説明

光学素子の現像方法

【課題】 品質不具合が起こらず、ランニングコストが低く、プロセス管理が容易な現像装置、現像方法、及び現像液循環方法を提供すること。
【解決手段】 1)現像処理が行われる現像槽と、現像液を収容する現像液循環タンクと、前記現像液循環タンク内の現像液を前記現像槽に送る手段と、前記現像槽において現像処理に使用された後の現像液を前記現像液循環タンクに戻す手段とを備える現像液循環系、2)前記現像液を濾液と濃縮液とに分離する限外濾過フィルタ、及び3)前記現像液循環タンクから一部を取り出された現像液を収容する限外濾過濃縮液タンクと、前記限外濾過濃縮液タンク内の現像液を前記限外濾過フィルタに送る手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濃縮液を前記限外濾過濃縮液タンクに戻す手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濾液を前記現像液循環系に戻す手段とを備える濾液・濃縮液循環系を具備する現像装置。lang=EN-US>

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、現像方法、及び現像液循環方法に係り、特に、カラーフィルタ製造において着色画素を形成する際の現像に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタは、微細な赤、緑、青等のパターンからなる光学素子である。その製造プロセスは、ガラス等の透明基板上に感光性のレジストを塗布し、現像する等の工程を備え、各色について同様のプロセスが繰り返される。以下、カラーフィルタ製造における従来の現像工程について説明する。
【0003】
現像工程は、露光後の未硬化レジストの溶解、剥離除去を目的とし、フォトリソグラフィ工程の中でもパターンの形状を左右する重要な工程である。現像工程で管理される項目としては、現像時間、現像液の温度等があり、現像槽の構成や方式によっても異なるが、全ては使用する現像液の現像力が基準となる。
【0004】
通常の現像装置は、バッチ式、枚葉式を問わず、現像槽と現像液タンクとにより構成され、現像液の単純な循環を伴う。現像液の現像力を維持するためには、処理枚数を管理して、所定の枚数を処理した後に現像液タンク内の現像液を一斉にドレインする方法か、または現像新液の補充と現像液タンク内の現像液のドレインを一定間隔で連続的に実施する方法がある。
【0005】
現像液タンク内の現像液を一斉にドレインする方法の場合、稼動の停止を余儀なくされる。従って、この方法は、メンテナンスに近い方法である。また、管理する処理枚数にもよるが、初期の現像液の現像力とドレイン時の現像液の現像力は大きく異なっている。したがって、連続稼動中の細かな現像パラメーターの調整が必要となり、工場におけるプロセス管理としては、あまり適していない。
【0006】
現像新液の補充と現像液タンク内の現像液のドレインを一定間隔で連続的に実施する方法の場合、ドレイン量を少量にすると現像力は極度に低下し、現像液タンク内の現像液の汚染度が非常に高くなる。現像液タンク内の現像液の汚染度、目づまり現像に供される現像液の汚染度は、装置、及び製品に不具合を発生させる要因となる。逆に、ドレイン量を増加すると、現像液タンク内の現像液の汚染度は低く抑えられるが、現像新液の補充量が膨大となり、ランニングコストが増加し、採算が合わなくなる。
【0007】
いずれの方法をとっても、メンテナンス直後の現像液の現像力の変動は回避し難い。また、現像新液の供給量と現像液タンク内の現像液の汚染度は相反するパラメーターである。つまり、ランニングコストを低く保ちながら現像液タンク内の現像液の汚染度も低い状態で維持することは出来ない。したがって、製品品質への不具合発生の抑制を優先し、現像新液の供給量とドレイン量をともに多くして稼動しているのが現状である。
【0008】
年々、フォトリソグラフィの製造ラインは大型化の一途をたどっている。この背景には、とりわけ市場の需要に伴うディスプレイの大型化が関係している。製造ラインの大型化はユーティリティー使用量を増大させ、装置のメンテナンス性も悪化させる。更に、製品の大型化は作業性の悪化に繋がり、プロセス管理を困難にさせる。現像工程を含むウェットプロセスは、これらの製造ラインの大型化及び製品の大型化の問題により大きく影響される。
【0009】
これらの問題を解決するために、現像液の再生に関する提案は過去にもなされており、実際に限外濾過フィルタを使用した現像液への再生方法が考案されている(特開平11−212275号公報参照)。しかし、この方法は、濾過された液のみを薬液調合処理して再利用するものであり、必要な濾液量の確保に時間がかかるため、連続稼動には不向きである。また薬液調合処理による現像新液への再生手段も、断続稼動では可能だが、連続稼動では液組成の連続モニタリング等の必要性が出てくるため適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−212275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、現像に供された現像液を限外濾過フィルタにより処理して、濾液を再利用するとともに、濃縮液を循環させることにより、現像液の品質を低下させることなく、ランニングコストを低く抑えることを可能とし、しかもプロセス管理がきわめて容易な現像装置、現像方法及び現像液循環方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、長時間使用時において限外濾過フィルタの目づまりによる濾液量の低下を防止し、メンテナンス性を容易にし、連続稼動でも現像パラメーターの細かな調整を不要とし、また、製品が大型化しても作業性は悪化することのない現像装置、現像方法、及び現像液循環方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によると、1)現像処理が行われる現像槽と、現像液を収容する現像液循環タンクと、前記現像液循環タンク内の現像液を前記現像槽に送る手段と、前記現像槽において現像処理に使用された後の現像液を前記現像液循環タンクに戻す手段とを備える現像液循環系、
2)前記現像液を濾液と濃縮液とに分離する限外濾過フィルタ、及び
3)前記現像液循環タンクから一部を取り出された現像液を収容する限外濾過濃縮液タンクと、前記限外濾過濃縮液タンク内の現像液を前記限外濾過フィルタに送る手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濃縮液を前記限外濾過濃縮液タンクに戻す手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濾液を前記現像液循環系に戻す手段とを備える濾液・濃縮液循環系を具備する現像装置が提供される。
【0014】
以上のように構成される本発明の第1の態様に係る現像装置は、以下のような様々な構成を採り得る。
【0015】
(1)前記限外濾過フィルタは、分画分子量1000〜粒径10μmの濾過精度を有する構成。
【0016】
(2)現像装置の連続稼動時において前記限外濾過濃縮液タンク内の現像液の一定量を定期的に廃棄する手段、及び現像装置の連続稼動時において前記現像液循環タンクに定期的に現像新液の一定量を供給する手段を更に具備する構成。
【0017】
(3)前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を調節するための調整バルブ、前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を測定する流量計、前記限外濾過フィルタからの濃縮液の流量を測定する流量計、前記濾液流量と濃縮液流量の比を最適値に一定に保つように自動調節する定透液率モード機構を更に具備する構成。
【0018】
(4)前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を調節するための調整バルブ、前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を測定するための流量計、及び前記濾液流量を最適値に一定に保つように自動調節する定濾液流量モード機構を更に具備する構成。
【0019】
(5)前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を調節するための調整バルブ、前記限外濾過フィルタからの濾液の圧力を測定するための圧力計、及び前記限外濾過フィルタからの濾液の圧力を最適値に一定に保つように自動調節する定濾液圧力モード機構を更に具備する構成。
【0020】
本発明の第1の態様に係る現像装置は、前記限外濾過フィルタに逆洗浄液を送液する逆洗浄液供給系を更に具備することが出来る。その具体的構成を以下に示す。
【0021】
(1)前記逆洗浄液供給系は、前記逆洗浄液の流量を測定する流量計及び前記逆洗浄液の圧力を測定する圧力計を備えること。
【0022】
(2)前記逆洗浄液供給系は、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濾液を濾過フィルタの逆洗浄液として貯蔵する逆洗浄タンクを備えること。
【0023】
(3)前記逆洗浄液供給系は、前記流量計又は圧力計のいずれかからフィードバックされた測定値に基づき、前記逆洗浄液の流量または圧力を設定値に維持するように制御する逆洗浄制御システムを備えること。
【0024】
(4)前記逆洗浄制御システムは、逆洗浄時間を設定することが可能であること。
【0025】
(5)前記逆洗浄制御システムは、前記限外濾過フィルターの上流の濃縮液循環経路にオートバルブを備え、逆洗浄時にバルブ閉状態またはバルブ開状態を選択可能であること。
【0026】
(6)前記逆洗浄制御システムは、インバータを有する逆洗浄ポンプを備え、ポンプ周波数を制御することによって設定値を維持するように制御すること。
【0027】
(7)前記限外濾過フィルタを複数個備え、第1個目の限外濾過フィルタからの濾液を前記逆洗浄タンクに貯蔵し、貯蔵した濾液を第1個目の限外濾過フィルタの逆洗浄液として用い、第2個目以降の限外濾過フィルタを同様にして順次逆洗浄する機構を具備し、連続稼動時には複数個の限外濾過フィルタが定期的に順次逆洗浄されること。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第1の態様によると、1)現像処理が行われる現像槽と、現像液を収容する現像液循環タンクと、前記現像液循環タンク内の現像液を前記現像槽に送る手段と、前記現像槽において現像処理に使用された後の現像液を前記現像液循環タンクに戻す手段とを備える現像液循環系、
2)前記現像液を濾液と濃縮液とに分離する限外濾過フィルタ、及び
3)前記現像液循環タンクから一部を取り出された現像液を収容する限外濾過濃縮液タンクと、前記限外濾過濃縮液タンク内の現像液を前記限外濾過フィルタに送る手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濃縮液を前記限外濾過濃縮液タンクに戻す手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濾液を前記現像液循環系に戻す手段とを備える濾液・濃縮液循環系を具備する現像装置が提供される。
【0029】
本発明の第1の態様に係る現像装置は、前記限外濾過フィルタに逆洗浄液を送液する逆洗浄液供給系を更に具備することが出来る。
【0030】
本発明の第1の態様に係る現像装置は、前記限外濾過フィルタを複数個備え、第1個目の限外濾過フィルタ内の濃縮液の流れを通常状態で流れる方向とは反対の方向へ逆流させて濃縮液の流れに変化をつけることで限外濾過フィルタ内を洗浄し、第2個目以降の限外濾過フィルタについて順次同様にして濃縮液の流れを逆流させる機構を具備し、連続稼動時には複数個の限外濾過フィルタについて順次濃縮液の流れを逆流させる構成とすることが出来る。
【0031】
本発明の第2の態様によると、以上のいずれかの現像装置を用い、前記現像槽において、前記現像液循環タンクから送られた現像液を用いて、被現像体の現像処理を行う現像方法が提供される。
【0032】
本発明の第3の態様によると、以上のいずれかの現像装置を用い、前記限外濾過濃縮液タンクから現像液を定期的に廃棄し、この廃棄した現像液に相当する量の現像新液を前記現像液循環タンクに定期的に供給することによって液量バランスを維持する現像液循環方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来の方式と本発明の方式の現像液汚染度と時間の相関を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る現像装置のフロー図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る、逆洗浄用管路を必要としない現像装置のフロー図である。
【図4】逆洗浄機構のタイムチャートの説明図である。
【図5】逆洗浄・逆流機構のタイムチャートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0035】
本発明の一実施形態に係る現像装置は、現像処理に供される現像液と現像処理に供された後の現像液を循環する現像液循環系と、現像処理に供された後の現像液の一部を濾液と濃縮液とに分離する限外濾過フィルタと、限外濾過フィルタにおいて分離された濾液を現像液循環系に戻すとともに、濃縮液を循環させる濾液・濃縮液循環系とから構成される。
【0036】
即ち、現像液循環系は、現像処理が行われる現像槽と、現像液を収容する現像液循環タンクと、前記現像液循環タンク内の現像液を前記現像槽に送る手段と、前記現像槽において現像処理に使用された後の現像液を前記現像液循環タンクに戻す手段とを備え、濾液・濃縮液循環系は、前記現像液循環タンクから送られた現像液を収容する限外濾過濃縮液タンクと、前記限外濾過濃縮液タンク内の現像液を前記限外濾過フィルタに送る手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濃縮液を前記限外濾過濃縮液タンクに戻す手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濾液を前記現像液循環系に戻す手段とを備える。
【0037】
以上のように構成される本発明の一実施形態に係る現像装置によると、限外濾過フィルタを具備することによって、現像液は濾液と濃縮液とに分離され、濾液は現像液循環タンクに送られ、濃縮液は限外濾過濃縮液タンクへ送られるので、現像処理後の現像液は汚染度の低い現像液循環タンクと汚染度の高い限外濾過濃縮液タンクに別々に貯蔵される。
【0038】
現像槽で被現像基板の現像処理に使用される現像液は現像液循環タンクから送られるため、汚染度が低く、現像液の汚染に起因する製品不良は低減する。また、現像槽も従来と比べて汚染の低い現像液が使用されるため、装置起因のトラブルは減り、メンテナンス性も上がる。
【0039】
また、分画分子量1000〜粒径10μmの濾過精度を有する限外濾過フィルタを用いることにより、現像液中の溶解イオンはトラップされないので、現像液そのものの特性が失なわれることは無く、また、汚染物質をトラップすることができ、濾液の汚染度を低いレベルで維持することができる。
【0040】
また、現像装置の連続稼動時において、限外濾過濃縮液タンク内の現像液の一定量を定期的に廃棄し、現像液循環タンクに定期的に現像新液の一定量を供給することにより、連続稼動時において、現像新液は現像液循環タンクに定期供給され、また、汚染度の高い限外濾過濃縮液タンクからは供給量分の定期廃棄を実施することによって、必要な濾液量の確保に時間がかからず、効率の良い供給、廃液フローが可能となり、現像液使用量の削減に繋がる。
【0041】
現像新液で開始する初期状態の現像液は現像力が強く、その後、次第に現像活性が下がるため、その過程での現像時間の微調整は必要となる。これは現像液中の活性種が低減するためである。したがって活性種の補充のためには現像新液の補充が不可欠となる。しかし、現像新液の供給、限外濾過濃縮液タンクからの廃棄量を一定に保っているために所定の処理枚数で現像力は定常に達し、なおメンテナンス頻度が低いために、その定常状態の条件固定のままで現像パラメーターの細かな調整を不要なものとし、長時間の安定な現像が可能となる。
【0042】
このような現像液の現像力の定常状態は、現像新液の供給量、限外濾過濃縮液タンクからの現像液の定期的廃棄量で決まる。被現像基板による現像液持ち出し量を無視すると、供給量=廃棄量となり、両者を増減させることにより定常状態での現像力を調整することができる。感光剤の種類により長時間の現像が必要な場合には両者を増量し、逆に短時間現像が可能な感光剤の場合には減少させる措置をとって適正化することも可能である。
【0043】
使用する限外濾過フィルタは、使用時間に対応して少なからず劣化を生じ、これは濾液量の低下に繋がる。しかし、各限外濾過フィルタに一定間隔で逆洗浄処理を実施することによって、この劣化を抑制することができる。
【0044】
また、濾液流量と濃縮液流量の比である透液率を一定に固定することにより、濃縮液流量が変動した場合にも常に適正な濾液量が得られ、フィルタへかかる負荷が常に一定となり、負荷変動によるフィルタ内壁面への汚染物固着を抑制することが出来る。このことは逆洗浄効果の向上につながる。
【0045】
また、最適な液流量を一定に保つことにより、短時間での限外濾過フィルタの目づまりをなくすことが出来る。
【0046】
また、限外濾過フィルターの濾過側の圧力を最適値に一定に保つことにより、フィルタリング方向へ加わる力のベクトルを下げ、濃縮液側のフィルター壁面への汚染物付着を抑制し、結果的にフィルターの寿命を延ばすことができる。
【0047】
また、使用する限外濾過フィルタは、現像液の汚染物質をトラップすることにより、時間経過とともにフィルタに目づまりが生じ、濾液量が低下する。しかし、各限外濾過フィルタに一定間隔で逆流処理を実施することによって、汚染物質の目づまりを解消でき、限外濾過フィルタ内部の汚染物質を除去することができ、目づまりによる流量低下を抑制することができる。
【0048】
図1に従来の方式と本発明の方式の比較を示す。Aは、本発明における方式を採用した時間−現像液汚染度の相関を示す。これに対し、Bは、所定枚数の被現像基板を現像処理した後に、すべての現像液をドレインし、現像新液を供給した場合、Cは、現像新液の供給と現像液タンク内の現像液のドレインを連続的に実施し、所定枚数の被現像基板を現像処理した後に現像液の交換を行った場合の時間−現像液汚染度の相関を示す。
【0049】
Bの方式では、現像液タンク内の現像液の定期的ドレイン及び現像新液の定期的供給を行っていないため、汚染度はほぼ直線的に悪化する。逆に、Cはこれを行っているために、ある現像処理枚数で汚染度は定常に達するが、ランニングコストを考慮したドレイン量ではやはり現像液の汚染度は高く、製品品質に支障をきたす場合が多い。Aは、Cと同程度の現像新液の供給量でも、現像液の汚染度をかなり低く抑えることができ、図1に示すように、現像液タンク内の現像液をすべてドレインするまでのインターバルを十分に長く設定することが出来る。
【0050】
上記のように、本発明によれば、製品が大型化しても作業性は悪化せず、プロセス管理が極めて容易な現像装置、現像方法、及び現像液循環方法が提供される。
【0051】
本発明者らは、カラーフィルター製造のための現像処理を行った場合の現像液の被現像基板1枚当たりの現像液の使用量について、図1のCに相当する従来の方式と、図1のAに相当する本発明の方式とを比較した実験を行った。その結果を下記表に示す。
【表1】

【0052】
上記表1において、BMはブラックマトリクス、Rは赤色パターン、Gは緑色パターン、Bは青色パターン、PSはポストスペーサーの現像液の使用量をそれぞれ示す。
【0053】
上記表1から、現像液の使用量は、従来の方式では、トータルでカラーフィルター1枚あたり13であるのに対し、本発明の方式では、5と、半分以下に減少していることがわかる。この結果から、本発明の方式により、非常に大きなコスト削減効果が得られることがわかる。なお、本発明の方式(A)では、どの部材も現像液の使用量はほぼ同一である。特に、BやPSの使用量が減少している。
【0054】
以下、本発明の一実施形態に係る現像装置、現像方法、及び現像液循環方法について、図面を参照して具体的に説明する。
【0055】
図2は、本発明の一実施形態に係る現像装置のフロー図である。参照数字4は、現像液循環タンクを示し、現像新液は現像新液供給管路3を通してこの現像液循環タンク4に供給される。現像液循環タンク4内の現像液は、現像液循環ポンプ17を介して現像液ユースポイント1へ送られ、現像槽2において被現像基板が現像処理される。図2中、ユースポイント1をシャワーリング工程としているが、この方法に限定されるものではない。現像に使用された現像液は、管路24を通って現像液循環タンク4に戻され、この循環は装置稼動時、連続的に繰り返される。
【0056】
現像液循環タンク4に貯留されている現像液の一部は、現像循環液送液ポンプ15を介して限外濾過濃縮液タンク5へ送られる。図2中には記載していないが、現像新液の供給は現像新液供給管路3からのみではなく、限外濾過濃縮液タンク5にも供給可能である。
したがって、現像液の更新時等において、現像液循環タンク4及び限外濾過濃縮液タンク5が空の状態から運転する場合は、まず現像液循環タンク4及び限外濾過濃縮液タンク5の双方に現像新液を充填する。現像液循環タンク4及び限外濾過濃縮液タンク5には、現像液量を管理するために液面センサーを設けることが望ましい。
【0057】
限外濾過濃縮液タンク5内の現像液は、濃縮液送液ポンプ16を介して、5つの限外濾過フィルタ7〜11へ送られる。現像液は、限外濾過フィルタにおいて、フィルタを透過する濾液と、透過しない濃縮液に分離され、前者は三方弁14の方向に、後者は限外濾過フィルタ濃縮液循環管路21へ送られる。限外濾過フィルタ濃縮液循環管路21は、濃縮液が限外濾過濃縮液タンク5へ戻される循環管路である。濾液は、通常、三方弁14を介して限外濾過フィルタ濾液管路22を通り、濾液タンク12へ貯蔵される。更に、濾液タンク12からは、濾液送液ポンプ18を介して現像液循環タンク4へ連続送られる。
【0058】
稼動時には、定透液率モード、定濾液流量モード、または定濾液圧力モードのうちのいずれか1つのモードが選択され、それぞれ透液率(濾液流量と濃縮液流量の比)、濾液の流量、または濾液の圧力を一定に保つように制御された状態で、現像装置が稼動する。ここで、濃縮液送液ポンプ16はインバータによる周波数制御により、濃縮液の送液圧、流量を変動させることが出来るが、上記3モードにリンクした制御は行われない。ポンプ16は、条件出しに設定した初期設定圧力が常に維持されるように独立でインバータ制御される。即ち、現像装置の稼動中は、圧力計43が常に設定値になるように制御されている。
【0059】
定透液率モードの場合、流量計39の値(濾液流量)と流量計38の値(濃縮液流量)の比(透液率)が設定した値となるようにエアーオペレイションバルブ(調整バルブ)32をフィードバック制御する。適正な透液率は、フィルタの種類に依存するところが大きく、とりわけフィルタを構成する中空糸の内径、および分画分子量により左右される。透液率が高いと、濃縮液流量に対する濾過液流量が高くなり、中空糸膜内壁表面での汚染物の滞留を促進し、逆洗浄効果を下げる。透液率の最適値は、エアーオペレーションバルブ(調整バルブ)32を全開にしたときの値の80%以下とするのがよい。これは、バルブ35を絞って稼動する場合も同様である。
【0060】
定濾液流量モードの場合、流量計39の値が限外濾過フィルタの種類に応じ最適な値になるようにエアーオペレイションバルブ(調整バルブ)32をフィードバック制御する。限外濾過フィルタの最適な流量は種類によって異なるため、流量が最適ではない場合、短時間でフィルタの目づまりが生じ、必要な量の濾液を確保できなくなる恐れがある。最適流量値は、エアーオペレーションバルブ(調整バルブ)32を全開にしたときの値の80%以下とすることがよい。
【0061】
定濾液圧力モードの場合、圧力計42の値が一定になるようにエアーオペレイションバルブ(調整バルブ)32が制御される。圧力計42の設定値は、限外濾過フィルタの定格圧力よりも小さい値にすることで余計な目づまりを防ぎ、限外濾過フィルタのメンテナンス期間を長くすることができる。圧力計42の設定値は、エアーオペレーションバルブを全開にしたときは0kPaとなるため、10kPa以上とすることがよい。
【0062】
限外濾過フィルタ7〜11は、現像液の汚染度や溶解している感光剤の種類によって、最適な濾過精度のものを選定する必要がある。本実施形態では、分画分子量1000〜粒径10μmの範囲の限外濾過フィルタを対象とする。濾過精度が分画分子量1000より小さい限外濾過フィルタの場合、溶解イオンの透過も阻止してしまうため、現像液そのものの特性すら失う恐れがあり、逆に濾過精度が10μmを越える限外濾過フィルタの場合は、汚染物質をトラップすることが出来ず、濾液のクリーン度が落ちるため、一般フィルタと区別する意義が無くなる。一般に、限外濾過フィルタの濾過精度は、分画分子量と呼ばれる値で区分されている。
【0063】
尚、本発明に使用可能な限外濾過フィルタは、精密濾過フィルタ、マイクロフィルタなどの名称で汎用されるものも含む。
【0064】
限外濾過フィルタの濾液は、逆洗浄用の液としても使用される。連続稼動時、逆洗浄される限外濾過フィルタとして常に1つの限外濾過フィルタが選択されている。ここでは1例として限外濾過フィルタ7が選択されているものとする。限外濾過濃縮液タンク5から濃縮液送液ポンプ16を介して全限外濾過フィルタへ送られるが、逆洗浄モードとして選択されている限外濾過フィルタ7から得られる濾液は、三方弁14を介して限外濾過フィルタ逆洗浄用濾液管路23を通り、逆洗浄タンク13へ貯蔵される。
【0065】
逆洗浄タンク13は液面レベルセンサーを備えており、センサーが所定の液面レベルを検出した時点で、逆洗浄液送液ポンプ19が稼動を開始し、逆洗浄用濾液管路23及び三方弁14を介して限外濾過フィルタ7の濾液側へ送られ、限外濾過フィルタ7の逆洗浄を行う。逆洗浄に用いられた液は廃棄してもよいが、ここではバルブ34及び逆洗浄液リターン管路20を通って限外濾過濃縮液タンク5に戻される例を示す。逆洗浄操作は、時間管理とされ、所定時間の逆洗浄操作の後、次の限外濾過フィルタ8が逆洗浄モードに選択され、同様の操作が繰り返される。
【0066】
逆洗浄経路23には、流量計45及び圧力計46が取り付けられており、逆洗浄流量固定モードと逆洗浄圧力固定モードのいずれかが選択される。逆洗浄流量固定モードを選択している場合には、流量計45の値が設定値になるように逆洗浄ポンプ19がインバータ制御される。また、逆洗浄圧力固定モードを選択している場合は、圧力計46の値が設定値になるように逆洗浄ポンプ19がインバータ制御される。逆洗浄流量固定モード、逆洗浄圧力固定モード双方とも、各フィルタ毎に設定値を設けることも可能である。
【0067】
逆洗浄時間は、装置の制御系により管理される。各フィルタ毎に逆洗浄時間を設定することも可能であるが、基本的に限外濾過フィルタ7〜11は全て同一の逆洗浄時間で逆洗浄されることが望ましい。
【0068】
逆洗浄時のオートバルブ30は開状態または閉状態のいずれかを選択できるものとし、通常は開状態で、即ち濃縮液を循環させている状態で運転する。しかし、濃縮液循環圧力が高い場合、または逆洗浄の効果が低いフィルタを使用する場合は、閉状態で運転することが望ましい。
【0069】
連続稼動時に、1つの限外濾過フィルタ内に、通常状態における流れ方向と逆方向に濃縮液を流すことが出来る。ここでは1例として、限外濾過フィルタ7に濃縮液を逆流させることとする。このように、限外濾過フィルタ内に濃縮液を逆流させて、濃縮液の流れに変化をつけることで、限外濾過フィルタ内を洗浄する効果を得ることが出来る。
【0070】
濃縮液送液ポンプ16より送られた濃縮液は、バルブ30及び三方弁28を介して逆流用管路44を通過し、三方弁29を介して限外濾過フィルタに流入する。限外濾過フィルタ洗浄後の濃縮液はバルブ31を通して、限外濾過濃縮液タンク5へ戻される。逆流時間は時間管理とし、所定時間逆流する。このとき、濾液側のバルブ32は閉じている。
【0071】
図3は、濃縮液の逆流用の管路を必要としない現像装置のフロー図である。濃縮液を逆流される限外濾過フィルタは、常に1つあるものとする。ここでは1例として限外濾過フィルタ7が選択されているものとする。逆流モードになると同時にバルブ30を閉、バルブ31を開とすると、限外濾過フィルタ8〜11からの濃縮液が流量計38を通して限外濾過フィルタ7に流れ込み、限外濾過フィルタ7への逆流が開始される。このとき、バルブ32は閉じ、濾液が限外濾過フィルタ7から流出しないようにする。また、バルブ35は、限外濾過フィルタ8〜11から限外濾過フィルタ7に適切な量の濃縮液が流れ込むように調節する。
【実施例】
【0072】
以下、以上説明した実施形態に沿った具体的な実施例について説明する。図2中の現像液循環タンク4、限外濾過濃縮液タンク5、濾液タンク12、逆洗浄タンク13は全て液面管理センサーを具備し、常に液面を一定にするように各ポンプにフィードバックされるものとした。とりわけ、現像循環液送液ポンプ15、濃縮液送液ポンプ16、濾液送液ポンプ18は密接に関わっており、全ての基準となるものは濾液送液ポンプ18から送られる濾液流量である。
【0073】
この濾液流量は、即ち、限外濾過フィルタから得られる濾液流量を意味しており、限外濾過フィルタ濾液管路22に取りつけられた流量計36からポンプ周波数を制御している。これは濾液タンク12の液面管理センサーからの情報も加えて常に流量を精密管理している。現像循環液送液ポンプ15は基本的には濾液送液ポンプ18の流量がそのままフィードバックされているが、現像液循環タンク4の現像新液の定期供給や限外濾過濃縮液タンク5の定期ドレインの影響もあるため、それぞれが所有する液面管理センサーからのフィードバックも受けている。
【0074】
本実施例では、濾液送液ポンプ18により現像液循環タンク4に送られる濾液流量は10リットル/分、現像循環液送液ポンプ15により限外濾過濃縮液タンク5に送られる現像液の流量は、濾液流量に見合った量であって、10リットル/分であり、現像液循環ポンプ17によりユースポイント1に送られる現像液の流量は、247リットル/分とした。
【0075】
定濾液流量モードでは、エアオペレーションバルブ(調整バルブ)32を全開にしたときの最大流量の80%を流量計39の設定値とする。こうすることにより、連続稼動時に、限外濾過フィルタの内部壁面に生ずる余計な目づまりを常に防止し、常に一定量の濾液を得ることができる。流量計39により測定された流量値がそのままエアオペレーションバルブ(調整バルブ)32にフィードバックされており、濾液流量を設定値に制御することが出来る。
【0076】
定濾液圧力モードでは、圧力計42の圧力値を一定にすることにより限外濾過フィルタの目づまりを抑制し、限外濾過フィルタのメンテナンス期間を長くすることができる。圧力計の圧力はエアーオペレーションバルブ(調整バルブ)32にフィードバックしており濾液圧力を一定に保つ。圧力計42の設定値は、0kPa以上でなくてはならない。効率よく濾液を確保するためには10kPa以上にする必要がある。
【0077】
使用する限外濾過フィルタは5つとし、分画分子量が30,000〜50,000、例えば50,000のものを選定した。顔料を含む現像液から顔料を除去するためには、分画分子量10,000以下にする必要があるが、分画分子量を下げ過ぎると現像液そのものの組成にも影響を与えるため、分画分子量は30,000〜50,000が適正と判断した。これは濾液量を十分に確保するためであり、図1で示すAの定常状態での汚染度を下げるためである。
【0078】
濃縮液を送るポンプ16は、5つの限外濾過フィルタへ合計約700リットルの現像液を送液し、約3〜10%、例えば5%の濾液回収率で設計した。限外濾過フィルタへの送液圧力は、フィルタの品質規格上限の50%を目安とし、稼動システムとしては送液圧固定モード、濾液流量固定モードの2種選択可能な装置とした。
【0079】
送液圧固定モードとは、限外濾過フィルタの入力側の圧力を固定して稼動するモードであり、濾液の流量制御には関わらない。つまり、液側バルブ32は、手動バルブでよい。濾液流量固定モードとは、濾液経路22の流量を固定するモードである。双方とも圧力計43及び流量計38からポンプ16にフィードバックがかかり、インバータにより周波数制御される。
【0080】
送液圧固定モードは、濃縮液の種類や限外濾過フィルタの経時的な詰まりによって濾液量が変動するため、現像液の安定した組成を維持するためには濾液流量固定モードが望ましい。そのためには、濾液流量の変動が少なく、濃縮液平均圧力も低い状態で稼動できる限外濾過フィルタを選定する必要がある。なお、濃縮液平均圧力とは、限外濾過フィルタの入力側と出力側の圧力を加算して2で除した値のことであり、目安としては100kPa以下であるのが望ましい。
【0081】
以下に、逆洗浄の実施例について示すが、濃縮液圧力は100kPa程度であるものとする。
【0082】
濃縮液平均圧力が100kPa程度の場合、逆洗浄時の濃縮液循環バルブは開状態であるのが好ましい。これは、一般的な限外濾過フィルタの品質規格圧力が300kPaであることから、300kPaの逆洗浄圧力を印加することによって、差圧200kPaでの逆洗浄効果が得られるためである。逆洗浄圧力が濃縮液平均圧力の2倍以上で設定可能な場合、濃縮液を循環させた状態で逆洗浄を実施した方が効果が高いと考えられる。
【0083】
以上は逆洗浄圧力固定モードについての説明であるが、逆洗浄圧力が同一でも、逆洗浄流量が大きく変動する場合がある。これは限外濾過フィルタの目づまり具合と関係する場合が多い。つまり、フィルタが目づまりしてくると、次第に逆洗浄流量も少なくなり、逆洗浄効果が低くなるため、限外濾過フィルタの目づまりを加速させてしまう。このような現象が起こる場合では、逆洗浄流量固定モードを選択することが望ましい。ただし、この場合は、逆洗浄圧力の上限を設ける必要がある。
【0084】
逆洗浄時間は、長ければ長いほど洗浄効果は高いが、本発明においては1つの限外濾過フィルタにつき20秒を最低限とし、それ以上であるのが望ましい。前述した通り、逆洗浄は限外濾過フィルタ1つづつ自己洗浄されるため、逆洗浄時間を長く取りすぎると、1つの限外濾過フィルタフィルタに着目した場合の逆洗浄間隔が長くなってしまう。ここで言う逆洗浄間隔は逆洗浄インターバルと呼び、30分以内になるように逆洗浄時間とのバランスを調整している。図4に逆洗浄時間と逆洗浄インターバルの関係を図示した。
【0085】
図4中のT1、T3、T5、T7、及びT9は、各限外濾過フィルタ7〜11における逆洗浄タンクの貯蔵時間、T2、T4、T6、T8、T10は、各限外濾過フィルタ7〜11の逆洗浄時間である。そして、図中のT11が逆洗浄インターバルとなる。貯蔵時間を3分、逆洗浄時間を1分と想定した場合、逆洗浄インターバルは単純計算で20分となる。逆洗浄後に5つの限外濾過フィルタ7〜11すべての稼動を組み込むこともできるが、逆洗浄インターバルの増加、制御系への負荷による濾液流量や濃縮液循環圧力が変動するため、図4に示す例では、4つの限外濾過フィルタの稼動を想定した。
【0086】
貯蔵時間は、逆洗浄液の使用量に大きく関連する。逆洗浄液の使用量が多い場合は、次の限外濾外フィルタへ逆洗浄モードが移行した時に、使用した分の濾液を逆洗浄タンクに貯蔵する必要があるためである。したがって、逆洗浄液の使用量が多いと貯蔵時間が長くなり、結果的に逆洗浄インターバルが長くなる。
【0087】
逆洗浄の効果は、逆洗浄流量または逆洗浄圧力が大きいほど高い。したがって、逆洗浄圧力を膜品質規格値の最大まで上げて定圧稼動すれば最適であるような誤解を招く。しかし、実際は逆洗浄インターバルとのバランスを考慮する必要がある。本発明において逆洗浄流量固定モードと逆洗浄圧力固定モードのどちらかを選択可能にすることにより、逆洗浄条件と逆洗浄インターバルのバランスを、限外濾過フィルタと現像液との相性も踏まえて、細かく条件設定することが可能になる。
【0088】
次に、濾液による逆洗浄と濃縮液の逆流による洗浄の双方を行う機構のタイムチャートを図5に示す。図5において、aは、図1で示す5つの限外濾過フィルタをすべて稼動しているタイムインターバルを示す。gは、限外濾過フィルタ7内の濃縮液を逆流させ、それにより限外濾過フィルターを洗浄しているタイムインターバルを示す。このとき、限外濾過フィルタ7の濾液側のバルブは閉じられるため、得られる濾液量はタイムインターバルaの場合よりも減少する。bは、濃縮液の逆流の設定時間が終了し、濾液側のバルブが開かれ、限外濾過フィルタ7から得られる濾液が逆洗浄タンクの所定の液面レベルに達するまでの時間を示す。cは、逆洗浄タンクの液面センサーが設定された液面レベルを検出し、限外濾過フィルタ7の逆洗浄を実施するために要する時間を示す。
【0089】
タイムインターバルcが完了した時点で、5つの限外濾過フィルタは、再度、稼動へ移行する。dは、限外濾過フィルタ8の逆洗浄モード前の全フィルター稼動時のタイムインターバルを示す。
【0090】
fは、タイムインターバルa、g、b、及びcの合計であり、洗浄(逆洗浄及び逆流)のために選択された限外濾過フィルタ7の1サイクルは、この時間で決定される。
【0091】
その後、逆洗浄・逆流モードは、次の限外濾過フィルタ8へとシフトし、タイムインターバルhで再度限外濾過フィルタ8内の濃縮液が逆流し、終了後、逆洗浄タンクへ濾液貯蔵を開始する。同様にして、この逆洗浄・逆流サイクルを各限外濾過フィルタで順次実施
する。
【0092】
1サイクル中において、bはフィルター送液圧やフィルターの種類によって決定される時間である。したがってc、fをパラメーターとして決定することによって、1サイクルは任意に決められる。このパラメーターの決定によって、濾液量、逆洗浄効率が決まるため、適正な値で稼動する必要がある。逆洗浄は圧力固定とし、短時間で出来るだけ多く透液するために圧力上限値そのままの値で実施した。
【符号の説明】
【0093】
1…現像液ユースポイント
2…現像槽
3…現像新液供給管路
4…現像循環タンク
5…限外濾過濃縮タンク
6…濃縮液ドレイン管路
7、8、9、10、11…限外濾過フィルタ
12…濾液タンク
13…逆洗浄タンク
14、28、29…三方弁
15…現像循環液送液ポンプ
16…濃縮液送液ポンプ
17…現像液循環ポンプ
18…濾液送液ポンプ
19…逆洗浄液送液ポンプ
20…逆洗浄液リターン管路
21…限外濾過フィルタ濃縮液循環管路
22…限外濾過フィルタ濾液管路
23…限外濾過フィルタ逆洗浄用濾液管路
24、25、27…管路
32…エアーオペレイションバルブ(調整バルブ)
30、31、33、34、35…バルブ
36、37、38、39、40、45…流量計
41、42、43、46…圧力計
44…逆流用管路
A…本発明による液体現像装置の時間‐現像液汚染度相関図
B…所定枚数で一括ドレインをする方法での時間‐現像液汚染度相関図
C…現像新液の定期供給と、定期ドレインをする方法での時間‐現像液汚染度相関図
a…限外濾過フィルタ7逆洗浄モード前の限外全濾過フィルタ稼動時タイムインターバル
b…限外濾過フィルタ7逆洗浄液貯留時のタイムインターバル
c…限外濾過フィルタ7逆洗浄実施時のタイムインターバル
d…限外濾過フィルタ8逆洗浄モード前の全限外濾過フィルタ稼動時タイムインターバル
e…限外濾過フィルタ8逆洗浄液貯留時のタイムインターバル
f…フィルタ7洗浄(逆洗浄及び逆流)モード1サイクルのタイムインターバル
g…フィルタ7内の濃縮液逆流時間
h…フィルタ8内の濃縮液逆流時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)現像処理が行われる現像槽と、現像液を収容する現像液循環タンクと、前記現像液循環タンク内の現像液を前記現像槽に送る手段と、前記現像槽において現像処理に使用された後の現像液を前記現像液循環タンクに戻す手段とを備える現像液循環系、
2)前記現像液を濾液と濃縮液とに分離する限外濾過フィルタ、及び
3)前記現像液循環タンクから一部を取り出された現像液を収容する限外濾過濃縮液タンクと、前記限外濾過濃縮液タンク内の現像液を前記限外濾過フィルタに送る手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濃縮液を前記限外濾過濃縮液タンクに戻す手段と、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濾液を前記現像液循環系に戻す手段とを備える濾液・濃縮液循環系
を具備する現像装置。
【請求項2】
前記限外濾過フィルタは、分画分子量1000〜粒径10μmの濾過精度を有する請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
現像装置の連続稼動時において前記限外濾過濃縮液タンク内の現像液の一定量を定期的に廃棄する手段、及び現像装置の連続稼動時において前記現像液循環タンクに定期的に現像新液の一定量を供給する手段を更に具備する請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を調節するための調整バルブ、前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を測定する流量計、前記限外濾過フィルタからの濃縮液の流量を測定する流量計、前記濾液流量と濃縮液流量の比を最適値に一定に保つように自動調節する定透液率モード機構を更に具備する請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を調節するための調整バルブ、前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を測定するための流量計、及び前記濾液流量を最適値に一定に保つように自動調節する定濾液流量モード機構を更に具備する請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記限外濾過フィルタからの濾液の流量を調節するための調整バルブ、前記限外濾過フィルタからの濾液の圧力を測定するための圧力計、及び前記限外濾過フィルタからの濾液の圧力を最適値に一定に保つように自動調節する定濾液圧力モード機構を更に具備する請求項1に記載の現像装置。
【請求項7】
前記限外濾過フィルタに逆洗浄液を送液する逆洗浄液供給系を更に具備する請求項1記載の現像装置。
【請求項8】
前記逆洗浄液供給系は、前記逆洗浄液の流量を測定する流量計及び前記逆洗浄液の圧力を測定する圧力計を備える請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記逆洗浄液供給系は、前記限外濾過フィルタにおいて分離された濾液を濾過フィルタの逆洗浄液として貯蔵する逆洗浄タンクを備える請求項7に記載の現像装置。
【請求項10】
前記逆洗浄液供給系は、前記流量計又は圧力計のいずれかからフィードバックされた測定値に基づき、前記逆洗浄液の流量または圧力を設定値に維持するように制御する逆洗浄制御システムを備える請求項7に記載の現像装置。
【請求項11】
前記逆洗浄制御システムは、逆洗浄時間を設定することが可能である請求項7に記載の現像装置。
【請求項12】
前記逆洗浄制御システムは、前記限外濾過フィルターの上流の濃縮液循環経路にオートバルブを備え、逆洗浄時にバルブ閉状態またはバルブ開状態を選択可能である請求項7に記載の現像装置。
【請求項13】
前記逆洗浄制御システムは、インバータを有する逆洗浄ポンプを備え、ポンプ周波数を制御することによって設定値を維持するように制御する請求項7に記載の現像装置。
【請求項14】
前記限外濾過フィルタを複数個備え、第1個目の限外濾過フィルタからの濾液を前記逆洗浄タンクに貯蔵し、貯蔵した濾液を第1個目の限外濾過フィルタの逆洗浄液として用い、第2個目以降の限外濾過フィルタを同様にして順次逆洗浄する機構を具備し、連続稼動時には複数個の限外濾過フィルタが定期的に順次逆洗浄される請求項7に記載の現像装置。
【請求項15】
前記限外濾過フィルタを複数個備え、第1個目の限外濾過フィルタ内の濃縮液の流れを通常状態で流れる方向とは反対の方向へ逆流させて濃縮液の流れを変化させることで限外濾過フィルタ内を洗浄し、第2個目以降の限外濾過フィルタについて順次同様にして濃縮液の流れを逆流させる機構を具備し、連続稼動時には複数個の限外濾過フィルタについて順次濃縮液の流れを逆流させる請求項1に記載の現像装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の現像装置を用い、前記現像槽において、前記現像液循環タンクから送られた現像液を用いて、被現像体の現像処理を行う現像方法。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれかに記載の現像装置を用い、前記限外濾過濃縮液タンクから現像液を定期的に廃棄し、この廃棄した現像液に相当する量の現像新液を前記現像液循環タンクに定期的に供給することによって液量バランスを維持する現像液循環方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−18943(P2011−18943A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230491(P2010−230491)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【分割の表示】特願2005−515016(P2005−515016)の分割
【原出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】