第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3とを重ね合わせた時にできる空間に、ランナー15を介してエポキシ樹脂を充填する。
【0030】
また、充填時に第1のリードフレーム2における一方のダイパッド5ともう一方のダイパッド6の間隔にも樹脂が同時に充填される。モールド樹脂4により、ダイパッド間の絶縁が保たれる。同時に第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3を接合しているので、一つの材料で絶縁部材と接合部材を賄うことが可能である。その後、樹脂成形金型を開いて取り出す。これにより、光半導体装置用パッケージ1が完成する。
【0031】
次に、図6は、光半導体装置用パッケージ1を用いて製造された光半導体装置20を示した図である。
【0032】
まず、光半導体装置用パッケージ1の開口部11に導電性接合材(図示省略)を用いて、発光素子21を第1のリードフレーム2の一方のダイパッド5の一方の主面に搭載する。これにより、発光素子21の下面電極と第1のリードフレーム2の一方のダイパッド5が電気的に接合される。第1のリードフレーム2の一方のダイパッド5の裏面は外部端子(正極)となり、さらに、素子から発生した熱を伝熱し、熱放出面となる。
【0033】
次に、発光素子21の上面電極と第1のリードフレーム2のもう一方のダイパッド6を半導体では一般的におこなわれているワイヤボンディング方法により、ワイヤ22にて電気的に接合する。例えば、ワイヤ22は、直径25ミクロンの金細線を使うことが可能である。第1のリードフレーム2のもう一方のダイパッド6の裏面は外部端子(負極)となる。
【0034】
次に、発光素子21とワイヤ22を覆うように、開口部11に蛍光体樹脂23を充填する。蛍光体樹脂23は、発光素子21から発せられる色合いを調整する。
【0035】
次に、半導体では一般的におこなわれているシンギュレーション方法により、マトリクス状に配列された光半導体装置を個片化する。図5の一点鎖線線30は、シンギュレーション装置のカットラインである。図中に縦方向はリードフレーム状態で分割できているので、横(水平)方向のみでよい。
【0036】
以上により、図6に示す1つの光半導体装置20が完成する。この状態で端子部24が左右に形成される。これは、第1のリードフレーム2が第2のリードフレーム3より突出した部分であり、光半導体装置20をプリント基板等へ実装した時の接合状況を確認できる外部端子となる。
【0037】
次に、上述の実施例1に係る光半導体装置用パッケージ1及び光半導体装置20の効果を説明する。
【0038】
本発明の実施例1に係る光半導体装置用パッケージ1は、第1のリードフレーム2、第2のリードフレーム3、モールド樹脂4の3種類の部材のみで形成している。これにより、第1のリードフレーム2において、モールド樹脂4で、第1のリードフレーム2のダイパッド間の間隔絶縁処理することが可能である。また、第2のリードフレーム3との接合を同時に同一工程で成形製造することが可能である。よって絶縁部材の省略、製造工程の簡略化が可能である。
【0039】
また、絶縁部材の省略、製造工程の簡略化した光半導体装置用パッケージ1を使用するので、安価で製造容易な光半導体装置20とすることが可能である。さらに、第1のリードフレーム2、第2のリードフレーム3を金属とするので、放熱性、耐光性の信頼性が向上し、金錫共晶はんだなどの高温プロセスへの対応が可能である。
【0040】
上述のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0041】
上述の例では、開口部11の傾斜角度を45度としたが、反射方向を調整するため、任意の角度に設定することも可能である。
【0042】
また、モールド樹脂4は熱硬化型エポキシ樹脂としたが、白色顔料を含ませた樹脂を使用することも可能である。この場合、黒色樹脂に比べ、さらに反射効率が向上することができる。
【0043】
また、発光素子を1個搭載しているが、複数の発光素子を搭載することが可能である。また、発光素子は、フリップチップ型発光素子を使用することも可能である。これにより、ワイヤボンディングを省略することができる。
【0044】
また、図7に示すように、第1のリードフレーム2において、モールド樹脂の厚さ分、掘り下げるようにしてもよい。これによって、接着性を確保し、発光が樹脂に直接当たらないようにすることが可能である。よって、白色顔料を含まない安価な樹脂でも、反射効率低下を抑制することができる。また、パッケージ高さを低く押さえることが可能である。
【0045】
また、図8に示すように、第2のリードフレーム3において、表面にアルマイト部31を設けてもよい。これにより、第1のリードフレーム2との接する面を絶縁することが可能である。この場合、モールド樹脂4は第2のリードフレーム3の外周部を固定するように、樹脂成形するとよい。これにより密着性をさらに向上させることができる。また、絶縁性も確保されるため、第1のリードフレーム2と第2のリードフレーム3の間隔を極小とし樹脂使用量を削減するこができる。また、アルマイト部31は部分的、全面的に設けるかは任意である。また、アルマイト部31は、アルミニウム材料の一般的によく使われている表面処理であり、陽極酸化皮膜やアルマイト処理と呼ばれている。
【0046】
また、第1のリードフレーム2において、モールド樹脂4との接合する面に貫通孔を設け、樹脂アンカーとすることが可能である。これにより、第1のリードフレーム2とモールド樹脂4との密着性をさら強固にすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1、光半導体装置用パッケージ
2、第1のリードフレーム
3、第2のリードフレーム
4、モールド樹脂
5、一方のダイパッド
6、もう一方のダイパッド
7、吊り部(第1のリードフレーム)
8、外枠(第1のリードフレーム)
11、開口部
12、連結部(第2リードフレーム)
13、外枠(第2のリードフレーム)
15、ランナー
20、光半導体装置
21、発光素子
22、ワイヤ
23、蛍光体樹脂
24、端子部
30、一点鎖線(カットライン)
31、アルマイト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイパッドを有する第1のリードフレームと、リフレクタを有する第2のリードフレームと、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを重ね合わせ一体に成形するモールド樹脂とを備えることを特徴とする光半導体装置用パッケージ。
【請求項2】
前記第2のリードフレームの表面はアルマイト処理を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置用パッケージ。
【請求項3】
前記モールド樹脂は、前記第1のリードフレームの厚さに納まっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光半導体装置用パッケージ。
【請求項4】
発光素子と、蛍光体樹脂とを備え、請求項1から請求項3に記載の光半導体装置用パッケージを用いたことを特徴とする光半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−58574(P2013−58574A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195492(P2011−195492)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】