説明

光学的にアイソトロピックな相を有する変調媒体を含む電気光学的光変調素子およびディスプレイ

本発明は、電気光学的光モジュレーション素子並びにこのような素子を含む電気光学的ディスプレイおよびディスプレイシステム、例えばテレビスクリーンおよびコンピューターモニターに関する。本発明の光モジュレーション素子は、光モジュレーション素子の動作の間、光学的にアイソトロピックな相にあるメソゲン性モジュレーション媒体を含む。良好なコントラスト、低い視野角依存性および極めて短い応答時間に加えて、比較的低い駆動電圧により区別される。本発明の電気光学的光モジュレーション素子は、電極構造およびメソゲン性モジュレーション素子の間に固体誘電体層を含む。本発明は同様に、電気光学的光モジュレーション素子で使用されるメソゲン性モジュレーション媒体に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、光変調素子およびこれを含むディスプレイに関する。光変調素子は、好ましくは、ある温度で異方性特性を有する変調媒体、例えば液晶を用いる。光変調素子は、変調媒体がアイソトロピックな相、好ましくはアイソトロピック相またはブルー相、特に好ましくはブルー相にある温度において動作する。このタイプのディスプレイは、DE 102 17 273.0および04.09.2002のDE 102 41 301.0(今まで未公開である本出願の出願人によるさらなる特許出願)に記載されている。
【0002】
本発明は、電気光学的光変調素子並びにこのような素子を含む電気光学的ディスプレイおよびディスプレイシステム、例えばテレビスクリーン、コンピューターモニターおよび同様なものに関する。本発明の光変調素子は、光変調素子の動作の間、アイソトロピックな相にあるメソゲン性変調媒体を含む。これらは、特に、良好なコントラストおよびコントラストの低い視野角依存性に加えて、比較的低動作電圧と同時に、特に動画、例えばテレビやモニター用などのディスプレイ用において、極めて短い応答時間により区別される。
特に、本発明は、電気光学的光変調素子並びに信頼性を向上するこのタイプの素子を含む電気光学ディスプレイおよびディスプレイシステムに関する。
【0003】
目的および従来技術
慣用の電気光学的液晶ディスプレイは、一般的用語において知られている。これらは、変調媒体が中間相、一般に光学的に異方性中間相にある温度で動作する。ほとんどのディスプレイタイプにおいて、変調媒体は、ネマティック相で使用される。中間相において、変調媒体は、すでに異方性特性、例えば複屈折(Δn)を有する。これら異方性特性は、電界が適用される場合にのみ誘発されるものではない。最も広範囲なのは、TN(「ねじれネマティック」)およびSTN(「超ねじれネマティック」)ディスプレイである。これらのディスプレイにおける液晶セルは、液晶媒体の2つの相対する側の基板上に電極を有する。電界は、このように液晶層に本質的に垂直である。最初に述べたディスプレイは、特に、例えばラップトップおよびノート型コンピューターにおける、大きい情報容量および高い解像度を有するディスプレイにアドレスするTFT(薄膜トランジスタ)との組み合わせにおいて用いられる。
【0004】
最近、特にデスクトップコンピューターモニターにおいて、IPS(面内切換、例えばDE 40 00 451およびEP 0 588 568)タイプまたは、あるいはまたVAN(垂直配向ネマティック)タイプの液晶ディスプレイが、ますます用いられている。VANディスプレイは、ECB(電気的に制御された複屈折)ディスプレイの変形である。MVA(マルチドメイン垂直配向)ディスプレイの現代的な変形において、複数のドメインが、アドレスされた電極により安定化されており、さらに特定の光学的補償層が、用いられている。これらのディスプレイは、すでに述べたTNディスプレイと同様に、液晶層に垂直な電界を用いる。これとは対照的に、IPSディスプレイは、一般的に、1つのみの基板上で、即ち液晶層の一方の側において、電極を用い、即ち、液晶層に平行な電界の有意な成分により特徴づけられる。
【0005】
これらの慣用的なディスプレイのすべての共通の特徴は、比較的遅い切換であり、これは、特に、ますます広範囲のTVおよびマルチメディア用途のためには不適切である。これは、事実上随所にある陰極線管と比較して、特に顕著である。液晶ディスプレイにおいて用いられる既知の電気光学的効果のさらなる欠点は、達成されたコントラストの顕著な視野角依存性である。ほとんどの場合において、これは、補償層、典型的にいくつかの場合に複雑な構造を有する異方性フィルムを、直接の視覚で動作するディスプレイのために用いなければならない程度に、大きい。
【0006】
未公開出願であるDE 10217273.0およびDE102 41 301.0には、メソゲン性変調媒体が、動作温度においてアイソトロピック相にある光変調素子が、記載されている。これらの光変調素子は、特に迅速に切り換えられ、コントラストの良好な視野角依存性を有する。しかし、広範な動作におけるこれらのディスプレイの信頼性は、いくつかの用途には不適切である。したがって、電気導電率はしばしば大きすぎる。TFTマトリックスでの駆動のためには、高い電圧保持比が必要となる。新規な光変調素子のいくつかにおいては、これは、貯蔵キャパシタの使用によってのみ達成されうる。
【0007】
しかし、これらは通常、アクティブ基板製造においてさらなる製造工程を要求し、一般に電気光学的効果に使用可能な領域の比率を低減する結果をもたらす。光変調素子を通じた頻繁な所望しない高電流フローは、低い電圧保持比および、したがって所望しないエネルギー消費をもたらす。さらにまた、電極構造の端で、特に角で所望しない効果が起こる。特に上昇した動作時間で、光変調素子のコントラストの欠陥をもたらしうるコントラストの変化が、起こる。記載された効果は、新規な変調ディスプレイの潜在的な使用を制限し、特に上昇した温度または電磁気放射、特に強い可視光またはUV光放射などの負荷の下では、対応するディスプレイの短い耐用年数をもたらす。
【0008】
変調媒体中の高極性化合物の低濃度化は、上記に記載した所望しない効果の減少をもたらし得る。新規な電気光学的変調素子は、高極性化合物の制限された使用においてさえも増加する、比較的高い駆動電圧を要求するため、一般に、この可能性は特に有利ではない。
【0009】
本発明は、低い視野角依存性を有し、特に低い駆動電圧を有する、特に迅速に切り換えられる光変調素子を開発する目的を有していた。これらの光変調素子は、数μmのオーダーで変調媒体の層厚を有するべきである。これらは、FPD(フラットパネルディスプレイ)、例えばコンピューター用のフラットパネルスクリーンにおける素子として用いることを意図する。光変調素子は、さらに、最も簡易な電極配置の手法でアドレス可能であるるべきであり、低動作電圧を有する。加えて、電気光学的ディスプレイでの使用において、これらは、低視野角依存性で良好なコントラストを有するべきであり、負荷の下および広い動作温度範囲でさえ、特にそれらの信頼性および耐用年数は、特に良好であるべきである。従って、要求は、特に信頼性が改善された、改善された光変調素子にある。
【0010】
本発明
驚異的なことに、動作温度において光学的にアイソトロピック相である、メソゲン性変調媒体を使用する光変調素子において、高い信頼性が得られ得ることが、見出された。
【0011】
本発明の電気光学的光変調素子は、
−1つの基板または複数の基板、
−電極装置、
−光の偏光のための少なくとも1つの素子または複数の素子および
−変調媒体
を含み、
−該光変調素子が、該変調媒体がアドレスされていない状態において光学的にアイソトロピックな相にある温度において動作し、
−該電極装置が、メソゲン性変調媒体の表面に平行な有意な成分を有する電界を生じることができ、
−該光変調素子が、電極装置とメソゲン性変調層の間に固体誘電体層を含む
ことを特徴とする。
【0012】
固体誘電体層は、一般に、絶縁体または大きな電気抵抗を有する類似の層である。変調媒体が光変調素子の動作温度である、光学的にアイソトロピックな相は、実際の(均一な)相、例えば、媒体のアイソトロピック相またはブルー相、あるいは不均一な、いわゆる明白な相、例えば、とても小さいのでシステムが光学的にアイソトロピックである小滴サイズを有するPDLC(ポリマー分散液晶)システムの媒体などであり得る。PDLCの代わりに、ポリマーネットワーク(ショート用PN)システムは、特有の構造が、そのシステムが光学的にアイソトロピックであるのに十分に小さいものである限り、液晶が連続相であることが、また可能である。この目的達成のために、PDLCにおいて、特有の構造の直径が、用いられる光の波長より好ましくは小さい。
【0013】
均一相を有する変調媒体の使用が好ましい。
本発明の好ましい態様において、光変調素子の変調媒体は、動作温度または動作温度の少なくとも1つでアイソトロピック相である。
【0014】
本発明のさらに好ましい態様では、光変調素子の変調媒体は、動作温度または動作温度の少なくとも1つでブルー相である。この態様において、動作温度範囲は、ブルー相上およびブルー相を超え、複数のブルー相が発生する場合は、その範囲およびアイソトロピック相を超えて広がりうる。
【0015】
対応する大きなキラルねじれを有する液晶は、1または2以上の光学的アイソトロピック中間相を有しうる。これらの相は、十分に大きい層厚中、対応するコレステリックピッチでわずかに青味がかって見える。このために、これらはブルー相として知られる(GrayおよびGoodby, "Smectic Liquid Crystals, Textures and Structures", Leonhaed Hill, USA, Canada(1984))。
【0016】
ブルー相における液晶の電界効果は、例えば、H. S. Kizerow, "The Effect of Electric Fields on Blue Phases", Mol. Cryst. Liq. Cryst, (1991), Vol. 202, pp.51-83に記載される。無電界液晶中で観察されうるデートを特定したブルー相(BP IからBP III)の3つのタイプを、ここでまた記載する。しかし、電界誘導複屈折を利用する電気光学的ディスプレイは記載されない。電界の影響下で、さらなるブルー相またはブルー相I、IIおよびIIIと異なる他の相が起こりうる。
【0017】
本発明の本質的な側面は、電極装置とメソゲン性変調相の間における固体誘電体層の存在、およびその設計にある。本発明の光変調素子の、電極装置とメソゲン性変調相の間の固体誘電体層は、既知の固体無機誘電体または高分子有機誘電体からなることができる。固体誘電体層は、電気的に絶縁層である。SiO、SiO、窒化ケイ素または炭化ケイ素または同様のものが層として好ましく、特にSiOまたはSiOが好ましい。
【0018】
該固体誘電体層を、既知の方法により、例えば、スパッタリングまたは蒸着により製造することができる。
アクティブマトリックスの電気的に非線形素子の層の1つ、例えば、TFTなどの層の製造中、接合プロセス工程で固体誘電体層を製造することがここで有利であり得る。特に、これらTFTの最上の層またはトップコートが、ここで可能である。しかし、慣用の平坦化層の使用もまた可能である。
【0019】
固体誘電体層の層厚は、パッシベーションの所望の効果を達成するために十分に大きくあるべきであるが、電気光学的効果のために効果的な電圧を過度に下げることを防止するために、非常に大きいものから選択されるべきではない。固体誘電体層の層厚は、好ましくはメソゲン性変調媒体の厚さの90%より大きくない。2nmから5μmの範囲、好ましくは10nm〜1μmおよび特に好ましくは50nm〜500nmの範囲の誘電体層の層厚は、特に好ましいと証明された。
【0020】
固体誘電体層を、光変調素子の表面全体にわたって連続的に広げることができる。しかし、いくつかの場合、有利に構築され、光変調素子の表面の一部のみに広がる。固体誘電体層は、電極構造の少なくとも一部を覆い、特に好ましくは、本質的に完全に覆い、特に負荷の下、コントラストの変化が一般に最初に観察される、電極の角および/または端を覆う。
【0021】
本発明の好ましい態様において、電極装置を、以下の4条件の少なくとも1つを満足するように設計する。
−変調層の面内で隣接の電気的導電層が、互いに10μm以下の分離を有する
−導電層または、電気的導電層が複数存在する場合、電極構造のこれらの層の1つが隆起するかまたは電極構造のこれらの層の複数が隆起する
−いずれの場合にも、互いに重なる2または3以上の層を含む電極構造は、電気的に導電性に互いに連結し、同時に誘電相によりそれらの表面の有意な一部にわたって互いに分離される
−電気的導電相または、電気的導電層が複数存在する場合、電極構造の導電層の1または2以上を、それぞれの下にある基板から固体誘電体層により分離する。
【0022】
低い駆動電圧、特に低い視野角依存性を有するこれらのディスプレイの良好なコントラストおよび非常に短い応答時間に加え、それらの信頼性は素晴らしい。
本発明を、以下に一層詳細に説明する。
【0023】
光変調素子において用いられる変調媒体は、好ましくは、メソゲン性媒体である。本出願において、メソゲン性媒体の用語は、中間相を有し、特に大きな程度にそれらの相範囲を狭めることなしに中間相に可溶であるかまたは中間相を誘導する媒体を意味する。中間相は、スメクティックまたはネマティック相、好ましくはネマティック相である。
【0024】
それ自体に中間相を有しない化合物、成分または媒体のメソゲン性特性を検査するために用いられる好ましい媒体は、Merck KGaA, Darmstadt, Germanyからのネマティック混合物ZLI−4792である。メソゲン性化合物、成分または媒体は、好ましくは、この混合物中の10%溶液から外挿して、−100℃以上、特に好ましくは−50℃以上および極めて特に好ましくは−20℃以上の透明点を有する。
本発明の光変調素子は、好ましくは、動作温度において光学的にアイソトロピックな相にあるメソゲン性媒体を含む。この媒体は、基板上または基板の下に有利に設置する。
【0025】
一般に、変調媒体は、2つの基板の間に設置する。この態様は好ましい。変調媒体を2つの基板の間に設置する場合、これらの基板の少なくとも1つが光を透過する。1または2以上の光透過基板は、たとえば、ガラス、石英またはプラスチックからなりうる。光不透過基板が使用される場合、これは、とりわけ金属または半導体からなりうる。これらの媒体を、そのように使用することができるか、または例えばセラミックなどの支持体上に設置することができる。変調媒体が高分子媒体である場合、第二の基板の使用は、望ましくは、除外することができる。高分子変調媒体を、自己支持形態中でさえ製造することができる。この場合、基板は全く必要とされない。
【0026】
光変調素子の動作温度は、好ましくは、変調媒体の光学的なアイソトロピック相への転移温度より高く、一般的にはこの転移温度の0.1℃〜50℃高温の範囲内、好ましくはこの転移温度の0.1℃〜10℃高温の範囲内および特に好ましくはこの転移温度の0.1℃〜5℃高温の範囲内である。
電圧の印加の際に、既知の方法で視覚化することができる光学遅延をもたらす配向が、光学的にアイソトロピックな相におけるメソゲン性媒体中で誘導される。不均一な電界を、好ましくは用いる。
【0027】
本発明の光変調素子は、光の偏光のための少なくとも1つの素子を含む。さらに、これらは、好ましくは、他の光学的素子を含む。この他の光学的素子は、光の偏光のための第2の素子、反射板またはトランスフレクター(transflector)のいずれかである。
光学的素子を、光が、光変調素子のメソゲン性媒体を通過する際に、少なくとも1つの偏光素子を、メソゲン性媒体に進入する前およびメソゲン性媒体から進出した後の両方に、少なくとも1回通過するように配置する。
【0028】
本発明の光変調素子の好ましい態様において、メソゲン性媒体を、2つの偏光板の間、即ち偏光板と検光子(analyser)との間に配置する。2つの線形偏光板を、好ましくは用いる。この態様において、偏光板の吸収軸は、好ましくは交差しており、好ましくは本質的に90°の角度を形成する。
本発明の光変調素子は、任意に、1つまたは2つ以上の複屈折層を含む。これは、好ましくは、1つのλ/4層または複数のλ/4層、好ましくは1つのλ/4層を含む。λ/4層の光学的遅延は、好ましくは約140nmである。
【0029】
メソゲン性変調媒体の層厚(d)は、好ましくは0.1μm〜5000μm(即ち5mm)、特に好ましくは0.5μm〜1000μm(即ち1mm)、特に好ましくは1.0μm〜100μmおよび極めて特に好ましくは3.0μm〜30μmおよび特に3.5μm〜20μmである。好ましい態様において、メソゲン性変調媒体の層厚は、好ましくは0.5μm〜50μm、特に好ましくは1.0μm〜20μmおよび極めて特に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。
【0030】
本発明はまた、本発明の1つまたは2つ以上の光変調素子を含む電気光学的ディスプレイに関する。これらの電気光学的ディスプレイは、好ましくは、アクティブマトリックスによりアドレスされる。
本発明はさらに、本発明の1つまたは2つ以上の電気光学的ディスプレイを含む電気光学的ディスプレイシステムに関する。これらの電気光学的ディスプレイシステムは、好ましくは、情報の表示のために、特に好ましくはテレビスクリーンまたはコンピューターモニターとして用いられる。表示されるべき情報は、好ましくはデジタル信号またはビデオ信号である。
【0031】
本発明の光変調素子は、さらに、1つまたは2つ以上の他の慣用の光学的素子、例えば複屈折層(例えば補償層)、拡散層並びに明るさおよび/または光収率および/または視野角依存性を増大させるための素子を含むことができ、このリストは決定的ではない。
本発明の光変調素子は、用いる偏光板の特性に高度に、および事実上主に依存する良好なコントラストを特徴とする。慣用のTNセルとの比較のために、用いたTNセルは、ここでは、0.50μmの光学的遅延、正のコントラストおよび隣接する基板におけるネマティック液晶の優先的な配向に垂直な偏光板の吸収軸を有し、キラルではない液晶を含む。同一の偏光板を、本発明の光変調素子およびこれらの慣用のTNセルにおいて用いる場合には、本発明の光変調素子のコントラストは、TNセルのコントラストよりも40%以上大きい。
【0032】
本発明の光変調素子のコントラストの視野角依存性は、極めて良好である。これは、既知のECBセルの視野角依存性よりも、顕著に良好である。これは、商業的に入手できるIPSディスプレイ(例えば共に日本の日立およびNECから)並びにMVAディスプレイ(例えば日本の富士通から)において観察される視野角依存性と一層類似する。これは、慣用のTNディスプレイの視野角依存性よりもはるかに低い。従って、本発明の光変調素子における所定のコントラスト比についてのイソコントラスト曲線は、一般的に、TNディスプレイにおける同一のコントラスト比についての対応するイソコントラスト曲線の2倍を超えて、しばしばさらに3倍を超えて大きい角度範囲を含む。
【0033】
本発明の光変調素子の応答時間は、極めて短い。これらは、一般的に、5ms以下、好ましくは1ms以下、好ましくは0.5ms以下、特に好ましくは0.1ms以下の値である。
異なるグレーシェードの間で切り換える際に、スイッチオフについての応答時間およびまた特に驚異的なことに、スイッチオンについての応答時間の両方が、用いる駆動電圧とは事実上独立していることが特に有利である。このことは、慣用の光変調素子、例えば液晶セル、例えばTNセルにまさる顕著な利点を示す。
【0034】
グレーシェードのアドレッシングに対する切り換え挙動を検査するために、本発明の光変調素子を、各々の場合において種々の駆動電圧に切り換えた。ここで選択された終点は、電気光学的特性線の特性電圧、例えばV10、V20、V30、・・・〜V90であった。次に、電圧を、所定の特性電圧から他の電圧に、例えばV10から電圧V90、V80、V70〜V20の各々に切り換え、戻した。次に、他の特性電圧を選択し、電圧を、これから、一層高い特性電圧の各々に、例えばV20から電圧V90、V80、V70〜V30の各々に切り替え、戻す等を行い、出発電圧V80に切り換え、出発電圧V80から、V90に切り換え、戻す。本発明の光変調素子において、それぞれの最大トランスミッション変化の90%に達するまでの新たな電圧のスイッチオンの時間からのスイッチオン時間は、第1の近似に、すべてのこれらの場合において、すべてのこれらの切り換え操作について同一である。
【0035】
本発明の電気光学的ディスプレイは、本発明の1種または2種以上の光変調素子を含む。好ましい態様において、これらは、アクティブマトリックスによりアドレスされる。
他の好ましい態様において、本発明の光変調素子は、いわゆる「電界連続モード」でアドレスされる。ここで、切換素子を、アドレッシングに同調して、異なる色の光で連続的に照射する。パルスされた着色光を得るために、例えばカラーホイール、ストロボスコープランプまたはフラッシュランプを、用いることができる。
【0036】
本発明の電気光学的ディスプレイは、特にこれらを、テレビスクリーン、コンピューターモニターなどのために用いる場合には、着色された画像を表示するための着色されたフィルターを含むことができる。この着色されたフィルターは、有利には、異なる色のフィルター素子のモザイクからなる。典型的に、色の着色フィルターモザイクの素子は、ここでは、各々の電気光学的切換素子に指定される。
【0037】
本発明の光変調素子は、基板に平行な、すなわち、メソゲン性媒体の層にまた平行な有意な成分を有する電界を生じる電極構造を含む。この電極構造を、インターデジタル電極の形態で設計することができる。これに関して、変調媒体の領域は、一般にディスプレイ領域に対応する変調媒体の主な拡張の領域を意味する。
使用される基板は、平面的な、または湾曲したものでありることができ、好ましくは平面的である。
【0038】
電極構造を、インターデジタル電極の形態中に設計できる。これを、くしまたははしごの形態で設計することができる。上にある「H」および二重の「T」または「I」の形態での態様がまた、有利である。電極構造は、有利には、メソゲン性媒体一方の側のみに設置し、少なくとも1つの基板を用いる際には、好ましくはこれとメソゲン性媒体との間のに設置する。電極構造は、好ましくは、共にメソゲン性変調媒体の一方の側上に設置する、少なくとも2つの異なる平面内に設置する;これは、特に、電極構造が上にある従属構造を含む場合に該当する。これらの従属構造は、有利には、互いに、誘電性層により分離される。従属構造を、絶縁層の反対側上に設置する場合には、キャパシタの作成を可能にするレイアウトを、選択することができる。これは、特に、アクティブマトリックスによるディスプレイのアドレッシングの場合において有利である。このタイプのアクティブマトリックスディスプレイは、個別の光変調素子、例えばTFTまたはMIM(金属絶縁体金属)ダイオードに指定される非線形電流/電圧特性線を有する駆動素子のマトリックスを用いる。
【0039】
本発明の他の側面は、本発明の電気光学的切換素子の電極構造の設計にある。種々の態様が、ここで可能である。本発明の光変調素子の電極の好ましい態様を、対応する図面を適切に参照して、以下に記載する。
メソゲン性変調材料を有する光変調素子の構造は、本明細書中で、図1を参照して簡潔に例示する。
【0040】
図面は、このタイプの切換素子または切換素子の一部の構造の断面を、図式的に示す。変調媒体(2)を、基板(1)および(1’)の内面の間に配置する。異なる電位を印加することができる電極構造の2つの電極(3)および(4)を、1つの基板(1)の内面上に設置する。「Vop」は、電圧、電荷または電流源を示す。Vopから発する線は、電極に対する電気的供給線を表す。
【0041】
電極は、透明な材料、例えば酸化スズインジウム(ITO)からなることができる。この場合、ブラックマスクにより、光変調素子の1または2以上の部分を覆うことが有利である、時には必要である。これにより、電界が有効でない領域を覆わないようにすることができ、したがってコントラストが改善される。しかし、電極はまた、非透過性材料、通常、金属、たとえば、クロム、アルミニウム、タンタル、銀または金、好ましくはクロムから構成できる。この場合、別個のブラックマスクの使用は、無用である。
使用する電界は、好ましくは不均一電界である。
【0042】
図2は、本発明の切換素子の構造またはこのタイプの切換素子の一部の構造の断面を、図式的に示す。変調媒体(2)を、図1で示す切換素子におけるように、基板(1)(電極構造の2つの電極(3)および(4)を有する)と基板(1’)の内面の間に設置する。しかし、ここで、固体誘電体層(5)を、基板(1)の内面上の電極(3)および(4)の上に設置する。
Vopから発する線は、また電極に対する電気的供給線を表す。
【0043】
電極構造の領域および固体誘電体層の割合と関連して、
−有意な部分は、好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上および極めて特に好ましくは40%以上を意味し、
−優勢な部分は、好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上および極めて特に好ましくは70%以上を意味し、
−事実上全体のは、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上および極めて特に好ましくは95%以上を意味し、
−全体のは、好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上および極めて特に好ましくは100%を意味する。
【0044】
本発明のメソゲン性媒体は、好ましくはネマティック相または特に好ましくはキラルネマティック相、すなわち、コレステリック相を有する。しかし、ネマティックまたはコレステリック相の温度範囲はとても狭いので、転移が、結晶相またはスメクティック相から光学的にアイソトエロピックな相に実質的に起こる媒体を、使用することもまた可能である。この光学的アイソトロピック相は、直接アイソトロピック相になり得る。しかし、温度上昇と共に最初にブルー相を有する媒体が、好ましい。
【0045】
ネマティック相を有するメソゲン性媒体の透明点は、好ましくは、−20℃〜80℃の範囲内、特に好ましくは0℃〜60℃の範囲内および極めて特に好ましくは20℃〜60℃の範囲内である。背面照射を有するディスプレイの場合において、透明点は、好ましくは、10℃〜70℃の範囲内および特に好ましくは30℃〜50℃の範囲内である。
ネマティック相は、好ましくは、−10℃まで、特に好ましくは−30℃までおよび極めて特に好ましくは−40℃まで安定である。
【0046】
本発明におけるメソゲン性媒体は、好ましくは、透明点よりも4度低い温度におけるネマティック相において、0.080以上の複屈折(Δn)を有する。複屈折の値は、本発明の用途について限定されない程度に良好である。しかし、実際的な点において、これは、一般的に、0.400以下、好ましくは0.300以下および特に好ましくは0.200以下である。本発明の媒体の複屈折の値を、ここで、透明点よりも4度低い温度におけるネマティック相において測定する。
【0047】
媒体が、この温度においてネマティック的に安定ではないか、または少なくともこの温度までネマティック相において過冷却可能ではない場合には、10%の媒体と、90%のMerck KGaAからのネマティック混合物ZLI−4792を含む混合物の複屈折を、20℃において決定し、ホスト混合物の値と比較した値の変化から純粋な媒体の値を外挿する。ZLI−4792への媒体の溶解性が10%より小さい場合、5%の溶液を例外的に用いる。ZLI−4792への媒体の溶解性が5%より小さい場合、Merck KGaAからのネマティック混合物MLC−6828を、ホスト混合物として用いる。ここでまた、標準濃度は10%であり、溶解性が対応する混合物の製造に不適当である場合にのみ、5%溶液を用いる。
【0048】
本発明の光変調素子について、中間相において正の誘電異方性(Δε)を有するメソゲン性変調媒体および、負の誘電異方性を有するメソゲン性変調媒体の両方を用いることが、可能である。好ましいのは、中間相において正の誘電異方性(Δε)を有するメソゲン性変調媒体を用いることである。
メソゲン性変調媒体が正の誘電異方性を有する場合、この値は、1kHzおよび、透明点よりも4℃低い温度、好ましくはネマティック相において、好ましくは40以上である。媒体が、ネマティック相を有しないか、またはこれが、透明点よりも4℃低い温度においてネマティック相にはない場合には、媒体の複屈折の決定の説明中に上記されるように、この誘電異方性は、ホスト混合物ZLI−4792またはMLC−6282における10%または5%の混合物の値の外挿により決定される。
本明細書において、他に明白な説明がない場合、以下の記載が適用される。
【0049】
化合物の誘電異方性Δεは、1kHz、20℃で、100%の各化合物の比率に対してホスト混合物中の各化合物の10%溶液の値を外挿することにより決定する。テスト混合物のキャパシタンスを、ホメオトロピックエッジ配向を有するセルおよびホモジニアスエッジ配向を有するセルの両方で決定する。2つのセルタイプの層厚は、約20μmである。測定を、1kHzの周波数を有する矩形波および典型的に0.03V(時にはまた0.1V)〜1.0Vの効果電圧(rms、二乗平均平方根)で行った。個々の場合、使用する電圧は、個々の場合に調査した混合物の容量性しきい値より低い。
【0050】
誘電的に正のおよび誘電的に中性の化合物については、共にMerck KGaA, Germanyから得られる、混合物ZLI−4792またはMLC−6828を、および誘電的に負の化合物については、混合物ZLI−3086を、ホスト混合物として、変調媒体用に上記に記載されるように用いる。
本出願におけるしきい値電圧の用語は、光学的しきい値を示し、10%の相対的コントラスト(V10)について示す。ミッドグレー(mid-grey)電圧および飽和電圧を、同様に、光学的に決定し、それぞれ50%および90%の相対的コントラストについて示す。またフレデリクスしきい値として知られている、容量性しきい値電圧(V)を示す場合には、これを、明白に述べる。
【0051】
値の示された範囲は、好ましくは限界値を含む。
濃度を、重量%で示し、完全な混合物を基準とする。温度を、摂氏度で示し、温度差異を、差異の摂氏度で示す。すべての物理的特性を、"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals", Version of Nov. 1997, Merck KGaA, Germanyにおけるように決定し、20℃の温度について示す。また複屈折として知られている光学異方性(Δn)を、589.3nmの波長において決定する。誘電異方性(Δε)を、1kHzの周波数において決定する。
【0052】
媒体またはこれらの成分の組成に関する詳細に関連して、
−「含む」は、上記のそれぞれの材料、即ち成分または化合物の、参照単位、即ち媒体または成分中での濃度が、好ましくは10%以上、特に好ましくは20%以上および極めて特に好ましくは30%以上であることを意味し、
−「優勢的に〜からなる」は、前述の材料の基準単位中での濃度が、好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上および極めて特に好ましくは70%以上であることを意味し、
−「事実上完全に〜からなる」は、前述の材料の基準単位中での濃度が、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上および極めて特に好ましくは95%以上であることを意味する。
【0053】
透明(clearing)エンタルピーを、示差熱走査熱量計で決定する。
電圧保持比を、商業的に入手可能なAutronic Melchers, GermanyのVHRM−100測定装置を用いて決定した。
セルを流れる電流フローを、商業的に入手可能なAutronic Melchers, GermanyのLCCS測定装置を用いて決定した。
【0054】
誘電特性、電気光学的特性(例えばしきい値電圧)および応答時間を、Merck KGaA, Darmstadt, Germanyにおいて生産された試験セル中で測定した。Δεを測定する試験セルは、22μmの層厚、1.13cmの面積を有する酸化スズインジウム(ITO)の円形電極および保護環を有した。εを測定するためのホメオトロピック配向のために、ホメオトロピックに配向したポリイミド配向層を有するセルを用いた。あるいはまた、レシチン(Merck KGaA)を、配向剤として用いることができる。εを測定するためのセルは、日本国日本合成ゴムからのポリイミドAL−1054の配向層を有した。キャパシタンスを、一般的に、矩形波および0.3Vrmsの有効電圧を有するソラトロン(Solatron)1260周波数分析装置を用いて測定した。電気光学的検査を、白色光を用いて行った。特性電圧を、垂直観察で測定した。
【0055】
光学的アイソトロピック相での媒体の誘電定数を、個々の媒体の光学的アイソトロピック相への転移温度より4℃高い温度で測定した。
媒体を、インターデジタル電極を有する試験セルに導入する。試験セルの層厚は、約10μmであった。電極幅は10μmで、隣接する電極との距離は10μmであった。電気光学的特性線を、個々の媒体の透明点より高い種々の温度で測定した。本出願の特性線の特性値は、70%相対的コントラストを、個々の媒体の透明点より2℃高い温度で達成する電圧(V70)の値である。
【0056】
本出願において、特に以下に記載する例において、化学的化合物の構造を、略語により示す。それぞれの略語の意味を、以下の表AおよびBに示す。すべての基C2n+1およびC2m+1は、それぞれn個およびm個のC原子を有する直鎖状アルキル基である。表Bは、各々の場合において相同性化合物の式についての完全な略語を示すため、これ自体自明である。表Aにおいて、化合物のタイプの核となる構造にかかわる略語のみを示す。それぞれの個別の化合物についての略語は、以下の表に示すように、それぞれ核の化合物についてのこれらの関連する略語および、ダッシュにより結合させた基R、R、LおよびLについての略語で構成されている。
【0057】
【表1】

【0058】
表A:
【化1】

【0059】
【化2】

【0060】
【化3】

【0061】
表B:
【化4】

【0062】
【化5】

【0063】
【化6】

【0064】
【化7】

【0065】
【化8】

【0066】
【化9】

【0067】
【化10】

【0068】
【化11】

【0069】
【化12】

【0070】
【化13】

【0071】
本出願によるメソゲン性媒体は、好ましくは、
−4種または5種以上、好ましくは6種または7種以上の、表AおよびBで表される化合物からなる群から選択された化合物および/または
−5種または6種以上の、表Bで表される化合物からなる群から選択された化合物および/または
−2種または3種以上の、表Aで表される化合物からなる群から選択された化合物
を含む。
【0072】

以下に記載する例は、本発明を、いかなる方法によってもこれを限定せずに例示する。これらはさらに、当業者に、本発明により達成することができる特性および特に特性の組み合わせを示す。
【0073】
比較例
以下の組成を有するメソゲン性混合物を製造し、調査する。
【表2】

【0074】
この液晶混合物を式
【化14】

で表されるフェノールの0.1%と混合し、コーティングがないインターデジタル電極を有するテストセルに導入する。セル内(Tc(N、I))の透明点は、23.0℃であった。セルの電気光学的特性を、透明点より2℃高い温度、すなわち、25.0℃で測定した。その後、その安定性を測定する。このために、約20℃の周辺温度での電圧保持比およびセルを流れる電流フローを測定する。
【0075】
使用した試験セルは、2つの基板の1つにのみインターデジタル電極を有した。液晶混合物を含む光切換素子を有する電気光学試験セルを、製造した。ガラスからなる基板であった。配向層およびパッシベーション層を有しない基板を、用いた。互いにかみ合うくし形の電極からなる電極構造であった。互いからの電極の距離は、10μmであり、および電極幅は10μmであった。電極の層厚は、約100nmであった。電極は全て、共有平面内に設置した。変調媒体の層厚は、約10.0μmであった。
【0076】
第一の偏光板を、セルの前で使用し、第二の偏光板をセルの後ろの検光子として使用した。2つの偏光板の吸収軸は互いに90°の角度を形成した。偏光板の最大吸収軸とディスプレイ平面内の電界成分との角度は、各場合において45°であった。電圧/トランスミッション特性線を、Autronic-Melchers, Karlsruhe, GermanyからのDMS703電気光学測定ステーションを用いて測定した。動作温度は、25℃であった。垂直観察の際に、曲線が、電気制御複屈折(例えばECB)を有するセルに典型的なものとして得られた。これらの結果を、また、以下の表(表1)に示す。
電圧保持比およびセルを流れる電流フローを、約20℃の周辺温度で測定する。ここで、個々の場合、3つの試験セルを調査し、得られた結果を平均する。結果を同様に表1に示す。
【0077】
表1:切換素子の特性
【表3】

【0078】

その中に使用する0.1%のフェノールを含む比較例の混合物を、本出願に教示による試験セルに導入し、比較例で記載するように、25.0℃の温度およびその電圧保持比で、この電気光学的特性に関して測定し、電力消費を20℃で測定する。試験セルは、比較例で使用するため、同じ構造および同じ電極構造を有するが、ここで、電極構造は、約200nmの厚さのSiO層により覆われている。このパッシベーション層は、電極空間を含む全電極構造を覆う。比較例におけるように、3つの試験セルを個々の場合において調査し、その結果の平均を示す。
【0079】
このようにして得られたセルは、55Vの電圧で10%の相対的コントラスト、98Vで70%の相対的コントラストを達成した。
これらの結果を、表1の比較例の結果と比較する。この表から分かるように、例1の液晶切換素子の特性電圧は、比較例の値と比較して、約2倍に増加する。しかし、同時に、電圧中のドロップ(1−電圧保持比)は、半分以上減少し、電力消費は1/5よりも小さい。
【0080】
図面の説明
図1:この図面は、インターデジタル電極を有する切換素子または切換素子の一部の構造の断面を、図式的に示す。変調媒体(2)を、基板(1)および(1’)の内面間に配置する。異なる電位を印加することができる、電極構造の2つの電極(3)および(4)を、1つの基板(1)の内面上に配置する。Vopは、電圧、電荷または電流源を示す。Vopから発する線は、電極に対する電気供給線を表す。
【0081】
図2は、本出願の教示する切換素子または切換素子の一部の構造の断面を、図式的に示す。電極は、図1に示す態様と同様のデザインを有する。しかし、電極(3)および(4)は、固体誘電体層(5)で覆われる。この層は、SiOからなり、約200nmの厚さを有する。電極(3)および(4)は、クロムからなり、約100nmの厚さを有する。
Vopから発する線は、図1のように電極に対する電気供給線を表す。
【0082】
図面中の参照符号の意味のリスト:
1:第1の基板の表面
1’:第2の基板の表面
2:変調層
3:第1の電位を印加することができる電極構造の導電性層
4:第2の電位を印加することができる電極構造の導電性層
5:固体誘電体層
Vop:電圧、電荷または電流源
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】切換素子または切換素子の一部の構造の断面を図式的に示す図である。
【図2】本発明の切換素子の構造またはこのタイプの切換素子の一部の構造の断面を、図式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−1つの基板または複数の基板、
−電極装置、
−光の偏光のための少なくとも1つの素子または複数の素子および
−変調媒体
を含む電気光学的光変調素子であって、
−該光変調素子が、該変調媒体がアドレスされていない状態において光学的にアイソトロピックな相にある温度において動作し、
−該電極装置が、メソゲン性変調媒体の表面に平行な有意な成分を有する電界を生じることができ、
−該光変調素子が、電極装置とメソゲン性変調層の間に固体誘電体層を含む
ことを特徴とする、電気光学的光変調素子。
【請求項2】
−固体誘電体層が、SiO、SiO、窒化ケイ素または炭化ケイ素または同様のものからなる
ことを特徴とする、請求項1に記載の光変調素子。
【請求項3】
−固体誘電体層が、電極構造の少なくとも一部を覆う
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の光変調素子。
【請求項4】
−固体誘電体層が、電極構造の角および/または端を本質的に完全に覆う
ことを特徴とする、請求項3に記載の光変調素子。
【請求項5】
−固体誘電体層が、電極構造を本質的に完全に覆う
ことを特徴とする、請求項3に記載の光変調素子。
【請求項6】
−電極構造の固体誘電体層が、メソゲン性変調層の層厚の90%以下の厚さである
ことを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の光変調素子。
【請求項7】
−変調媒体が、光変調素子の動作温度でブルー相である
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の光変調素子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の1つまたは2つ以上の光変調素子を含む、電気光学的ディスプレイ。
【請求項9】
ディスプレイが、アクティブマトリックスによりアドレスされていることを特徴とする、請求項8に記載の電気光学的ディスプレイ。
【請求項10】
請求項8または9に記載の1つまたは2つ以上の電気光学的ディスプレイを含む、電気光学的ディスプレイシステム。
【請求項11】
テレビスクリーン、コンピューターモニターまたは両方として用いることができることを特徴とする、請求項10に記載の電気光学的ディスプレイシステム。
【請求項12】
情報の表示のための、請求項1〜7のいずれかに記載の光変調素子の使用。
【請求項13】
電気光学的ディスプレイシステムにおける、請求項1〜7のいずれかに記載の光変調素子の使用。
【請求項14】
電気光学的ディスプレイシステムにおける、請求項8または9に記載の電気光学的ディスプレイの使用。
【請求項15】
ビデオ信号またはデジタル信号の表示のための、請求項10または11に記載の電気光学的ディスプレイシステムの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−505809(P2006−505809A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548820(P2004−548820)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012082
【国際公開番号】WO2004/042460
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】