説明

光学素子、粘着ラベル、転写箔、ラベル付き物品及び判別装置

【課題】より優れた偽造防止効果を実現する。
【解決手段】本発明の光学素子10は、一次元的又は二次元的に配列した複数の凹部又は凸部が200nm乃至500nmの中心間距離で設けられた界面部を一方の主面が含んだ光透過層と、前記界面部の少なくとも一部を被覆した単層構造の光透過性反射層とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカード、クレジットカード及びパスポートなどの認証物品並びに商品券及び株券などの有価証券には、偽造が困難であることが望まれる。そのため、従来から、そのような物品には、その偽造を抑止すべく、偽造又は模造が困難であると共に偽造品や模造品との区別が容易なラベルが貼り付けられている。そのようなラベルは、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
また、近年では、認証物品及び有価証券以外の物品についても、偽造品の流通が問題視されている。そのため、このような物品に、認証物品及び有価証券に関して上述した偽造防止技術を適用する機会が増えている。
【特許文献1】特開2005−91699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、偽造防止用のラベルとして使用する光学素子の多くには、偽造防止技術が適用されていることが観察者によって比較的悟られ易いという問題がある。偽造防止技術の適用が悟られると、光学素子が不正に複製又は変造される可能性が高くなる。即ち、優れた偽造防止効果を達成できない。
【0005】
そこで、本発明は、より優れた偽造防止効果を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によると、一次元的又は二次元的に配列した複数の凹部又は凸部が200nm乃至500nmの中心間距離で設けられた界面部を一方の主面が含んだ光透過層と、前記界面部の少なくとも一部を被覆した単層構造の光透過性反射層とを具備したことを特徴とする光学素子が提供される。
【0007】
本発明の第2側面によると、第1側面に係る光学素子と、前記光学素子上に設けられた粘着層とを具備したことを特徴とする粘着ラベルが提供される。
【0008】
本発明の第3側面によると、第1側面に係る光学素子と、前記光学素子を剥離可能に支持した支持体層とを具備したことを特徴とする転写箔が提供される。
【0009】
本発明の第4側面によると、第1側面に係る光学素子とこれを支持した物品とを具備したことを特徴とするラベル付き物品が提供される。
【0010】
本発明の第5側面によると、判別対象物を真正品と非真正品との間で判別するための判別装置であって、照明光を放射する光源と、光検出器と、前記光検出器の出力に応じた判別情報を出力する出力部とを具備し、前記出力部は、前記判別対象物の表面に対して垂直な第1平面に平行であり且つ前記第1表面の法線に対して傾いた第1方向から前記照明光を照射し、前記第1平面への正射影が前記第1平面内の角度範囲のうち前記法線に対して前記第1方向側の角度範囲として規定される負の角度範囲にある第2方向に前記判別対象物が射出する光を前記光検出器が検出する第1測定条件のもとで前記光検出器が光を検出しなかった場合に、前記判別情報として前記判別対象物が非真正品であることを表す情報を出力する第1動作と、前記第1測定条件のもとで前記光検出器が光を検出した場合に前記判別情報として前記判別対象物が真正品であることを表す情報を出力する第2動作との少なくとも一方を実行することを特徴とする判別装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、より優れた偽造防止効果を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、本発明の一態様に係る光学素子を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す光学素子のII−II線に沿った断面図である。
【0014】
この光学素子10は、光透過層100と単層構造の光透過性反射層200との積層体を含んでいる。図2に示す例では、光透過層100側を前面側とし且つ光透過性反射層200側を背面側としている。光透過層100と光透過性反射層200との界面は、第1界面部IAと第2界面部IBとを含んでいる。後述するように、第1界面部IAには、複数の凹部又は凸部が設けられている。これら凹部又は凸部は、光が照射されると、特定方向に回折光を射出する。また、第2界面部IBは、平坦面である。
【0015】
なお、以下において、光学素子10のうち第1界面部IAに対応した部分を第1部分10Aと呼び、光学素子10のうち第2界面部IBに対応した部分を第2部分10Bと呼ぶ。
【0016】
また、用語「光透過性」は、全光線透過率が80%以上であることを意味するものとする。なお、全光線透過率は、日本工業規格JIS K7361−1:1997(ISO13468−1:1996)「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」に準拠した測定値である。
【0017】
さらに、用語「透明」は、全光線透過率が85%以上であり且つヘーズ値が10%以下であることを意味するものとする。なお、ヘーズ値は、日本工業規格JIS K7136:2000(ISO14782:1999)「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準拠した測定値である。
【0018】
光透過層100は、典型的には、透明又はほぼ透明である。但し、光透過層100は、回折光の視認又は検出感度が不十分とならない範囲において、僅かな光散乱性を有していてもよい。
【0019】
光透過層100の材料としては、例えば、光透過性を有した樹脂を使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を使用すると、原版を用いた転写により、一方の主面に凹部又は凸部が設けられた光透過層100を容易に形成することができる。
【0020】
光透過性反射層200は、単層構造を有している。
【0021】
光透過性反射層200は、典型的には、透明又はほぼ透明である。光透過性反射層200は、回折光の視認又は検出感度が不十分とならない範囲において、僅かな光散乱性を有していてもよい。
【0022】
光透過性反射層200は、光透過層100とは異なる屈折率を有している。したがって、光透過性反射層200と光透過層100との界面は、光反射性を有している。
【0023】
光透過性反射層200の全光線透過率は、典型的には、80%以上とする。また、光透過層100と光透過性反射層200との界面における反射率は、典型的には、1.5%乃至20%の範囲内とする。
【0024】
光透過性反射層200は、例えば、無機物からなる。この無機物としては、例えば、金属、金属化合物又は非金属化合物を使用することができる。金属としては、例えば、アルミニウムを使用することができる。金属化合物としては、例えば、合金、酸化チタン及びアルミナなどの金属酸化物、硫化亜鉛などの金属硫化物、又は金属窒化物を使用することができる。非金属化合物としては、例えば、シリカなどの非金属酸化物を使用することができる。
【0025】
なお、この場合、光透過性反射層200は、例えば、上記無機物の蒸着により形成する。蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法又はイオンプレーティング法を使用することができる。
【0026】
光透過性反射層200の材料として、樹脂を使用してもよい。この場合、光透過性反射層200を無機物の蒸着等により形成する場合と比較して、より容易に光透過性反射層200を形成することができる。
【0027】
或いは、光透過性反射層200の材料として、樹脂中に粒状の無機物を均一に分散させたものを使用してもよい。この場合、樹脂中の無機物のサイズ及び密度等を調整することにより、光透過性反射層200の全光線透過率及び先の界面における反射率を最適化することができる。この無機物としては、例えば、先に挙げた材料を使用することができる。
【0028】
光透過性反射層200の屈折率は、典型的には、光透過層100の屈折率より約0.25以上小さくするか、又は、光透過層100の屈折率より約0.4以上大きくする。こうすると、光透過性層100と光透過性反射層200との界面における反射率が約2%以上となり、光学素子10における明るい表示が可能となる。
【0029】
金属及び合金などの光吸収率が大きな材料を使用する場合は、薄く成膜することにより、十分な全光線透過率を達成できる。光吸収率が大きな材料を使用する場合、光透過性反射層200の厚さは、例えば10nm乃至200nmの範囲内とする。他方、透明材料を使用する場合、光透過性反射層200の厚さは、例えば500nm乃至50μmの範囲内とする。
【0030】
上述した通り、光透過層100及び光透過性反射層200は、典型的には、透明又はほぼ透明である。即ち、光透過層100及び光透過性反射層200は、上記の凹部又は凸部から射出された回折光の視認又は検出に影響を与えるほど高い強度で散乱光を射出することはない。
【0031】
また、後に詳しく説明するように、第1界面部IAが含んだ凹部又は凸部は、小さな中心間距離で規則的に配列されている。そのため、第1界面部IAは、特定の方向及び角度にのみ回折光を射出し、それ以外の方向及び角度には回折光を射出しない。したがって、上記の回折光が視認又は検出されない条件下では、第1界面部IAを含んだ第1部分10Aは、平坦面である第2界面部IBを含んだ第2部分10Bとほぼ同様に観察される。即ち、この条件下では、第1部分10A及び第2部分10Bを互いから区別することは困難である。よって、この条件下では、光学素子10は、透明な保護層等の偽造防止以外の目的で設けられている層と区別することが困難である。そのため、第1界面部IAに凹部又は凸部が設けられていること、即ち、光学素子10に偽造防止技術が適用されていることは悟られ難い。
【0032】
なお、光透過性反射層200の代わりに光透過性を有していない反射層を使用した場合、第1部分10Aは、黒色又は灰色に見える。この場合、第1部分10Aと第2部分10Bとは、互いに区別され易い。したがって、第1界面部IAに凹部又は凸部が設けられていること、即ち、光学素子10に偽造防止技術が適用されていることが比較的悟られ易い。また、この場合、光学素子10及び光学素子10を支持する物品の意匠に制限が加わる場合がある。
【0033】
また、上述した通り、光透過性反射層200は、単層構造を有している。そのため、光学素子10は、光透過性反射層200が多層膜である場合と比較して、繰り返し反射干渉に起因した干渉光を生じ難い。即ち、光透過性反射層200は、第1界面部IAから射出される回折光の視認又は検出に悪影響を及ぼす干渉光を殆んど生じない。また、光透過性反射層200は、光学素子10及び光学素子10を支持する物品の意匠にも殆んど悪影響を与えない。
【0034】
なお、光学素子10は、印刷層を更に含んでいてもよい。この印刷層は、パターニングされていてもよく、パターニングされていなくてもよい。パターニングされた印刷層を使用する場合、当該印刷層は、例えば、光透過層100の前面側、光透過層100と光透過性反射層200との間、又は光透過性反射層200の背面側に形成する。パターニングされていない印刷層を使用する場合、当該印刷層は、典型的には、光透過性反射層200の背面側に形成する。
【0035】
これらの場合、光学素子10は、上述した回折光が視認又は検出されない条件下では、通常の印刷物と同様に見える。また、光学素子10が印刷層を含んでいない場合と比較して、第1部分10Aと第2部分10Bとの境界がより悟られ難く、両者の区別はより困難である。したがって、光学素子10に印刷層を設けることにより、第1界面部IAに凹部又は凸部が設けられていること、即ち、光学素子10に偽造防止技術が適用されていることを、より悟られ難くすることが可能となる。
【0036】
また、上述した通り、凹部又は凸部は、第1界面部IAに形成されている。したがって、凹部又は凸部が表面に露出している場合と比較して、その損傷を生じ難い。また、この場合、凹部又は凸部の複製がより困難となる。
【0037】
以下、第1界面部IAに採用可能な構造について説明する。先に述べた通り、第1界面部IAには、複数の凹部又は凸部が設けられている。
【0038】
なお、上述した通り、第2界面部IBは、平坦面である。第2界面部IBは、省略することができる。
【0039】
図3は、図1及び図2に示す光学素子の第1界面部に採用可能な構造の一例を拡大して示す斜視図である。図3に示す例では、凹部又は凸部RPは、二次元的に配列している。
【0040】
凹部又は凸部RPは、規則的に配列している。そのため、凹部又は凸部RPが設けられた第1界面部IAは、照明光を照射した際に回折光を射出することができる。凹部又は凸部RPは、例えば、正方格子、矩形格子又は三角格子をなしている。これら凹部又は凸部RPの配列を制御することにより、第1界面部IAから射出される回折光の射出角及び射出方向などを任意に調整することができる。図3には、一例として、凹部又は凸部の各々が、互いに直交するX方向及びY方向に二次元的に配列して正方格子をなしている場合を描いている。
【0041】
また、凹部又は凸部RPの各々は、種々の形状でありうる。
【0042】
例えば、凹部又は凸部RPの各々は、角錐、円錐及び半紡錘形状などの順テーパ形状であってもよい。この場合、凹部又は凸部RPに入射する光の少なくとも一部は、凹部又は凸部RPの表面において、複数回反射される。そして、これら各々の反射に際して、入射光の少なくとも一部は、凹部又は凸部RPの表面を透過し、凹部又は凸部RPに吸収されるか又はその背面側に位置した構造によって吸収される。したがって、この場合、上記の繰り返し反射に基づいて、第1界面部IAの反射率を低く抑えることが可能となる。
【0043】
或いは、凹部又は凸部RPの各々は、角柱形状及び円柱形状などの柱体形状であってもよい。この場合、凹部又は凸部RPの各々は、第2界面部IBに略平行な平坦面を有している。そのため、第1界面部IAにおける反射率と第2界面部IBにおける反射率との差異を低く抑えることができる。したがって、この場合、通常の観察条件のもとでの第1部分10Aと第2部分10Bとの区別がより困難となる。そのため、第1界面部IAに凹部又は凸部RPが含まれていること、即ち、光学素子10に偽造防止技術が施されていることを悟られ難くすることができる。
【0044】
このように、凹部又は凸部RPの各々の形状を適宜選択することにより、第1界面部IAの反射率等を適宜調整することができる。
【0045】
図4は、図1及び図2に示す光学素子の第1界面部に採用可能な構造の他の例を拡大して示す斜視図である。図4に示す例では、凹部又は凸部RPは、複数の溝が一次元的に配列したレリーフ型回折格子である。
【0046】
この場合には、これら複数の溝の格子定数、方位、及び深さなどを制御することにより、第1界面部IAから射出される回折光の射出角及び射出方向などを任意に調整することができる。
【0047】
なお、用語「回折格子」は、自然光などの照明光を照射することにより回折波を生じる構造を意味し、複数の溝を平行且つ等間隔に配置する通常の回折格子に加え、ホログラムに記録された干渉縞も包含することとする。
【0048】
凹部又は凸部RPは、200nm乃至500nmの中心間距離で配置されている。この場合、後述するように、第1界面部IAから射出される回折光を視認又は検出することによる真正品と非真正品との判別が比較的容易となる。
【0049】
また、凹部又は凸部RPの深さ又は高さは、光散乱を抑制するため、ほぼ一定とする。凹部又は凸部RPの深さ又は高さは、典型的には100nm以上とする。
【0050】
このように、第1界面部IAには、微細な構造が設けられている。そのため、完成した光学素子10から、第1界面部IAに設けられた構造を正確に解析することは比較的困難である。そして、例え完成した光学素子10から先の構造を解析できたとしても、この微細構造を含んだ光学素子の偽造又は模造は難しい。
【0051】
次に、この光学素子10の視覚効果について、さらに説明する。
【0052】
図5は、第1界面部が回折光を射出する様子を概略的に示す図である。図5において、L1は照明光を示し、L2は正反射光又は0次回折光を示し、L3は1次回折光を示している。
【0053】
第1界面部IAでは、凹部又は凸部RPが規則的に配列している。そのため、第1界面部IAを照明すると、入射光である照明光の進行方向に対して特定の方向に強い回折光が射出される。
【0054】
最も代表的な回折光は、1次回折光である。2次以上の高次の回折光は、1次回折光と比較して強度が著しく小さい。そのため、高次の回折光が視認及び検出に与える影響は、無視できる程度に軽微である。
【0055】
1次回折光の射出角βは、第1界面部IAの法線Nに平行な面内で光が進行する場合、下記(1)式から算出することができる。
【0056】
d=λ/(sinα−sinβ) …(1)
この(1)式において、dは凹部又は凸部RPの中心間距離を表し、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは、0次回折光、即ち透過光又は正反射光の射出角を表している。
【0057】
角度α及びβは、法線Nから時計回りの方向を正方向として定める。そして、法線Nを基準として−90゜乃至0゜の角度範囲を「負の角度範囲」と呼び、0゜乃至90゜の角度範囲を「正の角度範囲」と呼ぶ。また、射出角αは、正の角度範囲に属するとする。即ち、0゜<α<90゜であるとする。
【0058】
(1)式から明らかなように、1次回折光の射出角βは、波長λに応じて変化する。即ち、凹部又は凸部RPは、分光器としての機能を有している。したがって、照明光が白色光である場合、法線Nに平行な面内で観察角度を変化させると、観察者が視認する色が変化する。
【0059】
また、(1)式から分かるように、中心間距離dを入射光の波長λより小さくすると、任意の入射角−αに対して、射出角βを負の値とすることができる。即ち、この場合、入射光L1が負の角度範囲に属するときには、1次回折光L3も負の角度範囲に属する。したがって、以下に説明するように、第1界面部IAは正の角度範囲に可視光波長の1次回折光を射出しないか、又は、この角度範囲に射出する1次回折光を視感度が低い波長の光のみとすることができる。
【0060】
上述した通り、凹部又は凸部RPは、200nm乃至500nmの範囲内の中心間距離dで配置されている。
【0061】
まず、中心間距離dが可視光の最短波長以下である場合、例えば400nm以下である場合を考える。この場合、(1)式から明らかなように、任意の可視光波長λ及び角度αに対して、射出角βは負の値となる。即ち、第1界面部IAは、正の角度範囲には、可視光波長の1次回折光を射出しない。
【0062】
したがって、この場合、第1部分10Aを白色光下で観察しても、上記の正の角度範囲においては、1次回折光L3は視認されない。即ち、第1部分10Aを入射光L1の光源の側から観察したときに限って、第1界面部IAからの回折光L3が視認される。そのため、第1界面部IAに凹部又は凸部RPが設けられていること、即ち、第1界面部IAに偽造防止技術が適用されていることは悟られ難い。また、このように特定の角度及び方向に射出される回折光を視認又は検出することによって、光学素子の真正さを判別することができる。即ち、優れた偽造防止効果を達成できる。
【0063】
次に、中心間距離dが可視光の最短波長以上である場合、例えば400nm乃至500nmの範囲内である場合を考える。この場合、(1)式から明らかなように、500nmより短い波長の入射光に対しては、射出角βが正の値となる場合がある。しかしながら、この場合、射出される1次回折光L3は、500nmより短い波長の光のみ、即ち、視感度の低い青色光のみである。
【0064】
したがって、この場合、第1部分10Aを白色光下で観察しても、正の角度範囲においては、視感度が高い波長の回折光L3は視認されない。即ち、第1部分10Aを入射光L1の光源の側から観察したときに限って、視感度の高い回折光L3が視認される。そのため、上記の場合と同様に、第1界面部IAに偽造防止技術が適用されていることは悟られ難い。また、この視感度の高い回折光を視認又は検出することによって、光学素子の真正さの判別を比較的容易に行うことができる。即ち、この場合においても、優れた偽造防止効果を達成できる。
【0065】
光学素子10に表示させる像は、二次元的に配列した複数の画素で構成してもよい。この場合、これら画素間において、凹部又は凸部RPの形状、深さ又は高さ、中心間距離及び配置パターンの少なくとも1つを互いに異ならしめることにより、比較的複雑な像を表示することができる。
【0066】
図6は、マトリクス状に配列した複数の画素で表示面を構成した光学素子の一例を概略的に示す平面図である。
【0067】
この光学素子10では、マトリクス状に配列した25個の画素PX11乃至PX15、PX21乃至PX25、PX31乃至PX35、PX41乃至PX45、及びPX51乃至PX55で表示面を構成している。PX11乃至PX15、PX21、PX25、PX31、PX35、PX41、PX45、PX51乃至PX55は同一の構造を有しており、PX22、PX32乃至PX34及びPX42は同一の構造を有しており、PX23、PX24、PX43及びPX44は同一の構造を有している。そして、PX11乃至PX15、PX21、PX25、PX31、PX35、PX41、PX45、PX51乃至PX55からなる第1画素群と、PX22、PX32乃至PX34及びPX42からなる第2画素群と、PX23、PX24、PX43及びPX44からなる第3画素群とでは、各画素を構成している凹部又は凸部RPの構造が異なっている。
【0068】
図6には、一例として、第1画素群を構成する各画素は、正方格子状に配置された凹部又は凸部からなり、第2画素群を構成する各画素は、複数の溝からなるレリーフ型回折格子からなり、第3画素群を構成する各画素は、矩形格子状に配置された凹部又は凸部からなる場合を描いている。
【0069】
この場合、光学素子10の観察角度及び観察方向等に応じて、第1乃至第3画素群の各々で異なる色及び明るさの像を表示させることが可能となる。即ち、光学素子10において、より複雑且つ精細な画像を表示することが可能となり、その偽造防止効果を更に向上させることができる。
【0070】
図1乃至図6を参照しながら説明した光学素子10は、粘着ラベル及び転写箔等の一部として使用してもよい。
【0071】
図7は、本発明の一態様に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図である。
【0072】
粘着ラベル20は、光学素子10と、光学素子10上に設けられた接着層300とを備えている。図7には、一例として、図2に示す光学素子10の光透過性反射層200の背面上に接着層300が設けられている場合を示している。
【0073】
接着層300を設けると、光透過性反射層200の表面が露出しないようにできる。光透過性反射層200の表面の形状は、通常、光透過層100と光透過性反射層200との界面の形状とほぼ等しい。そのため、光学素子10を粘着ラベル20の一部として使用することにより、先の界面の凹部又は凸部の複製をより困難とすることができる。なお、光学素子10において、光透過層100側を背面側とし且つ光透過性反射層200側を前面側とする場合、接着層300は、光透過層100上に形成する。
【0074】
この粘着ラベル20は、例えば、真正さが確認されるべき物品に貼り付けるか、或いは、そのような物品に取り付けられるべきタグの基材などの他の物品に貼り付ける。これにより、当該物品に偽造防止効果を付与することができる。
【0075】
なお、光透過性反射層200にカッティングを入れたり、光学素子10と接着層300との間に脆性層を更に設けたりすることにより、粘着ラベル20に貼替え防止機能を付与することもできる。これにより、更に優れた偽造防止効果を達成できる。
【0076】
図8は、本発明の一態様に係る転写箔を概略的に示す断面図である。
【0077】
転写箔30は、光学素子10と、光学素子10を剥離可能に支持した支持体層400とを備えている。図8には、一例として、光透過層100及び支持体層400間に剥離保護層500が設けられ且つ光透過性反射層200の背面上に接着層600が設けられている場合を描いている。
【0078】
剥離保護層500は、転写箔30を被転写体に転写する際の支持体層400の剥離を容易にする役割を担っている。剥離保護層500の材料としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン又はニトロセルロースを使用することができる。剥離保護層500は、例えば、グラビアコーティング法及びマイクログラビアコーティング法などの公知の方法により形成することができる。
【0079】
接着層600は、例えば、熱を印加したときに粘着性を発現する感熱接着剤を含んでいる。感熱接着剤としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体などの熱可塑性樹脂を使用することができる。接着層600は、例えば、上述した樹脂を、グラビアコータ、マイクログラビアコータ及びロールコータなどのコータを用いて光透過層100上に塗布することにより得られる。
【0080】
この転写箔30は、例えば、ロール転写機又はホットスタンプによって、被転写体に転写される。この際、剥離保護層500において剥離を生じると共に、光学素子10が、被転写体に、接着層600を介して貼付される。
【0081】
図9は、偽造防止用又は識別用ラベルを物品に支持させてなるラベル付き物品の一例を概略的に示す平面図である。図9には、ラベル付き物品の一例として、印刷物40を描いている。
【0082】
この印刷物40は、磁気カードであって、基材41を含んでいる。基材41は、例えば、プラスチックからなる。基材41上には、印刷層42と帯状の磁気記録層43とが形成されている。さらに、基材41には、光学素子10が偽造防止用又は識別用ラベルとして貼りつけられている。なお、この光学素子10は、表示している像が異なること以外は、図1乃至図6等を参照しながら説明したのと同様の構造を有している。
【0083】
この印刷物40は、光学素子10を含んでいる。それゆえ、上記の通り、この印刷物40の偽造又は模造は困難である。また、この印刷物40は、光学素子10を含んでいるので、真正品であるかが不明の物品を真正品と非真正品との間で判別することも容易である。しかも、この印刷物40は、光学素子10に加えて、印刷層42をさらに含んでいるため、印刷層42の見え方と光学素子の見え方とを対比することが容易である。それゆえ、印刷物40が印刷層42を含んでいない場合と比較して、真正品であるかが不明の物品を真正品と非真正品との間で判別することがより容易である。
【0084】
なお、図9には、光学素子10を含んだ印刷物として磁気カードを例示しているが、光学素子10を含んだ印刷物は、これに限られない。例えば、光学素子10を含んだ印刷物は、無線カード、IC(integrated circuit)カード、ID(identification)カードなどの他のカードであってもよい。或いは、光学素子10を含んだ印刷物は、商品券及び株券などの有価証券であってもよい。或いは、光学素子10を含んだ印刷物は、真正品であることが確認されるべき物品に取り付けられるべきタグであってもよい。或いは、光学素子10を含んだ印刷物は、真正品であることが確認されるべき物品を収容する包装体又はその一部であってもよい。
【0085】
また、図9に示す印刷物40では、光学素子10を基材41に貼り付けているが、光学素子10は、他の方法で基材に支持させることができる。例えば、基材として紙を使用した場合、光学素子10を紙に漉き込み、光学素子10に対応した位置で紙を開口させてもよい。
【0086】
また、ラベル付き物品は、印刷物でなくてもよい。すなわち、印刷層を含んでいない物品に光学素子10を支持させてもよい。例えば、光学素子10は、美術品などの高級品に支持させてもよい。
【0087】
図10は、真正さが不明な物品を真正品と非真正品との間で判別するための判別装置の一例を示す概略図である。図11は、真正さが不明な物品を真正品と非真正品との間で判別するための判別装置の他の例を示す概略図である。
【0088】
この判別装置50は、図示しない支持台と、光源51と、光検出器52と、遮光部53と、出力部54とを含んでいる。なお、図10及び図11には、真正さを判別すべき物品として、光学素子10を含んだ判別対象物60を描いている。
【0089】
支持台は、判別対象物60を所定の位置に固定する役割を担っている。支持台は、判別対象物60の光学素子10の位置と光源51が放射する照明光の照射位置との位置合わせを行うための機構を更に備えていてもよい。この場合、真正品との非真正品との判別をより高い精度で行うことができる。
【0090】
なお、支持台は、省略してもよい。例えば、判別装置50は、判別対象物60に直接かざすことにより真正品と非真正品との判別を行うことができる手持ち式の装置であってもよい。
【0091】
光源51は、判別対象物60のうち、真正品であれば光学素子10が設けられているべき部分に照明光を放射する役割を担っている。光源51としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)光源、レーザ光源、ハロゲンランプ又はHID(High Intensity Discharge)ランプを使用することができる。
【0092】
但し、光源が放射する照明光の波長分散が大きいと、光学素子10からの回折光が射出される角度にばらつきが生じるため、その判別精度が低下するおそれがある。そのため、光源が放射する照明光は、単色光に近いことが好ましい。したがって、光源51としては、典型的には、LED光源又はレーザ光源を使用する。或いは、光学フィルタなどを併用することにより、照明光の単色化を行う。
【0093】
照明光として単色光を使用すると、その波長λに応じて、特定の射出角度及び射出方向にのみ回折光が射出される。この場合、典型的には、光源51から放射される照明光の波長λは、光学素子10が含んでいる凹部又は凸部RPの中心間距離dよりも大きくする。こうすると、上で図5を参照しながら説明したように、第1界面部IAから射出される回折光の射出角βを負の値に制限することができる。
【0094】
また、照明光は、平行光であることが望ましい。そのため、光源51からの光が発散光束である場合、レンズ及び/又はミラーを使用することにより、この光を平行光にすることが望ましい。こうすると、判別対象物60に均一な角度で照明光を放射できるため、回折光の射出角度及び射出方向も均一となり、その検出感度を向上させることができる。
【0095】
なお、図11に示すように、光源51として、複数の光源を使用してもよい。図11では、一例として、光源51が3種類の光源51A乃至51Cからなる場合を描いている。この場合、これら複数の光源として、例えば異なる波長の照明光を放射することができる光源を使用することにより、波長、射出角度及び射出方向などが互いに異なる複数の回折光を射出させることが可能となる。そして、これらを検出することにより、判別対象物60の真正さの判別をより高精度に行うことが可能となる。
【0096】
光検出器52は、光学素子10から射出された回折光を検出する役割を担っている。即ち、この光検出器52は、光源51から判別対象物60に対して照明光を放射した際に、上記の回折光が検出されたか否かの情報を出力部54に出力する役割を担っている。
【0097】
遮光部53は、光源51と光検出器52との間における光の漏れを遮る役割を担っている。遮光部53を設けることにより、光検出器52におけるノイズが減少し、判別対象物60の真正さの判別精度が向上する。なお、遮光部53は、省略してもよい。
【0098】
出力部54は、光検出器52の出力に応じた判別情報を出力する役割を担っている。出力部54は、例えば、光検出器52が光学素子10からの回折光を検出しなかった場合に、判別対象物60が非真正品であることを示す判別情報を出力する。或いは、光検出器52が光学素子10からの回折光を検出した場合に、判別対象物60が真正品であることを示す判別情報を出力する。この判別情報は、例えば、視覚的に、聴覚的に、又は振動等の触覚により、ユーザに伝達される。
【0099】
なお、判別装置50の内部は、外部から観察され難くしておくことが望ましい。こうすると、偽造を試みる者が光源51及び検出器52の配置等の情報を得ることが困難となり、光学素子10と判別装置50との組み合わせによる偽造防止効果をさらに向上させることができる。
【0100】
以下、判別装置50による真正さの判別のための動作について説明する。
【0101】
まず、第1の測定条件について説明する。
【0102】
図12は、第1の測定条件における光の進行方向の位置関係を示す概略図である。
【0103】
この測定条件では、判別対象物60に対して、光源51が放射する照明光を当該判別対象物60の表面の法線Nに対して傾いた方向から入射させる。
【0104】
ここで、上記照明光の光線Aと法線Nとにより規定される平面P1を考える。そして、この平面P1のうち、法線Nに対して光線A側の角度範囲を負の角度範囲として規定する。この場合、判別対象物60が光学素子10を含んでいれば、回折光の光線Dの平面P1への正射影D’は、上記負の角度範囲に含まれる。そこで、この第1の測定条件では、上記負の角度範囲のうち上記(1)式により定められる所定の射出角に射出される回折光の光線Dを光検出器52で検出する。
【0105】
第1の測定条件のもとで、出力部54は、例えば、以下の動作を行う。
【0106】
即ち、この測定条件のもとで光検出器52が光を検出しなかった場合には、出力部54は、判別対象物60が非真正品であることを示す判別情報を出力する。一方、同じ条件のもとで光検出器52が光を検出した場合には、出力部54は、判別対象物60が真正品であることを示す判別情報を出力する。なお、出力部54は、これら2つの動作の両方を実行してもよく、いずれか一方のみを実行してもよい。
【0107】
以上のように、判別装置50を用いると、判別対象物60が光学素子10を含んだ真正品であるか否かの判別を比較的容易に且つ高い精度で行うことができる。
【0108】
次に、第2の測定条件について説明する。
【0109】
図13は、第2の測定条件における光の進行方向の位置関係を示す概略図である。第2の測定条件は、典型的には、第1の測定条件において光検出器52が光を検出した場合において適用される。
【0110】
この測定条件においても、判別対象物60に対して、光源51が放射する照明光を当該判別対象物60の表面の法線Nに対して傾いた方向から入射させる。但し、照明光を放射する入射角は、第1の測定条件の場合と異なっていてもよい。
【0111】
ここで、第2の測定条件における照明光の光線Bと法線Nとにより規定される平面P2を考える。そして、この平面P2のうち、法線Nに対して光線B側の角度範囲とは逆の角度範囲を正の角度範囲として規定する。この場合、判別対象物60が光学素子10を含んでいれば、1次回折光の光線Eの平面P2への正射影E’は、上記正の角度範囲には含まれないはずである。そこで、この第2の測定条件では、この正の角度範囲に射出される光を光検出器52で検出する。
【0112】
第2の測定条件のもとで、出力部54は、例えば、以下の動作を行う。
【0113】
即ち、この測定条件のもとで光検出器52が光を検出した場合には、出力部54は、判別対象物60が非真正品であることを示す判別情報を出力する。一方、同じ条件のもとで光検出器52が光を検出しなかった場合には、出力部54は、判別対象物60が真正品であることを示す判別情報を出力する。なお、出力部54は、これら2つの動作の両方を実行してもよく、いずれか一方のみを実行してもよい。
【0114】
これら第1の測定条件と第2の測定条件とを組み合わせることにより、判別対象物60が真正品であるか非真正品であるかの判別を、より高い精度で行うことが可能となる。
【0115】
なお、上で説明した光学素子10は、偽造防止以外の目的で使用してもよい。例えば、光学素子10は、玩具、学習教材又は装飾品等としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の一態様に係る光学素子を概略的に示す平面図。
【図2】図1に示す光学素子のII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示す光学素子の第1界面部に採用可能な構造の一例を拡大して示す斜視図。
【図4】図1及び図2に示す光学素子の第1界面部に採用可能な構造の他の例を拡大して示す斜視図。
【図5】第1界面部が回折光を射出する様子を概略的に示す図。
【図6】マトリクス状に配列した複数の画素で表示面を構成した光学素子の一例を概略的に示す平面図。
【図7】本発明の一態様に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図。
【図8】本発明の一態様に係る転写箔を概略的に示す断面図。
【図9】偽造防止用又は識別用ラベルを物品に支持させてなるラベル付き物品の一例を概略的に示す平面図。
【図10】真正さが不明な物品を真正品と非真正品との間で判別するための判別装置の一例を示す概略図。
【図11】真正さが不明な物品を真正品と非真正品との間で判別するための判別装置の他の例を示す概略図。
【図12】第1の測定条件における光の進行方向の位置関係を示す概略図。
【図13】第2の測定条件における光の進行方向の位置関係を示す概略図。
【符号の説明】
【0117】
10…光学素子、20…粘着ラベル、30…転写箔、40…印刷物、41…基材、42…印刷層、43…磁気記録層、50…判別装置、51、51A、51B、51C…光源、52…光検出器、53…遮光部、54…出力部、60…判別対象物、100…光透過層、200…光透過性反射層、300…接着層、400…支持体層、500…剥離保護層、600…接着層、IA…第1界面部、IB…第2界面部、RP…凹部又は凸部、L1…照明光、L2…正反射光又は0次回折光、L3…1次回折光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次元的又は二次元的に配列した複数の凹部又は凸部が200nm乃至500nmの中心間距離で設けられた界面部を一方の主面が含んだ光透過層と、前記界面部の少なくとも一部を被覆した単層構造の光透過性反射層とを具備したことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記光透過性反射層は、無機物からなることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記界面部は複数の画素を配列してなり、前記複数の画素は、前記複数の凹部又は凸部の形状、深さ又は高さ、中心間距離及び配置パターンの少なくとも1つが互いに異なる2つ以上の画素を含んだことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学素子と、前記光学素子上に設けられた粘着層とを具備したことを特徴とする粘着ラベル。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学素子と、前記光学素子を剥離可能に支持した支持体層とを具備したことを特徴とする転写箔。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学素子とこれを支持した物品とを具備したことを特徴とするラベル付き物品。
【請求項7】
判別対象物を真正品と非真正品との間で判別するための判別装置であって、
照明光を放射する光源と、
光検出器と、
前記光検出器の出力に応じた判別情報を出力する出力部とを具備し、
前記出力部は、前記判別対象物の表面に対して垂直な第1平面に平行であり且つ前記表面の法線に対して傾いた第1方向から前記照明光を照射し、前記第1平面への正射影が前記第1平面内の角度範囲のうち前記法線に対して前記第1方向側の角度範囲として規定される負の角度範囲にある第2方向に前記判別対象物が射出する光を前記光検出器が検出する第1測定条件のもとで前記光検出器が光を検出しなかった場合に、前記判別情報として前記判別対象物が非真正品であることを表す情報を出力する第1動作と、前記第1測定条件のもとで前記光検出器が光を検出した場合に前記判別情報として前記判別対象物が真正品であることを表す情報を出力する第2動作との少なくとも一方を実行することを特徴とする判別装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記第1測定条件のもとで前記光検出器が光を検出した場合であって、前記表面に対して垂直な第2平面に平行であり且つ前記表面の法線に対して傾いた第3方向から前記照明光を照射し、前記第2平面への正射影が前記第2平面内の角度範囲のうち前記法線に対して前記第3方向側の角度範囲とは逆の角度範囲として規定される正の角度範囲にある第4方向に前記判別対象物が射出する光を前記光検出器が検出する第2測定条件のもとで前記光検出器が光を検出した場合に、前記判別情報として前記判別対象物が非真正品であることを表す情報を出力する第3動作と、前記第2測定条件のもとで前記光検出器が光を検出しなかった場合に前記判別情報として前記判別対象物が真正品であることを表す情報を出力する第4動作との少なくとも一方を更に実行することを特徴とする請求項7に記載の判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−276518(P2009−276518A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127082(P2008−127082)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】