説明

光学シート及び表示装置

【課題】光学的性能を維持、又は向上させることができるとともに、その他の技術的、及び生産性の観点からも優れた光学シートを提供する。
【解決手段】入射した光を制御して出射する層を有する光学シート10であって、第一光学シート11と、第一光学シートとは別体で該第一光学シートから所定の間隙Aを有して離隔して配置される第二光学シート21を有し、第一光学シートが、光を透過可能に形成されるプリズム部14、14、…と、光を吸収可能に形成される光吸収部15、15、…とがシート面に沿って交互に配列される光学機能シート層12を備え、第二光学シートが基板層22を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマテレビ等の表示装置に用いられ、入射した光を適切に制御して観察者側に出射する光学シート、及び該光学シートを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と記載することがある。)を備えたテレビ等の表示装置では、PDP等の光源よりも観察者側に光学シートが配置されている。該光学シートは、光源(映像光源)からの光を制御し、見易く適切な映像光を観察者側に出射する光学的な各種機能を備えたシートである。
【0003】
光学シートは、それぞれの機能を有する各層が積層されることにより形成されている。例えば特許文献1には、当該光学シートの積層構造が開示され、これにより映像光の透過率(輝度)及びコントラスト(明暗対比比)を向上させることができるとしている。
【0004】
一方、プラズマテレビに限らず、各種表示装置は近年において急速に多様化している。そして光学シートも当該多様化に追随して適切な該光学シートを提供することが求められている。
【0005】
特に、近年においてプラズマテレビの光学シートは、2種類に大別される。図11、図12にその概要を示した。図11、図12は、各種類のプラズマテレビ201、301におけるPDP202、302及び光学シート210、310を模式的に示した図である。図11、図12では紙面右が観察者側である。1つの種類は、図11に示したように、映像光源であるPDP202の観察者側に該PDP202から所定の間隙を有して光学シート210が配置される方式である(以下、「ガラスフィルタ方式」と記載することがある。)。この場合には、光学シート210にはガラス等の基板層222が設けられ、該基板層222の表及び/又は裏に各光学的機能を有する層223が一体に配置される。
【0006】
もう1つの種類は、図12に示したように、PDP302の投射光源側の面に直接一体に積層される光学シート310である(以下、「直張り方式」と記載することがある。)。当該直張り方式においては、ガラス等の基板が用いられず、光学的機能を有する層323が直接PDP302に積層されている。
【特許文献1】特開2006−189867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これら2つの方式は、それぞれ利点、及び解決すべき点を有しており、いずれか一方の方式で光学的特性と、その他技術的な特徴とを両立することが困難であった。具体的には直張り方式は光学的特性に優れるという特徴を有しているが、発光効率や放熱等の他の技術的観点、及び生産性の問題から必ずしも直張り方式を採用することができない場合があり、これを解決する要望があった。
【0008】
そこで本発明は、光学的性能を維持、又は向上させることができるとともに、その他の技術的、及び生産性の観点からも優れた光学シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0010】
請求項1に記載の発明は、入射した光を制御して出射する層を有する光学シート(10)であって、第一光学シート(11)と、第一光学シートとは別体で該第一光学シートから所定の間隙(A)を有して離隔して配置される第二光学シート(21)とを有し、第一光学シートが、光を透過可能に形成されるプリズム部(14、14、…)と、光を吸収可能に形成される光吸収部(15、15、…)とがシート面に沿って交互に配列される光学機能シート層(12)を備え、第二光学シートが基板層(22)を備えることを特徴とする光学シートにより前記課題を解決する。
【0011】
ここで、「間隙」に存する気体の種類は特に限定されるものではなく、真空度が高くされていても良い。その中でも製造上の容易性等の観点から通常圧の空気が存在することが好ましい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学シート(10)における第二光学シート(21)の基板層(22)に、光学的機能を有する1又は複数の光学フィルム(24、25、26)が順に関係なく積層されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光学シート(10)における第一光学シート(11)、又は第二光学シート(21)の少なくとも一方の間隙に面する側の面がマット面(19、19’)とされることを特徴とする。
【0014】
ここで「マット面」とは、意図的に設けられた微小の凹凸を有する面を意味し、ここで光を散乱反射が可能とされた面をいう。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の光学シート(10)の1又は複数の光学フィルムが、赤外線を遮断するフィルム(24)、電磁波を遮断するフィルム(25)、又は光の反射を防止するフィルム(26)から選ばれる1又は複数の光学フィルムであることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学シート(10)の光学機能シート層(11)の断面において、プリズム部(14、14、…)は幅の大きい下底を間隙(A、B)方向に向けて配置される台形形状を有し、光吸収部(15、15、…)は間隙とは反対方向に底辺を有する略三角形断面を具備することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光学シート(10)の光吸収部(15、15、…)の略三角形断面の底辺端部からシート厚方向に延在する斜面部分と、シート出光面の法線と、の成す角が、シート厚方向の一方と他方とで異なるように、斜面部分が曲線及び/又は折れ線状であることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の光学シート(10)の光吸収部(15、15、…)の略三角形断面の底辺端部からシート厚方向に延在する斜面部分と、シート出光面の法線と、の成す角が、シート厚方向の一方と他方とで異なるように、斜面部分が折れ線状であるとともに、成す角がいずれの位置でも0度よりも大きく10度以下であることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学シート(10)のプリズム部(14、14、…)が屈折率Npである樹脂により形成され、光吸収部(15、15、…)が屈折率Nbである樹脂により形成されるとともに、屈折率Npの大きさが屈折率Nbの大きさ以上であることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学シート(10)の光吸収部(15、15、…)に平均粒径が1μm以上の光吸収粒子を含有することを特徴とする。
【0021】
ここで「平均粒径が1μm以上」であることにおける「1μm」とは、重量分布法による粒度測定で得られる値である。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学シート(10)が備えられることを特徴とする表示装置(1)を提供することにより前記課題を解決する。
【0023】
請求項11に記載の発明は、プラズマディスプレイパネル(2)が備えられるプラズマテレビ(1)であって、プラズマディスプレイパネルの映像投射側に請求項1〜9のいずれか1項に記載された光学シート(10)が直接積層され、該光学シートの第一光学シート(11)がプラズマディスプレイパネルの映像投射側に配置されることを特徴とするプラズマテレビを提供することにより前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば上記直張り方式のようにPDPに直接積層させる光学シートの利点を生かしつつ、ガラスフィルタ方式の光学シートを利用することが可能なので、直張り方式において得られなかった技術的な特徴、及び生産性の観点から優れた光学シートを提供することができる。この際には、直張り方式の光学特性の利点は維持され、ゴースト発生や画面における色ムラを抑制することができる。
【0025】
また、本発明の光学シートでは複雑な構造を有する光学機能シート層と、比較的単純な構成を有する他の層とが別体として構成されているので、光学シートを構成する各層を積層し、光学シートを形成する際に中途における不具合を容易にやり直すことができる。具体的には例えば貼り付けに失敗した場合、他の層に糊残り等の影響なく剥がすことが可能となる。従って光学シートの歩留まりを向上させることもできる。
【0026】
さらには、設置される表示装置によって層構成の変更を必要とされる他の層が光学機能シート層と接着することなく設けられるので、製造において他の層の種類の切り替えも容易でこの観点からも生産性の向上をすることができる。
【0027】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0029】
図1は第一実施形態にかかる本発明の光学シート10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。図1では、見易さのため繰り返しとなる符号は一部省略している(以降に示す各図において同じ。)。光学シート10は、第一光学シート11、及び該第一光学シート11からAで示した間隙を有して配置される第二光学シート21を備えている。そして第一光学シート11は、光学機能シート層12と基材層としてのPETフィルム層13とを具備している。また、第二光学シート21は、基板層22と、該基板層22に積層される光学フィルム層23とを備えている。ここで光学フィルム層23は、赤外線カットフィルム層24、電磁波シールドフィルム層25、及び反射防止フィルム層26を有している。ここで第一光学シート11と第二光学シート21とは別体で設けられている。本実施形態では、上記各層は図1で示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在するように形成されている。以下に各層について説明する。
【0030】
光学機能シート層12は、第一光学シート11のシート面に直交する断面において断面が略台形であるプリズム部14、14、…と、該プリズム部14、14、…の間に配置される光吸収部15、15、…とを備えている。
【0031】
プリズム部14、14、…は略台形断面における短い上底を第一光学シート11のPDP2(図6参照)側のシート面に、長い下底を間隙Aの方向に向けて配置される。また、プリズム部14、14、…は、屈折率Npを有する光透過性樹脂で構成されている。これは通常、電離放射線、紫外線等により硬化する特徴を有する例えばウレタンアクリレート等により形成されている。
【0032】
光吸収部15、15、…は、プリズム部14、14、…の間に配置される略三角形断面を有する要素である。当該三角形断面の底辺に相当する面が間隙Aとは反対側に面するように配置されている。このとき該三角形断面の斜面は、光学シート10のシート面の法線方向に対して0度より大きく、10度以下の角度を有していることが好ましい。さらに好ましくは0度より大きく6度以下である。
【0033】
また、当該斜面の傾きは必ずしも一定である必要はなく折れ線状とされていてもよい。さらには曲線状とされてもよい。図2に光吸収部15’、15’’の斜面が折れ線状とされた例(図2(a))、及び曲線状とされた例(図2(b))を示した。図2(a)に示した場合には、光吸収部15’の斜面(プリズム部14’、14’の斜面)は、1つの平面からではなく、2つの平面から構成されている。すなわち断面において折れ線状の斜面を有している。詳しくは、底面側の斜面は光学シートのシート出光面の法線に対して角度θを有している。一方、他方側(紙面右側)に配置される斜面は光学シート10のシート出光面の法線に対して角度θを有している。この角度は、θ>θの関係であるとともにいずれも0度より大きく、10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。また、2つの斜面は、光学機能シート層12の厚み方向にTとTとに分ける位置で交差する。TとTとは同じ大きさであることが好ましい。これは2つの平面により構成されている例であるが、さらに多くの平面で構成されることにより、断面における折れ線状が形成されても良い。
【0034】
図2(b)に示した場合には、光吸収部15’’の斜面(プリズム部14’’、14’’、…の斜面)は曲面で構成されている。このように斜面が曲面であっても良い。この場合でも、当該斜面と第一光学シート11のシート出光面の法線との成す角は、底面側の他方側(紙面右側)の方が小さいことが好ましい。さらにその角度もいずれの部分でも0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。ここで、曲線とシート出光面の法線との成す角は、曲線を10等分し、各端部を結ぶ直線と、シート出光面の法線との成す角により定義される。
【0035】
さらに、当該光吸収部の形状は本実施形態のものに限定されるものではなく、外光を適切に吸収することが可能であれば適宜変更することが可能である。これには、例えば図3(a)、図3(b)に示した例を挙げることができる。図3(a)に示した光吸収部15’’’は、断面形状が矩形とされており、これに伴ってプリズム部14’’’の断面形状もプリズム部14の断面形状とは異なっている。また、図3(b)に示した光吸収部15’’’’は断面形状が5角形を有している。このように、光吸収部の断面が矩形、台形又は多角形であっても本発明の光学シートとすることができる。
【0036】
光吸収部15、15、…は、プリズム部14、14、…と同じ、又は小さい屈折率Nbを有する所定の材料により構成されている。このように光吸収部15、15…の屈折率Npとプリズム部14、14、…の屈折率NbとをNp≧Nbとすることにより、所定の条件でプリズム部14、14、…に入射した光源からの映像光を光吸収部15、15、…とプリズム部14、14、…との界面で適切に反射させ、観察者に明るい映像を提供することができる。NpとNbとの屈折率の差は特に限定されるものではないが、0〜0.06であることが好ましい。
【0037】
加えて、光吸収部15、15、…は、プリズム部14、14、…と、光吸収部15、15、…との界面で反射せず、該光吸収部15、15、…の内側に入射した光を吸収する機能を備えている。光を吸収させるための手段は特に限定されるものではないが、これには例えば光吸収性を有する粒子が含有されたり、顔料や染料により着色されたりすることを挙げることができる。これにより所定の角度で入射した観察者側からの外光を適切に吸収することができ、映像光のコントラストを向上させることが可能となる。ここで光吸収性を有する粒子が含有された場合には、該粒子の粒径は1μm以上であることが好ましい。当該粒子は光吸収性を有していれば特に限定されるものではないが、黒色であることが好ましく、これには市販の粒子を用いることもできる。またこの際には、上記粒子が配置される以外の該光吸収部の部分にはバインダーが充填される。そしてバインダー材が上記の屈折率Nbである材料により構成される。バインダー材として用いられるものは特に限定されないが、これには例えば、電離放射線、紫外線等により硬化する特徴を有するエポキシアクリレート等を挙げることができる。
【0038】
次にPETフィルム層13について説明する。PETフィルム層13は、該PETフィルム層13面上に上記光学機能シート層12を形成するためのベースとなるフィルム層で、PETを主成分としている。当該PETフィルム層13はPETを主成分として含有していれば良く、他の樹脂が含まれてもよい。また、各種添加剤を適宜な量添加してもよい。一般的な添加剤としては、フェノール系等の酸化防止剤、ラクトン系等の安定剤等を挙げることができる。
【0039】
ここで説明した本発明の光学シートにおいて、基材層については、その材料は必ずしもPETであることは必要なく、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、又はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂等の「ポリエステル系樹脂」を用いることができる。本実施形態では、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点からPETを主成分とする樹脂が好ましい材料であるとして説明した。
【0040】
また、PETフィルム層13は必ずしも必要な層ではなく、光学機能シート層12を備えている第一光学シート11であれば、当該PETフィルム層13が備えられなくても本発明の光学シート10とすることができる。本実施形態では、光学機能シート層12の製造における生産性等の観点からPETフィルム層13を備える態様を説明した。
【0041】
以上第一光学シート11には光学機能シート層12及びPETフィルム層13が積層されている態様を示したが、ここに含まれる層はこれに限定されることなく他の層を適宜追加することも可能である。これには例えば光学機能を有するフィルムを挙げることができる。
【0042】
次に第二光学シート21について説明する。第二光学シートに備えられる基板層22は、第一光学シート11のシート面から間隙Aを有し、該第一光学シート11に平行に配置された基板が配置される層である。本実施形態の基板層22はガラスにより形成されている。基板層22には後述する光学フィルム層23が積層され、該光学フィルム層23の基礎となる層である。
【0043】
間隙Aは、第一光学シート11と、第二光学シート21との間に設けられた間隙である。当該間隙Aについては間隙の距離やその内側に存する気体は限定されるものではないが、一例として、間隙の間隔は5mm程度で内側には空気が存在する態様を挙げることができる。
【0044】
光学フィルム層23は、各種光学機能を有するフィルムが基板層22に積層されて形成される層である。ここには必要に応じて各種フィルムを積層させることができる。本実施形態では、赤外線カットフィルム層24、電磁波シールドフィルム層25、及び反射防止フィルム層26が備えられている。その他のフィルムとしては色調を調整するフィルムや、ネオン線をカットするフィルム等を挙げることができる。
【0045】
また、上記光学シート10において、第一光学シート11、又は第二光学シート21の少なくとも一方について、間隙A側の面がマット面とされていても良い。マット面とは意図的に設けられた微小の凹凸を有する面である。これにより光学シート10が後述するようにプラズマテレビに備えられた場合において、特に外光が光学シートに照射されたとき、該外光が光学シートに入光しても当該マット面で外光を拡散することが可能となる。そして、該拡散により光が弱められ、強い光が光学シートの内部で数回に亘り反射することを防止することができ、反射光による光の干渉を抑制することが可能となる。
【0046】
当該マット面の形態は特に限定されるものではないが、例えば図4に示したようなものを挙げることができる。図4(a)は、表面形状が凹凸面19を有する形態、図4(b)は球形の粒子の一部を突出させて凹凸面19’を形成するものである。
【0047】
ここで、第一光学シート11、及び第二光学シート21に含まれる各層における積層の順は特に限定されることなく、適宜変更可能である。従って、マット面がいずれの層に形成されるかについても特に限定されない。
【0048】
以上のような光学シート10を提供することにより、製造における歩留まり等の効率を向上させることが可能となる。具体的には次のような効果を奏するものとなる。光学機能シート層12は上述のようにプリズム部14、14、…及び光吸収部15、15、…が交互に配置される。従って、その構造は他の層に比べて複雑となり、他の層と1度接着させ、そのときに不具合があっても再び剥がして再度接着し直すことが困難であった。しかし、本発明の光学シート10では、光学機能シート層12が第二光学シート21と離隔して配置されているので他の層との関係を再度調整しなおすことが容易で歩留まりを向上させることが可能となる。
【0049】
また、これら再調整については、基板層22、光学フィルム層23においても同様であり、基板層22に光学機能シート層12が積層されていないので、光学フィルム層23の交換、張替え等を容易におこなうことができる。
【0050】
図5は、第二実施形態にかかる本発明の光学シート20の層構成を模式的に示す断面図である。第二実施形態において用いられる各層の構成については第一実施形態の光学シート10と同じなので、図5では図1に用いた符号を利用した。光学シート20では、第二光学シート21における基板層22の表裏に光学フィルム層23の光学フィルムが分離して配置されている。具体的には、赤外線カットフィルム層24、及び電磁波シールドフィルム層25が、基板層22の一方側である第一光学シート11側に積層される。また、反射防止フィルム層26は基板層22の他方側に積層される。このとき、間隙Bは第一光学シート11と、赤外線カットフィルム層24との間隔により形成される。
【0051】
このように、本発明は、各種光学フィルムを基板層の表裏に任意に配置することができ、その積層も容易なので、生産性の高い光学シートを提供することができる。
【0052】
次に、本発明の光学シート10が表示装置であるプラズマテレビ1に取り付けられた時の構成及びそのときの光路等について説明する。図6は光学シート10がPDP2の映像光投射側に直接積層されたときにおける該PDP2、及び光学シート10が配置される部分に注目して示した断面図である。図6では紙面右が観察者側である。
【0053】
図6に示したように、本発明の光学シート10は、映像光源であるPDP2の映像投射側に直接積層される。このときPDP2には、第一光学シート11が積層される。PDP2に第一光学シート11を積層する方法は特に限定されるものではないが、これには、PDP2と第一光学シート11との間に不図示の接着剤層が設けられ、当該接着剤層を介して両者が接着されることを挙げることができる。
【0054】
次に光路等について説明する。図7は、本発明の光学シート10が備えられたプラズマテレビ1における映像光の光路の例を説明するための模式図である。図8は比較のために示したガラスフィルタ方式におけるプラズマテレビ101の光路例の模式図である。
【0055】
ガラスフィルタ方式のプラズマテレビ101においては、図8に示したようにPDP102の異なる位置y101及びy102から投射された映像光L101、L102は、同一のプリズム部114から観察者に提供される。従って観察者はほぼ同じ位置に異なる位置から投射された映像光を見ることになる。従って、これがゴーストや解像度の低下、及び鮮鋭度の低下として観察されてしまう。
【0056】
一方、本発明の光学シート10が備えられたプラズマテレビ1では、図7に示したように、同一のプリズム部14から観察者に提供される映像光L1、L2は、PDP2の位置y1、y2のようにその間隔が狭いのでわずかにゴーストは生じてはいるものの目立たない。このように、本発明の光学シート10をプラズマディスプレイパネルに直接積層させることにより、直張り方式の良好な光学特性を得ることができ、ゴーストの低減、解像度及び鮮鋭度の向上を図ることができる。
【0057】
なお、従来において提供される光学シートにおいても光学機能シート層をプラズマディスプレイパネルに直接積層することは可能である。しかし、従来の光学シートは上述のように他の層も一体にされているので、プラズマディスプレイパネル、光学機能シート層、及び他の層が一体化されてしまい、いずれかの層において、貼り付け後に不具合が発見されると全てを剥がす必要があり、生産性が低下する。一方、本発明においては一部の取り替えが可能なので、生産性を向上させることができる。また、その他放熱や発光効率等の観点から必ずしも直張り方式を採用することができなかった場合でも、本発明の光学シートによって当該問題を解消することができる。
【0058】
また、本発明の光学シート10では、このように直張り方式の利点を得られることに加え、ガラスフィルタ方式に用いられる基板層、及び光学フィルム層を用いることができ、共通の構成部分を有するのでその生産性を向上させることが可能となる。
【0059】
次に外光の及ぼす影響について説明する。図9は、本発明の光学シート10が備えられたプラズマテレビ1における外光の光路の例を説明するための模式図である。図10には比較のために示したガラスフィルタ方式におけるプラズマテレビ101の外光の光路例の模式図である。
【0060】
ガラスフィルタ方式のプラズマテレビ101においては、図10に示したように観察者側から入光した外光L103、L104は、その一部は外光L103のようにPDP102で反射した後、光吸収部115の底面でさらに反射し、その後また、観察者側に出射される。一方、外光L104は、光吸収部115では反射せず、PDP102表面で1度反射し、観察者側に出射される。このように従来の光学シート110がプラズマテレビ101に備えられたときには、外光の一部と他の一部で光路差を生じ、これが干渉縞として表れる場合があった。これはプラズマテレビ101の外観上好ましくなかった。
【0061】
本発明の光学シート10が備えられたプラズマテレビ1では、PDP2に光学機能シート層12が直接積層されているので、図9に示したように、外光L3及び外光L4とで光路差を生じることがない。従って上記干渉縞が発生することを防止することができる。
【0062】
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光学シート及び表示装置等も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第一実施形態にかかる本発明の光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図2】光吸収部の形状例を示した図である。
【図3】光吸収部の他の形状例を示した図である。
【図4】マット面の形態例を示した図である。
【図5】第二実施形態にかかる本発明の光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図6】本発明の光学シートがプラズマテレビに備えられた場面における光学シート、及びPDPの部分の層構成を模式的に表した図である。
【図7】図6に表したプラズマテレビにおける映像光の光路例を示した図である。
【図8】ガラスフィルタ方式の光学シートを備えたプラズマテレビにおける映像光の光路例を示した図である。
【図9】図6に表したプラズマテレビにおける外光の光路例を示した図である。
【図10】ガラスフィルタ方式の光学シートを備えたプラズマテレビにおける外光の光路例を示した図である。
【図11】ガラスフィルタ方式のプラズマテレビにおける光学シート及びPDPの部分の構成を示した図である。
【図12】直張り方式のプラズマテレビにおける光学シート及びPDPの部分の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0064】
1 プラズマテレビ(表示装置)
2 プラズマディスプレイパネル
10、20 光学シート
11 第一光学シート
12 光学機能シート層
13 PETフィルム層(基材層)
14 プリズム部
15 光吸収部
19 凹凸面(マット面)
21 第二光学シート
22 基板層
23 光学フィルム層
24 赤外線カットフィルム層
25 電磁波シールドフィルム層
26 反射防止フィルム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を制御して出射する層を有する光学シートであって、
第一光学シートと、前記第一光学シートとは別体で該第一光学シートから所定の間隙を有して離隔して配置される第二光学シートとを有し、
前記第一光学シートが、光を透過可能に形成されるプリズム部と、光を吸収可能に形成される光吸収部とがシート面に沿って交互に配列される光学機能シート層を備え、
前記第二光学シートが基板層を備える、ことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記第二光学シートの前記基板層に、光学的機能を有する1又は複数の光学フィルムが順に関係なく積層されることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記第一光学シート、又は前記第二光学シートの少なくとも一方の前記間隙に面する側の面がマット面とされることを特徴とする請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記1又は複数の光学フィルムが、赤外線を遮断するフィルム、電磁波を遮断するフィルム、又は光の反射を防止するフィルムから選ばれる1又は複数の光学フィルムであることを特徴とする請求項2又は3に記載の光学シート。
【請求項5】
前記光学機能シート層の断面において、前記プリズム部は幅の大きい下底を前記間隙方向に向けて配置される台形形状を有し、前記光吸収部は前記間隙とは反対方向に底辺を有する略三角形断面を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項6】
前記光吸収部の前記略三角形断面の前記底辺端部からシート厚方向に延在する斜面部分と、シート出光面の法線との成す角が、前記シート厚方向の一方と他方とで異なるように、前記斜面部分が曲線及び/又は折れ線状であることを特徴とする請求項5に記載の光学シート。
【請求項7】
前記光吸収部の前記略三角形断面の前記底辺端部からシート厚方向に延在する斜面部分と、シート出光面の法線と、の成す角が、前記シート厚方向の一方と他方とで異なるように、前記斜面部分が折れ線状であるとともに、前記成す角がいずれの位置でも0度よりも大きく10度以下であることを特徴とする請求項5に記載の光学シート。
【請求項8】
前記プリズム部が屈折率Npである樹脂により形成され、前記光吸収部が屈折率Nbである樹脂により形成されるとともに、屈折率Npの大きさが屈折率Nbの大きさ以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項9】
前記光吸収部に平均粒径が1μm以上の光吸収粒子を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学シートが備えられることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
プラズマディスプレイパネルが備えられるプラズマテレビであって、
前記プラズマディスプレイパネルの映像投射側に請求項1〜9のいずれか1項に記載された光学シートが直接積層され、該光学シートの前記第一光学シートが前記プラズマディスプレイパネルの映像投射側に配置されることを特徴とするプラズマテレビ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−145602(P2008−145602A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330953(P2006−330953)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】