説明

光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法

【課題】高エナンチオ選択的に末端アルキンをケトンに不斉付加反応させて、光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体を製造するための新規な製造方法を提供する。
【解決手段】有機亜鉛化合物と、ビナフチル骨格を有するサレン配位子とを用いて、ケトンに末端アルキンを不斉付加反応させることを特徴とする光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法である。前記ビナフチル骨格を有するサレン配位子としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
【化1】


[式中、Aは、二価の有機基であり;R1は、それぞれ独立して水素又は一価の有機基である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法、より詳しくは、ビナフチル骨格を有するサレン配位子を不斉補助剤として用い、末端アルキンをケトンへ不斉付加反応させることを特徴とする光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルデヒド類及びケトン類のエナンチオ選択的なアルキニル化反応は、光学活性なプロパルギルアルコール誘導体の合成法として非常に有用である。これに対し、キャレイラ(Carreira)らは、N-メチルエフェドリン、Zn(OTf)2及びNEt3系を用いたアルデヒド類への高エナンチオ選択的なアルキニル亜鉛の付加反応が、化学量論的に進行することを報告している。この付加反応は、後に60℃で触媒的に実施されたが、有効な基質が脂肪族アルデヒド類に限られるという問題があった。また、チャン(Chan)ら及びプー(Pu)らは、それぞれ独立に、チタン−BINOL系が、脂肪族アルデヒド類のみならず芳香族アルデヒド類に対しても、アルキニル亜鉛の付加反応を高いエナンチオ選択性で触媒的に進行させられることを報告している。
【0003】
上記のように、アルデヒド類については、高いエナンチオ選択性と十分な収率でアルキニル化反応を進行させることができるが、ケトンについては、α-ケトエステル類等の反応性の高い一部のケトン類を除いて反応性が低く且つエナンチオ面の識別が難しいため、未だ十分なエナンチオ選択性及び収率でアルキニル化反応を進行させることができなかった。そのため、種々のケトンに対して、十分なエナンチオ選択性及び収率でアルキニル化反応を進行させることが可能な方法が要望されている。
【0004】
これに対して、例えば、コジー(Cozzi)らは、反応系中で生成させたZn(サレン)錯体を触媒として用いた、アルキニル亜鉛のケトンへの付加反応を報告しているが、この場合、エナンチオ選択性が十分でないという問題がある(非特許文献1及び2参照)。また、チャン(Chan)らは、カンファースルフォンアミド及びCu(OTf)2の組合せが、芳香族ケトン類へのアルキニル亜鉛付加反応を高エナンチオ選択的に進行させることを報告しているが、ケトンとしてアセトフェノンを用いた場合は鏡像体過剰率が88%eeになるものの、プロピオフェノンでは71%eeに留まるなど、依然として改良の余地がった。
【0005】
一方、本発明者らは、2'-置換ビナフチルユニットを有する金属サレン錯体が、アルデヒドへの不斉付加反応等において触媒作用を示し、高いエナンチオ選択性で反応を進行させることを明らかにしてきた(非特許文献3及び4参照)。ここで、中心金属に結合したアルデヒドの配向は、サレン配位子によって制御されている。
【0006】
また、コジー(Cozzi)らは、C3及びC3'にt-ブチル基を有するZn(サレン)錯体が、ルイス酸サイト及びルイス塩基サイトを供与し、該錯体を触媒とする付加反応が分子内で進行することを提案している。即ち、ケトンが亜鉛イオンに配位して活性化される一方、アルキニル亜鉛がフェノキシドの酸素原子に拘束され、該アルキニル亜鉛が分子内で亜鉛に結合したケトンを攻撃するというものである。ここで、Zn(サレン)錯体は、四角錐型の配位構造をとり、亜鉛イオンが平面四角形の上方0.43Åの位置に存在することが知られている。従って、環状の遷移状態が、亜鉛に結合し且つ配位子から距離を置いたケトンに不斉誘起するのに重要な役割を果たしているものと考えられる。
【0007】
【非特許文献1】Cozzi P. G., Angew. Chem. Int. Ed., 2003, 42, 2895-2898.
【非特許文献2】Cozzi P. G.; Papa A.; UmaniRonchi A., Tetrahedron Lett., 1996, 37, 4613-4616.
【非特許文献3】Katsuki, T. Synlett, 2003, 281-297.
【非特許文献4】Ito Y. N.; Katsuki, T. Bull. Chem. Soc. Jpn., 1999, 72, 603-619.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような状況下、本発明の目的は、種々のケトンを出発原料とすることが可能で、高エナンチオ選択的に末端アルキンをケトンに不斉付加反応させて、光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体を製造するための新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、不斉補助剤としてビナフチル骨格を有するサレン配位子を用いることで、末端アルキンをケトンに不斉付加反応させて光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体を高いエナンチオ選択性で製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法は、有機亜鉛化合物と、ビナフチル骨格を有するサレン配位子とを用いて、ケトンに末端アルキンを不斉付加反応させることを特徴とする。
【0011】
本発明の製造方法において、前記ビナフチル骨格を有するサレン配位子としては、下記式(I):
【化1】


[式中、Aは、二価の有機基であり;R1は、それぞれ独立して水素又は一価の有機基である]で表される化合物が好ましい。ここで、上記式(I)中のAとしては、炭素数4〜8のアルキレン基、炭素数5〜9のシクロアルキレン基、及び炭素数14〜30のアリールアルキレン基が好ましく、R1としては、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0012】
本発明の製造方法の好適例においては、上記式(I)で表されるサレン配位子が下記式(II)又は式(III)で表される。この場合、生成する第3級プロパルギルアルコール誘導体の鏡像体過剰率をより一層向上させることができる。
【化2】


【化3】


[式(II)及び式(III)において、R1は、それぞれ独立して水素又は一価の有機基である。]
【0013】
本発明の製造方法において、前記有機亜鉛化合物としては、ジアルキル亜鉛が好ましい。
【0014】
本発明の製造方法において、前記ケトンとしては、下記式(IV):
2−CO−R3 ・・・ (IV)
[式中、R2及びR3は、炭素数1〜10のアルキル基若しくは置換アルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基若しくは置換シクロアルキル基、炭素数6〜15のアリール基若しくは置換アリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基若しくは置換アラルキル基であり、互いに異なる]で表されるケトンが好ましい。
【0015】
本発明の製造方法において、前記末端アルキンとしては、下記式(V):
4−C≡CH ・・・ (V)
[式中、R4は、炭素数1〜10のアルキル基若しくは置換アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基若しくは置換アルケニル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基若しくは置換シクロアルキル基、炭素数4〜15のシクロアルケニル基若しくは置換シクロアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基若しくは置換アリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基若しくは置換アラルキル基である]で表されるアルキンが好ましい。
【0016】
本発明の製造方法で得られる光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体としては、下記式(VI):
【化4】


[式中、R2、R3及びR4は、上記と同義である]で表されるアルコール等が挙げられる。
【0017】
また、本発明の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法は、
(i)溶媒に、前記有機亜鉛化合物と前記末端アルキンとを加えてアルキニル亜鉛を生成させる工程と、
(ii)得られた混合液に前記ビナフチル骨格を有するサレン配位子を加えてZn(サレン)錯体を生成させる工程と、
(iii)得られた混合液に前記ケトンを加えてプロパルギルアルコール誘導体を生成させる工程と
からなるのが好ましい。ここで、触媒として使用するZn(サレン)錯体は、Znを中心金属とし、ビナフチル骨格を有するサレン配位子を配位子とする錯体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、有機亜鉛化合物と、ビナフチル骨格を有するサレン配位子とを用い、末端アルキンをケトンに不斉付加反応させて光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体を高いエナンチオ選択性で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法は、有機亜鉛化合物と、ビナフチル骨格を有するサレン配位子とを用いて、ケトンに末端アルキンを不斉付加反応させることを特徴とする。本発明においては、有機亜鉛化合物と末端アルキンとから、アルキニル亜鉛が生成し、該アルキニル亜鉛がケトンを攻撃する。ここで、不斉補助剤として作用するビナフチル骨格を有するサレン配位子は、フェノキシドの酸素原子に隣接するC3及びC3'に嵩高いナフチル基又は2-置換ナフチル基を有するため、ビナフチル骨格を有するサレン配位子の酸素原子へのアルキニル亜鉛の配位の仕方は、コジー(Cozzi)らが用いたC3及びC3'にt-ブチル基を有するサレン配位子の酸素原子へのアルキニル亜鉛の配位の仕方とは異なり、有機亜鉛化合物とビナフチル骨格を有するサレン配位子とから生成するZn(サレン)錯体においては、ビナフチル骨格が亜鉛に結合したケトンのエナンチオ面の識別を可能とし、末端アルキンのケトンへの不斉付加反応のエナンチオ選択性を向上させる。
【0020】
また、C3及びC3'に2-置換ナフチル基を有するサレン配位子を用いた場合、該サレン配位子と有機亜鉛化合物とから生成するZn(サレン)錯体においては、2-置換基が亜鉛イオンの近傍に位置し、亜鉛に結合したケトンのエナンチオ面の識別能が向上するため、末端アルキンのケトンへの不斉付加反応のエナンチオ選択性を更に向上させることができる。
【0021】
本発明の製造方法に用いるビナフチル骨格を有するサレン配位子としては、上記式(I)で表される化合物が好ましい。式(I)中、Aは、二価の有機基であり、該二価の有機基としては、炭素数4〜8のアルキレン基、炭素数5〜9のシクロアルキレン基、炭素数14〜30のアリールアルキレン基等が挙げられ、具体的に、該アルキレン基としては、2,4-ペンチレン基、2,3-ブチレン基等が挙げられ、該シクロアルキレン基としては、1,2-シクロヘキシレン基、1,2-シクロペンチレン基等が挙げられ、該アリールアルキレン基としては、1,2-ジフェニルエチレン基、1,2-ジ(3,5-ジメチルフェニル)エチレン基等が挙げられる。これらの中でも、Aとしては、生成物の鏡像体過剰率の観点から、1,2-シクロヘキシレン基が好ましい。
【0022】
また、式(I)中、R1は、それぞれ独立して水素又は一価の有機基であり、該一価の有機基としては、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられ、具体的に、該アリール基としては、フェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-ビフェニリル基等が挙げられ、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられ、該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。これらの中でも、R1としては、生成物の鏡像体過剰率の観点から、一価の有機基が好ましく、フェニル基、メトキシ基及び4-ビフェニリル基が特に好ましい。
【0023】
本発明の製造方法においては、有機亜鉛化合物とビナフチル骨格を有するサレン配位子とから生成するZn(サレン)錯体のジアミンユニットのキラリティーとビナルチルユニットにおけるキラリティーとが不斉誘起に大きな影響を及ぼす。ここで、生成物の鏡像体過剰率の観点から、式(I)において、ビナルチルユニットの立体配置が(R)の場合、ジアミンユニットの立体配置は(R,R)よりも(S,S)であるのが好ましく、ビナルチルユニットの立体配置が(S)の場合、ジアミンユニットの立体配置は(S,S)よりも(R,R)であるのが好ましい。従って、上記式(I)で表されるサレン配位子としては、Aが1,2-シクロヘキシレン基である場合、上記式(II)又は式(III)で表される化合物が特に好ましい。
【0024】
上記ビナフチル骨格を有するサレン配位子の使用量は、後述するケトンのモル量に対し、5〜15mol%の範囲が好ましい。ビナフチル骨格を有するサレン配位子の使用量が5mol%未満では、エナンチオ選択性の低下が見られ、15mol%を超えて使用しても、エナンチオ選択性、収率の向上が見られず、経済的メリットがない。
【0025】
本発明の製造方法に用いる有機亜鉛化合物は、後述する末端アルキンに作用してアルキニル亜鉛を生成させる機能と、上記ビナフチル骨格を有するサレン配位子に作用してZn(サレン)錯体を生成させる機能とを有する。ここで、該有機亜鉛化合物としては、ジアルキル亜鉛が好ましく、該ジアルキル亜鉛中のアルキル基は、炭素数が1〜5の範囲にあるのが好ましい。該ジアルキル亜鉛として、具体的には、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等が挙げられる。なお、ジアルキル亜鉛と末端アルキンとから生成するアルキニル亜鉛としては、アルキルアルキニル亜鉛等が挙げられる。
【0026】
上記有機亜鉛化合物の使用量は、後述するケトンに対して3〜5当量(eq)の範囲が好ましい。有機亜鉛化合物の使用量がケトンに対し3当量(eq)未満では、収率の低下が見られ、5当量(eq)を超えても、特別のメリットがない。
【0027】
本発明の製造方法に用いるケトンは、プロキラルなケトンである限り特に制限されるものではないが、例えば、上記式(IV)で表されるケトンを好適に用いることができる。式(IV)中、R2及びR3は、互いに異なり、炭素数1〜10のアルキル基若しくは置換アルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基若しくは置換シクロアルキル基、炭素数6〜15のアリール基若しくは置換アリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基若しくは置換アラルキル基であり、具体的に、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられ、該シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、該アリール基としては、フェニル基、p-メトキシフェニル基等が挙げられ、該アラルキル基としては、フェネチル基、ベンジル基等が挙げられ、これらアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基中の水素は、Cl及びBr等のハロゲンやニトロ基等で置換されていてもよい。
【0028】
本発明の製造方法に用いる末端アルキンとしては、三重結合した炭素の少なくとも一方に水素が結合している限り特に制限されるものではないが、例えば、上記式(V)で表される末端アルキンを好適に用いることができる。式(V)中、R4は、炭素数1〜10のアルキル基若しくは置換アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基若しくは置換アルケニル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基若しくは置換シクロアルキル基、炭素数4〜15のシクロアルケニル基若しくは置換シクロアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基若しくは置換アリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基若しくは置換アラルキル基であり、具体的に、該アルキル基としては、n-ペンチル基等が挙げられ、該アルケニル基としては、ヘキセニル基等が挙げられ、該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、該シクロアルケニル基としては、1-シクロヘキセニル基等が挙げられ、該アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられ、該アラルキル基としては、ベンジル基等が挙げられ、これらアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基中の水素は、メトキシ基等のアルコキシ基やF等のハロゲン等で置換されていてもよい。
【0029】
上記末端アルキンの使用量は、上記ケトンに対して3〜5当量(eq)の範囲が好ましい。末端アルキンの使用量がケトンに対し3当量(eq)未満では、収率が低下し、5当量(eq)を超えての使用は、非経済的である。
【0030】
本発明の製造方法で得られる光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体は、上記ケトン及び末端アルキンを原料として製造され、該原料を適宜選択することで、種々のプロパルギルアルコール誘導体が得られる。ここで、上記式(IV)で表されるケトン及び上記式(V)で表される末端アルキンを出発原料とした場合、上記式(VI)で表されるプロパルギルアルコール誘導体が得られここで、式(VI)中のR2、R3及びR4は、上記と同義である。また、使用するビナフチル骨格を有するサレン配位子の立体配置を適宜選択することで、光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の両鏡像異性体が得られる。
【0031】
本発明の製造方法は、より具体的には、第1工程において、溶媒に、前記有機亜鉛化合物と前記末端アルキンとを加えてアルキニル亜鉛を生成させ、第2工程において、第1工程で得られた混合液に前記ビナフチル骨格を有するサレン配位子を加えてZn(サレン)錯体を生成させ、第3工程において、第2工程で得られた混合液に前記ケトンを加えてプロパルギルアルコール誘導体を生成させるのが好ましい。反応系内でZn(サレン)錯体を生成させ、該Zn(サレン)錯体を単離することなく、末端アルキンのケトンへの不斉付加反応の触媒として用いることで、製造プロセスの工程数を削減することができる。
【0032】
本発明の製造方法は、一般に有機溶媒中で行う。該有機溶媒としては、ジクロロメタン(CH2Cl2)等のハロゲン化炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素が例示できる。これらの中でも、生成物の鏡像体過剰率を向上させる観点からは、ジクロロメタン及びトルエンの混合溶液が好ましい。上記溶媒の使用量は、上記ケトン1mmolに対し1〜5mLの範囲が好ましい。
【0033】
本発明の製造方法は、室温で実施することができ、特に限定されるものではないが、25〜30℃の範囲で実施するのが好ましい。反応温度が高過ぎても低過ぎても、生成物の鏡像体過剰率が低下してしまう。また、反応時間は特に限定されず、上記反応温度に合わせて適宜選択される。
【0034】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
(配位子合成例1)
(1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン[藤本分子化学](10.8mg, 0.0947mmol)をエタノール(5mL)に溶解させ、この溶液に(R)-3-フォルミル-2-ヒドロキシ-2'-フェニル-1,1'-ビナフチル[H. Sasaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, T. Katsuki, Tetrahedron, 1997, 50(41), 11827に記載の方法にて合成](85.3mg, 0.189mmol)を加えて室温で10時間撹拌する。生じた黄色沈澱をグラスフィルターでろ取し、エタノール(5mL)で洗浄する。ろ取した沈澱を60℃で5時間真空乾燥することにより、下記式(VII)で表される化合物(93mg, 収率100%)を得る。得られた化合物のIR測定(KBr法)の結果は、3051, 2926, 2856, 1630, 1506, 1442, 1385, 1346, 1288, 1258, 1145, 1096, 1026, 943, 820, 746, 702cm-1である。
【化5】

【0036】
(配位子合成例2)
(1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン[藤本分子化学](167mg, 1.46mmol)をエタノール(30mL)に溶解させ、この溶液に(R)-3-フォルミル-2-ヒドロキシ-2'-(4-ビフェニルイル)-1,1'-ビナフチル[H. Sasaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, T. Katsuki, Tetrahedron, 1997, 50(41), 11827に記載の方法にて合成](1.07g, 2.85mmol)を加えて室温で10時間撹拌する。生じた黄色沈澱をグラスフィルターでろ取し、エタノール(20mL)で洗浄する。ろ取した沈澱を60℃で5時間真空乾燥することにより、下記式(VIII)で表される化合物(1.18g, 収率93%)を得る。得られた化合物のIR測定(KBr法)の結果は、3053, 2928, 2858, 1630, 1441, 1344, 1258, 1120, 945, 816, 746, 696, 619cm-1である。
【化6】

【0037】
(配位子合成例3)
(1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン[藤本分子化学](40.2mg, 0.352mmol)をエタノール(10mL)に溶解させ、この溶液に(R)-3-フォルミル-2-ヒドロキシ-2'-メトキシ-1,1'-ビナフチル[A. van Doorn, D. J. Rushton, M. Bos, W. Verboom, D. N. Reinhoudt, Recl. Trav. Chim. Pays-Bas, 1992, 111, 415に記載の方法にて合成](231mg, 0.704mmol)を加えて10時間還流する。生じた黄色沈澱をグラスフィルターでろ取し、エタノール(10mL)で洗浄する。ろ取した沈澱を60℃で5時間真空乾燥することにより、下記式(IX)で表される化合物(148mg, 収率57%)を得る。得られた化合物のIR測定(KBr法)の結果は、3055, 2932, 2837, 1630, 1506, 1441, 1340, 1258, 1182, 1148, 1082, 1045, 1020, 945, 808, 748, 617cm-1である。
【化7】

【0038】
(配位子合成例4)
(1R,2R)-1,2-シクロヘキサンジアミン[藤本分子化学](171mg, 1.5mmol)をエタノール(15mL)に溶解させ、この溶液に(aR)-3-フォルミル-2-ヒドロキシ-2'-フェニル-1,1'-ビナフチル[H. Sasaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, T. Katsuki, Tetrahedron, 1997, 50(41), 11827に記載の方法にて合成](1.10g, 3.0mmol)を加えて60℃で10時間加熱する。反応溶液を室温まで冷却した後、生じた黄色沈澱をグラスフィルターでろ取し、エタノール(10mL)で洗浄する。ろ取した沈澱を60℃で5時間真空乾燥することにより、下記式(X)で表される化合物(1.18g, 収率95%)を得る。得られた化合物のIR測定(KBr法)の結果は、3053, 2930, 2858, 1630, 1506, 1443, 1383, 1344, 1290, 1259, 1119, 943, 822, 750, 700, 619cm-1である。
【化8】

【0039】
(配位子合成例5)
(1S,2S)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン[藤本分子化学](318mg, 1.5mmol)をエタノール(15mL)に溶解させ、この溶液に(aR)-3-フォルミル-2-ヒドロキシ-2'-フェニル-1,1'-ビナフチル[H. Sasaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, T. Katsuki, Tetrahedron, 1997, 50(41), 11827に記載の方法にて合成](1.10g, 3.0mmol)を加えて60℃で10時間加熱する。反応溶液を室温まで冷却した後、生じた黄色沈澱をグラスフィルターでろ取し、エタノール(10mL)で洗浄する。ろ取した沈澱を60℃で5時間真空乾燥することにより、下記式(XI)で表される化合物(1.31g, 収率94%)を得る。得られた化合物のIR測定(KBr法)の結果は、3055, 3032, 1628, 1495, 1445, 1385, 1344, 1319, 1290, 1259, 1184, 1150, 1119, 1028, 943, 819, 756, 700, 544cm-1である。
【化9】

【0040】
(配位子合成例6)
(2S,4S)-ペンタンジオール[アルドリッチ](499mg, 3.84mmol)、塩化メタンスルホニル(1.49mL, 19.2mmol)及びトリエチルアミン(3.75mL, 26.9mmol)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン(30mL)に溶解させ、該溶液を室温で10時間撹拌した。次に、該混合溶液をジクロロメタンで抽出した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた化合物とアジ化ナトリウム(549mg, 8.45mmol)を窒素雰囲気下でジメチルホルムアミド(25mL)に溶解させ、該溶液を80℃で10時間撹拌した。次に、該混合溶液をエーテルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した後、ヘキサン/酢酸エチル(9/1)混合溶液を用いて、シリカゲルクロマトグラフ分離し、(2R,4R)-ペンタンジアジドを約300mg得る。
(2R,4R)-ペンタンジアジド(300mg, 2.0mmol)とパラジウム/炭素(32mg)を水素雰囲気下、エタノール(6.5mL)に溶解させ、該溶液を室温で10時間撹拌した。次に、該混合溶液をセライトでろ過し、エタノールで洗浄する。得られたろ液に(S)-3-フォルミル-2-ヒドロキシ-2'-フェニル-1,1'-ビナフチル[H. Sasaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, T. Katsuki, Tetrahedron, 1997, 50(41), 11827に記載の方法にて合成](1.29g, 3.5mmol)を加えて、室温で10時間撹拌する。生じた黄色沈澱をグラスフィルターでろ取し、エタノール(8.5mL)で洗浄する。ろ取した沈澱を60℃で5時間真空乾燥することにより、下記式(XII)で表される化合物(1.3g, 収率93%)を得る。得られた化合物のIR測定(KBr法)の結果は、3051, 2964, 2866, 1630, 1501, 1443, 1387, 1344, 1261, 1147, 1119, 1024, 941, 822, 754, 700cm-1である。
【化10】

【0041】
(実施例1)
ジメチル亜鉛(2.0Mのトルエン溶液150μL, 0.3mmol)及びフェニルアセチレン(32.9μL, 0.3mmol)を、窒素雰囲気下、ジクロロメタン/トルエン(300μL/150μL)混合溶液に溶解させ、該溶液を室温で1時間撹拌した。更に、該混合溶液に上記式(VII)の化合物(6.6mg, 8.0μmol)を加え、更に1時間撹拌した。次に、該混合溶液に、アセトフェノン(11.7μL, 0.1mmol)を加え、室温で更に2日間撹拌して、不斉付加反応を行った。その後、反応混合物に水2滴を加えて反応を停止させ、ジエチルエーテルで希釈した後、セライト及び硫酸ナトリウムを通過させた。次に、減圧下で溶媒を除去した後、ヘキサン/酢酸エチル(19/1)混合液を用いてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、対応するアルコール(16.5mg, 収率74%)を得た。得られたアルコールの鏡像体過剰率を、キラル固定相カラム(ダイセル・キラルセルOD-H)及びヘキサン/イソプロパノール(19/1)混合液を用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、80%eeであった。また、クロロホルム中での旋光性の符号は(−)であった。
【0042】
(実施例2)
ジクロロメタン/トルエン(300μL/150μL)混合溶媒に代えて、トルエン(450μL)溶媒を用い、実施例1と同様にしてフェニルアセチレンをアセトフェノンへ付加反応させた。結果を表1に示す。
【0043】
(実施例3〜7)
式(VII)の化合物に代えて、上記式(VIII)、式(IX)、式(X)、式(XI)又は式(XII)の化合物を配位子として用い、実施例1と同様にしてフェニルアセチレンをアセトフェノンへ付加反応させた。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1の実施例1及び3〜7に対応する反応式を下記に示す。
【化11】

【0046】
実施例1及び実施例2の比較から、トルエン溶媒中よりもジクロロメタン/トルエン混合溶媒中の方が、鏡像体過剰率が高いことが分る。また、実施例1、実施例3及び実施例4の結果から、ビナフチル骨格の2位の置換基は、種々の置換基に変更可能であることが分る。
【0047】
更に、実施例1及び実施例5の比較から、主生成物の立体配置が、ジアミンユニットの立体配置に左右され、ビナルチルユニットの立体配置が(R)の場合、ジアミンユニットの立体配置は、収率及び鏡像体過剰率の観点から、(R,R)よりも(S,S)であるのが好ましいことが分る。また、この結果は、ビナルチルユニットの立体配置が(S)の場合、ジアミンユニットの立体配置は、(S,S)よりも(R,R)であるのが好ましいことを示している。
【0048】
また更に、実施例1、実施例6及び実施例7から、サレン配位子のジアミンユニットを種々の構造に変更可能であるものの、ジアミンユニットの形成には1,2-シクロヘキサンジアミンを用いるのが最も好ましいことが分る。
【0049】
(実施例8〜13)
アセトフェノンに代えて、アセトフェノンのフェニル基を表2に示す有機基で置換したケトンを用いる以外は、実施例1と同様に行った。なお、実施例8、実施例11及び実施例13では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(49/1)混合液を用い、実施例9では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(99/1)混合液を用い、実施例12では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(97/3)混合液を用いた。これらの結果を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
表2の実施例8〜13に対応する反応式を下記に示す。
【化12】

【0052】
表2の結果から、本発明の方法が、種々のケトンに適用でき、該ケトンに対応する、光学活性な種々の第3級プロパルギルアルコール誘導体を製造できることが分る。また、ビナフチル骨格を有するサレン配位子のC3及びC3'とケトンのカルボニルの置換基との立体反発によって、Zn(サレン)錯体の亜鉛に結合するケトンの配向が決定されるものの、実施例11の結果から、メチル炭素と、メチレン炭素との立体反発に基づく違いを識別することが難しいことが分る。
【0053】
(実施例14〜16)
アセトフェノンに代えて、アセトフェノンのメチル基を表3に示す有機基で置換したケトンを用いる以外は、実施例1と同様に行った。なお、実施例14では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(24/1)混合液を用い、実施例15では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(19/1)混合液を用い、実施例16では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルパックAD-H及びヘキサン/イソプロパノール(19/1)混合液を用いた。これらの結果を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
表3の実施例14〜16に対応する反応式を下記に示す。
【化13】

【0056】
表3の結果からも、本発明の方法が、種々のケトンに適用でき、該ケトンに対応する、光学活性な種々の第3級プロパルギルアルコール誘導体を製造できることが分る。なお、チャン(Chan)らの報告では、アセトフェノンよりもプロピオフェノンを用いた方が、鏡像体過剰率が低下するとのことであったが、本発明の方法では、逆に鏡像体過剰率が上昇した。これらのことから、ビナフチル骨格を有するサレン配位子のC3及びC3'置換基とケトンのフェニル基とのπ-π相互作用が、反応のエナンチオ選択性に影響を及ぼしていることが分る。
【0057】
(実施例17〜20)
フェニルアセチレンに代えて、フェニルアセチレンのフェニル基を表4に示す有機基で置換した末端アルキンを用いる以外は、実施例13(ケトンとして3,3-ジメチル-2-ブタノンを使用)と同様に行った。なお、実施例17では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(199/1)混合液を用い、実施例18では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(24/1)混合液を用い、実施例19では、鏡像体過剰率の測定に、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(999/1)混合液を用い、実施例20では、生成物を対応する安息香酸エステルに変換した後、ダイセル・キラルセルOD-H及びヘキサン/イソプロパノール(1999/1)混合液を用いて鏡像体過剰率を測定した。これらの結果を表4に示す。
【0058】
【表4】

【0059】
表4の実施例17〜20に対応する反応式を下記に示す。
【化14】

【0060】
表4の結果から、本発明の方法が、種々の末端アルキンに適用でき、該末端アルキンに対応する、光学活性な種々の第3級プロパルギルアルコール誘導体を製造できることが分る。また、実施例17〜20の鏡像体過剰率がほぼ同等であることから、3,3-ジメチル-2-ブタノン(ピナコロン)のエナンチオ面の識別が、主にサレン配位子に支配されていることが分る。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の製造方法は、ケトン類をナンチオ選択的にアルキニル化して、光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体を製造するのに非常に有用である。また、本発明の製造方法で得られる光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体は、医農薬品の合成に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機亜鉛化合物と、ビナフチル骨格を有するサレン配位子とを用いて、ケトンに末端アルキンを不斉付加反応させることを特徴とする光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
【請求項2】
前記ビナフチル骨格を有するサレン配位子が下記式(I)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
【化1】


[式中、Aは、二価の有機基であり;R1は、それぞれ独立して水素又は一価の有機基である。]
【請求項3】
上記式(I)中のAが、炭素数4〜8のアルキレン基、炭素数5〜9のシクロアルキレン基、又は炭素数14〜30のアリールアルキレン基であり、R1が、それぞれ独立して炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする請求項2に記載の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
【請求項4】
上記式(I)で表されるサレン配位子が下記式(II)又は式(III)で表されることを特徴とする請求項3に記載の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
【化2】


【化3】


[式(II)及び式(III)において、R1は、それぞれ独立して水素又は一価の有機基である。]
【請求項5】
前記有機亜鉛化合物がジアルキル亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
【請求項6】
前記ケトンが下記式(IV)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
2−CO−R3 ・・・ (IV)
[式中、R2及びR3は、炭素数1〜10のアルキル基若しくは置換アルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基若しくは置換シクロアルキル基、炭素数6〜15のアリール基若しくは置換アリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基若しくは置換アラルキル基であり、互いに異なる。]
【請求項7】
前記末端アルキンが下記式(V)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
4−C≡CH ・・・ (V)
[式中、R4は、炭素数1〜10のアルキル基若しくは置換アルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基若しくは置換アルケニル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基若しくは置換シクロアルキル基、炭素数4〜15のシクロアルケニル基若しくは置換シクロアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基若しくは置換アリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基若しくは置換アラルキル基である。]
【請求項8】
前記第3級プロパルギルアルコール誘導体が下記式(VI)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。
【化4】


[式中、R2、R3及びR4は、上記と同義である。]
【請求項9】
(i)溶媒に、前記有機亜鉛化合物と前記末端アルキンとを加えてアルキニル亜鉛を生成させる工程と、
(ii)得られた混合液に前記ビナフチル骨格を有するサレン配位子を加えてZn(サレン)錯体を生成させる工程と、
(iii)得られた混合液に前記ケトンを加えてプロパルギルアルコール誘導体を生成させる工程と
からなる請求項1に記載の光学活性な第3級プロパルギルアルコール誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2006−8589(P2006−8589A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187631(P2004−187631)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】