説明

光学装置および撮像装置

【課題】電波受信性能が高い光学装置。
【解決手段】光学装置であって、観察像を結像させる光学系と、光学系の非使用時に光学系の端部を遮蔽し、光学系の使用時に光学系を露出するレンズカバーと、レンズカバーに設けられた、電波を受信する電波受信部とを備える。上記光学装置において、レンズカバーは、光学系の使用時において、非使用時における遮蔽位置よりも光学装置のノイズ発生源から遠い展開位置に変位されてもよい。また、上記光学装置において、電波受信部は、光学系の使用時における姿勢に対して天面となる位置に配設されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System:汎地球測位システム)ユニットを搭載して、位置検出機能を有する光学装置がある(特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2003−315890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学装置に搭載されたGPSユニットは、光学装置自体が実装する電子回路から生じた電磁ノイズによりGPS信号の受信性能が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決すべく、本発明の第一態様として、観察像を結像させる光学系と、光学系の非使用時に光学系の端部を遮蔽し、光学系の使用時に光学系を露出するレンズカバーと、レンズカバーに設けられた、電波を受信する電波受信部とを備える光学装置が提供される。
【0005】
また、本発明の第2態様として、上記光学装置であって、光学系により結像された観察像を光電変換する撮像素子と、撮像素子が出力する画像信号を画像データへ処理する画像処理部とを備え、画像処理部は、電波受信部により取得された情報を画像データに関連付ける撮像装置が提供される。
【0006】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これら特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カメラ100の正面図である。
【図2】カメラ100の平面図である。
【図3】カメラ100のブロック図である。
【図4】カメラ100の正面図である。
【図5】カメラ100の平面図である。
【図6】カメラ100の背面図である。
【図7】カメラ100の内部レイアウトを示す模式図である。
【図8】カメラ100の正面図である。
【図9】カメラ101の正面図である。
【図10】カメラ101の正面図である。
【図11】カメラ101の正面図である。
【図12】カメラ102の正面図である。
【図13】カメラ102の正面図である。
【図14】カメラ102の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、カメラ100の正面図である。カメラ100は、筐体110、レリーズボタン140、レンズカバー150およびGPSユニット160を備える。
【0010】
筐体110は、前面にグリップ部112を有する。グリップ部112は、筐体110の前面から隆起して、ユーザが右手で筐体110を把持する場合に指をかける。ユーザがカメラ100を通常使用するときには、レリーズ釦140が配された面が天面となる。この通常使用のときの天空の方向を上方と定義する。
【0011】
レンズカバー150は、筐体110に水平に配されたガイドレール114に対して摺動可能に支持される。レンズカバー150は、筐体110の前面を半分以上覆う。筐体110の前面においては、光学系120の一端と発光窓130が、レンズカバー150により覆われている。
【0012】
よって、レンズカバー150が閉じた状態では、レンズカバー150により遮蔽された光学系120を使用することはできず、撮影することができない。また、レンズカバー150により遮蔽された発光窓130が生じる閃光により被写体を照明することはできない。このように、図示のカメラ100においては、レンズカバー150が遮蔽位置にある。
【0013】
GPSユニット160は、レンズカバー150の上端に配される。GPSユニット160は、レンズカバー150に対して取り付けられており、レンズカバー150が移動する場合は、レンズカバー150と共に移動する。ただし、図示の通り、レンズカバー150が遮蔽位置にある場合、GPSユニット160は、筐体110の角部に位置する。
【0014】
図2は、レンズカバー150が閉じた状態におけるカメラ100の平面図である。図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0015】
図示のように、カメラ100において、レンズカバー150は、筐体110の上面も半分以上覆っている。なお、図示は省いたが、レンズカバー150は、筐体110の下面も半分以上覆っている。
【0016】
また、カメラ100において、GPSユニット160は、レンズカバー150の上面において図中右端に配される。GPSユニット160の上面は全体に、レンズカバー150の上面に露出している。よって、カメラ100が使用される姿勢になった場合、GPSユニット160は直接に天空を向く。
【0017】
図3は、カメラ100の内部構造200を示すブロック図である。カメラ100は、光学系120に隣接して配された撮像部210と、電子部品が実装された主基板202と、主基板202上のバス201に接続されたフラッシュユニット132、姿勢センサ270、音声インターフェース330、画像表示インターフェース340等を備える。
【0018】
光学系120は、撮影レンズ122を含み、入射した被写体光束を撮像部210に導く。光学系120に光学的に結合された撮像部210は撮像素子212を有する。撮像素子212は、光学系120が結像した被写体像をアナログの電気信号に光電変換する。撮像素子212は、筐体に対して固定される。撮像素子212としては、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の光電変換素子が用いられる。
【0019】
主基板202には、信号処理回路220および画像処理回路230が実装される。撮像部210においてアナログの電気信号に変換された被写体像は、信号処理回路220においてデジタル化され、画像処理回路230において画像データ化される。
【0020】
また、画像処理回路230は、画像データを生成する過程で、画像のホワイトバランス、シャープネス、ガンマ、階調補正、圧縮等を調整する。生成された画像データは、当該画像を撮影したときの撮影条件、時刻等の情報と共に、ソケット290に着脱可能に装着された二次記憶媒体292に保存される。
【0021】
主基板202には、プログラムメモリ240、メインメモリ250およびCPU260も実装される。プログラムメモリ240は、不揮発性記憶媒体または読出専用記憶媒体を含み、カメラ100のファームウエア、IDデータ等を格納する。プログラムメモリ240に格納されたプログラムは、メインメモリ250にロードされてCPU260により実行される。CPU260は、ファームウエアとして供給されるプログラムに従って、カメラ100全体の動作を包括的に制御する。
【0022】
主基板202には、モータ駆動部280、ソケット290、入力部310および電源回路320も実装される。モータ駆動部280は、光学系120を合焦または変倍させる場合に、CPU260の指示に従って撮影レンズ122を移動させるレンズ駆動モータ282に駆動電力を供給する。
【0023】
ソケット290は、二次記憶媒体292を挿抜自在に保持する。ソケット290に挿入された二次記憶媒体292は、画像処理回路230により生成された画像データ等を格納する。例えば、この二次記憶媒体はメモリーカード等である。
【0024】
入力部310は、レリーズボタン140、操作部142等を通じて入力されたユーザの指示を受け付けて保持する。CPU260は、入力部310を参照することにより、ユーザの指示に応じた設定値に従って制御を実行する。
【0025】
電源回路320は、CPU260の制御の下に、電池322から供給される電力をカメラ100全体に供給する。このように、CPU260は、電源回路320を通じてカメラ100の電力も管理する。
【0026】
バス201には、筐体110内に配された姿勢センサ270、フラッシュユニット132、GPSユニット160等も接続される。姿勢センサ270は、カメラ100の筐体110の、重力方向に対する傾斜を検出する。フラッシュユニット132は、撮像部210が被写体像を撮像するタイミングに合わせて発光窓130から閃光を発生して被写体を照明する。
【0027】
GPSユニット160は、GPS衛星の発信した電波によるGPS信号を受信するアンテナ162と、アンテナ162により受信したGPS信号を測位演算して、カメラ100の位置情報を算出する演算部とを有する。CPU260の指示により、このカメラ100の位置情報の算出は所定時間毎(例えば10秒毎)に実行され、算出された位置情報、および、当該位置情報を測位した時刻の情報は、メインメモリに一時記憶される。このメインメモリに一時記憶された位置情報、および、当該位置情報を測位した時刻の情報はCPU260から参照される。また、CPU260の指示に従って、位置情報、および、当該位置情報を測位した時刻の情報は、記録用の画像データと共に二次記憶媒体292に保存される。
【0028】
保存された位置情報は、例えば、カメラ100における画像の撮影時刻と照合することにより、当該画像を撮影した場所を特定する情報となる。また、定期的に位置情報を保存することにより、撮影者の移動軌跡を記録できる。このように、カメラ100は、GPSユニット160が算出した位置情報を利用する。
【0029】
なお、衛星軌道のGPS衛星から送信されたGPS信号は減衰しており、アンテナが受信するGPS信号の信号強度は低い。このため、地上のGPSユニット160は電磁雑音の影響を受けて測位精度が低下する場合がある。
【0030】
音声I/F330は、デジタル/アナログ変換器等を介して、バス201をスピーカ332に結合する。これにより、CPU260は、合成した告知、警告等を、スピーカ332から音声として出力させることができる。
【0031】
画像表示I/F340は、デジタル/アナログ変換器等を介して、バス201を背面表示部170に結合する。これにより、CPU260は、合成した文字および画像を、背面表示部170に表示させることができる。
【0032】
背面表示部170の表示内容は、カメラ100に対する設定値、電源の消費状態、撮像した画像等、多肢にわたる。また、背面表示部170には、カメラ100に各種の設定値を入力する場合の選択肢としてメニューが表示される場合もある。更に、再生モードにおいては、カメラ100により撮像された画像が背面表示部170に表示される。
【0033】
上記のようなカメラ100の電源が投入された状態で、レリーズボタン140が半押しされると、自動合焦機構および自動露出機構が動作して撮影可能な状態になる。更に、レリーズボタン140が全押しされると、その時点で光学系120に入射していた被写体光束から画像が記録用の画像として撮像され、記録用の画像データが取得される。そして、上述したように、CPU260はメインメモリに記録されている最新の位置情報、および、当該位置情報を測位した時刻の情報を記録用の画像データに関連付けて二次記憶媒体292に保存する制御を実行する。例えば、CPU260は、Exchangeable Image File Formatの形式で、画像データと位置情報と当該位置情報を測位した時刻の情報とを1つのファイルとして二次記憶媒体292に記憶させるよう制御する。
【0034】
図4および図5は、カメラ100の正面図および平面図であり、レンズカバー150が開いた状態を示す。図1および図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0035】
図示の状態では、筐体110に対して、レンズカバー150がガイドレール114に沿って図中右方に移動し、筐体110の外側へ展開した展開位置にある。これにより、発光窓130および光学系120の一端が筐体110前面に露出している。また、GPSユニット160は、レンズカバー150と共に図中右方に移動して、筐体110から離れた位置に移動している。
【0036】
このように、レンズカバー150が展開位置にある状態では、光学系120を使用して被写体像を撮影することができる。また、発光窓130から照射した閃光により被写体を照明できる。よって、レンズカバー150を遮蔽位置から展開位置に移動させる操作を、カメラ100の電源スイッチと連動させてもよい。
【0037】
図6は、図4および図5に示した状態のカメラ100の背面図であり、レンズカバー150が展開位置にある状態を示す。ここまでに説明した要素と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0038】
カメラ100において、筐体110の背面には背面表示部170が配される。一方、レンズカバー150の背面には切欠き155が設けられる。これにより、レンズカバー150が遮蔽位置に移動した場合も、レンズカバー150が背面表示部170の表示領域を遮ることがない。
【0039】
また、背面側に設けられた切欠き155により、展開位置にあるレンズカバー150においては、レンズカバー150の前側内面157が、背面表示部170の図中左側に露出する。前側内面157には、複数のボタンを含む操作部142が配される。
【0040】
操作部142は、レンズカバー150が展開位置にある場合に限って操作でき、レンズカバー150が遮蔽位置に移動した場合には筐体110の影に隠れて操作できなくなる。換言すれば、操作部142は、光学系120および発光窓130を使用した撮影が可能な状態に限って操作できる。よって、操作部142には、撮影に関連した操作(例えば、光学系を駆動させることによるズーム操作、GPS情報を記録用画像データとともに記録させるか否かを選択する操作等)を割り当てることが好ましい。
【0041】
図7は、カメラ100内部のレイアウトを示す模式図である。図示のように、筐体110の内部には、光学系120、フラッシュユニット132、主基板202、撮像部210、レンズ駆動モータ282、電池322等が配される。
【0042】
ここで、主基板202には、信号処理回路220、画像処理回路230等のデジタル回路が実装される。また、プログラムメモリ240、メインメモリ250およびCPU260の相互の通信もデジタル信号による。このため、主基板202からは、周波数の高い電磁波が不可避に輻射される。
【0043】
また、レンズ駆動モータ282を動作させる場合には、頻繁に極性が反転する駆動電流が供給される。レンズ駆動モータ282は消費電力が大きい部品なので、動作するレンズ駆動モータ282からは、強い電磁波(GPS信号に対するノイズ信号)が輻射される。更に、フラッシュユニット132の充電回路も、大電流によりGPS信号に対する電磁ノイズを輻射する。
【0044】
しかしながら、カメラ100においてレンズカバー150が展開位置にある場合、レンズカバー150と共に移動したGPSユニット160は、筐体110から離れている。電磁波の電界強度は距離に反比例するので、GPSユニット160を筐体110から遠ざけることにより、筐体110の内部で発生してGPSユニット160に届く電磁輻射は減衰する。これにより、GPSユニット160が電磁輻射により受ける影響が抑制される。
【0045】
図8は、レンズカバー150が展開位置にある場合のカメラ100の正面図である。図1から図7までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0046】
図示の状態では、レンズカバー150が展開位置にあり、GPSユニット160は、筐体110から離れた位置にある。更に、図示のカメラ100では、GPSユニット160が、レンズカバー150の側面に設けられたガイドレール152に沿って、図中に矢印Uで示すように、レンズカバー150に対して上方に移動している。
【0047】
これにより、GPSユニット160は、カメラ100全体のいずれの箇所に対しても上方に位置している。また、電磁輻射を生じる筐体110からは更に遠ざかっている。これにより、筐体110が発生した電磁輻射の影響がより一層抑制される。また、このようなGPSユニット160の配置は、天頂以外の方向に位置するGPS衛星からの受信感度向上にも寄与する。
【0048】
図9は、他のカメラ101の正面図であり、レンズカバー151が遮蔽位置にある状態を示す。カメラ101は、以下に説明する部分を除いて、既に説明したカメラ100と同じ構造を有する。よって、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0049】
カメラ101において、レンズカバー151の寸法は筐体110の前面よりも小さく、レンズカバー151は筐体110の前面の一部を覆っている。レンズカバー151は、筐体110の前面に上下方向に配されたガイドレール115により摺動自在に支持される。
【0050】
更に、カメラ101において、光学系120および発光窓130は、筐体110前面の下端近傍に配される。図示の状態では、レンズカバー151は遮蔽位置にあり、光学系120および発光窓130を遮蔽され使用できない状態である。GPSユニット160は、レンズカバー151の、図中右上の端に取り付けられている。
【0051】
図10は、通常使用されるときのカメラ101の概観を示す。通常使用されるときとは、レリーズ釦140が配された面が天面となる姿勢で使用されるときと定義する。この通常使用のときの天側の方向を上方と定義する。また、図10は、カメラ101においてレンズカバー151が上方に移動した状態を示す。図示のように、レンズカバー151は、ガイドレール115に沿って上方に移動する。これにより、光学系120の一端が露出し、使用できる状態となる。また、発光窓130も露出し、使用できる状態となる。更に、GPSユニット160は、筐体110の上端近傍まで移動する。
【0052】
この状態でも、光学系120を用いて被写体像を撮影できる。また、発光窓130の発生する閃光により被写体を照明できる。
【0053】
図11は、カメラ101においてレンズカバー151が更に上方に移動した状態を示す。図示のように、レンズカバー151は、筐体110の前面から上方に突出した展開位置に移動させることができる。これにより、GPSユニット160は、筐体110の上端よりも更に上方に移動している。よって、筐体110から生じる電磁波がGPSユニット160に与える影響が抑制される。
【0054】
図12は、また他のカメラ102の正面図であり、レンズカバー151が遮蔽位置にある状態を示す。カメラ102は、以下に説明する部分を除いて、既に説明したカメラ100と同じ構造を有する。よって、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0055】
カメラ102において、レンズカバー153全体の寸法は、カメラ101の場合と略変わらない。しかしながら、レンズカバー153は、筐体110の前面に設けられた水平なガイドレール116により、筐体110に対して水平に摺動自在に支持される。
【0056】
レンズカバー153は、遮蔽部154、揺動軸156および揺動部158を含む。遮蔽部154は、ガイドレール116により摺動自在に筐体110から支持される。揺動部158は、遮蔽部154から分離しており、上端にGPSユニット160を支持する。
【0057】
揺動軸156は、遮蔽部154に対して揺動部158を支持する。また、揺動軸156は、ガイドレール116と平行な一点鎖線Xの回りに揺動可能に揺動部158を支持する。
【0058】
図13は、カメラ102においてレンズカバー153が図中左方の展開位置に移動した状態を示す。図示のように、レンズカバー153は、ガイドレール116に沿って移動して、筐体110から突出している。これにより、筐体110の前面に、光学系120の一端と発光窓130が露出する。よって、光学系120を使用して被写体像を撮影できる。また、発光窓130の発生する閃光により被写体を照明できる。
【0059】
更に、GPSユニット160は、レンズカバー153と共に移動して筐体110から離間しているこれにより、筐体110から生じる電磁波がGPSユニット160に与える影響が抑制される。なお、レンズカバー153の揺動部158は、筐体110の外側に位置している。
【0060】
図14は、レンズカバー153が展開位置にあるカメラ102の側面図である。図14は、図13に矢印Aにより示す方向から見た様子を示す。
【0061】
カメラ102において、レンズカバー153の揺動部158は、遮蔽部154に対して揺動させることができる。よって、例えばカメラ102に対して下方に位置する被写体を撮影する場合に筐体110を前傾させても、揺動部158を揺動させて、GPS衛星161の位置する天頂方向にGPSユニット160を向けることができる。これにより、GPSユニット160におけるGPS信号の実効的な受信感度が向上され、測位精度を一層向上させることができる。
【0062】
なお、上記の例では、カメラ100、101、102を例に挙げて説明した。しかしながら、撮像装置ではない光学装置であって、GPSユニットおよび電子回路を実装するものにおいては、上記構造の利点を享受し得る。
【0063】
例えば、測量器、望遠鏡、双眼鏡等の光学機器であって、ノイズの発生源となる電子回路と、GPS信号を受信するGPSユニットとを備える場合は、レンズカバーにGPSユニットを設けることにより、GPSユニットをノイズ源から遠ざけた状態で電波受信部を動作させることができる。これにより、自身の内部回路の電磁輻射に起因する測位精度の低下を防止できる。
【0064】
また、上記の形態では現在稼働中の測位システムであるGPSを例に挙げて説明したが、電波の受信性能を向上させる効果は、GPSに限らず、電波を受信する場合に普く有効である。よって、無線LAN、放送受信機、リモートコントローラ等、光学装置に電波受信機能を設ける場合に、上記の構造を広く適用できる。
【0065】
更に、上記の例では、筐体110に設けられたガイドレール114、115、116に沿って移動するレンズカバー150、151、153を例に挙げて説明したが、レンズカバー150、151、153の形態がそれに限られるわけではない。例えば、レンズ鏡筒先端に着脱できるレンズキャップに電波受信部を設け、レンズを使用する場合は、レンズ鏡筒から取り外したレンズキャップを、筐体110の他の部位に再装着する構造にしてもよい。この場合、再装着した場合の電波受信部の位置が、筐体内のノイズ源から遠ざかっていれば、上記の場合と同様の効果が得られる場合がある。
【0066】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0067】
100、101、102 カメラ、110 筐体、112 グリップ部、114、115、116、152 ガイドレール、120 光学系、122 撮影レンズ、130 発光窓、132 フラッシュユニット、140 レリーズボタン、142 操作部、150、151、153 レンズカバー、154 遮蔽部、155 切欠き、156 揺動軸、157 前側内面、158 揺動部、160 GPSユニット、161 GPS衛星、162 アンテナ、170 背面表示部、200 内部構造、201 バス、202 主基板、210 撮像部、212 撮像素子、220 信号処理回路、230 画像処理回路、240 プログラムメモリ、250 メインメモリ、260 CPU、270 姿勢センサ、280 モータ駆動部、282 レンズ駆動モータ、290 ソケット、292 二次記憶媒体、310 入力部、320 電源回路、322 電池、330 音声インターフェース、332 スピーカ、340 画像表示インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察像を結像させる光学系と、
前記光学系の非使用時に前記光学系の端部を遮蔽し、前記光学系の使用時に前記光学系を露出するレンズカバーと、
前記レンズカバーに設けられた、電波を受信する電波受信部と
を備える光学装置。
【請求項2】
前記レンズカバーは、前記光学系の露出時において、前記遮蔽時における遮蔽位置よりも前記光学装置のノイズ発生源から遠い展開位置に変位される請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記電波受信部は、前記光学系の使用時における姿勢に対して天面となる位置に配設される請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記レンズカバーは、スライド機構を有し、前記光学系の前記非使用時における遮蔽位置と使用時における展開位置の間で変位する請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記レンズカバーに、ユーザが操作する操作部材を備える請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記レンズカバーは、前記展開位置として、前記遮蔽位置における前記光学装置の外形寸法から突出する第1状態と、前記外形寸法に収まる第2状態に変位し得る請求項4または5に記載の光学装置。
【請求項7】
前記レンズカバーの前記遮蔽位置から前記展開位置のスライド方向は、前記光学系の使用時における姿勢に対して、上方向である請求項4から6のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記レンズカバーは、前記展開位置から、前記スライド方向に平行な回転軸周りに回転する回転機構を有する請求項4から7のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項9】
前記電波受信部は、人工衛星から送信された測位用信号を受信して、前記測位用信号に基づいて測位演算を実行することにより位置情報を算出する測位ユニットを含む請求項1から8のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の光学装置は撮像装置であって、
前記光学系により結像された前記観察像を光電変換して画像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子が出力する画像信号を画像データへ変換する画像データ変換部と、
前記電波受信部により取得された情報と前記画像データとを関連付けて記録する記録制御部と
を備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−108384(P2012−108384A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258200(P2010−258200)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】