説明

光学式エンコーダ用センサ及び光学式エンコーダ

【課題】従来に比べて高精度検出が可能で光利用効率が高い光学式エンコーダ用センサ、及び光学式エンコーダを提供する。
【解決手段】発光素子1と、発光素子の出射光が通過する第1回折格子3と、第1回折格子を通過し光学式スケール30にて反射した特定の周波数の反射光が透過する第2回折格子4と、第2回折格子を通過した光を受光する受光素子2と、上記発光素子、上記受光素子、上記第1回折格子、及び上記第2回折格子を一体的に形成するセンサユニット6と、を備え、センサユニットは、発光素子と第1回折格子との光路間に発光素子の出射光を偏向する光偏向素子5を一体に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式スケール上のパターンを光学的に検出する光学式エンコーダ用センサ及び該光学式エンコーダ用センサを備えた光学式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に光学式エンコーダとして、透過型エンコーダ及び反射型エンコーダが知られている。透過型エンコーダは、明暗のパターンが刻まれた光学式スケール上に光を照射する発光素子と、受光する受光素子とが光学式スケールを挟み込むように配置され、受光素子は光学式スケールを透過した光を受光するように構成されている。反射型エンコーダは、発光素子及び受光素子が光学式スケールの片側に配置され、発光素子から出射され光学式スケールにて反射した反射光を受光素子にて受光するように構成されている。
【0003】
反射型エンコーダは、上述のように発光素子と受光素子とが光学式スケールに対して同じ側に配置されるため、センサヘッドサイズの薄型化に貢献できる。また、反射型エンコーダでは、発光素子に面発光レーザ等のLD(レーザーダイオード)を用いたものが知られている。しかしながら、例えば、光学式スケール上に形成された複数の光学式パターンを検出する場合、LDはLED(発光ダイオード)に比べて指向性が高いため、各光学式パターン用に複数の発光素子が必要となり、コストアップとなる。さらに、一つ一つの光学式パターン上に投影される光の領域も狭いため、異物等への耐性が低くなる。また、一般にLDはLEDよりも寿命が短く、動作温度範囲も狭い。よって、発光素子には、LEDを使用することが望ましいが、LEDは拡散光源であるため、光利用効率が低く、光量が十分に得られないという欠点がある。
【0004】
これに対し、発光素子にLEDを使用し、光利用効率を向上させるように構成した反射型光学式エンコーダとして、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に開示されるものが挙げられる。
【0005】
特許文献1では、球面または非球面で構成された第1反射部材の焦点位置にLEDチップを配置して、LEDから拡散して出射される光線を、第1反射部材でコリメートし、さらに第2反射部材によってスケール上に45度の角度で入射させ、スケールからの反射光を受光素子で検出する、という構成が開示されている。このような構成により、上記スケールの移動量を検知することができる。
【0006】
特許文献2では、光源と、第1格子と、第2格子に相当するスケールと、アレイ状に形成された受光素子とを有し、光源の直後に集光用レンズを設けることで、光源から出射される光ビームを効率的に第1格子及びスケールに導く、という構成が開示されている。このような構成により、スケールからの反射光をアレイ状の受光素子で検出して、スケールの移動量を検知することができる。
【0007】
特許文献3では、光源と、第1及び第2の各スケールと、受光素子とを有し、受光素子の直前に固定された回折格子を配置する構成を有し、スケールと固定回折格子との相対移動を受光素子での受光量によって検出することを開示する。このような構成によれば、回折格子とスケールとの間に結像レンズを挿入することで、第1スケールと第2スケールとの間のギャップが変動した場合でも、上記ギャップは結像レンズの被写界深度以内に収まっている。よって、変位に強い構成となっている。また、光源直後にて、第1スケールに斜面を形成することで、光源からの光線を偏向できるため、光強度の強い光軸付近を有効に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−106871号公報
【特許文献2】特開2005−49345号公報
【特許文献3】特開2005−106604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の光学式エンコーダには以下のような問題点がある。即ち、球面或いは非球面で構成された反射部材を用いることで、LEDから出射された光線の利用効率を向上させることができるが、2枚の反射部材を使用しており、反射部材の反射率によって光量が低下してしまうという問題がある。また、2枚の反射部材と、光源及び受光素子とがそれぞれ独立して配置されており、各光学部品の位置ずれによる検出精度への影響が大きくなるという問題がある。また、反射部材を2枚使用することで、コストが高くなるという問題もある。
【0010】
特許文献2の光学式エンコーダには以下のような問題点がある。即ち、光源の直後に集光用レンズを挿入しているため、光源から出射された光線の利用効率を向上させることができるが、レンズ、第1格子、アレイ状受光素子が全て別個に取り付けられているため、各光学部品の位置ずれによる検出精度への影響が大きくなるという問題がある。また、光源が取り付けられている基板面とスケールとは平行であり、スケールの光学パターン上に照射される光線は、光源の光軸から傾いた角度の光線を利用している。よって、強度の高い光軸中心付近の光線が使用されていないという問題がある。
【0011】
また、特許文献3の光学式エンコーダには以下のような問題点がある。即ち、光線を偏向するための斜面と、結像レンズと、回折格子が一体となっているため、組み付けは容易であるが、LEDを使用する場合、光線の一部しかスケール上に照射されないため、光利用効率が低いという問題点がある。
【0012】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、従来に比べて高精度検出が可能で光利用効率が高い光学式エンコーダ用センサ、及び光学式エンコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における光学式エンコーダ用センサは、発光素子と、上記発光素子の出射光が通過し上記出射光から周期的な光量分布を生成する第1回折格子と、上記第1回折格子を通過した光の内、光学式スケールにて反射した特定の周波数の反射光が透過する第2回折格子と、上記第2回折格子を通過した光を受光する受光素子と、上記発光素子、上記受光素子、上記第1回折格子、及び上記第2回折格子を一体的に形成するセンサユニットと、を備え、上記センサユニットは、上記発光素子と上記第1回折格子との光路間に、上記発光素子の出射光を偏向する光偏向素子を一体に有することを特徴とする。
【0014】
又、上記光学式エンコーダ用センサは、以下のように構成してもよい。
即ち、光を出射するための発光素子と、上記発光素子からの光を周期的な光量分布を生成するための第1回折格子と、上記第1回折格子からの光のうち、ある特定の周波数を取り出すための光学式スケールと、上記光学式スケールからの光を透過させるための第2回折格子と、上記第2回折格子からの光を受光するための受光素子とを備えた光学式エンコーダにおいて、上記発光素子と、上記第1回折格子との間に光偏向素子を設け、上記発光素子からの光線のうち、光軸付近の光線は光軸に対して発散する向きに光線を曲げるための拡散部と、光軸から遠い外周光は光軸に対して内側に光線を曲げるための集光部が形成され、上記光偏向素子は、第1回折格子と第2回折格子が形成されたインデックス基板上に一体で成型されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様における光学式エンコーダ用センサによれば、光偏向素子を備えたことにより、発光素子の出射光の内、光軸付近の光線は、光軸に対して発散する向きに光線を曲げられ、光軸から遠い外周光は光軸に対して内側に光線を曲げられる。よって、強度の強い光軸付近の光線と、光軸に対して発散角度の大きな光線の両方を利用することが可能となるため、従来に比べて光利用効率を向上することができる。さらに、発光素子、受光素子、第1回折格子、第2回折格子、及び光偏向素子は、センサユニットとして一体的に形成されることから、位置ズレ等の、検出精度への影響を従来に比べて低減できる。このように本発明の一態様における光学式エンコーダ用センサは、従来に比べて光学式スケールの検出精度を高めることができ、かつ光利用効率を向上することができる。
【0016】
また、本発明の一態様における光学式エンコーダ用センサは、反射型であり、薄型化されているが、さらに、上述のように発光素子、受光素子、第1回折格子、第2回折格子、及び光偏向素子をセンサユニットとして一体的に形成したので、より薄型化が図られている。また、該一体化により、光偏向素子は、第1回折格子と第2回折格子との位置合わせが不要となり、組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図2】図1に示す光学式エンコーダを構成する光学式エンコーダ用センサに備わる光偏向素子の拡大図である。
【図3】図2に示す光偏向素子の変形例を示す斜視図である。
【図4】図2に示す光偏向素子の別の変形例を示す断面図である。
【図5】図2に示す光偏向素子の他の変形例を示す断面図である。
【図6A】図1に示す光学式エンコーダ用センサに備わるパッケージの平面図である。
【図6B】図1に示す光学式エンコーダ用センサに備わるインデックス基板の平面図である。
【図7】図1に示す光学式エンコーダに備わる光学式スケールの斜視図である。
【図8】図7に示す光学式スケールの変形例を示す斜視図である。
【図9】図7に示す光学式スケールの別の変形例を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2における光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図11】図10に示す光学式エンコーダを構成する光学式エンコーダ用センサに備わる光偏向素子の拡大図である。
【図12】図11に示す光偏向素子の変形例を示す断面図である。
【図13】図11に示す光偏向素子の別の変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の実施の形態3における光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図15】図14に示す光学式エンコーダを構成する光学式エンコーダ用センサに備わる光偏向素子の拡大図である。
【図16】本発明の実施の形態4における光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図17】図16に示す光学式エンコーダを構成する光学式エンコーダ用センサに備わる光偏向素子の拡大図である。
【図18】図17に示す光偏向素子の変形例を示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態5における光学式エンコーダを構成する光学式エンコーダ用センサに備わる光偏向素子の拡大図である。
【図20】本発明の実施の形態6における光学式エンコーダの構成を示す図である。
【図21】図20に示す光学式エンコーダの変形例における構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態である光学式エンコーダ用センサ、及び該光学式エンコーダ用センサを備えた光学式エンコーダについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0019】
実施の形態1.
図1には、本実施の形態1による光学式エンコーダ101の構成を示している。光学式エンコーダ101は、基本的構成部分として、光学式エンコーダ用センサ10Aと、光学式スケール30と、移動量検出部70とを備えている。以下に、これらの構成部分について順次説明する。
【0020】
光学式エンコーダ用センサ10Aは、発光素子1、受光素子2、第1回折格子3、第2回折格子4、及び光偏向素子5を備え、さらに、これらの発光素子1、受光素子2、第1回折格子3、第2回折格子4、及び光偏向素子5を一体的に形成するセンサユニット6を備える。センサユニット6は、発光素子1及び受光素子2を実装したパッケージ6aと、第1回折格子3、第2回折格子4、及び光偏向素子5を形成したインデックス基板6bとを合体したものである。
【0021】
パッケージ6aは、本実施形態では凹状の断面を有する非透光性の部材であり、凹部6a−1の底面6a−2の中央部に、図6Aに示すように、発光素子1が一つ配置され、底面6a−2における発光素子1を挟んだ両側に2つの受光素子2がそれぞれ配置される。尚、本実施形態では発光素子1は一つとしたが,発光素子1、受光素子2、及び2種類の光学パターン31(図7)を1セットとして、2セット以上を並列に並べることも可能である。この場合、上記光学パターンを長周期のピッチから短周期のピッチまで全て異なるピッチにすることで、より高分解能化が可能となる。
【0022】
発光素子1は、後述する第1回折格子3を通して光学式スケール30へ投光するための光源であり、例えば、LED等が使用可能である。尚、上述したようにLEDがより好ましい。
受光素子2は、光学式スケール30にて反射し、後述する第2回折格子4を通過した光を検出するための光検出手段であり、例えば、PD(フォトダイオード)等の受光素子が採用される。
【0023】
インデックス基板6bは、例えば、ポリカーボネート等の透明な樹脂で成型された板状部材で、図6Bに示すように、パッケージ6aと同じ平面形状にてなり、パッケージ6aの凹部6a−1を形成する脚部6a−3に固定されて凹部6a−1を閉塞する部材である。尚、インデックス基板6bの材質は、透明な樹脂であれば特に限定されない。
上記凹部6a−1側に位置するインデックス基板6bの内面6b−1には、発光素子1に対応した位置に、以下に説明する光偏向素子5がインデックス基板6bと一体成型されている。また、内面6b−1に対向する、インデックス基板6bの外面6b−2には、以下に説明する第1回折格子3及び第2回折格子4が形成されている。
【0024】
上記光偏向素子5は、発光素子1の出射光を偏向するための手段であり、本実施形態では図2に示すように、インデックス基板6bの平坦な内面6b−1に対して発光素子1側へ凸状に成形され、本実施形態では図6Bに示すように円形の平面形状で形成される。よって、光偏向素子5は、本実施形態では、インデックス基板6bの内面6b−1においてほぼ半円球状にて形成される。このような光偏向素子5は、凸レンズ状の球面或いは非球面の一部からなる集光部5aと、凸状の頂上部分に形成され平坦な平坦部5bとから構成される。平坦部5bの中心位置は、発光素子1における光軸1aの位置に対応する。
【0025】
このような光偏向素子5では、発光素子1の出射光線のうち、平坦部5bに入射した光線は、光線の向きを変えずそのまま光偏向素子5を通過し、第1回折格子3へと照射される。一方、発光素子1の出射光線のうち、集光部5aに入射した光線は、光線の向きを光軸1aに対して内側(光軸1a側)に変え、第1回折格子3へと照射される。
【0026】
本実施の形態では、光偏向素子5は、上述のように集光部5a及び平坦部5bを有するほぼ半円球状であるが、例えば長円状の平面形状であり、図2の紙面に平行な方向、つまり図6Bに示す矢印30aの方向には集光部5a及び平坦部5bを形成し、一方、図2の紙面に垂直な方向、つまり図6Bに示す矢印30bの方向における両端部では集光部5aのみを形成した形状であってもよい。尚、矢印30bの方向は、図6Bに示され後述の第1回折格子3及び第2回折格子4の配列方向である(よって、以後、「配列方向30b」と記す)。また、図6Bに示すように、配列方向30bに直角な方向を矢印30aとする。また、図3に示すように、矢印30aの方向には集光部5a及び平坦部5bを形成し、一方、配列方向30bにおける端面を平坦面5cとしたシリンドリカル形状であっても良い。シリンドリカル形状とすることで、一方向のみに集光することが可能となる。
また、集光部5aは、光学式スケール30の移動方向(上記配列方向30b)と、該移動方向に直交する直交方向(上記矢印30aの方向)とにおいて、異なる球面或いは非球面であっても良い。
【0027】
さらにまた、図4に示す光偏向素子5Aのように、集光部5aは球面或いは非球面ではなく、単なる斜面5dであっても良い。また、図5に示す光偏向素子5Bのように、インデックス基板6bの内面6b−1に対して凹状であってもよい。図5に示す形態では、光偏向素子5Bは、平坦部5bと斜面5dとから形成されている。尚、光偏向素子5A、5Bの平面形状は、上述した円形、長円形、シリンドリカル状等とすることができる。
図4及び図5に示すような斜面5dを有する光偏向素子5A、5Bでは、集光部5aを球面或いは非球面とする場合に比べて、作製が容易となる。また、インデックス基板6bの薄型化を図ることができる。
また、図5に示す光偏向素子5Bにおける斜面5dについて、凹レンズ状の球面或いは非球面の一部から形成してもよい。
【0028】
次に、第1回折格子3及び第2回折格子4について説明する。
インデックス基板6bの外面6b−2において、第1回折格子3は、光偏向素子5を通過した発光素子1の出射光が照射される位置に形成され、発光素子1の出射光から周期的な光量分布を生成するための光学素子であり、第2回折格子4は、光学式スケール30にて反射した反射光が照射される位置に形成され、該反射光を透過させるための光学素子である。このような第1回折格子3及び第2回折格子4は、図6Bに示すように、その全体形状が方形状にて形成され、光透過部と光遮光部とから構成される。具体的には、リソグラフィー技術によって、光遮光部が金属でパターニングされて形成されても良いし、後述する光学式スケール30と同様にV突起形状、或いはV溝形状によって光透過部と光遮光部が形成されてもよい。
【0029】
上述のように、また図6Bに示すように、インデックス基板6bは、第1回折格子3、第2回折格子4、及び光偏向素子5を一体に形成した。よって、光学式エンコーダ用センサ10Aの薄型化を図ることができ、かつ光偏向素子5と、第1回折格子及び第2回折格子との位置合わせは不要となり、従来に比べて検出精度の向上を図ることができ、また、組み立てが容易となる。
【0030】
尚、第1回折格子と第2回折格子は、光透過部と光遮光部とが形成されていれば、特にその形状、及び製造方法は限定されない。また、インデックス基板6bに反射防止膜を施せば、よりS/N比を向上させることができる。
【0031】
また、パッケージ6aは、図6Aに示すように、凹部6a−1の底面6a−2に発光素子1及び受光素子2を実装するときの基準となるパッケージ側位置合わせパターン7aを底面6a−2に有するのが好ましい。また、インデックス基板6bは、図6Bに示すように、外面6b−2に、第1回折格子3及び第2回折格子4をインデックス基板6bに成型するときの基準となるインデックス側位置合わせパターン7bを有するのが好ましい。そしてパッケージ6aとインデックス基板6bとを合体させるときには、それぞれの位置合わせパターン7a,7bが重なるようにパッケージ6aとインデックス基板6bとの位置合せが行われる。
このように位置合わせパターン7a,7bを有することで、発光素子1の光軸1aに対して、インデックス基板6bを、特に光偏向素子5の中心を、容易に位置決めすることが可能となる。よって、この点からも、本実施形態の光学式エンコーダ104は、従来に比べて検出精度の向上を図ることができる。
【0032】
このように位置合わせを行い、パッケージ6aとインデックス基板6bとを合体させることで、光学式エンコーダ用センサ10Aが作製される。
【0033】
以上説明したように、センサユニット6を構成する、パッケージ6aには発光素子1及び受光素子2が実装され、インデックス基板6bには第1回折格子3、第2回折格子4、及び光偏向素子5が形成されている。よって、パッケージ6aとインデックス基板6bとを上述のように合体させることで、容易に、光学式エンコーダ用センサ10Aを形成することができ、かつ光学式エンコーダ用センサの、より薄型化を図ることができる。また、光偏向素子5を挿入したことから、従来に比べ受光量を稼ぐことができ、より低消費電力で発光素子を駆動することが可能となる。よって省エネルギー化を図ることが可能である。また、光偏向素子5をインデックス基板6bに一体成型したことから、光偏向素子5と第1回折格子3との生産工程における光軸合わせが不要となり、組み立てが容易となる。
【0034】
次に、光学式スケール30について説明する。
光学式スケール30は、上記第1回折格子3から照射される光からある特定の周波数の光を取り出す、つまり反射する部材である。このような光学式スケール30は、図7に示すように、第1回折格子3から照射される光を反射する反射部31aと、反射しない非反射部31bとから形成された光学パターン31を有し、移動量を検出したい被検出体に取り付けられる。尚、本実施形態では、光学式スケール30は、第1回折格子3及び第2回折格子4の配列方向30b(図6B)に沿って移動するもので、例えば図1において、光学式スケール30は、紙面に垂直な方向に沿って移動する。
【0035】
光学式スケール30の反射部31aは、例えば、透明なガラスや樹脂基板上に、リソグラフィー等により光反射性の膜を形成することで形成可能である。非反射部31bは、光学式スケール30の素材そのままで形成可能であり、さらに、上記素材に反射防止膜を形成しS/N比の向上を図ってもよい。
また光学式スケール30は、光反射性基板上に、例えば、光吸収膜を形成することで、あるいはレーザ照射による粗面化により非反射部31bを形成してもよい。このように、光学式スケール30は、反射部31aと非反射部31bとが形成されていれば、その基材や、反射部31a及び非反射部31bの形成方法及び形状は、特に限定するものでは無い。
【0036】
さらに、光学式スケール30は、図8に示すように、スケール基材の光照射面にV字状の突起形状を、又は図9に示すようにV字状の溝形状を形成することで非反射部31bを形成し、上記光照射面の内、非反射部31b以外の平坦部分には金属或いは誘電体多層膜を施すことにより反射部31aを形成してもよい。
図8及び図9に示す光学式スケール30では、平坦な反射部31aに入射した光は、正反射によって受光素子2方向へ向かい、V突起形状又はV溝形状の非反射部31bでは、反射方向が変化し、受光素子2以外の方向へと向かう。
【0037】
また、スケール基材が透明素材の場合には、非反射部31bのV突起形状又はV溝形状は、スケール基材の表裏、つまり、光照射面及びその対向面のいずれに加工しても良い。尚、図8及び図9では、非反射部31bのV突起形状又はV溝形状の傾斜角度は45度の場合を示しているが、V突起形状又はV溝形状で反射した光線が受光素子2に入射しない角度であれば、特に傾斜角度は限定されない。
【0038】
次に、移動量検出部70は、受光素子2と電気的に接続され、受光素子2で受光した光の強度を電気信号に変換し、光学式スケール30の移動量を検出するための手段である。
【0039】
次に、本実施の形態1における光学式エンコーダの動作、つまり光学式スケール30の移動検出原理について説明する。
発光素子1、例えばLED等の可干渉性の低い光源からの光線は、上述したように光偏向素子5を通過し、つまり集光部5aにて偏向され、及び平坦部5bでは偏向されずにそのまま通過し、1枚目の回折格子に相当する第1回折格子3に照射され、第1回折格子3上で2次光源分布が生成される。
【0040】
2枚目の回折格子に相当する光学式スケール30上の光学パターン31は、ある光学的伝達関数(Optical Transfer Function)を持った空間周波数フィルターとして働き、第1回折格子3上に生成された2次光源分布のうち、特定の空間周波数成分のみを抽出し、その光を反射する。この反射光は、3枚目の回折格子に相当する第2回折格子4上に結像される。
【0041】
ここで、1枚目の回折格子と2枚目の回折格子との光学的なギャップをZ1、2枚目の回折格子と3枚目の回折格子との光学的なギャップをZ2、発光素子1の出射光の波長をλ、第1回折格子3のピッチをP1、光学式スケール30上の光学パターン31のピッチをP2とすると、次式を満たす場合に第2回折格子4上にピッチP1を有する光学パターンが形成される。
【0042】
(1/Z1)+(1/Z2)=λ/(n×(P2)) (1)
【0043】
m×P1=P2×(Z1+Z2)/Z1 (2)
【0044】
ここでn、mは自然数である。
【0045】
第2回折格子4を透過した光は、受光素子2によって電気信号に変換される。第1回折格子3、つまり光学式エンコーダ用センサ10Aと、光学式スケール30とが上記配列方向30bに沿って相対的に移動すると、受光素子2で検出される受光量が変化する。この受光量の変化を移動量検出部70が検出し、これにより、光学式エンコーダ用センサ10Aと、光学式スケール30との相対的な位置を検出することができる。
【0046】
以上説明したように、実施の形態1の光学式エンコーダ101によれば、発光素子1から出射された光は、光偏向素子5に入射する。このとき光偏向素子5の集光部5aによって、発光素子1から出射された光線のうち、光軸に対して角度の大きな外周光についても、第1回折格子3上への照射が可能となる。よって、発光素子1の出射光の利用効率を向上させることができる。
また、既に説明したように、光偏向素子5は、第1回折格子3及び第2回折格子4が形成されたインデックス基板6bに一体で成型されているため、第1回折格子3及び第2回折格子4と、光偏向素子5との位置合わせが不要となり、従来に比べて検出精度の向上を図ることができ、さらに組み立てが容易となる。
【0047】
実施の形態2.
図10は、本実施の形態2による光学式エンコーダ102を示す断面図である。光学式エンコーダ102の基本的構成は、実施の形態1における光学式エンコーダ101と同じであるが、光学式エンコーダ用センサ10Aにおける光偏向素子5の集光部5aを、本実施形態の光学式エンコーダ102における光学式エンコーダ用センサ10Bではフレネルレンズで形成した点が異なる。その他の構成、及び検出原理については、実施の形態1の場合と同様であり、以下では相違する構成部分についてのみ説明し、同一部分については説明を省略する。
【0048】
図11は、本実施の形態2の光学式エンコーダ102における光学式エンコーダ用センサ10Bに備わる光偏向素子51の拡大図である。光偏向素子51は、フレネルレンズの一部から成る集光部51aと、平坦部51bから構成されている。ここで、集光部51aは、実施の形態1の光学式エンコーダ用センサ10Aにおける光偏向素子5の集光部5aに相当し、平坦部51bは、光偏向素子5の平坦部5bに相当する。つまり、発光素子1からの光線のうち、平坦部51bに入射した光線は、光線の向きを変えずにそのまま光偏向素子51を通過し、第1回折格子3上へと照射される。また、発光素子1からの光線のうち、集光部51aに入射した光線は、光線の向きを光軸に対して内側に変え、第1回折格子3上へと照射される。
【0049】
以上のように、実施の形態2の光学式エンコーダ102によれば、発光素子1から出射された光線の内、光軸に対して角度の大きな外周光も光偏向素子51により第1回折格子3上に照射することが可能となり、発光素子1の出射光の利用効率を向上させることができる。また、実施の形態1の光学式エンコーダ101が奏する効果は、実施の形態2の光学式エンコーダ102においても奏することができる。さらに、光偏向素子51をフレネルレンズにて形成し、集光部51aをフレネルレンズの一部としたことで、実施の形態1の光学式エンコーダ用センサ10Aに比べて、光学式エンコーダ用センサ10Bは、より薄型化が可能となる。
【0050】
また、本実施の形態2では、光偏向素子51の集光部51aをフレネルレンズの一部としたが、フレネルゾーンプレートであっても良い。また、図12に示す光偏向素子51A、及び図13に示す光偏向素子51Bのように、プリズムアレイであっても良い。
【0051】
また、図3等を参照して上述したように、光偏向素子51、51A,51Bについても、例えば長円状の平面形状であり、上記矢印30aの方向には集光部51a及び平坦部51bを形成し、配列方向30bにおける両端部においては集光部51aのみを形成した形状であってもよい。また、矢印30aの方向には集光部51a及び平坦部51bを形成し、配列方向30bにおける両端部の面は平坦面51cとしたシリンドリカル形状であっても良い。また、集光部51aは、上記両端部と、矢印30aの方向とにおいて、異なる球面、或いは非球面であっても良い。
【0052】
実施の形態3.
図14は、本実施の形態3による光学式エンコーダ103を示す断面図である。光学式エンコーダ103の基本的構成は、実施の形態1における光学式エンコーダ101と同じであるが、光学式エンコーダ用センサ10Aにおける光偏向素子5を、本実施形態3の光学式エンコーダ103における光学式エンコーダ用センサ10Cでは、凹レンズ形状の光偏向素子52で形成した点で異なる。光学式エンコーダ103におけるその他の構成、及び検出原理については、実施の形態1の場合と同様であるため、以下では相違する構成部分についてのみ説明し、同一部分については説明を省略する。
【0053】
図15は、本実施の形態3の光学式エンコーダ103に備わる光学式エンコーダ用センサ10Cにおける光偏向素子52の拡大図である。光偏向素子52は、球面或いは非球面の凹レンズの一部から成る拡散部52cから構成されている。尚、本実施形態において、拡散部52cの平面形状は円形である。発光素子1の出射光線のうち、光軸付近の光線は拡散部52cに入射し、光軸に対して発散するように光線の向きを変えて第1回折格子3上へと照射される。一方、発光素子1の出射光線のうち、拡散部52cに入射しない、光軸から遠い光線は、インデックス基板6bの平坦な内面6b−1を通過してそのまま第1回折格子3へと照射される。
【0054】
以上のように、実施の形態3における光学式エンコーダ用センサ10Cによれば、発光素子1から出射された光のうち、光軸付近の光線は、拡散部52cに入射し、光軸に対して発散するように光線の向きを変えることが可能となる。よって、光強度の強い光軸中心付近の光線を利用することができ、光利用効率を向上させることができる。また、その他、実施の形態1の光学式エンコーダ101が奏する効果は、実施の形態3の光学式エンコーダ103においても奏することができる。
【0055】
また、光偏向素子52を形成する凹レンズは、フレネルレンズや、フレネルゾーンプレートの一部であっても良い。この場合、インデックス全体の厚さを薄型にすることが可能となる。また、光偏向素子52についても、例えば長円状の平面形状であり、上記配列方向30bの方向に沿って凹形状の集光部52cを形成し、配列方向30bにおける両端部に位置し矢印30aに平行な面は平面としたシリンドリカル形状であっても良いし、上記両端部においても凹形状面としてもよい。
【0056】
実施の形態4.
図16は、本実施の形態4における光学式エンコーダ104を示す断面図である。光学式エンコーダ104の基本的構成は、実施の形態1における光学式エンコーダ101と同じであるが、光学式エンコーダ用センサ10Aにおける光偏向素子5を、本実施形態の光学式エンコーダ104における光学式エンコーダ用センサ10Dでは、光偏向素子53で形成した点で異なる。光偏向素子53は、球面或いは非球面の凹レンズから形成された拡散部53cと、フレネルレンズの一部から形成された集光部53aとで形成されている。尚、本実施形態では、光偏向素子53の平面形状は円形状である。光学式エンコーダ104におけるその他の構成、及び検出原理については、実施の形態1の場合と同様であるため、以下では相違する構成部分についてのみ説明し、同一部分については説明を省略する。
【0057】
図17は、本実施の形態4による光偏向素子53の拡大図である。光偏向素子53において、発光素子1の出射光線のうち、光軸付近の光線は、凹レンズ状の拡散部53cに入射し、光軸に対して発散するように光線の向きを変えて第1回折格子3上へと照射される。また、発光素子1の出射光線のうち、フレネルレンズ状の集光部53aに入射した光線は、光線の向きを光軸に対して内側に変え、第1回折格子3上へと照射される。
【0058】
以上のように、実施の形態4の光学式エンコーダ104によれば、発光素子1の出射光のうち、光軸付近の光線は、拡散部53cにて、光軸に対して発散するように光線の向きを変え、光軸に対して角度の大きな外周光は、集光部53aにより、光軸に対して内側に向きを変えることが可能となる。よって、実施の形態4では、第1回折格子3へ照射される光量が実施の形態1〜3の場合に比べて多くなり、より光利用効率を向上させることが可能となる。また、その他、実施の形態1の光学式エンコーダ101が奏する効果は、実施の形態4の光学式エンコーダ104においても奏することが可能である。
【0059】
また、本実施形態4では、光偏向素子53の拡散部53cは、球面或いは非球面の凹レンズから構成され、集光部53aは、フレネルレンズの一部から構成されているが、それぞれ同じ機能を有するレンズであれば、拡散部53c及び集光部53aは、単なるレンズであっても、フレネルレンズ或いは、フレネルゾーンプレートであっても構わない。拡散部53c及び集光部53aの全てを、フレネルレンズ、或いはフレネルゾーンプレートにて構成することで、インデックス基板6bの厚さを薄型にすることが可能となる。
【0060】
また、光偏向素子53では、発光素子1の光軸に対して同心円状にレンズ系を構成しているが、例えば長円状の平面形状であり、上記矢印30aの方向には拡散部53c及び集光部53aを形成し、上記配列方向30bにおける端面は平面としたシリンドリカル形状であっても良いし、配列方向30bにおける端部でも集光部53aのみから構成してもよい。
【0061】
また、上述の実施の形態4では、光偏向素子53は、発光素子1の光軸に対して同心円状にレンズ系を構成しているとしたが、図18に示す光偏向素子53Aのように、発光素子1の光軸1aに対して対称となるように形成した、つまり光軸1a部分を凹ませた凸レンズ53dで構成しても良い。もちろん,凸レンズ53dは、フレネルレンズやフレネルゾーンプレートで構成しても良い。
【0062】
このように発光素子1の光軸1aに対して対称としてレンズを配置することで、光軸1a付近の強度の強い光と、光軸1aに対して発散角度の大きな外周光との両方を第1回折格子3へ照射することが可能となる。よって、光利用効率の向上を図ることができる。
【0063】
実施の形態5.
図19は、本実施の形態5による光学式エンコーダ105に備わる光偏向素子53を示す拡大図である。光学式エンコーダ105の基本的構成は、実施の形態4における光学式エンコーダ104と同じであり、光学式エンコーダ105の光学式エンコーダ用センサ10Dにおける光偏向素子53についても実施の形態4における光学式エンコーダ104の光偏向素子53と同じ構成を採る。しかしながら、実施の形態5による光学式エンコーダ104Aでは、発光素子1の光軸1aに対して、光偏向素子53の中心軸つまり光軸53eが、第1回折格子3及び第2回折格子4の矢印30aの方向に位置ずれしている点でのみ異なる。光学式エンコーダ105におけるその他の構成、及び検出原理については、実施の形態4の場合と同様である。
【0064】
このように構成することで、光強度の強い中心付近の光線を2つの受光素子4のどちらか一方に集めることが可能となる。よって、受光素子4の面積を縮小することができるため、コストダウンを図ることができる。例えば、光学式スケール30の2つの光学パターン31のうち、一方を、第1回折格子3が不要なM系列等のランダム符号パターンや、原点用パターンが構成された光学パターンとし、他方を、3枚回折格子によるインクリメンタル信号検出用光学パターンとした場合、ランダム符号パターンや、原点用パターンが形成された一方の光学パターンでは、第1回折格子3が不要なことから、上記一方の光学パターンでの反射光を受光する受光素子4では、十分な光量を得ることができる。これに対して、上記他方のインクリメンタル信号検出用光学パターンでの反射光を受光する受光素子4では、光量不足が問題となる。よって、このような場合には、光偏向素子53の中心軸53eに対して発光素子1の光軸1aを上記インクリメンタル信号検出用光学パターン側にずらすことで、上記インクリメンタル信号検出用光学パターンでの反射光を受光する受光素子4における受光量を増すことが可能となる。
【0065】
尚、本実施の形態5における構成は、上述した各実施の形態1から4のいずれにも適用することが可能である。
【0066】
実施の形態6.
図20は、本実施の形態6における光学式エンコーダ106を示す断面図である。光学式エンコーダ106の基本的構成は、上述した実施の形態4における光学式エンコーダ104の構成と同じであるが、本実施形態6の光学式エンコーダ106に備わる光学式エンコーダ用センサ10Eは、パッケージ6aにおいて、発光素子1と受光素子2との間に遮光板6a−4を設けた点で異なる。光学式エンコーダ106におけるその他の構成、及び検出原理については、実施の形態4の場合と同様である。
【0067】
尚、遮光板6a−4は、パッケージ6aの底面6a−2に、例えば、発光素子1を中心に円形に形成しても良いし、直線状の遮光板を2つ並設してもよい。
【0068】
このように構成することで、発光素子1の出射光線のうち、インデックス基板6bの表面で反射して、直接受光素子2へ入射する光線を、遮光板6a−4で遮光することができ、S/N比の向上を図ることが可能となる。
【0069】
また、実施の形態6では、パッケージ6aに遮光板6a−4を設ける構成としたが、図21に示す光学式エンコーダ用センサ10Fのように、インデックス基板6bの内面6b−1に遮光板6b−4を立設してもよい。ここで、遮光板6b−4は、上述の遮光板6a−4に相当する部分であり、インデックス基板6bは透明部材であるので、発光素子1側の遮光板6b−4の内面には光吸収膜6b−5を施しても良い。
【0070】
図20に示す光学式エンコーダ用センサ10Eの構成では、パッケージ6aの遮光板6a−4と、インデックス基板6bの内面6b−1との間にわずかな隙間ができてしまい、その隙間から、光が直接受光素子2へ入射してしまう可能性がある。図21に示す光学式エンコーダ用センサ10Fの構成においても、インデックス基板6bに立設した遮光板6b−4と、パッケージ6aの底面6a−2との間には若干の隙間ができる。しかしながら、図21に示す光学式エンコーダ用センサ10Fの構成では、上記隙間に比べて発光素子1の光出射面が底面6a−2より遙かに高い場所に位置し、かつ出射光の進行方向とは逆方向に上記隙間が位置することから、直接、受光素子2へ入射する光を完全に防ぐことができる。
尚、本実施の形態6における構成は、上述した各実施の形態1から5のいずれにも適用することが可能である。
【0071】
尚、以上、説明した実施の形態1から6の光学式エンコーダ101〜106では、光学式スケール30は直線的に移動し該移動及び移動量を検出するリニアエンコーダでの具体例を示した。しかしながら、光学式エンコーダ101〜106は、光学式スケール30が回転軸を中心に回転しその回転及び回転量を検出するロータリーエンコーダとして構成することも可能であり、その場合でも上述と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0072】
1 発光素子、1a 光軸、2 受光素子、3 第1回折格子、4 第2回折格子、
5 光偏向素子、5a 集光部、6 センサユニット、
6a パッケージ、6b インデックス基板、6a−4,6b−4 遮光板、
7a パッケージ側位置合わせパターン、
7b インデックス基板側位置合わせパターン、
10A〜10F 光学式エンコーダ用センサ、
30 光学式スケール、
51、52 光偏向素子、52c 拡散部、53 光偏向素子、
53a 集光部、53c 拡散部、
70 移動量検出部、
101〜106 光学式エンコーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
上記発光素子の出射光が通過し上記出射光から周期的な光量分布を生成する第1回折格子と、
上記第1回折格子を通過した光の内、光学式スケールにて反射した特定の周波数の反射光が透過する第2回折格子と、
上記第2回折格子を通過した光を受光する受光素子と、
上記発光素子、上記受光素子、上記第1回折格子、及び上記第2回折格子を一体的に形成するセンサユニットと、を備え、
上記センサユニットは、上記発光素子と上記第1回折格子との光路間に、上記発光素子の出射光を偏向する光偏向素子を一体に有することを特徴とする光学式エンコーダ用センサ。
【請求項2】
上記光偏向素子は、上記第1回折格子及び上記第2回折格子を形成したインデックス基板と一体に成型され、上記センサユニットは、上記発光素子及び上記受光素子を実装したパッケージと上記インデックス基板とが合体されて形成される、請求項1記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項3】
上記パッケージは、上記発光素子及び上記受光素子を実装するときの基準となるパッケージ側位置合わせパターンを有し、上記インデックス基板は、上記第1回折格子及び上記第2回折格子を成型するときの基準となるインデックス側位置合わせパターンを有し、
上記センサユニットは、上記パッケージ側位置合わせパターンと上記インデックス側位置合わせパターンとを位置合わせして合体される、請求項2記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項4】
上記光偏向素子は、上記発光素子の出射光を上記第1回折格子へ集光する集光部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項5】
上記光偏向素子は、上記発光素子の出射光を拡散する拡散部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項6】
上記光偏向素子は、上記発光素子の出射光を上記第1回折格子へ集光する集光部と、上記発光素子の出射光を拡散する拡散部とを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項7】
上記光偏向素子は、上記発光素子の光軸に対して対称に配置した二つのレンズを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項8】
上記集光部及び上記拡散部の少なくとも一方は、球面、非球面の凹レンズ又は凸レンズの一部で構成された、請求項6記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項9】
上記集光部及び上記拡散部の少なくとも一方は、非球面のフレネルレンズ又はフレネルゾーンプレートの一部で構成された、請求項6記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項10】
上記集光部は、斜面で構成された、請求項4、6、8、9のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項11】
上記光偏向素子は、シリンドリカル形状で構成された、請求項1から10のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項12】
上記発光素子及び上記光偏向素子は、上記発光素子の光軸と上記光偏向素子の光軸とをずらして配置される、請求項1から11のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項13】
上記センサユニットは、上記発光素子と上記受光素子との間に遮光板を有する、請求項1から12のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の光学式エンコーダ用センサと、
上記光学式エンコーダ用センサに備わる第1回折格子を通過した光の内、特定の周波数の光を取り出し上記光学式エンコーダ用センサへ反射させる光学式スケールと、
上記光学式エンコーダ用センサに備わる受光素子と電気的に接続され、当該光学式エンコーダ用センサと上記光学式スケールとの相対的な移動を検出する検出部と、
を備えたことを特徴とする光学式エンコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−179938(P2011−179938A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43774(P2010−43774)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】