説明

光学フィルム

【課題】撥水撥油性、防汚性、耐擦傷性、耐加水分解性、塗液のレベリング性に優れた光学フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材フィルム1の少なくとも一方の面にハードコート層2を設けた光学フィルムにおいて、前記ハードコート層2は、活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分とし、かつ前記ハードコート層2は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂に対してフッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートを0.02重量%以上、30重量%以下含んでなることを特徴とする光学フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ、たとえば液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の表面を保護する目的で使用される基材上にハードコート層を設けた光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来各種ディスプレイに用いられる反射防止用途などの光学フィルムは光学特性の他にも、耐擦傷性や耐薬品性および耐候性を考慮し、基材表面上に紫外線硬化型樹脂を用いたハードコート層を設けることが多い。これらは汎用的にコーティング法により基材に塗布されるが、樹脂を有機溶剤等に溶解させコーティングするのが一般的である。
【0003】
しかしながら、有機溶剤に紫外線硬化型樹脂を添加した塗液は基材へ塗布した後のレベリング性(平滑性)に劣り、凹凸が解消せずに品質の悪いものである。そこで、フッ素系ポリマーを界面活性剤として添加することが公知である(特許文献1)。更に特許文献1には防汚性を持たせるためにポリシロキサン構造を導入することも記載されている。
【0004】
これら光学フィルムは通常、単体使いすることはほとんどなく、液晶ディスプレイ等に使用する際は偏光板の支持体として用いられる。偏光板の支持体として用いる場合、酢酸セルロース(TAC)を支持体とした光学フィルムは偏光層との接着を確保するため鹸化処理が行われる。鹸化処理はアルカリ水溶液中に光学フィルムを浸漬しTACのアセチル基を加水分解するが、TAC表面にとどまらず表面加工したハードコート層も同様に鹸化されることになり、耐加水分解性を有するハードコート剤、添加剤の実現が困難であった。例えば特許文献2記載の(メタ)アクリレートはパーフルオロアルキル基が直接エステル結合中のカルボニル炭素と結合しているため炭素原子の電子密度低下を招き、加水分解の影響を受けやすいものである。
【特許文献1】特開2007−164166号公報
【特許文献2】特開平9−157326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、撥水撥油性、防汚性、耐擦傷性、耐加水分解性、塗液のレベリング性に優れた光学フィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、以下の手段を提供する。
請求項1に記載の発明は、透明基材フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層を設けた光学フィルムにおいて、前記ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分とし、かつ前記ハードコート層は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂に対してフッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートを0.02重量%以上、30重量%以下含んでなることを特徴とする光学フィルムである。
請求項2に記載の発明は、前記フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートが、フッ素化アルキル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムである。
請求項3に記載の発明は、前記ハードコート層が、さらに光透過性拡散剤を含有し、防眩効果を付与したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムである。
請求項4に記載の発明は、前記ハードコート層上に、光透過性拡散剤を含有する防眩層を設け、前記防眩層がフッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムである。
請求項5に記載の発明は、前記透明基材フィルムが、酢酸セルロースからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムである。
請求項6に記載の発明は、前記透明基材フィルムが、ポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートはフッ素原子の電気陰性度の高さ、分極率の低さに由来し撥水撥油性、防汚性等の表面特性を発現し界面活性剤として作用する。従って、レベリング性を兼ね備えた耐加水分解性光学フィルムが得られる。更に、(メタ)アクリレート構造を持つため紫外線硬化型樹脂のような活性エネルギー線硬化型樹脂と化学結合を有し、これにより撥水撥油性、防汚性等の表面特性は長期にわたり維持されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態における光学フィルムについて、図面を参照して説明する。
図1〜3は、本発明の実施形態としての光学フィルムの断面図を示したものである。図1の光学フィルムは、透明基材フィルム1の少なくとも一方の面にハードコート層2を設けた構成である。図2の光学フィルムは、透明基材フィルム1少なくとも一方の面にハードコート層2を設け、さらにハードコート層2中に光透過性拡散剤を添加して防眩効果を付与した構成である。なお、図2の光学フィルムにおいては、ハードコート層2上に、光透過性拡散剤を含有する防眩層を設ける構成であってもよい(図示せず)。図3の光学フィルムは、透明基材フィルム1の少なくとも一方の面にハードコート層2を設け、さらにその上に反射防止層4を設けた構成である。
【0009】
光学フィルムを形成する透明基材フィルム1としては、種々の高分子材料からなるフィルムもしくはシートを用いることができる。通常ディスプレイ等の光学部材に使用される基材は、透明性や光の屈折率等の光学特性、更には耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性を考慮して、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、セルロース系(酢酸セルロース(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等)、セロファン等)、ポリアミド系(ナイロン6、ナイロン66等)、アクリル系(PMMA等)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール等の高分子が用いられる。とくに本発明では、酢酸セルロースまたはポリエステルからなる透明基材フィルムが好適である。
【0010】
更に、これらの高分子に公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加し機能を付加させたものも使用できる。また、透明基材フィルム1は上記物質単体、もしくは複数の物質を積層もしくは混合させたものも使用できる。透明基材フィルム1の厚みは光学フィルムの用途によって適宜選択することができ、25〜300μmが好ましい。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0011】
ハードコート層2は透明基材フィルム1の表面改質を目的として光学フィルムのスチールウールラビング試験による耐擦傷性、鉛筆引っ掻き試験による硬度、テープ剥離試験による密着性、最小曲げ試験によるクラック性等の諸特性を要求されるスペックを満足させるように樹脂を選択して使用することができる。
【0012】
ハードコート層2は、活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分とするものであり、多官能モノマー、オリゴマーを使用することができる。多官能モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ−(メタ)アクリロイルおきシプロピネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロへキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0013】
多官能モノマーは1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、必要に応じて単官能モノマーと併用し共重合させることも出来る。単官能モノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラフルフリルメタクリレート、およびそのカプロラクトン変性物などの誘導体、スチレン、α―メチルスチレン、アクリル酸等およびそれらの混合物が挙げられる。
【0014】
活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、光重合開始剤が必要となる。光重合開始剤としては、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびアゾ化合物、過酸化物類、ケタール類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ホスフィンオキシド類などが挙げられる。これらを単体で用いるか、もしくは2種類以上を混合して用いることが出来る。
【0015】
さらに、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光重合開始助剤の光開始助剤などと組み合わせ使用することが出来る。これらラジカル開始重合剤の使用量は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂の重合成分に対して0.1〜20重量%である。
【0016】
本発明において、フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートは、末端にフッ素化アルキル基を有する官能基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有するものが好ましい。また、フッ素化アルキル基はアルキル基中のすべての水素原子がフッ素原子に置換されたもの(パーフルオロアルキル基)と、アルキル基中の一部の水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。さらに、フッ素化アルキル基中に酸素原子等の水素原子、フッ素原子以外の原子で置換されたものも含まれる。(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基とメタクリロイル基を総称するものである。上記フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートは、分子の末端にフッ素化アルキル基が配置されていることから硬化物の表面にフッ素原子を効果的に配置できるため表面特性に優れ、2個以上の架橋点を有することからハードコート層を形成する樹脂である多官能モノマー、オリゴマーと効果的に共重合し力学特性、長期安定性に優れる。更に、エステル結合中のカルボニル炭素とフッ素化アルキル基との間にアルキレン鎖等を介在させることで耐加水分解性に優れた組成物が得られる。
【0017】
本発明のフッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートにおいて、分子量は300〜6000の(メタ)アクリレートのものが好適である。また、フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートは、前記活性エネルギー線硬化型樹脂に対して、0.02重量%以上、30重量%以下の割合で含まれる必要がある。0.02重量%未満であると、フッ素原子固有の表面活性効果が得られず、30重量%を超えると樹脂コート層の架橋密度が低下しハードコート層としての効果が得られず、好ましくない。さらに好ましくは0.03重量%以上、10重量%以下の割合である。
【0018】
ハードコート層を透明基材フィルム上に塗布する際の塗液には、必要に応じて溶剤を添加することができる。組成物の安定性、基材に対する濡れ性、揮発性などを考慮して溶剤は選定され、メタノール、エタノールイソプロピルアルコール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、アチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ハルゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、N−メチルピロリドン、ジメチルホルム等を用いることが出来る。
【0019】
また、希釈溶剤は1種類のみならず2種類以上を混合して用いることが可能である。また、樹脂そのものの粘度が比較的低く、透明基材フィルムを溶解または膨潤する場合には溶剤を用いる必要のない場合もある。また、透明基材フィルムに対して安定な溶剤と混合して使用することも出来る。
【0020】
このように樹脂、添加剤、溶剤、および必要に応じて光重合開始剤を混合、攪拌して、ハードコート層の塗液とする。この塗液を透明基材フィルムに塗布する方法としては、ウエットコーティング法、たとえばグラビアコーティング法、ロールコーティング法、リバースコティング法、ダイコーティング法、ナイフコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられ、所望の厚みに塗布する。その後溶剤成分をドライヤーによって乾燥させ、透明基材フィルム上にハードコート層を形成させる。その厚みは、厚すぎるとカールを生じたり、クラックを生じる可能性があり、また、薄すぎると所望の硬度が得られないという不具合もあるので通常1〜20μm程度の厚みに調整される。
【0021】
透明基材フィルム上にハードコート層を塗布、乾燥させ、続いて樹脂成分を硬化させる際に用いる活性エネルギー線は、電磁波および粒子線を用いる。一般的には電磁波の場合は紫外線を、粒子線には電子線を用いることが多い。紫外線の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプまたはメタルハライドランプが使用できる。
【0022】
紫外線硬化を行う際に硬化させる空間を窒素ガスで置換させてもよい。窒素による置換は樹脂の硬化時の酸素阻害を抑制する効果があり、特にハードコート層の最表面での架橋密度を上げることが可能となり表面硬度が向上する。
【0023】
以上のような組成物によって得られた光学フィルムは鹸化等によっても表面の硬度低下がなく、特に耐加水分解性を有するフッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートを含むため表面の変性、接触角の低下等がなく高耐性な光学フィルムが得られる。
【0024】
また、本発明の光学フィルムのハードコート層において、図2に示すように光透過性拡散剤3を添加しハードコートフィルムに防眩性を付与することができる。含有させる光透過性拡散剤としては、プラスチックビーズが摘要できる。プラスチックビーズとしては、スチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリルスチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、塩化ビニル樹脂ビーズ等が用いられる。プラスチックビーズの粒径は、0.1〜5μmのものを適宜選択することが可能である。ハードコート層に光透過性拡散剤を添加することにより、ハードコート層表面に凹凸構造を形成することにより、光学フィルムに防眩性を付与することが可能となる。光透過性拡散剤3の添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂に対し、2〜50重量%程度であり、さらに好ましくは5〜25重量%である。なお、前述のように、本発明の光学フィルムは、ハードコート層2上に、光透過性拡散剤を含有する防眩層を設ける構成であってもよく、当該防眩層の樹脂組成は、上記のハードコート層と同じ組成が例示できる。
【0025】
また、本発明の光学フィルムにあっては、ハードコート層の他に、他の機能層を設けても良い。これらの機能層としては、反射防止層、帯電防止層、防汚層、電磁波遮蔽層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層等が挙げられる。なお、これらの機能層は単層であってもかまわないし、複数の層であってもかまわない。機能層は、防汚性能を有する反射防止層というように、1層で複数の機能を有していても構わない。また、これらの機能層は、ハードコート層上に設けることができる。
【0026】
例えば、図3に示したように、ハードコート層2上に低屈折率剤を分散させた反射防止層4をその光学膜厚がλ/4(λ:可視光波長)となるように形成することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例について詳細に説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
透明基材フィルムとして厚み80μmのトリアセチルセルロースを用いて、下記ハードコート層用塗液をグラビアコーティング法によりWet膜厚10μm(乾燥後のDry膜厚5μm)になるように塗布、乾燥させ、高圧水銀灯により1000mJの紫外線を照射しハードコート層を形成し光学フィルムを作製した。
【0029】
(塗液)
ペンタエリスリトールアクリレート 5重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5重量部
フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレート 0.5重量部
(メガファックRS−101 大日本インキ化学工業(株)製)
イルガキュアー184 0.3重量部
メチルエチルケトン 5重量部
酢酸メチル 5重量部
【0030】
(実施例2)
透明基材フィルムとして厚み75μmのポリエチレンテレフタレートを用いて、下記ハードコート層用塗液をグラビアコーティング法によりWet膜厚10μm(乾燥後のDry膜厚5μm)になるように塗布、乾燥させ、高圧水銀灯により1000mJの紫外線を照射しハードコート層を形成し光学フィルムを作製した。
【0031】
(塗液)
ペンタエリスリトールアクリレート 5重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5重量部
フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレート 0.5重量部
(メガファックRS−101 大日本インキ化学工業(株)製)
イルガキュアー184 0.3重量部
メチルエチルケトン 10重量部
【0032】
(実施例3)
透明基材フィルムとして厚み80μmのトリアセチルセルロースを用いて、下記ハードコート層用塗液をグラビアコーティング法によりWet膜厚4μm(乾燥後のDry膜厚2μm)になるように塗布、乾燥させ、高圧水銀灯により1000mJの紫外線を照射しコート層を形成し光学フィルムを作製した。
【0033】
(塗液)
ペンタエリスリトールアクリレート 5重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5重量部
フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレート 0.5重量部
(メガファックRS−102 大日本インキ化学工業(株)製)
スチレンビーズ 1重量部
イルガキュアー184 0.3重量部
メチルエチルケトン 10重量部
【0034】
(比較例1)
透明基材フィルムとして厚み80μmのトリアセチルセルロースを用いて、下記ハードコート層用塗液をグラビアコーティング法によりWet膜厚10μm(乾燥後のDry膜厚5μm)になるように塗布、乾燥させ、高圧水銀灯により1000mJの紫外線を照射しハードコート層を形成し光学フィルムを作製した。
【0035】
(塗液)
ペンタエリスリトールアクリレート 5重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5重量部
アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.1重量部
(メガファックRS−101 大日本インキ化学工業(株)製)
イルガキュアー184 0.3重量部
メチルエチルケトン 5重量部
酢酸メチル 5重量部
【0036】
(比較例2)
透明基材フィルムとして厚み80μmのトリアセチルセルロースを用いて、下記ハードコート層用塗液をグラビアコーティング法によりWet膜厚4μm(乾燥後のDry膜厚2μm)になるように塗布、乾燥させ、高圧水銀灯により1000mJの紫外線を照射しコート層を形成し光学フィルムを作製した。
【0037】
(塗液)
ペンタエリスリトールアクリレート 5重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5重量部
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.1重量部
(BYK−333)
スチレンビーズ 1重量部
イルガキュアー184 0.3重量部
メチルエチルケトン 10重量部
【0038】
前記実施例および比較例において、鉛筆硬度、鹸化時の接触角変化、防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
接触角:(鹸化前接触角−鹸化後接触角)
防汚性:○は容易に拭取れる △は容易ではないが拭取れる
【0041】
鉛筆硬度はJIS K5401に示された試験方法に基づき評価した。
鹸化は60℃に加温した2N−NaOH水溶液に1分間浸漬し、その後水洗した。なお、接触角は純水での接触角を評価した。
防汚性は付けた指紋の拭取りとして、をウエスで20往復させ拭取れるか否かで評価した。
【0042】
実施例および比較例の評価結果によると、フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートを添加したハードコート層は鹸化時の接触角にほとんど変化なく、更に、防汚性も確認できた。また、鉛筆硬度は実施例および比較例ともに所定の強度を保持していることが確認された。
したがって、本発明によると、フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートを添加したハードコート層は防汚性等の表面特性を発現し耐加水分解性を有する光学フィルムが得られる。更に、鹸化においてもこの効果は維持されることができた。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る光学フィルムの実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る光学フィルムの実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係る光学フィルムの実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 透明基材フィルム
2 ハードコート層
3 光透過性拡散剤
4 反射防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層を設けた光学フィルムにおいて、前記ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分とし、かつ前記ハードコート層は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂に対してフッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートを0.02重量%以上、30重量%以下含んでなることを特徴とする光学フィルム。
【請求項2】
前記フッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートが、フッ素化アルキル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層が、さらに光透過性拡散剤を含有し、防眩効果を付与したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層上に、光透過性拡散剤を含有する防眩層を設け、前記防眩層がフッ素化アルキル基を含む(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記透明基材フィルムが、酢酸セルロースからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記透明基材フィルムが、ポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−104054(P2009−104054A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277667(P2007−277667)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】