説明

光学読取装置、光学読取装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】スキャンの一時停止と再開とを行った場合でも、再起動ずれを最小とし、得られる画像の品質を向上させる。
【解決手段】ドットインパクトプリンター10は、画像バッファー41Aにおいて空き容量がバッファーリング停止容量を下回った場合に搬送の停止指示を行い、搬送停止待機期間が経過するまでスキャナー111、112による読み取りを継続させてから読み取りを停止させ、搬送停止待機期間の経過後、空き容量がバッファーリング再開容量を上回った場合に媒体の搬送および光学読取の再開指示を行い、駆動再開待機期間が経過するまでスキャナー111、112による読取データの画像バッファー41Aへの格納を禁止し、駆動再開待機期間の経過後、格納を再開させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送して媒体を光学的に読み取る光学読取装置、この光学読取装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホストコンピューターに接続されたスキャナー装置等の光学読取装置は、原稿(媒体)を搬送し、搬送中の原稿を読み取った読取データをバッファーメモリー(記憶部)に一時記憶し、原稿の読み取りが完了した後に、バッファーメモリーに記憶した読取データをホストコンピューターに送っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−284191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スキャンしたデータをホストコンピューター側の事情(ホストコンピューター側の画像処理能力が追いつかない場合など)により送信できない場合や、スキャンしたデータ(読取データ)が大容量の場合、ホストコンピューターへの読取データ転送速度よりスキャナーの読取データ取得速度が速い場合には、バッファーメモリーの空き容量が無くなってしまう。このため一旦スキャナーの読取や原稿の搬送(又はスキャナーの搬送)を停止する必要がある。またバッファーメモリーの使い方によっては、バッファーメモリーの容量を全て利用したとしても、容量が不足して、新たにスキャンしたデータで上書きされてしまい、スキャンしたデータの一部が失われるおそれがある。
【0005】
従来においては、バッファーメモリーの容量の空きが無くなる前或いは無くなったときにスキャンを一時停止してスキャン待機状態とするとともに、バッファーメモリーからホストコンピューターにスキャンしたデータの送信が再開されて或いは相当量が送信されて、バッファーメモリーの空き容量が十分となると、スキャンを再開して続きの画像に対応するデータを取得する構成を採っていた。
ところで、上記構成を採用した場合には、スキャンの一時停止と再開との間の原稿搬送停止精度に起因するスキャン精度の低下が問題となっていた。また一時停止時でなくても、通常の原稿のスキャン開始時や終了時でも同様の問題がある。
【0006】
具体的には、一時停止した付近の画像が乱れる「再起動ずれ」という現象が生じていた。さらに、このずれについて説明する。イナーシャやギア等のバックラッシュやローラーなどの変形により、搬送モーター等を駆動しても、実際の原稿を搬送するローラー等はすぐに追従できず、実質的に原稿が搬送されない期間があり、搬送モーター等と同期して読み取っても搬送されない同位置で読み取った読取データとなってしまうことによる。一方、搬送モーター等を停止しても、上記の原因で、実際の原稿を搬送するローラー等はすぐに追従できず、実質的に継続して原稿が搬送されてしまう期間があり、この期間で読取りを継続すれば、実際に走査しながら読取った正常の読取データとして取得できる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、バッファーメモリーの容量不足に起因して、スキャンの一時停止と再開とを行った場合でも、スキャン開始時や終了時の再起動ずれなどのずれによる影響を最小とし、得られる画像データに対応する画像の品質を向上させることが可能な光学読取装置、光学読取装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、媒体を搬送路に沿って搬送可能な搬送部と、前記搬送路に設けられ、前記搬送部により搬送される前記媒体を光学的に読み取り、読取データを出力する光学読取部と、前記光学読取部が出力した前記読取データを格納する記憶部と、前記記憶部と前記搬送部、前記光学読取部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部の駆動の停止指示を行い、当該停止指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部による読み取りと前記記憶部への前記読取データの格納を継続させることを特徴とする。
上記構成によれば、搬送部を構成する搬送モーター等を停止しても、イナーシャやギア等のバックラッシュやローラーなどの変形等の原因で、実際の原稿を搬送するローラー等はすぐに追従できず、実質的に継続して原稿が搬送されてしまう間であっても、光学読取部による読取りを継続でき、実際に走査しながら読取った正常の読取データとして記憶部に取得できるので、画像の品質を向上させることができる。
【0009】
また、本発明は、前記制御部は、前記搬送部の駆動の開始指示を行い、当該開始指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部が読み取った前記読取データを破棄し、または、前記記憶部への前記読取りデータの格納を禁止することを特徴とする。
上記構成によれば、搬送部を構成するイナーシャやギア等のバックラッシュやローラーなどの変形により、同じく搬送部を構成する搬送モーター等を駆動しても、実際の原稿を搬送するローラー等はすぐに追従できず、実質的に原稿が搬送されない期間において、光学読取部が搬送モーター等と同期して読み取っても搬送されない同位置で読み取った読取データとなってしまうことを回避することができ、画像の品質を向上させることができる。
【0010】
また、本発明は、前記制御部が、前記停止指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部により読み取り、前記記憶部へ記憶するデータ量と、前記制御部が、前記開始指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部が読取ったもので廃棄するデータ量は、同量であることを特徴とする。
搬送部を構成するイナーシャやギア等のバックラッシュやローラーなどの変形により、同じく搬送部を構成する媒体搬送モーター等を駆動しても、実際の原稿を搬送するローラー等はすぐに追従できず、実質的に原稿が搬送されない論理的な搬送量と、搬送モーター等を停止しても、実質的に継続して原稿が搬送されてしまう搬送量は、経験によりほぼ同一であることがわかっている。上記構成によれば、媒体を論理的に搬送する量(媒体搬送モーターの駆動量)と、実質的に搬送する量を同じくできるので、光学読取部において媒体の先端から後端までなど、意図した範囲の読取データ量を取得することができ、画像の品質を向上させることができる。
【0011】
また、本発明は、前記制御部は、前記記憶部において空き容量(残容量)が所定容量を下回った場合に前記搬送部に前記停止指示を行い、前記空き容量が所定容量を上回った場合に前記搬送部に前記開始指示行うことを特徴としている。
上記構成によれば、記憶部において空き容量が所定容量を下回った場合に搬送部に搬送の停止指示を行い、当該停止指示から所定期間が経過するまで光学読取部による読み取りを継続させてから当該光学読取部における読み取りを停止させ、所定期間の経過後、空き容量が所定容量を上回った場合に搬送部および光学読取部の駆動の開始指示を行い、当該開始指示から所定期間が経過するまで光学読取部による読取データの記憶部への格納を禁止し、所定期間の経過後、光学読取部から出力された読取データの記憶部への格納を行うので、媒体の搬送停止時の読み取り位置と、媒体の搬送開始時における読み取り位置のずれに起因する読取りのずれを抑制でき、得られる読取データ(画像データ)に対応する画像の品質を向上させることができる。
【0012】
また、本発明は、前記制御部は、前記駆動再開待機期間中に前記光学読取部から出力される前記読取データの読み捨てを行わせることを特徴としている。
上記構成によれば、光学読取部の再駆動時における、動作が不安定な駆動再開待機期間中に光学読取装置から出力される読取データは読み捨てされるので、正しい読取データのみを記憶部に格納することができ、再起動ずれを抑制して、得られる読取データ(画像データ)に対応する画像の品質を向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、前記搬送部は、媒体搬送モーターを備え、前記制御部は、前記媒体搬送モーターの駆動基準タイミングと前記光学読取部の読取基準タイミングとが同期したタイミングで前記停止指示を行う、ことを特徴としている。
上記構成によれば、制御部は、媒体搬送モーターの駆動基準タイミングと光学読取部の読取基準タイミングとが同期し、タイミングが合った状態で停止指示を行うので、常に安定して搬送停止待機期間中の光学読取部による読み取りを行え、ひいては、読取りのずれを抑制して、得られる読取データ(画像データ)に対応する画像の品質を向上させることができる。
【0014】
また、本発明は、前記光学読取部は、読取光照射用の複数のLEDを備え、前記制御部は、前記光学読取部の読み取り停止時に前記LEDを消灯させる、ことを特徴としている。
上記構成によれば、光学読取部の読み取り停止時の無駄な消費電力を抑制できる。
【0015】
また、本発明は、搬送部が、媒体を搬送路に沿って搬送し、光学読取部が、前記搬送部により搬送される前記媒体を光学的に読み取り、読取データを出力し、記憶部が、前記光学読取部が出力した前記読取データを格納する過程を含む光学読取装置の制御方法であって、制御部が、前記搬送部に駆動の停止指示を行う過程と、当該停止指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部が読み取りを継続し、前記記憶部が前記読取データの格納を継続する過程を含むことを特徴とする。
この制御方法によれば、搬送部を構成する搬送モーター等を停止しても、同じく搬送部を構成するイナーシャやギア等のバックラッシュやローラーなどの変形等の原因で、実際の原稿を搬送するローラー等はすぐに追従できず、実質的に継続して原稿が搬送されてしまう間であっても、光学読取部による読取りを継続でき、実際に走査しながら読取った正常の読取データとして取得できるので、画像の品質を向上させることができる。
【0016】
また、本発明は、前記制御部が、前記搬送部の駆動の開始指示を行い、当該開始指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部により読み取った前記読取データを破棄する過程、または、前記記憶部への前記読取りデータの格納を禁止する過程を含むことを特徴とする。
上記方法によれば、搬送部を構成するイナーシャやギア等のバックラッシュやローラーなどの変形により、搬送モーター等を駆動しても、実際の原稿を搬送するローラー等はすぐに追従できず、実質的に原稿が搬送されない期間において、搬送モーター等と同期して読み取っても搬送されない同位置で読み取った読取データとなってしまうことを回避することができ、画像の品質を向上させることができる。
【0017】
また、本発明は、前記記憶部において空き容量がバッファーリング停止容量を下回った場合に、前記制御部が前記搬送部に前記停止指示を行う過程と、前記空き容量が所定容量を上回った場合に、前記制御部が前記搬送部前記開始指示を行う過程とを含むことを特徴としている。
上記構成によれば、記憶部において空き容量が所定容量を下回った場合に搬送部に搬送の停止指示を行い、当該停止指示から搬送停止待機期間が経過するまで光学読取部による読み取りを継続させてから当該光学読取部における読み取りを停止させ、搬送停止待機期間の経過後、空き容量が所定容量を上回った場合に搬送部および光学読取部の駆動の再開指示を行い、当該再開指示から駆動再開待機期間が経過するまで光学読取部による読取データの記憶部への格納を禁止し、駆動再開待機期間の経過後、光学読取部から出力された読取データの記憶部への格納を再開させるので、媒体の搬送停止時の読み取り位置と、媒体の搬送再開時における読み取り位置のずれを抑制でき、得られる読取データ(画像データ)に対応する画像の品質を向上させることができる。
【0018】
また、本発明は、媒体を搬送路に沿って搬送可能な搬送部と、前記搬送路に設けられ、前記搬送部により搬送される前記媒体を光学的に読み取り、読取データを出力する光学読取部と、前記光学読取部が出力した前記読取データを格納する記憶部と、を備えた光学読取装置を制御する制御部が実行可能なプログラムであって、前記制御部に、前記搬送部の駆動の停止指示を行わせ、当該停止指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部による読み取りと前記記憶部への前記読取データの格納を継続させることを行わせる、ことを含むことを特徴としている。
【0019】
上記構成によれば、制御部は、記憶部において空き容量が所定容量を下回った場合に搬送部に搬送の停止指示を行わせ、当該停止指示から搬送停止待機期間が経過するまで光学読取部による読み取りを継続させてから当該光学読取部における読み取りを停止させ、搬送停止待機期間の経過後、空き容量が所定容量を上回った場合に搬送部および光学読取部の駆動の再開指示を行わせ、当該再開指示から駆動再開待機期間が経過するまで光学読取部による読取データの記憶部への格納を禁止させ、駆動再開待機期間の経過後、光学読取部から出力された読取データの記憶部への格納を再開させるので、媒体の搬送停止時の読み取り位置と、媒体の搬送再開時における読み取り位置のずれを抑制でき、得られる読取データ(画像データ)に対応する画像の品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、媒体の搬送停止時の読み取り位置と、媒体の搬送再開時における読み取り位置のずれに起因する再起動ずれを抑制でき、得られる読取データ(画像データ)に対応する画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態におけるドットインパクトプリンターの外観斜視図である。
【図2】プリンター本体を示す斜視図である。
【図3】プリンター本体の側断面図である。
【図4】ドットインパクトプリンターの機能的構成を示すブロック図である。
【図5】読取対象となる媒体の一例を示す図である。
【図6】ドットインパクトプリンターによる読取動作のうち、順方向の読取動作を示す図である。
【図7】ドットインパクトプリンターによる読取動作のうち、逆方向の読取動作を示す図である。
【図8】ドットインパクトプリンターの動作を示すフローチャートである。
【図9】ドットインパクトプリンターが実行する読取動作を示すフローチャートである。
【図10】バッファーリングの停止(中断)処理の処理フローチャートである。
【図11】バッファーリングの処理タイミングチャートである。
【図12】図11の部分拡大図(その1)である。
【図13】図10の部分拡大図(その2)である。
【図14】バッファーリングの再開処理の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るドットインパクトプリンターの外観を示す正面斜視図である。図2は、プリンター本体11を示す外観斜視図である。図3は、図1のドットインパクトプリンター10を示す側断面図である。
図1に示すドットインパクトプリンター10は、記録ヘッド18(図3参照)が備える複数の記録ワイヤーを、リボンカートリッジ(図示略)から繰り出したインクリボン(図示略)を介して記録媒体Sに押し付け、この記録媒体Sの記録面上にドットを形成することにより、文字を含む画像を記録する。ドットインパクトプリンター10は、光学読取装置110(図3参照)を備え、光学読取装置としても機能し、記録媒体Sの表面に表示された文字や記号、画像等を光学的に読み取ることができる。
【0023】
ドットインパクトプリンター10で使用可能な記録媒体S(媒体)としては、所定長さに切断されたカット媒体と、複数枚が連接された連続紙とが挙げられる。カット媒体としては、例えば単票紙や単票複写紙などの他、通帳や葉書、封筒などがあり、連続紙には連続複写紙やミシン目などで連接されたファンフォールド紙を含む。本実施形態では、記録媒体Sとして、金融機関等が発行する小切手または手形(以下、総称して小切手という)や、金融機関等が発行する通帳が使用される。小切手は、磁気インクによって、その表面の一部の領域MAに使用者の口座番号や当該小切手のシリアル番号等のMICR(Magnetic Ink Character Recognition)情報が印刷された単票紙である。通帳は、複数枚の記録用紙が綴じられた冊子形態となっており、この冊子を開いた内側の面が記録面となっている。通帳の裏表紙に相当する面の後部には、磁気ストライプが設けられている。
なお、以下の説明では、矩形の記録媒体Sの4辺のうち、ドットインパクトプリンター10へ向かって差し込まれる側の辺を先端とし、この先端と対向する側の辺を後端とする。
【0024】
ドットインパクトプリンター10は、図1に示すように、外装体としての上部カバー12、上部ケース13及び下部ケース14を備え、上部ケース13及び下部ケース14の前面には、記録媒体Sを挿入及び排出する手差口15が開口している。一方、上部ケース13及び下部ケース14の背面には記録媒体Sを排出する排出口20が開口している。ドットインパクトプリンター10により処理された記録媒体Sを手差口15から排出するか、或いは排出口20から排出するかは、後述するホストコンピューター200からドットインパクトプリンター10に対して送信されるコマンドにより設定できる。手差口15が開口した側、すなわち図3中の左側をフロント(前)側とし、排出口20が開口した側、すなわち図3中の右側をリア(後)側とする。
ドットインパクトプリンター10は、図2に示すように、上記の外装体に覆われるプリンター本体11を有している。プリンター本体11は、下本体部11Aと、この下本体部11Aの後端部に軸11Cで支持される上本体部(図示略)とを備えている。上本体部は、上本体部の左側面に設置されている開閉レバー(図示略)の操作によって回転可能であり、上本体部を回転させるとプリンター本体11の内部が露出する。
【0025】
図2及び図3に示すように、プリンター本体11は、ベースフレーム16と、このベースフレーム16の両端に固定される一対の右サイドフレーム17A及び左サイドフレーム17Bとを備える。両サイドフレーム17A、17Bの外側には、上本体部の両サイドフレーム(図示略)があり、その間にキャリッジガイド軸31が架け渡されるとともに、両サイドフレーム17A、17B間に平坦面形状の前方媒体案内24及び後方媒体案内25が固定して設けられる。これらの前方媒体案内24と後方媒体案内25との間に、平面形状のプラテン21が配置され、このプラテン21の上方には、プラテン21に対向するように記録ヘッド18が配置されている。
記録ヘッド18は、キャリッジガイド軸31に摺動自在に挿通されるキャリッジ19に搭載されている。キャリッジ19は、当該キャリッジ19を駆動するキャリッジ駆動モーター56(図4)の正転又は逆転により、タイミングベルト(図示略)を介して駆動され、キャリッジガイド軸31に案内されて往復移動される。キャリッジ19は、図1中、符号Xで示す方向、すなわち、キャリッジガイド軸31の軸方向及びプラテン21の長手方向と一致する主走査方向に、上本体部両サイドフレームの間で往復走査される。なお、キャリッジ19の主走査方向Xに直交する方向、すなわち図1中符号Yで示す方向を副走査方向とする。
【0026】
キャリッジ19に搭載される記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に走行される間に、その先端面においてプラテン21に対向するワイヤー突出部(図示略)から記録ワイヤーを突出させてインクリボンに打ち当て、プラテン21と記録ヘッド18との間に搬送される記録媒体Sにインクリボンのインクを付着させて、記録媒体Sに文字を含む画像を記録する。インクリボンは、上記の本体フレーム又はキャリッジ19に装着されるリボンカートリッジ(図示略)内に折り畳まれて収納され、キャリッジ19の走査に伴って繰り出される。また、記録ヘッド18の後方側には、図3に示すように、プラテン21の上方に位置するように媒体幅センサー55が配設される。媒体幅センサー55は、キャリッジ19に搭載されてキャリッジ19とともにプラテン21上を走査され、記録媒体Sの側端の位置や記録媒体Sの幅を求めるために使用される。
【0027】
プラテン21は、図2、図3に示すように、キャリッジ19の走行方向に延在して平面形状に形成され、付勢ばね180により記録ヘッド18に向けて付勢され、かつ弾性支持されている。付勢ばね180は圧縮コイルばねであり、この付勢ばね180の付勢力により、記録ヘッド18の記録動作時における記録ワイヤーの突出力が支持される。また、プラテン21は、記録媒体Sの搬送中にこの記録媒体Sの厚さが変化した場合、又はプリンター本体11に厚さの異なる記録媒体Sが搬入された場合に、付勢ばね180の付勢力に抗して、記録ヘッド18の先端により押圧されて記録ヘッド18から離れる方向に移動する。これにより、記録媒体の厚さにかかわらず、記録ヘッド18の先端と記録媒体Sの記録面との間のギャップが一定に確保される。
【0028】
プリンター本体11は、図3に示すように、記録媒体Sを搬送する媒体搬送機構(搬送部)100と、この媒体搬送機構100で搬送される記録媒体Sの先端が突き当てられて当該記録媒体Sを整列させる整列機構28と、小切手に設けられたMICR情報の読み取りや、通帳に設けられた磁気ストライプに対して磁気情報の読み取り又は書き込みを行う磁気ヘッド34を備えた磁気データ読書部29と、この磁気データ読書部29の磁気ヘッド34がMICR情報の読み取りを含む磁気情報処理の実行時に、記録媒体Sの浮き上がりを抑制すべく、記録媒体Sを上から押える媒体押え部30と、を有している。
【0029】
媒体搬送機構100は、図2、図3に示すように、プラテン21、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22B、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B、第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124B、前方媒体案内24、後方媒体案内25、媒体搬送モーター26及び駆動輪列部27を備えて構成されている。媒体搬送機構100は、前方媒体案内24及び後方媒体案内25上に、各ローラーを介して記録媒体Sを搬送する搬送路Pを構成し、前方媒体案内24及び後方媒体案内25の上面が搬送路Pの搬送面PAとなっている。
本構成では、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22Bは、プラテン21及び記録ヘッド18に対してプリンター本体11のフロント側に配置され、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B及び第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124Bは、プラテン21及び記録ヘッド18に対してプリンター本体11のリア側に順次配置されている。
【0030】
第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとは、上下方向に配置されて対をなし、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとは、上下方向に配置されて対をなし、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとは、上下方向に配置されて対をなす。
第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A及び第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26及び駆動輪列部27によって回転駆動される駆動ローラーであり、第1従動ローラー22B、第2従動ローラー23B及び第3従動ローラー124Bは、それぞれ第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124A側に所定の押圧力でばね42A、42B、42Cによりばね付勢されている従動ローラーである。これによって、第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとが互いに反対方向に回転駆動され、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとが互いに反対方向に回転駆動され、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとが互いに反対方向に回転駆動される。
【0031】
駆動輪列部27は、図2に示すように、右サイドフレーム17Aの外側に配置される。この駆動輪列部27は、正転又は逆転可能な媒体搬送モーター26の駆動軸に回転一体に固定されたモーターピニオン51を備える。このモーターピニオン51からの駆動力が、減速ギア52を介して第2駆動ローラー23Aの第2ローラー軸33に取り付けられた第2駆動ギア53Bへ伝達され、さらに、この第2駆動ギア53Bから中間ギア54を介して第1駆動ローラー22Aの第1ローラー軸32に取り付けられた第1駆動ギア53Aに伝達される。また、第2駆動ローラー23Aの第2ローラー軸33の回転力が、例えば、駆動ベルト(図示略)によって第3駆動ローラー124Aの第3ローラー軸134に伝達される。これにより、図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124Aが同一方向に回転して、記録媒体Sをプリンター本体11内に搬送可能とする。つまり、図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26が正転している場合、副走査方向Yに沿って、図中符号Aで示すようにプリンター本体11内に記録媒体Sを搬送し、媒体搬送モーター26が逆転している場合、図中符号Bで示すように、プリンター本体11内から排出する方向に記録媒体Sを搬送する。
【0032】
整列機構28は、記録ヘッド18による記録媒体Sへの記録や、光学読取装置110による記録媒体Sの表面の読み取りを行う前に、この記録媒体Sを整列するものである。整列機構28は、第1駆動ローラー22A及び第1従動ローラー22Bと記録ヘッド18及びプラテン21との間に、主走査方向に並べて設けられ、搬送路P内に突出する複数の整列板38と、整列板38を駆動する整列モーター58(図4)とを備え、これら整列板38に記録媒体Sの先端部を突き当てることで記録媒体Sの向き整列させることができる。
【0033】
プリンター本体11は、図2に示すように、搬送路Pにおける整列板38の上流側近傍に、これら整列板38に突き当てられた記録媒体Sの有無を検知する複数の整列センサー39を備える。整列センサー39は、それぞれ搬送路Pを挟んで対向する発光部(LED等)と受光部(フォトトランジスター等)とを備える光透過型のセンサーであり、主走査方向に並べて配設されている。複数の整列センサー39のうち記録媒体Sの先端を検出したセンサーの数及び配置により、整列機構28による整列後の記録媒体Sの搬送方向に対する傾きが、許容範囲内あるか否かを判定できる。
また、ドットインパクトプリンター10は、媒体搬送モーター26の駆動制御、キャリッジ19の走行制御、記録ヘッド18の記録ワイヤーによる記録動作の制御、光学読取装置110の読取動作の制御等、ドットインパクトプリンター10の全体を制御する制御部として、例えばプリンター本体11の後側の下方に、制御基板部(図示略)を備えている。
【0034】
プリンター本体11において、第1駆動ローラー22Aのフロント側には、搬送路Pへの記録媒体Sの挿入を検知する複数の媒体端センサー47が並設されている。これら媒体端センサー47は、搬送路Pに向けて光を発する発光部と、その反射光を検出する受光部とを備えた光反射型センサーであり、手差口15から挿入された記録媒体Sを検出する。なお、媒体端センサー47は搬送路Pを挟んで対向するように発光部と受光部とを配した光透過型センサーであっても良い。本構成では、すべての媒体端センサー47の受光部が、受光した状態から、いずれか1つの媒体端センサー47で受光が遮られた場合には、記録媒体Sが搬送路P内に挿入されたと判断される。
【0035】
また、プリンター本体11は、図3に示すように、記録媒体Sの表面に表示された文字、記号または画像等を読み取る光学読取装置110(光学読取部)を備える。この光学読取装置110は、記録媒体Sの上面側に印刷等で表示されている情報を読み取る第1スキャナー(第1読取部)111と、この第1スキャナー111に対向配置され、当該記録媒体Sの下面側に印刷等で表示されている情報を読み取る第2スキャナー(第2読取部)112とを備える。通常、記録媒体Sは、MICR情報が印刷されている面が下面になるよう、手差口15から挿入される。
第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、第2駆動ローラー23Aと第3駆動ローラー124Aとの間に配置され、搬送路Pを搬送中の記録媒体Sの情報を連続的に読み取る光学イメージセンサーである。
【0036】
第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、例えば、CIS(Contact Image Sensor)型の画像読取センサーであり、記録媒体Sに密着する平坦なカバーガラス140,150と、これらカバーガラス140,150を保持する本体ケース141,151とをそれぞれ備える。これら本体ケース141,151の内側には、LED等の光源から出力される光を記録媒体Sの読み取り領域に対して照射する照射部(図示略)と、主走査方向(X方向)に一列に配列された複数の受光センサー(図示略)と、この受光センサーからの信号を上記制御基板部に出力する出力部(図示略)とがそれぞれ収容されている。本実施形態では、第1スキャナー111及び第2スキャナー112はCISを備えたものに限らず、CCD(Charge Coupled Device)を備えたものであってもよい。また、第2スキャナー112は、図2に示すように、プラテン21と略平行にドットインパクトプリンター10の幅方向に延在して長手形状に構成される本体ケース151及びカバーガラス150を備え、この本体ケース151は、カバーガラス150の上面(ガラス面)が後方媒体案内25に形成された開口を通じて搬送路Pに露出するように配置されている。第1スキャナー111は、図3に示すように、カバーガラス140の下面(ガラス面)が、上記カバーガラス150の上面に対向するように第2スキャナー112の上方に設けられ、幅方向においても第2スキャナー112と略同一の長さの長手形状に形成されている。
【0037】
第1スキャナー111の上部には付勢部材113が設けられ、第1スキャナー111は、付勢部材113によって後方媒体案内25の記録媒体Sに対して近接するように付勢されている。また、付勢部材113は、第1スキャナー111を幅方向に渡って略均一な力で第2スキャナー112側に押し付けている。ここで、付勢部材113としては、コイルばねや板ばね、或いは、エラストマー製のクッション部材等を使用することができる。カバーガラス140、150のガラス面間には、所定の厚さの記録媒体が入り込み可能な間隔が設けられており、記録媒体Sを読み取る際には、搬送された記録媒体Sによって第1スキャナー111が上方に押し退けられ、付勢部材113が縮むことによりカバーガラス140、150間を記録媒体Sが通過可能となる。すなわち、光学読取装置110では、付勢部材113によって付勢された第1スキャナー111によって記録媒体Sを第2スキャナー112側に押し付けることで、記録媒体Sとカバーガラス140、150のガラス面とを確実に密着させて、読み取り品質を向上させている。
【0038】
第1スキャナー111及び第2スキャナー112の受光センサー(図示略)は、ドットインパクトプリンター10の主走査方向に一列に並べられ、主走査方向に延びるライン状に読み取りを行う。第1スキャナー111及び第2スキャナー112の受光センサーは、主走査方向における記録ヘッド18の印字可能範囲よりも広い範囲に配設されており、ドットインパクトプリンター10が印刷可能な全ての記録媒体よりも広い幅で読み取りを行える。すなわち、光学読取装置110は、ドットインパクトプリンター10で使用する全ての記録媒体Sの全面を読み取ることができる。
【0039】
第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、それぞれ、R、G、Bの光源(LED)を備え、モノクロ(2値、16階調、256階調)及びフルカラーの読み取りが可能である。また、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の読取解像度は、例えば、200dpi(ドット/インチ)、300dpi、600dpiの3段階に設定可能である。記録媒体Sの搬送方向(副走査方向Y)における読取ライン数は、主走査方向における読取解像度に合わせて設定され、読み取り時の記録媒体Sの搬送速度は読取解像度と、受光センサーの検出値の処理速度等の仕様に合わせて調整される。
【0040】
図4は、ドットインパクトプリンター10の制御系の構成を示すブロック図である。
この図4に示す各部は、制御基板(図示略)に実装されたハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
ドットインパクトプリンター10は、制御プログラムに基づいてドットインパクトプリンター10の全体を制御する制御部としてのCPU40、CPU40によりEEPROM42から読み出された制御プログラムやデータ等を一時的に記憶するRAM41、CPU40により実行される制御プラグラムや処理されるデータ等を記憶したEEPROM42、ドットインパクトプリンター10を制御するホストコンピューター200との間で情報を送受信する際のデータ形式を変換するインターフェイス(I/F)43、各種センサー類に接続されたゲートアレイ(G/A)45、各種モーターを駆動するモータードライバー46、及び、ヘッドを駆動するヘッドドライバー48を備え、これらの各部はバス49を介して接続されている。
RAM41は、一時記憶部として機能し、光学読取装置110が読み取った読取画像データを一時的に記憶する画像バッファー41Aを形成する。なお、画像バッファー41Aは、ゲートアレイ45の管理下のRAMに形成されていてもよい。この場合、DMAなどにより、CPU40の制御が介在せず、読取画像データを光学読取装置110からゲートアレイ45を経由して画像バッファー41Aに記憶することができる。
【0041】
ゲートアレイ45には、整列センサー39、媒体端センサー47、媒体幅センサー55、第1スキャナー111、及び、第2スキャナー112が接続されている。ゲートアレイ45は、整列センサー39、媒体端センサー47及び媒体幅センサー55から入力されるアナログ電圧を量子化してデジタルデータとし、CPU40に出力する。第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、記録媒体Sの表面をCISにより光学的に読み取り、CISの検出電圧をCISの画素毎にゲートアレイ45に供給し、ゲートアレイ45は、第1スキャナー111及び第2スキャナー112から供給されたアナログ電圧を量子化してデジタルデータとしCPU40に出力する。
モータードライバー46は、媒体搬送モーター26、キャリッジ駆動モーター56、磁気ヘッド駆動モーター57、及び整列モーター58に接続され、これら各モーターに駆動電流や駆動パルスを供給して、これらのモーターを動作させる。なお、モータードライバー46には、整列板38(図3)を動作させる整列モーター58(図4)等が接続されていてもよい。
媒体端センサー47は、記録ヘッド18及び磁気ヘッド34に接続され、記録ヘッド18に対して駆動電流を供給することによって記録ワイヤーを突出させる一方、磁気ヘッド34に対して読取/書込用の駆動電流を出力するとともに、磁気データの読取を行う場合には、磁気ヘッド34の検出電圧(アナログ電圧)を検出し、デジタルデータとしてCPU40に出力する。
【0042】
CPU40は、EEPROM42に格納された制御プログラムに基づいて、ゲートアレイ45、モータードライバー46及びヘッドドライバー48を介して、各種センサーの検知状態を取得するとともに各モーターを駆動して記録媒体Sを搬送し、各ヘッドを駆動することにより、記録媒体Sへの記録を実行する。また、CPU40は、媒体搬送機構100により記録媒体Sを搬送し、ゲートアレイ45によって第1スキャナー111及び第2スキャナー112によって記録媒体Sの表面を読み取る。この読取の実行中、CPU40は、ゲートアレイ45から入力されるデータを順次RAM41内に設けられたバッファーメモリー(記憶部)に一時的に記憶させる。そして、CPU40は、このバッファーメモリー(図示略)に記憶された画像データを読み出して、インターフェイス43を介してホストコンピューター200へ送信する。
【0043】
図5は、ドットインパクトプリンター10により処理される記録媒体Sの一具体例として、小切手を示す図である。図5(A)は表の面を示し、図5(B)は裏の面を示す。
小切手形状の記録媒体Sは横長の長方形であり、一方の長辺を先端としてドットインパクトプリンター10に挿入され、図中矢印で示すように短辺方向に搬送される。ここで、記録媒体Sの長辺方向の長さ(幅)をLx、短辺方向の長さ(高さ)をLyとする。
図5(A)に示すように、記録媒体Sの表面には、振出日、金額、宛先、振出人の住所氏名、署名等が記入または印字される欄が設けられ、さらに、左下の領域MAにはMICR文字が印刷または印字されている。また、記録媒体Sの裏面には、小切手の通し番号が印刷されている場合もある。また、図5(B)に示すように、記録媒体Sの裏面には、小切手の通し番号が印刷されており、発行元金融機関名と口座番号等が記入または印字される欄が設けられている。
【0044】
この図5に示す記録媒体Sは、図5(A)に示す表の面がドットインパクトプリンター10の内部で下を向き、図5(B)に示す裏の面が上を向くように手差口15から挿入されるので、図5(A)に示した表の面が下面に相当し、第2スキャナー112によって読み取られ、図5(B)の裏面は上面となって第1スキャナー111により読み取られる。
第1スキャナー111の読取範囲Rは、記録媒体Sのサイズに対応して、図5(B)中に破線で示すように、記録媒体Sの幅Lx及び高さLyより一回り大きく設定されている。読取範囲Rの幅及び高さは、記録媒体Sの幅Lx及び高さLyに読取マージンを加えたサイズとなっており、読取マージンの大きさは、例えば数ミリメートル程度である。このため、第1スキャナー111は、記録媒体Sの裏の面全体を光学的に読み取ることが可能である。また、磁気ヘッド34は、図5(A)の領域MAのMICR文字を読み取る。
同様に、第2スキャナー112の読取範囲Rは、記録媒体Sのサイズに対応して、図5(A)中に破線で示すように記録媒体Sの幅Lx及び高さLyより一回り大きく設定されている。本実施形態では、第2スキャナー112の読取範囲Rの幅及び高さは、第1スキャナー111の読取範囲Rと同寸であり、記録媒体Sの幅Lx及び高さLyに読取マージンを加えたサイズとなっている。このため、第2スキャナー112は、記録媒体Sの表の面全体を光学的に読み取ることが可能である。
ドットインパクトプリンター10は、記録媒体Sを、その短辺方向に沿って順方向または逆方向に搬送しながら光学読取装置110によって読み取る。この場合において、読み取り時の搬送方向は、読取対象の部分を最も短い搬送距離で読取を完了できるように、後に詳述するように自動的に決定される。
【0045】
ドットインパクトプリンター10には、ホストコンピューター200からインターフェイス43を介してコマンドが送信され、このコマンドによって読取対象の記録媒体Sのサイズ(Lx、Ly)が指定される。CPU40は、ホストコンピューター200から受信したコマンドに基づいて記録媒体Sのサイズを特定し、読取範囲Rを設定する。ここで、ホストコンピューター200から送信されるコマンドには、記録媒体Sにおける領域MAの位置を示す情報も含まれる。領域MAの位置は、例えば、記録媒体Sの短辺からの距離Dxと、長辺からの距離Dyとによって指定される。このコマンドに基づいて、CPU40は、モータードライバー46及びヘッドドライバー48を制御し、磁気ヘッド駆動モーター57を駆動するとともに磁気ヘッド34による読み取りを実行させる。
【0046】
ホストコンピューター200からドットインパクトプリンター10に送信されるコマンドは、設定コマンド、スキャン(読み取り)開始コマンド、排紙コマンドがある。設定コマンドは、光学読取装置110における読取解像度、読取面(上面、下面)毎の読取の要否、スキャン方向、カラー種別(カラースキャンかモノクロスキャンか)、モノクロスキャンを行う場合の階調、モノクロスキャンを行う場合のLED発光色、読取範囲Rの一部のみを読み取る場合の読取対象のエリア(開始位置および終了位置の座標)、等を指定するコマンドである。設定コマンドを受信したCPU40は、この設定コマンドにより指定された値を設定値として取得する。
【0047】
スキャン開始コマンドは、ドットインパクトプリンター10に対して読取動作の開始を指示するコマンドである。このスキャン開始コマンドは、実行する読取動作として、読取範囲Rの全体を読み取る全体読取、或いは、設定コマンドにより指定された読取対象のエリアを読み取る指定エリア読取(一部読取)を指定する情報を含む。スキャン開始コマンドを受信したCPU40は、ゲートアレイ45及びモータードライバー46を制御して、光学読取装置110による読み取りを開始する。
また、排紙コマンドは、読み取りが終了した後で、記録媒体Sを手差口15または排出口20から排出するよう指示するためのコマンドであり、排紙を指示する情報と、排紙方向(手差口15か排出口20か)を指定する情報を含む。排紙コマンドを受信したCPU40は、この排紙コマンドにより指定された側から記録媒体Sを排出する。
【0048】
続いて、記録媒体Sを順方向に搬送する場合と、逆方向に搬送する場合に分けて、ドットインパクトプリンター10による読取動作について説明する。
図6は、ドットインパクトプリンター10による読取動作のうち、特に、順方向の読取動作を示す図である。図6(A)はスキャン方向を示し、図6(B)は全体読取の動作を模式的に示す図であり、図6(C)は指定エリア読取の動作を模式的に示す図である。
【0049】
ドットインパクトプリンター10が順方向の読取を行う場合、記録媒体Sがドットインパクトプリンター10のフロント側(図2の左)からリア側(図2の右)に向かって搬送される間に、光学読取装置110を通過して、第1スキャナー111及び第2スキャナー112により読み取りが行われる。
この場合、図6(A)に示すように読取範囲Rの先端(図中上端)から後端(図中下端)にかけて読み取りが行われる。また、第1スキャナー111及び第2スキャナー112が読み取った1ラインの読取画像は、読取範囲Rの左端から順に、ゲートアレイ45を介して出力される。したがって、読取範囲Rの先端の左端が読取開始位置、後端の右端が終了位置となる。
【0050】
CPU40は、ホストコンピューター200から送信されるコマンドに従って、全体読取を行う場合、図6(B)に示すように、読取範囲Rをスキャン方向(副走査方向Y)に所定長さ毎に分割する。ここで、分割された各々の部分をブロックと呼ぶ。第1スキャナー111の読取範囲Rと第2スキャナー112の読取範囲Rは、それぞれ所定長さ毎に複数のブロックに分割され、各ブロックには、スキャン方向の先頭から順に、上下面交互に番号が付される。具体的には、上面の読取範囲Rの先頭がブロック1、下面の読取範囲Rの先頭がブロック2、以下、スキャン方向に沿ってブロック3、4、…、8と番号が付される。後端のブロックの長さは、読取範囲Rの長さを所定長さで割った余りの長さとなる。
【0051】
各々のブロックは、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の読取画像をホストコンピューター200に送信する処理の単位となる。つまり、CPU40は、RAM41の画像バッファー41Aに、一つのブロック分の読取画像データが記憶された場合に、この一ブロック分の読取画像データをホストコンピューター200に送信する。上記の所定長さ、すなわち搬送方向(スキャン方向)のブロックの長さは、RAM41に設けられる画像バッファー41Aの容量に応じて決定される。例えば、画像バッファー41Aが、最大解像度(600dpi)、フルカラーの読取画像データを300ライン分記憶する容量を有している場合、ブロックの長さは300ライン以下の適切な長さに設定される。
【0052】
全体読取の実行時、CPU40は、モータードライバー46を制御して媒体搬送モーター26を回転させ、記録媒体Sを所定速度で搬送しながら、ゲートアレイ45を制御して第1スキャナー111及び第2スキャナー112の光源を発光させるとともに受光センサーの検出値に基づいて読取画像データを生成し、読取画像データを1ラインずつRAM41の画像バッファー41Aに記憶させる。
【0053】
CPU40は、読取範囲Rの全体が第1スキャナー111及び第2スキャナー112によって読み取られるまで記録媒体Sの搬送を中断させることなく上記動作を継続し、この動作中にいずれかのブロックの読み取りが完了して、RAM41の画像バッファー41Aに一ブロック分の読取画像データが記憶された場合には、この一ブロック分の読取画像データを画像バッファー41Aから読み出してホストコンピューター200に送信し、送信が完了した読取画像データを画像バッファー41Aから消去する。
CPU40は、一つのブロックの読み取りが完了する毎に、上記のように読取画像データをホストコンピューター200に送信する。各ブロックの読取画像データを送信する順序は、読み取りが完了した順であり、ブロックの番号順とは限らない。
CPU40がホストコンピューター200に読取画像データを送信する場合には、読取画像データに、ヘッダーとして、読み取った面(上面か下面か)、読み取ったブロックのサイズ、ブロックの番号、データ長等の情報を付加して送信する。また、CPU40は、読取画像データのデータ量が大きい場合には、一つのブロックの読取画像データを分割して送信することも可能であり、この場合、分割された読取画像データをホストコンピューター200において結合するための情報をヘッダーとして付加してもよい。
【0054】
また、CPU40は、ホストコンピューター200から受信したコマンドに従って指定エリア読取を行う場合、図6(C)に示すように、読取範囲Rに設定コマンドで指定された読取対象のエリアを配置する。図6(C)の例では上面の読取範囲RにエリアA1、A2が配置され、下面の読取範囲RにエリアA3が配置される。
CPU40は、配置された読取対象のエリアに合わせてブロックを配置する。ここで、CPU40は、配置されたエリアのスキャン方向の長さが、上述したブロックの長さより短い場合には、一つのエリアを一つのブロックとする。このブロックの先端と後端はエリアの先端と後端に一致する。エリアの長さが上記の所定長さより長い場合、CPU40は、読取対象のエリアをスキャン方向の先頭側から所定長さ毎に分割する。図6(C)の例ではエリアA1、A3が所定長さを超えているので、エリアA1はブロック1、3に分割され、エリアA3はブロック2、4に分割される。ブロックの番号は、全体読取の場合と同様に、ブロックの先端の位置の順に、かつ上下面に交互に付与される。
なお、読取対象の複数のエリアが読取範囲Rの幅方向に並んでいて、スキャン方向において重なっている場合には、これら重なった全てのエリアがひとまとまりのブロックとされる。この、ひとまとまりのブロックのスキャン方向の長さが、ブロックの長さの上限を超えている場合には、スキャン方向に複数のブロックに分割される。
【0055】
そして、CPU40は、読取範囲RのエリアA1〜A3の読み取りを開始する。CPU40は、全てのエリアが第1スキャナー111及び第2スキャナー112によって読み取られるまで記録媒体Sの搬送を中断させることなく、ゲートアレイ45及びモータードライバー46を制御して読取動作を継続し、この動作中にいずれかの上面あるいは下面のいずれかのブロックの読み取りが完了して、RAM41の画像バッファー41Aに一ブロック分の読取画像データが記憶された場合には、この一ブロック分の読取画像データを画像バッファー41Aから読み出してホストコンピューター200に送信し、送信が完了した読取画像データを画像バッファー41Aから消去する。この場合の送信順は全体読取と同様に読み取りが完了したブロックの順であり、ブロックの番号順とは限らない。
【0056】
また、CPU40がホストコンピューター200に読取画像データを送信する場合、読取画像データに付加されるヘッダーには、読み取った面(上面か下面か)、読み取ったブロックのサイズ、ブロックの番号、データ長等の情報に、さらに、エリアの番号、エリアの開始位置及び終了位置の座標等の情報が含まれる。一つのエリアが複数のブロックに分割された場合には、各エリアを構成するブロックを結合するための情報を含めてもよい。さらに、複数のエリアが一つのブロックに含まれる場合、CPU40は、このブロックの読取画像データをエリア毎に切り分けて、エリア毎にホストコンピューター200に送信する。この指定エリア読取の場合も、データ量が大きい読取画像データを分割してホストコンピューター200に送信してもよい。
【0057】
ホストコンピューター200は、ドットインパクトプリンター10から送信された読取画像データを受信して、ヘッダー等の情報に基づきブロック毎に読取画像を再構成する。さらに、ホストコンピューター200は、ドットインパクトプリンター10に送信した設定コマンドで全体読取を指定した場合は、上面、下面の各々についてブロックを結合して読取範囲R全体の読取画像データを生成する。また、ホストコンピューター200は、設定コマンドで指定エリア読取を指定した場合は、一つのエリアが複数のブロックに分割された場合はこれらのブロックを結合し、一つのエリアが一つのブロックを構成する場合は、そのブロックの読取画像データをそのまま使用して、エリア毎の読取画像データを生成する。
【0058】
図7は、ドットインパクトプリンター10による読取動作のうち、特に、逆方向の読取動作を示す図である。図7(A)はスキャン方向を示し、図7(B)は全体読取の動作を模式的に示す図であり、図7(C)は指定エリア読取の動作を模式的に示す図である。
ドットインパクトプリンター10が逆方向の読取を行う場合、記録媒体Sがドットインパクトプリンター10のリア側からフロント側に向かって搬送される間に、光学読取装置110を通過して、第1スキャナー111及び第2スキャナー112により読み取りが行われる。この場合、図7(A)に示すように読取範囲Rの後端(図中下端)から先端(図中上端)にかけて読み取りが行われる。第1スキャナー111及び第2スキャナー112が読み取った1ラインの読取画像は、読取範囲Rの左端(矢印の元)から右端(矢印の先)の順に1ライン毎に、ゲートアレイ45を介して出力されるので、読取範囲Rの後端の左端が読取開始位置、先端の右端が終了位置となる。
【0059】
逆方向に全体読取を行う場合には、図7(B)に示すように、読取範囲Rが後端からブロックに分割される。この場合のブロックの番号は、読み取り時に先頭となる側から順に、上下の面に交互に付与される。そのほかの動作は順方向の全体読取と同様である。
また、逆方向に指定エリア読取を行う場合、図7(C)に示すように、ホストコンピューター200から受信した設定コマンドに従って読取対象のエリアが配置され、続いて、スキャン方向の先頭である読取範囲Rの後端側から、ブロックが配置される。また、ブロックの長さの上限を超えるエリアは、読取範囲Rの後端側を基準として所定長さ毎に分割される。その他の動作は順方向の指定エリア読取と同様である。
逆方向に読み取られた読取画像データは、順方向の読取画像データとは上下が逆になっている。このため、ドットインパクトプリンター10のCPU40が、読取画像データを反転させてからホストコンピューター200に送信する処理を行ってもよいが、設定コマンドを送信したホストコンピューター200はスキャン方向に関する情報を持っているので、この情報に基づいて、ホストコンピューター200が読取画像データの上下を反転させる処理を行ってもよい。
【0060】
図8は、本実施形態に係るドットインパクトプリンター10の動作を示すフローチャートである。
ドットインパクトプリンター10のCPU40は、まず、記録媒体Sが手差口15に挿入され、媒体端センサー47によって記録媒体Sの先端が検出されると(ステップS31;Yes)、整列板38を記録媒体Sの搬送路P内に突出させるとともに、媒体搬送モーター26を動作させて記録媒体Sを整列させる(ステップS32)。
【0061】
次いで、CPU40は、検出した記録媒体Sが小切手であるか、或いは通帳であるかを判別する(ステップS33)。ここで、CPU40は、ホストコンピューター200から送信される情報を取得し、この情報に基づいて記録媒体Sの種類を判別してもよいし、或いは、媒体端センサー47や媒体幅センサー55を用いて記録媒体Sの先端や側端の位置を検出し、この位置やサイズに基づいて記録媒体Sの種類を判別してもよい。また、媒体端センサー47や媒体幅センサー55を用いて検出した記録媒体Sの先端や側端の位置に基づき、磁気ヘッド34によりMICR情報の読み取りを試行し、この読み取りの試行によりMICR情報が領域MAに有るか否かを判定することで、記録媒体Sの種類を判別してもよい。本実施形態では、CPU40は、ホストコンピューター200から、記録媒体Sの種類(小切手又は通帳)を特定するための情報と、記録媒体Sが小切手である場合には、例えば、小切手のサイズに関する情報と、領域MAの位置に関する情報と、搬送距離に関する情報を取得し、これらの情報に基づいて小切手か通帳かを判別する。
【0062】
ステップS33の判別において、記録媒体Sが小切手でない場合(ステップS33;No)、CPU40は、例えば記録媒体Sが通帳であると判別して、通帳に設けられた磁気ストライプの読み取りを行うため、記録媒体Sを磁気ヘッド34により読取可能な位置まで搬送して、磁気ヘッド34によって磁気ストライプの読取及び/または書き込みを実行する(ステップS34)。さらに、CPU40は、記録媒体Sを記録ヘッド18の位置まで搬送して記録ヘッド18によって記録面への記録を実行し(ステップS35)、この記録媒体Sを手差口15から排出して(ステップS36)、動作を終了する。
【0063】
ステップS33の判別において、記録媒体Sが小切手である場合(ステップS33;Yes)、CPU40は、ホストコンピューター200から、MICR情報の読み取り命令を受信したか否かを判定する(ステップS37)。
そして、ステップS37の判別において、MICR情報の読み取り命令を受信したと判定した場合(ステップS37;Yes)には、CPU40は、整列板38を搬送路Pから退避させるとともに、少なくとも記録媒体Sの先端が媒体幅センサー55の直下に達するまで記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送させた後、キャリッジ駆動モーター56(図5)を駆動してキャリッジ19を主走査方向に走査し、媒体幅センサー55からの出力信号及びキャリッジ19の主走査方向の位置に基づいて記録媒体Sの幅方向の位置を検出する(ステップS38)。さらに、CPU40は、記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送させながら媒体端センサー47の出力信号を監視し、記録媒体Sの後端位置を検出する(ステップS39)。
【0064】
次に、CPU40は、領域MAを磁気ヘッド34によって読み取り可能となる位置まで、記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送し(ステップS40)、モータードライバー46を制御して磁気ヘッド駆動モーター57を動作させ、磁気ヘッド34により、領域MAに表示されたMICR文字の読み取りを実行させる(ステップS41)。磁気ヘッド34によって読み取られた情報(MICR情報)は、ゲートアレイ45によってデジタル化され、CPU40は、このデジタルデータを取得し(ステップS42)、このデータに基づいて文字情報を解析し、テキスト情報に変換する(ステップS43)。ここで、解析不能な文字が、あらかじめ設定された数を超えて存在したか、あるいはあらかじめ設定された数の範囲内であり解析成功であったかを判別し(ステップS14)、設定された数を超える解析不能な文字が存在した場合には(ステップS44;No)、エラーを出力して記録媒体Sを排出し(ステップS45)、動作を終了する。ステップS15では、ドットインパクトプリンター10自体が備える表示部等によりエラー発生を報知してもよいし、ホストコンピューター200に対してエラー発生を示す情報を送信してもよく、その両方を行ってもよい。
【0065】
一方、ステップS44の判別において、解析不能文字の数が設定された数を超えない場合で解析成功したとき(ステップS44;Yes)、CPU40は、光学読取装置110によるスキャンを実行して読取画像データをホストコンピューター200に送信する(ステップS46)。
そして、CPU40は、ホストコンピューター200から裏書き印刷の実行命令を受信するまで待機し(ステップS47)、裏書き印刷の実行命令を受信した場合には(ステップS17;Yes)、媒体搬送モーター26を逆転させ、記録媒体Sを記録ヘッド18の下まで搬送するとともに、キャリッジ駆動モーター56及び記録ヘッド18を駆動し、記録媒体Sの裏面に処理済みを示す裏書き印刷を行う(ステップS48)。そして、裏書き印刷が完了すると、CPU40は、媒体搬送モーター26をさらに回転させ、記録媒体Sを手差口15または排出口20から排出する。
【0066】
図9は、ドットインパクトプリンター10が実行する読取動作を示すフローチャートであり、図8のステップS46に示した動作をより詳細に示している。
CPU40は、ホストコンピューター200から送信される設定コマンドを受信して(ステップS51)、この設定コマンドにより指定された各種設定内容を取得する(ステップS52)。ここで、CPU40は、設定コマンドにより読取対象のエリアが指定されたか否かを判別し(ステップS53)、エリアの指定がない場合は(ステップS53;No)、設定コマンドにより指定されたスキャン方向に基づいて、読取範囲Rの全体を読み取るために基準となるブロックの位置を取得する(ステップS54)。読取範囲Rの全体読取を行う場合のブロックの位置は、例えばEEPROM42に記憶されている。
また、設定コマンドにより読取対象のエリアが指定された場合(ステップS53;Yes)、CPU40は、エリアの番号と各エリアの開始位置及び終了位置の座標を取得し(ステップS54)、エリアを読取範囲Rに配置するとともに、設定コマンドにより指定されたスキャン方向に基づいて、エリアに適したブロックの位置を決定する(ステップS56)。
【0067】
ブロック位置を取得または決定した後、CPU40は、ホストコンピューター200からスキャン開始コマンドを受信するまで待機し(ステップS57)、スキャン開始コマンドを受信すると(ステップS57;Yes)、設定コマンドにより指定されたスキャン方向、全体読取か指定エリア読取か、指定エリア読取の場合は指定されたエリアの位置、及び、記録媒体Sの現在の位置に基づいて、媒体搬送機構100によって記録媒体Sを光学読取装置110のスキャン開始位置まで搬送する(ステップS58)。
そしてCPU40は、記録媒体Sを搬送しながら第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りを実行する(ステップS59)。
この読み取りの実行中に、CPU40は、画像バッファー41Aの残容量(空き容量)がバッファーリング停止容量を下回った場合には、その後、画像バッファー41Aの残容量がなくなって、新たな読取画像データにより画像バッファー41A内の転送前の読取画像データが上書きされてしまわないようにバッファーリング(読み取り)の中断を行わせることとなる。
この場合において、バッファーリング停止容量は、画像バッファー41Aの残容量が第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りを実行中に絶対になくならない範囲で、かつ、できる限り少ない容量に設定するのが望ましい。これは、バッファーリングの停止処理ができる限り発生しないようにするためである。
【0068】
ここで、バッファーリングの停止(中断)処理および再開処理を具体的に説明する。
図10は、バッファーリングの停止(中断)処理の処理フローチャートである。
また、図11は、バッファーリングの処理タイミングチャートである。
また、図12は、図11の部分拡大図(その1)であり、図13は、図10の部分拡大図(その2)である。
また、図14は、バッファーリングの再開処理の処理フローチャートである。
ここで、図11ないし図13において、信号Aは、媒体搬送モーター(PFモーター)26の相切換タイミングを表す信号であり、信号Bは、媒体搬送モーター26の初期化タイミングを表す信号であり、カウント値Cは、媒体搬送モーター26の駆動基準タイミングと第1スキャナー111および第2スキャナー112の読取基準タイミングとが合っているタイミングを示すものであり、バッファーフル予告信号Dは、画像バッファー41Aが近いうちに残容量がなくなる可能性がある場合に“H”レベルとなる信号である。
【0069】
また、タイミングクロック信号(TCK)Eは、各種動作の基準となる基準クロック信号であり、読取基準信号Fは、第1スキャナー111および第2スキャナー112の読取基準タイミングに相当する信号であり、上面LEDイネーブル信号Gは、第1スキャナー111において読取光を出射する光源としてのLEDの点灯時に“H”レベルとなる信号であり、上面スキャン書き込みイネーブル信号Hは、第1スキャナー111による画像バッファー41Aの書き込みを禁止する際に“L”レベルとなる信号であり、上面読み捨てイネーブル信号Iは、第1スキャナー111から出力された読取データの読み捨てを許可する際に“H”レベルとなる信号であり、上面LED発光信号Jは、第1スキャナー111において読取光を出射する光源としてのLEDの点灯時に“H”レベルとなる信号であり、上面データ取込動作信号Kは、画像バッファー41Aに第1スキャナー111の読取 データを取り込む際に“H”レベルとなる信号である。
【0070】
また、下面LEDイネーブル信号Lは、第2スキャナー112において読取光を出射する光源としてのLEDの点灯時に“H”レベルとなる信号であり、下面スキャン書き込みイネーブル信号Mは、第2スキャナー112による画像バッファー41Aの書き込みを禁止する際に“L”レベルとなる信号であり、下面読み捨てイネーブル信号Nは、第2スキャナー112から出力された読取データの読み捨てを許可する際に“H”レベルとなる信号であり、下面LED発光信号Oは、第2スキャナー112において読取光を出射する光源としてのLEDの点灯時に“H”レベルとなる信号であり、下面データ取込動作信号Pは、画像バッファー41Aに第2スキャナー112の読取データを取り込む際に“H”レベルとなる信号である。
【0071】
図11および図12に示すように、時刻t1に至るまでは、画像バッファー41Aの残容量が、予め設定したバッファーリング停止容量を上回っており、バッファーフル予告信号Dが“L”レベルになっており、読取動作が通常通り可能となっている(図12中、媒体搬送モーター26の初期化タイミングを表す信号Bに対応する信号Bの状態[PFIntの状態]が「SCAN」と示す期間に相当)。そして時刻t1に至ると、画像バッファー41Aの残容量が、予め設定したバッファーリング停止容量を下回り、バッファーフル予告信号Dが“H”レベルになっているものとする。
【0072】
まず、例えば、時刻t2に示すように、媒体搬送モーター26の相切換信号Aの立下がりタイミング、かつ、媒体搬送モーター26の駆動基準タイミングB(=駆動基準タイミングに相当)のタイミングが、媒体搬送モーター26の駆動基準タイミングと第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動基準タイミングとが合ったタイミングを示すPFCIS同期カウントC=mとなるタイミングに相当したとすると、CPU40は、画像バッファー41Aの残容量が、予め設定したバッファーリング停止容量を下回ったか否かを判別する(ステップS71)。なお、相切り替えが開始される時刻t2の直後の期間は、図12中、媒体搬送モーター26の初期化タイミングを表す信号Bに対応する信号Bの状態[PFIntの状態]が「BUFFER FULL」と示すように、バッファーフル予告期間に移行している。しかしながら、時刻t2以降も上面データ取込動作信号Kの状態および下面データ取込動作信号Pの状態は、画像バッファー41Aに読取データを取込続ける状態、すなわち、図12中に示すように、「SCAN」と示す状態となっている。
ステップS71の判別において、画像バッファー41Aの残容量が、予め設定したバッファーリング停止容量を下回っていない場合には(ステップS71;No)、CPU40は、読取画像データのバッファーリングを継続しても画像バッファー41Aの容量においては余裕があると判断されるためバッファーリングの中断処理を終了し、バッファーリングを継続する。
【0073】
ステップS71の判別において、画像バッファー41Aの残容量が、予め設定したバッファーリング停止容量を下回っていると判別した場合には、CPU40は、その後、最も最初に媒体搬送モーター26の駆動基準タイミングが第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動基準タイミングとが合ったタイミングで記録媒体Sの搬送停止を指示する(ステップS73)。
これは、画像バッファー41Aに読取画像データのバッファーリングを継続すると、画像バッファー41Aの残容量がなくなって転送前の読取データが上書きされてしまうので、これを防止するためである。
【0074】
具体的には、バッファーリング停止容量を下回っていると判別してから最初に媒体搬送モーター26の駆動基準タイミングが第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動基準タイミングとが合ったタイミング、すなわち、媒体搬送モーター26の駆動基準タイミングと第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動基準タイミングとが合ったタイミング(PFCIS同期カウントC=m+1となったタイミング)である時刻t3において、モータードライバー46に対し、記録媒体Sの搬送停止を指示することとなる(図12中、媒体搬送モーター26の初期化タイミングを表す信号Bに対応する信号Bの状態[PFIntの状態]が「WAIT」と示す)。
ところで、CPU40が、モータードライバー46に停止指示を行って媒体搬送モーター26を停止させようとしても、当該停止指示から記録媒体Sの搬送が実際に停止するまでには、慣性動作などに起因して時間がかかり、その期間に記録媒体Sが搬送されてしまうこととなる。この期間における記録媒体Sの搬送量は、ほぼ一定となっており、本実施形態においては、2ピクセルに相当する量だけ余計に搬送されることとなる。
【0075】
そこで、本実施形態においては、停止指示から記録媒体Sの搬送が実際に停止すると想定される期間を搬送停止待機期間WS1(=時刻t3〜t4)として、この搬送停止待機期間WS1中は、第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りを継続させ、図13のLED発光タイミング信号Oに示すように、R、G、Bの各LEDを2回ずつ発光させて、2ピクセルに相当する読取データも画像バッファー41Aに格納するようにしている。すなわち、時刻t3〜t4の期間においても、上面データ取込動作信号Kの状態および下面データ取込動作信号Pの状態は、画像バッファー41Aに読取データを取込続ける状態、すなわち、図12中に「SCAN」と示す状態となっている。
【0076】
これにより本実施形態によれば、媒体搬送モーター26が停止するまでに読み取り可能な2ピクセル分の読取データを全て取得することができるようになっている。
このため、CPU40は、媒体搬送モーター26の停止指示から媒体搬送モーター26による記録媒体Sの搬送が実際に停止すると想定される期間、すなわち、記録媒体Sが2ピクセル分搬送されるのに要する期間(=搬送停止待機期間WS1)が経過したか否かを判別する(ステップS74)。
ステップS74の判別において、未だ停止指示から媒体搬送モーター26による記録媒体Sの搬送が実際に停止すると想定される期間、すなわち、記録媒体Sが2ピクセル分搬送されるのに要する期間(=搬送停止待機期間WS1)が経過していない場合には、待機状態となる。
【0077】
ステップS74の判別において、停止指示から媒体搬送モーター26により記録媒体Sが2ピクセル分搬送されるのに要する時間が経過した場合には、第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りを停止させることとなる。
具体的には、時刻t3において、記録媒体Sの搬送停止指示がなされてから媒体搬送モーター26による記録媒体Sの搬送が実際に停止すると想定される期間、すなわち、記録媒体Sが2ピクセル分搬送されるのに要する時間が経過した時刻t4において、第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りを停止させ、第1スキャナー111及び第2スキャナー112を構成している読取光照射用の光源(LED)も消灯する。
すなわち、上面LED発光信号Jおよび下面LED発光信号Oが“L”レベルとなり、上面データ取込動作信号Kの状態および下面データ取込動作信号Pの状態は、画像バッファー41Aに読取データを取込みを中断した状態(図13中に「SCAN WAIT」と示す状態)となっている。
【0078】
このとき、第1スキャナー111から出力された読取データの画像バッファー41Aの書き込みを禁止するためにスキャン書き込みイネーブル信号Hは、“L”レベルとなり、第1スキャナー111から出力された読取データの読み捨てを許可する読み捨てイネーブル信号Iは“H”レベルとなる。このとき、読取基準信号Fの状態は、画像バッファー41Aに対するデータの取込を行えない状態(図13中に読取基準信号Fに対応する信号Fの状態[CisIntの状態]を「BUFFER WAIT」と示す状態に相当)となっている。
【0079】
したがって、実際には、第1スキャナー111による画像バッファー41Aに対する処理は何も行われないこととなる。
同様に、第2スキャナー112から出力された読取データの画像バッファー41Aの書き込みを禁止するためにスキャン書き込みイネーブル信号Mは、“L”レベルとなり、第2スキャナー112から出力された読取データの読み捨てを許可する読み捨てイネーブル信号Nは“H”レベルとなる。したがって、実際には、第2スキャナー112による画像バッファー41Aに対する処理は何も行われないこととなる。
【0080】
これと並行して、CPU40は、読み取りが完了したブロックの有無を判別し(ステップS60)、読み取りが完了したブロックがあれば(ステップS60;Yes)、そのブロックの読取画像データをRAM41の画像バッファー41Aから読み出してホストコンピューター200へ転送する処理を開始し(ステップS61)、転送が完了したら画像バッファー41A内の当該ブロックの読取画像データを削除する。
したがって、第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りを停止させると、画像バッファー41Aの残容量が、徐々に増加し、バッファーリング停止容量に対してヒステリシス特性を持たせて予め設定したバッファーリング再開容量(>>バッファーリング停止容量)を上回ることとなる。
【0081】
そこで、CPU40は、図14に示すように、画像バッファー41Aの残容量が、予め設定したバッファーリング再開容量を上回っているか否かを判別する(ステップS81)。
ステップS81の判別において、画像バッファー41Aの残容量が、予め設定したバッファーリング再開容量を上回っていない場合には(ステップS81;No)、再び待機状態となる。
ステップS81の判別において、画像バッファー41Aの残容量が、予め設定したバッファーリング再開容量を上回っていると判別した場合には(ステップS81;Yes)、その後、最も最初に媒体搬送モーター26の駆動基準タイミングが第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動基準タイミングとが合ったタイミングで記録媒体Sの搬送再開を指示し、媒体搬送モーター26、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動指示を行う(ステップS82)。
【0082】
具体的には、時刻t4以降にバッファーリング再開容量を上回っていると判別してから最初に媒体搬送モーター26の駆動基準タイミングが第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動基準タイミングとが合ったタイミングである時刻t5において媒体搬送モーター26、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動指示を行って記録媒体Sの搬送再開を指示することとなる(図13中、媒体搬送モーター26の初期化タイミングを表す信号Bに対応する信号Bの状態[PFIntの状態]を「SCAN」と示す状態に相当)。
これにより、第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、駆動されて読取光照射用の光源(LED)が点灯され、記録媒体Sのデータ読取を行うこととなる。
【0083】
しかしながら、この段階では、読取光照射用の光源(LED)も不安定であり、ひいては、第1スキャナー111及び第2スキャナー112も不安定な状態であり、搬送モーター26の駆動を開始しても、実際に記録媒体Sが搬送されるまでには、若干のタイムラグ(本実施形態では、2ピクセルに相当するデータを読み取るに要する時間)があるので、CPU40は、第1スキャナー111及び第2スキャナー112が安定化し、実際に記録媒体Sが搬送されるのを待つため、媒体搬送モーター26、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動指示から駆動再開待機期間WS2に相当する期間、すなわち、2ピクセル分の読み取りに相当する期間が経過したか否かを判別する(ステップS83)。
【0084】
この駆動再開待機期間WS2に相当する期間(時刻t5〜t6)においては、図13中、媒体搬送モーター26の初期化タイミングを表す信号Bに対応する信号Bの状態[PFIntの状態]が「SCAN」と示す状態で記録媒体Sの搬送指示されている一方で、読取基準信号Fに対応する信号Fの状態[CisIntの状態]は「CIS WAIT」と示す第1スキャナー111及び第2スキャナー112の安定化待ち状態となり、上面データ取込動作信号Kの状態および下面データ取込動作信号Pの状態は、読取データを読み捨てすることにより、画像バッファー41Aに読取データの取込みを禁止した状態(図13中に「DATA DISPOSE」と示す状態)となっている。
【0085】
ステップS83の判別において、媒体搬送モーター26、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動指示から未だら駆動再開待機期間WS2に相当する期間、すなわち、2ピクセル分の読み取りに相当する期間が経過していない場合には(ステップS83;No)、読取データの読み捨てを行う(読み捨てモードを有効とする)ことにより、画像バッファー41Aへの読取データの格納を禁止する(ステップS84)。
一方、ステップS83の判別において、媒体搬送モーター26、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動指示から2ピクセル分の読み取りに相当する時間が経過した場合には(ステップS;Yes)、通常動作に移行し、読取データを画像バッファー41Aに格納するバッファーリングを再開することとなる(ステップS85)。
【0086】
具体的には、CPU40は、第1スキャナー111及び第2スキャナー112が安定化し、実際に記録媒体Sの搬送が開始される時刻t6において、第1スキャナー111から出力された読取データの画像バッファー41Aの書き込みを許可するためにスキャン書き込みイネーブル信号Hを“H”レベルとし、第1スキャナー111から出力された読取データの読み捨てを解除する読み捨てイネーブル信号Iを“L”レベルとし、第2スキャナー112から出力された読取データの画像バッファー41Aの書き込みを許可するためにスキャン書き込みイネーブル信号Hを“H”レベルとし、第2スキャナー112から出力された読取データの読み捨てを解除する読み捨てイネーブル信号Iを“L”レベルとして読み捨てモードを無効とすることにより、時刻t7からは、通常動作に移行し、読取データを画像バッファー41Aに格納するバッファーリングを再開することとなる。
【0087】
すなわち、時刻t7においては、図13中、媒体搬送モーター26の初期化タイミングを表す信号Bに対応する信号Bの状態[PFIntの状態]が「SCAN」と示す状態、読取基準信号Fに対応する信号Fの状態[CisIntの状態]は「CIS READ」と示す第1スキャナー111及び第2スキャナー112の読取データの読取り状態となり、上面データ取込動作信号Kの状態および下面データ取込動作信号Pの状態は、読取データを画像バッファー41Aに転送する状態(図13中に「SCAN」と示す状態)となって、通常動作に移行し、読取データを画像バッファー41Aに格納するバッファーリングを行うこととなる。
これらの結果、媒体Sの搬送の停止、搬送再開を行って、画像バッファー41Aへの読取データの格納停止、格納再開を行っているにもかかわらず、格納停止、再開前後の読取画像データに基づく画像の乱れ(再起動ずれ)が生じにくく、得られる画像品質を高品質に維持することが可能となっている。
【0088】
次にCPU40は、全てのブロックの読み取りが完了したか否かを判別する(ステップS62)。
ステップS62の判別において、読み取りが完了していないブロックがあれば(ステップS62;No)、CPU40は、ステップS59に戻って読取動作を継続し、新たに読み取りが完了したブロックがあれば、そのブロックの読取画像データを転送する。
そして、ステップS62の判別において、表裏両面の読取範囲Rにおける全てのブロックの読み取りが完了すると(ステップS62;Yes)、CPU40は、読取動作を終了する。
なお、上述したように第1スキャナー111と、第2スキャナー112の受光センサーはオフセットして配置されており、本実施形態では、第1スキャナー111がフロント側に5mm程度寄っている。このため、順方向にスキャンを行う場合、上面の読取範囲Rは、下面の読取範囲Rよりも先に読取が完了し、逆方向にスキャンを行う場合には、下面の読取範囲Rが上面の読取範囲Rよりも先に読取完了となる。
【0089】
以上の説明のように、本発明を適用した実施形態に係るドットインパクトプリンター10において、CPU40は、画像バッファー41Aにおいて残容量がバッファーリング停止容量を下回った場合にモータードライバー46に搬送の停止指示を行い、当該停止指示から搬送停止待機期間が経過するまで第1スキャナー111あるいは第2スキャナー112による読み取りを継続させてから第1スキャナー111あるいは第2スキャナー112における読み取りを停止させ、搬送停止待機期間WS1の経過後、残容量がバッファーリング再開容量を上回った場合に搬送モーター26、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の駆動の再開指示を行い、当該再開指示から駆動再開待機期間WS2が経過するまで第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読取データの画像バッファー41Aへの格納を禁止し、駆動再開待機期間WS2の経過後、第1スキャナー111及び第2スキャナー112から出力された読取データの画像バッファー41Aの格納を再開させるので、媒体の搬送停止時の読み取り位置と、媒体の搬送再開時における読み取り位置のずれに起因する再起動ずれを抑制でき、得られる読取データ(画像データ)に対応する画像の品質を向上させることができる。
【0090】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、バッファーリング再開容量>>バッファーリング停止容量としていたが、バッファーリング再開容量≧バッファーリング停止容量とすることも可能である。
また、上記実施形態では、記録媒体Sの両面を並行して読み取る場合を例として説明したが、片面を読み取る場合であっても同様に適用が可能である。
また、整列機構28、記録ヘッド18、及び光学読取装置110の順に記録媒体Sの搬送路P上に並べて配設された構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら各装置の配置は任意であり、例えば光学読取装置110を最も手差口15寄りに配置してもよい。
また、上記実施形態では、ドットインパクトプリンター10に搭載された制御基板(図示略)に実装された制御部が、図4の機能ブロックに示す機能を有し、ドットインパクトプリンター10の各部を制御する構成を例に挙げて説明したが、例えば、ドットインパクトプリンター10に外部接続された装置が、図4に示す各機能部として機能し、ドットインパクトプリンター10の動作を制御する構成としてもよい。さらに、図4に示した各機能ブロックは、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されるものであって、具体的なハードウェアの実装形態やソフトウェアの仕様等は任意であり、その他の細部構成についても任意に変更可能である。
【0091】
また、以上の実施形態では、第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、RGBのLED(光源)を利用してモノクロ及びカラースキャンが可能な構成として説明したが、例えば、赤外光を発する光源を用いて赤外線による読み取りを行う構成としてもよい。磁気インクは、通常のインクに比較して、赤外線の吸収率が高いので、赤外線を用いることにより、磁気インクによって印刷された文字のみを取り込むことができ、領域MAのMICR情報を光学的に効率よく読み取り可能となることが期待できる。
【0092】
また、上記実施の形態では、記録媒体Sを水平に搬送するフラットベッド型の装置に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、小切手などの帳票形態の記録媒体Sを立てた状態で搬送する搬送路を備えた装置に適用することも勿論可能である。また、上記実施形態では、光学読取装置110を備えたドットインパクトプリンター10を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット式のプリンターや、サーマルプリンター、レーザープリンター等に、光学読取装置110に相当する光学読取部を設けた構成としても良い。さらに、独立したプリンターとして使用される機器に限らず、他の機器(ATM(Automated Teller Machine)やCD(Cash Dispenser)等)に組み込まれた装置に、光学読取装置110に相当する光学読取部を設けたものであってもよい。
さらに、紙等の記録媒体に文字や画像を記録する装置に一体として光学読取装置110を設けた構成に限らず、本発明は、例えば、独立したスキャナー装置や複写機を含む多様な機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
10…ドットインパクトプリンター(光学読取装置)、26…媒体搬送モーター、40…CPU(制御部)、41…RAM、41A…画像バッファー(バッファーメモリー部)、100…媒体搬送機構(搬送部)、110…光学読取装置(光学読取部)、111…第1スキャナー(光学読取部)、112…第2スキャナー(光学読取部)、200…ホストコンピューター、S…媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送路に沿って搬送可能な搬送部と、
前記搬送路に設けられ、前記搬送部により搬送される前記媒体を光学的に読み取り、読取データを出力する光学読取部と、
前記光学読取部が出力した前記読取データを格納する記憶部と、
前記記憶部と前記搬送部、前記光学読取部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送部の駆動の停止指示を行い、当該停止指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部による読み取りと前記記憶部への前記読取データの格納を継続させることを特徴とする光学読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学読取装置において、
前記制御部は、前記搬送部の駆動の開始指示を行い、当該開始指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部が読み取った前記読取データを破棄し、または、前記記憶部への前記読取りデータの格納を禁止することを特徴とする光学読取装置。
【請求項3】
請求項2記載の光学読取装置において、
前記制御部が、前記停止指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部により読み取り、前記記憶部へ記憶するデータ量と、
前記制御部が、前記開始指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部が読取ったもので廃棄するデータ量は、同量であることを特徴とする光学読取装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光学読取装置において、
前記制御部は、前記記憶部において空き容量が所定容量を下回った場合に前記搬送部に前記停止指示を行い、前記空き容量が所定容量を上回った場合に前記搬送部に前記開始指示を行う、
ことを特徴とする光学読取装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学読取装置において、
前記搬送部は、媒体搬送モーターを備え、
前記制御部は、前記媒体搬送モーターの駆動基準タイミングと前記光学読取部の読取基準タイミングとが同期したタイミングで前記停止指示を行う、
ことを特徴とする光学読取装置。
【請求項6】
搬送部が、媒体を搬送路に沿って搬送し、
光学読取部が、前記搬送部により搬送される前記媒体を光学的に読み取り、読取データを出力し、
記憶部が、前記光学読取部が出力した前記読取データを格納する過程を含む光学読取装置の制御方法であって、
制御部が、前記搬送部に駆動の停止指示を行う過程と、
当該停止指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部が読み取りを継続し、前記記憶部が前記読取データの格納を継続する過程を含むことを特徴とする光学読取装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6記載の光学読取装置の制御方法であって、
前記制御部が、前記搬送部の駆動の開始指示を行い、当該開始指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部により読み取った前記読取データを破棄する過程、または、前記記憶部への前記読取りデータの格納を禁止する過程を含むことを特徴とする光学読取装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の光学読取装置の制御方法であって、
前記記憶部の空き容量が所定容量を下回った場合に、前記制御部が前記搬送部に前記停止指示を行う過程と、
前記空き容量が所定容量を上回った場合に、前記制御部が前記搬送部に前記開始指示を行う過程とを含むことを特徴とする光学読取装置の制御方法。
【請求項9】
媒体を搬送路に沿って搬送可能な搬送部と、前記搬送路に設けられ、前記搬送部により搬送される前記媒体を光学的に読み取り、読取データを出力する光学読取部と、前記光学読取部が出力した前記読取データを格納する記憶部と、を備えた光学読取装置を制御する制御部が実行可能なプログラムであって、
前記制御部に、前記搬送部の駆動の停止指示を行わせ、当該停止指示から所定期間が経過するまで、前記光学読取部による読み取りと前記記憶部への前記読取データの格納を継続させることを行わせる、
ことを含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−155550(P2011−155550A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16393(P2010−16393)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】