説明

光学式検体検出装置

【課題】投光ユニットを回転移動させることなく、SPR装置やSPFS装置のATR条件を測定することができ、振動ノイズなどの影響がなく高精度の測定ができるとともに、迅速に測定を行うことができる光学式検体検出装置を提供する。
【解決手段】誘電体部材上に形成された金属薄膜を有するセンサチップが装填され、励起光を照射することで検体の検出を行う光学式検体検出装置であって、誘電体部材に入射させる励起光を集光する集光レンズと、集光レンズの前側焦点距離に位置する投光位置から、集光レンズ及び誘電体部材を介して金属薄膜に励起光を照射する点光源とを備え、金属薄膜に対する励起光の入射角を変更する際に、点光源が、集光レンズの光軸に垂直な平面内で直線移動するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモン共鳴(SPR;Surface Plasmon Resonance)測定装置、及び、表面プラズモン共鳴現象を応用した表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS;Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)の原理に基づいた、表面プラズモン励起増強蛍光測定装置などの光学式検体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、極微少な物質の検出を行う場合において、物質の物理的現象を応用することでこのような物質の検出を可能とした様々な検体検出装置が用いられている。
このような検体検出装置の一つとして、ナノメートルレベルなどの微細領域中で電子と光とが共鳴することにより、高い光出力を得る現象(表面プラズモン共鳴(SPR;Surface Plasmon Resonance)現象)を応用し、例えば、生体内の極微少なアナライトの検出を行うようにした表面プラズモン共鳴装置(以下、「SPR装置」と言う)が挙げられる。
【0003】
また、表面プラズモン共鳴(SPR)現象を応用した、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS;Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)の原理に基づき、SPR装置よりもさらに高精度にアナライト検出を行えるようにした表面プラズモン増強蛍光分光測定装置(以下、「SPFS装置」と言う)も、このような検体検出装置の一つである。
【0004】
この表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)は、光源より照射したレーザー光などの励起光が、金属薄膜表面で全反射減衰(ATR;Attenuated Total Reflectance)する条件において、金属薄膜表面に表面プラズモン光(疎密波)を発生させることによって、光源より照射した励起光が有するフォトン量を数十倍〜数百倍に増やして、表面プラズモン光の電場増強効果を得るようになっている。
【0005】
ところで、全反射減衰(ATR)する条件は、金属薄膜表面に向かって光源より照射された励起光の金属薄膜表面に対する入射角を変えながら、金属薄膜表面で反射した反射光を受光部によって受光し、その反射光の光強度を測定したり、金属薄膜表面に発生した表面プラズモン光の光強度を測定したりすることによって求められる。
【0006】
従来、金属薄膜表面に対する励起光の入射角を変えるためには、例えば、特許文献1(特開2004−61286号公報)や特許文献2(特開2007−501393号公報)などに開示されているように、ステッピングモーターや歯車列などを用いて、光源を含む投光ユニットを回動させる方法が用いられている。
【0007】
また、投光ユニットを回動させないで所定範囲の入射角度における反射光の光強度を測定する方法としては、例えば、図14に示すように、光源102から照射される光として集光ビーム104を用いることで、同時に所定範囲の入射角度における反射光106の光強度を受光手段108で測定する方法も用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−61286号公報
【特許文献2】特開2007−501393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ステッピングモーターや歯車列などを用いて、投光ユニットを回動させる方法では、投光ユニット部の重量が大きくなるため、回動させること、特に鉛直方向に回動させることによって、重量負荷がかかり、振動ノイズなどが信号に混入してしまい、測定精度が低下する原因となる。
【0010】
このため、投光ユニットを回動させる方法では、回転速度を遅くすることによって、振動ノイズの発生を抑制しているため、測定速度を速くすることが困難であった。
一方で、集光ビームを用いる方法では、同時に所定範囲の入射角度における反射光の光強度を測定することができるため、測定速度は速いが、受光部における1画素の受光素子が出力する受光信号は、所望の入射角度における反射光だけに起因する受光信号ではなく、所望の入射角度の前後の角度範囲における反射光までを含んだ平均的な受光信号であるため、測定精度が低かった。
【0011】
本発明では、このような現状に鑑み、投光ユニットを回転移動させることなく、SPR装置やSPFS装置のATR条件を測定することができ、振動ノイズなどの影響がなく高精度の測定ができるとともに、迅速に測定を行うことができる光学式検体検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の光学式検体検出装置は、
誘電体部材上に形成された金属薄膜を有するセンサチップが装填され、励起光を照射することで検体の検出を行う光学式検体検出装置であって、
前記誘電体部材に入射させる励起光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズの前側焦点距離に位置する投光位置から、前記集光レンズ及び前記誘電体部材を介して前記金属薄膜に励起光を照射する点光源と、を備え、
前記金属薄膜に対する励起光の入射角を変更する際に、前記点光源が、前記集光レンズの光軸に垂直な平面内で直線移動するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成することによって、光源を回転移動させることなく、金属薄膜に対する励起光の入射角度を逐次変更することが可能となるため、振動ノイズなどの影響がなく高精度の測定ができるとともに、点光源を直線移動させるため、光源の移動が速くなり、迅速に測定をすることができる。
【0014】
また、本発明の光学式検体検出装置では、前記点光源は、光源から発光された光が、前記投光位置において点光源に集束するように構成された投光ユニットであり、
前記投光ユニットが、前記集光レンズの光軸に垂直な平面内で直線移動するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
このように構成することによって、投光位置に擬似的に点光源を作り出すことができ、また、投光ユニットに用いられる光源は点光源である必要がないため、光源の選択肢を広げることができる。
【0016】
また、本発明の光学式検体検出装置は、前記点光源が、平行光束を照射する光源と、前記光源から照射された光を前記投光位置において点光源になるように制限するように構成されたアパーチャー孔を有するアパーチャー部材とを備え、前記アパーチャー部材に対して垂直に前記光源からの平行光束が照射されるように構成されており、
前記アパーチャー部材が、前記集光レンズの光軸に垂直な平面内で直線移動するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成することによって、投光位置に擬似的に点光源を作り出すことができ、また、アパーチャー部材を直線移動させるだけで、光源自体を移動させる必要がないため、振動ノイズなどの発生をより抑えることが可能となる。
【0018】
また、本発明の光学式検体検出装置は、前記点光源が、平行光束を照射する光源と、前記光源から照射された光を前記投光位置において点光源になるように制限するように構成された複数のアパーチャー孔が配列されたアパーチャー部材とを備え、前記複数のアパーチャー孔に対して垂直に前記光源からの平行光束が照射されるように構成されており、
前記複数のアパーチャー孔のうち一つのアパーチャー孔を開状態とするように開閉の切り替えが行えるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
このように構成することによって、投光位置に擬似的に点光源を作り出すことができ、また、複数のアパーチャー孔の開閉だけを行えばよく、光源やアパーチャー部材の直線移動が必要なくなるため、振動ノイズなどの発生をより抑えることが可能となる。
【0020】
また、本発明の光学式検体検出装置は、前記金属薄膜の励起光が入射される面側とは反対の面側から出射された光を検出する光検出手段が設けられるとともに、
前記金属薄膜上に、電場増強度測定用部材が配置され、
前記励起光を前記金属薄膜に照射した際に発生する表面プラズモン光によって、前記電場増強度測定用部材が励起され発生した光を、前記光検出手段によって測定するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
このように構成することによって、本発明の光学式検体検出装置を、表面プラズモン増強蛍光分光測定装置として用いることが可能となる。
また、本発明の光学式検体検出装置は、前記電場増強度測定用部材が、蛍光物質であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の光学式検体検出装置は、前記電場増強度測定用部材が、光散乱物質であることを特徴とする。
このような電場増強度測定用部材を用いることによって、蛍光物質や光散乱物質が表面プラズモン光によって励起され、蛍光や散乱光として光を発生されるため、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの素子を用いた光検出手段によって蛍光や散乱光を測定することができる。
【0023】
また、本発明の光学式検体検出装置は、前記金属薄膜によって反射された励起光を受光する受光手段が設けられていることを特徴とする。
このように構成することによって、本発明の光学式検体検出装置を、表面プラズモン共鳴装置として用いることが可能となる。
【0024】
また、本発明の光学式検体検出装置では、前記受光手段は、前記点光源の移動にあわせて直線移動するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、点光源から照射され、金属薄膜で反射された励起光を的確に受光手段によって受光することができ、励起光の光強度の測定を正確に行うことができる。
【0025】
また、本発明の光学式検体検出装置は、前記誘電体部材と、前記集光レンズとを一体化した構造とすることを特徴とする。
このように構成することによって、投光位置を誘電体部材に近づけることができるため、光学式検体検出装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、点光源や投光ユニットを回転移動させる必要がなく、回転移動にともなう振動ノイズなどの影響を受けないため、高精度の測定を行うことができる。
さらには、点光源や投光ユニットを直線移動させればいいので、点光源や投光ユニットの移動速度を向上させることができ、迅速に測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図である。
【図2】図2は、図1のSPR装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【図3】図3は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図である。
【図4】図4は、図3のSPR装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【図5】図5は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図である。
【図6】図6は、図5のSPR装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【図7】図7は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図である。
【図8】図8は、図7のSPR装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【図9】図9は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図。
【図10】図10は、図9のSPF装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【図11】図11は、本発明の光学式検体検出装置であるSPFS装置の概略を模式的に示す概略図である。
【図12】図12は、図11のSPFS装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【図13】図13は、図11のSPFS装置を用いて検体の検出を行う場合の装置構成の概略を模式的に示す模式図である。
【図14】図14は、従来の光学式検体検出装置において所定範囲の入射角度における反射光の光強度を測定する方法を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいて、より詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
1.投光位置に点光源を配置した実施例
図1は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図、図2は、図1のSPR装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【0030】
1−1.SPR装置の構成
本発明のSPR装置10は、鉛直断面形状が略台形であるプリズム形状の誘電体部材12と、この誘電体部材12の水平な上面12aに形成された金属薄膜14とからなるセンサチップ16を備えており、このセンサチップ16は、SPR装置10のセンサチップ装填部18に装填されている。
【0031】
また、誘電体部材12の下方の一方の側面12bの側には、図1に示すように、例えば、LEDやランプなどからなる点光源20と、点光源20から照射された光を平行光束とする集光レンズ22が設けられている。
【0032】
この集光レンズ22を透過した励起光24は、誘電体部材12の外側下方から、誘電体部材12の側面12bに入射して、誘電体部材12を介して、誘電体部材12の上面12aに形成された金属薄膜14に向かって照射されるようになっている。
【0033】
符号19は、点光源20から照射される励起光24の光束径を制限するためのマスクであり、このマスク19によって、集光レンズ22に照射される励起光24が所望の光束径(入射ビーム径)となるように調整されている。なお、図面を明瞭にするために、図2ではマスク19の記載を省略している。
【0034】
また、点光源20が後述するように移動する際には、マスク19も点光源20と同時に移動するように構成されている。なお、装置構成にもよるが、理想的には、金属薄膜14の励起光入射面と共役な位置にマスク19を配置するのが好ましい。
【0035】
なお、点光源20として、励起光24の光束径を調整する機構を備えた光源を用いる場合には、マスク19を設けなくとも構わない。
また、誘電体部材12の下方の他方の側面12cの側には、励起光24が金属薄膜14によって反射された金属薄膜反射光26を受光する受光手段28が備えられている。
【0036】
ここで、点光源20が配置される投光位置21は、集光レンズ22の焦点距離fと一致しており、点光源20は、この投光位置21において、集光レンズ22の光軸に垂直な平面内で直線移動ができるように構成されている。この直線移動の方向としては、集光レンズ22の光軸に垂直な平面と、励起光24が照射される際の金属薄膜14の励起光入射面の法線を含み且つ集光レンズ22の光軸を含む平面と、が交差する直線状であることが好ましい。なお、金属薄膜14の励起光入射面は、誘電体部材12の上面12a(平面)と言い換えることもできる。
【0037】
そして、点光源20から照射された励起光24の主光軸(すなわち、集光レンズ22の光軸に対して平行に照射される励起光の光軸)が、誘電体部材12の上面12aの集光位置に照射されるように、誘電体部材12と集光レンズ22との距離が調整されている。
【0038】
このように構成された本発明のSPR装置では、点光源20が投光位置21において、集光レンズ22の光軸に垂直な平面内で直線移動するとともに、受光手段28が、金属薄膜反射光26を受光するように、点光源20の移動にあわせて直線移動もしくは回転移動するようになっている。
【0039】
なお、点光源20を直線移動させたり、受光手段28を直線移動もしくは回転移動させる手段(図示せず)としては、例えば、ステッピングモーターやサーボモーターを使って制御したり、歯車列を使うこともできる。
【0040】
本実施例において、点光源20から照射される励起光としては、特に限定されるものではないが、波長200〜900nm、0.001〜1,000mWの励起光が好ましく、更には、波長230〜800nm、0.01〜100mWの励起光が好ましい。
【0041】
また、誘電体部材12としては、特に限定されるものではないが、光学的に透明な、例えば、ガラス、セラミックスなどの各種の無機物、天然ポリマー、合成ポリマーを用いることができ、化学的安定性、製造安定性、光学的透明性の観点から、二酸化ケイ素(SiO2)または二酸化チタン(TiO2)を含むものが好ましい。
【0042】
また、この実施例では、鉛直断面形状が略台形であるプリズム形状の誘電体部材の誘電体部材12を用いたが、鉛直断面形状を三角形(いわゆる三角プリズム)、半円形状、半楕円形状にするなど誘電体部材12の形状は、適宜変更可能である。
【0043】
また、この実施例では、集光レンズ22を1枚のレンズとして構成しているが、複数のレンズを組み合わせて集光レンズ22を構成してもよい。
また、金属薄膜14の材質としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなり、より好ましくは、金からなり、さらに、これら金属の合金から構成してもよい。
【0044】
すなわち、このような金属は、酸化に対して安定であり、かつ、後述するように、表面プラズモン光(疎密波)による電場増強が大きくなるので、金属薄膜14として好適である。
【0045】
また、金属薄膜14の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スパッタリング法、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法など)、電解メッキ、無電解メッキ法などが挙げられる。好ましくは、スパッタリング法、蒸着法を使用するのが、薄膜形成条件の調整が容易であるので望ましい。
【0046】
さらに、金属薄膜14の厚さとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、金:5〜500nm、銀:5〜500nm、アルミニウム:5〜500nm、銅:5〜500nm、白金:5〜500nm、および、それらの合金:5〜500nmの範囲内であるのが望ましい。
【0047】
なお、後述する電場増強効果の観点からは、より好ましい金属薄膜14の厚さとしては、金:20〜70nm、銀:20〜70nm、アルミニウム:10〜50nm、銅:20〜70nm、白金:20〜70nm、および、それらの合金:10〜70nmの範囲内であるのが望ましい。
【0048】
金属薄膜14の厚さが上記範囲内であれば、後述する表面プラズモン光(疎密波)が発生し易く好適である。また、このような厚さを有する金属薄膜14であれば、大きさ(縦×横)の寸法、形状は、特に限定されない。
【0049】
1−2.ATR条件の測定方法について
このように構成される本実施例のSPR装置10を用いた、ATR条件の測定方法について、以下に説明する。
【0050】
先ず、投光位置21aにおいて点光源20から、励起光24を照射して、集光レンズ22を透過し、平行光束とされた励起光24を、誘電体部材12の外側下方から、誘電体部材12の側面12bに入射させる。このとき、励起光24は、誘電体部材12を介して、誘電体部材12の上面12aに形成された金属薄膜14に向かって、入射角α1で照射されることになる。
【0051】
一方、金属薄膜14表面で反射された金属薄膜反射光26は、反射角α1で誘電体部材12を介して、誘電体部材12の他方の側面12cから出射されて、受光手段28によって受光し金属薄膜反射光26の光強度が測定される。
【0052】
点光源20の投光位置を、投光位置21aから投光位置21bまで、集光レンズ22の光軸に垂直な平面内で直線移動させることによって、金属薄膜14に対する励起光24の入射角を入射角α1から入射角α2まで変化させながら、金属薄膜反射光26を受光手段28によって受光し、金属薄膜反射光26の光強度を測定する。
【0053】
すなわち、入射角α1から入射角α2までの範囲において、励起光24の入射角と金属薄膜反射光26の光強度の関係を測定することができ、ATR条件の測定を行うことができる。
【0054】
ATR条件において、励起光24を金属薄膜14に照射すると、金属薄膜14上に表面プラズモン光(疎密波)が生じる。このとき、励起光24と金属薄膜14中の電子振動とがカップリングし、金属薄膜反射光26の光強度が変化(光量が減少)することとなるため、受光手段28で受光される金属薄膜反射光26の光強度が変化(例えば、光量が最も減少)する入射角を見つけることによってATR条件の測定が可能となる。
【実施例2】
【0055】
2.投光位置で点光源に光を集束させる投光ユニットを用いた実施例
図3は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図、図4は、図3のSPR装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【0056】
この実施例のSPR装置10は、図1、図2に示したSPR装置10と基本的には同様な構成であり、また、原理も同様であるので、同一の構成部材には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。なお、図面を明瞭にするために、図4ではマスク19の記載を省略している。
【0057】
図1、図2に示した実施例1では、投光位置21に点光源20を配置していたが、この実施例では、投光位置21で光が集束するように構成された投光ユニット30が設けられている。
【0058】
この投光ユニット30は、光源となるLDチップ32と集光レンズ34とから構成されており、投光位置21において光が集束するように、投光ユニット30全体が集光レンズ22に対して略平行に直線移動するように構成されている。
【0059】
このように構成することによって、投光位置21に擬似的な点光源31を作り出すことができ、実施例1と同様に、投光位置21aから投光位置21bまで擬似的な点光源31を移動させることによって(すなわち、投光ユニット30を集光レンズ22の光軸に垂直な平面内で直線移動させることによって)、ATR条件の測定を高い精度で、かつ、迅速に行うことができる。なお、本明細書において、「点光源」とは、この「擬似的な点光源」も含まれる。
【0060】
また、本実施例では、光源としてLDチップ32を用いているが、これに限らず、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)やHID(High Intensity Discharge)ランプ、ハロゲンランプなど様々な光源を用いることができる。
【0061】
また、投光ユニット30を直線移動させる手段(図示せず)は、特に限定されるものではなく、例えば、ステッピングモーターやサーボモーターを使って制御したり、歯車列を使うこともできる。
【0062】
本実施例において、マスク19は、測定精度に悪い影響を与える回折光を遮断する役割を有している。
【実施例3】
【0063】
3.投光位置にアパーチャー部材を設けた実施例
図5は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図、図6は、図5のSPR装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【0064】
この実施例のSPR装置10は、図1、図2に示したSPR装置10と基本的には同様な構成であり、また、原理も同様であるので、同一の構成部材には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。なお、図面を明瞭にするために、図6ではマスク19の記載を省略している。
【0065】
図1、図2に示した実施例1では、投光位置21に点光源20を配置していたが、この実施例では、投光位置21で光を点光源化するためのアパーチャー孔36aを有するアパーチャー部材36が設けられている。そして、平行光光源38からアパーチャー部材36に対して略垂直に平行光40が照射されるように光源が設けられている。
【0066】
ここで、アパーチャー部材36は、投光位置21において、集光レンズ22に対して略平行に直線移動可能なように構成されている。そして、アパーチャー部材36に照射された平行光40は、アパーチャー孔36aによって絞られ、投光位置21において、点光源20としてみなすことができる。
【0067】
このように構成することによって、投光位置21に擬似的な点光源31を作り出すことができ、実施例1と同様に、投光位置21aから投光位置21bまで擬似的な点光源31を移動させることによって(すなわち、アパーチャー部材36を集光レンズ22の光軸に垂直な平面内で直線移動させることによって)、ATR条件の測定を高精度、かつ、迅速に行うことができる。
【0068】
また、アパーチャー部材36を直線移動させるだけで、光源自体を移動させる必要がないため、振動ノイズなどの発生をより抑えることができ、高精度、かつ、迅速にATR条件の測定を行うことができる。
【0069】
なお、アパーチャー部材36を直線移動させる手段(図示せず)は、特に限定されるものではなく、例えば、ステッピングモーターやサーボモーターを使って制御したり、歯車列を使うこともできる。
【0070】
また、本実施例では、一つのアパーチャー孔36aが設けられたアパーチャー部材36を直線移動させているが、複数のアパーチャー孔36aが配列されたアパーチャー部材36を投光位置21に配置し、複数のアパーチャー孔36aのうち一つのアパーチャー孔36aを開状態とするように開閉の切り替えをすることによって、順次、アパーチャー孔の開閉を行って、擬似的にアパーチャー孔を直線移動させ、擬似的な点光源31が移動可能なように構成してもよい。
【0071】
このように構成することによって、複数のアパーチャー孔の開閉だけを行えばよく、光源やアパーチャー部材の直線移動が必要なくなるため、振動ノイズなどの発生をより抑えることができ、高精度、かつ、迅速にATR条件の測定を行うことができる。
【実施例4】
【0072】
4.集光レンズと誘電体部材とを一体化した実施例
図7は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図、図8は、図7のSPR装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【0073】
この実施例のSPR装置10は、図1、図2に示したSPR装置10と基本的には同様な構成であり、また、原理も同様であるので、同一の構成部材には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0074】
図1、図2に示した実施例1では、集光レンズ22と誘電体部材12が離間して配置されていたが、この実施例では、集光レンズ22が誘電体部材12の下方の一方の側面12bに接着され、一体化構造となっている。
【0075】
このように構成することによって、投光位置21を誘電体部材12に近づけることができ、SPR装置10の小型化を図ることができる。
なお、集光レンズ22と誘電体部材12とを一体化する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、光学的に透明な接着剤などを用いて集光レンズ22と誘電体部材12を接着すればよい。
【0076】
この実施例の場合、集光レンズ22と誘電体部材12とは、異なる屈折率を有する素材によって形成されていることが必要となる。すなわち、集光レンズ22と誘電体部材12との界面23において、界面23に照射された励起光24が屈折し、誘電体部材12の上面12aに形成される金属薄膜14の集光位置に構成されていなければならない。
【0077】
このように構成したSPR装置10においても、点光源20を投光位置21aから投光位置21bまで移動させることによって、金属薄膜14に対する励起光24の入射角を入射角α1から入射角α2まで変化させて、ATR条件の測定を高い精度で、かつ、迅速に行うことができる。
【0078】
なお、この実施例では実施例1と同様に、投光位置21に点光源20を配置しているが、実施例2のような投光ユニット30を用いたり、実施例3のようなアパーチャー部材36を設けたりして、擬似的な点光源31を用いることもできる。
【実施例5】
【0079】
5.誘電体部材の下方の他方の側面側に反射光集光レンズを設けた実施例
図9は、本発明の光学式検体検出装置であるSPR装置の概略を模式的に示す概略図、図10は、図9のSPF装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【0080】
この実施例のSPR装置10は、図1、図2に示したSPR装置10と基本的には同様な構成であり、また、原理も同様であるので、同一の構成部材には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。なお、図面を明瞭にするために、図10ではマスク19の記載を省略している。
【0081】
図1、図2に示した実施例1では、受光手段28が、金属薄膜反射光26を受光するように、点光源20の移動にあわせて直線移動もしくは回転移動するように構成されていたが、この実施例では、誘電体部材12の下方の他方の側面側で、誘電体部材12と受光手段28との間に、金属薄膜反射光26を集光して、受光手段28に照射するための反射光集光レンズ29が設けられている。
【0082】
このように構成することによって、反射光集光レンズ29によって金属薄膜反射光26が受光手段28に集められるため、受光手段28を動かす必要がなくなり、受光手段28の移動にともなう振動ノイズなどを抑制することができ、高精度、かつ、迅速にATR条件の測定を行うことができる。
【実施例6】
【0083】
6.SPFS装置とした場合の実施例
図11は、本発明の光学式検体検出装置であるSPFS装置の概略を模式的に示す概略図、図12は、図11のSPFS装置において、金属薄膜表面で全反射減衰する条件(ATR条件)を探索する際の光の進行方向を模式的に表した模式図である。
【0084】
6−1.SPFS装置の構成
この実施例のSPFS装置50は、図1、図2に示したSPR装置10と基本的には同様な構成であり、また、原理も基本的には同様であるので、同一の構成部材には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。なお、図面を明瞭にするために、図12ではマスク19の記載を省略している。
【0085】
SPFS装置50では、金属薄膜14上に発生した表面プラズモン光(疎密波)による電場増強度を測定するため、金属薄膜14の上面に、電場増強度測定用部材として、蛍光物質層52が形成されている。
【0086】
そして、誘電体部材12と、金属薄膜14と、蛍光物質層52とで、測定部材54が構成されている。
なお、蛍光物質層52を構成する蛍光物質としては、所定の励起光を照射するか、または電界効果を利用することで励起し、蛍光を発する物質であれば、特に限定されない。なお、本明細書において、「蛍光」とは、燐光など各種の発光も含まれる。
【0087】
また、測定部材54の上方には、金属薄膜14上に発生した表面プラズモン光(疎密波)によって励起された蛍光物質層52から発生する蛍光58を受光する光検出手段56が設けられている。
【0088】
光検出手段56としては、特に限定されるものではないが、例えば、超高感度の光電子増倍管や、多点計測が可能なCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることができる。
【0089】
6−2.ATR条件の測定方法について
このように構成される本実施例のSPFS装置50を用いた、ATR条件の測定方法について、以下に説明する。
【0090】
先ず、投光位置21aにおいて点光源20から、励起光24を照射して、集光レンズ22を透過し、平行光束とされた励起光24を、誘電体部材12の外側下方から、誘電体部材12の側面12bに入射させる。このとき、励起光24は、誘電体部材12を介して、誘電体部材12の上面12aに形成された金属薄膜14に向かって、入射角α1で照射されることになる。
【0091】
一方、金属薄膜14表面で反射された金属薄膜反射光26は、反射角α1で誘電体部材12を介して、誘電体部材12の他方の側面12cから出射されて、受光手段28によって受光し金属薄膜反射光26の光強度が測定される。
【0092】
点光源20の投光位置を、投光位置21aから投光位置21bまで、集光レンズ22の光軸に垂直な平面内で直線移動させることによって、金属薄膜14に対する励起光24の入射角を入射角α1から入射角α2まで変化させながら、金属薄膜反射光26を受光手段28によって受光し、金属薄膜反射光26の光強度を測定する。
【0093】
同時に、光検出手段56によって、蛍光物質層52から発生する蛍光58の光強度、すなわち、金属薄膜14上に発生した表面プラズモン光(疎密波)の強度を測定する。
このように、点光源20を投光位置21aから投光位置21bまで移動させることによって、集光レンズ22を透過して平行な光とされた励起光24は、金属薄膜14に向かって、入射角α1から入射角α2までの範囲で照射されることになる。
【0094】
すなわち、入射角α1から入射角α2までの範囲において、励起光24の入射角と金属薄膜反射光26の光強度の関係、及び、励起光24の入射角と蛍光58の光強度の関係を測定することができ、ATR条件の測定を行うことができる。
【0095】
ATR条件において、励起光24を金属薄膜14に照射すると、金属薄膜14上に表面プラズモン光(疎密波)が生じる。このとき、励起光24と金属薄膜14中の電子振動とがカップリングし、金属薄膜反射光26の光強度が変化(光量が減少)することとなるため、受光手段28で受光される金属薄膜反射光26の光強度が変化(例えば、光量が最も減少)する入射角を見つけることによってATR条件の測定が可能となる。
【0096】
もしくは、蛍光58の光強度が変化(光量が増加)することとなるため、光検出手段56で受光する蛍光58の光強度が変化(例えば、光量が最も増加)する入射角を見つけることによってATR条件の測定が可能となる。
【0097】
なお、本実施例においては、金属薄膜反射光26の光強度を測定するための受光手段28を設けているが、受光手段28を設けずに、光検出手段56のみを設けて、蛍光58の光強度のみを測定するように構成してもよい。
【0098】
また、本実施例においては、蛍光物質層52の蛍光物質が表面プラズモン光(疎密波)によって励起されて発生した蛍光58を光検出手段56によって測定しているが、蛍光物質層52の代わりに、電場増強度測定用部材として光散乱物質層を設けることによって、散乱光を光検出手段56によって測定するように構成してもよい。
【0099】
この場合、光散乱物質層を構成する光散乱物質としては、例えば、金コロイド、酸化チタン、シリコン、SiO2(ガラス)などの微粒子を用いることができる。
蛍光物質層52の代わりに光散乱物質層を設ける場合であっても、同様に、点光源20を投光位置21aから投光位置21bまで移動させることによって、入射角α1から入射角α2までの範囲において、励起光24の入射角と散乱光の光強度の関係を測定することができ、ATR条件の測定を行うことができる。
【0100】
6−3.検体検出時の装置構成について
上述するように構成された本願発明のSPFS装置50を用いて、検体の検出を行う場合には、図13に示すように、電場増強度測定用部材の代わりに反応層60が形成され、この反応層60で生じた蛍光58を光検出手段56によって受光して、その光強度を測定することになる。
【0101】
なお、反応層60と光検出手段56との間には、光を効率よく集光するための集光部材62と、蛍光58のみを選択的に透過するように形成された波長選択機能部材64が設けられている。
【0102】
集光部材62としては、光検出手段56に蛍光シグナルを効率よく集光することを目的とするものであれば、任意の集光系でよい。簡易な集光系としては、例えば、顕微鏡などで使用されている市販の対物レンズを転用してもよい。対物レンズの倍率としては、10〜100倍が好ましい。
【0103】
一方、波長選択機能部材64としては、光学フィルタ、カットフィルタなどを用いることができる。
光学フィルタとしては、減光(ND)フィルタ、ダイアフラムレンズなどが挙げられる。さらに、カットフィルタとしては、外光(装置外の照明光)、励起光(励起光の透過成分)、迷光(各所での励起光の散乱成分)、プラズモンの散乱光(励起光を起源とし、センサチップ表面上の構造体または付着物などの影響で発生する散乱光)、酸素蛍光基質の自家蛍光などの各種ノイズ光を除去するフィルタであって、例えば、干渉フィルタ、色フィルタなどが挙げられる。
【0104】
そして、このようなSPFS装置50の使用時において、金属薄膜14上に、例えば、あらかじめ蛍光物質で標識されたアナライトが捕捉された反応層60を設け、この状態で、点光源20より誘電体部材12内に照射された励起光24が、上述するようにして求められたATR条件を満たす入射角(共鳴角)で、金属薄膜14に入射することで、金属薄膜14上に表面プラズモン光(疎密波)が発生することになる。
【0105】
この表面プラズモン光(疎密波)により、金属薄膜14上の反応層60内の蛍光物質が効率よく励起され、これにより蛍光物質が発する蛍光58の光量が増大し、この蛍光58を集光部材62および波長選択機能部材64を介して光検出手段56で受光することで、微細量および/または極低濃度のアナライトを検出することができる。
【0106】
なお、反応層60は、アナライトに蛍光物質を結合させたものを検体中に含有したものであり、このような検体としては、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液、唾液、便、体腔液(髄液、腹水、胸水等)などが挙げられる。
【0107】
また、検体中に含有されるアナライトは、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)等のがん胎児性抗原や腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよく、特に限定されない。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、全反射減衰する条件(ATR条件)を測定するために用いているが、光学式検体検出装置として、励起光の入射角を変える場合に用いることができ、さらには、SPR装置やSPFS装置に限らず、例えば、光学検査のような工業分野などにおいても使用可能であり、何ら分野を限定されず適用可能であり、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、例えば、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)を用いた、血液検査などの臨床試験のような、高精度の検出が要求される分野において、全反射減衰する条件(ATR条件)を満たした最適な励起光の入射角(共鳴角)を高精度かつ迅速に測定することができる。
【符号の説明】
【0110】
10 SPR装置
12 誘電体部材
12a 上面
12b 側面
12c 側面
14 金属薄膜
16 センサチップ
18 センサチップ装填部
19 マスク
20 点光源
21 投光位置
21a 投光位置
21b 投光位置
22 集光レンズ
23 界面
24 励起光
26 金属薄膜反射光
28 受光手段
29 反射光集光レンズ
30 投光ユニット
31 擬似的な点光源
32 チップ
34 集光レンズ
36 アパーチャー部材
36a アパーチャー孔
38 平行光光源
40 平行光
50 SPFS装置
52 蛍光物質層
54 測定部材
56 光検出手段
58 蛍光
60 反応層
62 集光部材
64 波長選択機能部材
102 光源
104 集光ビーム
106 反射光
108 受光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体部材上に形成された金属薄膜を有するセンサチップが装填され、励起光を照射することで検体の検出を行う光学式検体検出装置であって、
前記誘電体部材に入射させる励起光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズの前側焦点距離に位置する投光位置から、前記集光レンズ及び前記誘電体部材を介して前記金属薄膜に励起光を照射する点光源と、を備え、
前記金属薄膜に対する励起光の入射角を変更する際に、前記点光源が、前記集光レンズの光軸に垂直な平面内で直線移動するように構成されていることを特徴とする光学式検体検出装置。
【請求項2】
前記点光源は、光源から発光された光が、前記投光位置において点光源に集束するように構成された投光ユニットであり、
前記投光ユニットが、前記集光レンズの光軸に垂直な平面内で直線移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学式検体検出装置。
【請求項3】
前記点光源が、平行光束を照射する光源と、前記光源から照射された光を前記投光位置において点光源になるように制限するように構成されたアパーチャー孔を有するアパーチャー部材とを備え、前記アパーチャー部材に対して垂直に前記光源からの平行光束が照射されるように構成されており、
前記アパーチャー部材が、前記集光レンズの光軸に垂直な平面内で直線移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学式検体検出装置。
【請求項4】
前記点光源が、平行光束を照射する光源と、前記光源から照射された光を前記投光位置において点光源になるように制限するように構成された複数のアパーチャー孔が配列されたアパーチャー部材とを備え、前記複数のアパーチャー孔に対して垂直に前記光源からの平行光束が照射されるように構成されており、
前記複数のアパーチャー孔のうち一つのアパーチャー孔を開状態とするように開閉の切り替えが行えるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学式検体検出装置。
【請求項5】
前記金属薄膜の励起光が入射される面側とは反対の面側から出射された光を検出する光検出手段が設けられるとともに、
前記金属薄膜上に、電場増強度測定用部材が配置され、
前記励起光を前記金属薄膜に照射した際に発生する表面プラズモン光によって、前記電場増強度測定用部材が励起され発生した光を、前記光検出手段によって測定するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学式検体検出装置。
【請求項6】
前記電場増強度測定用部材が、蛍光物質であることを特徴とする請求項5に記載の光学式検体検出装置。
【請求項7】
前記電場増強度測定用部材が、光散乱物質であることを特徴とする請求項5に記載の光学式検体検出装置。
【請求項8】
前記金属薄膜によって反射された励起光を受光する受光手段が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の光学式検体検出装置。
【請求項9】
前記受光手段は、前記点光源の移動にあわせて直線移動するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の光学式検体検出装置。
【請求項10】
前記誘電体部材と、前記集光レンズとを一体化した構造とすることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の光学式検体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−181024(P2012−181024A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42197(P2011−42197)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】