説明

光学素子の位置の微細な調整のための方法及びシステム

光伝搬のキャビティ軸を規定するキャビティと、少なくとも2つの光学素子であって、これらそれぞれの光軸を有し、上記キャビティ軸に沿って位置合わせされ、光学素子の光軸が上記キャビティ軸と一致する、少なくとも2つの光学素子と、少なくとも2つの光学素子の少なくとも1つに関連付けられた位置決ユニットと、を備える。位置決ユニットは、キャビティ軸回りで少なくとも1つの上記光学素子の制御可能な軸回転をもたらすように構成されかつ動作可能とされ、これにより、上記キャビティ軸に関する光学素子の位置合わせされた位置を維持しながら、少なくとも1つの他の光学素子に対する少なくとも1つの上記光学素子における方向付けの制御可能な精密な調整を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子の位置を制御可能に調整するための位置決め機構に関する。
本発明は、特に、二結晶ポッケルスセル(dual-crystal Pockels cell)の結晶の位置を調整することに有用である。
【背景技術】
【0002】
レーザ光のビームをスイッチング、変調及び増幅するように設計された光学システムは、しばしば電気光学材料を利用する。レーザまたは他の光学システムにおいて、電気光学材料は、しばしばポッケルス電気光学効果に基づいたポッケルスセルとして構成されており、このポッケルス電気光学効果では、常光線及び異常光線双方の屈折率がかけた電界を受けて変化する。ポッケルス効果は、ルビジウムチタニル燐酸塩(RTP)、ルビジウムチタニル砒酸塩(RTA)、カリウムチタニル燐酸塩(KTP)、ニオブ酸リチウム(LN)、タンタル酸リチウム(LT)及び他の材料のような対称中心を有さない材料で発生する。
【0003】
ポッケルスセルは、さまざまな科学的及び技術的用途で実施されている。偏光子と組み合わされたポッケルスセルは、さまざまな用途で使用されており、特に、光スイッチング及び/または光変調を制御するために使用されている。このような用途において、電気光学結晶の偏光方向は、ポッケルスセルにかけた電界の変化にしたがって変化し、その結果、偏光子を通過する光量を変化し、かつシャッター/モジュレータを形成する。電気光学材料への外部電界を印加するか停止することによって、0°の光学回転と90°の光学回転との間で切り替えることができ、このシャッターは、数ナノ秒の高速で光を「開く」及び「閉じる」ことができる。同一の方法は、0°と90°との間の偏光回転によってビーム変調するために使用されており、この場合において、ビームは、偏光子を通してみると、強度が変調された信号を示す。
【0004】
ポッケルスセルをレーザ増幅器として使用する他の用途において、再生増幅器のキャビティにあるレーザ媒質は、ポンプされて媒体内に過剰な励起原子を形成する。そして、ポッケルスセルは、発振光がキャビティの外に出ることを防止することによって、利得媒体の増幅として使用される。ポッケルスセルを切り替えると、キャビティ内の光は、キャビティから外に放射され、このようにして、高速な高エネルギーパルスを形成する。この設定は、Qスイッチング、チャープパルス増幅器及びキャビティダンピングのようなさまざまな用途で使用される。また、ポッケルスセルは、量子鍵配送及び電気光学プローブで使用されることがある。
【0005】
追加の温度安定化デバイスを有さない温度補償型ポッケルスセルは、2つの同一な結晶を用いることに基づいている。非線形光学材料の電気光学特性が温度に依存しないことが知られており、安定したかつ信頼性のあるポッケルスセルの動作を実現するためには、使用される非線形材料の温度を安定させなければならない。2つの結晶を使用することにより、温度安定化ユニットを用いることなくポッケルスセルの安定した性能を可能とする。光の伝搬は、(結晶切断面に応じて)双方が複屈折を示すXかY軸に沿う。2つの結晶は、第2(または第1)結晶が第1(または第2)結晶に関して90°で方向付けられるように、直列に配置されている。この配置において、温度によって引き起こされた第1結晶の複屈折における変化は、他の結晶によって打ち消されまたは補償され、ポッケルスセル全体が温度の影響を受けないように維持する。完全な一致を達成するため、結晶双方は、同一寸法を有するべきである。また、材料特性は、ポッケルスセルの高コントラスト比を得るために、結晶双方に対して同様であるべきである。さらに、−60℃から+120℃までの幅広い温度範囲にわたってポッケルスセルの安定した信頼性のある動作を提供するために、結晶特性と機械的取り付けとの間の一致を必要とする。2つの結晶は、同一の導電ベースに取り付けられ、上側の電極は、結晶双方が常に同一電位を有するように互いに配線されている。一般的には、結晶双方は、結晶間の一致が最良となりかつ最高のコントラスト比が達成されるように、ホルダに接着されている。いったん結晶を取り付けると、消費者のシステムにおける動作中に必要なさらなる最適化の可能性がなくなる。
【0006】
熱補償型設計に基づいたポッケルスセルは、さまざまな用途で使用され、パルスは、ピコ秒からミリ秒の範囲で変化する。フェムト秒範囲のパルスでポッケルスセルを動作している間に、メインパルス近傍における同一のフェムト秒範囲の継続期間のサイドバンドパルスを観測することが観測されている。一般的には、長いパルスについて、これらフェムト秒のサイドバンドは、観測されず、このため、このサイドバンドは、メインパルスに無視可能な影響を有する一方、フェムト秒のメインパルスについて、サイドバンドパルスは、メインパルスの強度を低減させる。2つの結晶間のオフセット角におけるわずかな変化(すなわち90°よりわずかに上または下)がサイドバンドパルスを低減させるまたは消滅させることが観測されている。接着によって2つの結晶を取り付ける習慣的な共通の技術は、フェムト秒範囲のパルスに対する必要な最適化をもたらさず、より精密な調整を必要とする。
【0007】
特許文献1は、二結晶ポッケルスセルを用いたレーザ増幅のための方法及びシステムを開示している。このシステムにおいて、ポッケルスセルは、他方の結晶に対する一方の結晶の回転方向の調整を可能とするように構成されている。ポッケルスセルにおける一方または双方の結晶の回転方向は、レーザパルスのサイドバンドを制御するように調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0236771号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術には、光学システムを通過する光伝搬の光軸に関する光学素子の方向付けを容易にする必要性があるが、特に、共通のキャビティ内における結晶素子の方向付けを調整することに限定されない。
【0010】
本発明は、システムにおける光学素子の回転方向付けを精密に調整するための新規な方法及びシステムを提供する。この技術は、一方の結晶の方向付けを他方に関して及びポッケルスセルの光伝搬軸に関して精密に調整するために使用される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの広範な態様では、光学デバイスが提供されており、この光学デバイスは、光伝搬のキャビティ軸を規定するキャビティと、少なくとも2つの光学素子であって、当該光学素子それぞれの光軸を有し、上記キャビティ軸に沿って位置合わせされ、当該光学素子の光軸が上記キャビティ軸と一致する、少なくとも2つの光学素子と、少なくとも1つの上記光学素子と関連付けられ、キャビティ軸回りで少なくとも1つの上記光学素子の制御可能な軸回転をもたらすように構成されかつ動作可能である位置決ユニットであって、これにより、上記キャビティ軸に関する光学素子の位置合わせされた位置を維持しながら、少なくとも1つの他の光学素子の位置に対する少なくとも1つの上記光学素子における位置の制御可能な精密な調整を可能とする、位置決ユニットと、を備える。
【0012】
光学素子は、結晶であってもよい。デバイスは、ポッケルスセルとして構成されかつ動作可能とされてもよい。
【0013】
本発明のいくつかの形態において、少なくとも1つの他の光学素子の位置は、キャビティ内に固定されてもよい。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの回転可能な光学素子は、キャビティ軸に沿うまたはキャビティ軸を横断する運動並びに上記キャビティ軸に対して傾くことが防止されている。
【0015】
本発明の好ましい形態において、回転可能な光学素子は、回転可能な支持体に固定されている。一般的に、光学素子それぞれは、それ自体の支持体において支持体に対する固定位置に固定されており、少なくとも1つの光学素子の支持体は、キャビティ軸回りの軸回転のために取り付けられている。
【0016】
本発明のいくつかの形態において、位置決ユニットは、細長い素子を備えており、この素子は、その先端部が上記回転可能な支持体から離間する後退した非動作位置から、先端部が上記回転可能な支持体と接触して回転するために支持体を押圧するその引き出し位置まで、往復運動するために取り付けられている。
【0017】
本発明の別の広範な態様では、上述した光学デバイスを備えかつ光検出ユニットを備えるシステムが提供される。光検出ユニットは、光学デバイスからの光出力を受けてそれを示すデータ(例えば出力光の経時プロフィル)を生成する。出力光は、回転可能な光学素子の角度位置を操作している間に制御されており、そして、上記素子の最適な位置は、得られる所望の光出力にしたがって固定される。
【0018】
本発明を二結晶ポッケルスセルに適用した例において、2つの結晶は、別個のホルダ(支持体)に取り付けられており、このホルダは、1つの取付具(ハウジング)に組み込まれる一方で、結晶を有する1つのホルダは、調整される可能性がないように取付具に取り付けられ、結晶を有する他のホルダは、同様に結晶軸である光の伝搬軸回りで回転するために取り付けられている。今度は、取付具は、光学デバイス(フレーム)に組み込まれ、この光学デバイスは、(例えばサイドバンドパルスを減少させるまたは完全に打ち消すために)最終的な回転調整のためにエンドユーザのシステムに取り付けられる。上記回転調整をするために、システムは、特有の回転機構を有する位置決ユニットを有しており、この回転機構は、メイン及びサイドバンドパルス双方を顕微鏡によって観測しながら、非常に小さい回転角度について、結晶を有する一方の支持体を他方の支持体に対して回転することを可能とする。一方の結晶を有する調整可能な支持体は、サイドバンドパルスを最小限まで低減するまたは打ち消す位置で安定化され、位置は、さらなる動作のために「保存」される。
【0019】
本発明を理解しかつ実際にどのように実施されるかを示すため、非限定的な実施例としてのみ、添付の図面を参照しながら実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】ポッケルスセル中の結晶の相対的な方向付けの基礎をなす原理を示す図である。
【図1B】ポッケルスセルにおいて使用するのに適した本発明の光学システムを示すブロック図である。
【図2A】図1Bのシステムにおいて使用するのに適した光学デバイスの実施例を示す斜視図である。
【図2B】同じく、図1Bのシステムにおいて使用するのに適した光学デバイスの実施例を示す斜視図である。
【図3A】図2A及び図2Bのデバイスにおいて使用される光学素子のための支持体を示す具体的な図である。
【図3B】同じく、図2A及び図2Bのデバイスにおいて使用される光学素子のための支持体を示す具体的な図である。
【図4】図2A及び図2Bのデバイスにおいて使用される位置決ユニットの実施例を示す図である。
【図5】図2A及び図2Bのデバイスを組み合わせた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、光学システムにおける光学素子の位置を精密に調整するための新規な方法及び装置を提供する。上記調整は、システムを通って伝搬する光の光軸回りで上記光学素子の少なくとも一方を精密に軸方向回転調整することを含む。本発明は、超高速レーザパルスのスイッチングに使用される二結晶ポッケルスセルに特に有用である。これら場合において、このような調整は、レーザパルスシステムにおけるサイドバンドパルスを消滅させるまたは少なくとも十分に低減する。
【0022】
図1Aは、キャビティを通過する伝搬光の光軸CAを有する光学キャビティ20を示しており、2つの光学素子10及び10’を有する。光学素子は、上記光軸CAに沿って離間した関係で配置されており、上記光軸は、光学素子それぞれを通過する。さまざまな用途は、相互に関してかつ/または光伝搬軸に関して、光学素子の精密な位置合わせ(調整)を必要とする。例えば、二結晶温度補償型ポッケルスセルを考慮すると、このポッケルスセルは、2つの同一の電気光学結晶10及び10’によって形成されており、この電気光学結晶は、結晶それぞれを通過する光軸CAに沿って位置合わせされている。結晶は、結晶軸が光軸CAとほぼ一致するようにキャビティ内で方向付けられている。技術的に知られている横効果(transverse effect)に基づいた温度補償は、結晶双方を通過する光伝搬の光軸CA回りにおいて他の結晶に対して一方の結晶を角度変位W(通常約90°)した状態で、2つの結晶を配置することによって達成される。このような角度変位は、図1Aに示されており、この図は、第2結晶10’のX’及びZ’軸が光軸CA回りで変位角Wだけ第1結晶10のX及びZ軸に対して角度的に変位していることを示している。第1結晶の温度に依存しない複屈折の影響は、第1結晶に関して光軸CA回りで角度Wだけ回転された第2結晶10’で発生する同様の熱的効果によって補償される。このため、(図1Aに示されるような)ポッケルスセルがパルスレーザで動作される場合において、メインパルスに付随して発生するサイドバンドパルスは、通常観測される。これらサイドバンドパルスの低減または消滅は、回転角Wのわずかな変更によって達成される。
【0023】
光学システムのブロックダイアグラムを示す図1Bを参照すると、この光学システムは、全体的に符号100が付されており、本発明にしたがって構成されかつ動作可能となっている。理解を容易にするために、同一の参照符号は、本明細書で参照するすべての図面で共通する構成部材を識別するために使用される。システム100は、光伝搬軸CAを画定するキャビティ20を有する光学デバイス102と、光軸Y及びY’を有する2つの光学素子10及び10’(例えば電気光学結晶)と、を有する。また、システム100には、制御ユニット30が設けられており、この制御ユニットは、光学デバイス102に組み込まれかつ一方の光学素子、本実施例では素子10’と関連付けられた位置決ユニット31と、光学デバイス102の一部であってもなくてもよい光検出ユニット33と、を有する。
【0024】
留意すべきことは、素子の少なくとも1つの位置を他の少なくとも1つに関して調整できる場合に、システムが2を超える光学素子を有してもよいことである。
【0025】
光学素子10及び10’の配置は、光学素子の光軸Y及びY’がキャビティ軸CAと一致するようになっている。理解すべきことは、結晶について述べると、軸Y(またはY’)が結晶軸を構成することである。本発明におけるシステムは、素子の光軸とキャビティ軸との間の必要な位置合わせ(一致)を維持しながら、他の光学素子に関してかつ/またはキャビティ軸に関して少なくとも1つの光学素子の位置を再度調整可能とする。このため、位置決ユニット31は、キャビティ軸CA回りで所定角だけ光学素子10’を回転することができるように構成されかつ動作されている。理解すべきことは、具体的には示さないが、他の光学素子10が同様にこの光学素子の方向付けを制御可能に調整するために取り付けられてもよいような構造とされていることである。位置決ユニット31は、適切な機械的組立体(ここでは図示略)を備えており、この組立体は、光学素子それぞれに直接または光学素子支持体を介して接続可能であり、上記光学素子の回転調整を実行して光学素子の所望の方向付けを提供する。機械的組立体は、好ましくは、上記光学素子の他の運動を防止するように構成されている。また、機械的組立体は、好ましくは、素子10’の回転運動を制限する。
【0026】
以下は、光学デバイス102を実施する実施例であり、位置決ユニット31をより具体的に示している。
【0027】
図2A及び図2Bは、光学デバイスを示す2つの正反対な斜視図である。デバイスは、光入力/出力開口部32A及び32Bが形成された前面110A及び後面110Bを有する中空ハウジング110を有する。このため、このようなハウジングは、光を伝搬させるためのキャビティ20を画定する。キャビティ20は、2つのほぼシリンダ状のキャビティ部分20A及び20Bを有し、このキャビティ部分は、共通の対称軸CAに沿って配置されており、これらそれぞれの支持体に2つの光学素子を適合させるための2つの部位それぞれを画定する。キャビティ部分20Aは、システムの動作中に回転される/移動される必要のない光学素子を収容することを目的とする一方で、キャビティ部分20Bは、制御可能に回転可能である光学素子をキャビティ部分20B内に収容するように構成されている。また、キャビティ20は、軸CA回りの回転以外に回転可能な光学素子の移動を防止するように構成されている。本実施例において、この目的は、第2キャビティ部分20Bの半径を第1キャビティ部分20Aの半径よりもいくらか大きくし、かつキャビティ部分20Bの反対側に別の障壁部20Cを設けることによって、達成される。この障壁部20Cは、開口部32Bの少なくとも一部を囲むように面110Bの内面から突出するリング状の形態をなしている。このため、支持素子は、キャビティ部分20B内に配置されかつキャビティ部分20Bに囲まれると、キャビティ軸に沿って長手方向に移動することから防止される。
【0028】
このため、第1キャビティ部分20Aは、(図3Aで符号112Aとして示す)静止した(回転しない)支持体を支持するように構成されており、この支持体は、上記キャビティ部分にほぼ固定されている。第2キャビティ部分20Bは、(図3Bで符号112Bとして示す)回転可能な(シリンダ状の)支持体を支持するように構成されている。支持体112Bは、半円柱状をなしており、キャビティ部分20Bの寸法と同様の寸法を有し、これにより、上記キャビティ部分内に正確に嵌まり込む。
【0029】
位置決ユニット31は、角度調整機構を有しており、この機構は、支持素子112Bを押圧してその対称軸(上記素子の光軸または結晶の場合において結晶軸で構成されており、キャビティ軸CAと一致する)回りで回転させるように構成されている。
【0030】
図4で例示されるように、この回転は、好ましくは支持素子の回転軸の垂直軸に沿って支持素子112Bに関して往復運動するために取り付けられた細長い素子40と、支持素子112Bの下方に配置されたバネ42と、を有する組立体によって実施される。支持体112Bに向かう素子40のこのような運動により、素子40は、素子の先端部40Aによって、回転可能な支持体112Bと接触し、バネの伸張に抗して回転するためにこの支持体を押圧する。バネは、キャビティ部分20Bに形成された適切な溝部21に配置されている。バネ42は、回転可能な支持体にトルクをかける保持機構を呈しており、回転可能な支持体をピン40に向けて「押圧する」。
【0031】
図5により具体的に示すように、細長い素子40は、ボルトの形態をなしており、キャビティ部分20Bの上方の適切な位置においてハウジングに形成された穴部44に取り付けられている(螺着されている)。ボルト40の先端部40Aは、回転可能支持体112Bと接触する。
【0032】
図1Bに戻ると、結晶素子10’の回転中において、システムからの光出力の経時プロフィルは、検出ユニット33で検出され、(サイドバンドパルスがないまたは低減された)所望のプロファイルを識別するまで、回転する結晶の対応する角度位置は、固定されている。これは、例えば固定ブラケット118とブラケットを固定するボルト−ナット組立体(図示略)であって例えば適切な穴部119を用いてハウジングに取付可能なボルト−ナット組立体とを用いて、支持体112Bに対するボルト40の位置を固定することによって行われる。
【0033】
理解すべきことは、本明細書では具体的に説明しないが、システムが電気光学素子10及び10’を利用する場合において、電極の関連する電子機器との電極の配置がハウジングに適切に取り付けられていることである。
【0034】
このため、システム100は、以下のように動作する、すなわち、支持体112Aに固定された光学素子10を支持する第1の固定支持体112Aは、キャビティ部分20Aの内側に固定されており、回転可能な支持体に取り付けられた光学素子10’を有する第2の回転可能な支持体は、キャビティ部分20Bの内側に取り付けられており、素子の光軸Y及びY’は、キャビティ軸CAと一致する。ボルト40は、支持体112Bに向けて移動して支持体の回転を引き起こし、これにより、キャビティ軸CA回りの光学素子10’の軸回転を引き起こす。したがって、光出力プロファイルは、検出される。所望のプロファイルが観測されると、光学素子10’の対応する角度位置は、固定ブラケット118を用いて支持体112Bの位置を固定することによって、固定する。このため、システム100は、最適な方向付け状態とされる。
【0035】
当業者は、添付の特許請求の範囲でかつ特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな改良及び変更を上述した本発明の実施形態に適用できることを理解するだろう。
【符号の説明】
【0036】
10,10’ 結晶,光学素子,電気光学結晶,電気光学素子、20 キャビティ,光学キャビティ、31 位置決ユニット、33 検出ユニット,光検出ユニット、40 ピン,ボルト,細長い素子、100 システム、102 光学デバイス、112A 固定支持体,第1の支持体、112B 回転可能支持体,支持素子,第2の支持体、CA キャビティ軸,光伝搬軸,対称軸,光軸,軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝搬のキャビティ軸を規定するキャビティと、
少なくとも2つの光学素子であって、当該光学素子それぞれの光軸を有し、前記キャビティ軸に沿って位置合わせされ、当該光学素子の前記光軸が前記キャビティ軸と一致する、少なくとも2つの光学素子と、
少なくとも2つの前記光学素子の少なくとも1つと関連付けられ、前記キャビティ軸回りで少なくとも1つの前記光学素子の制御可能な軸回転をもたらすように構成されかつ動作可能である位置決ユニットであって、これにより、前記キャビティ軸に関する前記光学素子の位置合わせされた位置を維持しながら、少なくとも1つの他の光学素子に対する少なくとも1つの前記光学素子における方向付けの制御可能な精密な調整を可能とする、位置決ユニットと、
を備えることを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
少なくとも2つの前記光学素子が、結晶であることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの前記他の光学素子の位置が、前記キャビティ内に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの回転可能な前記光学素子が、前記キャビティ軸に沿う移動を防止されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
少なくとも1つの回転可能な前記光学素子が、前記キャビティ軸に対して傾くことを防止されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
少なくとも1つの回転可能な前記光学素子が、回転可能な支持体に固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記光学素子それぞれが、当該光学素子自体の支持体において当該支持体に対する固定位置に取り付けられており、
少なくとも1つの前記光学素子の前記支持体が、前記キャビティ軸回りの軸回転のために取り付けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記位置決ユニットが、細長い素子を備え、
前記細長い素子が、当該細長い素子の先端部が回転可能な前記支持体から離間する当該細長い素子の後退した非動作位置から、前記先端部が回転可能な前記支持体と接触して回転するために前記支持体を押圧する当該細長い素子の引き出し位置までの、往復運動のために取り付けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
ポッケルスセルとして構成されかつ動作可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の光学デバイスと、
前記光学デバイスからの出力光を受け、出力光を示すデータを生成する光検出ユニットであって、これにより、得られる前記光学デバイスの所望の出力にしたがって、前記キャビティ軸回りの少なくとも1つの前記光学素子の軸回転を制御することを可能とする、光検出ユニットと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
光伝搬のキャビティ軸を規定するキャビティと、
少なくとも2つの光学素子であって、当該光学素子それぞれの光軸を有し、前記キャビティ軸に沿って位置合わせされ、当該光学素子の前記光軸が前記キャビティ軸と一致する、少なくとも2つの光学素子と、
少なくとも2つの前記光学素子の少なくとも1つと関連付けられ、前記キャビティ軸回りで少なくとも1つの前記光学素子の制御可能な軸回転をもたらすように構成されかつ動作可能である位置決ユニットであって、これにより、前記キャビティ軸に関する前記光学素子の位置合わせされた位置を維持しながら、少なくとも1つの他の光学素子の位置に対する少なくとも1つの前記光学素子における位置の制御可能な精密な調整を可能とする、位置決ユニットと、
を備える光学デバイスと、
前記光学デバイスからの出力光を受け、出力光を示すデータを生成する光検出ユニットであって、これにより、得られる前記光学デバイスにおける光の所望の出力にしたがって、前記キャビティ軸回りの少なくとも1つの前記光学素子の角度位置を制御することを可能とする、光検出ユニットと、
を備えることを特徴とするシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−523084(P2011−523084A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506827(P2011−506827)
【出願日】平成21年4月5日(2009.4.5)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000368
【国際公開番号】WO2009/133546
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510287315)ライコル・クリスタルズ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】