説明

光学プローブ

【課題】測定波長帯域を狭めると共に照明光のブライトネスを高めた場合でも、照明光の干渉の発生が抑制された光学プローブを提供する。
【解決手段】内視鏡装置1を構成する光学プローブ4では、観察対象物(観察対象部位22)を照射するための光ファイバ32aと照明用光ファイバ13aとからなる光導波路及び光ファイバ32bと照明用光ファイバ13bとからなる光導波路の2本の照明用光導波路の光路長が互いに異なることで、測定波長帯域を狭めると共に照明光のブライトネスを高めた場合に、干渉縞の発生を抑制することができ、その結果、検出器3で検出される光に含まれる雑音が低減され、観察対象物の観察の精度を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織の内部の観察対象物を光学的に観察するために、光学プローブを生体内に挿入し、観察対象物に対して照明光を照射することで観察対象物から出射される光を検出する内視鏡が用いられる。近年では、内視鏡によって観察対象物に照射する光の波長帯域を狭くすることで特定の物質の分布をより鮮明に撮像する方法や、近赤外光を観察対象物に照射して観察を行う方法が用いられている。これにより、従来からの可視光を観察対象物に照射することにより得られる画像からは検出することができない種々の情報が得られることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−95635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
観察対象物の分光特性をより詳細に測定する場合には、測定波長帯域を狭めることが有効であることが知られている。ここで、測定波長帯域とは、光源から出射し観察対象物を照射する照射光の波長スペクトルと、照明光が照射されることで観察対象物から出射される検出光を検出する検出器の波長毎の測定感度を示すスペクトルと、光源と観察対象物との間及び観察対象物と検出器との間の光路の光透過率を示すスペクトルの積により定義される。
【0005】
また、検出器で検出される光の信号対雑音比(SN比)を高めるためには、観察対象物が含まれる狭い領域に対して光源からの照明光を集光し、観察対象物からの検出光の光量を増大させることが必要である。このためには、観察対象物を照射するための照明光のブライトネス(単位面積及び単位放射角あたりの光強度)を高めることが有効であることが知られている。
【0006】
しかしながら、測定波長帯域を狭めると共に照明光のブライトネスを高めた場合、照射光の干渉が発生し、観察対象物の撮像画像に干渉縞が発生してしまう。
【0007】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、測定波長帯域を狭めると共に照明光のブライトネスを高めた場合でも、照明光の干渉の発生が抑制された光学プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る光学プローブは、近位端部と遠位端部とを有する光学プローブであって、近位端部に入射した光を複数の光に分岐する光分岐部と、光分岐部により分岐された複数の光をそれぞれ導波し、遠位端部へ出射する複数の照明用光導波路と、遠位端部から入射した光を検出器へ導波する1以上の検出用光導波路と、遠位端部に設けられて検出用光導波路と光学的に結合された結像素子と、を備え、複数の照射用光導波路のうちの少なくとも2本の照明用光導波路は、その光路長が互いに異なることを特徴とする。
【0009】
上記の光学プローブによれば、観察対象物を照射するための複数の照明用光導波路のうちの少なくとも2本は光路長が互いに異なることで、測定波長帯域を狭めると共に照明光のブライトネスを高めた場合でも、干渉縞の発生を抑制することができ、その結果、検出器で検出される光に含まれる雑音が低減され、観察対象物の観察の精度を高めることができる。
【0010】
ここで、複数の照明用光導波路のうちの少なくとも2本の照明用光導波路の光路長差は9mm〜1mである態様とすることが好ましい。
【0011】
少なくとも2本の照明用光導波路の光路長差を上記の範囲にすることで、特に観察対象物が生体組織である場合に、干渉縞の発生を効果的に抑制することができる。
【0012】
また、複数の照明用光導波路のそれぞれは、近位端部に含まれて光分岐部により分岐された光を導波する前段導波路と、前段導波路からの光を導波し遠位端部へ出射する後段導波路と、から構成され、前段導波路と後段導波路とは着脱可能な光コネクタによって接続され、複数の照明用光導波路における後段導波路は、その光路長が等しく、複数の照明用光導波路における前段導波路は、その光路長が互いに異なる態様とすることが好ましい。
【0013】
上記のように、複数の照明用光導波路がそれぞれ前段導波路と後段導波路とから構成され、前段導波路と後段導波路とが着脱可能な光コネクタにより接続され、前段導波路の光路長が互いに異なる構成とすることで、本発明に係る光学プローブの取扱い性が高められる。
【0014】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成として、具体的には、光コネクタは、所定の芯間隔を有する多芯コネクタである態様が挙げられる。多芯コネクタを用いることで、照明光のブライトネスを高めた場合であっても光コネクタによる接続損失を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、測定波長帯域を狭めると共に照明光のブライトネスを高めた場合でも、照明光の干渉の発生が抑制された光学プローブが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る光学プローブを含む内視鏡装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0018】
本実施形態に係る内視鏡装置1は、図1に示すように、照明光源2と、検出器3と、光学プローブ4と、を含んで構成される。この内視鏡装置1は、光学プローブ4を生体組織20の管腔臓器21に挿入し、光学プローブ4を用いて照明光源2からの照明光を管腔臓器21の表面の観察対象部位22に照射し、この照明光の照射によって観察対象部位22から出射されて光学プローブ4に入射する検出光を検出器3により検出することで、観察対象部位22の撮像や観察対象部位22の吸収スペクトルを測定し、その特徴を観察するための装置である。
【0019】
内視鏡装置1に含まれる各部について説明する。照明光源2は、観察対象物に照射するための照明光を出射する。照明光として可視光や近赤外光が用いられるが、内視鏡装置1の場合には、生体内の組織が特徴的な吸収スペクトルを有する0.3〜3.0μmの波長範囲に含まれる光が好適に用いられる。
【0020】
また、検出器3は、照明光の照射によって観察対象部位22から出射されて光学プローブ4内を伝播した検出光を検出する。検出器3としては、例えば、フォトダイオードが用いられる。この検出器3は、光学プローブ4から伝播した検出光を受光し、受光した検出光の強度に応じた電気信号に変換して出力する。検出器3に対しては検出用光ファイバ14が光コネクタ46を介して取り付けられる。この光コネクタ46は検出器3に対して着脱可能とされている。
【0021】
光学プローブ4は、近位端部11と遠位端部12とを備える。そして、この近位端部11と遠位端部12との間に照明用光ファイバ13a,13b(後段光導波路)が設けられる。また、遠位端部12に対しては検出用光ファイバ14(検出用光導波路)が接続され、この検出用光ファイバ14は遠位端部12と検出器3とを光学的に結合する。検出用光ファイバ14としては、シングルモードファイバなどの伝搬モード数の少ない光ファイバが好適に用いられる。なお、照明用光ファイバは複数であれば特に限定されないが、本実施形態では、照明用光ファイバ13a,13bが2本である場合について説明する。同様に、検出用光ファイバの数は特に限定されないが、本実施形態では、検出用光ファイバ14が1本である場合について説明する。
【0022】
近位端部11は、照明光源2からの照明光を複数に分岐する光分岐部31と、この光分岐器により分岐された照明光をそれぞれ導波する光ファイバ32a,32b(前段光導波路)と、を備える。照明光源2からの光は、光ファイバ41を経て、光コネクタ42と近位端部11の入力用コネクタ33とを介して近位端部11に入射する。近位端部11に入射した照明光は、光ファイバ34内を導波して光分岐部31に入射し、光分岐部31により分岐された後に光ファイバ32a,32bに出射される。この光ファイバ32a,32bはその光路長が互いに異なり、その光路長差は9mm〜1mの間とすることが好ましい。なお、光路長とは、光が伝搬する物理的距離に伝搬路の屈折率を乗じた光学的距離のことである。また、光路長差は、複数の光路長の差である。この光ファイバ32a,32bの光路長については後述する。上記の光ファイバ32a,32bと照明用光ファイバ13a,13bとによって照明光を照射するための2本の照明用光導波路、すなわち、光ファイバ32aと照明用光ファイバ13aとからなる光導波路及び光ファイバ32bと照明用光ファイバ13bとからなる光導波路が形成される。これらの光ファイバ32a,32bと、照明用光ファイバ13a,13bとしては、シングルモードファイバなどの伝搬モード数の少ない光ファイバが好適に用いられる。
【0023】
光ファイバ32a,32bはそれぞれ照明用光ファイバ13a,13bとの間で光学的に結合される。このとき、近位端部11の光ファイバ32a,32bは近位端部11の出力用コネクタ35に接続する一方、照明用光ファイバ13a,13bの端部に光コネクタ45が取り付けられている。この出力用コネクタ35及び光コネクタ45は所定の芯間隔を有する多芯コネクタが用いられる。そして、光ファイバ32a,32bに取り付けられた光コネクタ45は出力用コネクタ35に対して着脱可能とされている。また、上記の照明用光ファイバ13a,13bは光路長が等しくされている。
【0024】
照明用光ファイバ13a,13bは、検出用光ファイバ14と共に外套15に覆われる。この外套15は、光学プローブ4の遠位端部12を覆うように取り付けられ、遠位端部12を覆う外套15が、光学プローブ4の先端部18を形成する。この先端部18には、観察対象部位22に対して照明光を照射すると共に、観察対象部位22から出射した光を検出用光ファイバ14へ入射させるための透光性を有する窓19が設けられている。
【0025】
遠位端部12は、生体組織20の中の管腔臓器21の内部に挿入される。遠位端部12では、近位端部11の出力用コネクタ35に対して取り付けられる光コネクタ45から伸びる照明用光ファイバ13a,13b、及び検出用光ファイバ14が結像素子16に光学的に結合される。具体的には、結像素子16は、レンズ、プリズム、アイリス、偏光子、波長板などの光学素子及びそれらの組合せで構成される。この結像素子16は、さらに、外套15の先端部18の内部に取り付けられたミラー17に対して光学的に結合する。これにより、照明用光ファイバ13a,13b及び検出用光ファイバ14と、管腔臓器21の観察対象部位22とが光学的に結合される。
【0026】
上記の構成を有する光学プローブ4を含む内視鏡装置1では、照明光源2から出射された照明光が光ファイバ41、光コネクタ42を経由して、入力用コネクタ33から近位端部11に入射する。近位端部11に入射した照明光は、光ファイバ34を経て光分岐部31により2つの光路に分岐される。そして、分岐された2つの照明光のそれぞれが、光ファイバ32a,32bを経由し、出力用コネクタ35から光コネクタ45を経て、照明用光ファイバ13a,13bへ出射される。
【0027】
この2つの照明光は、照明用光ファイバ13a,13bを導波した後、結像素子16及びミラー17を経て、窓19から外套15の外部に出射し、観察対象部位22を照射する。そして、照明光の照射により観察対象部位22から出射された光のうち窓19から外套15の内部に入射した光のうちの一部が、検出光としてミラー17及び結像素子16を経由して検出用光ファイバ14に入射する。この検出光は、検出用光ファイバ14を導波し、光コネクタ46を介して検出器3に入射する。
【0028】
ここで、照明光源2から出射された照明光は、光分岐部31により2つに分岐された後、それぞれ光路長が互いに異なる光ファイバ32a,32bに入射し導波することから、光ファイバ32a,32bを通過した2つの照明光の間で光路長差が形成される。このとき、近位端部11内の光ファイバ32a,32bにより2つの照明光の間で十分に長い光路長差が形成された場合、これらの2つの照明光が光コネクタ45を経由してそれぞれ導波する照明用光ファイバ13a,13bの遠位端部12側の端面では、2つの照明光の位相は互いに相関を持たなくなる。その結果、レーザ光などのコヒーレンスの高い光源で照明した場合に観測されるようなスペックルなどの干渉縞の形成が抑圧され、鮮明な画像を観測することができる。
【0029】
なお、光路長差が十分に長い状態とは、測定波長帯域によって定義されるコヒーレンス長に比べて2つの照明用光ファイバ13a,13bによって形成される光路長差が長い状態のことをいう。測定波長帯域とは、照明光源2から出る照明光の波長スペクトルと、検出器3の感度の波長スペクトルと、照明光源2と観察対象部位22との間及び観察対象部位22と検出器3との間の光路の透過率の波長スペクトルの積で定義される。また、測定系のコヒーレンス長Lcは、測定波長帯域の平均波長λ及び波長帯域幅Δλによって、
Lc=λ/Δλ
で定義される。
【0030】
生体内の観察においては波長λは0.3〜3.0μmとすることが好適である。これは、この波長範囲において生体を構成する物質が特徴的な吸収スペクトルを有するためである。また、波長帯域幅Δλは1nm以下とすることが好適である。これは、生体を構成する物質が有する吸収スペクトルの特徴が波長1nm程度のスケールを有するためである。このとき、上記の波長λ及び波長帯域幅Δλから生じるコヒーレンス長は最大で9mmとなる。したがって、本実施形態における複数の照明用光導波路(光ファイバ32aと照明用光ファイバ13aとからなる光導波路及び光ファイバ32bと照明用光ファイバ13bとからなる光導波路)は、互いに9mm以上の光路長差を持つことが特に好ましく、それによって生体内の分光観察における干渉の影響を抑制することができる。また、上記の好ましい波長帯域である波長λが0.3〜3.0μmとなる範囲の一部においては、1mより長い光ファイバの伝搬損失は通常無視できない大きさとなることから、光路長差は1m以下とすることが望ましい。
【0031】
測定波長帯域は、複数の帯域の切替ないし連続的な変化が可能であることが好ましい。これは、照明光を出射する照明光源2として、波長可変レーザを用いる方法や、スーパーコンティニュアム光やASE光などの広帯域光源と波長可変フィルタを組み合わせる方法や、光源と検出器の間の光路のどこかに波長可変フィルタを挿入する方法や、検出器3の前段に回折格子やプリズムなどの分散光学素子を配置して波長成分毎に分離して検出する方法によって実現することができる。切替ないし連続変化が可能な測定波長帯域を用いることにより、検出器3によって観察対象部位22の反射スペクトルを測定し、既知の物質のスペクトルと比較することで、観察対象部位22に含まれる物質を推定し、医学的診断に有用な情報を提供することができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の内視鏡装置1を構成する光学プローブ4によれば、観察対象物(観察対象部位22)を照射するための2本の照明用光導波路(光ファイバ32aと照明用光ファイバ13aとからなる光導波路及び光ファイバ32bと照明用光ファイバ13bとからなる光導波路)の光路長が互いに異なることで、測定波長帯域を狭めると共に照明光のブライトネスを高めた場合に、干渉縞の発生を抑制することができ、その結果、検出器3で検出される光に含まれる雑音が低減され、観察対象物の観察の精度を高めることができる。
【0033】
また、2本の照明用光導波路の光路長差を9mm〜1mの範囲とすることで、干渉縞の発生を効果的に抑制することができる。
【0034】
さらに、上記の光学プローブ4のように、複数の照明用光導波路のそれぞれが、近位端部11に含まれて光分岐部31により分岐された光を導波する光ファイバ32a,32b(前段導波路)と、この光ファイバ32a,32bからの光を導波し遠位端部12へ出射する照明用光ファイバ13a,13bと、から構成され、光ファイバ32a,32bと照明用光ファイバ13a,13bとは着脱可能な光コネクタ45によって接続され、さらに、照明用光ファイバ13a,13b(後段導波路)はその光路長が等しく、光ファイバ32a,32b(前段導波路)は、その光路長が互いに異なる態様とすることが好ましい。また、検出用光ファイバ14が光コネクタ46によって検出器3に対して着脱可能であることが好ましい。これは、光学プローブ4のうち外套15で覆われた領域(遠位端部12、照明用光ファイバ13a,13b及び検出用光ファイバ14が含まれる領域)は、図1に示すように生体組織20に直接接触するため、使い捨てあるいは滅菌処理に耐える構造とする必要があり、そのためにコストが高くなることを考慮したものである。したがって光路長を調整する機能を有する光ファイバ32a,32bを有する近位端部11に対して照明用光ファイバ13a,13bを着脱可能とし、さらに、検出器3に対して検出用光ファイバ14を着脱可能とすることで、近位端部11は滅菌処理をせずに再使用可能とすることができ、コストを低減することができると共に、この光学プローブ4を使用する際の取扱い性を高めることもできる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。
【0036】
例えば、上記実施形態では、光学プローブ4を含む内視鏡装置1について説明したが、光学プローブ4は他の装置に適用することもできる。
【0037】
また、上記実施形態では、照明用光導波路(光ファイバ32aと照明用光ファイバ13aとからなる光路及び光ファイバ32bと照明用光ファイバ13bとからなる光路)が2本である場合について説明したが、この照明用光導波路の数は2本に限定されない。特に、この照明用光導波路の数の−0.5乗に比例して干渉縞の影響が低減されることから、光導波路は16本以上とすることが好ましい。このように照明用光導波路が3本以上である場合、全ての照明用光導波路の光路長が互いに異なることが好ましいが、少なくとも2本の照明用光導波路の光路長が互いに異なることで、干渉縞の発生が抑制される。
【0038】
また、検出用光ファイバ14は、例えば、イメージガイドのような複数のコアを有する光ファイバとすることもできる。その場合は、検出器3は複数の画素を有するイメージセンサであることが好ましい。また、検出用光ファイバ14は単一のコアを有する光ファイバであっても良い。その場合は、外套15の先端部18は管腔臓器21に対して回転及び並進運動できるよう、トルクワイヤやガイドワイヤ(図示せず)を備えることが好ましい。また、検出用光ファイバ14として複数本の光ファイバを備える構成とすることもできる。
【0039】
また、上記実施形態では、光学プローブ4の照明用光導波路が、光路長が実質的に等しい照明用光ファイバ13a,13bと光路長が互いに異なる光ファイバ32a,32bとからなり、これらが光コネクタ45によって着脱可能であることが好ましく、また、検出用光ファイバ14が光コネクタ46によって検出器3に対して着脱可能である構成について説明したが、この構成は必須ではない。すなわち、光分岐部31と結像素子16との間が並列に設けられた複数の照明用光導波路によって接続され、この複数の照明用光導波路の光路長が互いに異なる構成であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態の光学プローブ4では、干渉縞の影響が低減されるため、照明用光ファイバ13a,13b及び光ファイバ32a,32bとして、シングルモードファイバなどの伝搬モード数の少ない光ファイバを使用し、照明光のブライトネス(単位放射角及び単位面積あたりの光パワー)を高めて測定の信号対雑音比を増大させることが可能となる。一方、照明光のブライトネスを高めると、光コネクタ45における接続損失が顕著となるため、着脱可能な光コネクタ45としてMTコネクタなどの所定の芯間隔を有する多芯の光コネクタを用いることが接続損失の抑制の観点から特に好ましい。ただし、光コネクタ45として、照明用の光コネクタとして一般に用いられるバンドル型の光コネクタ等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0041】
1…内視鏡装置、2…照明光源、3…検出器、4…光学プローブ、11…近位端部、12…遠位端部、13a,13b…照明用光ファイバ(後段導波路)、14…検出用光ファイバ、15…外套、16…結像素子、17…ミラー、20…生体組織、21…管腔臓器、22…観察対象部位、31…光分岐器、32a,32b…光ファイバ(前段導波路)、33…入力用コネクタ、34,41…光ファイバ、35…出力用コネクタ、42,45,46…光コネクタ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部と遠位端部とを有する光学プローブであって、
前記近位端部に入射した光を複数の光に分岐する光分岐部と、
前記光分岐部により分岐された複数の光をそれぞれ導波し、前記遠位端部へ出射する複数の照明用光導波路と、
前記遠位端部から入射した光を検出器へ導波する1以上の検出用光導波路と、
前記遠位端部に設けられて前記検出用光導波路と光学的に結合された結像素子と、
を備え、
前記複数の照射用光導波路のうちの少なくとも2本の照明用光導波路は、その光路長が互いに異なる
ことを特徴とする光学プローブ。
【請求項2】
前記複数の照明用光導波路のうちの少なくとも2本の照明用光導波路の光路長差は9mm〜1mである
ことを特徴とする請求項1記載の光学プローブ。
【請求項3】
前記複数の照明用光導波路のそれぞれは、
前記近位端部に含まれて前記光分岐部により分岐された光を導波する前段導波路と、前記前段導波路からの光を導波し前記遠位端部へ出射する後段導波路と、から構成され、
前記前段導波路と前記後段導波路とは着脱可能な光コネクタによって接続され、
前記複数の照明用光導波路における前記後段導波路は、その光路長が等しく、
前記複数の照明用光導波路における前記前段導波路は、その光路長が互いに異なる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の光学プローブ。
【請求項4】
前記光コネクタは、所定の芯間隔を有する多芯コネクタである
ことを特徴とする請求項3記載の光学プローブ。



【図1】
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【公開番号】特開2011−130902(P2011−130902A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292527(P2009−292527)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】