光学素子およびその伝達関数を制御するためのプロセス
適用分野:光学。電子光学材料から構成され、あるいはさらなる層に埋め込まれたブラッグ位相格子(3)を備える光学素子。ブラッグ位相格子(3)は、光の伝搬に沿って周期的に適用された導波路(2)表面の一連の凸部(6)および凹部(7)として設計され、補償材料(8)の層および電気絶縁(9)材料の層で覆われている。位相格子(3)に、空間的に一様でない非周期の外部電界を生成する手段が備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学の物理的領域に関し、実際のところ、光放射のスペクトル・フィルタリングのための光学的な方法および設備に関する。これは、電気光学結晶を基盤とし、波長に対して幅広い波スペクトルの切り替えが可能な狭帯域のフィルタを生み出すために使用され、さらには選択的な光アッテネータおよび光変調器ならびに光イコライザの製造に使用される。
【0002】
背景技術
現在では、伝送されるべき情報の量が極度の増加を続けており、電気通信ネットワークのデータ伝送の増加を可能にする新規な技術の開発につながっている。最も未来志向のプロセスの1つは、信号を光ファイバを基礎とするデータ伝送ネットワークのチャネル内に凝縮させている(WDM‐波長分割多重化)。近い将来には、1530nm〜1600nmの等間隔の波長の生成にて、最大80にものぼるスペクトル・チャネルの伝送が、光ネットワークにおいて毎秒数テラビットの伝送速度の達成を可能にするであろう。
【0003】
WDMを実際に効果的に実現することは、スプリッタ、ルータ、フィルタ、変調器、増幅器、などといった多数の光学素子が利用可能である場合にのみ可能になるであろう。また、この新たな可能性の効果的な使用のために、光信号の制御および切り替えならびに整形を電子的な手段によって達成する必要がある。このように、例えば光スイッチおよび制御可能な光フィルタなど、制御付きの光学素子の役割が、ますます大きくなってきている。光放射のスペクトル・フィルタリングについて、公知のすべての方法は、固定であって光反射結晶に前もって書き込まれているブラッグ位相格子における放射の回折にもとづいている[G.A.Rakuljic、V.Leyvaの「Volume holographic narrow‐band optical filter」、Opt.Lett.、1993年、第18巻、第6号、459〜461頁]。ブラッグ位相格子について、体積型および導波型の設計の両者を使用することが可能である[J.Hukriede、I.Nee、D.Kip、E.Kraetzigの「Thermally fixed reflection gratings for infrared light in LiNbO3:Ti:Fe Channel waveguides」、Opt.Lett.、1998年、第23巻、第17号、1405〜1407頁]。
【0004】
実際のスペクトル・フィルタリングは、次のように行われる。位相格子のベクトルの方向に実質的に平行な方向の光ビームによって結晶が照らされると、光が、位相格子のブラッグ条件に一致する波長においてのみ反射し、反対の方向に反射される。残りの波スペクトルの光は、光学的に透明な結晶を不変のまま通過する。正確に言えば、特定の狭い波スペクトルの波長の光のみが、位相格子で反射される。光の中心波長λBは、以下の式
λB=2nΛ (1)
に一致し、ここで、nは、結晶の平均の屈折率であり、Λは、ブラッグ結晶格子の周期である。
【0005】
このようなフィルタのスペクトル選択性は、ブラッグ位相格子の長さに依存して決まり、以下の式
【数1】
【0006】
に一致する。ここで、dは、選択的に反射される光の波長帯であり、n1は、ブラッグ位相格子の屈折率の変化の大きさであり、Tは、位相格子の長さである。
【0007】
選択される波長λの変更のために、電界強度Eを有する電界を、光の放射の伝搬の方向を横切るように加えることができる[R.Muller、J.V.Alvarez‐Bravo、L.Arizmendi、J.M.Cabreraの「Tuning of photorefractive interference filters in LiNbO3」、J.Phys.D:Apll.Phys.、1994年、第27巻、1628〜1632頁]。線形な電気光学的効果(ポッケルス効果)ゆえ、光屈折結晶において、結晶の平均の屈折率nが、以下のように電界Eの電圧に依存して決まる。
【数2】
【0008】
ここで、Δnは、結晶の屈折率の変化であり、n0は、E=0という条件のもとでの結晶の平均屈折率であり、rは、実効電気光学係数であり、結晶軸に対する電界の方向に依存して決まる。
【0009】
電界強度Eを変更することで、フィルタリングされる放射の特定の波長λBが選択されるという点で、フィルタが切り替えられる。導波路型の設計が、電極間のきわめて小さい距離(10μm)のおかげで、比較的低い印加電圧で制御用の電界を生成できるようにする。
【0010】
狭帯域の光フィルタの機能を実行するホログラフィック光学素子が知られている[US005440669A]。この素子は、ブラッグ位相格子が書き込まれて固定された光屈折結晶で構成されている。この素子は、きわめて高いスペクトル選択性を有している(少なくとも10pmのスペクトル伝達関数の幅を有する幅フィルタを生み出すことが可能である)。この素子を、入力された程度の曲率を有する光の案内および複数の波面の同時のフィルタリングのために使用することができる。この公知のホログラフィック素子が光ファイバ・ネットワークにおいて使用される場合、体積型の設計および追加の平行光学系が必要である。これは、結果として、精密な調節を必要とする。これは、コストを劇的に高め、したがって大量生産に適していない。
【0011】
結晶への一定の電圧の印加によって空間的に一様な場が結晶に生成される、光屈折結晶におけるホログラフィック光学フィルタの電気的切り替えのプロセスが知られている[M.P.Petrov、V.M.Petrov、A.V.Chamrai、C.Denz、T.Tschudiの「Electrically controlled holographic optical filter」、Proc.27th Eur.Conf.on Opt.Comm.(ECOC‘01‐アムステルダム)、Th.F.3.4、628、629頁(2001年)]。印加電圧の変更および関連の電界強度Eの変化によって、フィルタリングされる放射の特定の波長λBが選択されるという点で、フィルタが再設計される。このプロセスの欠点は、使用される光屈折材料の電気光学係数が小さいために、きわめて高い制御電圧を使用する必要があるという点にある。さらなる欠点は、放電によって制限され、切り替えできる周波数帯が小さい点にあり、LiNbO3において最大1nmの大きさである。
【0012】
いくつかのブラッグ位相格子を異なる値の電界強度にて光屈折結晶の1つの同じ体積へと書き込むことからなる電気的多重化のプロセスも知られている[M. P. Petrov、S. I. Stepanov、A. A. Kamshilinの「Light diffraction from the volume holograms in electrooptic birefringent crystals」、Opt. Commun.、1979年、第29巻、44〜48頁]。このプロセスは、フィルタの電気的な再設計の波長帯を広げることを可能にできる。
【0013】
しかしながら、この方法が適用されるとき、切り替えられるスペクトル・チャネルの数(電気的に多重化されるホログラムの最大数によって決定される)および隣り合うチャネル間の距離に限界が存在する。この限界は、クロストークに関する現代のデータ伝送システムに対するきわめて高い要求ゆえに生じる。電気的な切り替えは、結晶へと書き込まれたすべての格子の中心波長の単純なシフトを生じさせる。格子の中心波長帯は、現在活性化されているスペクトル・チャネルの中心波長帯に対応する。残りの格子が、追加の雑音を同時に生じさせる。
【0014】
常誘電の光屈折材料を含む電気スイッチが知られており(WO00/02098)、少なくとも1つのホログラフィック格子が形成され、外部の電界を印加するために2つの電極が材料の対向する縁へと適用されている。
【0015】
しかしながら、このスイッチの場合には、相転移の付近で機能する常誘電相の結晶KLTNが使用されている。これは、この構造の温度の安定化の必要を大きく高め、動作温度範囲を制限する。
【0016】
現時点において、結晶KLTNを使用する高品質の導波路の製造のための方法は知られていない。このような理由により、電気ホログラフィの公知の方法にもとづく構造が、体積型の設計においてのみ製造可能であり、高い切り替え電圧および複雑な光学的チューニングの両者を必要とする。これは、長い切り替え時間につながる。
【0017】
光スイッチのプロセスも知られている(US004039249A)。このプロセスは、スクエアな電気光学的効果に基づいている。これは、常誘電の格子に書き込まれたホログラフィック格子の電気的な活性化を可能にする。アクティベーションは、結晶内のホログラフィック格子を構成する電界の空間的に変調された分布、および空間的に一様な外部電界の影響の相互作用によって生み出される。この公知のプロセスは、伝搬の方向について、波長に応じて、光の切り替えを可能にしている。
【0018】
しかしながら、この公知のプロセスは、高い切り替え電圧および複雑な光学的チューニングを必要とする。これは、長い切り替え時間につながる。
【0019】
[US005832148A]に記載の光学素子は、多数の基本的特性に関して、本出願の素子に近いコンポーネントである。電気光学材料の薄膜が適用された基板を基礎とし、電気光学材料の薄膜が、基板そのものよりも高い屈折率を有している。上部に位置する膜が、光導波路として使用される。この光学素子の改善において、特定の電気光学材料(LiNbO3)が基板として使用され、光導波路が、チタンイオンの中間層の拡散によって形成される。長く延びた電極が、電気光学層の表面へと適用され、制御用の電圧源が接続される。ブラッグ位相格子が、導波路層へと書き込まれる。
【0020】
このフィルタは、きわめて高いスペクトル選択性を有し、電気的にチューニングが可能な狭帯域の光フィルタの機能を果たす(10pm未満のスペクトル選択性を有するフィルタを生成できる)。導波路型の設計が、電極間の距離がきわめて短い(10μm)おかげで、比較的低い電圧で大きな電界強度の生成を可能にする。
【0021】
しかしながら、このようなフィルタのチューニングの可能性の波長帯は、破壊放電の電圧によって制限され、結晶LiNbO3にもとづくフィルタの場合には、1nmを超えない。
【0022】
原型[aaO]として説明され、電気光学材料の層表面に適用された電極へと電界を加える光フィルタの伝達関数の制御のためのさらなるプロセスが知られている。電気光学材料において、印加される制御電圧が、ブラッグ位相格子の波動ベクトルに沿って向けられた一様な電界強度を生成する。形成された電界が、電気光学材料の屈折率の変化を生じさせ、したがって導波路内の光の速度に変化を生じさせる。これが、特定の波長について、ブラッグ位相格子によって反射される光の光強度の変化をもたらす。
【0023】
しかしながら、このようなフィルタのチューニングの可能性の波長は、破壊放電の電圧によって制限され、結晶LiNbCO3に基づくフィルタの場合には、1nmを超えない。
【0024】
発明の概要
本発明の目的は、一方では、多機能な使用(チューニング可能な光フィルタ、選択的な光アッテネータおよび変調器、光スイッチ、ならびに光イコライザ)を有する一体的な光学設計の光学素子であって、高いスペクトル選択性を有し、幅広い波長帯のチューニング可能性を有し、大きなダイナミクスを有し、かつクロストークの傾向が少ない光学素子を製造することにある。本発明のさらなる目的は、上述の素子の制御のためのプロセスであって、伝達関数のプロファイル、伝達関数の最大値の位置、選択されるチャネルの数、および位相歪みの補償を電気的に制御することを、比較的低い制御電圧を使用しつつ、高いチューニングの可能性および切り替えの速度にて行うことができるプロセスを開発することにある。この目的は、1つの共通の意図によって相関している多数の発明によって解決される。
【0025】
すなわち、上記目的が、光学素子がブラッグ位相格子が形成されている電気光学材料へと適用されるという事実によって解決される。格子が、光放射の伝搬の方向に沿った格子の全長の少なくとも一部分に一様でない非周期の外部電界を生成する手段を有している。
【0026】
ブラッグ位相格子を、電気光学材料の光導波路に、光の伝搬の方向に周期的に適用された導波路表面の凸部および凹部の形態で形成できる。ブラッグ位相格子を、電気光学材料の光導波路に、光の伝搬の方向に周期的に適用された導波路表面の凸部および凹部の形態で形成できる。さらに、屈折率が基板の屈折率に一致する材料の層を、格子の表面に適用することができるが、この材料の屈折率は、ベースの屈折率から最大40%まで外れていてもよい。
【0027】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側に位置する2つの電極を適用することによって生成できる。
【0028】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側に位置する2つの電極を適用することによって生成できる。2つの電極の間の距離が、放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で変化している。
【0029】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側にペアにて位置する4つの互いに絶縁された個々の電極によって生成できる。
【0030】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側にペアにて位置する4つの互いに絶縁された個々の電極によって生成できる。それぞれの電極ペアの間の距離が、放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で増加または減少している。
【0031】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側に配置され、光の放射の方向に沿った上述の格子の種々の点において電界強度を制御するように意図された少なくとも3つの互いに絶縁された電極を適用することによって生成できる。この構成は、例えば、N個の上述の電極にて実現でき、電極の数Nは、以下の式
N 2D/d (4)
から導出され、ここで、Dは、フィルタの電気的再設計の波長帯である。
【0032】
また、上記の目的は、ブラッグ位相格子が形成された電気光学材料を基盤とするフィルタであって、ブラッグ位相格子が、光放射の伝搬の方向に沿った格子の長さの少なくとも一部分に空間的に一様でない非周期の外部電界を生成するための手段を有しているフィルタの伝達関数のプロファイルの制御が、空間的に一様でない非周期の外部電界を格子の少なくとも一部分に作用させ、光放射の回折に最大変調までの変化を生じさせることによって行われるという事実によっても解決できる。空間的に一様でない非周期の外部電界の作用のもとで、上述の格子の一部分の電界強度のベクトルの方向を、格子の他の部分の電界強度のベクトルの方向と反対の方向に形成できる。
【0033】
本発明の目的は、電気光学材料に生成されたブラッグ格子の回折を、材料内に電界の非一様な分布を生成することによって制御することにある。
【0034】
この制御プロセスの実現において、光の放射を格子のベクトルに沿って導入する(結合させる)ことができ、回折ゆえに上述の格子にて反射される光放射および光学結晶を通って案内される光放射が同時に認識される。
【0035】
また、制御電圧を、導波路型の設計を使用することで、フィルタリングの対象である光放射が光学結晶に生成された導波路内に分布し、伝達関数の速度が大幅に高められるおかげで、大幅に下げることができる。
【0036】
光の伝搬の方向に非周期的に適用された導波路表面の凸部および凹部で構成されるブラッグ位相格子の回折効率を、大きく向上させることができる。これは、屈折率が基板の屈折率に一致する光学材料のさらなる層を、格子へと適用することによって行われるが、この材料の屈折率が、ベースの屈折率から最大40%まで外れていてもよい。
【0037】
また、破壊放電の量を大きく増加(拡大)させることができ、結果として、チューニング可能な波長帯の量を顕著に大きくすることができる。これは、すべての電極の間のすべての空間を満たす電気的に絶縁可能な材料のさらなる層を使用することによって行われ、これによって破壊放電の電圧が大幅に高められ、結果として電極へと加えられる電圧を高めることができるようになる。
【0038】
公知のプロセスとちょうど同じように、フィルタリング対象の放射の回折が、結晶に特定の強度の電界を形成し、結晶の屈折率を変化させることによって制御される。本出願のプロセスの1つの特別な特徴は、放射の伝搬の方向の電界が非一様である点にある。
【0039】
必要とされる空間分布の電界を結晶に生成することで、光学素子に必要とされ、光学素子の多機能の性質をもたらす伝達関数を生成できる。
【0040】
すなわち、放射の伝搬の方向に沿って均一的に変更された外部電界が使用される場合には、格子の回折効率を、ほとんどゼロまで大幅に低下させることができる。
【0041】
電気的にスペクトル選択を行う光スイッチを、この考え方にもとづいて生成できる。制御の電気光学的性質ゆえに、このようなスイッチの切り替えの速度はきわめて高速であり、10〜100GHzにもなりうる。
【0042】
非一様性の度合いが変更されるとき、ブラッグ位相格子の回折効率を制御することができる。この場合、そのような素子は、電気的に制御される選択的な光変調器として機能する。
【0043】
さらに、ブラッグ位相格子の伝達関数のプロファイルを、電気的に制御することができる。反射の状態から前方伝導の状態への伝達関数の再構成を、例として挙げることができる。この再構成は、格子の2つの同一な半分において、格子の両方の半分によって反射される光波についてpに等しい位相の移動を生成する電界が加えられるという事実のおかげで達成できる。
【0044】
本出願の光学素子は、スペクトル・チャネルの数が可変である汎用の光スイッチとして機能することができる。形成されるブラッグ位相格子の特定の数が、非一様な電界中に位置し、したがって回折が存在しない。一様な電界が、他の位相格子へと加えられる。このため、それらには回折が存在する。この状況は、選択されたスペクトル・チャネルの反射を可能にする。
【0045】
また、本出願の光学素子は、電気的に制御される光イコライザとしても機能できる。この場合、個々の要素格子のそれぞれの回折効率が、外部電界の空間的な非一様性の程度によって定められる。
【0046】
さらに、本出願の光学素子は、幅広い波長帯を有する狭帯域の光フィルタとして機能することができる。
【0047】
また、本出願の光学素子は、光のスペクトルの分散の補償器として機能することができる。
【0048】
以下の図が、本発明の目的を説明している。
【0049】
発明の実施の形態
本出願の光学素子は、電気光学材料で作られたpcボード1を含んでおり、pcボード1に光導波路2を形成することができる(図2を参照)。LiNbO3、KNbO3、BaTiO3、またはSBNなどの結晶を、電気光学材料として使用することができる。ブラッグ位相格子3を、pcボード1の実際の材料および光導波路2の両方に使用することができる。格子3を、光の伝搬の方向において周期的に適用された導波路表面の凸部6および凹部7の両者の形態で生成できる(図7、8を参照)。導波路の周期的な凸部および凹部の上方には、或る材料からなる補償層8が適用されている。この層を、例えばTiO2またはSiO2で構成することができる。
【0050】
格子3の両側には、空間的に一様でない非周期の外部電界を生成するための手段が、コンタクト5を介して電圧U1、U2、U3、・・・、UNが印加される電極4の形態で位置している(電極4の数および構成に応じ、印加される電圧の振幅が同一でも、異なっていてもよく、それらの極性が異なっていても、同一であってもよい)。
【0051】
電極の表面、補償材料の表面、基礎の残りの表面、および電極間の残りの空間は、電気絶縁材料9で満たされている。この材料層を、エポキシ樹脂または高い電気抵抗の係数を有する任意の他のプラスチック材料で構成できる。空間的に一様でない非周期の外部電界を、異なる形状を有する電極4によって生成することができる。すなわち、例えば、互いの間隔が放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で変化する2つの電極(図2を参照)によって、異なる電圧U1、U2、U3が作用する3つの矩形の電極(図5を参照)によって、形状の異なる4つの電極(図3、4を参照)によって、異なる電圧U1、U2、U3、・・・、U8が作用する8つの矩形の電極(図6を参照)によって、以下の対応:N 2D/dを有するN個の電極によって、空間的に一様でない非周期の外部電界を生成することができる。上述の例は、電極の数およびそれらの構成の選択を制限するものではない。
【0052】
本出願の光学素子の伝達関数は、以下のように制御される。
【0053】
必要な電界強度の電圧の分布が、電気光学材料1の内部に生成される。
【0054】
必要な電界強度の電圧の分布を、電圧U1、U2が作用する電極4の幾何学的形状によって生成することができる。図2が、空間的に一様でない非周期の電界を生成するための電極の構成の例を示している。電界の非一様性が、電極間の距離の変化によって決定されている。図9が、図2に示した電極の構成について、電界強度の分布を示している。電界および関連の勾配について可能な最大の大きさは、破壊放電Ebdの量によって決定される。
【0055】
図4は、一様でない電界を生成するシステムを、電極間の距離が変化している2つの電極ペアの形態で生成することによって、電界強度の勾配を大きくできる可能性を示している。電圧U1、U2が、それぞれの電極ペアに作用し、それぞれ逆の極性を有している。この電極の構成に対応する電気光学材料内の電界強度の分布が、図10に示されている。空間的に一様でない非周期の電界を生成するための手段であって、コンタクトを介して電圧Uが作用するN個の電極の形態である手段によれば、電気光学材料においてさまざまな電界強度の分布を生成することができ、特に重要なことには、電界強度の分布の依存の性質を、印加電圧の振幅を変化させることによって変えることができる。
【0056】
同じ電圧U1が、導波路の一方の側の電極へと加えられ、同じ電圧U2が、導波路の他方の側に位置する電極へと加えられるとき、電気光学材料に空間的に一様な電界が生成される(図12を参照)。このような電界は、ブラッグ位相格子の伝達関数(図11を参照)の移動を、形状を変えることなくもたらす(図13)。中心波長の移動の量は、生成される電界強度によって決定される。電界E0が、伝達関数の幅dに沿った中心波長の移動に相当する(図13の曲線c)。加えられる電界の極性が、中心波長の移動の方向を決定する。加えられる一様な電界Ebdおよび−Ebdに対応する伝達関数の中心波長の間の距離Dが、中心波長のチューニングの可能性の全波長範囲である。このような空間的に一様な電界は、光学素子の原型(図1を参照)において生成される。非一様な電界の空間的分布の最も単純な方法を、以下で説明する。ここでは、格子の2つの半分に、振幅に関して同一であるが、極性において相違する電界が作用する(図14、16を参照)。このような電界強度の分布は、図5に示した電極のシステムによって、U1=0、U2=−U3であるときに生成できる。ブラッグ位相格子が、中心波長が移動した2つの格子へと分割される。波長の移動の量が、伝達関数の幅dよりもはるかに大きい場合、格子の2つの半分によって反射された光の放射の加算において、位相の条件を無視することができる。この場合、光学素子の伝達関数は、ブラッグ位相格子の2つの半分の伝達関数の加算へと変化する。この場合の伝達関数が、図17に示されている。
【0057】
格子の個々の半分へと作用する電界強度の相違の結果として、反射される光放射の位相にpに相当する差が生じる場合(図14を参照)が、きわめて重要である。格子の振幅が小さい場合(n1/n0<<Λ/T)Ep/2=E0のとき、中心波長は、伝達関数の幅dによってのみ相違する。格子の個々の半分によって反射される中心波長の振幅が、コヒーレントに加えられ、すなわち位相が考慮される。この場合、伝達関数の中央に極小が生成される(図15を参照)。この場合、光学素子は、中心周波数を反射させる代わりに、通過を許す。この例は、「反射」状態から「通過」状態への伝達関数の電気光学的制御の可能性を明らかに指摘している。
【0058】
図18が、ブラッグ位相格子が8つの部分へと分割された場合の電界強度の空間分布を示している。このような電界の分布は、図6に示したような電極のシステムによって生成できる。この場合、印加電圧の間に以下の条件、すなわちU1=U8、U2=U7、U3=U6、U4=U5が実現される。光が、中心波長が移動した相互に別個独立である格子の8つの部分において屈折する。これは、追加の反射係数の低減およびスペクトル選択性の低減につながり、すなわちフィルタの伝達関数の打ち消しにつながる(図19を参照)。一様な電界が加えられる格子のセグメントの長さを短くすることで、追加の反射係数のさらなる低減およびスペクトル選択性の低減につながる。空間的に一様でない非周期の外部電界を生成するための手段が、N個の電極で構成される場合、格子のN/2個の部分に別個独立した電界を生成できる(2つの電極が、格子のそれぞれの部分において導波路の両側に位置するため)。
【0059】
電極の最適な数は、比N 2D/dから選択され、すなわち回折の効果的な打ち消し(追加の反射係数の低減およびスペクトル選択性の低減)のために選択され、格子をN/2個の独立した部分へと分割することが必要である。数Nは、必要な選択チャネルの数によって決定される。
【0060】
以上、光学素子の伝達関数の性質を、空間的に一様でない外部電界の印加の助けによってどのように変更できるのかを示した。追加の反射係数の低減およびスペクトル選択性の低減によるブラッグ格子の回折の打ち消しの例も示した。この光学素子の伝達関数の制御のプロセスを、狭帯域の光フィルタ、光アッテネータ、光変調器、および位相分散の補償器に使用することができる。しかしながら、上述した例は、伝達関数の制御について考えられる適用分野を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】2つの電極を有する光学素子の原型を示している(U1およびU2が、電極へと加えられる電圧を表わしており、補償層および絶縁材料層は図示されていない)。
【図2】2つの電極を有する光学素子を示している。2つの電極の間の間隔が、放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で減少している。
【図3】4つの電極を有する光学素子を示している。
【図4】4つの電極を有する光学素子を示している。電極のそれぞれのペアの間の間隔が、放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で減少している。
【図5】3つの電極を有する光学素子を示している。
【図6】8つの電極を有する光学素子を示している。
【図7】光学素子の長手断面を示している。ブラッグ位相格子が、導波路表面に周期的に適用された一連の凸部および凹部として設計され、補償材料の層および電気絶縁材料の層で覆われている(hが、導波路の高さであり、Δhが、凹部と凸部との間の高さの差である)。この断面は、導波路に沿って(ABC平面内を)延びている。
【図8】上述の光学素子の横断面を示している。この断面は、導波路の軸を横切って(DEF平面内を)延びている。
【図9】図2に示したような素子上の電極配置について、放射の伝搬の方向に沿った座標に対する電界強度Eの依存性を示している。
【図10】図4に示したような素子上の電極配置について、放射の伝搬の方向に沿った座標に対する電界強度Eの依存性を示している。
【図11】ブラッグ位相格子の反射係数のスペクトル特性を示している(λは、光放射の波長であり、λBは、反射される光放射の中心波長であり、dは、ブラッグ位相格子の伝達関数の幅である)。
【図12】光学素子の原型を示しており、外部の一様な電界Eが印加されている位相格子が示されている(Ebdは、光フィルタの破壊放電が生じる電界強度であり、−Ebdは、逆の極性の電界強度であり、E0は、反射される放射の中心波長をブラッグ位相格子の伝達関数の幅dの大きさで変更すべく機能する電界強度であり、Tは、位相格子の長さである)。
【図13】加えられる外部の電界強度の大きさに対する光学素子のスペクトル特性の依存性を示している(aは、電界なしであり、bは、E=−Ebdの場合であり、cは、E=E0の場合であり、dは、E=Ebdの場合である)。
【図14】光学素子へと加えられる空間的に一様でない外部電界の変種の1つを示している(Ep/2は、格子の第1の半分における電界強度であって、p/2に等しい光放射の追加の位相差を生み、−Ep/2は、格子の第2の半分における電界強度であって、−p/2に等しい光放射の追加の位相差を生む)。
【図15】図14に挙げた電界が素子へと加えられる場合の素子の伝達関数を示している(実線が、外部電界が存在しない場合であり、破線が、外部電界が存在する場合である)。
【図16】光学素子へと加えられる空間的に一様でない外部電界について考えられるさらなる変種を示している(Ebdは、格子の第1の半分における電界強度であり、−Ebdは、格子の第2の半分における電界強度である)。
【図17】図16に挙げた電界がフィルタへと加えられる場合の素子の伝達関数を示している(実線が、外部電界が存在しない場合であり、破線が、外部電界が存在する場合である)。
【図18】光学素子へと加えられる空間的に一様でない外部電界について考えられるさらなる変種を示している(Ebdは、格子の最初の8分の1における電界強度であって、光学素子の破壊放電が生じる電界強度であり、−Ebdは、格子の最後の8分の1における反対の極性の電界強度である)。
【図19】図18に挙げた電界がフィルタへと加えられる場合の素子の伝達関数を示している(実線が、外部電界が存在しない場合であり、破線が、外部電界が存在する場合である)。
【符号の説明】
【0062】
1 pcボード
2 光導波路
3 ブラッグ位相格子
4 電極
5 コンタクト
6 凸部
7 凹部
8 或る材料の補償層
9 電気絶縁材料
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学の物理的領域に関し、実際のところ、光放射のスペクトル・フィルタリングのための光学的な方法および設備に関する。これは、電気光学結晶を基盤とし、波長に対して幅広い波スペクトルの切り替えが可能な狭帯域のフィルタを生み出すために使用され、さらには選択的な光アッテネータおよび光変調器ならびに光イコライザの製造に使用される。
【0002】
背景技術
現在では、伝送されるべき情報の量が極度の増加を続けており、電気通信ネットワークのデータ伝送の増加を可能にする新規な技術の開発につながっている。最も未来志向のプロセスの1つは、信号を光ファイバを基礎とするデータ伝送ネットワークのチャネル内に凝縮させている(WDM‐波長分割多重化)。近い将来には、1530nm〜1600nmの等間隔の波長の生成にて、最大80にものぼるスペクトル・チャネルの伝送が、光ネットワークにおいて毎秒数テラビットの伝送速度の達成を可能にするであろう。
【0003】
WDMを実際に効果的に実現することは、スプリッタ、ルータ、フィルタ、変調器、増幅器、などといった多数の光学素子が利用可能である場合にのみ可能になるであろう。また、この新たな可能性の効果的な使用のために、光信号の制御および切り替えならびに整形を電子的な手段によって達成する必要がある。このように、例えば光スイッチおよび制御可能な光フィルタなど、制御付きの光学素子の役割が、ますます大きくなってきている。光放射のスペクトル・フィルタリングについて、公知のすべての方法は、固定であって光反射結晶に前もって書き込まれているブラッグ位相格子における放射の回折にもとづいている[G.A.Rakuljic、V.Leyvaの「Volume holographic narrow‐band optical filter」、Opt.Lett.、1993年、第18巻、第6号、459〜461頁]。ブラッグ位相格子について、体積型および導波型の設計の両者を使用することが可能である[J.Hukriede、I.Nee、D.Kip、E.Kraetzigの「Thermally fixed reflection gratings for infrared light in LiNbO3:Ti:Fe Channel waveguides」、Opt.Lett.、1998年、第23巻、第17号、1405〜1407頁]。
【0004】
実際のスペクトル・フィルタリングは、次のように行われる。位相格子のベクトルの方向に実質的に平行な方向の光ビームによって結晶が照らされると、光が、位相格子のブラッグ条件に一致する波長においてのみ反射し、反対の方向に反射される。残りの波スペクトルの光は、光学的に透明な結晶を不変のまま通過する。正確に言えば、特定の狭い波スペクトルの波長の光のみが、位相格子で反射される。光の中心波長λBは、以下の式
λB=2nΛ (1)
に一致し、ここで、nは、結晶の平均の屈折率であり、Λは、ブラッグ結晶格子の周期である。
【0005】
このようなフィルタのスペクトル選択性は、ブラッグ位相格子の長さに依存して決まり、以下の式
【数1】
【0006】
に一致する。ここで、dは、選択的に反射される光の波長帯であり、n1は、ブラッグ位相格子の屈折率の変化の大きさであり、Tは、位相格子の長さである。
【0007】
選択される波長λの変更のために、電界強度Eを有する電界を、光の放射の伝搬の方向を横切るように加えることができる[R.Muller、J.V.Alvarez‐Bravo、L.Arizmendi、J.M.Cabreraの「Tuning of photorefractive interference filters in LiNbO3」、J.Phys.D:Apll.Phys.、1994年、第27巻、1628〜1632頁]。線形な電気光学的効果(ポッケルス効果)ゆえ、光屈折結晶において、結晶の平均の屈折率nが、以下のように電界Eの電圧に依存して決まる。
【数2】
【0008】
ここで、Δnは、結晶の屈折率の変化であり、n0は、E=0という条件のもとでの結晶の平均屈折率であり、rは、実効電気光学係数であり、結晶軸に対する電界の方向に依存して決まる。
【0009】
電界強度Eを変更することで、フィルタリングされる放射の特定の波長λBが選択されるという点で、フィルタが切り替えられる。導波路型の設計が、電極間のきわめて小さい距離(10μm)のおかげで、比較的低い印加電圧で制御用の電界を生成できるようにする。
【0010】
狭帯域の光フィルタの機能を実行するホログラフィック光学素子が知られている[US005440669A]。この素子は、ブラッグ位相格子が書き込まれて固定された光屈折結晶で構成されている。この素子は、きわめて高いスペクトル選択性を有している(少なくとも10pmのスペクトル伝達関数の幅を有する幅フィルタを生み出すことが可能である)。この素子を、入力された程度の曲率を有する光の案内および複数の波面の同時のフィルタリングのために使用することができる。この公知のホログラフィック素子が光ファイバ・ネットワークにおいて使用される場合、体積型の設計および追加の平行光学系が必要である。これは、結果として、精密な調節を必要とする。これは、コストを劇的に高め、したがって大量生産に適していない。
【0011】
結晶への一定の電圧の印加によって空間的に一様な場が結晶に生成される、光屈折結晶におけるホログラフィック光学フィルタの電気的切り替えのプロセスが知られている[M.P.Petrov、V.M.Petrov、A.V.Chamrai、C.Denz、T.Tschudiの「Electrically controlled holographic optical filter」、Proc.27th Eur.Conf.on Opt.Comm.(ECOC‘01‐アムステルダム)、Th.F.3.4、628、629頁(2001年)]。印加電圧の変更および関連の電界強度Eの変化によって、フィルタリングされる放射の特定の波長λBが選択されるという点で、フィルタが再設計される。このプロセスの欠点は、使用される光屈折材料の電気光学係数が小さいために、きわめて高い制御電圧を使用する必要があるという点にある。さらなる欠点は、放電によって制限され、切り替えできる周波数帯が小さい点にあり、LiNbO3において最大1nmの大きさである。
【0012】
いくつかのブラッグ位相格子を異なる値の電界強度にて光屈折結晶の1つの同じ体積へと書き込むことからなる電気的多重化のプロセスも知られている[M. P. Petrov、S. I. Stepanov、A. A. Kamshilinの「Light diffraction from the volume holograms in electrooptic birefringent crystals」、Opt. Commun.、1979年、第29巻、44〜48頁]。このプロセスは、フィルタの電気的な再設計の波長帯を広げることを可能にできる。
【0013】
しかしながら、この方法が適用されるとき、切り替えられるスペクトル・チャネルの数(電気的に多重化されるホログラムの最大数によって決定される)および隣り合うチャネル間の距離に限界が存在する。この限界は、クロストークに関する現代のデータ伝送システムに対するきわめて高い要求ゆえに生じる。電気的な切り替えは、結晶へと書き込まれたすべての格子の中心波長の単純なシフトを生じさせる。格子の中心波長帯は、現在活性化されているスペクトル・チャネルの中心波長帯に対応する。残りの格子が、追加の雑音を同時に生じさせる。
【0014】
常誘電の光屈折材料を含む電気スイッチが知られており(WO00/02098)、少なくとも1つのホログラフィック格子が形成され、外部の電界を印加するために2つの電極が材料の対向する縁へと適用されている。
【0015】
しかしながら、このスイッチの場合には、相転移の付近で機能する常誘電相の結晶KLTNが使用されている。これは、この構造の温度の安定化の必要を大きく高め、動作温度範囲を制限する。
【0016】
現時点において、結晶KLTNを使用する高品質の導波路の製造のための方法は知られていない。このような理由により、電気ホログラフィの公知の方法にもとづく構造が、体積型の設計においてのみ製造可能であり、高い切り替え電圧および複雑な光学的チューニングの両者を必要とする。これは、長い切り替え時間につながる。
【0017】
光スイッチのプロセスも知られている(US004039249A)。このプロセスは、スクエアな電気光学的効果に基づいている。これは、常誘電の格子に書き込まれたホログラフィック格子の電気的な活性化を可能にする。アクティベーションは、結晶内のホログラフィック格子を構成する電界の空間的に変調された分布、および空間的に一様な外部電界の影響の相互作用によって生み出される。この公知のプロセスは、伝搬の方向について、波長に応じて、光の切り替えを可能にしている。
【0018】
しかしながら、この公知のプロセスは、高い切り替え電圧および複雑な光学的チューニングを必要とする。これは、長い切り替え時間につながる。
【0019】
[US005832148A]に記載の光学素子は、多数の基本的特性に関して、本出願の素子に近いコンポーネントである。電気光学材料の薄膜が適用された基板を基礎とし、電気光学材料の薄膜が、基板そのものよりも高い屈折率を有している。上部に位置する膜が、光導波路として使用される。この光学素子の改善において、特定の電気光学材料(LiNbO3)が基板として使用され、光導波路が、チタンイオンの中間層の拡散によって形成される。長く延びた電極が、電気光学層の表面へと適用され、制御用の電圧源が接続される。ブラッグ位相格子が、導波路層へと書き込まれる。
【0020】
このフィルタは、きわめて高いスペクトル選択性を有し、電気的にチューニングが可能な狭帯域の光フィルタの機能を果たす(10pm未満のスペクトル選択性を有するフィルタを生成できる)。導波路型の設計が、電極間の距離がきわめて短い(10μm)おかげで、比較的低い電圧で大きな電界強度の生成を可能にする。
【0021】
しかしながら、このようなフィルタのチューニングの可能性の波長帯は、破壊放電の電圧によって制限され、結晶LiNbO3にもとづくフィルタの場合には、1nmを超えない。
【0022】
原型[aaO]として説明され、電気光学材料の層表面に適用された電極へと電界を加える光フィルタの伝達関数の制御のためのさらなるプロセスが知られている。電気光学材料において、印加される制御電圧が、ブラッグ位相格子の波動ベクトルに沿って向けられた一様な電界強度を生成する。形成された電界が、電気光学材料の屈折率の変化を生じさせ、したがって導波路内の光の速度に変化を生じさせる。これが、特定の波長について、ブラッグ位相格子によって反射される光の光強度の変化をもたらす。
【0023】
しかしながら、このようなフィルタのチューニングの可能性の波長は、破壊放電の電圧によって制限され、結晶LiNbCO3に基づくフィルタの場合には、1nmを超えない。
【0024】
発明の概要
本発明の目的は、一方では、多機能な使用(チューニング可能な光フィルタ、選択的な光アッテネータおよび変調器、光スイッチ、ならびに光イコライザ)を有する一体的な光学設計の光学素子であって、高いスペクトル選択性を有し、幅広い波長帯のチューニング可能性を有し、大きなダイナミクスを有し、かつクロストークの傾向が少ない光学素子を製造することにある。本発明のさらなる目的は、上述の素子の制御のためのプロセスであって、伝達関数のプロファイル、伝達関数の最大値の位置、選択されるチャネルの数、および位相歪みの補償を電気的に制御することを、比較的低い制御電圧を使用しつつ、高いチューニングの可能性および切り替えの速度にて行うことができるプロセスを開発することにある。この目的は、1つの共通の意図によって相関している多数の発明によって解決される。
【0025】
すなわち、上記目的が、光学素子がブラッグ位相格子が形成されている電気光学材料へと適用されるという事実によって解決される。格子が、光放射の伝搬の方向に沿った格子の全長の少なくとも一部分に一様でない非周期の外部電界を生成する手段を有している。
【0026】
ブラッグ位相格子を、電気光学材料の光導波路に、光の伝搬の方向に周期的に適用された導波路表面の凸部および凹部の形態で形成できる。ブラッグ位相格子を、電気光学材料の光導波路に、光の伝搬の方向に周期的に適用された導波路表面の凸部および凹部の形態で形成できる。さらに、屈折率が基板の屈折率に一致する材料の層を、格子の表面に適用することができるが、この材料の屈折率は、ベースの屈折率から最大40%まで外れていてもよい。
【0027】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側に位置する2つの電極を適用することによって生成できる。
【0028】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側に位置する2つの電極を適用することによって生成できる。2つの電極の間の距離が、放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で変化している。
【0029】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側にペアにて位置する4つの互いに絶縁された個々の電極によって生成できる。
【0030】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側にペアにて位置する4つの互いに絶縁された個々の電極によって生成できる。それぞれの電極ペアの間の距離が、放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で増加または減少している。
【0031】
空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段を、上述の格子の両側に配置され、光の放射の方向に沿った上述の格子の種々の点において電界強度を制御するように意図された少なくとも3つの互いに絶縁された電極を適用することによって生成できる。この構成は、例えば、N個の上述の電極にて実現でき、電極の数Nは、以下の式
N 2D/d (4)
から導出され、ここで、Dは、フィルタの電気的再設計の波長帯である。
【0032】
また、上記の目的は、ブラッグ位相格子が形成された電気光学材料を基盤とするフィルタであって、ブラッグ位相格子が、光放射の伝搬の方向に沿った格子の長さの少なくとも一部分に空間的に一様でない非周期の外部電界を生成するための手段を有しているフィルタの伝達関数のプロファイルの制御が、空間的に一様でない非周期の外部電界を格子の少なくとも一部分に作用させ、光放射の回折に最大変調までの変化を生じさせることによって行われるという事実によっても解決できる。空間的に一様でない非周期の外部電界の作用のもとで、上述の格子の一部分の電界強度のベクトルの方向を、格子の他の部分の電界強度のベクトルの方向と反対の方向に形成できる。
【0033】
本発明の目的は、電気光学材料に生成されたブラッグ格子の回折を、材料内に電界の非一様な分布を生成することによって制御することにある。
【0034】
この制御プロセスの実現において、光の放射を格子のベクトルに沿って導入する(結合させる)ことができ、回折ゆえに上述の格子にて反射される光放射および光学結晶を通って案内される光放射が同時に認識される。
【0035】
また、制御電圧を、導波路型の設計を使用することで、フィルタリングの対象である光放射が光学結晶に生成された導波路内に分布し、伝達関数の速度が大幅に高められるおかげで、大幅に下げることができる。
【0036】
光の伝搬の方向に非周期的に適用された導波路表面の凸部および凹部で構成されるブラッグ位相格子の回折効率を、大きく向上させることができる。これは、屈折率が基板の屈折率に一致する光学材料のさらなる層を、格子へと適用することによって行われるが、この材料の屈折率が、ベースの屈折率から最大40%まで外れていてもよい。
【0037】
また、破壊放電の量を大きく増加(拡大)させることができ、結果として、チューニング可能な波長帯の量を顕著に大きくすることができる。これは、すべての電極の間のすべての空間を満たす電気的に絶縁可能な材料のさらなる層を使用することによって行われ、これによって破壊放電の電圧が大幅に高められ、結果として電極へと加えられる電圧を高めることができるようになる。
【0038】
公知のプロセスとちょうど同じように、フィルタリング対象の放射の回折が、結晶に特定の強度の電界を形成し、結晶の屈折率を変化させることによって制御される。本出願のプロセスの1つの特別な特徴は、放射の伝搬の方向の電界が非一様である点にある。
【0039】
必要とされる空間分布の電界を結晶に生成することで、光学素子に必要とされ、光学素子の多機能の性質をもたらす伝達関数を生成できる。
【0040】
すなわち、放射の伝搬の方向に沿って均一的に変更された外部電界が使用される場合には、格子の回折効率を、ほとんどゼロまで大幅に低下させることができる。
【0041】
電気的にスペクトル選択を行う光スイッチを、この考え方にもとづいて生成できる。制御の電気光学的性質ゆえに、このようなスイッチの切り替えの速度はきわめて高速であり、10〜100GHzにもなりうる。
【0042】
非一様性の度合いが変更されるとき、ブラッグ位相格子の回折効率を制御することができる。この場合、そのような素子は、電気的に制御される選択的な光変調器として機能する。
【0043】
さらに、ブラッグ位相格子の伝達関数のプロファイルを、電気的に制御することができる。反射の状態から前方伝導の状態への伝達関数の再構成を、例として挙げることができる。この再構成は、格子の2つの同一な半分において、格子の両方の半分によって反射される光波についてpに等しい位相の移動を生成する電界が加えられるという事実のおかげで達成できる。
【0044】
本出願の光学素子は、スペクトル・チャネルの数が可変である汎用の光スイッチとして機能することができる。形成されるブラッグ位相格子の特定の数が、非一様な電界中に位置し、したがって回折が存在しない。一様な電界が、他の位相格子へと加えられる。このため、それらには回折が存在する。この状況は、選択されたスペクトル・チャネルの反射を可能にする。
【0045】
また、本出願の光学素子は、電気的に制御される光イコライザとしても機能できる。この場合、個々の要素格子のそれぞれの回折効率が、外部電界の空間的な非一様性の程度によって定められる。
【0046】
さらに、本出願の光学素子は、幅広い波長帯を有する狭帯域の光フィルタとして機能することができる。
【0047】
また、本出願の光学素子は、光のスペクトルの分散の補償器として機能することができる。
【0048】
以下の図が、本発明の目的を説明している。
【0049】
発明の実施の形態
本出願の光学素子は、電気光学材料で作られたpcボード1を含んでおり、pcボード1に光導波路2を形成することができる(図2を参照)。LiNbO3、KNbO3、BaTiO3、またはSBNなどの結晶を、電気光学材料として使用することができる。ブラッグ位相格子3を、pcボード1の実際の材料および光導波路2の両方に使用することができる。格子3を、光の伝搬の方向において周期的に適用された導波路表面の凸部6および凹部7の両者の形態で生成できる(図7、8を参照)。導波路の周期的な凸部および凹部の上方には、或る材料からなる補償層8が適用されている。この層を、例えばTiO2またはSiO2で構成することができる。
【0050】
格子3の両側には、空間的に一様でない非周期の外部電界を生成するための手段が、コンタクト5を介して電圧U1、U2、U3、・・・、UNが印加される電極4の形態で位置している(電極4の数および構成に応じ、印加される電圧の振幅が同一でも、異なっていてもよく、それらの極性が異なっていても、同一であってもよい)。
【0051】
電極の表面、補償材料の表面、基礎の残りの表面、および電極間の残りの空間は、電気絶縁材料9で満たされている。この材料層を、エポキシ樹脂または高い電気抵抗の係数を有する任意の他のプラスチック材料で構成できる。空間的に一様でない非周期の外部電界を、異なる形状を有する電極4によって生成することができる。すなわち、例えば、互いの間隔が放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で変化する2つの電極(図2を参照)によって、異なる電圧U1、U2、U3が作用する3つの矩形の電極(図5を参照)によって、形状の異なる4つの電極(図3、4を参照)によって、異なる電圧U1、U2、U3、・・・、U8が作用する8つの矩形の電極(図6を参照)によって、以下の対応:N 2D/dを有するN個の電極によって、空間的に一様でない非周期の外部電界を生成することができる。上述の例は、電極の数およびそれらの構成の選択を制限するものではない。
【0052】
本出願の光学素子の伝達関数は、以下のように制御される。
【0053】
必要な電界強度の電圧の分布が、電気光学材料1の内部に生成される。
【0054】
必要な電界強度の電圧の分布を、電圧U1、U2が作用する電極4の幾何学的形状によって生成することができる。図2が、空間的に一様でない非周期の電界を生成するための電極の構成の例を示している。電界の非一様性が、電極間の距離の変化によって決定されている。図9が、図2に示した電極の構成について、電界強度の分布を示している。電界および関連の勾配について可能な最大の大きさは、破壊放電Ebdの量によって決定される。
【0055】
図4は、一様でない電界を生成するシステムを、電極間の距離が変化している2つの電極ペアの形態で生成することによって、電界強度の勾配を大きくできる可能性を示している。電圧U1、U2が、それぞれの電極ペアに作用し、それぞれ逆の極性を有している。この電極の構成に対応する電気光学材料内の電界強度の分布が、図10に示されている。空間的に一様でない非周期の電界を生成するための手段であって、コンタクトを介して電圧Uが作用するN個の電極の形態である手段によれば、電気光学材料においてさまざまな電界強度の分布を生成することができ、特に重要なことには、電界強度の分布の依存の性質を、印加電圧の振幅を変化させることによって変えることができる。
【0056】
同じ電圧U1が、導波路の一方の側の電極へと加えられ、同じ電圧U2が、導波路の他方の側に位置する電極へと加えられるとき、電気光学材料に空間的に一様な電界が生成される(図12を参照)。このような電界は、ブラッグ位相格子の伝達関数(図11を参照)の移動を、形状を変えることなくもたらす(図13)。中心波長の移動の量は、生成される電界強度によって決定される。電界E0が、伝達関数の幅dに沿った中心波長の移動に相当する(図13の曲線c)。加えられる電界の極性が、中心波長の移動の方向を決定する。加えられる一様な電界Ebdおよび−Ebdに対応する伝達関数の中心波長の間の距離Dが、中心波長のチューニングの可能性の全波長範囲である。このような空間的に一様な電界は、光学素子の原型(図1を参照)において生成される。非一様な電界の空間的分布の最も単純な方法を、以下で説明する。ここでは、格子の2つの半分に、振幅に関して同一であるが、極性において相違する電界が作用する(図14、16を参照)。このような電界強度の分布は、図5に示した電極のシステムによって、U1=0、U2=−U3であるときに生成できる。ブラッグ位相格子が、中心波長が移動した2つの格子へと分割される。波長の移動の量が、伝達関数の幅dよりもはるかに大きい場合、格子の2つの半分によって反射された光の放射の加算において、位相の条件を無視することができる。この場合、光学素子の伝達関数は、ブラッグ位相格子の2つの半分の伝達関数の加算へと変化する。この場合の伝達関数が、図17に示されている。
【0057】
格子の個々の半分へと作用する電界強度の相違の結果として、反射される光放射の位相にpに相当する差が生じる場合(図14を参照)が、きわめて重要である。格子の振幅が小さい場合(n1/n0<<Λ/T)Ep/2=E0のとき、中心波長は、伝達関数の幅dによってのみ相違する。格子の個々の半分によって反射される中心波長の振幅が、コヒーレントに加えられ、すなわち位相が考慮される。この場合、伝達関数の中央に極小が生成される(図15を参照)。この場合、光学素子は、中心周波数を反射させる代わりに、通過を許す。この例は、「反射」状態から「通過」状態への伝達関数の電気光学的制御の可能性を明らかに指摘している。
【0058】
図18が、ブラッグ位相格子が8つの部分へと分割された場合の電界強度の空間分布を示している。このような電界の分布は、図6に示したような電極のシステムによって生成できる。この場合、印加電圧の間に以下の条件、すなわちU1=U8、U2=U7、U3=U6、U4=U5が実現される。光が、中心波長が移動した相互に別個独立である格子の8つの部分において屈折する。これは、追加の反射係数の低減およびスペクトル選択性の低減につながり、すなわちフィルタの伝達関数の打ち消しにつながる(図19を参照)。一様な電界が加えられる格子のセグメントの長さを短くすることで、追加の反射係数のさらなる低減およびスペクトル選択性の低減につながる。空間的に一様でない非周期の外部電界を生成するための手段が、N個の電極で構成される場合、格子のN/2個の部分に別個独立した電界を生成できる(2つの電極が、格子のそれぞれの部分において導波路の両側に位置するため)。
【0059】
電極の最適な数は、比N 2D/dから選択され、すなわち回折の効果的な打ち消し(追加の反射係数の低減およびスペクトル選択性の低減)のために選択され、格子をN/2個の独立した部分へと分割することが必要である。数Nは、必要な選択チャネルの数によって決定される。
【0060】
以上、光学素子の伝達関数の性質を、空間的に一様でない外部電界の印加の助けによってどのように変更できるのかを示した。追加の反射係数の低減およびスペクトル選択性の低減によるブラッグ格子の回折の打ち消しの例も示した。この光学素子の伝達関数の制御のプロセスを、狭帯域の光フィルタ、光アッテネータ、光変調器、および位相分散の補償器に使用することができる。しかしながら、上述した例は、伝達関数の制御について考えられる適用分野を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】2つの電極を有する光学素子の原型を示している(U1およびU2が、電極へと加えられる電圧を表わしており、補償層および絶縁材料層は図示されていない)。
【図2】2つの電極を有する光学素子を示している。2つの電極の間の間隔が、放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で減少している。
【図3】4つの電極を有する光学素子を示している。
【図4】4つの電極を有する光学素子を示している。電極のそれぞれのペアの間の間隔が、放射の伝搬の方向に沿って線形な様相で減少している。
【図5】3つの電極を有する光学素子を示している。
【図6】8つの電極を有する光学素子を示している。
【図7】光学素子の長手断面を示している。ブラッグ位相格子が、導波路表面に周期的に適用された一連の凸部および凹部として設計され、補償材料の層および電気絶縁材料の層で覆われている(hが、導波路の高さであり、Δhが、凹部と凸部との間の高さの差である)。この断面は、導波路に沿って(ABC平面内を)延びている。
【図8】上述の光学素子の横断面を示している。この断面は、導波路の軸を横切って(DEF平面内を)延びている。
【図9】図2に示したような素子上の電極配置について、放射の伝搬の方向に沿った座標に対する電界強度Eの依存性を示している。
【図10】図4に示したような素子上の電極配置について、放射の伝搬の方向に沿った座標に対する電界強度Eの依存性を示している。
【図11】ブラッグ位相格子の反射係数のスペクトル特性を示している(λは、光放射の波長であり、λBは、反射される光放射の中心波長であり、dは、ブラッグ位相格子の伝達関数の幅である)。
【図12】光学素子の原型を示しており、外部の一様な電界Eが印加されている位相格子が示されている(Ebdは、光フィルタの破壊放電が生じる電界強度であり、−Ebdは、逆の極性の電界強度であり、E0は、反射される放射の中心波長をブラッグ位相格子の伝達関数の幅dの大きさで変更すべく機能する電界強度であり、Tは、位相格子の長さである)。
【図13】加えられる外部の電界強度の大きさに対する光学素子のスペクトル特性の依存性を示している(aは、電界なしであり、bは、E=−Ebdの場合であり、cは、E=E0の場合であり、dは、E=Ebdの場合である)。
【図14】光学素子へと加えられる空間的に一様でない外部電界の変種の1つを示している(Ep/2は、格子の第1の半分における電界強度であって、p/2に等しい光放射の追加の位相差を生み、−Ep/2は、格子の第2の半分における電界強度であって、−p/2に等しい光放射の追加の位相差を生む)。
【図15】図14に挙げた電界が素子へと加えられる場合の素子の伝達関数を示している(実線が、外部電界が存在しない場合であり、破線が、外部電界が存在する場合である)。
【図16】光学素子へと加えられる空間的に一様でない外部電界について考えられるさらなる変種を示している(Ebdは、格子の第1の半分における電界強度であり、−Ebdは、格子の第2の半分における電界強度である)。
【図17】図16に挙げた電界がフィルタへと加えられる場合の素子の伝達関数を示している(実線が、外部電界が存在しない場合であり、破線が、外部電界が存在する場合である)。
【図18】光学素子へと加えられる空間的に一様でない外部電界について考えられるさらなる変種を示している(Ebdは、格子の最初の8分の1における電界強度であって、光学素子の破壊放電が生じる電界強度であり、−Ebdは、格子の最後の8分の1における反対の極性の電界強度である)。
【図19】図18に挙げた電界がフィルタへと加えられる場合の素子の伝達関数を示している(実線が、外部電界が存在しない場合であり、破線が、外部電界が存在する場合である)。
【符号の説明】
【0062】
1 pcボード
2 光導波路
3 ブラッグ位相格子
4 電極
5 コンタクト
6 凸部
7 凹部
8 或る材料の補償層
9 電気絶縁材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学材料と該電気光学材料に形成されたブラッグ格子とで構成される光学素子であって、
前記ブラッグ位相格子(3)が、光放射の伝搬の方向に沿った格子の全長の少なくとも一部分に空間的に一様でない非周期の外部電界を生成するための手段を有していることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記ブラッグ位相格子(3)が、前記電気光学材料の光導波路(2)に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記ブラッグ位相格子(3)が、前記光導波路(2)の光放射の伝搬の方向に沿った周期的な凸部(6)および凹部(7)として形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記ブラッグ位相格子(3)が、屈折率が使用される基板の屈折率に一致し、あるいは基板の屈折率からのずれが最大40%である補償光学材料(8)で構成される追加の層を有していることを特徴とする請求項1〜3のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項5】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記ブラッグ位相格子(3)の両側の2つの電極(4)で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項6】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記格子(3)の両側の2つの電極(4)で構成されており、前記2つの電極(4)の間の距離が、放射の伝搬の方向において線形な様相で変化していることを特徴とする請求項1〜5のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項7】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記格子(3)の両側にペアにて位置する4つの電気的に絶縁された電極(4)で構成されていることを特徴とする請求項1〜6のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項8】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記格子(3)の両側にペアにて位置する4つの電気的に絶縁された電極(4)で構成されており、それぞれの電極ペアの間の距離が、放射の伝搬の方向において線形な様相で変化していることを特徴とする請求項1〜7のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項9】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記格子(3)の両側に位置し、電界強度の制御のために光の放射の伝搬の方向に沿った前記格子(3)の異なる点に実現されている少なくとも3つの電気的に絶縁された電極(4)で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項10】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、N個の電極(4)で構成されており、電極(4)の数が、式N 2D/dに一致していることを特徴とする請求項1〜9のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項11】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、すべての電極(4)の間の空間を満たす電気的に絶縁可能な材料(9)の層を有しており、材料(9)が、電極(4)へと加えられた電圧を増幅するように機能することを特徴とする請求項5、6、7、8、9、10のうちの一項に記載の光学素子。
【請求項12】
請求項1に記載の光学素子の伝達関数を制御するためのプロセスであって、格子の回折の効率を制御する目的で、空間的に一様でない非周期の外部電界を光放射の伝搬の方向に沿った格子(3)の一部分に作用させるプロセス。
【請求項13】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を光放射の伝搬の方向に沿った前記格子(3)の一部分に作用させることが、格子の可能な最大の回折効率を制御するという目的を有していることを特徴とする、請求項12に記載の光学素子の伝達関数を制御するためのプロセス。
【請求項14】
前記格子(3)の一部分の電界強度のベクトルの方向が、前記格子(3)の他の部分の電界強度のベクトルの反対の方向に生成されることを特徴とする、請求項12に記載の光学素子の伝達関数を制御するためのプロセス。
【請求項1】
電気光学材料と該電気光学材料に形成されたブラッグ格子とで構成される光学素子であって、
前記ブラッグ位相格子(3)が、光放射の伝搬の方向に沿った格子の全長の少なくとも一部分に空間的に一様でない非周期の外部電界を生成するための手段を有していることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記ブラッグ位相格子(3)が、前記電気光学材料の光導波路(2)に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記ブラッグ位相格子(3)が、前記光導波路(2)の光放射の伝搬の方向に沿った周期的な凸部(6)および凹部(7)として形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記ブラッグ位相格子(3)が、屈折率が使用される基板の屈折率に一致し、あるいは基板の屈折率からのずれが最大40%である補償光学材料(8)で構成される追加の層を有していることを特徴とする請求項1〜3のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項5】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記ブラッグ位相格子(3)の両側の2つの電極(4)で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項6】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記格子(3)の両側の2つの電極(4)で構成されており、前記2つの電極(4)の間の距離が、放射の伝搬の方向において線形な様相で変化していることを特徴とする請求項1〜5のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項7】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記格子(3)の両側にペアにて位置する4つの電気的に絶縁された電極(4)で構成されていることを特徴とする請求項1〜6のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項8】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記格子(3)の両側にペアにて位置する4つの電気的に絶縁された電極(4)で構成されており、それぞれの電極ペアの間の距離が、放射の伝搬の方向において線形な様相で変化していることを特徴とする請求項1〜7のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項9】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、前記格子(3)の両側に位置し、電界強度の制御のために光の放射の伝搬の方向に沿った前記格子(3)の異なる点に実現されている少なくとも3つの電気的に絶縁された電極(4)で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項10】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、N個の電極(4)で構成されており、電極(4)の数が、式N 2D/dに一致していることを特徴とする請求項1〜9のうちの一項またはいくつかに記載の光学素子。
【請求項11】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を形成するための手段が、すべての電極(4)の間の空間を満たす電気的に絶縁可能な材料(9)の層を有しており、材料(9)が、電極(4)へと加えられた電圧を増幅するように機能することを特徴とする請求項5、6、7、8、9、10のうちの一項に記載の光学素子。
【請求項12】
請求項1に記載の光学素子の伝達関数を制御するためのプロセスであって、格子の回折の効率を制御する目的で、空間的に一様でない非周期の外部電界を光放射の伝搬の方向に沿った格子(3)の一部分に作用させるプロセス。
【請求項13】
前記空間的に一様でない非周期の外部電界を光放射の伝搬の方向に沿った前記格子(3)の一部分に作用させることが、格子の可能な最大の回折効率を制御するという目的を有していることを特徴とする、請求項12に記載の光学素子の伝達関数を制御するためのプロセス。
【請求項14】
前記格子(3)の一部分の電界強度のベクトルの方向が、前記格子(3)の他の部分の電界強度のベクトルの反対の方向に生成されることを特徴とする、請求項12に記載の光学素子の伝達関数を制御するためのプロセス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2009−509182(P2009−509182A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530430(P2008−530430)
【出願日】平成18年9月16日(2006.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009043
【国際公開番号】WO2007/033805
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(508083699)スウェット オプティクス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月16日(2006.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009043
【国際公開番号】WO2007/033805
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(508083699)スウェット オプティクス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
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