光学素子加工方法
【課題】加工対象となる光学素子の光学有効領域の大きさのために加工装置全体が大型化するのを防ぐ。
【解決手段】光学素子1の光学有効領域2を、分割線5によって複数の分割領域11〜14に分割し、各分割領域を、順次、イオンビーム4の加工可能領域3に位置合わせする。イオンビーム4を各分割領域においてラスター走査する工程をすべての分割領域11〜14において繰り返すことで、光学有効領域2の全面を加工する。イオンビーム4の走査範囲を縮小することで、加工装置全体を小型化できる。
【解決手段】光学素子1の光学有効領域2を、分割線5によって複数の分割領域11〜14に分割し、各分割領域を、順次、イオンビーム4の加工可能領域3に位置合わせする。イオンビーム4を各分割領域においてラスター走査する工程をすべての分割領域11〜14において繰り返すことで、光学有効領域2の全面を加工する。イオンビーム4の走査範囲を縮小することで、加工装置全体を小型化できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子表面の光学有効領域においてツールを走査させることで、光学素子の加工を行う光学素子加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学素子表面に所望の光学特性を満足する光学有効領域を形成するためには、光学有効領域の形状や粗さを一定以上の精度に加工する必要がある。光学有効領域の加工に用いるツール(加工手段)の種類や加工形態は、その光学素子のベース形状や目標とする加工精度に応じて選択される。例えば、平面や球面がベースの光学素子の場合、光学有効領域と同等の大きさか、光学有効領域よりも大きなツールを用意し、光学有効領域全面を一度に加工するという形態を取ることが多い。しかし、非球面形状や自由曲面形状がベースの光学素子の場合は、場所によって曲率が異なるため、通常は光学有効領域と同等の大きさのツールや、光学有効領域よりも大きなツールを適用することはできない。この場合は、加工対象とする光学有効領域よりも小さなスポット加工形状を有するツールを用意して、光学有効領域を走査させることで、光学有効領域全面を加工する。
【0003】
ツールの走査形態としては、ラスター走査やスパイラル走査などがある。また、しばしばツールを光学有効領域に対し一定の角度に保った状態で走査させる。
【0004】
光学有効領域に求められる形状や粗さの精度は、その光学素子の用途や扱う光の波長などで決定される。通常は、サブナノメートルから数百ナノメートルという非常に高い精度が求められる。光学有効領域よりも小さなスポット加工形状を有するツールを光学素子表面で走査させ、光学有効領域をこのような高い精度で加工する場合、ツールの走査経路は光学有効領域全域を包含する連続線とする(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−267244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようにツールの走査経路を光学有効領域全域を包含する連続線とするためには、加工手段の加工可能領域が、この連続線を描くのに必要な大きさを満足していなければならない。これはすなわち、加工対象となる光学有効領域の大きさで加工手段に求められる加工可能領域が制約され、加工装置全体の大きさにも影響を及ぼすということである。従来は、加工対象となる光学有効領域が大きくなればなるほど、加工装置に必要な加工可能領域も大きくなり、これが、加工装置小型化の大きな障害の一つとなっていた。
【0007】
本発明は、加工対象となる光学有効領域の大きさによって加工手段の加工可能領域が制約されることなく、加工装置の小型化を促進できる光学素子加工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の光学素子加工方法は、光学素子の光学有効領域を、前記光学有効領域よりも小さい加工領域を走査する加工手段によって加工する光学素子加工方法において、前記光学有効領域を分割線によって前記光学有効領域を分割することで、複数の分割領域を得る工程と、前記光学有効領域の前記複数の分割領域を、順次、前記加工手段の加工領域に位置合わせして、各分割領域を前記加工手段の走査によって加工する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
光学素子の光学有効領域が加工手段の加工領域よりも大きい場合に、光学有効領域を複数の分割領域に分割し、各分割領域を加工手段の加工領域に順次ステップ移動させ、加工手段を走査させる。加工装置には、1個分の分割領域を走査する加工領域を設けるだけでよいから、加工装置全体の大型化を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に係る光学素子加工方法を説明するもので、(a)は光学素子とイオンビームを示す斜視図、(b)はその平面図、(c)〜(f)は光学有効領域を4分割して加工する工程を示す工程図、(g)は従来例による加工方法を説明する図である。
【図2】イオンビームの加工可能領域を説明するもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図ある。
【図3】光学素子の第1の分割領域を加工する工程における光学素子及びイオンビームを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図4】光学素子の第2の分割領域を加工する工程における光学素子及びイオンビームを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図5】光学素子の第3の分割領域を加工する工程における光学素子及びイオンビームを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図6】光学素子の第4の分割領域を加工する工程における光学素子及びイオンビームを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図7】一変形例による光学素子加工方法を説明するもので、(a)は光学素子の全体形状を示す斜視図、(b)は光学有効領域の分割を説明する斜視図、(c)は光学有効領域の分割を説明する平面図である。
【図8】図7の光学素子の分割領域を示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図9】図7の光学素子を加工する工程を示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図10】イオンビームのラスター走査を説明するもので、(a)はイオンビームの加工可能領域における走査経路を示す平面図、(b)は光学素子の各分割領域における走査経路を示す平面図である。
【図11】一実施例に係る光学素子加工方法を示すもので、(a)は光学素子を示す立面図、(b)はその平面図である。
【図12】図11の実施例に係る加工装置を示す斜視図である。
【図13】図11の装置の動作を説明する図である。
【図14】図11の実施例による光学素子加工方法を説明する工程図である。
【図15】一従来例による光学素子加工方法を説明する図である。
【図16】図15の従来例に係る加工装置を示す斜視図である。
【図17】図16の装置を示す立面図である。
【図18】図16の装置の動作を示す立面図である。
【図19】図16の装置の別の動作を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1(a)〜(f)に示すように、光学素子1の光学有効領域2を、光学有効領域2よりも小さい加工可能領域(加工領域)3の範囲内で走査される加工手段であるイオンビーム4によって加工する。従来は、イオンビーム4を光学素子1の表面で走査させ、光学有効領域2を高い精度で加工する場合、図1(g)に示すように、イオンビーム4の走査経路50は、光学有効領域2の全域に及ぶ連続線としていた。このため、加工装置の加工可能領域3が、イオンビーム4に走査経路50を描かせるのに必要な大きさを満足していなければならず、加工可能領域3は加工対象とする光学有効領域2の大きさによって制約されることとなる。光学有効領域2が大きい場合は、加工装置の加工可能領域3もそれに合わせて大きくしなければならず、加工装置全体の小型化が困難であった。
【0012】
イオンビーム4と光学素子1が相対的に移動(走査)できる範囲である加工可能領域3は、加工装置に具備された駆動ステージの可動範囲や、イオンガンに設置された偏向電極が、イオンビーム4を偏向可能な範囲などで規定される。
【0013】
本実施形態においては、光学素子1の表面に定義された光学有効領域2の大きさは、図1(a)、(b)に示すように、加工装置の加工可能領域3よりも大きいため、光学有効領域2を分割線5によって複数の領域に分割して加工を行う。まず、分割線5により4分割された光学有効領域2の分割領域11〜14うちの、分割領域11を加工可能領域3に位置合わせする。そして、分割領域11のみをイオンビーム4の走査によって加工する。その後、光学素子1をステップ移動させ、順次、分割領域12、分割領域13、分割領域14を加工装置の加工可能領域3に位置合わせして、各分割領域をイオンビーム4の走査によって加工することで、光学有効領域2の全面の加工を完了させる。この方法によって、光学有効領域2が加工装置の加工可能領域3より大きくても、光学有効領域2の全面を加工することができる。加工装置の加工可能領域3は光学有効領域2の大きさに制約されないため、加工装置の小型化が可能となる。
【0014】
次に、本実施形態による光学素子加工方法を詳しく説明する。まず、図2に示すように、被加工物ステージ6の上方からイオンビーム4が照射され、イオンビーム4は、駆動ステージによって図示しないイオンガンが移動されることで、イオンビーム位置4a〜4d及びその内部の任意の位置に照射することができる。すなわち、イオンビーム4は、駆動ステージによって加工可能領域3を走査し、加工可能領域3の範囲内で光学素子1の加工を行う。
【0015】
図3に示すように、被加工物ステージ6に、被加工物である光学素子1が設置される。光学素子1の光学有効領域2が加工対象領域であるが、光学有効領域2は加工可能領域3よりも大きいため、まず、イオンビーム4の加工可能領域3を光学有効領域2の第1の分割領域11に位置合わせしてイオンビーム4を走査し、加工する。次に、図4に示すように、光学素子1を被加工物ステージ6上で矢印R1で示す方向にステップ移動させ、第2の分割領域12の加工を行う。さらに、図5に示すように、光学素子1を被加工物ステージ6上で矢印R2で示す方向にステップ移動させ、第3の分割領域13加工を行う。
【0016】
最後に、図6に示すように、光学素子1を被加工物ステージ6上で矢印R3で示す方向にステップ移動させ、第4の分割領域14の加工を行う。このようにして、光学有効領域2の全面を加工する。
【0017】
光学素子1を被加工物ステージ上でステップ移動させるだけで、光学有効領域2の全面を加工することができるため、加工装置の加工可能領域3は光学有効領域2の大きさに制約されることなく、加工装置の小型化が可能となる。
【0018】
なお、光学有効領域2及び加工可能領域3は矩形領域で表示したが、これに限定するものではない。また、光学有効領域2は4つの領域に分割して加工を行ったが、分割数や分割形状はこれに限定するものではない。矢印R1〜R3で示す光学素子1のステップ移動は、一度光学素子1を被加工物ステージ6上から取り外し、位置を変えて再度取り付けるという作業を人手で行う形態でもよいし、光学素子1を移動させる専用の機構を設けて行う形態でもよい。また、イオンビーム以外のツール(加工手段)を用いてもよい。イオンビーム4の加工可能領域3内での移動(走査)は、図示しないイオンガンを移動させることによるものとしたが、光学素子1を移動させる形態でもよいし、イオンガンと光学素子1の両方を移動させる形態でもよい。
【0019】
図7は、一変形例を示すもので、(a)に示すように、光学素子21の光学有効領域22は回転対称形状であり、(b)に示すように、光学有効領域22を、回転対称形状の回転対称軸(中心軸)27を含む平面28で複数の領域に分割する。その結果、光学有効領域22は、図7(c)に示すように、回転対称軸27を通る分割線25によって分割される。図8に示すように、回転対称軸27を通る分割線25は、互いに直行する2本の線であり、光学有効領域22は分割領域31〜34に4分割される。
【0020】
図9は、光学素子21を加工装置に設置した状態を示す。被加工物ステージ26の上に光学素子21が設置され、上方からイオンビーム24が照射される。イオンビーム24は図示しない駆動ステージによって走査され、加工可能領域23の範囲内で加工対象の加工を行う。光学有効領域22が加工対象の領域であるが、光学有効領域22は加工可能領域23よりも大きい。そこで、矢印R4で示す方向に光学素子21を被加工物ステージ26上で回転させ、順次、各分割領域ごとに90°回転させて位置合わせを行い、イオンビーム24による加工を行う。すべての分割領域の加工を同様に行うことで、光学有効領域22の全面を加工する。このように、光学素子21を被加工物ステージ上で回転させるだけで、光学有効領域22の全面を加工することができる。加工装置の加工可能領域23が光学有効領域22の大きさに制約されないため、加工装置の小型化が可能となる。
【0021】
なお、分割線25を互いに直行する2本の線とした場合を示したが、分割線の本数や、分割線のなす角はこれに限定されない。また、光学素子21の回転は、一度光学素子21を被加工物ステージ26上から取り外し、回転させて再度取り付けるという作業を人手で行う形態でもよいし、光学素子21を回転させる専用の回転機構を設けてもよい。また、光学有効領域22は回転対称形状の全部としたが、回転対称形状の一部であってもよい。
【0022】
光学素子22の回転方向は逆向きでも構わず、回転角度は90°でなくてもよい。また、イオンビーム24の代わりに他のツールを用いてもよい。イオンビーム24の加工可能領域23内での移動(走査)は、図示しないイオンガンを移動させることによるものとしたが、光学素子21を移動させる形態でもよいし、イオンガンと光学素子21の両方を移動させる形態でもよい。
【0023】
図10は、図1に示した加工可能領域3において、イオンビーム4を走査経路40に沿ってラスター走査させる形態を示す。ラスター走査は、ライン走査を往復状に繰り返し、ラインを徐々にずらしていくことによって、所望の面内を走査する走査形態である。図10(a)に示すように、ラスター走査は、その形態上、ラインとラインをつなぐステップ部41が必要となる。光学有効領域2は、イオンビーム4を走査できる加工可能領域3よりも大きいため、光学有効領域2を複数の領域に分割して全面の加工を行う。ラスター走査で所望の加工形状を得るために重要なのはライン部分であり、ステップ部41では予期せぬ除去が生じ加工精度が劣化するため、通常は、図10(b)に示すように、光学有効領域2の外に配置する。しかし、光学有効領域2内にあるステップ部42のために加工精度が劣化する。これを防ぐため、光学有効領域2内のステップ部42ではイオンビーム4の照射を停止するか、あるいは照射量を低下させ、ステップ部42の影響を排除又は低減する。このようにして、光学有効領域2の加工精度を保つことができる。
【0024】
光学有効領域2内のステップ部42で照射を停止あるいは低減させるためには、ビーム形態又はジェット形態のツールが有効である。イオンビーム4のラスター走査は、イオンガンを走査させることによるものとしたが、光学素子1を走査させる形態でもよいし、イオンガンと光学素子1の両方を走査させる形態でもよい。
【実施例】
【0025】
図11に示すように、光学素子である凸レンズ101に、光学有効領域102より小さい加工可能領域(加工領域)103を有するイオンビーム104を照射し、光学有効領域102の形状を加工する。凸レンズ101を加工するイオンビーム104は、後述するように、光学有効領域102を4分割した分割領域111〜114をそれぞれ走査経路140に沿って走査する。凸レンズ101の外径は225mm、光学有効領域102の直径は200mmであり、凸レンズ101の凸半径は200mmである。走査経路140はラスター走査とし、光学有効領域102の内側におけるラスター走査のラインとラインをつなぐステップ部142では、イオンビーム104の照射を遮断した。
【0026】
図12は加工装置を示すもので、凸レンズ101は、被加工物ステージ106により、光学面を−Z方向に向けて設置されている。被加工物ステージ106には回転機構が設けられており、Z軸回りに回転可能となっている。凸レンズ101の中心軸と被加工物ステージ106の回転軸は一致させた。凸レンズ101に対向する位置に、イオンガン121が設置されている。イオンガン121からはイオンビーム104が射出される。イオンガン121は5軸ステージ上に設置され、水平移動を司るXステージ122とYステージ123、垂直方向移動を司るZステージ124、X軸周りの回転機構125とY軸周りの回転機構126の2つの回転機構によって、3次元動作が可能となっている。加工プロセスを安定させ、高精度な加工を実現するため、イオンガン121を凸レンズ101に対し常に一定距離に保ち、イオンビーム104は凸レンズ101に対し常に垂直に入射させる。被加工物ステージ106側とイオンガン121側はフレーム127により一体となっている。これら装置全体は真空チャンバー128に包含されており、加工環境全体が高真空に保たれている。
【0027】
まず初めに、分割領域111〜114の一つ目を加工した。このとき、X方向の加工領域は凸レンズ101の中心から+X方向の半分だけである。この加工装置に求められるXステージ駆動領域は、図13(a)に示す位置から(b)に示す位置までの範囲となる。今回加工した凸レンズ101においては、必要となったXステージ全長は500mmであった。Y方向に関しても全く同様で、加工領域は凸レンズ101の中心から+Y方向の半分だけでよく、必要となったYステージ全長は500mmであった。
【0028】
続いて、被加工物ステージ106をZ軸周りに90°回転させ、図14に示すように一回目に加工した分割領域111と隣り合う分割領域112の加工を行った。この加工は、分割領域111を加工したときと同じ走査経路140でよく、加工装置に求められるXYステージ駆動領域も同じである。以下同様に、分割領域113、114の加工を行い、光学有効領域102全面の加工を完了した。
【0029】
ステップ部142でイオンビーム104の照射を遮断したことにより、分割領域のつなぎ目でも加工し過ぎや加工足らずは発生せず、良好な形状精度を達成できた。
【0030】
比較のために、従来例によって光学素子101を加工した場合を説明する。図15に示すように、光学有効領域102を分割せずに走査経路150に沿ってラスター走査により一度に加工するため、加工装置に求められるステージ駆動領域も大きくなる。この場合の加工装置は、図16に示すように、Xステージ222とYステージ223には、より大きな駆動領域が求められる。被加工物ステージ206、Zステージ224、X、Y軸回りの回転機構225、226、フレーム227等は、図12に示す加工装置と同様である。この構成では、Xステージ222に関しては、加工範囲全てをカバーする駆動領域が必要であり、凸レンズ101の加工においては、Xステージ222の全長は800mm必要であり、Yステージ223に関しても全く同様で800mmの全長が必要であった。
【0031】
XYステージ平面で考えると、光学有効領域を一括で行う従来例では800mm×800mmであったのに対し、本実施例による分割領域での加工では500mm×500mmであるから、面積比で約60%の低減がなされ、加工装置を大幅に小型化できた。
【0032】
なお、イオンビームの代わりに、電子ビーム、レーザービーム、磁性流体、磁性流体ジェット、液体ジェット、プラズマジェット、研磨パッド、研削砥石、EEM工具(EEM:Elastic Emission Machining)などを用いてもよい。ステップ部で加工能力を停止又は低下させることを考えると、特にビーム系のツール及びジェット系のツールが適している。また、走査経路は直線と直線を直角に連結させ、外周から順に内周に向かって走査する形態で示したが、ラスター走査やスパイラル走査、もしくは自由曲線で描かれた走査などでもよい。光学素子は直方体、光学有効領域は矩形の平面形状で示したが、光学素子は円錐体や球体などあらゆる形状が考えられ、光学有効領域も球面形状、非球面形状、自由曲面形状など、様々な形状のものがある。光学素子の材質は金属やガラスや樹脂などであり、光学有効領域の機能は反射ミラー、透過レンズなどである。
【符号の説明】
【0033】
1、21 光学素子
2、22、102 光学有効領域
3、23、103 加工可能領域
4、24、104 イオンビーム
5、25、105 分割線
6、26、106 被加工物ステージ
11〜14、31〜34、111〜114 分割領域
40、140 走査経路
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子表面の光学有効領域においてツールを走査させることで、光学素子の加工を行う光学素子加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学素子表面に所望の光学特性を満足する光学有効領域を形成するためには、光学有効領域の形状や粗さを一定以上の精度に加工する必要がある。光学有効領域の加工に用いるツール(加工手段)の種類や加工形態は、その光学素子のベース形状や目標とする加工精度に応じて選択される。例えば、平面や球面がベースの光学素子の場合、光学有効領域と同等の大きさか、光学有効領域よりも大きなツールを用意し、光学有効領域全面を一度に加工するという形態を取ることが多い。しかし、非球面形状や自由曲面形状がベースの光学素子の場合は、場所によって曲率が異なるため、通常は光学有効領域と同等の大きさのツールや、光学有効領域よりも大きなツールを適用することはできない。この場合は、加工対象とする光学有効領域よりも小さなスポット加工形状を有するツールを用意して、光学有効領域を走査させることで、光学有効領域全面を加工する。
【0003】
ツールの走査形態としては、ラスター走査やスパイラル走査などがある。また、しばしばツールを光学有効領域に対し一定の角度に保った状態で走査させる。
【0004】
光学有効領域に求められる形状や粗さの精度は、その光学素子の用途や扱う光の波長などで決定される。通常は、サブナノメートルから数百ナノメートルという非常に高い精度が求められる。光学有効領域よりも小さなスポット加工形状を有するツールを光学素子表面で走査させ、光学有効領域をこのような高い精度で加工する場合、ツールの走査経路は光学有効領域全域を包含する連続線とする(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−267244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようにツールの走査経路を光学有効領域全域を包含する連続線とするためには、加工手段の加工可能領域が、この連続線を描くのに必要な大きさを満足していなければならない。これはすなわち、加工対象となる光学有効領域の大きさで加工手段に求められる加工可能領域が制約され、加工装置全体の大きさにも影響を及ぼすということである。従来は、加工対象となる光学有効領域が大きくなればなるほど、加工装置に必要な加工可能領域も大きくなり、これが、加工装置小型化の大きな障害の一つとなっていた。
【0007】
本発明は、加工対象となる光学有効領域の大きさによって加工手段の加工可能領域が制約されることなく、加工装置の小型化を促進できる光学素子加工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の光学素子加工方法は、光学素子の光学有効領域を、前記光学有効領域よりも小さい加工領域を走査する加工手段によって加工する光学素子加工方法において、前記光学有効領域を分割線によって前記光学有効領域を分割することで、複数の分割領域を得る工程と、前記光学有効領域の前記複数の分割領域を、順次、前記加工手段の加工領域に位置合わせして、各分割領域を前記加工手段の走査によって加工する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
光学素子の光学有効領域が加工手段の加工領域よりも大きい場合に、光学有効領域を複数の分割領域に分割し、各分割領域を加工手段の加工領域に順次ステップ移動させ、加工手段を走査させる。加工装置には、1個分の分割領域を走査する加工領域を設けるだけでよいから、加工装置全体の大型化を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に係る光学素子加工方法を説明するもので、(a)は光学素子とイオンビームを示す斜視図、(b)はその平面図、(c)〜(f)は光学有効領域を4分割して加工する工程を示す工程図、(g)は従来例による加工方法を説明する図である。
【図2】イオンビームの加工可能領域を説明するもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図ある。
【図3】光学素子の第1の分割領域を加工する工程における光学素子及びイオンビームを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図4】光学素子の第2の分割領域を加工する工程における光学素子及びイオンビームを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図5】光学素子の第3の分割領域を加工する工程における光学素子及びイオンビームを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図6】光学素子の第4の分割領域を加工する工程における光学素子及びイオンビームを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図7】一変形例による光学素子加工方法を説明するもので、(a)は光学素子の全体形状を示す斜視図、(b)は光学有効領域の分割を説明する斜視図、(c)は光学有効領域の分割を説明する平面図である。
【図8】図7の光学素子の分割領域を示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図9】図7の光学素子を加工する工程を示すもので、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図10】イオンビームのラスター走査を説明するもので、(a)はイオンビームの加工可能領域における走査経路を示す平面図、(b)は光学素子の各分割領域における走査経路を示す平面図である。
【図11】一実施例に係る光学素子加工方法を示すもので、(a)は光学素子を示す立面図、(b)はその平面図である。
【図12】図11の実施例に係る加工装置を示す斜視図である。
【図13】図11の装置の動作を説明する図である。
【図14】図11の実施例による光学素子加工方法を説明する工程図である。
【図15】一従来例による光学素子加工方法を説明する図である。
【図16】図15の従来例に係る加工装置を示す斜視図である。
【図17】図16の装置を示す立面図である。
【図18】図16の装置の動作を示す立面図である。
【図19】図16の装置の別の動作を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1(a)〜(f)に示すように、光学素子1の光学有効領域2を、光学有効領域2よりも小さい加工可能領域(加工領域)3の範囲内で走査される加工手段であるイオンビーム4によって加工する。従来は、イオンビーム4を光学素子1の表面で走査させ、光学有効領域2を高い精度で加工する場合、図1(g)に示すように、イオンビーム4の走査経路50は、光学有効領域2の全域に及ぶ連続線としていた。このため、加工装置の加工可能領域3が、イオンビーム4に走査経路50を描かせるのに必要な大きさを満足していなければならず、加工可能領域3は加工対象とする光学有効領域2の大きさによって制約されることとなる。光学有効領域2が大きい場合は、加工装置の加工可能領域3もそれに合わせて大きくしなければならず、加工装置全体の小型化が困難であった。
【0012】
イオンビーム4と光学素子1が相対的に移動(走査)できる範囲である加工可能領域3は、加工装置に具備された駆動ステージの可動範囲や、イオンガンに設置された偏向電極が、イオンビーム4を偏向可能な範囲などで規定される。
【0013】
本実施形態においては、光学素子1の表面に定義された光学有効領域2の大きさは、図1(a)、(b)に示すように、加工装置の加工可能領域3よりも大きいため、光学有効領域2を分割線5によって複数の領域に分割して加工を行う。まず、分割線5により4分割された光学有効領域2の分割領域11〜14うちの、分割領域11を加工可能領域3に位置合わせする。そして、分割領域11のみをイオンビーム4の走査によって加工する。その後、光学素子1をステップ移動させ、順次、分割領域12、分割領域13、分割領域14を加工装置の加工可能領域3に位置合わせして、各分割領域をイオンビーム4の走査によって加工することで、光学有効領域2の全面の加工を完了させる。この方法によって、光学有効領域2が加工装置の加工可能領域3より大きくても、光学有効領域2の全面を加工することができる。加工装置の加工可能領域3は光学有効領域2の大きさに制約されないため、加工装置の小型化が可能となる。
【0014】
次に、本実施形態による光学素子加工方法を詳しく説明する。まず、図2に示すように、被加工物ステージ6の上方からイオンビーム4が照射され、イオンビーム4は、駆動ステージによって図示しないイオンガンが移動されることで、イオンビーム位置4a〜4d及びその内部の任意の位置に照射することができる。すなわち、イオンビーム4は、駆動ステージによって加工可能領域3を走査し、加工可能領域3の範囲内で光学素子1の加工を行う。
【0015】
図3に示すように、被加工物ステージ6に、被加工物である光学素子1が設置される。光学素子1の光学有効領域2が加工対象領域であるが、光学有効領域2は加工可能領域3よりも大きいため、まず、イオンビーム4の加工可能領域3を光学有効領域2の第1の分割領域11に位置合わせしてイオンビーム4を走査し、加工する。次に、図4に示すように、光学素子1を被加工物ステージ6上で矢印R1で示す方向にステップ移動させ、第2の分割領域12の加工を行う。さらに、図5に示すように、光学素子1を被加工物ステージ6上で矢印R2で示す方向にステップ移動させ、第3の分割領域13加工を行う。
【0016】
最後に、図6に示すように、光学素子1を被加工物ステージ6上で矢印R3で示す方向にステップ移動させ、第4の分割領域14の加工を行う。このようにして、光学有効領域2の全面を加工する。
【0017】
光学素子1を被加工物ステージ上でステップ移動させるだけで、光学有効領域2の全面を加工することができるため、加工装置の加工可能領域3は光学有効領域2の大きさに制約されることなく、加工装置の小型化が可能となる。
【0018】
なお、光学有効領域2及び加工可能領域3は矩形領域で表示したが、これに限定するものではない。また、光学有効領域2は4つの領域に分割して加工を行ったが、分割数や分割形状はこれに限定するものではない。矢印R1〜R3で示す光学素子1のステップ移動は、一度光学素子1を被加工物ステージ6上から取り外し、位置を変えて再度取り付けるという作業を人手で行う形態でもよいし、光学素子1を移動させる専用の機構を設けて行う形態でもよい。また、イオンビーム以外のツール(加工手段)を用いてもよい。イオンビーム4の加工可能領域3内での移動(走査)は、図示しないイオンガンを移動させることによるものとしたが、光学素子1を移動させる形態でもよいし、イオンガンと光学素子1の両方を移動させる形態でもよい。
【0019】
図7は、一変形例を示すもので、(a)に示すように、光学素子21の光学有効領域22は回転対称形状であり、(b)に示すように、光学有効領域22を、回転対称形状の回転対称軸(中心軸)27を含む平面28で複数の領域に分割する。その結果、光学有効領域22は、図7(c)に示すように、回転対称軸27を通る分割線25によって分割される。図8に示すように、回転対称軸27を通る分割線25は、互いに直行する2本の線であり、光学有効領域22は分割領域31〜34に4分割される。
【0020】
図9は、光学素子21を加工装置に設置した状態を示す。被加工物ステージ26の上に光学素子21が設置され、上方からイオンビーム24が照射される。イオンビーム24は図示しない駆動ステージによって走査され、加工可能領域23の範囲内で加工対象の加工を行う。光学有効領域22が加工対象の領域であるが、光学有効領域22は加工可能領域23よりも大きい。そこで、矢印R4で示す方向に光学素子21を被加工物ステージ26上で回転させ、順次、各分割領域ごとに90°回転させて位置合わせを行い、イオンビーム24による加工を行う。すべての分割領域の加工を同様に行うことで、光学有効領域22の全面を加工する。このように、光学素子21を被加工物ステージ上で回転させるだけで、光学有効領域22の全面を加工することができる。加工装置の加工可能領域23が光学有効領域22の大きさに制約されないため、加工装置の小型化が可能となる。
【0021】
なお、分割線25を互いに直行する2本の線とした場合を示したが、分割線の本数や、分割線のなす角はこれに限定されない。また、光学素子21の回転は、一度光学素子21を被加工物ステージ26上から取り外し、回転させて再度取り付けるという作業を人手で行う形態でもよいし、光学素子21を回転させる専用の回転機構を設けてもよい。また、光学有効領域22は回転対称形状の全部としたが、回転対称形状の一部であってもよい。
【0022】
光学素子22の回転方向は逆向きでも構わず、回転角度は90°でなくてもよい。また、イオンビーム24の代わりに他のツールを用いてもよい。イオンビーム24の加工可能領域23内での移動(走査)は、図示しないイオンガンを移動させることによるものとしたが、光学素子21を移動させる形態でもよいし、イオンガンと光学素子21の両方を移動させる形態でもよい。
【0023】
図10は、図1に示した加工可能領域3において、イオンビーム4を走査経路40に沿ってラスター走査させる形態を示す。ラスター走査は、ライン走査を往復状に繰り返し、ラインを徐々にずらしていくことによって、所望の面内を走査する走査形態である。図10(a)に示すように、ラスター走査は、その形態上、ラインとラインをつなぐステップ部41が必要となる。光学有効領域2は、イオンビーム4を走査できる加工可能領域3よりも大きいため、光学有効領域2を複数の領域に分割して全面の加工を行う。ラスター走査で所望の加工形状を得るために重要なのはライン部分であり、ステップ部41では予期せぬ除去が生じ加工精度が劣化するため、通常は、図10(b)に示すように、光学有効領域2の外に配置する。しかし、光学有効領域2内にあるステップ部42のために加工精度が劣化する。これを防ぐため、光学有効領域2内のステップ部42ではイオンビーム4の照射を停止するか、あるいは照射量を低下させ、ステップ部42の影響を排除又は低減する。このようにして、光学有効領域2の加工精度を保つことができる。
【0024】
光学有効領域2内のステップ部42で照射を停止あるいは低減させるためには、ビーム形態又はジェット形態のツールが有効である。イオンビーム4のラスター走査は、イオンガンを走査させることによるものとしたが、光学素子1を走査させる形態でもよいし、イオンガンと光学素子1の両方を走査させる形態でもよい。
【実施例】
【0025】
図11に示すように、光学素子である凸レンズ101に、光学有効領域102より小さい加工可能領域(加工領域)103を有するイオンビーム104を照射し、光学有効領域102の形状を加工する。凸レンズ101を加工するイオンビーム104は、後述するように、光学有効領域102を4分割した分割領域111〜114をそれぞれ走査経路140に沿って走査する。凸レンズ101の外径は225mm、光学有効領域102の直径は200mmであり、凸レンズ101の凸半径は200mmである。走査経路140はラスター走査とし、光学有効領域102の内側におけるラスター走査のラインとラインをつなぐステップ部142では、イオンビーム104の照射を遮断した。
【0026】
図12は加工装置を示すもので、凸レンズ101は、被加工物ステージ106により、光学面を−Z方向に向けて設置されている。被加工物ステージ106には回転機構が設けられており、Z軸回りに回転可能となっている。凸レンズ101の中心軸と被加工物ステージ106の回転軸は一致させた。凸レンズ101に対向する位置に、イオンガン121が設置されている。イオンガン121からはイオンビーム104が射出される。イオンガン121は5軸ステージ上に設置され、水平移動を司るXステージ122とYステージ123、垂直方向移動を司るZステージ124、X軸周りの回転機構125とY軸周りの回転機構126の2つの回転機構によって、3次元動作が可能となっている。加工プロセスを安定させ、高精度な加工を実現するため、イオンガン121を凸レンズ101に対し常に一定距離に保ち、イオンビーム104は凸レンズ101に対し常に垂直に入射させる。被加工物ステージ106側とイオンガン121側はフレーム127により一体となっている。これら装置全体は真空チャンバー128に包含されており、加工環境全体が高真空に保たれている。
【0027】
まず初めに、分割領域111〜114の一つ目を加工した。このとき、X方向の加工領域は凸レンズ101の中心から+X方向の半分だけである。この加工装置に求められるXステージ駆動領域は、図13(a)に示す位置から(b)に示す位置までの範囲となる。今回加工した凸レンズ101においては、必要となったXステージ全長は500mmであった。Y方向に関しても全く同様で、加工領域は凸レンズ101の中心から+Y方向の半分だけでよく、必要となったYステージ全長は500mmであった。
【0028】
続いて、被加工物ステージ106をZ軸周りに90°回転させ、図14に示すように一回目に加工した分割領域111と隣り合う分割領域112の加工を行った。この加工は、分割領域111を加工したときと同じ走査経路140でよく、加工装置に求められるXYステージ駆動領域も同じである。以下同様に、分割領域113、114の加工を行い、光学有効領域102全面の加工を完了した。
【0029】
ステップ部142でイオンビーム104の照射を遮断したことにより、分割領域のつなぎ目でも加工し過ぎや加工足らずは発生せず、良好な形状精度を達成できた。
【0030】
比較のために、従来例によって光学素子101を加工した場合を説明する。図15に示すように、光学有効領域102を分割せずに走査経路150に沿ってラスター走査により一度に加工するため、加工装置に求められるステージ駆動領域も大きくなる。この場合の加工装置は、図16に示すように、Xステージ222とYステージ223には、より大きな駆動領域が求められる。被加工物ステージ206、Zステージ224、X、Y軸回りの回転機構225、226、フレーム227等は、図12に示す加工装置と同様である。この構成では、Xステージ222に関しては、加工範囲全てをカバーする駆動領域が必要であり、凸レンズ101の加工においては、Xステージ222の全長は800mm必要であり、Yステージ223に関しても全く同様で800mmの全長が必要であった。
【0031】
XYステージ平面で考えると、光学有効領域を一括で行う従来例では800mm×800mmであったのに対し、本実施例による分割領域での加工では500mm×500mmであるから、面積比で約60%の低減がなされ、加工装置を大幅に小型化できた。
【0032】
なお、イオンビームの代わりに、電子ビーム、レーザービーム、磁性流体、磁性流体ジェット、液体ジェット、プラズマジェット、研磨パッド、研削砥石、EEM工具(EEM:Elastic Emission Machining)などを用いてもよい。ステップ部で加工能力を停止又は低下させることを考えると、特にビーム系のツール及びジェット系のツールが適している。また、走査経路は直線と直線を直角に連結させ、外周から順に内周に向かって走査する形態で示したが、ラスター走査やスパイラル走査、もしくは自由曲線で描かれた走査などでもよい。光学素子は直方体、光学有効領域は矩形の平面形状で示したが、光学素子は円錐体や球体などあらゆる形状が考えられ、光学有効領域も球面形状、非球面形状、自由曲面形状など、様々な形状のものがある。光学素子の材質は金属やガラスや樹脂などであり、光学有効領域の機能は反射ミラー、透過レンズなどである。
【符号の説明】
【0033】
1、21 光学素子
2、22、102 光学有効領域
3、23、103 加工可能領域
4、24、104 イオンビーム
5、25、105 分割線
6、26、106 被加工物ステージ
11〜14、31〜34、111〜114 分割領域
40、140 走査経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子の光学有効領域を、前記光学有効領域よりも小さい加工領域を走査する加工手段によって加工する光学素子加工方法において、
前記光学有効領域を分割線によって前記光学有効領域を分割することで、複数の分割領域を得る工程と、
前記光学有効領域の前記複数の分割領域を、順次、前記加工手段の加工領域に位置合わせして、各分割領域を前記加工手段の走査によって加工する工程と、を有することを特徴とする光学素子加工方法。
【請求項2】
各分割領域において、前記加工手段をラスター走査することを特徴とする請求項1に記載の光学素子加工方法。
【請求項3】
前記加工手段が、前記光学素子の表面を加工するイオンビームであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子加工方法。
【請求項1】
光学素子の光学有効領域を、前記光学有効領域よりも小さい加工領域を走査する加工手段によって加工する光学素子加工方法において、
前記光学有効領域を分割線によって前記光学有効領域を分割することで、複数の分割領域を得る工程と、
前記光学有効領域の前記複数の分割領域を、順次、前記加工手段の加工領域に位置合わせして、各分割領域を前記加工手段の走査によって加工する工程と、を有することを特徴とする光学素子加工方法。
【請求項2】
各分割領域において、前記加工手段をラスター走査することを特徴とする請求項1に記載の光学素子加工方法。
【請求項3】
前記加工手段が、前記光学素子の表面を加工するイオンビームであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−279974(P2010−279974A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135771(P2009−135771)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「極端紫外線露光システムの基盤技術開発/EUV露光装置用非球面加工技術およびコンタミネーション制御技術の研究開発(継続研究)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「極端紫外線露光システムの基盤技術開発/EUV露光装置用非球面加工技術およびコンタミネーション制御技術の研究開発(継続研究)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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