説明

光学機能を備えた検出器システムとそのようなシステムの形成方法

【課題】少なくとも1つの光学要素を電磁放射線検出器に可能な限り近接することによって位置決めおよび受動的整列するための新規なシステムおよび方法を提案する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの光学要素を電磁放射線検出器に可能な限り近接して位置決めおよび受動的整列を行うためのシステムおよび方法に関する。このシステムは光学要素(35)を検出器(21)にZ軸に関して可能な限り近接して位置決めするための支持楔(37)と、支持楔および/または保持ボール(36)を利用してXおよびY軸について受動的整列を行うための手段と、を具備し、前記X,YおよびZ軸は互いに直交した3つの軸である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学機能を備えた検出器システムとそのようなシステムの形成方法に関する。
【0002】
本発明の分野は電磁放射の検出器であり、より具体的には、冷却された赤外線検出器であり、例えばマイクロレンズのマトリクス等の少なくとも1つの光学要素を、これらの検出器に極力近接して位置決めし、およびズームするシステムである。例えば、その距離は0〜数百マイクロメータである。
【背景技術】
【0003】
− 冷却された赤外線検出器
冷却された赤外線(IR)検出器は赤外線放射に敏感な材料と読み出し回路との結合によって得られ、その材料は受け入れた光子を電子に変換し、読み出し回路がイメージを形成するためにこれらの電子の処理を可能にしている。そのような検出器から提供されるイメージの質は画素数に依存し、画素数は検出される環境において形成される。画素数は感光性材料と読み出し回路との間の電気的接続の数によって決定される。現在の赤外線検出器は1〜2cm2の作動面に関して10〜50μmのピッチで約十万画素を含んでいる。
【0004】
検出機内のノイズを減少するために、検出器は真空低温保持装置内に閉じ込められ、例えば77K(約−200℃)の温度とされる。低温保持装置とその冷却システムとは赤外線検出システムのサイズを決定する。図1に示された赤外線検出器10の断面図において、以下のものが示されている。
− 赤外線放射13の検出器10。
− 長さl1の低温保持装置の真空チャンバ(10cm<l<20cm)。
− 長さl1の検出器冷却システム12(10cm<l<20cm)。
【0005】
冷却された赤外線検出器は、いわゆるボールハイブリッド化技術を応用することによって得られ、この技術は特許文献1として参照された文献に記載されている。図2に示されたこのハイブリッド化技術は、読み出し回路20と検出部または検出器21とがハイブリッドボール23さらにいわゆる電気的接続ボールを利用して機械的に且つ電気的に接続されることを可能にしている。そのボールの高さは現在の検出器に関しては10μmのオーダーであり、ピッチは30μmとされている。ピッチはその画素と共に増加している。
【0006】
検出部21は2つの材料(ホモ基板)から成り、それは図3Bに示されたように基板25(約500μm)および作動部26(約10μm)を形成するためである。または検出部21は3つの材料(ヘテロ基板)から成り、それは図3Aに示されたように基板27(約500μm)、中間基板28(数μm〜数十μm)および作動部29(約10μm)を形成するためである。赤外線放射検出器の最先端技術に関しては、特許文献2に記載されたように、CdZnTeまたはCdTe基板を使用している。以下に記載されているのは、ホモ基板検出器が例として考慮されている。しかしながら、双方のタイプの検出器が可能である。
【0007】
したがって、赤外線放射検出の分野において、検出器は背景ノイズを最小化するために低音で作動されなければならず、背景ノイズは検出される信号に付加される。検出器の冷却の際の接続ボール23の機械的および電気的不具合の危険性を最小化するために、従来技術は読み出し回路20と検出部21との間に例えば読み出し回路上にエポキシを滴下して堆積することによってアンダーフィル(underfill)31を配置し、そのアンダーフィルがボール23の間に侵入し、且つ読み出し回路20と検出部21との間の空間を満たすようにしている。このアンダーフィルの配置は構成要素のハイブリッド化前または後に遂行され、そのことは特許文献3に記載されている。双方の場合において、アンダーフィルに使用される材料は、図4に示しているように、検出部21の側部で毛細管現象によって吸い上げられ、突出リム30を形成する。より具体的には、そのような突出リム30は、充填材料が作動部の側端部をカバーする場合に形成される。アンダーフィルが上昇する高さは200μmのオーダーであり、その高さは増減しても良い。2つの可能な検出器形状は任意の突出リムと共にまたは突出リム無しで得られそれらは図5Aおよび5Bにそれぞれ示されている。
【0008】
ボール23の不具合の危険性を最小化するためのアンダーフィルの配置に関する技術は、検出部21を薄くすることと結合されてもよく、それは異なった基板の選択可能な化学的エッチングによって、または機械的に研磨することによって実行されてもよい。選択されたアンダーフィルの形態に依存して、突出リムと共にまたは突出リムを伴うことなく、2つの可能な検出器形状がそのような薄くする加工の後に得られ、それは図6Aおよび6Bに示されている。検出器上の突出リムからの圧力である機械的理由のために、今日最も使用される形状は突出リムを伴わないものであり、それは図6Bに示されている。したがって、この形状は冷却された赤外線検出器に関する最先端の形状を示している。
【0009】
− 光学要素
使用された光学要素、例えばレンズ、ズーム等は、多機能赤外線検出器を得るために、機器製造業者によって開発されたものである。これらの構成要素は低温保持装置の外側に配置され、低温保持装置、冷却システムおよび光学要素によって形成された完全なシステムのサイズを、重量と同様に増加させている。
【0010】
図7は従来技術による光学機能を備えた検出器を示しており、長さlの光学ブロック40、長さlの低温保持装置41、図6Bに支援されたタイプの検出器42および長さlの冷却システム42を具備している。
【0011】
従来の装置は、
0<l<30cm、
〜10cm<l<20cm、
〜10cm<l<20cm、
である。
【0012】
光学要素ならびに電磁検出器の焦点距離およびサイズが小型化されたことで、現在の位置決めシステムは、光学要素と検出器との間に数μmのオーダーの位置および整列を必要とされることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許発明第2 646 558号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2 715 002号明細書
【特許文献3】米国特許第5 496 769号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、そのような技術的問題を、少なくとも1つの光学要素を電磁放射線検出器に可能な限り近接することによって位置決めおよび受動的整列するための新規なシステムおよび方法を提案することで解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は光学機能を備えた検出器システムに関し、そのシステムは、
− 電磁放射線検出器であって、その検出器は、
・検出部、
・読み出し回路、ならびに
・検出部と読み出し回路との間に配置された支持楔を形成するために、検出部の周囲に突出リムを形成したハイブリッドボールおよび充填材、を含んでいる電磁放射線検出器と、
− 光学要素と、
− 電磁検出器に可能な限り近接して光学要素を位置決めおよび受動的整列するためのシステムであって、そのシステムは光学要素を検出器にZ軸に関して可能な限り近接して位置決めするための支持楔と、支持楔および/または保持ボールを利用してXおよびY軸について受動的整列を行うための手段と、を具備し、X,YおよびZ軸は互いに直交した3つの軸であるシステムと、
を具備している
【0016】
本発明は、光学機能を備えた検出器システムを形成するための方法にも関し、そのシステムは少なくとも1つの光学要素と、電磁放射線検出器であって、検出器は機械的且つ電気的に接続された読み出し回路と検出部とを含み、その接続は検出部の側の突出リムを形成しているハイブリッドボールと充填材とを利用して行われた電磁放射線検出器と、を具備したており、その方法は、
− 少なくとも1つの光学要素をZ軸に関して位置決めするために、支持楔を形成するためのステップと、
− 少なくとも1つの光学要素と検出器との間に保持楔および/または保持ボールを導入してXおよびY軸に関して受動的整列を可能にするステップであって、X,YおよびZ軸は互いに直交した3つの軸であるステップと、
− 少なくとも1つの光学要素を前記電磁放射線検出器に可能な限り近接して位置決めおよび受動的整列を行うステップと、
を含んでいる
【0017】
第1の実施形態において、この方法は、
− 突出リムを形成するステップと、
− 検出器を機械的に薄くするステップと、
− 支持楔が形成される選択可能な化学的エッチングを行うステップと、
− 検出器の周囲に配置された保持ボールと共に少なくとも1つの光学要素を固定するステップと、をさらに含んでいる
有利に、保持ボールは光学要素と読み出し回路との間の電気的接続として使用されてもよい。
【0018】
第二の実施形態において、この方法は、
− 検出器の周囲にエッチング溝を形成するステップと、
− 検出器を単数化するステップと、
− ハイブリッドボールを介して読み出し回路上の検出器をハイブリッド化するステップと、
− これらのハイブリッドボールの間にアンダーフィルを堆積させるステップと、
− 検出器を機械的に薄くするステップと、
− 保持楔が形成される選択可能な化学的エッチングを行うステップと、
− 光学要素を取り付けるステップと、
を含んでいる。
【0019】
有利に、光学要素を取り付けるステップは、接着剤の滴下または接着剤のシーム(55)の導入を含んでいる。
【0020】
第3の実施形態において、この方法は、
− “バッファ”を形成した後、基板上に作動層をエピタキシー法で形成するステップと、
− ハイブリッド化するステップと、
− 例えば、所定のレベルで停止されるように制御されている研磨ステップ等の機械的に薄くするステップと、
− 第1の化学的エッチングを行うステップと、
− 外周樹脂シームを堆積するステップと、
− 第2の化学的エッチングを行うステップと、
− 外周支持楔を得るために溶媒で樹脂シームを除去するステップと、
− 少なくとも1つの光学要素を保持ボールと共に積み重ねるステップと、
を含んでいる。
【0021】
本発明のシステムおよび方法を利用することで、光学要素は低温保持装置内に統合されてもよく、そのことは、多機能電磁放射線検出器の考え得るサイズおよび重量を減少することを可能にしている。
【0022】
本発明のシステムおよび方法は、以下の利点を備えている。
− 光学要素のZ軸に関する位置決めを、±10μmよりも小さい公差で0〜800μmに位置決めする。
− ±10μmよりも小さい公差でX,Yおよびθの整列を制御する。
− 検出器の接続またはハイブリッドボール上の重量の集中を減少または解除し、これによって結果として生じた重量を光学要素の検出器に可能な限り近接して位置決めする。
− 光学要素と検出器との間の頑丈な連結を利用することで、検出器の信頼性を向上させる。
− 光学要素を低温保持装置内に統合する。
【0023】
多くの工業的応用が可能である。例えば、
− レンズ、レンズ配列または携帯用レンズのシステムの所定の位置への設定、
− 取り付けまたはセンタリングシステムの所定の位置への設定、
− 小型化された生体モジュールの所定の位置への設定、である。
【0024】
これによって、得られた検出器は、生物学、天文学、薬学等複数のアプリケーションに使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来技術による低温保持装置内の赤外線検出器の断面を示した図である。
【図2】従来技術によるハイブリッド化により組み立てられた赤外線検出器の断面を示した図である。
【図3A】従来技術による検出器の異なった2つの形態を示した図である。
【図3B】従来技術による検出器の異なった2つの形態を示した図である。
【図4】従来技術によるアンダーフィルが所定の位置に配置された後の検出器を示した図である。
【図5A】従来技術によるアンダーフィルが所定の位置に配置された後の検出器を示した図である。
【図5B】従来技術によるアンダーフィルが所定の位置に配置された後の検出器を示した図である。
【図6A】従来技術による薄くした後の検出器を示しており、突出リムを備えた形態である。
【図6B】従来技術による薄くした後の検出器を示しており、突出リムを備えていない形態である。
【図7】従来技術の光学機能を備えた検出器を示した図である。
【図8A】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第1の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図8B】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第1の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図8C】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第1の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図9】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第1の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図10A】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図10B】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図10C】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図10D】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図10E】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図10F】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図11A】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図11B】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図11C】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図11D】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図12】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第2の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図13A】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図13B】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図13C】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図13D】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図14A】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図14B】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図14C】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図14D】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【図15】最終的に得られるデバイスと共に、本発明のシステムの第3の実施形態を形成するステップを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のシステムは位置決めおよび受動的整列システムであり、すなわち、例えばレンズ、ズーム等の少なくとも1つの光学要素を、可能な限り検出器に近づけて、例えばその位置から0〜800μmの間に配置する際にいかなる調節も行わないものである。このシステムにおいて、支持楔は可能な限り検出器に近接した光学要素のZ方向の位置決めのために使用され、X,Y方向の整列手段は保持楔および/または保持ボールを利用して行う。X,YおよびZ軸は、図9に示したように互いに直交している。
【0027】
有利なことに、検出器は標準的な工業的手法によって得られる冷却された赤外線検出器である。
【0028】
本発明のシステムを利用することで、光学要素は低温保持装置内に一体化されており、その低温保持装置は多機能の電磁放射線検出器のサイズおよび重量において相当の減少を可能としている。
【0029】
したがって、本発明による、少なくとも1つの光学要素を電磁放射線検出器に可能な限り近接して位置決めおよび受動的整列を行うための方法は、
− 少なくとも1つの光学要素をZ方向で位置決めするために、例えば突出したリムから支持くさびを形成するステップと、
− 保持楔および/または保持ボールを利用してXおよびY方向の受動的整列を行うステップと、
を含んでいる。
【0030】
本発明による方法は3つの実施形態を備えている。
【0031】
− 第1の実施形態
この第1の実施形態は、
− 図8Aに示されたような、例えば接着剤の突出リム30を形成するための標準的なステップと、
− 機械的ボール(保持ボール36)を備えた少なくとも1つの光学要素35が取り付けられた様子が図示された図8Bに示されたような、検出器を機械的に薄くするステップと、
を含んでいる。
【0032】
目的の(Z軸に沿った)高さに検出器を機械的に薄くすることを完成するために、ハイブリッド(hybridization)または接続ボール23の高さ(約10μm)、検出器の突出部21の高さ(約10μm)、および検出器の突出部21の外側面と光学要素35との間の所望の空間(約20μm)は、機械的に薄くする工程が読み出し回路20に対して停止されるべき高さ(約40μm)を決定するために考慮される。その後、この空間eは数μmから数百μmまで調節される。
【0033】
その後、図8Cに示されたように選択可能な化学的エッチングが実行され、図8Cに示されたように、そのことは基板25の残存部分のエッチングおよび突出リム30を備えた検出器21の検出部の周りの支持楔37の形成を可能にしている。これらの支持楔37は検出器の面に対して約20μmの高さであり、読み出し回路20に対して約40μmの高さである。
【0034】
光学要素35を機械的ボールに取り付けるためのステップはその後実行され、それは図9に示されている。保持ボール36はその後検出器部分の周囲に個々に、または集合的に配置される。これらの保持ボール36は可撓性材料から形成されている。それらはハイブリッド化(hybridization)の間、ハイブリッド装置と連結される一方で、光学要素35のXおよびY方向の自己調整可能としている。これらの自己調整は復元力の利用によって成し遂げられ、その復元力はボールの使用に関連して、最小エネルギに従う。これらの保持ボールは光学要素35と読み出し回路20との間の電気的接続として使用されてもよく、作動中の光学要素の位置決めを可能にしてもよい。
【0035】
ボール36以外の保持楔は外部機械的支持のために、または接着剤による支持のために使用されてもよい。
【0036】
この第1の実施形態と共に、以下の直接的な利点を得ることが可能である。
− ±2.5μmの公差と共にZ方向の位置決めを数μmから数百μmまでの範囲で行う。
− 保持ボール36を利用して、XおよびY方向の位置決めを±0.1μm以内で行う。
− 接続またはハイブリッドボール23上の重量制限の低減。
【0037】
それと共に、以下の間接的な利点が得られるだろう。
− 光学要素35への電力供給の可能性。
− 例えば接着剤支持が達成された場合の密封の可能性。
【0038】
− 第2の実施形態
この第2の実施形態は、検出器40の周囲において(例えばXおよびYの2つの直交した方向に沿って) “溝”44をエッチングするステップが含まれている。この検出器は図10Aに断面が示されおよび図10Bに上面(上面におけるハイブリッド面)が示されており、基板42および作動部41を具備している。このエッチングステップは図10Cおよび10Dに示されたようなエッチング、プラズマエッチングなどの多様な方法で実行され、切り取り線43に揃えられている。
【0039】
図10Eおよび10Fは、検出器40をハイブリッド形成前に切り取り線43に沿って単独化する後続のステップが示されている。
【0040】
形成された検出器40はその後図10Eおよび10Fに示されたように回収され、図11Aに示されたようなフリップチップ法にしたがって、読み出し回路48ハイブリッド形成される。アンダーフィル(underfill)46は、読み出し回路48上の接続またはハイブリッドボール47の間に堆積され、図11Bに示しているように、検出器の端部の毛細管現象によって上昇し、この検出器内に形成された溝を充填する。アンダーフィルの重合後、検出器を慣例的に薄くする加工が図11Cに示されたように実行される。選択可能な科学的に薄くする加工の後、溝44の形状50は図11Dに示されたように突出リム45内に出現する。
【0041】
溝44と共に、突出リム45内に光学要素のための支持を形成することは、形状の遷移によって可能である。その後、光学要素と検出器の面との間の、例えば約20μmの空間は溝の深さ約30μmと検出器の厚さ約10μmとの差によって直接的に決定される。
【0042】
光学要素49の位置決めのステップにおいて、図12に示されているように、後者は突出リム30によって形成された支持体内に収容されており、接着剤の滴下または密封のためのシーム55を利用して支持体に保持されていてもよい。
【0043】
従って、溝形状50は光学要素49のためのZ方向支持体として使用されている。アンダーフィル46がこの溝44を充填した後に毛細管現象によって上昇するので、保持楔71は化学的に薄くする加工の後溝44の形状50に沿って形成される。楔71を保持しているこれらは光学要素49のXおよびY方向の整列を可能にしている。
【0044】
この第2の実施形態と共に、以下の利点を得ることが可能である。
− ±2.5μmの公差と共にZ方向の位置eの位置決めを数μmから数百μmまでの範囲で行う。
− 保持楔71を利用して、XおよびY方向の位置決めを±2.5μm以内で行う。
【0045】
それと共に、以下の間接的な利点が得られるだろう。
− 光学要素49および検出器40のための同一の切り取り線43。
− 形成の迅速性。
− 例えば接着剤シームを利用した密封の可能性。
【0046】
− 第3の実施形態
この第3の実施形態は、検出器の構造の開発と、要素に固有の位置決め構造を製作するための薄くする加工方法とから成る。図13A〜13Cはヘテロ基板(基板51+中間基板52+作動部53)を使用したこの実施形態を示している。図14A〜14Cはホモ基板(基板54+作動部55)を使用したこの実施形態を示している。
【0047】
基板51(例えばGe)上の赤外線検出アレイの作動層53のエピタキシーは、例えばCdHgTeであり、図13Aに示されたように、結晶格子セルを適応させるために必要とされる成長バッファ(中間基板)52の形成と共に進行される。分子ジェット(molecular jets)による堆積によって、バッファ52は±0.1μm以内に制御された厚さを有する。
【0048】
ハイブリッド形成ステップ後の検出器を薄くするステップにおいて、図13Bに示されたように、基板51はバッファ上の選択可能な化学的工程によって除去される。その後、図13Cに示されたように、周囲の樹脂シーム56を堆積するステップが進行され、そのステップは作動層53の材料上の選択的溶解と共にバッファ52を除去するステップへと移行する前に実行される。バッファのエッチングの間、その厚さは樹脂シーム56の下で維持され、樹脂シームはその後溶媒で除去される。図13Dに示された構造はこれによって得られ、CdTe内の外周支持楔57が設けられた実際の検出器(作動層)から成り、その支持楔はバッファ52に対応している。バッファ52の厚さ、したがって楔57の厚さは1μmから50μmまで変化してもよい。
【0049】
その後、少なくとも1つの光学要素61を堆積するステップが実行される。支持楔57はこれによって任意の光学要素の位置決めのためのZ方向における突き当てとして使用され、検出システムに関してまたは意図された応用に関して実用的である。応用としては単一もしくは段階的な光学機器もしくはマイクロ光学機器、マスク、解析された対象物または解析のための実用性などである。
【0050】
選択的な化学反応の活用を許容しない構成要素の場合では、研磨ステップが実行され、そのステップは例えば±2.5μm以内といったような所定のレベルでの研磨の停止に関して制御されている。その後、その方法は図14A〜14Dに示されたような工程であり、例えばCdZnTe内の基板54上の成長を伴った例えばホモ基板要素を形成する。
【0051】
図14Aは薄くする前のモジュールを示している。
【0052】
図14Bは機械的に薄くするステップおよび第1の化学的エッチングステップを示している。
【0053】
図14Cは樹脂を堆積するステップを示している。
【0054】
図14Dは第2の化学的エッチングステップを示している。
【0055】
図15に示されたように、工学要素61はその後保持ボール60と共に検出器62上に加えられる。
【0056】
この第3の実施形態と共に、以下の利点を得ることが可能である。
− ±0.1μm以内でZ方向の位置eの位置決めを数μmから数百μmまでの範囲で行う。
− 保持ボール60を利用してXおよびY方向の整列を±0.1μm以内で行う。
− 支持ボール上の重量制限の低減。
【0057】
それと共に、以下の間接的な利点が得られるだろう。
− 光学要素への電力供給の可能性。
− 密封の可能性。
【符号の説明】
【0058】
20,48 ・・・読み出し回路
23 ・・・接続ボール
25,51,54 ・・・基板
30,45 ・・・突出リム
35,49,61 ・・・光学要素
36 ・・・保持ボール
37 ・・・支持楔
40,62 ・・・検出器
41 ・・・作動部
42 ・・・基板
44 ・・・溝
52 ・・・中間基板
53,55 ・・・作動部
56 ・・・シーム
57 ・・・支持楔
60 ・・・保持ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機能を備えた検出器システムであって、該システムは、
− 電磁放射線検出器であって、該検出器は、
・検出部(21)、
・読み出し回路(20)、ならびに
・前記検出部と前記読み出し回路との間に配置された支持楔(37,45,57)を形成するために、前記検出部の周囲に突出リムを形成したハイブリッドボール(23)および充填材、を含んでいる電磁放射線検出器と、
− 光学要素(35,49,61)と、
− 前記電磁検出器(21)に可能な限り近接して前記光学要素を位置決めおよび受動的整列するためのシステムであって、該システムは前記光学要素(35)を前記検出器にZ軸に関して可能な限り近接して位置決めするための支持楔(37,45,57)と、前記支持楔および/または保持ボールを利用してXおよびY軸について受動的整列を行うための手段と、を具備し、前記X,YおよびZ軸は互いに直交した3つの軸であるシステムと、
を具備していることを特徴とする検出器システム。
【請求項2】
前記検出器は冷却された赤外線検出器であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学要素は低温保持装置内に一体化されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
光学機能を備えた検出器システムを形成するための方法であって、前記検出器システムは、
少なくとも1つの光学要素(35)と、
電磁放射線検出器(21)であって、該検出器は機械的且つ電気的に接続された読み出し回路(20)と検出部(21)とを含み、前記接続は前記検出部の側の突出リムを形成しているハイブリッドボール(23)と充填材とを利用して行われた電磁放射線検出器(21)と、を具備した方法において、該方法は、
− 前記少なくとも1つの光学要素(35)をZ軸に関して位置決めするために、支持楔(37,57)を形成するためのステップと、
− 少なくとも1つの前記光学要素と前記検出器との間に保持楔および/または保持ボール(36,60,71)を導入してXおよびY軸に関して受動的整列を可能にするステップであって、前記X,YおよびZ軸は互いに直交した3つの軸であるステップと、
− 前記少なくとも1つの光学要素を前記電磁放射線検出器に可能な限り近接して位置決めおよび受動的整列を行うステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項5】
光学機能を備えた検出器システムを形成するための方法であって、該方法は、
− 突出リム(30)を形成するステップと、
− 前記検出器を機械的に薄くするステップと、
− 支持楔(37)が形成される選択可能な化学的エッチングを行うステップと、
− 前記検出器の周囲に配置された保持ボール(36)と共に少なくとも1つの前記光学要素(35)を取り付けるステップと、をさらに含んでいることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学要素(35)を取り付けるステップの際に、前記ボールは個々にはたは集合的に配置されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記保持ボール(36)は前記光学要素(35)と前記読み出し回路(20)との間の電気的接続を提供していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
光学機能を備えた検出器システムを形成するための方法であって、該方法は、
− 前記検出器(40)の周囲にエッチング溝(44)を形成するステップと、
−前記検出器(40)を単数化するステップと、
− ハイブリッドボール(47)を介して読み出し回路上(48)の検出器(40)をハイブリッド化するステップと、
−これらのハイブリッドボールの間にアンダーフィル(46)を堆積させるステップと、
− 前記検出器(40)を機械的に薄くするステップと、
− 保持楔(71)が形成される選択可能な化学的エッチングを行うステップと、
− 前記光学要素(49)を取り付けるステップと、
を含んでいることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記光学要素を取り付けるステップは、接着剤の滴下または接着剤のシーム(55)の導入を含んでいることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
光学機能を備えた検出器システムを形成するための方法であって、該方法は、
− バッファ(52)を形成した後、基板(51)上に作動層(53)をエピタキシー法で形成するステップと、
− ハイブリッド化するステップと、
− 機械的に薄くするステップと、
− 第1の化学的エッチングを行うステップと、
− 外周樹脂シーム(56)を堆積するステップと、
− 第2の化学的エッチングを行うステップと、
− 外周支持楔(57)を得るために溶媒で樹脂シーム(52)を除去するステップと、
− 少なくとも1つの光学要素(61)を保持ボール(60)と共に積み重ねるステップと、
を含んでいることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記機械的に薄くするステップは研磨ステップであり、所定のレベルで停止されるように制御されていることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15】
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