説明

光学ガラスの製造方法及び製造装置

【課題】白金又は白金合金を材料とした溶解装置を使用した溶解工程において、ソラリゼーションや白金シワの発生を抑制することができる光学ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、30%以上70%以下のSiOと、3%以上20%以下のBとを少なくとも含有するガラス原料を、原料溶解装置100の坩堝121に投入し、溶解させる。このとき、気体バブリング装置106を用いて、ガラス原料を溶解(粗溶解)して得られた原料溶融ガラスA内を非酸化性気体(例えば、窒素ガス)でバブリングさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融物をバブリングにより攪拌しながら、SiO及び/又はBを含有する光学ガラスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学ガラスを製造する場合、複数種類のガラス原料を溶融させるカレット化工程及び/又は本溶融工程において、溶融物(素ガラスまたはガラス)を十分に撹拌することが重要である。溶融物を撹拌する方法としては、攪拌翼で溶融物を攪拌する機械撹拌法、気体バブリング装置を使用したバブリング法が提供されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、バブリング法とは、気体バブリング装置を溶融槽または坩堝の底部に配置し、気体バブリング装置から酸素等の気体の気泡を吹き込ませて、気泡の上昇に伴って液体を移動させることにより、液体を撹拌する方法である。
【0003】
また、高均質な光学ガラスを歩留り良く生産しようとする場合、上記気体バブリング装置や坩堝のような溶融装置からのコンタミネーションを防止する必要がある。このため、少なくとも溶融物と接する一部分または全部に、耐熱性及び耐食性に優れた白金または白金合金で構成された溶融装置を用いることが一般的である。
【特許文献1】特公昭48−27724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、溶融槽等の溶融装置を構成する部材や気体バブリング装置に白金又は白金合金を使用した場合、白金部分又は白金合金部分の一部が空気中の酸素と反応して、二酸化白金(PtO)が発生する。このPtOは、気体となって気相中から溶融物表面を介して溶融物に溶け込む。また、溶融物と白金又は白金合金との界面からも、白金イオン(Pt4+)が溶融物に溶け込む。結果として、溶融物に溶け込んだPt4+(PtOを含む)が、最終製品である光学ガラスに不純物として残存し、Pt4+が光を吸収して着色し、得られた光学ガラスの透過率劣化(ソラリゼーション)を生じやすくなる。
【0005】
溶融物に溶け込んだ白金又は白金イオンは、最終製品である光学ガラスに不純物として残存した場合、透過率の劣化やソラリゼーションを招くことになる。更に、最終製品である光学ガラス中で結晶化することにより、光学ガラス中に白金フシという異物として残留する場合がある。特に、SiO及び/又はBを含有する光学ガラス、或いは溶融に高温を必要とする光学ガラスの場合は、白金又は白金合金と反応し易く、光学ガラス中に白金フシが残留し易い。
【0006】
上記のように、光学ガラス、特にSiO及び/又はBを含有する光学ガラスの製造方法においては、均質性を高めるとともに歩留向上を目的に、白金又は白金合金を材料とした溶融装置を使用することが望ましいものの、それでも透過率劣化やソラリゼーション及び白金フシの発生が問題となっていた。このため、白金又は白金合金を材料とした溶融装置を使用した溶融工程において、透過率劣化やソラリゼーション或いは白金フシの発生を抑制することができる光学ガラスの製造方法が求められていた。
【0007】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、白金又は白金合金を材料とした溶融装置を使用した溶融工程において、透過率劣化やソラリゼーション或いは白金フシの発生を抑制することができる光学ガラスの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0009】
(1) 「バッチを溶融しカレットを得るカレット化工程」及び/又は「カレット及び/またはバッチを溶融してガラスを得る工程」を有する光学ガラスの製造方法において、
得られるガラスの組成はSiO及び/またはBを含有し、
且つ、前記カレット化工程及び/又は前記本溶融工程の溶融物内に非酸化性気体をバブリングすることを特徴とする光学ガラスの製造方法。
【0010】
カレット化工程及び/又は本溶融工程においてガラス内に溶け込んだ白金又は白金イオンは、最終製品である光学ガラスに不純物として残存した場合、透過率の劣化やソラリゼーションが発生する。更には、最終製品である光学ガラス中で結晶化することにより、光学ガラス中に白金フシという異物が残留する場合がある。従って、例えば、坩堝等の溶融装置を構成する部材や気体バブリング装置に白金又は白金合金を使用した場合、白金の影響を軽減させる必要がある。
【0011】
(1)の発明によれば、気体バブリング装置に白金又は白金合金を使用した場合、気体バブリング装置から吹き込むのは非酸化性気体であり、白金の酸化による影響を低減できる。又、バッチ溶融物及び/又はカレット溶融物内から余剰な酸素が排出され、最終的には、バッチ溶融物及び/又はカレット溶融物内の酸素濃度が低減する。従って、例えば、坩堝等の溶融装置を構成する部材や気体バブリング装置に白金又は白金合金を使用したとしても、白金の影響が軽減されるため、ソラリゼーションや白金フシの発生を抑制することが可能である。特に、本発明のように、SiO及び/又はBを含有する光学ガラスや、高温溶融を要する光学ガラスを製造する場合には、非酸化性気体の導入により白金の影響を軽減したり、酸化性気体の濃度を低減することによって、透過率の劣化やソラリゼーションの発生、白金フシの発生を抑制することが可能である。
【0012】
(2) 前記溶融物の液面から100mm以上の深さにおいて前記非酸化性気体を吹き込むことを特徴とする(1)に記載の光学ガラスの製造方法。
【0013】
バッチ溶融物及び/又はカレット溶融物内に非酸化性気体を吹き込む場合、融液の液面近くでは、十分な攪拌効果が得られず、又、非酸化性気体により追い出される酸素の量はさほど多くはない。
【0014】
(2)の発明によれば、溶融物の液面から100mm以上の深さにおいて非酸化性気体を吹き込むことによって、非酸化性気体によりバッチ溶融物及び/又はカレット溶融物から酸素を十分に排出させることが可能であるとともに、バッチ溶融物及び/又はカレット溶融物が十分に攪拌させることが可能である。このように、(2)の発明によれば、白金又は白金合金を材料とした溶融装置を使用した溶融工程において、ソラリゼーションや白金フシの発生を抑制することができるとともに、均質な光学ガラスの製造を維持することができる。
【0015】
(3) 前記非酸化性気体をガラス容積1リットルあたり0.002〜0.05リットル/分の供給速度で吹き込むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の光学ガラスの製造方法。
【0016】
バッチ溶融物及び/又はカレット溶融物内に非酸化性成分気体を吹き込む場合、非酸化性気体を吹き込む供給速度が大き過ぎると溶融物からの成分の揮発が促進され均質性を悪化させてしまう可能性がある。一方、供給速度が小さ過ぎると攪拌効果が期待出来ない。
【0017】
(3)の発明によれば、非酸化性気体をガラス容積1リットルあたり0.002〜0.05リットル/分の供給速度で吹き込むことによって、溶融物からの揮発による均質度劣化を回避しつつ十分に攪拌させることが可能であり、均質な光学ガラスの製造を維持することが可能である。更には非酸化性気体と置換されてバッチ溶融物及び/又はカレット溶融物から酸素を十分に排出させることが可能であり、白金の影響を軽減することが可能である。このように、(3)の発明によれば、白金又は白金合金を材料とした溶融装置を使用した溶融工程において、透過率の劣化やソラリゼーション、或いは白金フシの発生を抑制することができるとともに、均質な光学ガラスの製造を維持することができる。
【0018】
(4) 前記非酸化性気体は、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、H、CO又はこれら気体の複数種類の混合気体であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【0019】
(5) 光学ガラスの組成は質量%で、30%以上70%以下のSiO及び/又は3%以上20%以下のBを含有することを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【0020】
(6) 光学ガラスの組成は質量%で、下記の成分を含有することを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
(a) SiO:30〜70%および/または
:3〜20%および/または
PbO:0〜2%および/または
Al:0〜6%および/または
LiO:0〜5%および/または
CaO:0〜2%および/または
TiO:0〜0.5%および/または
As:0〜1%および/または
Sb:0〜1%および/または
NaO:0〜13%および/または
O:0〜23%および/または
BaO:0〜42%および/または
ZnO:0〜7%
および
(b)上記酸化物の一部又は全部を置換したフッ化物のFの合計量が0〜11%
【0021】
(7) 光学ガラスの組成は、質量%で、NaO+KO+BaO+ZnOが10〜45%であることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【0022】
(8) 光学ガラスの組成は、質量%で、
SrO 0〜2%および/または
ZrO 0〜2%
であることを特徴とする請求項(1)から(7)のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【0023】
(9) 光学ガラスの組成は、質量%で、CaO+SrO+ZrOが0〜2%であることを特徴とする(1)から(8)のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【0024】
(10) SiO及び/又はBを少なくとも含有する光学ガラスの製造装置であって、バッチを溶融してカレットを得るバッチ溶融装置および/又は前記カレットまたはバッチを溶融してガラス溶融物を得る本溶融装置を含み、非酸化性気体バブリング装置が前記バッチ溶融装置内及び/又は前記カレット溶融装置内に設置されていることを特徴とする光学ガラスの製造装置。
【0025】
(10)の発明によれば、非酸化性気体バブリング装置から吹き込む非酸化性気体によって、バッチ溶融物内及び/又はカレット溶融物内から酸素が排出され、最終的には、バッチ溶融物及び/又はカレット溶融物内の酸素濃度が低減する。従って、例えば、坩堝等の溶融装置を構成する部材や気体バブリング装置に白金又は白金合金を使用したとしても、白金の影響が軽減されソラリゼーションや白金フシの発生を抑制することが可能である。特に、本発明のように、SiO及び/又はBを含有する光学ガラスや、溶融に高温度を必要とする光学ガラスを製造する場合には、非酸化性気体をバブリングすることにより溶融物内の酸素濃度を低減することによって、溶融物中の白金濃度が低減化されソラリゼーションや白金フシの発生を抑制することが可能となる。
【0026】
(11)前記光学ガラスの組成が質量%で、
(a) SiO:30〜70%および/または
:3〜20%および/または
PbO:0〜2%および/または
Al:0〜6%および/または
LiO:0〜5%および/または
CaO:0〜2%および/または
TiO:0〜0.5%および/または
As:0〜1%および/または
Sb:0〜1%および/または
NaO:0〜13%および/または
O:0〜23%および/または
BaO:0〜42%および/または
ZnO:0〜7%
および
(b)上記酸化物の一部又は全部を置換したフッ化物のFの合計量が0〜11%
を含有する(10)に記載の光学ガラスの製造装置。
【0027】
(12) 前記光学ガラスの組成は、質量%で、NaO+KO+BaO+ZnO が10〜45%であることを特徴とする(10)または(11)のいずれかに記載の光学ガラスの製造装置。
【0028】
(13) 前記光学ガラスの組成は、質量%で、
SrO 0〜2%および/または
ZrO 0〜2%
であることを特徴とする(10)から(12)のいずれかに記載の光学ガラスの製造装置。
【0029】
(14) 前記光学ガラスの組成は、質量%で、CaO+SrO+ZrOが0〜2%であることを特徴とする(10)から(13)のいずれかに記載の光学ガラスの製造。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、白金又は白金合金を材料とした溶融装置を使用した溶融工程において、ソラリゼーションや白金フシの発生を抑制できる光学ガラスの製造方法を提供することが可能である。
【0031】
この結果、半導体産業用(特にステッパー用)や、生物工学や医療等の様々な分野において用いられる光学ガラスとして、「初期光線透過率が良好な」および/または「光線照射後の光線透過率劣化が少ない」、従来にない光学ガラスを得ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0033】
[光学ガラスの製造装置]
図1(A)は、気体バブリング装置を備えたバッチ溶融装置の平面図である。図1(B)は、バブリング装置を備えた本溶融装置の平面図である。図2(A)は、図1(A)のIV−IVに沿ったバッチ溶融装置の断面図である。図2(B)は、図1(B)のV−Vに沿った本溶融装置の断面図である。
【0034】
[バッチ溶融装置、カレット化工程]
図1に示すように、カレット化工程で使用されるバッチ溶融装置100は、バッチを溶融してバッチ溶融物Aを得るための溶融炉102と、上記バッチ溶融物A内のバブリングを行う気体バブリング装置106を備えている。
【0035】
溶融炉102は、バッチを溶融する際の容器となる溶融槽121と、この溶融槽121の周囲を被う炉体122と、加熱装置(図示しない)とを備えている。
【0036】
溶融槽121は、バッチ溶融物Aの溶融、清澄に必要な耐熱性、耐侵食性及びバッチ溶融物Aの品質への影響が少ないこと等を考慮して、少なくともバッチ溶融物Aに接する部分が、例えば、石英、白金(Pt)または白金合金(Pt合金)からなる溶融槽であることが好ましく、更に白金または白金合金からなる溶融槽であることがより好ましい。
【0037】
パイプ104には、図示しない加熱装置が設けられており、パイプ104の温度を制御することによりパイプ104中のバッチ溶融物Aの粘性を制御するとともに、パイプ104中のバッチ溶融物Aの流速を制御できるようになっている。
【0038】
気体バブリング装置106は、上記開口部126から溶融槽121内に挿入される。すなわち、開口部126は、溶融物内のバブリングを行うための気体バブリング装置106の挿入孔を兼ねている。気体バブリング装置106の構造は、バッチ溶融物Aを十分に攪拌するために、できるだけ大型の気泡を発生することが可能な周知なものである。この気体バブリング装置106は、これらの耐熱性、バッチ溶融物Aに対する耐侵食性及びバッチ溶融物Aの品質への影響が少ないこと等を考慮して、例えば、少なくともバッチ溶融物Aに接する部分が、石英、白金または白金合金からなる気体バブリング装置であることが好ましく、更には、白金または白金合金からなる気体バブリング装置であることがより好ましい。
【0039】
溶融槽121等のバッチ溶融装置100を構成する部材や気体バブリング装置106のうち、バッチ溶融物Aと接する部分が白金又は白金合金である場合、白金又は白金合金と酸素が反応してPtOが発生するため、気体バブリング装置106を用いて行うバブリングに使用される気体としては、非酸化性気体が好ましい。非酸化性気体としては、酸素分圧が1%以下、好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.0001%以下の気体であり、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ヘリウム(He)または窒素(N)等の中性気体、もしくは、一酸化炭素(CO)または及び水素(H)等の還元元性気体や、前記気体の中から選ばれる2種以上の混合気体が好ましい。
【0040】
気体バブリング装置106を用いて非酸化性気体をバッチ溶融物A内に吹き込ませる深さとしては、任意に設定可能であるが、バッチ溶融物Aの液面から100mm以上の深さで非酸化性気体をバッチ溶融物A内に吹き込むことが好ましい。
【0041】
[本溶融装置、本溶融工程]
図1(B)及び図2(B)に示すように、本溶融工程で使用される本溶融装置200は、バッチを溶融して本溶融物を得るため、またはカレット化工程で得られたカレットを溶融して本溶融物(以下カレット溶融物という)Dを得るための溶融炉202と、カレット溶融物Dを排出する排出口203と、溶融炉202から次工程までのカレット溶融物Dの経路(導管)となるパイプ204と、上記カレット溶融物D内のバブリングを行う気体バブリング装置206と、カレット溶融物Dの上方の空間における気体を排出する排出手段の一例であるダクト210と、を備えている。
【0042】
溶融炉202は、カレットを溶融する際の容器となる溶融槽221と、この溶融槽221の周囲を被う耐火レンガ等の耐熱材からなる炉体222と、加熱装置(図示しない)とを備えている。
【0043】
溶融槽221は、カレット溶融物Dの溶融、清澄に必要な耐熱性、耐侵食性及びカレット溶融物Dの品質への影響が少ないこと等を考慮して、少なくともカレット溶融物Dに接する部分が、例えば、石英、白金または白金合金からなる溶融槽であることが好ましく、更に白金または白金合金からなる溶融槽であることがより好ましい。
【0044】
炉体222は、溶融槽221の周囲を覆っており、耐火レンガ等の耐熱材からなる。この炉体222は、その上部に開口部226が形成されている。この開口部226は、溶融槽221内のカレット溶融物D内に残存する気体を、炉体222内部から排出する吸入口214に導入するための入口となっている。
【0045】
パイプ204には、図示しない加熱装置が設けられている。この加熱装置によって、パイプ204の温度が制御されることにより、パイプ204中のカレット溶融物Dの粘性が制御されるとともに、パイプ204中のカレット溶融物Dの流速が制御されることになる。また、パイプ204は、上述したように、本溶融工程から次工程(清澄工程、攪拌工程、徐冷工程)までのカレット溶融物Dの導管となる。
【0046】
気体バブリング装置206は、上記開口部226から溶融槽221に挿入される。すなわち、開口部は、溶融物内のバブリングを行うための気体バブリング装置の挿入孔を兼ねている。気体バブリング装置206の構造は、カレット溶融物Dを十分に攪拌するために、できるだけ大型の気泡を発生することが可能な周知なものである。この気体バブリング装置206は、これらの耐熱性、カレット溶融物Dに対する耐侵食性及びカレット溶融物Dの品質への影響が少ないこと等を考慮して、例えば、少なくともカレット溶融物Dに接する部分が、石英、白金または白金合金からなる気体バブリング装置であることが好ましいが、特に、白金または白金合金からなる気体バブリング装置であることが好ましい。
【0047】
溶融槽221、パイプ204等の本溶融装置200を構成する部材や気体バブリング装置206のうち、カレット溶融物Dと接する部分が白金又は白金合金である場合、白金又は白金合金と酸素が反応してPtOが発生するため、気体バブリング装置106を用いて行うバブリングに使用される気体としては、非酸化性気体が好ましい。非酸化性気体としては、酸素分圧が1%以下、好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.01%以下の気体であり、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)または窒素(N)等の中性気体、もしくは、一酸化炭素(CO)または水素(H)等の還元元性気体や、前記気体の中から選ばれる2種以上の混合気体が好ましい。
【0048】
ダクト210は、溶融炉202の上部に設けられている。このダクト210は、開口部226と概略同じ形状の吸入口214が形成されている円錐部212と、この円錐部212と連接されている排気管216とを、備えている。
【0049】
円錐部212は、吸入口214から上方に向かうにつれて細くなる円錐状となっている。
【0050】
排気管216は、円錐部212の最上部から気体バブリング装置206に対して垂直方向に左右に二つに分かれて形成されるとともに、左右のうち一方(本実施形態の場合、右側)の排気管216のみ気体バブリング装置206に対して平行方向に、すなわち、反重力方向にその方向を変更して延伸され、他方(本実施形態の場合、左側)の排気管216は、途中で切断されている。そして、一方の排気管216は、外気(大気)と接続されている。なお、本実施形態において、左右のうち一方(本実施形態の場合、右側)の排気管216のみ延伸して外気に接続されているが、左右両方の排気管が延伸されて、外気に接続されているようにしてもよい。
【0051】
ここで、カレット溶融物Dの上方の空間内、すなわち、溶融槽221の上方の空間内の圧力は、0.1kPaから100.0kPaとなるように調整されていることが好ましい。すなわち、溶融槽221の上方の空間内の圧力は、大気圧の1013hPaと同じであってもよく、更には、排気管216のうち、円錐部212に連接されている一端とは反対側の一端が、吸引手段(吸引装置)の一例である吸引ポンプによって吸引されていることによって、大気よりも陰圧状態であってもよい。
【0052】
このように、カレット溶融物Dの上方の空間内の圧力が大気圧と略同じか又は大気圧よりも低圧であるため、溶融槽221内のカレット溶融物D内に残存する気体、更には、カレット溶融物Dの上方の空間にある気体は、炉体222内部から開口部226を介して、ダクト210の吸入口214に向かって排出されることになる。
【0053】
なお、カレット溶融物D内に残存する気体としては、酸化性気体である酸素、気体バブリング装置206を用いて行うバブリングによって吹き込まれる気体、更には、白金又は白金合金と酸素が反応して発生するPtO等がある。
【0054】
パイプ204には、図示しない加熱装置が設けられている。この加熱装置によって、パイプ204の温度が制御されることにより、パイプ204中のカレット溶融物Dの粘性が制御され、その結果として、パイプ204中のカレット溶融物Dの流速が制御されることになる。また、パイプ204は、上述したように、本溶融工程から次工程(清澄工程、攪拌工程、徐冷工程)までのカレット溶融物Dの導管となる。
【0055】
なお、本実施形態において、気体バブリング装置106,206は、それぞれ炉体122,222の上部にある開口部126,226を介して、溶融槽121,221内に挿入されているが、これに限らず、例えば、気体バブリング装置106,206は、溶融槽121,221の側面部又は底部を貫通して設けるようにして、バッチ溶融物A又はカレット溶融物D内のバブリングが行われるようにしてもよい。
【0056】
また、本実施形態において、カレット化工程及び本溶融工程の両方の溶融工程において、バッチ溶融物A及びカレット溶融物D内を、各々気体バブリング装置106,206を用いてバブリングを行っているが、カレット化工程又は本溶融工程のいずれかの工程のみバブリングを行うようにしてもよい。そして、バブリングを行わない工程においては、溶融槽(例えば、溶融槽121又は溶融槽221)内の溶融物(例えば、バッチ溶融物A又はカレット溶融物D)を攪拌するための攪拌翼を供えた攪拌機を設けるようにしてもよい。この攪拌翼の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、スクリュー状のものなど、周知の形状や構成のものを用いることができる。
【0057】
また、本実施形態において、本溶融工程に設けられた本溶融装置200にのみ排出手段の一例であるダクト210を設けたが、これに限らず、例えば、本ダクト210を設けなくてもよく、更には、カレット化工程に設けられたバッチ溶融装置100にも排出手段を設けるようにしてもよい。そして、バッチ溶融装置100に排出手段を設けた場合は、本溶融装置200にはダクト210を設けないようにしてもよい。
【0058】
また、ダクト210は、カレット溶融物Dの上方の空間にある気体を排出させる機能を有すれば、様々な形状や構成の周知のもの用いることができる。
【0059】
また、本溶融装置200を構成するパイプ204等は、少なくともカレット溶融物Dと接する部分において、これらの耐熱性、ガラスに対する耐侵食性及びカレット溶融物Dの品質への影響が少ないこと等を考慮して白金または白金合金製であることが好ましいが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0060】
また、溶融物の流速が、溶融物の粘性以外のパラメータ、例えば、溶融槽221内の圧力によって制御されている場合などは、必ずしもパイプ204に設けられている加熱装置(図示せず)を設ける必要はない。
【0061】
また、上記加熱装置は、電熱器、電気ヒーター、通電発熱体、高周波誘導加熱や、バーナー等を使用したガス等の燃焼により加熱するものなど周知のものを用いることができ、更には、パイプ204は、直接電気を通電して加熱できるようになっていることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0062】
[ガラスの組成]
次に、本発明において、好ましい光学ガラスを製造することができる組成範囲について説明する。
【0063】
各成分を前記組成範囲に限定した理由は以下のとおりである。
【0064】
SiO成分を含有する光学ガラス、とりわけSiO成分は、ガラス形成上有用な成分である。しかし、その重量%が30%未満では、比較的多くBやBaO等の成分を必要とし、屈折率が高くなりすぎたり、化学的性質の劣化を招いたりするので好ましくない。また、70%を超えると、ガラスの粘度が高くなりすぎ、均質なガラスを得にくくなる。そして、更に、屈折率、化学的性質の劣化性、ガラスの粘性等を考慮すれば、SiO成分は、下限が50.5%以上であることが好ましく、更には、55.35%以上であることがより好ましく、上限は70%以下であることが好ましい。
【0065】
成分を含有する光学ガラスにおいて、B成分は、SiO成分と同様にガラス形成酸化物であり、ガラスを低分散化したり、粘性を調節したりするのに有効である。しかし、その量が3%未満では、その効果は不十分であり、20%を超えると、化学的性質が劣化するので好ましくない。そして、更に、ガラスの低分散性、粘性、化学的性質の劣化等を考慮すれば、B成分は、3%以上15%以下であることが好ましい。したがってB成分の上限は20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下であり、下限は3%以上であることが好ましい。
【0066】
Al成分は、ガラスの化学的耐久性の向上、粘度や屈折率の調整に有効である。しかし、その量が6%を超えると、ガラスの粘性が高くなり易い。そして、更に、ガラスの化学的耐久性、粘度や屈折率等を考慮すれば、Al成分は、2.9%以下であることが好ましく、更には、2.3%以下であることより好ましい。
【0067】
LiO成分は、ガラス原料の溶融を促進する効果があるが、しかも他のアルカリ金属酸化物と比べて屈折率の低下を招きにくいので有効である。しかしその量が5%を超えるとガラスの失透性が増大し易いので好ましくない。そして、更に、粘性、屈折率、化学的性質の劣化等を考慮すれば、LiO成分は、5%以下であることが好ましく、更には、4.9%以下であることがより好ましく、3%以下であることが最も好ましい。
【0068】
NaO成分およびKO成分は、ガラス原料の溶融促進に有効であり、多量にガラス中に含有させても安定なガラスをつくる。しかし、NaO成分およびKO成分の量が、それぞれ13%および23%を超えると化学的性質を悪化させ易いので好ましくない。
【0069】
BaO成分は、ガラスの分散をあまり大きくすることなく(アッベ数をあまり小さくすることなく)、屈折率を向上させ、広い組成範囲において耐失透性の大きい安定なガラスを得ることができる。しかし、その量が42%を超えるとガラスの化学的耐久性が極度に劣化し易い。
【0070】
ZnO成分は、屈折率の向上、粘性の調整、耐失透性の向上等に有効な成分である、しかしその量が7%を超えると、短波長域における透過率の低下を招くことがあるので、好ましくない。
【0071】
また、安定で化学的性質が優れ、かつ、短波長域まで透過率の良いガラスを得るためには、NaO成分、KO成分、BaO成分およびZnO成分の1種または2種以上の合計量の範囲%は10%から45%までが好ましい。
【0072】
PbO成分およびTiO成分は、SiO成分及び/またはB成分を含有する光学ガラス、とりわけ、SiO−B−アルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物系ガラスにおいて、ソラリゼーションを防止するのに有効である。しかしこれらの成分は必要以上に多く含有させると短波長域の光線透過率を劣化させる原因になるので、これらの成分の量は、それぞれ2%および0.5%までとすることが好ましい。
【0073】
As成分およびSb成分は、ガラスの清澄助剤としての効果があり、それぞれ任意に添加しうるが、上記効果を得るためには、それぞれ1%以下までで十分である。
【0074】
フッ素成分は、一種または二種以上の上記酸化物の一部または全部と置換したフッ化物として任意に添加することができ、屈折率および粘度の調整に効果がある。しかし、上記フッ化物の合計量が11%を超えると、ガラスが乳白化したり、屈折率が小さくなりすぎたり、溶融の際にフッ素成分の揮発が大きくなりすぎて、均質なガラスを得がたくなったりするので好ましくない。
【0075】
また、上記各成分の他に、屈折率の調整や、ガラスの化学的性質の向上等を目的に、任意成分として、CaO成分、SrO成分およびZrO2成分をそれぞれ2%まで添加することができる。尚、これら成分を添加する場合は、CaO成分、SrO成分およびZrO2成分から選ばれる1種または2種以上を合計で2%までとすることがより好ましい。
【0076】
また、Ti以外の遷移金属の合計含有量が3ppm以下であることが好ましい。不純物として含まれた遷移金属イオン、具体的には、Fe3+の吸収波長は380nm、Cr6+の吸収波長は350nmであり、かつ吸収計数が大きく、少量混入しても透過率の劣化を招く。従って、非酸化性気体を用いて溶融物をバブリングすることにより、Fe3+、Cr6+を低原子価状態にすることが必要である。
【0077】
[光学ガラスの製造方法]
次に、上記に述べた溶融装置を用いて、本発明に係る光学ガラスの製造方法を図2(A)及び図2(B)を用いて説明する。
【0078】
まず、図2(A)に示すように、質量%で、30%以上70%以下のSiOおよび/または、3%以上20%以下のBを含有する光学ガラスとなるように配合されたバッチを、バッチ溶融装置100の溶融槽121に投入し、溶融させる。このとき、気体バブリング装置106を用いて、バッチを溶融(粗溶融)して得られたバッチ溶融物A内を非酸化性気体でバブリングさせる。このバブリングは、溶融槽121内のバッチ溶融物Aの液面から100mm以上の深さにおいて、バッチ溶融物Aの容積1リットルあたり、0.002〜0.05リットル/分の供給速度で、非酸化性気体を吹き込むことにより行う(カレット化工程)。得られたバッチ溶融物Aを炉外にてキャストしカレットとして回収する。
【0079】
次に、図2(B)に示すように、回収したカレットを、本溶融装置200の溶融槽221に投入し、溶融させる。このとき、気体バブリング装置206を用いて、カレットを溶融(本溶融)して得られたカレット溶融物D内を非酸化性気体(例えば、アルゴンガス)でバブリングさせる。このバブリングは、溶融槽221内のカレット溶融物Dの液面から100mm以上の深さにおいて、カレット溶融物Dの容積1リットルあたり、0.002〜0.05リットル/分の供給速度で、非酸化性気体を吹き込むことにより行う。また、カレットを溶融する工程においては、カレット溶融物Dの上方の空間の圧力が0.1kPaから100.0kPaとなっていることにより、カレット溶融物Dの上方の空間にある気体は、ダクト210から吸入されて、大気中に放出される(本溶融工程)。得られたカレット溶融物Dは、当該本溶融工程から次工程(清澄工程、攪拌工程、保冷工程)に移り、次工程で光学ガラスを製造する。
【0080】
カレット溶融物Dの上方の溶融時空間の圧力を0.1kPaから100.0kPaとさせることにより、カレット溶融物Dの上方の溶融時空間にある気体は、ダクト210から排出される(本溶融工程)。これにより、溶融炉202内の溶融時空間容積を基準として、本溶融装置200内の気体の置換が2〜20回/分と行われることになる。得られたカレット溶融物Dは、当該本溶融工程から次工程(清澄工程、攪拌工程、保冷工程)に移り、次工程で光学ガラスを製造する。
【0081】
なお、本実施形態においては、バッチ溶融工程において、バッチを溶融した後、急冷して固化させたカレットを製造し、この製造されたカレットを溶融槽221に投入して、本溶融物を得た後、次工程に連続的に溶融物を供給するようにしたが、本溶融工程を連続方式ではなく、バッチ方式で行うようにしてもよい。
【0082】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0083】
次に、本発明の製造方法によって製造した光学ガラスを実施例の光学ガラス、及び他の方法で製造した光学ガラスを比較例の光学ガラスに、超高圧水銀灯のi線(365nm)を照射した場合の透過率の変化について説明する。
【0084】
[実施例1]
光学ガラス用原料(ガラス原料)を表1に示した組成の割合となるように秤量し、混合した。
【表1】

【0085】
その後、ガラス原料をバッチ溶融装置100の溶融槽121に投入し、1300℃において、14時間、カレット化工程を行った。このとき、バブリングは実施せずバッチ溶融物Aを冷却して、カレットとして回収した。この回収したカレットを、本溶融装置200の溶融槽221に投入し、1150℃において、15時間溶融させた。このとき、気体バブリング装置206を用いて、カレットを溶融(本溶融)して得られたカレット溶融物内をアルゴンガスでバブリングさせた。このバブリングは、ガラス容積1リットル当り気体の供給速度0.024リットル/分、バブリングする液面からの深さを500mmとした。また、このガラスブロックを溶融する工程においては、カレット溶融物Dの上方の空間を、大気圧と比較して減圧(カレット溶融物Dの上方の空間の圧力が0.3kPa)とすることにより、カレット溶融物の上方の空間にある気体を、ダクト210から吸入させ、大気中に排出させた(本溶融工程)。得られたカレット溶融物Dを、次工程(清澄工程、攪拌工程、保冷工程)に移し、次工程で本実施例の光学ガラスを製造した。
【0086】
[比較例]
比較例の光学ガラスのガラス原料は、実施例1と同じ組成の割合となるように秤量し、混合した。その後、このガラス原料をバッチ溶融装置100の溶融槽121に投入し1300℃において、14時間、カレット化工程を行った。このとき、バブリングは実施せずバッチ溶融物を冷却して、カレットとして回収した。この回収したカレットを、本の溶融槽221に投入し、1150℃において、15時間溶融させた。このとき、気体バブリング装置206を用いて、カレットを溶融(本溶融)して得られたカレット溶融物内を「酸素ガス」でバブリングさせた。このバブリングは、ガラス1リットル当り、気体の供給速度0.024リットル/分、バブリングする液面からの深さを500mmとした。また、このガラスブロックを溶融する工程においては、カレット溶融物Dの上方の空間からの排出は行わなかった(本溶融工程)。得られたカレット溶融物を、次工程(清澄工程、攪拌工程、保冷工程)に移し、次工程で本比較例の光学ガラスを製造した。
【0087】
次に、図3を用いて、実施例の光学ガラスと比較例の光学ガラスにi線(365nm)を2.5W/cmの条件で照射した場合の透過率の変化を説明する。透過率は波長365nmにおける透過率をU−4000(日立製作所製)により測定した。
【0088】
図3は、実施例の光学ガラスと比較例の光学ガラスにi線(365nm)を照射した場合の透過率の変化を示した図である、図3に示すように、照射当初から比較例の光学ガラスは、実施例の光学ガラスよりも透過率の劣化率が大きい。また、照射時間が進行するにつれて、その傾向が顕著となっている。このように、ダクトを設けてカレット溶融物の上方の空間における気体を排出するとともに、気体バブリング装置を用いてバッチ溶融物及び/又は本溶融物内のバブリングを行うことによって、耐ソラリゼーション性に優れた光学ガラスを提供することができる。
【0089】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】(A)は、ガラス原料を溶融するバッチ溶融装置の平面図である。(B)は、カレットを溶融する本溶融装置の平面図である。
【図2】(A)は、本発明の実施形態のバブリング装置を使用するバッチ溶融装置の図1(A)のIV−IVに沿った断面図である。(B)は、本発明の実施形態のバブリング装置を使用する図1(B)のIV−IVに沿った本溶融装置の断面図である。
【図3】i線照射時間と光学ガラスの透過率の劣化率を示す図面である。
【符号の説明】
【0091】
100 バッチ溶融装置
102,202 溶融炉
104,204 パイプ
106,206 気体バブリング装置
121,221 溶融槽
122,222 炉体
126,226 開口部
216 排出管
200 本溶融装置
210 ダクト
A バッチ溶融物
D カレット溶融物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
「原料混合物(以下バッチという)を溶融しカレットを得る工程(以下、カレット化工程という)」及び/又は「カレット及び/またはバッチを溶融してガラスを得る工程(以降、本溶融工程という)」を有する光学ガラスの製造方法において、
得られるガラスの組成はSiO及び/またはBを含有し、
且つ、前記カレット化工程及び/又は前記本溶融工程の溶融物内に非酸化性気体をバブリングすることを特徴とする光学ガラスの製造方法。
【請求項2】
前記溶融物の液面から100mm以上の深さにおいて前記非酸化性気体を吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の光学ガラスの製造方法。
【請求項3】
前記非酸化性気体をガラス容積1リットルあたり0.002〜0.05リットル/分の供給速度で吹き込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学ガラスの製造方法。
【請求項4】
前記非酸化性気体は、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、H、CO又はこれら気体の複数種類の混合気体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【請求項5】
光学ガラスの組成は、質量%で、30%以上70%以下のSiO及び/又は3%以上20%以下のBを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【請求項6】
光学ガラスの組成は、質量%で、下記の成分を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
(a) SiO:30〜70%および/または
:3〜20%および/または
PbO:0〜2%および/または
Al:0〜6%および/または
LiO:0〜5%および/または
CaO:0〜2%および/または
TiO:0〜0.5%および/または
As:0〜1%および/または
Sb:0〜1%および/または
NaO:0〜13%および/または
O:0〜23%および/または
BaO:0〜42%および/または
ZnO:0〜7%
および
(b)上記酸化物の一部又は全部を置換したフッ化物のFの合計量が 0〜11%
【請求項7】
光学ガラスの組成は、質量%で、NaO+KO+BaO+ZnOが10〜45%であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【請求項8】
光学ガラスの組成は、質量%で、
SrO 0〜2%および/または
ZrO 0〜2%
であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【請求項9】
光学ガラスの組成は、質量%で、CaO+SrO+ZrOが0〜2%であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の光学ガラスの製造方法。
【請求項10】
SiO及び/又はBを少なくとも含有する光学ガラスの製造装置であって、
バッチを溶融してカレットを得るバッチ溶融装置および/又は前記カレットまたは前記バッチを溶融してガラス溶融物を得る本溶融装置を含み、非酸化性気体バブリング装置が前記原料混合物溶融装置内及び/又は前記カレット溶融装置内に設置されていることを特徴とする光学ガラスの製造装置。
【請求項11】
前記光学ガラスの組成は質量%で、
(a) SiO:30〜70%および/または
:3〜20%および/または
PbO:0〜2%および/または
Al:0〜6%および/または
LiO:0〜5%および/または
CaO:0〜2%および/または
TiO:0〜0.5%および/または
As:0〜1%および/または
Sb:0〜1%および/または
NaO:0〜13%および/または
O:0〜12%および/または
BaO:0〜42%および/または
ZnO:0〜7%
および
(b)上記酸化物の一部又は全部を置換したフッ化物のFの合計量が0〜11%
を含有することを特徴とする請求項10に記載の光学ガラスの製造装置。
【請求項12】
前記光学ガラスの組成は、質量%で、NaO+KO+BaO+ZnOが10〜45%であることを特徴とする請求項10または11のいずれかに記載の光学ガラスの製造装置。
【請求項13】
前記光学ガラスの組成は、質量%で、
SrO 0〜2%および/または
ZrO 0〜2%
であることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の光学ガラスの製造装置。
【請求項14】
前記光学ガラスの組成は、質量%で、CaO+SrO+ZrOが0〜2%であることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の光学ガラスの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−126296(P2007−126296A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317806(P2005−317806)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000128784)株式会社オハラ (539)
【Fターム(参考)】