光受信器および光受信方法
【課題】 受信信号光の波形歪みに強いサンプリング位相ずれの検出を実現し、サンプリング位相ずれを減少させるる光受信器および光受信方法を提供する。
【解決手段】 光受信器は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリング周波数でデジタル化する変換部と、変換部の出力信号に対して互いに異なる補償量で波形歪み補償する複数の歪み補償部と、複数の歪み補償部のそれぞれの出力信号からサンプリング位相ずれを検出する複数の位相ずれ検出回路と、複数の位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相を検出する位相調整量決定部と、を備える。
【解決手段】 光受信器は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリング周波数でデジタル化する変換部と、変換部の出力信号に対して互いに異なる補償量で波形歪み補償する複数の歪み補償部と、複数の歪み補償部のそれぞれの出力信号からサンプリング位相ずれを検出する複数の位相ずれ検出回路と、複数の位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相を検出する位相調整量決定部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信器および光受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットトラフィックの増大により、幹線系光通信システムの大容量化が望まれている。1波長あたりのビットレートを大きくすると、光信号対雑音比(OSNR)耐力が低下し、伝送路の波長分散、偏波モード分散もしくは非線形効果等に起因する波形歪みによる信号品質の劣化が増大する。そのため、OSNR耐力および伝送路の波形歪耐力の改善が期待されるデジタルコヒーレント受信方式が注目されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
デジタルコヒーレント受信方式は、光強度と位相情報とをコヒーレント受信方式により抽出し、抽出された強度と位相情報とをデジタル化することによって、デジタル信号処理回路にて復調する方式である。デジタルコヒーレント受信方式は、コヒーレント受信方式によるOSNR耐力の改善と、デジタル信号処理回路による波形歪補償とを行うことができるため、ビットレートの高い光伝送においても良好な特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】D. Ly-Gagnon, IEEE JLT, vol.24, pp. 12-21, 2006
【非特許文献2】Darko Zibar et al, ECOC 2009, 7.3.4
【非特許文献3】P. M. Krummrich et. al, OFC 2004, FI3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デジタルコヒーレント受信方式は、デジタル信号処理による高い波形歪み補償性能を有している一方で、サンプリング位相ずれ検出回路が波長分散、偏波モード分散等に起因する波形歪みに弱いという課題を有している(例えば、非特許文献2参照)。特に、伝送路の偏波モード分散は、伝送路の偏波状態の変化により、高速に変するため(例えば、非特許文献3参照)、運用中の偏波モード分散の変化に耐えうる、波形歪みに強いサンプリング位相ずれ検出方式が必要とされている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、受信信号光の波形歪みに強い、サンプリング位相ずれ検出を実現し、サンプリング位相ずれを減少させる光受信器および光受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、明細書開示の光受信器は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換部と、変換部の出力信号に対して互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する複数の固定歪み補償部と、複数の歪み補償部のそれぞれの出力信号からサンプリング位相ずれを検出する複数の位相ずれ検出回路と、複数の位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定部と、位相調整量決定部の決定結果に応じてサンプリング周波数と受信信号光の位相差を減少させる位相調整部と、を備えるものである。
【0008】
上記課題を解決するために、明細書開示の他の光受信器は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換部と、変換部の出力信号に対して互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する複数の固定歪み補償部と、複数の固定歪み補償部のそれぞれの出力信号の位相ずれ検出感度に基づいて歪み補償量を検出する補償量検出部と、補償量検出部が検出する歪み補償量で歪み補償を行う歪み補償部と、歪み補償部の出力信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出回路と、位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定部と、位相調整量決定部の決定結果に応じてサンプリング周波数と受信信号光の位相差を減少させる位相調整部と、を備えるものである。
【0009】
上記課題を解決するために、明細書開示の他の光受信方法は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリング周波数でデジタル化する変換ステップと、変換ステップで得られる信号に対して互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する固定歪み補償ステップと、固定歪み補償ステップで得られるそれぞれの信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出ステップと、位相ずれ検出ステップで得られる出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定ステップと、位相調整決定ステップにおける決定結果に応じてサンプリング周波数と受信信号光の位相差を減少させる位相調整ステップと、を含むものである。
【0010】
上記課題を解決するために、明細書開示の他の光受信方法は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換ステップと、変換ステップで得られる信号に対して互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する固定歪み補償ステップと、固定歪み補償ステップで得られる信号の位相ずれ検出感度に基づいて歪み補償量を検出する補償量検出ステップと、補償量検出ステップにおいて検出される歪み補償量で歪み補償を行う歪み補償ステップと、歪み補償ステップで得られる信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出ステップと、位相ずれ検出ステップで得られる出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定ステップと、位相調整量決定ステップにおける決定結果に応じてサンプリング周波数と受信信号光の位相差を減少させる位相調整ステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
明細書開示の光受信器および光受信方法によれば、受信信号光の波形歪みに強い、サンプリング位相ずれ検出を実現し、サンプリング位相ずれを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係る光受信器の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】光受信器の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】位相ずれ検出部の詳細を説明するためのブロック図である。
【図4】固定歪み補償の詳細について説明するための図である。
【図5】波長分散補償を視覚的に表した図である。
【図6】固定歪み補償部の例について説明するための図である。
【図7】位相ずれ検出回路のブロック図である。
【図8】FIR方式の位相調整回路の詳細を説明するためのブロック図である。
【図9】位相ずれ検出回路を用いて感度を検出する感度検出部について説明するための図である。
【図10】実施例2に係る位相ずれ検出部の構成を説明するためのブロック図である。
【図11】実施例2の変形例を説明するためのブロック図である。
【図12】実施例3に係る光受信器の構成を説明するためのブロック図である。
【図13】実施例4に係る光受信器の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る光受信器100の構成を説明するためのブロック図である。図1を参照して、光受信器100は、90度ハイブリッド回路10、局発光源20、光電変換回路30a〜30d、アナログ/デジタル変換部40a〜40d、位相調整回路50、検波回路60、サンプリングクロック源70、位相ずれ検出部80、および位相調整量決定部90を含む。
【0015】
図2は、光受信器100の動作の一例を説明するためのフローチャートである。以下、図1および図2を参照しつつ、光受信器100の動作の概略について説明する。まず、光受信器100に入力された受信光信号と局発光源20から出力された局部発振光信号とが、90度ハイブリッド回路10に入力される。
【0016】
90度ハイブリッド回路10は、受信光信号および局部発振光信号を直交する2つの偏波成分毎に混合し、偏波成分(H偏波、V偏波)の実部(I成分)と虚部(Q成分)の光信号を出力する(ステップS1)。
【0017】
光電変換回路30a〜30dは、直交する2つの偏波のそれぞれI成分およびQ成分からなる光に対して、それぞれ光電変換を行う(ステップS2)。本実施例においては、光電変換回路30aは、HI成分に対して光電変換を行う。光電変換回路30bは、HQ成分に対して光電変換を行う。光電変換回路30cは、VI成分に対して光電変換を行う。光電変換回路30dは、VQ成分に対して光電変換を行う。
【0018】
アナログ/デジタル変換部40a〜40dは、それぞれ、サンプリングクロック源からの入力信号のタイミング(サンプリング周波数)に合わせて、光電変換回路30a〜30dの出力電気信号をデジタル信号に変換し、位相調整回路50に入力する(ステップS3)。位相調整回路50は、アナログ/デジタル変換部40a〜40dが出力するデジタル信号のサンプリング位相を調整して出力する。位相ずれ検出部80は、位相調整回路50の出力信号を用いて、受信光信号の変調周波数とサンプリング周波数との位相ずれ(位相誤差)を検出する(ステップS4)。位相調整量決定部90は、ステップS4で求めた位相ずれ量に基づいて、サンプリング位相調整量を決定する(ステップS5)。位相調整回路50は、ステップS5で求めたサンプリング位相調整量に基づき、サンプリング位相を調整し、得られた信号を検波回路60に入力する(ステップS6)。検波回路60は、波形等化部、復号部、誤り訂正部等を含むデジタルコヒーレント検波回路であり、入力されたデジタル信号を復調する(ステップS7)。
【0019】
以下、各構成の詳細について説明する。図3は、位相ずれ検出部80の詳細を説明するためのブロック図である。図3を参照して、位相ずれ検出部80は、n個(nは2以上の整数)の異なる歪み補償量を持つ固定歪み補償部81、n個の位相ずれ検出回路82、および合成回路83を含む。各固定歪み補償部81には、HI成分、HQ成分、VI成分およびVQ成分の4つの成分が入力される。
【0020】
各位相ずれ検出回路82は、サンプリングクロック源70でのサンプリング位相ずれを検出するサンプリング位相ずれ検出回路であり、各固定歪み補償部81に対応して設けられている。具体的には、1段目の固定歪み補償部81の出力信号は、1段目の位相ずれ検出回路82に入力され、n段目の固定歪み補償部81の出力信号は、n段目の位相ずれ検出回路82に入力される。各位相ずれ検出回路82は、各固定歪み補償部81の出力信号に基づいて上記サンプリング位相ずれを検出し、その検出結果を合成回路83に入力する。
【0021】
各固定歪み補償部81は異なる補償量を持つ歪み補償回路であるため、受信光信号の波形歪み量に応じて、固定歪み補償回路出力での波形歪み量が異なる。すなわち、受信光信号の波形歪みに対して、逆の補償量を持つ固定歪み補償回路の出力信号は、波形歪みのない信号となる。また、受信光信号の波形歪みに対して逆の補償量とは異なる補償量の固定歪み補償回路の出力信号は、波形歪みの大きな信号となる。
【0022】
この結果、n個のサンプリング位相ずれ検出回路の少なくとも1つには波形歪みの小さい信号が入力され、受信信号の波形歪みが大きな場合においても、適切なサンプリング位相ずれ量の検出が可能となる。
【0023】
合成回路83は、入力される信号を平均化する回路である。合成回路83は、入力される信号に対して単純平均する回路であってもよく、入力される信号に対して重み付け平均する回路であってもよい。
【0024】
合成回路83は、平均化によって得られる位相ずれに関する情報を位相調整量決定部90に入力する。位相調整量決定部90は、位相ずれに関する情報に基づいて、演算等によってサンプリング位相調整量を決定する。位相調整回路50は、アナログ/デジタル変換部40a〜40dの出力デジタル信号のサンプリング位相を位相調整量決定部90に基づいて検出されたサンプリング位相に調整する。それにより、位相調整回路50は、サンプリングクロック源70のサンプリング位相と、受信光信号の変調周波数とのずれを減少させることができる。すなわち、位相調整回路50においては、サンプリング位相ずれを減少させることができる。
【0025】
次に、固定歪み補償の詳細について説明する。図4(a)は、FIR(Finite Impulse Response)方式の固定歪み補償部81の詳細を説明するためのブロック図である。図4(a)を参照して、一例として、FIR方式の固定歪み補償部81は、第1乗算部11、第2乗算部12、第3乗算部13、第1遅延部14、第2遅延部15、および加算部16を備える。第1乗算部11、第2乗算部12および第3乗算部13には、それぞれ、互いに異なる固定された乗算係数が設定されている。
【0026】
第1遅延部14は、固定歪み補償部81への入力信号に所定の遅延量を付加して出力する。第2遅延部15は、第1遅延部14が出力する信号に所定の遅延量を付加して出力する。第1乗算部11は、固定歪み補償部81への入力信号と第1乗算部11に設定された乗算係数との乗算結果を加算部16に入力する。第2乗算部12は、第1遅延部14が出力する信号と第2乗算部12に設定された乗算係数との乗算結果を加算部16に入力する。第3乗算部13は、第2遅延部15が出力する信号と第3乗算部13に設定された乗算係数との乗算結果を加算部16に入力する。
【0027】
加算部16は、第1乗算部11、第2乗算部12および第3乗算部13の乗算結果の総和を出力する。第1乗算部11、第2乗算部12および第3乗算部13に設定されている乗算係数が波長分散に対応した係数であれば、以上の工程を経ることによって、固定歪み補償部81は、入力される信号に対して波長分散を補償することができる。
【0028】
なお、第1乗算部11には乗算係数C1が固定で設定されており、第2乗算部12には乗算係数C2が固定で設定されており、第3乗算部13には乗算係数C3が固定で設定されているものとする。また、第1遅延部14および第2遅延部15には、サンプリングタイミングとして、遅延量Tsが設定されているものとする。
【0029】
この場合、波長分散に対応した係数は、例えば、下記式(1)のように表すことができる。なお、下記式(1)において、「f」は、搬送周波数(Carrier Frequency)を表し、「C」は光速度を表し、「D」は波長分散補償量を表し、「ω」は角周波数を示し、「j」は虚数単位を示す。
【0030】
【数1】
【0031】
図4(b)は、FFT(Fast Fourier Transform)を用いた、周波数領域での固定歪み補償部81の詳細を説明するためのブロック図である。図4(b)を参照して、一例として、FFT方式の固定歪み補償部81は、FFT部21、回転子乗算部22、およびIFFT部23を含む。
【0032】
FFT部21は、固定歪み補償部81への入力信号に高速フーリエ変換を施す。回転子乗算部22は、高速フーリエ変換を施された信号に対して、周波数領域で波長分散の伝達関数HCDに対応した回転子を乗算する。なお、伝達関数HCDは、下記式(2)で表される。IFFT部23は、回転子乗算部22の出力信号に逆フーリエ変換を施す。それにより、固定歪み補償部81は、入力される信号に対して波長分散を補償することができる。
【0033】
なお、下記式(2)において、「f」は、搬送周波数(Carrier Frequency)を表し、「C」は光速度を表し、「D」は波長分散補償量を表し、「ω」は角周波数を示し、「j」は虚数単位を示す。
【0034】
【数2】
【0035】
図5に固定歪み補償部81を、波長分散補償を行う回路とした場合の実施例を示す。図5(a)は、図1の位相ずれ検出部80の一例を説明するための図である。図5(b)〜図5(k)は、一例としてQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調の場合の、伝送路波長分散が0ps/nmと200ps/nmの場合の受信信号および固定歪み補償回路出力のコンステレーション図を表した図である。
【0036】
図5(a)の位相ずれ検出部80は、4つの固定歪み補償部81a〜81d、および、4つの位相ずれ検出回路82a〜82dを備えている。各固定歪み補償部81a〜81dに設定された波長分散補償量は、それぞれ、0ps/nm、100ps/nm、200ps/nm、300ps/nmである。
【0037】
図5(b)は、波長分散量が0ps/nmの受信信号の波形を表す。固定歪み補償部81aの波長分散補償量は0ps/nm(=受信信号の波長分散量)であるので、固定歪み補償部81aの出力波形は、図5(c)で説明されるように図5(b)と同様となる。固定歪み補償部81bの波長分散補償量は100ps/nm(≠受信信号の波長分散量)であるので、固定歪み補償部81bの出力波形は、図5(d)で説明されるように固定歪み補償部81aと比較して歪む。以下、図5(e)および図5(f)で説明されるように、受信信号の波長分散量と波長分散補償量との差が大きくなるにつれて、固定歪み補償部の出力波形が歪む。
【0038】
図5(g)は、波長分散が200ps/nmの受信信号の波形を表す。固定歪み補償部81aの波長分散補償量は0ps/nm(≠受信信号の波長分散量)であるので、固定歪み補償部81aの出力波形は、図5(h)で説明されるように歪む。図5(i)および図5(k)で説明されるように、固定歪み補償部81bおよび固定歪み補償部81dの波長分散補償量と受信信号の波長分散量との差が小さくなるにつれて、固定歪み補償部の出力波形の歪みが小さくなる。固定歪み補償部81cの波長分散補償量は受信信号の波長分散量と等しいので、固定歪み補償部81cの出力波形は、図5(j)で表されるように図5(g)と同様となる。
【0039】
このように、各固定歪み補償部における波長分散補償量が異なることから、固定歪み補償部81a〜81dのそれぞれから出力される信号の波形の歪みも異なる。なお、固定歪み補償部81a〜81dの種類および波長分散補償量の刻み幅は、位相ずれ検出回路82の分散耐力に応じて決定される。
【0040】
なお、高次偏波モード分散の影響により、H偏波とV偏波とで異なる波長分散歪みを生じる場合がある。この場合においては、H偏波用とV偏波用とで異なる波長分散補償量を適用してもよい。例えば、分散補償量を決定する回路は、H偏波のみを用いてもよい。また、分散補償量が0ps/nmの補償回路は省略されていてもよい。
【0041】
次に、波形歪み補償として、波長分散補償、偏波モード分散(DGD:Differential Group Delay)補償および偏波分離が必要な場合がある。図6は、この場合の固定歪み補償部81の例について説明するための図である。図6を参照して、各固定歪み補償部81は、4つのFIRフィルタ24a〜24dおよび2つの加算部25a,25bを含む。FIRフィルタ24a〜24dは、図4(a)で説明したFIR方式の固定歪み補償部と同様の構成を有する。
【0042】
偏光ビームスプリッタ等の偏波分離によって得られるHI成分およびHQ成分は、FIRフィルタ24aとFIRフィルタ24cとに入力される。偏波分離によって得られるVI成分およびVQ成分は、FIRフィルタ24bとFIRフィルタ24dとに入力される。FIRフィルタ24a〜24dは、歪み補償した結果を出力する。加算部25aは、FIRフィルタ24aの出力信号とFIRフィルタ24bの出力信号を足し合わせて出力する。加算部25bは、FIRフィルタ24cの出力信号とFIRフィルタ24dの出力信号を足し合わせて出力する。
【0043】
FIRフィルタ24a〜24dに含まれる乗算部の乗算係数を互いに異ならせることによって、分散補償を行うことができる。また、これらのFIRフィルタ24a〜24dに含まれる乗算部の乗算係数を最適化することによって、DGD補償と任意の角度での偏波分離が可能となる。
【0044】
次に、位相ずれ検出回路82の詳細について説明する。一例として、F. M. Gardner, Trans. Comm., 1986, pp. 423-429.に記載のGardner方式の位相ずれ検出回路について説明する。図7は、位相ずれ検出回路82のブロック図である。図7を参照して、位相ずれ検出回路82は、第1遅延部31a,31b、第2遅延部32a,32b、引算部33a,33b、乗算部34a,34b、加算部35、遅延部36、選択部37、およびカウンタ38を含む。
【0045】
第1遅延部31a,31bおよび遅延部36は、入力される信号の1シンボル分の遅延量を付加する遅延部である。第2遅延部32a,32bは、入力される信号の2シンボル分の遅延量を付加する遅延部である。カウンタ38は、1ビットカウンタであり、「0」と「1」とを順に生成する。選択部37は、カウンタ38からの信号に応じて出力信号を選択する。本回路は、入力されたIとQの信号が、1シンボル時間で2サンプリングされていることを想定した回路の例である。
【0046】
I成分は、引算部33aのマイナス側に入力されるとともに、第1遅延部31aおよび第2遅延部32aに入力される。第1遅延部31aは、I成分に1シンボル分の遅延量を付加して乗算部34aに入力する。第2遅延部32aは、I成分に2シンボル分の遅延量を付加して引算部33aのプラス側に入力する。引算部33aは、第2遅延部32aから入力された信号からI成分を差し引いて乗算部34aに入力する。乗算部34aは、第1遅延部31aから入力された信号と引算部33aから入力された信号との乗算結果を加算部35に入力する。
【0047】
Q成分は、引算部33bのマイナス側に入力されるとともに、第1遅延部31bおよび第2遅延部32bに入力される。第1遅延部31bは、Q成分に1シンボル分の遅延量を付加して乗算部34bに入力する。第2遅延部32bは、I成分に2シンボル分の遅延量を付加して引算部33bのプラス側に入力する。引算部33bは、第2遅延部32bから入力された信号からI成分を差し引いて乗算部34bに入力する。乗算部34bは、第1遅延部31bから入力された信号と引算部33bから入力された信号との乗算結果を加算部35に入力する。
【0048】
加算部35は、乗算部34aの乗算結果と乗算部34bの乗算結果とを足し合わせて、遅延部36および選択部37に入力する。遅延部36は、加算部35から入力された信号に1シンボル分の遅延量を付加して選択部37に入力する。選択部37は、カウンタ38から入力される信号が「1」の場合のときのみ、加算部35からの出力値か、1シンボル遅延部36の出力値のどちらか一方の信号を出力する。選択部37の出力信号は、受信信号の変調周波数とサンプリングクロック周波数の位相ずれ量に対応した値となり、位相ずれが小さくなるに従い、出力値は0に近づく。
【0049】
図8は、一例として、FIR方式の位相調整回路50の詳細を説明するためのブロック図である。図8を参照して、位相調整回路50は、一例として、第1乗算部51、第2乗算部52、第3乗算部53、第1遅延部54、第2遅延部55、加算部56、および係数演算部57を備える。第1乗算部51、第2乗算部52および第3乗算部53には、係数演算部57によって与えられた乗算係数が設定されている。
【0050】
第1遅延部54は、位相調整回路50への入力信号に所定の遅延量を付加して出力する。第2遅延部55は、第1遅延部54が出力する信号に所定の遅延量を付加して出力する。第1乗算部51は、位相調整回路50への入力信号と第1乗算部51に設定された乗算係数との乗算結果を加算部56に入力する。第2乗算部52は、第1遅延部54が出力する信号と第2乗算部52に設定された乗算係数との乗算結果を加算部56に入力する。第3乗算部53は、第2遅延部55が出力する信号と第3乗算部53に設定された乗算係数との乗算結果を加算部56に入力する。加算部56は、第1乗算部51、第2乗算部52および第3乗算部53の乗算結果の総和を加算して出力する。
【0051】
係数演算部57は、位相調整回路50での位相調整量に対応して、第1乗算部51、第2乗算部52および第3乗算部53の乗算係数を演算で求める。求められた乗算係数は、第1乗算部51、第2乗算部52および第3乗算部53に設定される。それにより、位相調整回路50は、入力される信号に位相調整量を付加することができる。乗算係数は線形補間や2次関数での補間、もしくはその他高次の補間式を用いて演算により求めることができる。
【0052】
本実施例によれば、互いに異なる歪み補償量が設定された複数の固定歪み補償部81を用いることから、位相ずれ検出回路の波形歪みに弱いという課題が解消される。したがって、受信信号光の波形歪みに対して強い、サンプリング位相ずれ検出を実現することができ、サンプリング位相ずれを減少させることができる。
【0053】
ところで、位相ずれ検出回路に入力される信号の波形歪みが小さいほど、位相ずれ検出回路82の検出感度が高くなる。一方で、波形歪みが大きくなるほど、位相ずれ検出回路82の検出感度が低くなる。したがって、固定歪み補償部81に入力される信号の歪み量と固定歪み補償部81での補償量が異なると、位相ずれ検出回路82の検出感度が小さくなる。そこで、位相ずれ検出回路82の検出感度に基づいて位相ずれを検出する場合について説明する。
【0054】
図9(a)は、位相ずれ検出回路82を用いて感度を検出する感度検出部110について説明するためのブロック図である。図9(a)を参照して、感度検出部110は、固定位相調整回路91、第1位相ずれ検出回路82e,第2位相ずれ検出回路82f、振幅モニタ92、および引算部93を備える。
【0055】
固定位相調整回路91は、感度検出部110に入力される信号に対して固定された位相量Xを付加して出力する。第1位相ずれ検出回路82eおよび第2位相ずれ検出回路82fは、上述した位相ずれ検出回路82と同様の構成を有する。第1位相ずれ検出回路82eには、感度検出部110に入力される信号が入力される。第2位相ずれ検出回路82fには、固定位相調整回路91からの信号が入力される。第1位相ずれ検出回路82eの出力信号は、振幅モニタ92に入力されるとともに、引算部93のプラス側に入力される。第2位相ずれ検出回路82fの出力信号は、引算部93のマイナス側に入力される。
【0056】
振幅モニタ92は、第1位相ずれ検出回路82eが出力する信号の振幅を検出し、その振幅値を出力する。引算部93は、第1位相ずれ検出回路82eの出力信号から第2位相ずれ検出回路82fの出力信号を差し引いて、出力する。
【0057】
図9(b)は、感度検出部110の出力を説明するための図である。図9(b)において、横軸は位相ずれを示し、縦軸は位相ずれ検出回路の出力強度を示す。出力強度は、位相ずれ量に対応して変化し、位相ずれ量がゼロの場合に、出力強度もゼロとなる。
【0058】
ここで、感度検出部110に入力される信号の位相ずれがゼロであるとする。この場合、図9(b)を参照して、第1位相ずれ検出回路82eの出力強度も、ゼロとなる。固定位相調整回路91において固定の位相量Xが付加されることから、第2位相ずれ検出回路82fの出力強度は、図9(b)を参照して、プラスの値となる。したがって、この場合の出力強度差または傾きが、感度として検出される。
【0059】
なお、サンプリング位相が受信信号の変調周波数と同期していない場合、固定位相調整回路91において固定の位相量Xが付加されても、図9(b)を参照して、第1位相ずれ検出回路82eの出力強度と第2位相ずれ検出回路82fの出力強度との差がゼロになる場合がある。この場合、感度検出部110に入力される信号に位相ずれが生じていても、検出される感度が小さくなる。そこで、感度を検出するために、振幅モニタ92の検出結果を用いる。
【0060】
図9(c)は、振幅モニタ92の検出結果を説明するための図である。図9(c)において、横軸は経過時間を示し、縦軸は位相ずれ検出回路の検出感度を示す。サンプリングクロック源70のサンプリングクロックと受信信号の変調周波数との位相ずれが小さい場合には、感度検出部110の検出感度は、ほぼ一定値となる。一方で、サンプリングクロック源70のサンプリングクロックが受信信号の変調周波数と同期していない場合には、感度検出部110の検出感度は、周期的に変動する。振幅モニタ92は、この場合の振幅値を検出感度として検出することができる。
【0061】
例えば、図3の合成回路83は、所定値以下の感度を検出する位相ずれ検出回路82の出力を除外して、その他の位相ずれ検出回路82の出力を平均化してもよい。この場合、大きな波形歪みによる位相ずれ検出感度の低下による雑音等の影響を回避することができ、位相ずれ検出精度が向上する。または、図3の位相調整量決定部90は、最大の感度を検出する位相ずれ検出回路82の出力に基づいて、サンプリング位相ずれを検出する方法でもよい。
【実施例2】
【0062】
図10は、実施例2に係る位相ずれ検出部80aの構成を説明するためのブロック図である。図10を参照して、位相ずれ検出部80aにおいては、n個の固定歪み補償部81の代わりに、n個の可変歪み補償部84が設けられている。また、位相ずれ検出部80aにおいては、m個(mは2以上の整数)の固定歪み補償部86、m個の感度検出部87、最大感度検出部88が設けられている。その他の構成については、同一符号を付すことによって説明を省略する。本実施例においては、最大感度検出部88が補償量検出部として機能し、可変歪み補償部84が補償量補正手段として機能する。
【0063】
各可変歪み補償部84には、HI成分、HQ成分、VI成分およびVQ成分が入力される。いずれかの可変歪み補償部84に入力される上記信号は、各固定歪み補償部86に入力される。固定歪み補償部86は、図3の固定歪み補償部81と同様の構成を有する。
【0064】
各感度検出部87は、固定歪み補償部86から出力される信号から感度を検出する。最大感度検出部88は、各感度検出部87が検出する感度のうち最大の感度を検出することによって、その最大の感度に対応する歪み補償量を検出し、各可変歪み補償部84に出力する。各可変歪み補償部84は、歪み補償量を、最大感度検出部88から入力された歪み補償量と同じになるように更新する。各可変歪み補償部84は、更新された歪み補償量に基づいて、波形歪み補償する。各位相ずれ検出回路82は、各可変歪み補償部84が出力する信号の位相ずれを検出して、合成回路83に入力する。合成回路83は、入力される信号を平均化する。合成回路83は、入力される信号に対して単純平均する回路であってもよく、入力される信号に対して重み付け平均する回路であってもよい。
【0065】
本実施例によれば、フィードフォワード制御により可変歪み補償部84の補償量を設定することができることから、受信光信号の波形歪みの変動に高速に追従することができる。なお、本実施例においては、各感度検出部87が検出する感度のうち最大の感度を検出しているが、それに限られない。例えば、所定値よりも大きいいずれかの感度を検出してもよい。
【0066】
(変形例)
なお、位相ずれ検出部80aは、位相ずれ検出部80aにおいては、並列化部85が設けられていてもよい。図11は、並列化部85が設けられている例を説明するための図である。図11においては、並列化部85が位相ずれ検出部80a内に配置されているが、アナログ/デジタル変換部40a〜40dの直後に配置されていてもよい。この場合、位相調整回路50および検波回路60も並列化された信号を用いて処理を行う。
【0067】
並列化部85は、HI成分、HQ成分、VI成分およびVQ成分の4つの成分を、それぞれ時分割等によって並列化する。図11の例では、並列化部85は、上記各成分を時分割によってn個に並列化し、各並列化信号をそれぞれ各可変歪み補償部84に入力する。いずれかの並列化信号は、各固定歪み補償部86に入力される。本変形例によれば、信号の並列化によって増大する歪み補償回路の回路規模を削減することができる。
【実施例3】
【0068】
図12は、実施例3に係る光受信器100aの構成を説明するためのブロック図である。図12を参照して、光受信器100aが図1の光受信器100と異なる点は、位相調整量決定部90のフィードバック値がサンプリングクロック源70に入力される点である。サンプリングクロック源70は、位相調整量決定部90のフィードバック値に応じて、サンプリングクロック周波数を修正する。それにより、アナログ/デジタル変換部40a〜40dのサンプリングクロックと、受信信号の変調周波数との位相ずれが低減される。本実施例では、位相調整回路50はサンプリングクロック周波数制御により同期しきれなかった、高速な受信信号の変調周波数の位相変動を補償する構成となっているが、位相調整回路50への位相調整量決定部90のフィードバックを行うことなく、サンプリングクロック源70への位相調整量決定部90のフィードバックのみを行ってもよい。
【実施例4】
【0069】
図13は、実施例4に係る光受信器100bの構成を説明するためのブロック図である。図13を参照して、光受信器100bが図1の光受信器100と異なる点は、アナログ/デジタル変換部40a〜40dと位相調整回路50との間に半固定型デジタルフィルタ120が設けられている点、および、位相調整回路50と検波回路60との間に適応等化型デジタルフィルタ130が設けられている点である。
【0070】
半固定型デジタルフィルタ120は、時間変動が少ない伝送路波長分散を補償することができる。それにより、大きな波長分散に起因する歪みを受信可能となる。また、適応等化型デジタルフィルタ130は、半固定型デジタルフィルタ120での残留波長分散、時間変動する波形歪み(偏波モード分散、偏波変動等)を補償する。適応等化型デジタルフィルタ130または位相ずれ検出部80で扱う波長分散は、半固定型デジタルフィルタの残留波長分散となるので、回路規模を削減することができる。
【0071】
なお、実施例2の位相ずれ検出部80aの可変歪み補償部84は、位相ずれ検出部80aの最適ひずみ補償値を半固定型デジタルフィルタ120に設定することによって共用することができる。
【0072】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 90度ハイブリッド回路
20 局発光源
30 光電変換回路
40 アナログ/デジタル変換部
50 位相調整回路
60 検波回路
70 サンプリングクロック源
80 位相ずれ検出部
90 位相調整量決定部
100 光受信器
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信器および光受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットトラフィックの増大により、幹線系光通信システムの大容量化が望まれている。1波長あたりのビットレートを大きくすると、光信号対雑音比(OSNR)耐力が低下し、伝送路の波長分散、偏波モード分散もしくは非線形効果等に起因する波形歪みによる信号品質の劣化が増大する。そのため、OSNR耐力および伝送路の波形歪耐力の改善が期待されるデジタルコヒーレント受信方式が注目されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
デジタルコヒーレント受信方式は、光強度と位相情報とをコヒーレント受信方式により抽出し、抽出された強度と位相情報とをデジタル化することによって、デジタル信号処理回路にて復調する方式である。デジタルコヒーレント受信方式は、コヒーレント受信方式によるOSNR耐力の改善と、デジタル信号処理回路による波形歪補償とを行うことができるため、ビットレートの高い光伝送においても良好な特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】D. Ly-Gagnon, IEEE JLT, vol.24, pp. 12-21, 2006
【非特許文献2】Darko Zibar et al, ECOC 2009, 7.3.4
【非特許文献3】P. M. Krummrich et. al, OFC 2004, FI3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デジタルコヒーレント受信方式は、デジタル信号処理による高い波形歪み補償性能を有している一方で、サンプリング位相ずれ検出回路が波長分散、偏波モード分散等に起因する波形歪みに弱いという課題を有している(例えば、非特許文献2参照)。特に、伝送路の偏波モード分散は、伝送路の偏波状態の変化により、高速に変するため(例えば、非特許文献3参照)、運用中の偏波モード分散の変化に耐えうる、波形歪みに強いサンプリング位相ずれ検出方式が必要とされている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、受信信号光の波形歪みに強い、サンプリング位相ずれ検出を実現し、サンプリング位相ずれを減少させる光受信器および光受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、明細書開示の光受信器は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換部と、変換部の出力信号に対して互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する複数の固定歪み補償部と、複数の歪み補償部のそれぞれの出力信号からサンプリング位相ずれを検出する複数の位相ずれ検出回路と、複数の位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定部と、位相調整量決定部の決定結果に応じてサンプリング周波数と受信信号光の位相差を減少させる位相調整部と、を備えるものである。
【0008】
上記課題を解決するために、明細書開示の他の光受信器は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換部と、変換部の出力信号に対して互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する複数の固定歪み補償部と、複数の固定歪み補償部のそれぞれの出力信号の位相ずれ検出感度に基づいて歪み補償量を検出する補償量検出部と、補償量検出部が検出する歪み補償量で歪み補償を行う歪み補償部と、歪み補償部の出力信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出回路と、位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定部と、位相調整量決定部の決定結果に応じてサンプリング周波数と受信信号光の位相差を減少させる位相調整部と、を備えるものである。
【0009】
上記課題を解決するために、明細書開示の他の光受信方法は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリング周波数でデジタル化する変換ステップと、変換ステップで得られる信号に対して互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する固定歪み補償ステップと、固定歪み補償ステップで得られるそれぞれの信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出ステップと、位相ずれ検出ステップで得られる出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定ステップと、位相調整決定ステップにおける決定結果に応じてサンプリング周波数と受信信号光の位相差を減少させる位相調整ステップと、を含むものである。
【0010】
上記課題を解決するために、明細書開示の他の光受信方法は、受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換ステップと、変換ステップで得られる信号に対して互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する固定歪み補償ステップと、固定歪み補償ステップで得られる信号の位相ずれ検出感度に基づいて歪み補償量を検出する補償量検出ステップと、補償量検出ステップにおいて検出される歪み補償量で歪み補償を行う歪み補償ステップと、歪み補償ステップで得られる信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出ステップと、位相ずれ検出ステップで得られる出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定ステップと、位相調整量決定ステップにおける決定結果に応じてサンプリング周波数と受信信号光の位相差を減少させる位相調整ステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
明細書開示の光受信器および光受信方法によれば、受信信号光の波形歪みに強い、サンプリング位相ずれ検出を実現し、サンプリング位相ずれを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係る光受信器の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】光受信器の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】位相ずれ検出部の詳細を説明するためのブロック図である。
【図4】固定歪み補償の詳細について説明するための図である。
【図5】波長分散補償を視覚的に表した図である。
【図6】固定歪み補償部の例について説明するための図である。
【図7】位相ずれ検出回路のブロック図である。
【図8】FIR方式の位相調整回路の詳細を説明するためのブロック図である。
【図9】位相ずれ検出回路を用いて感度を検出する感度検出部について説明するための図である。
【図10】実施例2に係る位相ずれ検出部の構成を説明するためのブロック図である。
【図11】実施例2の変形例を説明するためのブロック図である。
【図12】実施例3に係る光受信器の構成を説明するためのブロック図である。
【図13】実施例4に係る光受信器の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る光受信器100の構成を説明するためのブロック図である。図1を参照して、光受信器100は、90度ハイブリッド回路10、局発光源20、光電変換回路30a〜30d、アナログ/デジタル変換部40a〜40d、位相調整回路50、検波回路60、サンプリングクロック源70、位相ずれ検出部80、および位相調整量決定部90を含む。
【0015】
図2は、光受信器100の動作の一例を説明するためのフローチャートである。以下、図1および図2を参照しつつ、光受信器100の動作の概略について説明する。まず、光受信器100に入力された受信光信号と局発光源20から出力された局部発振光信号とが、90度ハイブリッド回路10に入力される。
【0016】
90度ハイブリッド回路10は、受信光信号および局部発振光信号を直交する2つの偏波成分毎に混合し、偏波成分(H偏波、V偏波)の実部(I成分)と虚部(Q成分)の光信号を出力する(ステップS1)。
【0017】
光電変換回路30a〜30dは、直交する2つの偏波のそれぞれI成分およびQ成分からなる光に対して、それぞれ光電変換を行う(ステップS2)。本実施例においては、光電変換回路30aは、HI成分に対して光電変換を行う。光電変換回路30bは、HQ成分に対して光電変換を行う。光電変換回路30cは、VI成分に対して光電変換を行う。光電変換回路30dは、VQ成分に対して光電変換を行う。
【0018】
アナログ/デジタル変換部40a〜40dは、それぞれ、サンプリングクロック源からの入力信号のタイミング(サンプリング周波数)に合わせて、光電変換回路30a〜30dの出力電気信号をデジタル信号に変換し、位相調整回路50に入力する(ステップS3)。位相調整回路50は、アナログ/デジタル変換部40a〜40dが出力するデジタル信号のサンプリング位相を調整して出力する。位相ずれ検出部80は、位相調整回路50の出力信号を用いて、受信光信号の変調周波数とサンプリング周波数との位相ずれ(位相誤差)を検出する(ステップS4)。位相調整量決定部90は、ステップS4で求めた位相ずれ量に基づいて、サンプリング位相調整量を決定する(ステップS5)。位相調整回路50は、ステップS5で求めたサンプリング位相調整量に基づき、サンプリング位相を調整し、得られた信号を検波回路60に入力する(ステップS6)。検波回路60は、波形等化部、復号部、誤り訂正部等を含むデジタルコヒーレント検波回路であり、入力されたデジタル信号を復調する(ステップS7)。
【0019】
以下、各構成の詳細について説明する。図3は、位相ずれ検出部80の詳細を説明するためのブロック図である。図3を参照して、位相ずれ検出部80は、n個(nは2以上の整数)の異なる歪み補償量を持つ固定歪み補償部81、n個の位相ずれ検出回路82、および合成回路83を含む。各固定歪み補償部81には、HI成分、HQ成分、VI成分およびVQ成分の4つの成分が入力される。
【0020】
各位相ずれ検出回路82は、サンプリングクロック源70でのサンプリング位相ずれを検出するサンプリング位相ずれ検出回路であり、各固定歪み補償部81に対応して設けられている。具体的には、1段目の固定歪み補償部81の出力信号は、1段目の位相ずれ検出回路82に入力され、n段目の固定歪み補償部81の出力信号は、n段目の位相ずれ検出回路82に入力される。各位相ずれ検出回路82は、各固定歪み補償部81の出力信号に基づいて上記サンプリング位相ずれを検出し、その検出結果を合成回路83に入力する。
【0021】
各固定歪み補償部81は異なる補償量を持つ歪み補償回路であるため、受信光信号の波形歪み量に応じて、固定歪み補償回路出力での波形歪み量が異なる。すなわち、受信光信号の波形歪みに対して、逆の補償量を持つ固定歪み補償回路の出力信号は、波形歪みのない信号となる。また、受信光信号の波形歪みに対して逆の補償量とは異なる補償量の固定歪み補償回路の出力信号は、波形歪みの大きな信号となる。
【0022】
この結果、n個のサンプリング位相ずれ検出回路の少なくとも1つには波形歪みの小さい信号が入力され、受信信号の波形歪みが大きな場合においても、適切なサンプリング位相ずれ量の検出が可能となる。
【0023】
合成回路83は、入力される信号を平均化する回路である。合成回路83は、入力される信号に対して単純平均する回路であってもよく、入力される信号に対して重み付け平均する回路であってもよい。
【0024】
合成回路83は、平均化によって得られる位相ずれに関する情報を位相調整量決定部90に入力する。位相調整量決定部90は、位相ずれに関する情報に基づいて、演算等によってサンプリング位相調整量を決定する。位相調整回路50は、アナログ/デジタル変換部40a〜40dの出力デジタル信号のサンプリング位相を位相調整量決定部90に基づいて検出されたサンプリング位相に調整する。それにより、位相調整回路50は、サンプリングクロック源70のサンプリング位相と、受信光信号の変調周波数とのずれを減少させることができる。すなわち、位相調整回路50においては、サンプリング位相ずれを減少させることができる。
【0025】
次に、固定歪み補償の詳細について説明する。図4(a)は、FIR(Finite Impulse Response)方式の固定歪み補償部81の詳細を説明するためのブロック図である。図4(a)を参照して、一例として、FIR方式の固定歪み補償部81は、第1乗算部11、第2乗算部12、第3乗算部13、第1遅延部14、第2遅延部15、および加算部16を備える。第1乗算部11、第2乗算部12および第3乗算部13には、それぞれ、互いに異なる固定された乗算係数が設定されている。
【0026】
第1遅延部14は、固定歪み補償部81への入力信号に所定の遅延量を付加して出力する。第2遅延部15は、第1遅延部14が出力する信号に所定の遅延量を付加して出力する。第1乗算部11は、固定歪み補償部81への入力信号と第1乗算部11に設定された乗算係数との乗算結果を加算部16に入力する。第2乗算部12は、第1遅延部14が出力する信号と第2乗算部12に設定された乗算係数との乗算結果を加算部16に入力する。第3乗算部13は、第2遅延部15が出力する信号と第3乗算部13に設定された乗算係数との乗算結果を加算部16に入力する。
【0027】
加算部16は、第1乗算部11、第2乗算部12および第3乗算部13の乗算結果の総和を出力する。第1乗算部11、第2乗算部12および第3乗算部13に設定されている乗算係数が波長分散に対応した係数であれば、以上の工程を経ることによって、固定歪み補償部81は、入力される信号に対して波長分散を補償することができる。
【0028】
なお、第1乗算部11には乗算係数C1が固定で設定されており、第2乗算部12には乗算係数C2が固定で設定されており、第3乗算部13には乗算係数C3が固定で設定されているものとする。また、第1遅延部14および第2遅延部15には、サンプリングタイミングとして、遅延量Tsが設定されているものとする。
【0029】
この場合、波長分散に対応した係数は、例えば、下記式(1)のように表すことができる。なお、下記式(1)において、「f」は、搬送周波数(Carrier Frequency)を表し、「C」は光速度を表し、「D」は波長分散補償量を表し、「ω」は角周波数を示し、「j」は虚数単位を示す。
【0030】
【数1】
【0031】
図4(b)は、FFT(Fast Fourier Transform)を用いた、周波数領域での固定歪み補償部81の詳細を説明するためのブロック図である。図4(b)を参照して、一例として、FFT方式の固定歪み補償部81は、FFT部21、回転子乗算部22、およびIFFT部23を含む。
【0032】
FFT部21は、固定歪み補償部81への入力信号に高速フーリエ変換を施す。回転子乗算部22は、高速フーリエ変換を施された信号に対して、周波数領域で波長分散の伝達関数HCDに対応した回転子を乗算する。なお、伝達関数HCDは、下記式(2)で表される。IFFT部23は、回転子乗算部22の出力信号に逆フーリエ変換を施す。それにより、固定歪み補償部81は、入力される信号に対して波長分散を補償することができる。
【0033】
なお、下記式(2)において、「f」は、搬送周波数(Carrier Frequency)を表し、「C」は光速度を表し、「D」は波長分散補償量を表し、「ω」は角周波数を示し、「j」は虚数単位を示す。
【0034】
【数2】
【0035】
図5に固定歪み補償部81を、波長分散補償を行う回路とした場合の実施例を示す。図5(a)は、図1の位相ずれ検出部80の一例を説明するための図である。図5(b)〜図5(k)は、一例としてQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調の場合の、伝送路波長分散が0ps/nmと200ps/nmの場合の受信信号および固定歪み補償回路出力のコンステレーション図を表した図である。
【0036】
図5(a)の位相ずれ検出部80は、4つの固定歪み補償部81a〜81d、および、4つの位相ずれ検出回路82a〜82dを備えている。各固定歪み補償部81a〜81dに設定された波長分散補償量は、それぞれ、0ps/nm、100ps/nm、200ps/nm、300ps/nmである。
【0037】
図5(b)は、波長分散量が0ps/nmの受信信号の波形を表す。固定歪み補償部81aの波長分散補償量は0ps/nm(=受信信号の波長分散量)であるので、固定歪み補償部81aの出力波形は、図5(c)で説明されるように図5(b)と同様となる。固定歪み補償部81bの波長分散補償量は100ps/nm(≠受信信号の波長分散量)であるので、固定歪み補償部81bの出力波形は、図5(d)で説明されるように固定歪み補償部81aと比較して歪む。以下、図5(e)および図5(f)で説明されるように、受信信号の波長分散量と波長分散補償量との差が大きくなるにつれて、固定歪み補償部の出力波形が歪む。
【0038】
図5(g)は、波長分散が200ps/nmの受信信号の波形を表す。固定歪み補償部81aの波長分散補償量は0ps/nm(≠受信信号の波長分散量)であるので、固定歪み補償部81aの出力波形は、図5(h)で説明されるように歪む。図5(i)および図5(k)で説明されるように、固定歪み補償部81bおよび固定歪み補償部81dの波長分散補償量と受信信号の波長分散量との差が小さくなるにつれて、固定歪み補償部の出力波形の歪みが小さくなる。固定歪み補償部81cの波長分散補償量は受信信号の波長分散量と等しいので、固定歪み補償部81cの出力波形は、図5(j)で表されるように図5(g)と同様となる。
【0039】
このように、各固定歪み補償部における波長分散補償量が異なることから、固定歪み補償部81a〜81dのそれぞれから出力される信号の波形の歪みも異なる。なお、固定歪み補償部81a〜81dの種類および波長分散補償量の刻み幅は、位相ずれ検出回路82の分散耐力に応じて決定される。
【0040】
なお、高次偏波モード分散の影響により、H偏波とV偏波とで異なる波長分散歪みを生じる場合がある。この場合においては、H偏波用とV偏波用とで異なる波長分散補償量を適用してもよい。例えば、分散補償量を決定する回路は、H偏波のみを用いてもよい。また、分散補償量が0ps/nmの補償回路は省略されていてもよい。
【0041】
次に、波形歪み補償として、波長分散補償、偏波モード分散(DGD:Differential Group Delay)補償および偏波分離が必要な場合がある。図6は、この場合の固定歪み補償部81の例について説明するための図である。図6を参照して、各固定歪み補償部81は、4つのFIRフィルタ24a〜24dおよび2つの加算部25a,25bを含む。FIRフィルタ24a〜24dは、図4(a)で説明したFIR方式の固定歪み補償部と同様の構成を有する。
【0042】
偏光ビームスプリッタ等の偏波分離によって得られるHI成分およびHQ成分は、FIRフィルタ24aとFIRフィルタ24cとに入力される。偏波分離によって得られるVI成分およびVQ成分は、FIRフィルタ24bとFIRフィルタ24dとに入力される。FIRフィルタ24a〜24dは、歪み補償した結果を出力する。加算部25aは、FIRフィルタ24aの出力信号とFIRフィルタ24bの出力信号を足し合わせて出力する。加算部25bは、FIRフィルタ24cの出力信号とFIRフィルタ24dの出力信号を足し合わせて出力する。
【0043】
FIRフィルタ24a〜24dに含まれる乗算部の乗算係数を互いに異ならせることによって、分散補償を行うことができる。また、これらのFIRフィルタ24a〜24dに含まれる乗算部の乗算係数を最適化することによって、DGD補償と任意の角度での偏波分離が可能となる。
【0044】
次に、位相ずれ検出回路82の詳細について説明する。一例として、F. M. Gardner, Trans. Comm., 1986, pp. 423-429.に記載のGardner方式の位相ずれ検出回路について説明する。図7は、位相ずれ検出回路82のブロック図である。図7を参照して、位相ずれ検出回路82は、第1遅延部31a,31b、第2遅延部32a,32b、引算部33a,33b、乗算部34a,34b、加算部35、遅延部36、選択部37、およびカウンタ38を含む。
【0045】
第1遅延部31a,31bおよび遅延部36は、入力される信号の1シンボル分の遅延量を付加する遅延部である。第2遅延部32a,32bは、入力される信号の2シンボル分の遅延量を付加する遅延部である。カウンタ38は、1ビットカウンタであり、「0」と「1」とを順に生成する。選択部37は、カウンタ38からの信号に応じて出力信号を選択する。本回路は、入力されたIとQの信号が、1シンボル時間で2サンプリングされていることを想定した回路の例である。
【0046】
I成分は、引算部33aのマイナス側に入力されるとともに、第1遅延部31aおよび第2遅延部32aに入力される。第1遅延部31aは、I成分に1シンボル分の遅延量を付加して乗算部34aに入力する。第2遅延部32aは、I成分に2シンボル分の遅延量を付加して引算部33aのプラス側に入力する。引算部33aは、第2遅延部32aから入力された信号からI成分を差し引いて乗算部34aに入力する。乗算部34aは、第1遅延部31aから入力された信号と引算部33aから入力された信号との乗算結果を加算部35に入力する。
【0047】
Q成分は、引算部33bのマイナス側に入力されるとともに、第1遅延部31bおよび第2遅延部32bに入力される。第1遅延部31bは、Q成分に1シンボル分の遅延量を付加して乗算部34bに入力する。第2遅延部32bは、I成分に2シンボル分の遅延量を付加して引算部33bのプラス側に入力する。引算部33bは、第2遅延部32bから入力された信号からI成分を差し引いて乗算部34bに入力する。乗算部34bは、第1遅延部31bから入力された信号と引算部33bから入力された信号との乗算結果を加算部35に入力する。
【0048】
加算部35は、乗算部34aの乗算結果と乗算部34bの乗算結果とを足し合わせて、遅延部36および選択部37に入力する。遅延部36は、加算部35から入力された信号に1シンボル分の遅延量を付加して選択部37に入力する。選択部37は、カウンタ38から入力される信号が「1」の場合のときのみ、加算部35からの出力値か、1シンボル遅延部36の出力値のどちらか一方の信号を出力する。選択部37の出力信号は、受信信号の変調周波数とサンプリングクロック周波数の位相ずれ量に対応した値となり、位相ずれが小さくなるに従い、出力値は0に近づく。
【0049】
図8は、一例として、FIR方式の位相調整回路50の詳細を説明するためのブロック図である。図8を参照して、位相調整回路50は、一例として、第1乗算部51、第2乗算部52、第3乗算部53、第1遅延部54、第2遅延部55、加算部56、および係数演算部57を備える。第1乗算部51、第2乗算部52および第3乗算部53には、係数演算部57によって与えられた乗算係数が設定されている。
【0050】
第1遅延部54は、位相調整回路50への入力信号に所定の遅延量を付加して出力する。第2遅延部55は、第1遅延部54が出力する信号に所定の遅延量を付加して出力する。第1乗算部51は、位相調整回路50への入力信号と第1乗算部51に設定された乗算係数との乗算結果を加算部56に入力する。第2乗算部52は、第1遅延部54が出力する信号と第2乗算部52に設定された乗算係数との乗算結果を加算部56に入力する。第3乗算部53は、第2遅延部55が出力する信号と第3乗算部53に設定された乗算係数との乗算結果を加算部56に入力する。加算部56は、第1乗算部51、第2乗算部52および第3乗算部53の乗算結果の総和を加算して出力する。
【0051】
係数演算部57は、位相調整回路50での位相調整量に対応して、第1乗算部51、第2乗算部52および第3乗算部53の乗算係数を演算で求める。求められた乗算係数は、第1乗算部51、第2乗算部52および第3乗算部53に設定される。それにより、位相調整回路50は、入力される信号に位相調整量を付加することができる。乗算係数は線形補間や2次関数での補間、もしくはその他高次の補間式を用いて演算により求めることができる。
【0052】
本実施例によれば、互いに異なる歪み補償量が設定された複数の固定歪み補償部81を用いることから、位相ずれ検出回路の波形歪みに弱いという課題が解消される。したがって、受信信号光の波形歪みに対して強い、サンプリング位相ずれ検出を実現することができ、サンプリング位相ずれを減少させることができる。
【0053】
ところで、位相ずれ検出回路に入力される信号の波形歪みが小さいほど、位相ずれ検出回路82の検出感度が高くなる。一方で、波形歪みが大きくなるほど、位相ずれ検出回路82の検出感度が低くなる。したがって、固定歪み補償部81に入力される信号の歪み量と固定歪み補償部81での補償量が異なると、位相ずれ検出回路82の検出感度が小さくなる。そこで、位相ずれ検出回路82の検出感度に基づいて位相ずれを検出する場合について説明する。
【0054】
図9(a)は、位相ずれ検出回路82を用いて感度を検出する感度検出部110について説明するためのブロック図である。図9(a)を参照して、感度検出部110は、固定位相調整回路91、第1位相ずれ検出回路82e,第2位相ずれ検出回路82f、振幅モニタ92、および引算部93を備える。
【0055】
固定位相調整回路91は、感度検出部110に入力される信号に対して固定された位相量Xを付加して出力する。第1位相ずれ検出回路82eおよび第2位相ずれ検出回路82fは、上述した位相ずれ検出回路82と同様の構成を有する。第1位相ずれ検出回路82eには、感度検出部110に入力される信号が入力される。第2位相ずれ検出回路82fには、固定位相調整回路91からの信号が入力される。第1位相ずれ検出回路82eの出力信号は、振幅モニタ92に入力されるとともに、引算部93のプラス側に入力される。第2位相ずれ検出回路82fの出力信号は、引算部93のマイナス側に入力される。
【0056】
振幅モニタ92は、第1位相ずれ検出回路82eが出力する信号の振幅を検出し、その振幅値を出力する。引算部93は、第1位相ずれ検出回路82eの出力信号から第2位相ずれ検出回路82fの出力信号を差し引いて、出力する。
【0057】
図9(b)は、感度検出部110の出力を説明するための図である。図9(b)において、横軸は位相ずれを示し、縦軸は位相ずれ検出回路の出力強度を示す。出力強度は、位相ずれ量に対応して変化し、位相ずれ量がゼロの場合に、出力強度もゼロとなる。
【0058】
ここで、感度検出部110に入力される信号の位相ずれがゼロであるとする。この場合、図9(b)を参照して、第1位相ずれ検出回路82eの出力強度も、ゼロとなる。固定位相調整回路91において固定の位相量Xが付加されることから、第2位相ずれ検出回路82fの出力強度は、図9(b)を参照して、プラスの値となる。したがって、この場合の出力強度差または傾きが、感度として検出される。
【0059】
なお、サンプリング位相が受信信号の変調周波数と同期していない場合、固定位相調整回路91において固定の位相量Xが付加されても、図9(b)を参照して、第1位相ずれ検出回路82eの出力強度と第2位相ずれ検出回路82fの出力強度との差がゼロになる場合がある。この場合、感度検出部110に入力される信号に位相ずれが生じていても、検出される感度が小さくなる。そこで、感度を検出するために、振幅モニタ92の検出結果を用いる。
【0060】
図9(c)は、振幅モニタ92の検出結果を説明するための図である。図9(c)において、横軸は経過時間を示し、縦軸は位相ずれ検出回路の検出感度を示す。サンプリングクロック源70のサンプリングクロックと受信信号の変調周波数との位相ずれが小さい場合には、感度検出部110の検出感度は、ほぼ一定値となる。一方で、サンプリングクロック源70のサンプリングクロックが受信信号の変調周波数と同期していない場合には、感度検出部110の検出感度は、周期的に変動する。振幅モニタ92は、この場合の振幅値を検出感度として検出することができる。
【0061】
例えば、図3の合成回路83は、所定値以下の感度を検出する位相ずれ検出回路82の出力を除外して、その他の位相ずれ検出回路82の出力を平均化してもよい。この場合、大きな波形歪みによる位相ずれ検出感度の低下による雑音等の影響を回避することができ、位相ずれ検出精度が向上する。または、図3の位相調整量決定部90は、最大の感度を検出する位相ずれ検出回路82の出力に基づいて、サンプリング位相ずれを検出する方法でもよい。
【実施例2】
【0062】
図10は、実施例2に係る位相ずれ検出部80aの構成を説明するためのブロック図である。図10を参照して、位相ずれ検出部80aにおいては、n個の固定歪み補償部81の代わりに、n個の可変歪み補償部84が設けられている。また、位相ずれ検出部80aにおいては、m個(mは2以上の整数)の固定歪み補償部86、m個の感度検出部87、最大感度検出部88が設けられている。その他の構成については、同一符号を付すことによって説明を省略する。本実施例においては、最大感度検出部88が補償量検出部として機能し、可変歪み補償部84が補償量補正手段として機能する。
【0063】
各可変歪み補償部84には、HI成分、HQ成分、VI成分およびVQ成分が入力される。いずれかの可変歪み補償部84に入力される上記信号は、各固定歪み補償部86に入力される。固定歪み補償部86は、図3の固定歪み補償部81と同様の構成を有する。
【0064】
各感度検出部87は、固定歪み補償部86から出力される信号から感度を検出する。最大感度検出部88は、各感度検出部87が検出する感度のうち最大の感度を検出することによって、その最大の感度に対応する歪み補償量を検出し、各可変歪み補償部84に出力する。各可変歪み補償部84は、歪み補償量を、最大感度検出部88から入力された歪み補償量と同じになるように更新する。各可変歪み補償部84は、更新された歪み補償量に基づいて、波形歪み補償する。各位相ずれ検出回路82は、各可変歪み補償部84が出力する信号の位相ずれを検出して、合成回路83に入力する。合成回路83は、入力される信号を平均化する。合成回路83は、入力される信号に対して単純平均する回路であってもよく、入力される信号に対して重み付け平均する回路であってもよい。
【0065】
本実施例によれば、フィードフォワード制御により可変歪み補償部84の補償量を設定することができることから、受信光信号の波形歪みの変動に高速に追従することができる。なお、本実施例においては、各感度検出部87が検出する感度のうち最大の感度を検出しているが、それに限られない。例えば、所定値よりも大きいいずれかの感度を検出してもよい。
【0066】
(変形例)
なお、位相ずれ検出部80aは、位相ずれ検出部80aにおいては、並列化部85が設けられていてもよい。図11は、並列化部85が設けられている例を説明するための図である。図11においては、並列化部85が位相ずれ検出部80a内に配置されているが、アナログ/デジタル変換部40a〜40dの直後に配置されていてもよい。この場合、位相調整回路50および検波回路60も並列化された信号を用いて処理を行う。
【0067】
並列化部85は、HI成分、HQ成分、VI成分およびVQ成分の4つの成分を、それぞれ時分割等によって並列化する。図11の例では、並列化部85は、上記各成分を時分割によってn個に並列化し、各並列化信号をそれぞれ各可変歪み補償部84に入力する。いずれかの並列化信号は、各固定歪み補償部86に入力される。本変形例によれば、信号の並列化によって増大する歪み補償回路の回路規模を削減することができる。
【実施例3】
【0068】
図12は、実施例3に係る光受信器100aの構成を説明するためのブロック図である。図12を参照して、光受信器100aが図1の光受信器100と異なる点は、位相調整量決定部90のフィードバック値がサンプリングクロック源70に入力される点である。サンプリングクロック源70は、位相調整量決定部90のフィードバック値に応じて、サンプリングクロック周波数を修正する。それにより、アナログ/デジタル変換部40a〜40dのサンプリングクロックと、受信信号の変調周波数との位相ずれが低減される。本実施例では、位相調整回路50はサンプリングクロック周波数制御により同期しきれなかった、高速な受信信号の変調周波数の位相変動を補償する構成となっているが、位相調整回路50への位相調整量決定部90のフィードバックを行うことなく、サンプリングクロック源70への位相調整量決定部90のフィードバックのみを行ってもよい。
【実施例4】
【0069】
図13は、実施例4に係る光受信器100bの構成を説明するためのブロック図である。図13を参照して、光受信器100bが図1の光受信器100と異なる点は、アナログ/デジタル変換部40a〜40dと位相調整回路50との間に半固定型デジタルフィルタ120が設けられている点、および、位相調整回路50と検波回路60との間に適応等化型デジタルフィルタ130が設けられている点である。
【0070】
半固定型デジタルフィルタ120は、時間変動が少ない伝送路波長分散を補償することができる。それにより、大きな波長分散に起因する歪みを受信可能となる。また、適応等化型デジタルフィルタ130は、半固定型デジタルフィルタ120での残留波長分散、時間変動する波形歪み(偏波モード分散、偏波変動等)を補償する。適応等化型デジタルフィルタ130または位相ずれ検出部80で扱う波長分散は、半固定型デジタルフィルタの残留波長分散となるので、回路規模を削減することができる。
【0071】
なお、実施例2の位相ずれ検出部80aの可変歪み補償部84は、位相ずれ検出部80aの最適ひずみ補償値を半固定型デジタルフィルタ120に設定することによって共用することができる。
【0072】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 90度ハイブリッド回路
20 局発光源
30 光電変換回路
40 アナログ/デジタル変換部
50 位相調整回路
60 検波回路
70 サンプリングクロック源
80 位相ずれ検出部
90 位相調整量決定部
100 光受信器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換部と、
前記変換部の出力信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する複数の固定歪み補償部と、
前記複数の歪み補償部のそれぞれの出力信号からサンプリング位相ずれを検出する複数の位相ずれ検出回路と、
前記複数の位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定部と、
前記位相調整量決定部の決定結果に応じて、前記サンプリング周波数と前記受信信号光の位相差を減少させる位相調整部と、を備えることを特徴とする光受信器。
【請求項2】
受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換部と、
前記変換部の出力信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する複数の固定歪み補償部と、
前記複数の固定歪み補償部のそれぞれの出力信号の位相ずれ検出感度に基づいて、歪み補償量を検出する補償量検出部と、
前記補償量検出部が検出する歪み補償量で歪み補償を行う歪み補償部と、
前記歪み補償部の出力信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出回路と、
前記位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定部と、
前記位相調整量決定部の決定結果に応じて、前記サンプリング周波数と前記受信信号光の位相差を減少させる位相調整部と、を備えることを特徴とする光受信器。
【請求項3】
前記変換部の出力信号に対して、波形歪みを補償する半固定デジタルフィルタを備え、
前記補償量検出部が検出する補償量により、半固定デジタルフィルタの補償量を補正し、
前記複数の固定歪み補償部は、前記半固定デジタルフィルタの出力信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償することを特徴とする請求項2に記載の光受信器。
【請求項4】
前記固定歪み補償部は、波形歪み補償として波長分散補償を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光受信器。
【請求項5】
前記位相調整部が、前記変換部の出力信号の位相を調整するデジタル位相調整回路を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光受信器。
【請求項6】
前記位相調整部が、前記変換部のサンプリングクロック周波数を補正する補正部を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光受信器。
【請求項7】
受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリング周波数でデジタル化する変換ステップと、
前記変換ステップで得られる信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する固定歪み補償ステップと、
前記固定歪み補償ステップで得られるそれぞれの信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出ステップと、
前記位相ずれ検出ステップで得られる出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定ステップと、
前記位相調整決定ステップにおける決定結果に応じて、前記サンプリング周波数と前記受信信号光の位相差を減少させる位相調整ステップと、を含むことを特徴とする光受信方法。
【請求項8】
受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換ステップと、
前記変換ステップで得られる信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する固定歪み補償ステップと、
前記固定歪み補償ステップで得られる信号の位相ずれ検出感度に基づいて、歪み補償量を検出する補償量検出ステップと、
前記補償量検出ステップにおいて検出される歪み補償量で歪み補償を行う歪み補償ステップと、
前記歪み補償ステップで得られる信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出ステップと、
前記位相ずれ検出ステップで得られる出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定ステップと、
前記位相調整量決定ステップにおける決定結果に応じて、前記サンプリング周波数と前記受信信号光の位相差を減少させる位相調整ステップと、を含むことを特徴とする光受信方法。
【請求項9】
前記補償量検出ステップにおいて検出される補償量により、前記変換ステップにおいて得られる信号に対して波形歪みを補償する半固定デジタルフィルタの補償量を補正するステップを含み、
前記複数の固定歪み補償ステップにおいて、前記半固定デジタルフィルタの出力信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償することを特徴とする請求項8に記載の光受信方法。
【請求項10】
前記変換ステップで得られる信号の位相を調整するデジタル位相調整ステップを含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の光受信方法。
【請求項11】
前記固定歪み補償ステップにおいて、波形歪み補償として波長分散補償を行うことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の光受信方法。
【請求項12】
前記位相補償量決定ステップで決定された結果に応じて、前記変換ステップにおけるサンプリングクロック周波数を補正する補正ステップを含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の光受信方法。
【請求項1】
受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換部と、
前記変換部の出力信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する複数の固定歪み補償部と、
前記複数の歪み補償部のそれぞれの出力信号からサンプリング位相ずれを検出する複数の位相ずれ検出回路と、
前記複数の位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定部と、
前記位相調整量決定部の決定結果に応じて、前記サンプリング周波数と前記受信信号光の位相差を減少させる位相調整部と、を備えることを特徴とする光受信器。
【請求項2】
受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換部と、
前記変換部の出力信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する複数の固定歪み補償部と、
前記複数の固定歪み補償部のそれぞれの出力信号の位相ずれ検出感度に基づいて、歪み補償量を検出する補償量検出部と、
前記補償量検出部が検出する歪み補償量で歪み補償を行う歪み補償部と、
前記歪み補償部の出力信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出回路と、
前記位相ずれ検出回路の出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定部と、
前記位相調整量決定部の決定結果に応じて、前記サンプリング周波数と前記受信信号光の位相差を減少させる位相調整部と、を備えることを特徴とする光受信器。
【請求項3】
前記変換部の出力信号に対して、波形歪みを補償する半固定デジタルフィルタを備え、
前記補償量検出部が検出する補償量により、半固定デジタルフィルタの補償量を補正し、
前記複数の固定歪み補償部は、前記半固定デジタルフィルタの出力信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償することを特徴とする請求項2に記載の光受信器。
【請求項4】
前記固定歪み補償部は、波形歪み補償として波長分散補償を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光受信器。
【請求項5】
前記位相調整部が、前記変換部の出力信号の位相を調整するデジタル位相調整回路を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光受信器。
【請求項6】
前記位相調整部が、前記変換部のサンプリングクロック周波数を補正する補正部を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光受信器。
【請求項7】
受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリング周波数でデジタル化する変換ステップと、
前記変換ステップで得られる信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する固定歪み補償ステップと、
前記固定歪み補償ステップで得られるそれぞれの信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出ステップと、
前記位相ずれ検出ステップで得られる出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定ステップと、
前記位相調整決定ステップにおける決定結果に応じて、前記サンプリング周波数と前記受信信号光の位相差を減少させる位相調整ステップと、を含むことを特徴とする光受信方法。
【請求項8】
受信信号光を光電変換して得られるアナログ信号を所定のサンプリングクロック周波数でデジタル化する変換ステップと、
前記変換ステップで得られる信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償する固定歪み補償ステップと、
前記固定歪み補償ステップで得られる信号の位相ずれ検出感度に基づいて、歪み補償量を検出する補償量検出ステップと、
前記補償量検出ステップにおいて検出される歪み補償量で歪み補償を行う歪み補償ステップと、
前記歪み補償ステップで得られる信号からサンプリング位相ずれを検出する位相ずれ検出ステップと、
前記位相ずれ検出ステップで得られる出力値を用いてサンプリング位相調整量を決定する位相調整量決定ステップと、
前記位相調整量決定ステップにおける決定結果に応じて、前記サンプリング周波数と前記受信信号光の位相差を減少させる位相調整ステップと、を含むことを特徴とする光受信方法。
【請求項9】
前記補償量検出ステップにおいて検出される補償量により、前記変換ステップにおいて得られる信号に対して波形歪みを補償する半固定デジタルフィルタの補償量を補正するステップを含み、
前記複数の固定歪み補償ステップにおいて、前記半固定デジタルフィルタの出力信号に対して、互いに異なる固定補償量で波形歪み補償することを特徴とする請求項8に記載の光受信方法。
【請求項10】
前記変換ステップで得られる信号の位相を調整するデジタル位相調整ステップを含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の光受信方法。
【請求項11】
前記固定歪み補償ステップにおいて、波形歪み補償として波長分散補償を行うことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の光受信方法。
【請求項12】
前記位相補償量決定ステップで決定された結果に応じて、前記変換ステップにおけるサンプリングクロック周波数を補正する補正ステップを含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の光受信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−142583(P2011−142583A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3246(P2010−3246)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人情報通信研究機構、「ユニバーサルリンク技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人情報通信研究機構、「ユニバーサルリンク技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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