説明

光学式エンコーダおよび位置測定方法

【課題】ある種のスケールの欠陥または汚染により異常信号が生じたとしても、正確な測定動作を行うことができる改良された光学式エンコーダおよび位置測定方法を提供すること。
【解決手段】 照明部と、測定軸方向に沿って延出する第1スケールトラックパターンを有する第1スケールトラックを少なくとも有し、前記照明部からの光を受光するとともに、前記第1スケールトラックパターンに対応する第1周期的空間変調光パターンを第1光路に沿って出力するように配置されるスケール要素と、第1検出部と有効信号選択部とを有する信号処理装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置または変位を高精度に測定する光学式エンコーダおよび位置測定方法に関し、より詳細には、スケールの汚染または欠陥により発生する誤差の影響を受けにくい光学式エンコーダおよび位置測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式の位置エンコーダは、スケールに形成されたパターンを読取ヘッドで検出することにより、スケールに対する読取ヘッドの変位あるいは位置を決定している。
従来、位置エンコーダは、周期的なパターンを有する少なくとも1つのスケールトラックを備えたスケールを用いており、スケールトラックに沿った読取ヘッドの変位または位置に応じてスケールトラックから生じる信号は周期的なものとなる。アブソリュート型の位置エンコーダでは、複数のスケールトラックを用い、アブソリュートスケールに沿った各位置において一意の信号の組合せを得る。
【0003】
様々な用途において、スケールトラック上に製造上の欠陥または塵埃や油といった汚染がある場合、読取ヘッドによって検出されるパターンが乱され、その結果得られた位置または変位測定に誤差をもたらす恐れがある。
一般的には、欠陥または汚染による誤差の大きさは、欠陥または汚染の大きさ、スケール上の周期的パターンの波長、読取ヘッド素子領域の大きさ、およびこれらの大きさどうしの関係といった要素によって決定される。
【0004】
このような位置エンコーダにおける異常信号に対応するため、様々な方法が知られている。このような方法のほとんどは、エンコーダ信号を無効にすること、「誤差信号」を発して使用者に警告すること、または光源の強度を調整して弱くなった信号を増幅すること等に基づく。
しかしながら、このような方法は、ある種のスケールの欠陥または汚染によって異常信号が生じたとしても、正確な測定動作を継続できない。したがって、このような方法では実用性に限りがある。スケールの汚染または欠陥による測定精度への影響を軽減する公知の方法が特許文献1に開示される。
【0005】
特許文献1には、2つ以上の受光素子が同じ位相の周期信号を出力し、これらの信号が信号安定度判定手段にそれぞれ入力される方法が開示されている。信号安定度判定手段は、「正常」と判定された信号のみを出力し、これらの「正常」信号は位置測定の基準として利用される。一方「異常」とされた信号は、位置測定の演算から除外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−065803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献1に開示される「正常」および「異常」な信号を判定する方法には、特許文献1に開示された光学式エンコーダの実用性を制限するいくつかの不利な点があった。
【0008】
本発明の目的は、ある種のスケールの欠陥または汚染により異常信号が生じたとしても、正確な測定動作を行うことができる改良された光学式エンコーダおよび位置測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ある種のスケールの欠陥または汚染により異常信号が生じたとしても正確な測定動作を可能にする、改良された光学式エンコーダの構造および信号処理方法に関する。
前述した特許文献1は、既定の「理想」信号特性に基づき信号異常が判定されることを教示する。しかしながら、予測不可能な様々な動作状態の下では、このような理想基準は過度に限定的、もしくは、単に不適当になる可能性がある。また、特許文献1は、時間をかけて信号をサンプリングしなくては決定されえない多数の信号特性を用いることも教示する。このような信号特性に基づいて、高速な「リアルタイム」測定動作を可能にすることは、困難もしくは不可能である。
これに対し、本発明のシステムおよび方法は、「理想」信号特性といった前提を必要としておらず、1つの信号サンプルに基づいて高速なリアルタイム測定動作を行うのに好適である。
【0010】
本発明は、スケールトラックの欠陥および汚染の影響を低減しつつ、測定軸方向に沿ったスケール要素と検出手段間の相対位置を決定するために用いられる光学式エンコーダに関する。
本発明の光学式エンコーダは、照明部と、測定軸方向に沿って延出する第1スケールトラックパターンを有する第1スケールトラックを少なくとも有し、前記照明部からの光を受光するとともに、前記第1スケールトラックパターンに対応する第1周期的空間変調光パターンを第1光路に沿って出力するように配置されるスケール要素と、第1検出部および有効信号選択部を有する信号処理装置と、を備える。
前記第1検出部は、第1周期的空間変調光パターンを前記第1光路に沿って受光するとともに、この受光した第1周期的空間変調光パターンを空間的にフィルタリングして前記相対位置に応じた信号を出力する。前記第1検出部は、少なくとも3つのサブ部からなる第1セットを備え、この少なくとも3つのサブ部は、前記第1スケールトラックに汚染または欠陥がない場合、設計上同じ信号特性値を持つ少なくとも3つのサブ部信号サブセットを有する第1信号セットを作り出す。
【0011】
前記信号処理装置は、前記第1信号セットを前記有効信号選択部に入力し、前記第1信号セットを分析し、この第1信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号測定値(比較信号特性値)に最も類似しない信号測定値(対応信号特性値)を持つ特異サブ部信号サブセットを認識し、有効な信号セットに基づき第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作を行う。
この際、有効な信号セットは、前記第1信号セットのうち複数の前記類似サブ部信号サブセットは含むが、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まないものとする。
【0012】
本発明において、前記信号処理装置は、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の少なくとも1つに基づき規定される許容相違範囲外にあるとき、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットの信号特性値と著しく異なると判定することができる。
本発明において、前記許容相違範囲は前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の範囲と一致するように規定されてもよい。
【0013】
本発明において、前記信号処理装置は、前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の範囲より大きくなるように前記許容相違範囲を規定し、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記許容相違範囲外ではないとき、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットの信号特性値と著しく異ならないと判定し、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値と著しく異ならない場合、複数の前記類似サブ部信号サブセットおよび前記特異サブ部信号サブセットに基づき前記第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作を行ってもよい。
【0014】
本発明において、前記許容相違範囲の下限値は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、および(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、のいずれかより小さい第1規定相違量であってもよい。
本発明において、前記第1規定相違量は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、(d)前記類似サブ部信号サブセットに関連する2つの信号特性値の差、および(e)前記類似サブ部信号サブセットの信号特性値に関連する分布の尺度、のいずれかに比例してもよい。
本発明において、類似サブ部信号サブセットに関連する分布の尺度としては標準偏差を用いることができる。
【0015】
本発明において、前記許容相違範囲の上限値は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、および(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、のいずれかより大きい第2規定相違量であってもよい。
本発明において、前記第2規定相違量は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、(d)前記類似サブ部信号サブセットに関連する2つの信号特性値の差、および(e)前記類似サブ部信号サブセットの信号特性値に関連する分布の尺度、のいずれかに比例してもよい。
【0016】
本発明において、前記第1セットの少なくとも3つのサブ部はそれぞれ第1の類似検出手段要素のセットを有し、前記測定軸方向に沿って前記第1空間変調光パターンの空間的周期の整数倍だけ離間して配置されることが望ましい。
少なくとも3つのサブ部からなる第1セットおよび/または第1の類似検出手段要素のセットは、各実施形態によって異なって構成されてもよい。
本発明において、前記類似検出手段要素のセットは、単一の検出手段要素、同じ空間的位相を持つ隣接しない検出手段要素のセット、複数の空間的位相を持つ隣接しない検出手段要素のセット、および複数の空間的位相を持つ隣接する検出手段要素のセットのうちいずれかを備えてもよい。
【0017】
本発明において、前記複数の空間的位相を持つ隣接する検出手段要素のセットは、前記第1空間変調光パターンの空間的周期の整数倍で均等に離間されてもよい。
本発明において、前記有効信号選択部は、少なくとも1つの信号結合手段を備え、前記類似検出手段要素のセットは、前記複数の空間的位相を持つ隣接する検出手段要素のセットを備え、各サブ部信号サブセットはこのサブ部信号サブセットに対応する前記信号特性値を規定する結合された信号を出力する信号結合手段に入力されることが好ましい。
【0018】
本発明において、前記信号結合手段は、複数の入力信号の和、複数の入力信号の差、入力信号の結合に基づく商、あるいは、より一般的には、入力信号の結合から導出されうる所望の信号で規定される信号を出力してもよい。
あるいは、前記少なくとも3つのサブ部からなる第1セットの前記類似検出手段要素のセットは、第1空間的位相を持つ単一の検出手段要素と、各々が前記第1空間的位相を持つ隣接しない検出手段要素のセットのいずれかを有してもよい。
前記検出部は、さらに、それぞれ少なくとも3つのサブ部からなる第2セットおよび第3セット(前記第1セットに類似した各々少なくとも3つのサブ部からなる)を少なくとも備え、これらの第2セットおよび第3セットに含まれる第2サブ部および第3サブ部は、前記第1信号セットと同様に、第2空間的位相および第3空間的位相のみを持つ第2信号セットおよび第3信号セットをそれぞれ作り出してもよい。
【0019】
前記信号処理装置は、前記第2信号セットを前記有効信号選択部に入力し、かつ、前記第3信号セットを前記有効信号選択部に入力し、前記第2信号セットを分析して、この第2信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値に最も類似しない信号特性値を持つ特異サブ部信号サブセットを認識し、前記第3信号セットを分析して、この第3信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値に最も類似しない信号特性値を持つ特異サブ部信号サブセットを認識し、有効な信号セットに基づき第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作を行い、この有効な信号セットは、前記第1信号セットの複数の類似サブ部信号サブセットと、前記第2信号セットの複数の類似サブ部信号サブセットと、前記第3信号セットの複数の類似サブ部信号サブセットとを含み、前記第1信号セットの特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記第1信号セットの他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まず、前記第2信号セットの特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記第2信号セットの他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まず、前記第3信号セットの特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記第3信号セットの他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まないように構成されてもよい。
【0020】
このような本発明においては、検出素子のサブ部がスケールトラックパターンの1波長より大きな波長に相当する光を受光した場合、汚染または欠陥の大きさがスケールトラックパターンの波長に類似あるいはそれより大きいとしても、正確なリアルタイム測定を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の光学式エンコーダの実施形態を示す分解図。
【図2】図1の光学式エンコーダにおける検出手段および周期的空間変調光パターン構造の様々な幾何学的関係を示す図。
【図3】本発明に基づく信号処理装置の第1実施形態を示す図。
【図4】本発明に基づく信号処理装置の第2実施形態を示す図。
【図5】本発明の実施形態における信号検出処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に基づく一実施形態である光学式エンコーダ100の検出構造および信号処理システムおよび方法を概略的に示す分解図である。
図1に示されるように、光学式エンコーダ100は、スケール要素110と、電力/信号接続部192によって信号生成/処理部190に接続される信号処理装置120と、照明系または照明部160とを備え、この照明系または照明部160は、可視または不可視の光波長を出射する光源130と、レンズ140と、オプションの光源格子150とを備える。
【0023】
光源130は、電力/信号接続部(図示されず)によって信号生成/処理部190に接続されてもよい。図1の実施形態において、スケール要素110は、絶対スケールパターン115(以下、単にスケールパターン115ということがある)を有し、このパターンは3つのスケールトラックパターン、すなわちインクリメンタルトラックパターンTINC、第1の絶対トラックパターンTABS1および第2の絶対トラックパターンTABS2を有する(以下、単にトラックパターンTINC,TABS1,TABS2ということがある)。
トラックパターンTABS1およびTABS2は、各々の構造によって決定される絶対測定範囲上の絶対位置を決定する際に用いられる信号(例えば信号の組合せ)を規定することから、絶対スケールトラックパターンと呼ばれる。図1はまた、本明細書で用いられる定義に従い、直交するX、YおよびZ方向を示す。XおよびY方向は絶対スケールパターン115の平面に平行であるとともに、X方向は意図される測定軸方向MA(例えば、インクリメンタルトラックパターンTINCに含まれてもよい長尺格子パターン要素に直交)に平行である。Z方向は絶対スケールパターン115の平面に垂直である。
【0024】
信号処理装置120は、3つのスケールトラックパターンTINC、TABS1、およびTABS2からの光を受光するように配置された3つの検出トラックまたは検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2を有する検出部125を備える。
信号処理装置120は、分析部126(例えば、信号調整、増幅および/または結合回路、および/または比較回路等)を備えてもよい。一実施形態において、信号処理装置120は単一のCMOS型ICとして構成されてもよい。以下でさらに詳細に記載されるように、本明細書で開示される検出構造および信号処理システム並びに方法は、3つのスケールトラックパターンTINC、TABS1およびTABS2の光を受光する3つの検出トラックまたは検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2のいずれかまたは全部を用いる構造であってもよい。
【0025】
動作中に光源130から発される光134は、3つのスケールトラックパターンを照らすのに十分なビーム領域にわたり、レンズ140によって部分的または全体的に視準されてもよい。図1は、光134の3つの代表光路134A、134Bおよび134Cを概略的に示す。代表光路134Aは、トラックパターンTINCを照らす光を有する中央の光路の例である。
トラックパターンTINCは照らされると、トラックパターンTINCに対応した周期的空間変調光パターン(いくつかの実施形態では、例えば回折次数からの干渉縞光)を、代表光路116Aに沿って信号処理装置120の検出部DETINCに出力する。
【0026】
代表光路134Bおよび134Cは、それぞれトラックパターンTABS2およびTABS1を照らす光を有する光路の例である。トラックパターンTABS2およびTABS1は照らされると、周期的空間変調光パターン(例えば、各トラックパターンに対応するパターン化された光)を、代表光路116Bおよび代表光路116Cに沿って信号処理装置120の検出部DETABS2およびDETABS1にそれぞれ出力する。各種実施形態において、光学式エンコーダ100は、トラックパターンTABS2およびTABS1がそれぞれ検出部DETABS2およびDETABS1に投影される陰影画像(例えば、不鮮明なもしくは不鮮明でない陰影画像)を作り出すように構成されてもよい。なお、空間変調光パターンは全てスケール要素110と並行して動く。
【0027】
各検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2において、個々の受光領域は受光する空間変調光パターンを空間的にフィルタリングし、所望の位置通知信号(例えば、信号補間につながる空間的な位相関係を有する直角位相信号または他の周期信号)を規定するように構成される。加えて、スケールトラックの欠陥または汚染の影響を低減するために、1つ以上の検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2は図3および/または4を参照して以下に説明される原理に従って構成されてもよく、これら検出部の信号は本明細書に開示される原理に従って処理されてもよい。いくつかの実施形態では、個々の受光領域よりむしろ、個々の孔を有する空間フィルタマスクにより比較的大きい受光素子をマスクして、図示される各受光素子領域に類似する受光領域を規定して、公知の技術に従って同様の全体的な信号効果をもたらしてもよい。
【0028】
中分解能の実施形態(例えば、約40ミクロン以上といった微細なトラック波長を有する)では、光学式エンコーダ100はトラックパターンTINCが検出トラックDETINC上に投影される陰影画像を作り出すように構成されてもよい。比較的高い分解能の実施形態では、トラックパターンTINCは一般的に回折光を生み出すように構成される。
いくつかの実施形態、例えば、およそ8ミクロン以下といった微細なトラック波長を有する実施形態において、光学式エンコーダ100は、回折次数(例えば、+/1次)が検出部DETINCに達する干渉縞を作り出すように公知の方法に従って構成されてもよい。このような実施形態において、光源格子150は一般に省略される。
例えば、およそ8−40ミクロンといった微細なトラック波長を有する他の実施形態において、光学式エンコーダ100は、いくつかの回折次数が相互に作用し、自己結像(例えば、タルボットイメージまたはフレネルイメージ)を検出トラックDETINCの面に作り出すように公知の方法に従って構成されてもよい。
【0029】
自己結像構造において、光源130はLEDで構成されてもよい。光源の各寸法が十分に小さい実施形態では、光源格子150は省略あるいは任意であってもよい。しかしながら、拡張光源を用いる場合、最も所望される自己結像を得るために光源格子150が必要とされてもよい。このような場合、代表光路134A周りの光は光源格子150の格子構造を通過して、格子開口において部分的に干渉性な照明光源の列を規定する。この照明光源は、トラックパターンTINCのピッチつまり波長におおよそ合致するピッチで配置され、公知の自己結像照明原理に従ってトラックパターンTINCを照らす。
図1は光源格子150の実施形態を示す。この光源格子150によれば、代表光路134Bおよび134Cは光源格子150の透明基板を通過することが可能であり、検出部DETABS1およびDETABS2の信号の質に影響を及ぼす光路の強度および視準の度合いが光源格子150の格子構造によって妨害されない。他の実施形態において、代表光路134Bおよび134Cが同様に光源格子150の格子構造を通過してもよいが、最適な構成ではない。
【0030】
様々な用途において、信号処理装置120および照明部160は、互いに相対的に固定された関係で、例えば、読取ヘッドまたはゲージ筐体(図示されず)に搭載されており、公知の技術に基づき、ベアリングシステムによってスケール要素110に対して測定軸に沿って案内される。様々な用途ではスケールは可動台またはゲージスピンドル等に取り付けられてもよい。図1に示される構成は透過可能な構成である。
スケールパターン115は、光遮断部と、透過によって空間変調光パターンを検出トラックに出力する光透過部(例えば、公知の薄膜パターン法等を用いて透明基板上に形成)とを備える。なお、同様の構成要素が反射の実施形態に設けられてもよく、そのような実施形態では、公知の技術に従って、必要に応じて、照明部160および信号処理装置120はスケール要素110に対して同じ側に設けられ、かつ、角度を有する照明および反射が可能となるように配置される。光学式エンコーダ100のその他の構成については、米国特許第7,608,813号に開示される実施形態を参照して設計することができる。
【0031】
なお、本実施形態における図1のY軸方向に沿ったスケールおよび検出トラックの配列および構成は、絶対型光学式エンコーダを規定するものの例であるが、これは例示に過ぎず本発明を限定するものではない。例えば、他の実施形態では、トラックパターンTABS1およびTABS2は互いに隣接して設けられ、それらの片側に微細なトラックパターンTINCが配置されてもよい。あるいは、インクリメンタル型の光学式エンコーダを規定するために、1つ以上のスケールおよび検出トラックが省略され、残りのスケールおよび検出トラックはこれまで通り特定の用途において有用性を有する位置通知信号を規定してもよい。
【0032】
図2は、図1の光学式エンコーダ100で作り出されうる周期的空間変調光パターン構造および検出手段の様々な幾何学的関係およびアライメントのダイアグラム200である。
特に、図2は、検出部125’(例えば、図1に図示される検出部125)に存在しうる周期的空間変調光パターン215’(例えば、図1に示される絶対スケールパターン115によって光路116A〜116Cに沿って作り出されるパターン)のセグメントの例を示す。
つまり、周期的空間変調光パターン215’は、中位のトラックパターンTABS1およびTABS2にそれぞれ対応する第1および第2周期光パターンと、トラックパターンTINCに対応する第3周期光パターンとを有する。トラックパターンTINC、TABS1およびTABS2に対応する空間変調光パターンは設計上アラインメントされ、それぞれ対応する検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2上の中央に位置づけられる(例えば、図1を参照して説明される全体的な光学式エンコーダに基づく)。例えば、検出部DETABS1およびDETABS2の検出手段要素DE−ABS1およびDE−ABS2を表す外形(図2参照)は、形式的な操作アライメントに対応する位置に図示される。
【0033】
図2に示されるように、周期的空間変調光パターンはそれぞれ特有の空間的周期すなわち空間的波長SPINC、SPおよびSPを有する。
具体的に、トラックパターンTABS2および検出部DETABS2にアライメントおよび対応する空間変調光パターンは空間的周期SPを有する。同様に、トラックパターンTABS1および検出部DETABS1にアライメントおよび対応する空間変調光パターンは空間的周期SPを有し、トラックパターンTINCおよび検出部DETINCにアライメントおよび対応する空間変調光パターンはSPINCを有する。
なお、図1に示される実施形態を参照してすでに概説したように、これらの空間変調光パターンが視準された照明から生じる場合、各パターンの空間的周期は対応のスケールトラックパターンの空間的波長と同じであってもよい。しかしながら、他の実施形態では、発散照明、収束照明、または拡大鏡系の使用(図示されず)等により、空間変調光パターンの空間的周期が対応のスケールトラックパターンと異なってもよい。
【0034】
いずれの場合でも、図2に示されるように、各検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2は、同様に接続された検出手段要素群(例えば、G1、G1’またはG1”)が、各検出部によって検出される空間変調光パターンと同じ空間的周期SPINC、SPおよびSPで反復する構成を有してもよい。
具体的に、図2は、各検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2が、反復する群をなす4つの検出手段要素が対応の空間的周期SPINC、SPおよびSPにわたり均等に分配される構造を有することを示す。この検出手段要素の構成は、検出手段要素を接続し、公知の矩形型の信号(例えば、以下図3および/または図4で図示)を規定することが可能な公知の矩形型の検出手段要素のレイアウトを含む。
つまり、各空間的周期において、1群の4つの隣接する検出手段要素は均等に離間され、受信した空間変調光パターンの4つの空間的位相(すなわち0、90、180および270度)を検出する空間フィルタリングを可能にする。
【0035】
本実施形態において、このような4つの隣接する検出手段要素の群が複数(例えば3つ)設けられてもよい。各トラックパターンTABS1およびTABS2のパターン化信号変更要素は、空間変調光パターンの領域が検出窓領域DE−ABS1および/またはDE−ABS2(それぞれ検出部DETABS1およびDETABS2の個々の検出要素に対応)上で統合されると、統合された領域(設計上統合された光信号と同じ)は正弦波関数として変化する。こうして、各空間変調光パターンが対応の検出部上を動くとき、位置の関数としての各検出手段要素によって正弦波状に変化する矩形信号が規定されてもよい。
公知の技術に従って、矩形信号が位置通知信号として処理され、局所波長内の各トラックの空間的位相位置を決定してもよい。こうして決定された空間的位相位置は、インクリメンタル位置通知信号および/または絶対位置通知信号を決定するために公知の技術に従って処理されてもよい。いずれかの実施形態では、トラックパターンTINC、TABS1およびTABS2の全体幅が約3.0ミリメータ以下でもよい。空間的周期SPは約720ミクロンでもよく、空間的周期SPは約700ミクロンでもよく、空間的周期SPINCは約20ミクロンでもよい。
【0036】
当然のことながら、本実施形態で概説された構成および寸法は例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものではない。例えば、いくつかの実施形態では、3つの位相検出構造(矩形検出構造と対照的)が用いられてもよく、この構造では、3つの検出手段要素の反復する群が対応する空間的周期SPINC、SPおよびSPにわたって均等に分配される。
さらに、上記で概説され、また、以下でさらに詳細に記載されるように、本発明の検出構造および信号処理システム並びに信号処理方法は、3つのスケールトラックパターンTINC、TABS1およびTABS2からの光を受光する3つの検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2のいくつかまたは全部を用いるように構成されてもよい。あるいは、インクリメンタル型の光学式エンコーダを規定するために、1つ以上のスケールトラックおよび検出部が省略され、残りのスケールトラックおよび検出部はこれまで通り特定の用途において有用性を有する位置通知信号を規定してもよい。
【0037】
図3は、信号処理装置320の第1実施形態の図であり、本発明のいくつかの実施形態に係る特定の設計原理を示す。
図3に示されるように、信号処理装置320は、検出部325と、分析部326とを備える。検出部325の構造は図2を参照しすでに概説した構成と同様であり、4つの検出手段要素(サブ部)の反復する群は対応の空間的周期SPにわたって均等に分配される。特に、検出部325はサブ部DA、DB、DA’およびDB’からなる第1群と、サブ部DA、DB、DA’およびDB’からなる第2群と、サブ部DA、DB、DA’およびDB’からなる第3群とを備える。
【0038】
なお、サブ部DA、DAおよびDAはそれぞれ同じ空間的位相の信号を規定し、サブ部DB、DBおよびDBはそれぞれ同じ空間的位相の信号を規定し、サブ部DA’、DA’およびDA’はそれぞれ同じ空間的位相の信号を規定し、サブ部DB’、DB’およびDB’はそれぞれ同じ空間的位相の信号を規定する。検出部325は、図2を参照しすでに概説したように、光路に沿って周期的空間変調光パターンを受信し、受信した第1の周期的空間変調光パターンを空間的にフィルタリングして出力信号A、B、A’、B’、A、B、A’、B’、A、B、A’およびB’を出力する。検出部325および分析部326は、例えば前述の検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2の何れかあるいはそれぞれに用いられうる1つの包括的な実施形態を規定する。
【0039】
図3に示される実施形態において、各サブ部は分析部326に接続され、4つのサブ部セット(セットA、セットB、セットA’およびセットB’)を規定する。各セットは検出部325の3つのサブ部から構成される。トラックパターンに汚染または欠陥がない場合、各セットにおいて、3つのサブ部が協働で、設計上同じ信号特性値を持つ3つのサブ部信号サブセット(この場合、各サブセットは1つの信号で構成される)からなる信号セットを作り出す。
例えば、第1サブ部セットAは3つのサブ部DA、DAおよびDAからなり、各サブ部は設計上同じ振幅および空間的位相を有する信号を規定する。各3つのサブ部は、類似サブ部信号サブセットを出力する類似サブ部セットを構成すると言ってもよい。
【0040】
本実施形態では、各類似サブ部セットは単一のサブ部(例えば、DA、DAまたはDA)からなり、かつ、各類似サブ部セットは検出された空間変調光パターンの空間的周期SP(この場合、単一の空間的周期)の整数倍で測定軸方向に沿って隔てて配置される。このような構成によれば、各サブ部セットにおいて、3つのサブ部はそれぞれ、対応のスケールトラックパターンに汚染または欠陥がない場合、設計上同じ信号特性を有するサブ部信号サブセット(例えば、各サブ部からの各信号)を作り出す。
【0041】
それぞれが類似サブ部セットを構成する3つのサブ部のうち、第2セットBはサブ部DB、DBおよびDBを備え、それぞれが類似サブ部セットを構成するサブ部からなる第3セットA’はサブ部DA’、DA’およびDA’を備え、それぞれが類似サブ部セットを構成するサブ部からなる第4セットA”はサブ部DB’、DB’およびDB’を備える。
本実施形態では、3つのサブ部からなる第2セット、第3セットおよび第4セットは、それぞれ3つのサブ部からなる第1セットに類似するものであり、同様に理解可能である。本実施形態では、各サブ部セットにおいて、3つのサブ部はそれぞれ、対応のスケールトラックパターンに汚染または欠陥がない場合、信号特性値が設計上同じサブ部信号サブセットを作り出す(例えば、各サブ部信号サブセットは、設計上同じ空間的位相を有する各検出手段からの信号で構成される)。
【0042】
分析部326は、有効信号選択部310A,310B、310A’および310B’を備える。
有効信号選択部310Aは、セットAのサブ部によって規定される3つのサブ部信号サブセット(本実施形態では各サブセットは個々のサブ部信号)を入力する。同様に、有効信号選択部310Bは、セットBのサブ部によって規定される3つのサブ部信号サブセットを入力する。有効信号選択部310A’は、セットA’のサブ部によって規定される3つのサブ部信号サブセットを入力し、有効信号選択部310B’は、セットB’のサブ部によって規定される3つのサブ部信号サブセットを入力する。
【0043】
分析部326は、有効信号選択部310A、310B、310A’および310B’によって有効と判断されたサブ部信号サブセットを入力する位置判定部330を備える。
有効信号選択部310A、310B、310A’および310B’は、それぞれ有効信号選択手段312A、312B、312A’および312B’(図3に概略的に図示)を制御する有効信号処理部315A、315B、315A’および315B’を備える。
なお、いくつかの実施形態では、有効信号処理部およびそれらの有効信号選択手段は統合されて有効信号選択部内で区別不能とされてもよい。有効信号選択部内の有効な信号セット(例えば、サブ部信号サブセットと非常に類似)を認識する際に適した回路および/またはルーチンは公知の方法に従って構成されてもよく、本明細書で開示される各種原理に基づき有効信号(例えば、サブ部信号サブセットと十分に類似)を規定する信号処理方式は発明の範囲内である。
【0044】
分析部326は、動作中、サブ部の第1セットAからのサブ部信号サブセット(本実施形態では、例えば各サブセットは個々のサブ部信号)の第1セットを有効信号選択部310Aに入力し、サブ部の第2セットからのサブ部信号サブセットの第2セットBを有効信号選択部310Bに入力し、サブ部の第3セットA’からのサブ部信号サブセットの第3セットを有効信号選択部310A’に入力し、サブ部の第4セットB’からのサブ部信号サブセットの第4セットを有効信号選択部310B’に入力する。
【0045】
有効信号処理部315A、315B、315A’および315B’は、各第1から第4信号セットにおいて互いに類似する複数の類似サブ部信号サブセットと、各セットにおいて他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値(比較信号特性値)に最も類似しない信号特性値(対応信号特性値)を有する特異サブ部信号サブセットとを認識する。
例えば、一つの実施形態では、各有効信号処理部は公知の方法に従って、特異サブ部信号サブセット(例えば他の信号と比べて最も異なる信号)同様、類似サブ部信号サブセット(例えば最も類似する信号)を認識可能にする信号を出力してもよい差分回路および/またはコンパレータ回路を備えてもよい。
【0046】
各有効信号処理部315A、315B、315A’および315B’は、以下に説明される原理に従って有効信号のセットを認識する。
特に、何れかのサブ部信号サブセットに対応する信号特性値が他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく相違する場合、この何れかのサブ部信号サブセットが特異サブ部信号サブセットとなり、各有効信号処理部は、関連する3つのサブ部信号サブセットのうち複数の類似サブ部信号サブセットは含むが特異サブ部信号サブセットは含まない有効信号のセットを認識する。
したがって、図3に示される実施形態では、各有効信号処理部315A、315B、315A’および315B’は、少なくとも複数の類似サブ部信号サブセット(いくつかの実施形態では類似する信号全て)を位置判定部330に出力する(例えば、有効信号選択手段312A、312B、312A’および312B’としてのスイッチ等を介して)。
こうして、サブセット位置通知信号は少なくとも複数の類似サブ部信号サブセットに基づくが、各セットの最も類似しないサブ部信号の信号特性値が当該セットにおける他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる場合、有効信号処理部は位置判定部330への出力におけるサブ部信号サブセットを含まない(例えば、特異サブ部信号サブセットから隔離または接続を断つ有効信号選択手段またはスイッチの開放によって)。したがって、位置通知信号は、当該信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく相違する特異サブ部信号サブセットに基づかない。
【0047】
図3に示される実施形態では、スケールトラック上の汚染はサブ部DB、DA’およびDB’に隣接している。この結果、信号B、A’およびB’はこの汚染によって変化するため(破線で示されるように)、これらの信号の信号特性値は有効信号選択部によって入力された信号セットから得られるより類似する他の信号に関連する比較信号特性値と著しく異なる。
例えば、図3に示されるように、信号BおよびBはBに対してよりも互いに類似しているが、これは信号Bのみが汚染のあるスケールトラックの位置に対応しており、そのため信号BおよびBとは著しく相違する信号特性値を有しているからである。したがって、有効信号処理部315Bは信号BおよびBを類似する信号として、信号Bを最も類似しない信号として認識することができる。
【0048】
この実施形態では、有効信号処理部315Bはこうして信号Bを類似する信号と著しく異なると認識し、概略的に図示されるように有効信号選択手段312B内の信号Bに対応する開スイッチによって信号Bを位置判定部330へ出力される信号から除外する。有効信号処理部315A’および315B’は、同様に、それぞれのセットのうち信号A’およびB’を類似する信号と著しく異なると認識し、概略的に図示されるように有効信号選択手段312A’および312B’内のA’およびB’に対応する開スイッチによって信号A’およびB’を位置判定部330に出力される信号から除外する(特異サブ部信号扱い)。
本実施形態では、A信号に影響する汚染がないことから、有効信号処理部315Aは、どの「A」信号も類似する「A」信号と著しく異なるとは認識しない。したがって、この特定の実施形態では、概略的に図示されるように有効信号選択手段312A内のスイッチが全て閉じられることによって全てのA信号が位置判定部330に出力される信号に含まれる。しかしながら、この特定の操作は例示的なものに過ぎず限定ではないことを理解されたい。著しく異なる最も類似しない信号特性値を判断する様々な他の実施形態が以下詳細に述べられる。
【0049】
一実施形態では、有効信号処理部315A、315B、315A’および315B’および/または位置判定部330は、互いに相対的に適切な振幅を有する矩形信号A、B、A’およびB’を規定するために、例えば以下の式(1)〜(4)に従って平均信号値を規定してもよい。
【0050】
【数1】

(1)
【0051】
【数2】

(2)
【0052】
【数3】

(3)
【0053】
【数4】

(4)
【0054】
あるいは、動作スピードまたは簡素化の点で有利となりうる実施形態において、信号処理装置は、有効信号選択部310A,310B,310A’,310B’のうちの1つから発される信号の1つ(例えば、本実施形態では信号B、A’およびB’の1つ以上)が出力から除外されるとき、著しく異なると分析されていないとしても類似信号を他の有効信号選択部310A,310B,310A’,310B’それぞれの出力から自動的に除外し(例えば、信号Aを除外してもよい)、各有効信号選択部310A,310B,310A’,310B’からの出力が同じ数の有効信号に基づくようにして、互いに適切な信号振幅を有するようにしてもよい。
一実施形態では、公知の方法に従って、位置判定部330は矩形信号A、B、A’、B’を入力し、スケールと検出手段の間の測定軸方向MAに沿った相対位置に応じた位置信号xを出力する。一実施形態では、矩形信号A、B、A’、B’に基づき、空間的位相jが次の式により決定される。
【0055】
【数5】

(5)

空間的波長内の位置xは次の式により決定される。
【0056】
【数6】

(6)
【0057】
式(6)中、Lはスケールパターンに関連する波長であり、位相fは式(5)に基づくこの波長に対応する空間的位相である。累積された変位を決定するために、インクリメンタル型エンコーダでは累積された波長が相対動作の間カウントされてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、信号処理装置は、特異サブ部信号サブセットの信号特性値が、類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の少なくとも1つに基づき規定される許容相違範囲外にあるとき、特異サブ部信号サブセットの信号特性値が類似サブ部信号サブセットの比較信号特性値と著しく異なると判定してもよい。いくつかの実施形態において、類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の範囲と一致するように許容相違範囲が規定されてもよい。
このような実施形態では、特異サブ部信号サブセットの信号特性値は当該セットにおいて他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なると常に判断され、この特異サブ部信号サブセットは常にその後の処理から除外される。したがって、位置通知信号は特異サブ部信号サブセットに決して基づかない。他の実施形態では、類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の範囲より大きくなるように許容相違範囲が規定されてもよい。
【0059】
このような実施形態では、特異サブ部信号サブセットは、許容相違範囲内にあるとしても、類似する各サブ部信号サブセットより高いあるいは低い信号特性値を有してもよい。例えば、各種実施形態において、許容相違範囲の下限値は類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、および類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値のいずれかより小さい第1規定相違量であってもよい。
第1規定相違量は、類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、類似サブ部信号サブセットに関連する2つの信号特性値の差、および類似サブ部信号サブセットに関連する分布の尺度のいずれかに比例してもよい(例えば、いずれかのパーセンテージであってもよい)。
例えば、図3に示すように、第1規定相違量は、信号BおよびBの低い方の信号特性値、信号BおよびBの平均信号特性値、信号BおよびBの高い方の信号特性値、信号BおよびBの差、または信号BおよびBの分布の尺度に比例してもよい。類似する信号(例えばBおよびB)に関連する分布の尺度が標準偏差であってもよい。
【0060】
各種実施形態において、許容相違範囲の上限値は類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均および類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値のいずれかより大きい第2規定相違量であってもよい。
第2規定相違量は、類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、類似サブ部信号サブセットに関連する2つの信号特性値の差、および類似サブ部信号サブセットに関連する分布の尺度のいずれかに比例してもよい。
例えば、図3に示すように、第2規定相違量は、信号BおよびBの低い方の信号特性値、信号BおよびBの平均信号特性値、信号BおよびBの高い方の信号特性値、信号BおよびBの差、または信号BおよびBの分布の尺度に比例してもよい。
【0061】
図3に示される類似サブ部のセットは、1つのサブ部からなるが、検出部が長い場合、各サブ部セットの3つのサブ部もまた長くてもよい。したがって、他の点は図3に類似するいくつかの実施形態において、各類似サブ部セットは他から空間変調光パターンの空間的周期SPの整数倍だけ離間して配置されてもよい。各類似サブ部セットは同じ空間的周期を有する複数の隣接しないサブ部を備えてもよい。
【0062】
図4は、本発明の第2実施形態の信号処理装置420を示す図であり、本発明のいくつかの実施形態に係る特定の設計原理を示す。
図4において、信号処理装置420は、検出部425と分析部426とを備える。
検出部425は、図2を参照して上記で概説されたものと類似の構成を有し、4つのサブ部の反復される群は対応する空間的周期SPにわたって均等に分配される。特に、検出部425はサブ部DA、DB、DA’およびDB’からなる第1群と、サブ部DA、DB、DA’およびDB’からなる第2群と、サブ部DA、DB、DA’およびDB’からなる第3群とを備える。
【0063】
なお、各サブ部DA、DAおよびDAは同じ空間的位相を持つ信号を規定し、各サブ部DB、DBおよびDBは同じ空間的位相を持つ信号を規定し、以下も同様である。検出部425は、図2を参照し上記で概説したように、光路に沿って周期的空間変調光パターンを受信し、受信した周期的空間変調光パターンを空間的にフィルタリングして出力信号A、B、A’、B’、A、B、A’、B’、A、B、A’およびB’を出力する。検出部425および分析部426は、例えば、前述の検出部DETINC、DETABS1およびDETABS2の何れかあるいはそれぞれに用いられうる1つの包括的な実施形態を規定する。
【0064】
図4に示される実施形態において、サブ部は分析部426に接続され、検出部425の3つのサブ部(サブ部1、サブ部2およびサブ部3)を含む1つのサブ部セットを規定する。同時に、この3つのサブ部は信号セットを作り出し、この信号セットは、トラックパターンに汚染あるいは欠陥がない場合に設計上同じ信号特性を有する3つのサブ部信号サブセット(この場合、各サブセットはA、B、A’およびB’と指定された異なる空間的位相を有する4つの信号からなる)を備える。
例えば、全ての「A」信号は設計上サブセットが同じであり、全ての「B」信号は設計上サブセットが同じであり、以下も同様である。3つのサブ部はそれぞれ、類似サブ部のセットを備えると言ってもよい。本実施形態において、類似サブ部のセットはそれぞれ、空間的周期SPにわたり均等に離間する4つの隣接するサブ部からなる。
【0065】
類似サブ部のセットはそれぞれ、検出された空間変調光パターンにおける空間的周期SP(この場合、単一の空間的周期)の整数倍で、測定軸方向に沿って互いに離間して配置される。このような構成によれば、各サブ部のセット内における3つのサブ部はそれぞれ、対応のスケールトラックパターンに汚染または欠陥がない場合、設計上同じ位置通知信号特性を有する信号を作り出す。図示される実施形態において、サブ部1はサブ部DA、DB、DA’およびDB’を備え、サブ部2はサブ部DA、DB、DA’およびDB’を備え、サブ部3はサブ部DA、DB、DA’およびDB’を備える。
【0066】
分析部426は、有効信号選択部410を備え、この有効信号選択部410は、有効信号処理部415と、この有効信号処理部415によって制御される有効信号選択手段412(図4においてスイッチとして概略的に表示)と、有効信号選択部410からの信号を入力する位置判定部430(上記で概説され、以下でさらに詳細に記載される)とを備える。
図4に示される特定の実施形態において、有効信号選択部410はまた、各サブ部1、サブ部2およびサブ部3によって規定される3つのサブ部信号サブセット(本実施形態において各サブセットは異なる空間的位相を持つ4つの隣接するサブ部信号を有する)を入力する信号結合部405−1、405−2および405−3を備える。
信号結合部405−1、405−2および405−3は、それぞれの入力信号の結合から導出される比較信号を出力してもよく、また、これらの比較導出信号の信号特性における類似性が、上記の原理により、かつ、下記でさらに詳細に記載されるように、位置判定部430によって使用される信号を出力する有効信号処理部415によって分析されてもよい。
【0067】
各種実施形態において、信号結合部405−1、405−2および405−3は、複数の入力信号の和、複数の入力信号の差、入力信号の結合に基づく商、あるいは、より一般的には、入力信号の結合から導出されうる所望の信号である1つの信号(または1つ以上の信号)を出力してもよい。いくつかの実施形態において、信号結合部405−1、405−2および405−3は、空間的位相または位置信号(例えば、式5または6による)を出力してもよい。しかしながら、信号結合部405−1、405−2および405−3は各種実施形態において任意でもよく、その場合、有効信号処理部415は、各サブ部1、サブ部2およびサブ部3からの3つのサブ部信号サブセットを入力し、位置判定部430によって使用される有効信号のセットが出力されるように、上記の原理により、かつ、下記でさらに詳細に記載されるように、その3つのサブ部信号サブセットを分析してもよい。
【0068】
有効信号選択部410および位置判定部430は、動作中、図3を参照して上記で概説された有効信号選択部310および位置判定部330と略同様の機能を果たすと理解されるべきである。
特に、各種実施形態において、有効信号処理部415は、3つのサブ部信号サブセットからなるセットのうち複数の類似サブ部信号サブセットを、例えば、これらのサブセットの対応の類似する信号特性値に基づき認識し、他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値に対して最も類似しない対応信号特性値を有する特異サブ部信号サブセットを認識する。例えば、一実施形態において、公知の方法に従って、有効信号処理部415は、類似サブ部信号サブセットに対応する類似する信号特性を認識可能にするとともに、特異サブ部信号サブセットに対応する最も類似しない信号特性を認識可能にする信号を出力可能な差分回路および/またはコンパレータ回路を備えてもよい。
【0069】
有効信号処理部415は、さらに、上記で概説した原理に従って、下記でさらに説明されるように、有効信号のセットを認識する。なお、分析される特定の信号特性に関係なく(例えば、特定の信号特性がサブ部信号サブセット自体の信号特性であっても信号結合回路によってサブ部信号サブセットから導出された結合信号の信号特性であっても関係なく)、上記によれば、有効信号処理部415によって分析される各信号特性により、特定のサブ部信号サブセットを突き止めることが可能である。
したがって、有効信号処理部415は、図3を参照して上記で概説されたものと類似の機能を果たすとともに、3つのサブ部信号サブセットからなるセットのうち複数の類似サブ部信号サブセットは含むが、特異サブ部信号サブセットに対応する信号特性が他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性と著しく異なる場合、特異サブ部信号サブセットは含まない有効信号のセットを認識すると言ってもよい。特異サブ部信号サブセットの信号特性値が類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なるか否かを判定するための各種実施形態は、例えば、図3を参照して上記で説明されている。
【0070】
図4に示される実施形態において、有効信号処理部415は、位置通知信号が少なくとも複数の類似サブ部信号サブセットに基づくように、有効信号選択手段412であるスイッチを制御して位置判定部430への有効信号のセットに基づく信号を出力する。特異サブ部信号サブセットの信号特性値が他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる場合、位置通知信号が他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる信号特性値を持つ特異サブ部信号サブセットに基づかないように、有効信号処理部415は位置判定部430に出力される信号に特異サブ部信号サブセットに対応する信号を含まない。
【0071】
有効信号選択部410によって出力されて位置判定部430で利用される信号が、このような有効信号のセットに基づく(例えば、導出される)場合、各種実施形態において、位置判定部430に出力される信号は、位置判定部430が適切な位置通知信号を決定する際に利用可能な都合のよい形態を取ることができる。
例えば、各種実施形態において、位置判定部430に出力された信号は、有効信号のセット、有効信号のセットのうち適当なセットの和または差、有効信号のセットのうち適当なセットの結合に基づく商、あるいは、有効信号のセットのうち適当なセットに基づく空間的位相または位置信号と同一であってもよい。したがって、図4に示される位置出力信号S1、S2およびS3はそれぞれ、1つの結合信号、または、所望の出力信号セット(例えば、S1はA、B、A’、B’を含んでもよい)を示す。
【0072】
なお、いくつかの実施形態において、有効信号選択手段412および有効信号処理部415(並びに、もしあれば信号結合部405−1、405−2、405−3)は、有効信号選択部410内で結合され互いに判別不可であってもよい。有効な信号のセット(例えば、十分に類似サブ部信号サブセット)を認識するために適した回路および/またはルーチンは、公知の方法に従って構成されてもよい。本明細書において開示される様々な原理に従って、有効信号(例えば、十分に類似サブ部信号サブセット)を規定する任意の信号処理方式は、発明の範囲内である。
図4に示される実施形態では、スケールトラック上の汚染はサブ部DB、DA’およびDB’に隣接している。その結果、信号B、A’およびB’は汚染により変化し(点線で図示)、そのため、対応のサブ部2の信号サブセットは、他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる信号特性値を有することになる。
【0073】
例えば、図4に示されるように、サブ部2の信号サブセットだけがスケールトラックの汚染がある部分に対応しているため、サブ部1の信号サブセットおよびサブ部3の信号サブセットは、サブ部2の信号サブセットに対してより、互いに類似している。このため、サブ部2の信号サブセットは、サブ部1および3の信号サブセットに対応するものと著しく異なる信号特性値を有する。したがって、有効信号処理部415は、サブ部1および3のサブセットを類似していると認識し、サブ部2の信号サブセットは最も類似しないと認識することができる。
本実施形態において、有効信号処理部415はこうして、類似サブ部信号サブセットに対しサブ部2の信号サブセットが著しく異なることを認識し、概略的に図示されるように、有効信号選択手段412の信号S2に対応する開スイッチによって位置判定部430へ出力する信号からサブ部2の信号サブセットを除外する。
【0074】
なお、本開示に基づき当業者によって理解されるように、図3または図4に図示されない検出部のサブ部セットに対して、他の構成が本明細書に開示される原理に従って用いられてもよい。
例えば、より一般的には、類似サブ部のセットは、単一のサブ部、同じ空間的位相を持つ隣接しないサブ部のセット(図3に開示)、複数の空間的位相を有する隣接しないサブ部のセット、または、複数の空間的位相を有する隣接するサブ部のセット(図4に図示)を備えてもよい。
【0075】
なお、先行技術である特許文献1は、所定の理想範囲から逸脱する1つの信号特性値を持つ信号が異常と判断されることを教示する。したがって、不正確な測定を防ぐために、検出手段サブ部からの信号のほんの微々たる部分またはわずかな部分を妨害する汚染または欠陥を異常と判断する可能性がある。しかしながら、様々な予測できない動作状態(例えば、弱くなった照明)の下では、低い信号が必ずしも不正確な信号というわけではなく、したがって、特許文献1の方法は、場合によっては、エンコーダの動作を不必要に停止させる恐れがある。
さらに、特許文献1において教示される信頼度が最も高い信号特性は、時間をかけて(例えば、多数の位置で)信号データをサンプリングし、こういったデータから信号特性を導出することを必要とする。したがって、位置独立の実信号特性が導出され、任意の位置に有効な方法で得られなければならない所定の信号特性限度と比較されうる。
【0076】
これに対し、本発明に基づく光学式エンコーダのシステムおよび信号処理方法(例えば、図3および図4を参照し記載される実施形態)は、複数の実信号の信号特性を互いに(所定の理想の信号特性範囲とではなく)比較することに依拠し、これにより、著しく正確性を低下させることなしに、全ての信号に同様に作用する多種多様な予測できない動作状態(例えば、低い照明レベル、変化する環境条件または構成部品の老化)の下で、確実に動作を継続することが可能とする。
さらに、空間的位相および信号処理が類似していると仮定した場合、複数の同時にサンプリングされた実信号は位置と関係なく設計上同じになるはずである。つまり、汚染やスケールの欠陥による異常信号は、信号サンプル1つで得られる単純な信号特性(例えば、信号の大きさ)によって、位置に関わらず確実に明らかにすることができる。
したがって、各種実施形態において、本発明のシステムおよび方法は、単純な信号特性および1つの信号サンプルに基づき、異常信号を拒絶し、正確なリアルタイム測定を可能にすることができる。さらに、本発明のシステムおよび方法は、検出手段のサブ部が、スケールトラックパターンの1波長より大きな波長に相当する光を受光した場合、スケールトラックパターンの波長に類似、あるいは、それより大きい汚染または欠陥の大きさを許容しつつ、効果的に機能することができる。
【0077】
図5は、本明細書に開示される各種実施形態に係る光学式エンコーダ100等の光学式エンコーダ装置の操作方法を示すフローチャートを示す。図5に示すフローチャートは、スケールトラックの欠陥および汚染の影響を低減しつつ、測定軸方向に沿ったスケール要素と検出手段の相対位置を決定する処理ルーチンとして各種実施形態において実施可能な本発明の位置測定方法を示す。
図5において、ブロック505では、光が照明部から出力される。
ブロック510では、測定軸方向に沿って延出する第1スケールトラックパターンを有する第1スケールトラックを少なくとも有するスケール要素によって照明部からの光が受光され、この第1スケールトラックパターンに対応する第1周期的空間変調光パターンが第1光路に沿って出力される。
【0078】
ブロック515では、第1周期的空間変調光パターンが第1光路に沿って第1検出部および分析部を備える信号処理装置で受信され、この受信された第1周期的空間変調光パターンは、第1検出部によって空間的にフィルタリングされ、位置通知信号の第1セットが第1検出部によって出力される。第1検出部は、少なくとも3つのサブ部からなる第1セットを備え、この少なくとも3つのサブ部は、少なくとも3つのサブ部信号サブセットを有する第1信号セットを作り出し、この少なくとも3つのサブ部信号サブセットは、第1スケールトラックに汚染または欠陥がない場合、設計上同じ信号特性値を持つ(例えば、図3または4を参照し前述したように)。
ブロック520では、第1信号セットが分析部に入力される。
ブロック525では、第1信号セットが分析され、特異サブ部信号サブセットが認識される。この特異サブ部信号サブセットは、第1信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値に最も類似しない対応信号特性値を持つ。
ブロック525以降、処理はブロックAに続く(すなわち図5のブロック530に続く)。
【0079】
図5のフローチャートの後半は、スケールトラックの欠陥および汚染の影響を低減しつつ、光学式エンコーダを操作するための2つの代替的な実施形態を包括するものとして解釈されうる。
判定ブロック530では、現行の実施形態が、位置通知信号を決定する際に用いられる有効信号のセットから特異サブ部信号サブセットを常に(無条件に)除外する場合、動作はブロック540に進む。
ブロック540では、第1信号セットのうち複数の類似サブ部信号サブセットは含むが特異サブ部信号サブセットは含まない有効信号のセットに基づき、第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作が行われ、ルーチンが終了する。
判定ブロック535では、特異サブ部信号サブセットの信号特性値が他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なると判定された場合、処理はブロック540に進む。
【0080】
同ブロック540では、第1信号セットのうち複数の類似サブ部信号サブセットは含むが特異サブ部信号サブセットは含まない有効信号のセットに基づき、第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作が行われる。もし、判定ブロック535において、特異サブ部信号サブセットの信号特性値が他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異ならないことが判明した場合、処理はブロック550に進む。
同ブロック550では、第1信号セットの複数の類似サブ部信号サブセットおよび特異サブ部信号サブセット(この場合、同信号は類似サブ部信号サブセットと著しく異ならない)を含む有効信号のセットに基づき、第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作が行われる。特異サブ部信号サブセットの信号特性値が他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なるか否かを判定する各種実施形態は、例えば、図3を参照して前述されている。ブロック540またはブロック550の動作の後ルーチンは終了する。
【0081】
なお、上記記載から理解されるように、位置通知信号を決定する際に用いられる有効信号のセットから特異サブ部信号サブセットを常に(無条件に)除外する実施形態において、この事はすでに公知であると思われるが、対応のルーチンは、ブロック530,ブロック535および/またはブロック550に関連する動作を実際含む(すなわち行う)必要はない。同様に、位置通知信号を決定する際に用いられる有効信号のセットから特異サブ部信号サブセットを常に除外するわけではない実施形態において(例えば、特異サブ部信号サブセットが他の有効なサブ部信号サブセットに十分に類似する場合)、この事はすでに公知であると思われるが、対応のルーチンはブロック530に関連する動作を実際含む(すなわち行う)必要はない。
【0082】
本発明の好適な実施形態は図示および記載されているものの、図示および記載された特徴の構成や一連の動作における数多くの変形例は、本開示に基づき当業者に自明であるものと思われる。したがって、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であると理解される。
【符号の説明】
【0083】
1,2,3…サブ部
100…光学式エンコーダ
110…スケール要素
115…絶対スケールパターン
116A,116B,116C…代表光路
120…信号処理装置
125…検出部
126…分析部
130…光源
134…光
134A,134B,134C…代表光路
140…レンズ
150…光源格子
160…照明部
190…処理部
192…信号接続部
200…ダイアグラム
215…周期的空間変調光パターン
310A,310B,310A’,310B’,410…有効信号選択部
312A,312B,312A’,312B’,412…有効信号選択手段
315A,315B,315A’,315B’,415…有効信号処理部
320,420…信号処理装置
325,425…検出部
326,426…分析部
330,430…位置判定部
405−1,405−2,405−3…信号結合部
TINC、TABS1およびTABS2…スケールトラックパターン
DA、DB、DA’,DB’…第1群のサブ部
DA、DB、DA’,DB’…第2群のサブ部
DA、DB、DA’,DB’…第3群のサブ部
DETINC、DETABS1およびDETABS2…検出部
、B、A’、B’、A、B、A’、B’、A、B、A’,B’…出力信号
SPINC、SP,SP…空間的周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケールトラックの欠陥および汚染の影響を低減しつつ、測定軸方向に沿ったスケール要素と検出手段要素間の相対位置を決定する際に用いられる光学式エンコーダであって、
照明部と、
測定軸方向に沿って延出する第1スケールトラックパターンを有する第1スケールトラックを少なくとも有し、前記照明部からの光を受光するとともに前記第1スケールトラックパターンに対応する第1周期的空間変調光パターンを第1光路に沿って出力するように配置されるスケール要素と、
第1検出部および有効信号選択部を有し、第1周期的空間変調光パターンを前記第1光路に沿って受光するとともに、この受光した第1周期的空間変調光パターンを空間的にフィルタリングして前記相対位置に応じた信号を出力する信号処理装置と、を備え、
前記第1検出部は、少なくとも3つのサブ部からなる第1セットを備え、この少なくとも3つのサブ部は、前記第1スケールトラックに汚染または欠陥がない場合、設計上同じ信号特性値を持つ少なくとも3つのサブ部信号サブセットを有する第1信号セットを作り出し、
前記信号処理装置は、前記第1信号セットを前記有効信号選択部に入力し、前記第1信号セットを分析し、この第1信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値に対して最も類似しない信号特性値を持つ特異サブ部信号サブセットを認識し、有効な信号セットに基づき第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作を行い、
この有効な信号セットは、前記第1信号セットのうち複数の前記類似サブ部信号サブセットは含むが、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まない、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記信号処理装置は、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の少なくとも1つに基づき規定される許容相違範囲外にあるとき、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットの比較信号特性値と著しく異なることを判定する、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式エンコーダにおいて、前記許容相違範囲は前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の範囲と一致するように規定される、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項4】
請求項2に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記信号処理装置は、
前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の範囲より大きくなるように前記許容相違範囲を規定し、
前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記許容相違範囲外ではないとき、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットの比較信号特性値と著しく異ならないことを判定し、
前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異ならない場合、複数の前記類似サブ部信号サブセットおよび前記特異サブ部信号サブセットに基づき前記第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作を行う、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記許容相違範囲の下限値は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、および(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、のいずれかより小さい第1規定相違量である、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項6】
請求項5に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記第1規定相違量は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、(d)前記類似サブ部信号サブセットに関連する2つの信号特性値の差、および(e)前記類似サブ部信号サブセットの信号特性値に関連する分布の尺度、のいずれかに比例する、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項7】
請求項4に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記許容相違範囲の上限値は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、および(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、のいずれかより大きい第2規定相違量である、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項8】
請求項7に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記第2規定相違量は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、(d)前記類似サブ部信号サブセットに関連する2つの信号特性値の差、および(e)前記類似サブ部信号サブセットの信号特性値に関連する分布の尺度、のいずれかに比例する、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項9】
請求項1に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記第1セットの少なくとも3つのサブ部はそれぞれ第1の類似サブ部のセットを有し、前記測定軸方向に沿って前記第1空間変調光パターンの空間的周期の整数倍だけ離間して配置される、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項10】
請求項9に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記類似サブ部のセットは、単一のサブ部、同じ空間的位相を持つ隣接しないサブ部のセット、複数の空間的位相を持つ隣接しないサブ部のセット、および複数の空間的位相を持つ隣接するサブ部のセットのうちいずれかを備える、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項11】
請求項10に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記複数の空間的位相を持つ隣接するサブ部のセットは、前記第1空間変調光パターンの空間的周期の整数倍にわたり均等に離間される、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項12】
請求項11に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記有効信号選択部は、少なくとも1つの信号結合手段を備え、
前記類似サブ部のセットは、前記複数の空間的位相を持つ隣接するサブ部のセットを備え、
各サブ部信号サブセットはこのサブ部信号サブセットに対応する前記信号特性値を規定する結合された信号を出力する信号結合手段に入力される、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項13】
請求項10に記載の光学式エンコーダにおいて、
前記少なくとも3つのサブ部からなる第1セットの前記類似サブ部のセットは、第1空間的位相を持つ単一のサブ部と、各々が前記第1空間的位相を持つ隣接しないサブ部のセットと、のいずれかを有し、
前記検出部は、各々少なくとも3つのサブ部からなる第2セットおよび第3セットをさらに備え、
前記少なくとも3つのサブ部からなる第2セットは、前記第1スケールトラックに汚染または欠陥がないとき、設計上同じ信号特性値を持つ少なくとも3つのサブ部信号サブセットを有する第2信号セットを作り出し、
前記少なくとも3つのサブ部からなる第3セットは、前記第1スケールトラックに汚染または欠陥がないとき、設計上同じ位置通知信号特性値を持つ少なくとも3つのサブ部信号サブセットを有する第3信号セットを作り出し、
前記第2セットの少なくとも3つのサブ部は、それぞれ第2の類似サブ部のセットを有し、前記測定軸方向に沿って前記第1空間変調光パターンの空間的周期の整数倍だけ離間して配置され、
前記第3セットの少なくとも3つのサブ部はそれぞれ第3の類似サブ部のセットを有し、前記測定軸方向に沿って前記第1空間変調光パターンの空間的周期の整数倍だけ離間して配置され、
前記第2の類似サブ部のセットは、第2空間的位相を持つ単一の検出手段と、各々が前記第2空間的位相を持つ隣接しないサブ部のセットとのいずれかを有し、
前記第3の類似サブ部のセットは、第3空間的位相を持つ単一のサブ部と、各々が前記第3空間的位相を持つ隣接しないサブ部のセットとのいずれかを有し、
前記信号処理装置は、
前記第2信号セットを前記有効信号選択部に入力し、かつ、前記第3信号セットを前記有効信号選択部に入力し、
前記第2信号セットを分析して、この第2信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値に最も類似しない信号特性値を持つ特異サブ部信号サブセットを認識し、
前記第3信号セットを分析して、この第3信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値に最も類似しない信号特性値を持つ特異サブ部信号サブセットを認識し、
有効な信号セットに基づき第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作を行い、
この有効な信号セットは、
前記第1信号セットにおける複数の類似サブ部信号サブセットと、前記第2信号セットにおける複数の類似サブ部信号サブセットと、前記第3信号セットにおける複数の類似サブ部信号サブセットとを含み、
前記第1信号セットにおける特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記第1信号セットにおける他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まず、
前記第2信号セットにおける特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記第2信号セットにおける他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まず、
前記第3信号セットにおける特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記第3信号セットにおける他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まない、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項14】
請求項1に記載の光学式エンコーダにおいて、
当該光学式エンコーダは絶対型光学式エンコーダであり、
前記スケール要素は、微細な波長を持つ微細なスケールトラックと、この微細な波長より長い波長を持つ少なくとも1つの絶対スケールトラックと、を有し、
前記第1スケールトラックは、前記少なくとも1つの絶対スケールトラックのうちの1つである、ことを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項15】
スケールトラックの欠陥および汚染の影響を低減しつつ、測定軸方向に沿ったスケール要素と検出手段間の相対位置を決定する位置測定方法であって、
照明部から光を出力する工程と、
測定軸方向に沿って延出する第1スケールトラックパターンを有する第1スケールトラックを少なくとも有するスケール要素で前記照明部からの光を受光し、前記第1スケールトラックパターンに対応する第1周期的空間変調光パターンを第1光路に沿って出力する工程と、
第1検出部と有効信号選択部とを有する信号処理装置で、前記第1周期的空間変調光パターンを前記第1光路に沿って受光し、この受光した第1周期的空間変調光パターンを空間的にフィルタリングして前記相対位置に応じた信号を出力する工程であって、前記第1検出部は少なくとも3つのサブ部からなる第1セットを備え、この少なくとも3つのサブ部は、前記第1スケールトラックに汚染または欠陥がない場合、設計上同じ信号特性値を持つ少なくとも3つのサブ部信号サブセットを有する第1信号セットを作り出す工程と、
前記第1信号セットを前記信号処理装置で処理する工程と、を備え、
前記第1信号セットを前記信号処理装置で処理する工程は、
前記第1信号セットを前記有効信号選択部に入力する工程と、
前記第1信号セットを分析して、この第1信号セットのうち他の類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値に最も類似しない信号特性値を持つ特異サブ部信号サブセットを認識する工程と、
有効な信号セットに基づき第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作を行う工程と、を備え、
この有効な信号セットは、前記第1信号セットのうち複数の前記類似サブ部信号サブセットを含むが、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異なる場合、この特異サブ部信号サブセットを含まない、ことを特徴とする位置測定方法。
【請求項16】
請求項15に記載の位置測定方法において、
前記信号処理装置で前記第1信号セットを処理する工程は、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の少なくとも1つに基づき規定される許容相違範囲外にあるとき、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットの比較信号特性値と著しく異なることを判定する工程、を備えることを特徴とする位置測定方法。
【請求項17】
請求項16に記載の位置測定方法において、
前記許容相違範囲は、前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の範囲と一致するように規定される、ことを特徴とする位置測定方法。
【請求項18】
請求項16に記載の位置測定方法において、
前記信号処理装置で前記第1信号セットを処理する工程は、
前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の範囲より大きくなるように前記許容相違範囲を規定する工程と、
前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記許容相違範囲外ではないとき、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記類似サブ部信号サブセットの比較信号特性値と著しく異ならないことを判定する工程と、
有効な信号セットに基づき第1スケールトラック位置通知信号を判定する動作を行う工程と、を備え、
この有効な信号セットは、
前記第1信号セットのうち複数の前記類似サブ部信号サブセットを含み、前記特異サブ部信号サブセットの信号特性値が前記他の類似サブ部信号サブセットに関連する比較信号特性値と著しく異ならない場合、この特異サブ部信号サブセットを含む、ことを特徴とする位置測定方法。
【請求項19】
請求項18に記載の位置測定方法において、
前記許容相違範囲を規定する工程は、前記許容相違範囲の下限値を規定する工程を備え、
この下限値は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、および(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、のいずれかより小さい第1規定相違量である、ことを特徴とする位置測定方法。
【請求項20】
請求項19に記載の位置測定方法において、
前記第1規定相違量は、(a)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最小値、(b)前記類似サブ部信号サブセットに関連する少なくとも2つの信号特性値の平均、(c)前記類似サブ部信号サブセットに関連する信号特性値の最大値、(d)前記類似サブ部信号サブセットに関連する2つの信号特性値の差、および(e)前記類似サブ部信号サブセットの信号特性値に関連する分布の尺度、のいずれかに比例する、ことを特徴とする位置測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−237429(P2011−237429A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100694(P2011−100694)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】