説明

光反射板

【課題】 本発明は、人間の目に認識され易い緑系の光を吸収することによって、緑系の光に比して人間の目にやや認識されにくい青系又は赤系の光を強調することによって、青系又は赤系の光を認識しやすくすることができるため、従来の光反射板では表現することができなかった色相を表現することができる光反射板を提供する。
【解決手段】 本発明の光反射板Aは、光反射層1の一面に光吸収層2が積層一体化されてなる光反射板であって、上記光吸収層2は、470〜570nmの波長領域において光を吸収する光吸収剤を含有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光吸収剤を含有する光反射板であり、人間の目が認識し易い、波長が470〜570nmの光を吸収して、緑系の反射光を抑制することによって、緑系の光に比して視感度に劣る青系又は赤系の光を認識しやすくすることができ、照明や表示装置、及び、それらにより照らされた物体の色相を変え、従来の白色及び銀色反射板では表現することができなかった色相を表現することができる光反射板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テレビやモニターなどのディスプレイ分野、シーリングライト、ダウンライト、防犯灯、非常灯、誘虫灯などの照明分野、広告灯などの電飾看板分野などにおいて、蛍光灯や冷陰極管などの光源からの光を有効に利用するために光源の背後に、銀色又は白色の高反射性の光反射板が用いられている。
【0003】
近年、ディスプレイ分野においては、CCFL(冷陰極管)だけでは表現することができなかった色相を出すために、CCFLと、特定波長の光を放射するLED(発光ダイオード)とを併用することにより、ディスプレイの色相を変える試みがされているが、光源を増やすためコスト高になるといった問題点を有している。そのため、白色光源などの光源を変えることなく、ディスプレイの表示画面の色相を変える技術が求められており、特に、青系又は赤系の色相を強調する部材の開発が急がれている。
【0004】
又、防犯灯、誘虫灯に用いられている人工灯などのように、一部の波長の光を利用した照明などが提案されている。何れの方法も特定波長領域の光を放射するような特殊な光源を使用しているためにコストが高いといった問題点を有している。
【0005】
特許文献1には、白色顔料であるチタニアと、発光スペクトルのピークが480〜620nmにある蛍光顔料及び励起スペクトルのピークが420〜450nmにある蛍光顔料から選ばれた少なくとも1種以上の蛍光顔料を含有する塗料を金属板に塗布した反射板が提案されている。
【0006】
しかし、上記反射板は、人間の目の最も強い視感度である波長555nm近傍での光線反射率が高くなるように設計されて緑系の光が強調されている。人間の目は555nm近傍の波長領域の光(緑系の光)を明るく認識し易い一方、400〜470nmの波長領域(青系の光)及び570〜700nmの波長領域の光(赤系の光)を緑系の光に比して認識しにくい
【0007】
従って、人間の目が明るく認識し易い波長領域の光、即ち、555nm近傍の緑系の光の光線反射率を高くすることによって、光反射板の明度の向上を図っている。
【0008】
しかしながら、光反射板の明度のみを考慮するのであれば、人間の目が明るく認識しやすい緑系の光の光線反射率を向上することで可能となる。しかし、人間の目が明るく認識しやすい緑系の光を高く反射させると、反射光において緑系が強調される結果、緑系の光に比して視感度に劣る青系、赤系の光を人間の目がより認識しにくくなるといった問題を生じる。
【0009】
特に、表示装置や照明などの用途に用いられる場合には、表示装置の表示画面の色相や、照明によって照らされる物体の色相が重視されるため、上述のように、緑系の光が強調された光反射板を用いると、表示画面や物体に関して表現できない色相が生じるといった問題を生じる。
【0010】
しかも、金属板を用いており、金属板が光を吸収するために金属板の吸収領域の波長を有する光を利用することができないといった問題点を有している。更に、白色顔料を塗布しているため、白色顔料が光反射板から欠落して、照明装置などの機械の誤作動を引き起こす可能性がある。
【0011】
特許文献2には、内部に気泡を含有する白色フィルムの片面に紫外線吸収能を有する物質と蛍光増白剤とを含有した塗布層が設けられた反射フィルムが提案されている。しかしながら、上記反射フィルムは、その用途からして反射フィルムを白色に見せる必要があることから、従来の白色反射板と表現できる色相は同じである。又、入射光と反射光とは同等のスペクトルを有している必要があり、ディスプレイなどの表示画面の色相や、照明で照らされた物体の色相を変化させるには不充分であった。
【0012】
又、特許文献3には、可視光線透過率が70%以上、紫外線透過率が0〜30%で膜厚が5〜150μmのフィルムから成る紫外線吸収層の下面に膜厚が50〜200μmの蛍光着色層、及び、隠蔽率が70%以上で膜厚が5〜50μmの光反射層を順次、積層一体化したフィルムが提案されている。
【0013】
しかしながら、上記フィルムは、光反射層に白色顔料を分散させる場合、フィルムが非常に薄いため高濃度に白色顔料を分散させることが困難であるため、平均光反射率が低く、ディスプレイや照明用途に用いるには不十分であった。更に、光反射層の光反射性能が低く、着色層を通過した光を効率良く利用することができないため、照明やディスプレイなどの光源色、及び、照明に照らされた物体の色相を変化させることも不充分であった。又、フィルムの表面に白色顔料を塗布する場合、白色顔料が欠落する可能性があり、欠落粒子がディスプレイや照明装置の誤作動を引き起こす原因となるといった別の問題点も発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−73624号公報
【特許文献2】特開2002−40214号公報
【特許文献3】特開平4−345835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、人間の目に認識され易い470〜570nmの波長領域の光(緑系の光)を吸収することによって、緑系の光に比して人間の目にやや認識されにくい青系又は赤系の光、即ち、400〜470nmの波長領域又は570〜700nmの波長領域の光を相対的に強調することができるため、人間の目が青系又は赤系の光を認識しやすくなり、照明や表示装置、及び、それらにより照らされた物体の色相を変え、従来の白色及び銀色反射板では表現することができなかった色相を表現することができる光反射板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の光反射板Aは、光反射層1の一面に光吸収層2が積層一体化されてなる光反射板であって、上記光吸収層2は、470〜570nmの波長領域において光を吸収する光吸収剤を含有している。
【0017】
上記光反射層1としては、光吸収層2を透過した可視光を光吸収層2側に反射させることができればよい。光吸収層2中に含有させている光吸収剤が、470〜570nmの波長領域の光を吸収して570〜700nmの波長領域に発光を生じる顔料又は染料である場合には、光反射層1は、570〜700nmの波長領域の光を反射することが好ましい。光反射層1の光線全反射率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0018】
このような光反射層1としては、例えば、酸化チタンやシリカなどの粒子を含有させている光反射性非発泡シート又は発泡シート、互いに非相溶の合成樹脂を混合してなる混合樹脂からなるシートを延伸して多数のボイドを形成してなる非発泡シート、フィラーを含有するシートを延伸して多数のボイドを形成してなる非発泡シート、微細な気泡を多量に含んだ光反射性発泡シートなどが挙げられ、熱成形可能であるものが好ましい。なお、光反射層1は、上記非発泡シート又は発泡シートを適宜選択して複数層、積層一体化させたものであってもよい。又、光反射板の剛性や成形性の向上を目的として光反射性の低い発泡体層又は非発泡体層を光反射層1の他面に積層一体化させてもよい。
【0019】
光反射層1を構成している合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネートなどのポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、合成樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0020】
上記光反射性非発泡シート又は発泡シートに含有される粒子としては、例えば、酸化亜鉛、亜鉛華、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタンなどが挙げられ、合成樹脂との屈折率の差が大きく反射性の高い酸化チタンが好ましい。
【0021】
酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、ブルツカイト型があるが、ルチル型酸化チタンが好ましい。酸化チタンは通常、その光触媒作用により樹脂を劣化させてしまうため、酸化チタンには表面処理をすることが好ましい。
【0022】
合成樹脂シート中における酸化チタンの含有量は、少ないと、光反射板の光反射性能が低下する一方、多いと、光反射板の軽量性も低下するので、50〜200g/m2が好ましく、50〜150g/m2がより好ましい。
【0023】
次に、光反射層1上に積層一体化されてなる光吸収層2について説明する。この光吸収層2は、合成樹脂中に、470〜570nmの波長領域において光を吸収する光吸収剤を含有している。
【0024】
このように、光吸収層2に、470〜570nmの波長領域において光を吸収する光吸収剤を含有させることによって、人間の目に認識され易い緑系の光を吸収して、人間の目に認識されにくい青系又は赤系の光を相対的に強調させており、人間の目が青系又は赤系の光を認識しやすくなり、従来の光反射板では表現することができなかった色相を表現することができ、表示装置や照明などの色相を重視する用途に好適に用いることができる。
【0025】
光吸収層2を構成している合成樹脂は、光反射層1を構成している合成樹脂と同様であるのでその説明を省略する。光吸収層2を構成している合成樹脂と、光反射層1を構成している合成樹脂は相違していてもよい。
【0026】
光吸収剤としては、470〜570nmの波長領域において光を吸収することができればよく、470〜570nmの波長領域において光を吸収し、570〜700nmの波長領域に発光を生じる顔料又は染料が好ましい。なお、光吸収剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0027】
470〜570nmの波長領域において光を吸収し、且つ、可視光領域(570〜700nm)において発光を生じない光吸収剤としては、特に限定されず、例えば、インディゴ、キナクリドン、アリザリン、Pb34、Fe23などが挙げられ、その他、有機系又は無機系の色素構造を有する発光を生じない顔料又は染料を光吸収剤として用いてもよい。
【0028】
又、470〜570nmの波長領域において光を吸収し、570〜700nmの波長領域に発光スペクトルのピークを有する顔料又は染料には、有機系の色素構造を有する有機系発光体、無機系の色素構造を有する無機系発光体がある。
【0029】
有機系発光体としては、例えば、キサンテン系、クマリン系、ペリレン系、ナフタルイミド系、アクリジン系、チオフラビン系、ジアミノスチルベン系、イミダゾール系、チアゾール系、オキサゾール系、ピラゾリン系、アンスラキノン系、メチン系、ベンゾピラン系、チオインジゴ系、アゾ系、フタロシアニン系などの有機系色素構造を有する発光体が挙げられる。有機系発光体は、単独で用いられても二種以上が併用されもよい。
【0030】
又、無機系発光体としては、例えば、ZnS、(ZnCd)Sなどの硫化物、Zn2SiO4、Cd225、YVO3、CaWO4などの酸化物などの無機系色素構造を有する発光体が挙げられる。無機系発光体は、単独で用いられても二種以上が併用されもよい。
【0031】
なお、470〜570nmの波長領域の光を吸収して570〜700nmの波長領域において発光を生じる顔料又は染料としては、例えば、日本化薬社から商品名「カヤクリルローダミンFB」、BASF社から商品名「Lumogen F Red 305」、シンロイヒ社から商品名「FZ−2803」、「FZ−2801」、「FZ−2817」、「FX−301」、「FX−303」、「FX−307」及び「FX−327」、デイグロ社から商品名「NX−13」、「GPL−13」及び「Z−13」、猪名川顔料社から商品名「ローダミンBレーキ」にて市販されている。
【0032】
光吸収層2中における光吸収剤の総量は、少ないと、緑系の光の吸収が少なくなり、緑系に比して視感度に劣る青系又は赤系の光を強調できないため、合成樹脂100重量部に対して0.01重量部以上が好ましく、多くても、光吸収剤を含有させた効果に変化がないことが多いので、合成樹脂100重量部に対して65重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましい。
【0033】
光反射板の三刺激値のXの全体に対する割合RxをX/(X+Y+Z)、Zの全体に対する割合RzをZ/(X+Y+Z)としたとき、Rxが0.350以上、又は、Rzが0.300以上であることが好ましい。このようにRx又はRzを調整することによって、緑系の光に比して視感度に劣る青系又は赤系の光を認識しやすくすることができ、照明や表示装置、及び、それらにより照らされた物体の色相を変え、従来の白色及び銀色反射板では表現することができなかった色相を表現することができる。
【0034】
なお、光反射板の三刺激値のXの全体に対する割合Rx、Zの全体に対する割合Rzは下記の要領で測定されたものをいう。光反射板の三刺激値X、Y、Zは、分光測色計を使用してJIS Z8722に準拠して行い、測定雰囲気の室温が20℃、測定雰囲気の相対湿度が60%の条件において、光反射板の光線反射率を360〜740nmの波長領域において10nm毎に測定し、光線反射率から三刺激値X、Y、Zを算出する。
【0035】
得られた三刺激値X、Y、Zに基づいて下記式(1)によってXの全体に対する割合Rxを、下記式(2)によってZの全体に対する割合Rzを算出する。
Rx=X/(X+Y+Z)・・・式(1)
Rz=Z/(X+Y+Z)・・・式(2)
【0036】
更に、光反射板において、上記Rxが0.350以上又は上記Rzが0.300以上であり、且つ、400〜700nmの波長領域における最大光線反射率が100%以上であることがより好ましい。このようにRx又はRzに加えて、最大光線反射率を調整することによって、光反射板によって反射された反射光において、人間の目にやや認識されにくい赤系の光を更に強調し、緑系の光に比して視感度に劣る赤系の光を認識しやすくすることができ、照明や表示装置、及び、それらにより照らされた物体の色相を変え、従来の白色及び銀色反射板では表現することができなかった色相を表現することができる
【0037】
上記光反射層1及び光吸収層2には、これらの物性を損なわない範囲内において、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、金属不活性剤などの安定剤、帯電防止剤、難燃剤などの添加剤が添加されていてもよい。
【0038】
次に、本発明の光反射板の製造方法について説明する。光反射板の製造方法としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂と、光吸収剤とを含有する光吸収層用熱可塑性樹脂組成物を第一押出機に供給して溶融混練する一方、熱可塑性樹脂と上記粒子とを含有する光反射層用熱可塑性樹脂組成物を第二押出機に供給して溶融混練し、第一、第二押出機を接続させている同一のダイに光吸収層用熱可塑性樹脂組成物及び光反射層用熱可塑性樹脂組成物を供給して共押出しすることによって、光反射層用熱可塑性樹脂組成物からなる光反射層の一面に、光吸収層用熱可塑性樹脂組成物からなる光吸収層を積層一体化してなる光反射板を製造する方法、予め用意した光反射層上に、光吸収剤を含有する塗料を塗布、乾燥させて光吸収層を積層一体化して光反射板を製造する方法などが挙げられる。
【0039】
このようにして得られた光反射板は、光吸収層2中に470〜570nmの波長領域において光を吸収する光吸収剤を含有しており、光反射板の光吸収層2に入射した光のうち、470〜570nmの波長領域の光を光吸収剤が吸収し、好ましくは、光吸収剤が570〜700nmの波長領域において発光する。
【0040】
しかも、光吸収剤に吸収されることなく光吸収層2を透過した入射光は、光反射層1によって光吸収層2側に反射され、光吸収層2中を再度、通過する途上に470〜570nmの波長領域において光吸収剤に吸収される。従って、光吸収層2に入射した光は、470〜570nmの波長領域の光が効率良く吸収される。
【0041】
従って、本発明の光反射板Aによれば、光反射板Aの光線反射率において、470〜570nmの波長領域の最小光線反射率が、400〜470nmの波長領域の最大光線反射率又は570〜700nmの波長領域の最大光線反射率よりも低くなっている。
【発明の効果】
【0042】
本発明の光反射板は、上述のような構成を有しているので、反射光は400〜470nmの波長領域(青系)又は570〜700nmの波長領域(赤系)の光が、470〜570nmの波長領域(緑系)の光に比して相対的に強調され、緑系の光に比して視感度に劣る青系又は赤系の光を認識しやすくすることができ、照明や表示装置、及び、それらにより照らされた物体の色相を変え、従来の白色及び銀色反射板では表現することができなかった色相を表現することができ、表示装置や照明用途などの色相が重視される用途において好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の光反射板を示した縦断面図である。
【図2】実施例2、6及び比較例1の光反射板の反射スペクトルを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(実施例1)
ポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」)100重量部及び光吸収剤として青色顔料マスターバッチ(東洋インキ社製 商品名「BDM 7KC 740」、生分解性樹脂:青色顔料=95重量%:5重量%)2重量部を含有する光吸収層用熱可塑性樹脂組成物を第一押出機に、ポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」)100重量部、及び、エチレン−プロピレンブロック共重合体中にルチル型酸化チタンを含有させたマスターバッチ(東洋インキ社製 商品名「PPM 1KB662 WHT FD」、エチレン−プロピレンブロック共重合体:酸化チタン=30重量%:70重量%)100重量部を含有する光反射層用熱可塑性樹脂組成物を第二押出機に、ポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」)24重量部、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 商品名「FB3312」)76重量部、エチレン−プロピレンブロック共重合体中にルチル型酸化チタンを含有させたマスターバッチ(東洋インキ社製 商品名「PPM 1KB662 WHT FD」、エチレン−プロピレンブロック共重合体:酸化チタン=30重量%:70重量%)25重量部、及び、気泡剤として重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物1.4重量部を含有する発泡体層用熱可塑性樹脂組成物を第三押出機に供給して溶融混練し、第一〜三押出機から光吸収層用熱可塑性樹脂組成物、光反射層用熱可塑性樹脂組成物及び発泡体層用熱可塑性樹脂組成物を合流ダイに押出し、発泡体層用熱可塑性樹脂組成物からなる断面円環状の発泡性樹脂層と、この発泡性樹脂層の外面に積層され且つ光反射層用熱可塑性樹脂組成物からなる断面円環状の非発泡性樹脂層と、この非発泡性樹脂層の外面に積層され且つ光吸収層用熱可塑性樹脂組成物からなる断面円環状の光吸収樹脂層とからなる積層体を形成し、この積層体を合流ダイに接続させた環状ダイに供給し、環状ダイから円筒状に押出発泡させて円筒状発泡体を得た。
【0045】
しかる後、円筒状発泡体を徐々に拡径させた後に冷却マンドレルに供給して成形しながら冷却した後、円筒状発泡体を径方向の対向する二点において押出し方向に連続的に内外周面間に亘って切断することによって切り開いて展開し、全体の密度が0.7g/cm3である光反射板を得た。
【0046】
なお、光反射板は、発泡性樹脂層を発泡させてなる厚みが0.5mmの発泡体層上に、非発泡性樹脂層からなる厚みが0.15mmの光反射層1が積層一体化されてなり、更に、光反射層1上に光吸収樹脂層から形成されてなる厚みが0.05mmの光吸収層2が積層一体化されていた。
【0047】
(実施例2)
光吸収剤として、青色顔料マスターバッチの代わりに、赤色顔料マスターバッチ(東洋インキ社製 商品名「BDM 4KB 766」、生分解性樹脂:赤色顔料=95重量%:5重量%)2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして光反射板を得た。
【0048】
(実施例3)
光吸収剤として、青色顔料マスターバッチの代わりに、赤色顔料マスターバッチ(東洋インキ社製 商品名「BDM 4KB 767」、生分解性樹脂:赤色顔料=95重量%:5重量%)2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして光反射板を得た。
【0049】
(実施例4)
光吸収剤として、青色顔料マスターバッチの代わりに、蛍光顔料(シンロイヒ社製 商品名「FX−301」)1重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして光反射板を得た。
【0050】
(実施例5)
光吸収剤として、青色顔料マスターバッチの代わりに、蛍光顔料(シンロイヒ社製 商品名「FX−303」)1重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして光反射板を得た。
【0051】
(実施例6)
光吸収剤として、青色顔料マスターバッチの代わりに、蛍光顔料(シンロイヒ社製 商品名「FX−307」)1重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして光反射板を得た。
【0052】
(実施例7)
光吸収剤として、青色顔料マスターバッチの代わりに、蛍光顔料(シンロイヒ社製 商品名「FX−327」)1重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして光反射板を得た。
【0053】
(実施例8)
ポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」)100重量部及び光吸収剤として蛍光顔料(シンロイヒ社製 商品名「FX−301」)1重量部を含有する光吸収層用熱可塑性樹脂組成物を第一押出機に、ポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」)100重量部、及び、エチレン−プロピレンブロック共重合体中にルチル型酸化チタンを含有させたマスターバッチ(東洋インキ社製 商品名「PPM 1KB662 WHT FD」、エチレン−プロピレンブロック共重合体:酸化チタン=30重量%:70重量%)100重量部を含有する光反射層用熱可塑性樹脂組成物を第二押出機に供給して溶融混練し、第一、二押出機から光吸収層用熱可塑性樹脂組成物及び光反射層用熱可塑性樹脂組成物を合流ダイに押出し、光反射層用熱可塑性樹脂組成物からなる非発泡性樹脂層上に、光吸収層用熱可塑性樹脂組成物からなる光吸収樹脂層が積層されてなる積層シートを形成し、この積層シートを合流ダイに接続したTダイに供給してTダイから全体の密度が1.3g/cm3である光反射板を共押出成形した。なお、光反射板の厚みが0.2mmとなるように引き取った。
【0054】
なお、光反射板は、非発泡性樹脂層から形成されてなる厚みが0.15mmの光反射層1と、この光反射層1上に積層一体化され且つ光吸収樹脂層から形成されてなる厚みが0.05mmの光吸収層2とから構成されていた。
【0055】
(実施例9)
光吸収剤として、蛍光顔料(シンロイヒ社製 商品名「FX−303」)1重量部を用いたこと以外は実施例8と同様にして光反射板を得た。
【0056】
(実施例10)
光吸収剤として、蛍光顔料(シンロイヒ社製 商品名「FX−307」)1重量部を用いたこと以外は実施例8と同様にして光反射板を得た。
【0057】
(実施例11)
光吸収剤として、蛍光顔料(シンロイヒ社製 商品名「FX−327」)1重量部を用いたこと以外は実施例8と同様にして光反射板を得た。
【0058】
(比較例1)
光吸収剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして光反射板を得た。
【0059】
(比較例2)
光吸収剤を用いなかったこと以外は実施例8と同様にして光反射板を得た。
【0060】
得られた光反射板について、光線反射率を下記の要領で測定し、最大光線反射率を表1に示した。図2には、実施例2、6及び比較例1の光反射板について各波長における光線反射率のグラフを示した。又、得られた光反射板について、下記の要領で三刺激値X、Y、Z、Rx及びRzを測定し、その結果を表1に示した。
【0061】
(最大光線反射率及び光線反射率)
光反射板の光線反射率の測定には分光測色計(コニカミノルタ社製 商品名「CM−2600d」)を使用し、JIS Z8722に準拠し、測定雰囲気の室温が20℃、測定雰囲気の相対湿度が60%の条件において、光反射板の光線反射率を360〜740nmの波長領域において10nm毎に測定し、570〜700nmにおける最大光線反射率を得た。
【0062】
(三刺激値)
光反射板の光線反射率の測定には分光測色計(コニカミノルタ社製 商品名「CM−2600d」)を使用し、JIS Z8722に準拠し、測定雰囲気の室温が20℃、測定雰囲気の相対湿度が60%の条件において、光反射板の光線反射率を360〜740nmの波長領域において10nm毎に測定し、光線反射率から三刺激値を算出した。
【0063】
得られた三刺激値X、Y、Zに基づいて下記式(1)によってXの全体に対する割合Rxを、下記式(2)によってZの全体に対する割合Rzを算出した。
Rx=X/(X+Y+Z)・・・式(1)
Rz=Z/(X+Y+Z)・・・式(2)
【0064】
【表1】

【符号の説明】
【0065】
1 光反射層
2 光吸収層
A 光反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射層の一面に光吸収層が積層一体化されてなる光反射板であって、上記光吸収層は、470〜570nmの波長領域において光を吸収する光吸収剤を含有していることを特徴とする光反射板。
【請求項2】
光反射板の三刺激値のXの全体に対する割合RxをX/(X+Y+Z)、Zの全体に対する割合RzをZ/(X+Y+Z)としたとき、Rxが0.350以上、又は、Rzが0.300以上であることを特徴とする請求項1に記載の光反射板。
【請求項3】
光吸収剤が、570〜700nmの波長領域に発光を生じる顔料又は染料であることを特徴とする請求項1に記載の光反射板。
【請求項4】
570〜700nmの波長領域における最大光線反射率が100%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光反射板。
【請求項5】
光反射層の他面に発泡体層が積層一体化されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の光反射板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−237326(P2010−237326A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83587(P2009−83587)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】