説明

光学フィルムの中間搬送装置

【課題】定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度の増速を抑え、定速搬送装置による光学フィルムの搬送精度の悪化、及び光学フィルムに対する回収時の過度の衝撃の作用を防止することができる光学フィルムの中間搬送装置を提供する。
【解決手段】帯状の光学シートSを光学レーザ装置23,24により2枚の光学フィルムS1に切断する光学レーザユニット2と光学フィルムS1を一定速度で搬送する定速搬送装置3との間に設けられた中間搬送装置1として、光学レーザユニット2からの光学フィルムS1を上流側装置本体部6で受け取る際に光学レーザユニット2からの送り出し速度よりも若干速い第1の搬送速度で上記光学フィルムを受け取るように加速され、光学フィルムS1を下流側装置本体部7から定速搬送装置3に受け渡す際に定速搬送装置3による搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度に減速している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルなどの基板に貼り合わせる偏光フィルム、輝度向上フィルム、及び位相差フィルムなどの光学フィルムを上流側と下流側との搬送装置の間において円滑に受け渡すようにした光学フィルムの中間搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種中間搬送装置としては、搬送されてきた帯状の光学シートを光学レーザにより枚葉体の光学フィルムに切断する上流側の搬送装置としての光学レーザユニットに連設され、かつこの光学レーザユニットから送り出された上記光学フィルムを一定速度で連続的に搬送する下流側の搬送装置としての定速搬送装置に受け渡すようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、中間搬送装置は、この間欠的に搬送された光学フィルムを定速搬送装置に受け渡している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2010/021026 A1 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の中間搬送装置では、光学レーザユニットから送り出された光学フィルムを間欠的に搬送しているため、光学フィルムの生産性の向上を図る上で不利なものとなる。
【0005】
そこで、中間搬送装置を、光学レーザユニットから送り出された光学フィルムを停止させることなく連続的に搬送させるようにすることが考えられる。
【0006】
その場合、中間搬送装置による光学フィルムの搬送速度が光学レーザユニットからの光学フィルムの送り出し速度よりも遅いと、光学レーザユニットからの受け取り時に光学フィルムに弛みが生じてしまう。
かかる点から、中間搬送装置による光学フィルムの搬送速度を光学レーザユニットからの光学フィルムの送り出し速度よりも速い速度に増速させる必要がある。
【0007】
このとき、定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度が中間搬送装置による光学フィルムの搬送速度よりも遅いと、定速搬送装置への受け渡し時にも光学フィルムに同様に弛みが生じてしまう。このため、定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度を、光学レーザユニットからの光学フィルムの送り出し速度よりも増速させた中間搬送装置による光学フィルムの搬送速度よりもさらに速い速度に増速させる必要がある。
【0008】
しかし、これでは、定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度が速くなりすぎてしまい、定速搬送装置による光学フィルムの搬送精度が悪化したり、その下流側において最終的に回収される光学フィルムの回収時に過度の衝撃が光学フィルムに作用するおそれがある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度の増速を抑え、定速搬送装置による光学フィルムの搬送精度の悪化、及び光学フィルムに対する回収時の過度の衝撃の作用を防止することができる光学フィルムの中間搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明が講じた解決手段は、搬送されてきた帯状の光学シートを光学レーザにより枚葉体の光学フィルムに切断する光学レーザユニットと上記光学フィルムを一定速度で搬送する定速搬送装置との間に設けられ、上記光学レーザユニットから送り出された上記光学フィルムを上記定速搬送装置に受け渡すようにした光学フィルムの中間搬送装置を前提とする。そして、上記光学レーザユニットからの光学フィルムを装置本体で受け取る際に上記光学レーザユニットからの送り出し速度よりも若干速い第1の搬送速度で上記光学フィルムが受け取られるように調速されているとともに、上記光学フィルムを上記装置本体から上記定速搬送装置に受け渡す際には上記定速搬送装置による搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度に調速されている。
【0011】
この特定事項により、中間搬送装置は、光学レーザユニットからの光学フィルムを装置本体で受け取る際に光学レーザユニットからの送り出し速度よりも若干速い第1の搬送速度で上記光学フィルムが受け取られるように調速され、光学レーザユニットからの受け取り時に光学フィルムに弛みを生じさせることがない。
その場合、中間搬送装置は、光学フィルムを装置本体から定速搬送装置に受け渡す際に上記定速搬送装置による搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度に調速されるので、定速搬送装置への受け渡し時にも光学フィルムに弛みを生じさせることがない。このため、定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度を、光学レーザユニットからの光学フィルムの送り出し速度よりも増速させた中間搬送装置による光学フィルムの搬送速度よりもさらに速い速度に増速させる必要がない。これにより、定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度の増速が抑えられ、定速搬送装置による光学フィルムの搬送精度が悪化することがない上、その下流側において最終的に回収される光学フィルムの回収時に過度の衝撃が光学フィルムに作用することもない。
【0012】
また、上記装置本体は、上記光学レーザユニットから受け取った光学フィルムの搬送方向全長を載置可能とする搬送方向長さを有し、かつ上記光学フィルムを受け取って載置し終えた際に上記第1の搬送速度から上記第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さを有していることが好ましい。
【0013】
この場合には、光学レーザユニットから光学フィルムを受け取る際にその光学フィルムの搬送方向全長が載置されて、光学レーザユニットからの光学フィルムを円滑に受け取ることができる。しかも、中間搬送装置の装置本体は、光学フィルムを受け取って載置し終えた際に第1の搬送速度から第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さを有しているので、光学フィルムを受け取って載置し終えてから第2の搬送速度に円滑に調速することができる。
【0014】
また、上記光学レーザユニット及び上記装置本体は、上記光学レーザによる光学フィルムの切断長さに応じて当該光学フィルムの搬送方向長さを変更する変更手段をそれぞれ備えており、上記装置本体の変更手段は、上記光学レーザユニット及び上記装置本体による光学フィルムの搬送方向長さの和が一定に保たれるように、上記光学レーザユニットの変更手段により変更された光学フィルムの搬送方向長さに応じて上記装置本体による光学フィルムの搬送方向長さを相対的に変更していてもよい。
【0015】
この場合には、中間搬送装置の装置本体の変更手段により、光学レーザユニットの変更手段により変更された光学フィルムの搬送方向長さに応じて装置本体による光学フィルムの搬送方向長さが相対的に変更されるので、光学レーザによる光学フィルムの切断長さが変更されても光学レーザユニット及び装置本体による光学フィルムの搬送方向長さの和が常に一定に保たれ、光学レーザユニット及び装置本体の搬送方向長さの増大化を抑制することができる。
【0016】
また、上記装置本体は、上記光学レーザユニットから送り出された光学フィルムを受け取って搬送する上流側装置本体部と、この上流側装置本体部で搬送された光学フィルムを受け取って上記定速搬送装置に受け渡す下流側装置本体部とを備えており、上記上流側装置本体部及び上記下流側装置本体部は、上記光学レーザユニットから送り出された光学フィルムの搬送方向全長を載置可能な搬送方向長さをそれぞれ有し、かつ上記光学フィルムを受け取って載置し終えた際に上記第1の搬送速度から上記第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さをそれぞれ有していることが好ましい。
【0017】
この場合には、上流側装置本体部は、光学レーザユニットから光学フィルムを受け取る際に上記光学レーザユニットによる搬送速度よりも若干速い第1の搬送速度に調速されているので、光学レーザユニットからの受け取り時に光学フィルムに弛みを生じさせることなく円滑に受け取ることができる。また、下流側装置本体部は、第2の搬送速度に調速された上流側装置本体部から光学フィルムを受け取る際にその上流側装置本体部により調速された第2の搬送速度よりも若干速い第1の搬送速度に調速されているので、上流側装置本体部からの受け渡し時に光学フィルムに弛みを生じさせることなく円滑に受け取ることができる。しかも、下流側装置本体部は、定速搬送装置に光学フィルムを受け渡す際にその定速搬送装置による搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度に調速されているので、定速搬送装置への受け渡し時に光学フィルムに弛みを生じさせることなく円滑に受け渡すことができる。
【0018】
これに対し、上記装置本体は、上記光学レーザユニットから送り出された光学フィルムを受け取って搬送する上流側装置本体部と、この上流側装置本体部で搬送された光学フィルムを受け取って上記定速搬送装置に受け渡す下流側装置本体部とを備えており、上記上流側装置本体部及び上記下流側装置本体部は、その両本体部を合わせて、上記光学レーザユニットから送り出された光学フィルムの搬送方向全長を載置可能な搬送方向長さを有し、かつ上記光学フィルムを受け取って載置し終えた際に上記第1の搬送速度から上記第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さを有していることが好ましい。
【0019】
この場合には、上流側装置本体部及び下流側装置本体部は、定速搬送装置に光学フィルムを受け渡す際にその定速搬送装置による搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度に調速されているので、定速搬送装置への受け渡し時に光学フィルムに弛みを生じさせることなく円滑に受け渡すことができる。
【0020】
更に、上記光学レーザユニットは、その光学シートの搬送方向に複数の光学レーザを備えていてもよい。
【0021】
この場合には、搬送されてきた光学シートが光学レーザによって複数の枚葉体の光学フィルムに切断され、光学フィルムの生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上、要するに、中間搬送装置を、光学レーザユニットからの光学フィルムを装置本体で受け取る際に光学レーザユニットからの送り出し速度よりも若干速い第1の搬送速度で上記光学フィルムが受け取られるように調速した中間搬送装置を、光学フィルムを装置本体から定速搬送装置に受け渡す際に上記定速搬送装置による搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度に調速することで、光学レーザユニットからの受け取り時及び定速搬送装置への受け渡し時に光学フィルムに弛みを生じさせることがなく、定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度を中間搬送装置による光学フィルムの搬送速度よりもさらに速い速度に増速させる必要がない。これにより、定速搬送装置による光学フィルムの搬送速度の増速を抑えて、定速搬送装置による光学フィルムの搬送精度の悪化を防止することができる上、その下流側での回収時に光学フィルムに作用する過度の衝撃を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る中間搬送装置及び光学レーザユニットにより小サイズの光学フィルムを搬送する場合の側面図である。
【図2】図1の光学レーザユニットに巻出装置から巻き出した光学シートを搬送するフィード装置の側面図である。
【図3】図1の中間搬送装置及び光学レーザユニットにより中サイズの光学フィルムを搬送する場合の側面図である。
【図4】図1の中間搬送装置及び光学レーザユニットにより大サイズの光学フィルムを搬送する場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態に係る光学フィルムの中間搬送装置1について説明する。
【0025】
図1に示すように、上記中間搬送装置1は、後述するフィード装置4から搬送されてきた帯状の光学シートSを切断する光学レーザユニット2と、この光学レーザユニット2により切断された光学フィルムS1を一定速度で連続的に搬送する定速搬送装置3との間に設けられている。この場合、光学フィルムS1は、小サイズ(例えばワイドタイプの32インチサイズ)の液晶モニタ用のものとされている。
【0026】
上記光学レーザユニット2は、図示しない筺体フレームを備えている。また、上記光学レーザユニット2は、図示しないサーボモータの駆動軸に回転一体に連結された単一の駆動ロール21aと、8つの第1〜第8従動ロール21b〜21iと、これらのロール21a〜21iに巻き掛けられたベルト22とを備えている。そして、上記光学レーザユニット2は、第2及び第3従動ロール21c,21d間、並びに第6及び第7従動ロール21g,21h間に巻き掛けられたベルト22の第1及び第2搬送領域A1,A2において光学シートS及び光学フィルムS1を搬送させるようにしている。また、上記光学レーザユニット2は、上記光学シートSの搬送方向に2つ並設された光学レーザ装置23,24(光学レーザ)を備えている。上記各光学レーザ装置23,24のうち、搬送方向上流側(図1では右側)に位置する第1光学レーザ装置23は、上記第6及び第7従動ロール21g,21h間におけるベルト22の第2搬送領域A2の搬送方向直上流側に配置されている。一方、搬送方向下流側に位置する第2光学レーザ装置24は、上記第2及び第3従動ロール21c,21d間におけるベルト22の第1搬送領域A1と上記第6及び第7従動ロール21g,21h間におけるベルト22の第2搬送領域A2との間に配置されている。そして、上記第4従動ロール21eが第3従動ロール21dの下方に、上記第5従動ローラ21fが第6従動ロール21gの下方にそれぞれ配置され、これらの従動ローラ21e,21fに第3従動ロール21dと第6従動ロール21gとの間のベルト22を巻き掛けることによって、第3従動ロール21dと第6従動ロール21gとの間つまりベルト22の第1及び第2搬送領域A1,A2間に第2光学レーザ装置24の収容空間を形成している。
【0027】
上記各光学レーザ装置23,24は、上記光学シートSの下方に配置され、光学シートSの幅方向(図1では紙面手前奥方向)にレーザを走査させるように水平移動し、上方を通過する光学シートSをその搬送方向に切断する。また、各光学レーザ装置23,24の上方には、切断部位から発生したガス(煙)を集煙する第1及び第2集煙ダクト231,241が光学シートSを挟んで当該各光学レーザ装置23,24と対向するように配置されている。更に、各光学レーザ装置23,24は、その搬送方向両側に光学シートSの搬送を案内する案内面を有する薄箱状のテーブル部232,242を備えている。このテーブル部232,242は、その案内面の全域に亘って開口する多数の孔部(図示せず)を有し、図示しない切替手段を介してエア吸引手段(図示せず)及びエア吹出手段(図示せず)に連結されている。
【0028】
上記光学レーザユニット2と上記中間搬送装置1との間には、光学シートS及び光学フィルムS1の搬送を案内する案内面を有する薄箱状のテーブル部28が設けられている。このテーブル部28は、その案内面の全域に亘って開口する多数の孔部(図示せず)を有し、図示しない切替手段を介して上記エア吸引手段及びエア吹出手段に連結されている。また、上記テーブル部28の上方には、上記光学レーザユニット2に搬送されてきた光学シートSの前端(図1では左端)を高精度に検出する高感度カメラ29が設けられている。
【0029】
そして、上記各テーブル部28,232,242は、光学シートSの先端が高感度カメラ29で検出されると、上記光学レーザユニット2のサーボモータの駆動停止に伴い駆動ロール21aを停止させてベルト22の搬送を停止し、それぞれ切替手段によりエアー吸引手段に切り替えて光学シートSを案内面に吸着させ、レーザ装置23,24による光学シートSの切断が円滑に行えるようにしている。一方、レーザ装置23,24による光学シートSの切断が完了すると、それぞれ切替手段によりエア吹出手段に切り替えて光学シートS及び光学フィルムS1を各テーブル28,232,242の案内面から浮かせ、ベルト22上での光学シートS及び光学フィルムS1の搬送が抵抗なく行えるようにしている。この場合、ベルト22は、光学シートSの先端が高感度カメラ29で検出された時点から光学レーザ装置23,24による光学シートSの切断が完了するまでの間、サーボモータの駆動停止に伴い駆動ロール21aを停止させる一方、光学シートSの切断が完了してから光学シートSの先端が高感度カメラ29で検出されるまでの間、サーボモータを駆動させて駆動ロール21aを回転させ、これによって間欠動作が行われるようになっている。
【0030】
また、図2に示すように、上記光学レーザユニット2の搬送方向上流側には、この光学レーザユニット2に光学シートSを搬送するフィード装置4が設けられている。このフィード装置4は、巻出装置5の元コイル51から繰り出される光学シートSを導くメインフィードロール41と、光学シートSを光学レーザユニット2に導くサブフィードロール43と、上記両フィードロール41,43間に配置されたアキューム装置45とを備えている。
【0031】
上記メインフィードロール41は、これと対をなすバックアップロール42を備え、巻出装置5から光学シートSを繰り出すようにサーボモータ(図示せず)に駆動連結されている。そして、上記メインフィードロール41は、バックアップロール42とのニップ間に光学シートSを通し、サーボモータの作用下に所定の周速になるように速度制御されるとともに、図示しないエンコーダを介して光学シートSの繰り出し長さを検出している。このメインフィードロール41のサーボモータとしては、出力が2kw、回転数が2000rpm程度のものが適用されている。
【0032】
上記サブフィードロール43は、これと対をなすバックアップロール44を備え、上記フィード装置4からの光学シートSを上記光学レーザユニット2に送り出すようにサーボモータ(図示せず)の駆動軸に回転一体に連結されている。そして、上記サブフィードロール43は、バックアップロール44とのニップ間に光学シートSを通し、サーボモータの作用下に所定の周速になるように速度制御される。このサブフィードロール43のサーボモータとしては、出力が1.73kw、回転数が150rpm程度の特殊低回転タイプのダイレクトドライブモータが適用されている。また、サブフィードロール43のサーボモータは、光学レーザユニット2の駆動ロール21aのサーボモータと同期し、光学シートSの先端が高感度カメラ29で検出された時点から光学レーザ装置23,24による光学シートSの切断が完了するまでの間、停止する一方、光学シートSの切断が完了してから光学シートSの先端が高感度カメラ29で検出されるまでの間、駆動回転し、これによって光学シートSの間欠動作(例えば、0〜90m/minの搬送速度)を行わせるようにしている。この場合、光学レーザユニット2の駆動ロール21aのサーボモータは、光学シートSの切断が完了すると、光学シートS及び光学フィルムS1の搬送速度が最大搬送速度(例えば90m/min)となるまで加速する。また、サブフィードロール43のサーボモータも、光学シートSの切断が完了すると、光学レーザユニット2の駆動ロール21aのサーボモータと同期して駆動回転し、光学シートSを同じ搬送速度(例えば90m/min)で光学レーザユニット2に送り出すように加速する。
【0033】
上記巻出装置5は、原コイル51の制動トルクを調節する制動用モータ52を備えている。この制動用モータ52は、例えばベクトル制御インバータによりトルク制御可能な公知のモータであり、普通、巻出中は発電機のように負荷として働く。原コイル51は、その巻芯(図示せず)の両端部を、図示しない原コイル支持装置の一対の巻芯チャックに装着することにより、巻芯を中心に回転可能に支持されている。この場合、制動用モータ52の回転は巻芯チャックに伝動装置(図示せず)を介して伝達され、巻芯チャックは巻芯を固く保持できるようになっているので、制動用モータ52の制動トルクを原コイル51に伝えることができる。
【0034】
そして、上記光学シートSを原コイル51から繰り出すには、サーボモータによりメインフィードロール41を回転駆動するとともに、制動用モータ52により原コイル51に制動トルクを与える。このとき、原コイル51とメインフィードロール41との間の光学シートSには、原コイル51の制動トルクを原コイル51の半径で割り算して得た値に等しい延伸力が生じるので、制動用モータ52が出す制動トルクの大きさを調節することにより、繰り出される光学シートSにシワが生じないように最適の延伸力を付与する。そして、所要のシート延伸力の設定値と原コイル51の半径とを掛け算することにより制動トルクの目標値を演算し、光学シートSに最適の延伸力が生じるように制動用モータ52の出力トルクが自動的に調節される。なお、制動用モータ52は、必要に応じてパウダーブレーキ等の、制動トルクを調節可能な公知のブレーキ装置に替えてもよい。
【0035】
また、上記アキューム装置45は、第1〜第3ロール451〜453を備えている。各ロール451〜453のうち、第1及び第3ロール451,453は、図示しないサーボモータの駆動軸461に基端が回転一体に連結された長尺アーム部材46の先端にそれぞれ回転自在に支持されている。この長尺アーム部材46の先端は、駆動軸461回りとなる周方向で後前(図2では右左)に二分岐しており、それぞれの先端に第1及び第3ロール451,453を支持している。そして、上記長尺アーム部材46は、上記光学シートSの切断時に光学レーザユニット2の駆動ロール21aが停止すると、巻出装置5から繰り出される光学シートSにシワが生じないようにサーボモータにより駆動軸461回りに反光学レーザユニット2側(図2では時計回り)に連続的に揺動し、巻出装置5から繰り出される光学シートSの繰り出し量を吸収している。このとき、長尺アーム部材46のサーボモータは、その長尺アーム部材46の揺動量つまり第1及び第3ロール451,453の揺動位置を常に監視しており、当該各ロール451,453の位置制御に供される。
【0036】
更に、上記第2ロール452は、図示しないサーボモータの駆動軸471に基端が回転一体に連結された短尺アーム部材47の先端に回転自在に支持されている。この短尺アーム部材47は、上記長尺アーム部材46の揺動時に光学シートSに作用する張力が最適となるように揺動する。つまり、短尺アーム部材47は、長尺アーム部材46の揺動によって第1及び第3ロール451,453に位置ずれが生じているときに光学シートSの張力が最適となるようにサーボモータにより駆動軸471回りに揺動する。このとき、短尺アーム部材47のサーボモータは、その短尺アーム47の揺動負荷つまり光学シートSから第2ロール452及び短尺アーム部材47を介して駆動軸471に作用する張力を常に監視しており、光学シートSの張力制御に供される。
【0037】
上記定速搬送装置3は、図示しないサーボモータの駆動軸に回転一体に連結された単一の駆動ロール(図示せず)と、複数の従動ロール31a,31b(図1では2つのみ示す)と、これらのロールに巻き掛けられたベルト32とを備えている。そして、上記定速搬送装置3の駆動ロールのサーボモータは、常時一定回転数で駆動回転し、これによってベルト32を一定の搬送速度(例えば、60m/minの搬送速度)で駆動させるようにしている。
【0038】
上記中間搬送装置1は、光学レーザユニット2側となる上流側装置本体部6と、定速搬送装置3側となる下流側装置本体部7とに分割された装置本体10を備えている。上記上流側装置本体部6は、図示しないサーボモータの駆動軸に回転一体に連結された単一の駆動ロール61aと、5つの第1〜第5従動ロール61b〜61fと、これらのロール61a〜61fに巻き掛けられたベルト62とを備えている。そして、上記上流側装置本体部6は、第3及び第4従動ロール61d,61e間に巻き掛けられたベルト62の搬送領域Bにおいて光学フィルムS1を搬送させるようにしている。このベルト62の搬送領域Bは、上記光学レーザ装置23,24により切断した2枚の光学フィルムS1,S1の搬送方向全域を載置可能とする長さを有している。この場合、ベルト62は、駆動ロール61aを駆動回転させるサーボモータにより、40〜105m/minの搬送速度の範囲内で可変に搬送されるようになっている。
【0039】
そして、上記上流側装置本体部6の駆動ロール61aのサーボモータは、上記光学レーザユニット2において光学シートSの切断が完了した際に駆動回転する上記サブフィードロール43のサーボモータ及び上記光学レーザユニット2の駆動ロール21aのサーボモータと同じタイミングで加速する。このとき、ベルト62は、駆動ロール61aのサーボモータの加速によって、光学レーザユニット2のベルト22の搬送速度(90m/min)よりも若干速い第1の搬送速度(例えば105m/min)に調速(加速)される。この場合、ベルト62をベルト22の搬送速度よりも若干速い第1の搬送速度で搬送させるのは、ベルト22からベルト62に受け渡す際に光学フィルムS1に弛みを生じさせないためであり、ベルト62に受け渡された際にベルト22と光学フィルムS1との間で発生する摩擦が許容範囲内となる30%未満の搬送速度差であれば問題ない。
【0040】
また、上記上流側装置本体部6は、上記ベルト62の搬送領域Bにおいて搬送されてきた光学フィルムS1の先端位置(ここでは先頭の光学フィルムS1の前端位置)を検出する前端位置検出センサ63を備えている。そして、上記上流側装置本体部6の駆動ロール61aのサーボモータは、上記前端位置検出センサ63によりベルト62の搬送領域Bにおいて先頭の光学フィルムS1の前端位置が検出されると、上記下流側装置本体部7のベルト72(後述する)の搬送速度(例えば60m/min)よりも若干遅い搬送速度(例えば45m/min)に調速(減速)されるように減速される。このベルト62の搬送領域Bは、光学レーザユニット2から受け渡されて搬送方向全域が載置された2枚の光学フィルムS1のうちの先頭の光学フィルムS1の前端位置が前端位置検出センサ63により検出された際に、下流側装置本体部7のベルト72の搬送速度よりも若干遅い搬送速度までベルト62の搬送速度を調速(減速)させるに必要な長さを有している。この場合、ベルト62をベルト72の搬送速度(60m/min)よりも若干遅い搬送速度(例えば45m/min)に減速させるのは、ベルト62からベルト72に受け渡す際に光学フィルムS1に弛みを生じさせないためであり、ベルト72に受け渡された際にベルト62と光学フィルムS1との間で発生する摩擦が許容範囲内となる30%未満の搬送速度差であれば問題ない。
【0041】
一方、上記下流側装置本体部7は、図示しないサーボモータの駆動軸に回転一体に連結された単一の駆動ロール71aと、5つの第1〜第5従動ロール71b〜71fと、これらのロール71a〜71fに巻き掛けられたベルト72とを備えている。そして、上記上流側装置本体部7は、第3及び第4従動ロール71d,71e間に巻き掛けられたベルト72の搬送領域Cにおいて光学フィルムS1を搬送させるようにしている。このベルト72の搬送領域Cは、上記光学レーザ装置23,24により切断した2枚の光学フィルムS1,S1の搬送方向全域を載置可能とする長さを有している。この場合、ベルト72は、駆動ロール71aを駆動回転させるサーボモータにより、40〜60m/minの搬送速度の範囲内で可変に搬送されるようになっている。
【0042】
そして、上記下流側装置本体部7の駆動ロール71aのサーボモータは、通常時に60m/minの搬送速度でベルト72を搬送させるように駆動回転している。また、上記下流側装置本体部7は、上記ベルト72の搬送領域Cの上流側において2番目に搬送されてきた光学フィルムS1の後端位置を検出する後端位置検出センサ73と、上記ベルト72の搬送領域Cの下流側において先頭の光学フィルムS1の前端位置を検出する前端位置検出センサ74とを備えている。そして、上記下流側装置本体部7は、上記ベルト72の搬送領域Cにおいて2番目の光学フィルムS1の後端位置を上記後端位置検出センサ73が検出することで、当該ベルト72上に2枚の光学フィルムS1の搬送方向全域が載置されたことを検知している。
【0043】
また、上記下流側装置本体部7の駆動ロール71aのサーボモータは、上記前端位置検出センサ74によりベルト72の搬送領域Cの下流側において先頭の光学フィルムS1の前端位置が検出されると、上記定速搬送装置3のベルト32の搬送速度(例えば60m/min)よりも若干遅い第2の搬送速度(例えば45m/min)に調速(減速)されるように減速される。このベルト72の搬送領域Cは、上流側装置本体部6から受け渡されて搬送方向全域が載置された2枚の光学フィルムS1のうちの先頭の光学フィルムS1の前端位置が前端位置検出センサ74により検出された際に、定速搬送装置3のベルト32の搬送速度よりも若干遅い搬送速度までベルト72の搬送速度を調速(減速)させるに必要な長さを有している。この場合、ベルト72をベルト32の搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度に減速させるのは、ベルト72からベルト32に受け渡す際に光学フィルムS1に弛みを生じさせないためであり、ベルト32に受け渡された際にベルト72と光学フィルムS1との間で発生する摩擦が許容範囲内となる30%未満の搬送速度差であれば問題ない。
【0044】
そして、上記光学レーザユニット2の駆動ロール21a並びに第1及び第2従動ロール21b,21cは、上記筺体フレームに固定されている。これに対し、上記第3〜第6従動ロール21d〜21g、第2光学レーザ装置24及び第2集煙ダクト241は、光学フィルムS1の搬送方向の長さつまりベルト22の第1及び第2搬送領域A1,A2の長さを変更する第1及び第2変更手段27A,27Bを介して上記筺体フレームにそれぞれ支持されている。この第1変更手段27Aは、上記筺体フレームに対しレール(図示せず)を介してベルト22の搬送方向に移動可能に支持された第1支持フレーム(図示せず)を備えている。この第1支持フレームには、上記第3〜第6従動ロール21d〜21g、第2光学レーザ装置24及び第2集煙ダクト241が取り付けられている。また、上記第2変更手段27Bは、上記筺体フレームに対しレール(図示せず)を介してベルト22の搬送方向に移動可能に支持された第2支持フレーム(図示せず)を備えている。この第2支持フレームには、上記第7及び第8従動ロール21h,21i、並びにテーブル部28及び高感度カメラ29が取り付けられている。そして、上記第1支持フレーム及び第2支持フレームは、これらにそれぞれ固設されたピニオンギヤ(図示せず)と図示しないサーボモータが回転一体に連結されたラック(図示せず)との噛み合いによってベルト22の搬送方向に移動可能となっている。この場合、ピニオンギヤとラックとの噛み合いにより発生するバックラッシは、2枚のピニオンギヤに挟まれたノーバックラッシュギアを用いるなどして殺している。
【0045】
このとき、第3〜第6従動ロール21d〜21g、第2光学レーザ装置24及び第2集煙ダクト241は、第1変更手段27Aによってそれぞれベルト22の搬送方向へ一体的に移動し、それぞれの移動量が同一となっている。また、第7及び第8従動ロール21h,21i、並びにテーブル部28及び高感度カメラ29は、第2変更手段27Bによってそれぞれベルト22の搬送方向へ一体的に移動し、それぞれの移動量が同一となっている。つまり、図3及び図4に示すように、第3〜第6従動ロール21d〜21g、第2光学レーザ装置24及び第2集煙ダクト241の移動量と、第7及び第8従動ロール21h,21i、並びにテーブル部28及び高感度カメラ29の移動量とは、光学レーザユニット2の各光学レーザ装置23,24により切断される光学フィルムS2,S3の大きさに応じて変更される。具体的には、第7及び第8従動ロール21h,21i、並びにテーブル部28及び高感度カメラ29は、各光学レーザ装置23,24により切断される中サイズ(例えばワイドタイプの40インチサイズ)の液晶モニタ用の光学フィルムS2又は大サイズ(例えばワイドタイプの46インチサイズ)の液晶モニタ用の光学フィルムS3に応じた光学シートSの前端(図3及び図4では左端)の上方に高感度カメラ29が対応する位置まで第2支持フレームによってそれぞれベルト22の搬送方向へ一体的に移動する。一方、第3〜第6従動ロール21d〜21g、第2光学レーザ装置24及び第2集煙ダクト241は、第2光学レーザ装置24により切断される中サイズの光学フィルムS2又は大サイズの光学フィルムS3の切断位置(2枚の光学フィルムS2,S2又はS3,S3の間)の下方に第2光学レーザ装置24が対応する位置まで第1支持フレームによってそれぞれベルト22の搬送方向へ一体的に移動する。このとき、第7及び第8従動ロール21h,21i、並びにテーブル部28及び高感度カメラ29の移動量と、第3〜第6従動ロール21d〜21g、第2光学レーザ装置24及び第2集煙ダクト241の移動量とは、各光学レーザ装置23,24により切断される光学フィルムS1〜S3のサイズに応じて予め設定されている。この場合、ベルト22の第1及び第2搬送領域A1,A2は、駆動ロール21aと第8従動ロール21iとの間でのベルト22の掛け渡し量を増減させることで、光学フィルムS1〜S3のサイズに応じて変更される。
【0046】
また、上記上流側装置本体部6の駆動ロール61a及び第1〜第5従動ロール61b〜61fは、第3支持フレーム(図示せず)に取り付けられている。この第3支持フレームは、上記筺体フレームに対しレール(図示せず)を介してベルト62の搬送方向に移動可能に支持されている。また、前端位置検出センサ63も、第3支持フレームに取り付けられている。そして、上記第3支持フレームは、これに固設されたピニオンギヤ(図示せず)と図示しないサーボモータが回転一体に連結されたラック(図示せず)との噛み合いによってベルト62の搬送方向に移動可能となっている。この場合、ピニオンギヤとラックとの噛み合いにより発生するバックラッシは、2枚のピニオンギヤに挟まれたノーバックラッシュギアを用いるなどして殺している。
【0047】
このとき、駆動ロール61a及び第1〜第5従動ロール61b〜61fは、第3支持フレームによってそれぞれベルト62の搬送方向へ一体的に移動し、それぞれの移動量が同一となっている。つまり、図3及び図4に示すように、第3支持フレームの移動量(駆動ロール61a及び第1〜第5従動ロール61b〜61fの移動量)は、光学レーザユニット2の各光学レーザ装置23,24により切断される光学フィルムS2,S3の大きさに応じて変更された第1支持フレームの移動量に応じて変更される。具体的には、駆動ロール61a及び第1〜第5従動ロール61b〜61fは、その移動量が第1支持フレームの移動に追従して変更される。要するに、第3支持フレームの移動量つまり駆動ロール61a及び第1〜第5従動ロール61b〜61fの移動量は、各光学レーザ装置23,24により切断される光学フィルムのサイズに応じて予め設定されている。この場合、ベルト62の搬送領域Bは、光学フィルムS1〜S3のサイズに応じて変更されず、均一に保たれる。
【0048】
更に、上記下流側装置本体部7の駆動ロール71aは、上記筺体フレームに固定されている。これに対し、上記下流側装置本体部7の第1〜第3従動ロール71b〜71dは、光学フィルムS1の搬送方向の長さつまりベルト72の搬送領域Cの長さを変更する第3変更手段77を介して上記筺体フレームに支持されている。この第3変更手段77は、上記筺体フレームに対しレール(図示せず)を介してベルト72の搬送方向に移動可能に支持された第4支持フレーム(図示せず)を備えている。この第4支持フレームには、上記下流側装置本体部7の第1〜第3従動ロール71b〜71dが取り付けられている。また、前端位置検出センサ74が筺体フレームに取り付けられているのに対し、後端位置検出センサ73は第4支持フレームに取り付けられている。そして、上記第4支持フレームは、これに固設されたピニオンギヤ(図示せず)と図示しないサーボモータが回転一体に連結されたラック(図示せず)との噛み合いによってベルト72の搬送方向に移動可能となっている。この場合、ピニオンギヤとラックとの噛み合いにより発生するバックラッシは、2枚のピニオンギヤに挟まれたノーバックラッシュギアを用いるなどして殺している。
【0049】
このとき、下流側装置本体部7の第1〜第3従動ロール71b〜71dは、第3変更手段77によってそれぞれベルト72の搬送方向へ一体的に移動し、それぞれの移動量が同一となっている。つまり、図3及び図4に示すように、第1〜第3従動ロール71b〜71dの移動量は、光学レーザユニット2の各光学レーザ装置23,24により切断される光学フィルムS2,S3の大きさに応じて移動する上流側装置本体部6の第3支持フレームの移動量に応じて変更される。具体的には、駆動ロール61a及び第1〜第5従動ロール61b〜61fは、第1支持フレームの移動に追従して移動量が変更される。このとき、駆動ロール61a及び第1〜第5従動ロール61b〜61fの移動量は、各光学レーザ装置23,24により切断される光学フィルムのサイズに応じて予め設定されている。この場合、ベルト72の搬送領域Cは、駆動ロール71aと第1従動ロール71bとの間でのベルト72の掛け渡し量を増減させることで、光学フィルムS1〜S3のサイズに応じて変更される。
【0050】
ところで、上流側装置本体部6の搬送領域B及び下流側装置本体部7の搬送領域Cは、中サイズの光学フィルムS2であれば、双方それぞれにその中サイズの光学フィルムS2の搬送方向全域を載置可能とする長さを有しているものの、大サイズの光学フィルムS3であれば、双方それぞれにその大サイズの光学フィルムS3の搬送方向全域を載置可能とする長さを有してはいない。そのため、大サイズの光学フィルムS3を搬送する場合には、上流側装置本体部6の駆動ロール61aと下流側装置本体部7の駆動ロール71aとを同期させて同じ搬送速度でベルト62,72を搬送し、上流側装置本体部6の搬送領域Bと下流側装置本体部7の搬送領域Cとを合わせた領域(B+C)によって大サイズの光学フィルムS3の搬送方向全域を載置可能としている。また、上流側装置本体部6の駆動ロール61aのサーボモータと下流側装置本体部7の駆動ロール71aのサーボモータとは、上記前端位置検出センサ74によりベルト72の搬送領域Cの下流側において先頭の光学フィルムS3の前端位置が検出されると、定速搬送装置3のベルト32の搬送速度(例えば60m/min)よりも若干遅い第2の搬送速度(例えば45m/min)に調速されるように同期して減速させている。この場合、上流側装置本体部6の搬送領域Bと下流側装置本体部7の搬送領域Cとを合わせた領域(B+C)は、光学レーザユニット2から受け渡されて搬送方向全域が載置された2枚の光学フィルムS3のうちの先頭の光学フィルムS3の前端位置が前端位置検出センサ74により検出された際に、定速搬送装置3のベルト32の搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度までベルト72の搬送速度を調速(減速)させるに必要な長さを有している。
【0051】
また、下流側装置本体部7の第3変更手段77は、光学レーザユニット2の第1及び第2搬送領域A1,A2の長さと下流側装置本体部7の搬送領域Cの長さとの和が一定に保たれるように、光学レーザユニット2の第1及び第2変更手段27A,27Bにより変更された第1及び第2搬送領域A1,A2の長さに応じて下流側装置本体部7の搬送領域Cの長さを相対的に変更している。
【0052】
したがって、上記実施の形態では、中間搬送装置1は、光学レーザユニット2から小サイズ〜大サイズの光学フィルムS1〜S3を受け取る際に光学レーザユニット2のベルト22の搬送速度(例えば90m/min)よりも若干速い第1の搬送速度(例えば105m/min)に調速され、光学レーザユニット2からの受け取り時に光学フィルムS1〜S3に弛みを生じさせることがない。
その場合、中間搬送装置1は、小サイズ及び中サイズの光学フィルムS1,S2を上流側装置本体部6のベルト62から下流側装置本体部7のベルト72に受け渡す際にそのベルト72の搬送速度(例えば60m/min)よりも若干遅い搬送速度(例えば45m/min)に、小サイズ〜大サイズの光学フィルムS1〜S3を下流側装置本体部7のベルト72から定速搬送装置3のベルト32に受け渡す際にそのベルト32の搬送速度(例えば60m/min)よりも若干遅い第2の搬送速度(例えば45m/min)にそれぞれ減速されるので、下流側装置本体部7及び定速搬送装置3への受け渡し時にも光学フィルムS1〜S3に弛みを生じさせることがない。このため、定速搬送装置3による光学フィルムS1〜S3の搬送速度を、光学レーザユニット2からの光学フィルムS1〜S3の搬送速度よりも増速させた中間搬送装置1(上流側装置本体部6及び下流側装置本体部7)による光学フィルムS1〜S3の搬送速度よりもさらに速い速度に増速させる必要がない。これにより、定速搬送装置3による光学フィルムS1〜S3の搬送速度の増速が抑えられ、定速搬送装置3による光学フィルムS1〜S3の搬送精度の悪化を防止することができる上、その下流側において最終的に回収される回収時に光学フィルムS1〜S3に作用する過度の衝撃を防止することができる。
【0053】
また、上流側装置本体部6及び下流側装置本体部7のベルト62,72の搬送領域B,Cは、光学レーザユニット2から受け取った小サイズ及び中サイズの光学フィルムS1,S2の搬送方向全長を載置可能とする搬送方向長さを有し、かつその光学フィルムS1,S2を受け取って載置し終えた際に上記第1の搬送速度から上記第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さを有している。また、上流側装置本体部6及び下流側装置本体部7のベルト62,72の搬送領域B,Cを合わせた領域B+Cは、光学レーザユニット2から受け取った大サイズの光学フィルムS3の搬送方向全長を載置可能とする搬送方向長さを有し、かつその光学フィルムS3を受け取って載置し終えた際に上記第1の搬送速度から上記第2の搬送速度まで減速させるに必要な搬送方向長さを有している。
これにより、光学レーザユニット2から光学フィルムS1〜S3を受け取る際にその光学フィルムS1〜S3の搬送方向全長が載置されて、光学レーザユニット2からの光学フィルムS1〜S3を円滑に受け取ることができる。しかも、中間搬送装置1の上流側装置本体部6のベルト62の搬送領域B、下流側装置本体部7のベルト72の搬送領域C、及び両装置本体部6,7のベルト62,72の搬送領域B,Cを合わせた搬送領域B+Cは、光学フィルムS1〜S3を受け取って載置し終えた際に第1の搬送速度から第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さを有しているので、光学フィルムS1〜S3を受け取って載置し終えてから第2の搬送速度まで円滑に減速することができる。
【0054】
また、下流側装置本体部7の第3変更手段77によって、光学レーザユニット2の第1及び第2搬送領域A1,A2の長さと両装置本体部6,7の搬送領域B,Cの長さとの和が一定に保たれるように、光学レーザユニット2の第1及び第2変更手段27A,27Bにより変更された第1及び第2搬送領域A1,A2の長さに応じて下流側装置本体部7の搬送領域Cの長さが相対的に変更されるので、光学レーザ23,24による光学フィルムS1〜S3の切断長さが変更されても光学レーザユニット2の第1及び第2搬送領域A1,A2の長さと両装置本体部6,7の搬送領域B,Cの長さとの和が常に一定に保たれ、光学レーザユニット2及び両装置本体部6,7の各搬送領域A1,A2,B,Cの長さの増大化を抑制することができる。
【0055】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記実施の形態では、光学レーザ装置23,24を光学シートSの搬送方向に2つ並設したが、3つ以上の光学レーザ装置が光学シートの搬送方向に並設されていてもよい。この場合には、搬送されてきた光学シートが光学レーザ装置によって3枚以上の枚葉体の光学フィルムに切断され、光学フィルムの生産性を向上させることができる。また、単一の光学レーザ装置が光学シートの搬送方向に設けられていてもよいのはいうまでもない。
【0056】
また、上記実施の形態では、下流側装置本体7に第3変更手段77を設けたが、下流側装置本体部に代えて上流側装置本体に、又は上流側装置本体及び下流側装置本体の双方に変更手段が設けられていてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、光学レーザユニット2のベルト22の搬送速度(90m/min)よりも若干速い第1の搬送速度(例えば105m/min)にベルト62が調速(加速)されるように上流側装置本体部6のベルト62を加速させ、下流側装置本体部7のベルト72の搬送速度(例えば60m/min)よりも若干遅い搬送速度(例えば45m/min)にベルト62が調速(減速)されるように上流側装置本体部6の駆動ロール61aのサーボモータを減速させ、さらに、定速搬送装置3のベルト32の搬送速度(例えば60m/min)よりも若干遅い第2の搬送速度(例えば45m/min)にベルト72が調速されるように下流側装置本体部7の駆動ロール71aのサーボモータを減速させたが、いずれの場合においても、下流側のベルトに受け渡された際にその上流側となる受け渡す側のベルトと光学フィルムとの間で発生する摩擦が許容範囲内となる30%未満の搬送速度差であれば、その上流側及び下流側のベルトの搬送速度は規定されるものではない。
【0058】
更に、上記実施の形態では、第1〜第4支持フレームを筺体フレームに対しレールを介してベルト22,62,72の搬送方向に移動可能に支持したが、各支持フレームに取り付けられる駆動ロール、各従動ロール、第2光学レーザ装置、第2集煙ダクト、前端位置検出センサ及び後端位置検出センサが、それぞれ個別に固設されたピニオンギヤとサーボモータが回転一体に連結されたラックとの噛み合いによってベルトの搬送方向に移動可能となっていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 中間搬送装置
10 装置本体
2 光学レーザユニット
23,24 光学レーザ装置(光学レーザ)
27A 第1変更手段(変更手段)
27B 第2変更手段(変更手段)
3 定速搬送装置
6 上流側装置本体部
7 下流側装置本体部
77 第3変更手段(変更手段)
A1,A2 光学レーザユニットの第1及び第2搬送領域(光学レーザユニットの光学フィルムの搬送方向長さ)
C 下流側装置本体部の搬送領域(装置本体による光学フィルムの搬送方向長さ)
S 光学シート
S1〜S3 光学フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきた帯状の光学シートを光学レーザにより枚葉体の光学フィルムに切断する光学レーザユニットと上記光学フィルムを一定速度で搬送する定速搬送装置との間に設けられ、上記光学レーザユニットから送り出された上記光学フィルムを上記定速搬送装置に受け渡すようにした光学フィルムの中間搬送装置であって、
上記光学レーザユニットからの光学フィルムを装置本体で受け取る際には上記光学レーザユニットからの送り出し速度よりも若干速い第1の搬送速度で上記光学フィルムが受け取られるように調速されているとともに、
上記光学フィルムを上記装置本体から上記定速搬送装置に受け渡す際には上記定速搬送装置による搬送速度よりも若干遅い第2の搬送速度に調速されていることを特徴とする光学フィルムの中間搬送装置。
【請求項2】
上記装置本体は、上記光学レーザユニットから受け取った光学フィルムの搬送方向全長を載置可能とする搬送方向長さを有し、かつ上記光学フィルムを受け取って載置し終えた際に上記第1の搬送速度から上記第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さを有している請求項1に記載の光学フィルムの中間搬送装置。
【請求項3】
上記光学レーザユニット及び上記装置本体は、上記光学レーザによる光学フィルムの切断長さに応じて当該光学フィルムの搬送方向長さを変更する変更手段をそれぞれ備えており、
上記装置本体の変更手段は、上記光学レーザユニット及び上記装置本体による光学フィルムの搬送方向長さの和が一定に保たれるように、上記光学レーザユニットの変更手段により変更された光学フィルムの搬送方向長さに応じて上記装置本体による光学フィルムの搬送方向長さを相対的に変更している請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムの中間搬送装置。
【請求項4】
上記装置本体は、上記光学レーザユニットから送り出された光学フィルムを受け取って搬送する上流側装置本体部と、この上流側装置本体部で搬送された光学フィルムを受け取って上記定速搬送装置に受け渡す下流側装置本体部とを備えており、
上記上流側装置本体部及び上記下流側装置本体部は、上記光学レーザユニットから送り出された光学フィルムの搬送方向全長を載置可能な搬送方向長さをそれぞれ有し、かつ上記光学フィルムを受け取って載置し終えた際に上記第1の搬送速度から上記第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さをそれぞれ有している請求項3に記載の光学フィルムの中間搬送装置。
【請求項5】
上記装置本体は、上記光学レーザユニットから送り出された光学フィルムを受け取って搬送する上流側装置本体部と、この上流側装置本体部で搬送された光学フィルムを受け取って上記定速搬送装置に受け渡す下流側装置本体部とを備えており、
上記上流側装置本体部及び上記下流側装置本体部は、その両本体部を合わせて、上記光学レーザユニットから送り出された光学フィルムの搬送方向全長を載置可能な搬送方向長さを有し、かつ上記光学フィルムを受け取って載置し終えた際に上記第1の搬送速度から上記第2の搬送速度まで調速させるに必要な搬送方向長さを有している請求項3に記載の光学フィルムの中間搬送装置。
【請求項6】
上記光学レーザユニットは、その光学シートの搬送方向に複数の光学レーザを備えている請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の光学フィルムの中間搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−86931(P2012−86931A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234446(P2010−234446)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(391047857)旭マシナリー株式会社 (21)
【Fターム(参考)】