光学部品の計測用ホルダー及び該ホルダーを有する装置
【課題】 光学部品の自重や固定による応力による影響を計測時に受けずに、光学部品内部の残留応力による複屈折のみを評価するホルダーおよび該ホルダーを有する装置を提供すること。
【解決手段】 光走査型の計測機において、光学部品を全面で保持し、光束が透過する箇所のみを開口部とし、光束が走査されるのと同期して開口部が移動することを特徴とする構成とした。
【解決手段】 光走査型の計測機において、光学部品を全面で保持し、光束が透過する箇所のみを開口部とし、光束が走査されるのと同期して開口部が移動することを特徴とする構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品の高精度に計測・評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源に紫外光または真空紫外光を用いた露光装置等の光学部品は、近年高NA化が進み、それに対応して径状も大型化、さらに高性能の要求が高まっている。光学部品の計測評価での光走査型の計測機における光学部品の保持方法は、周辺部のみを保持し、中心部は光が透過するような構造をとっていた。被計測物の大型化により、従来の被計測物の保持方法では、自重による変形、または自重により発生する応力が被計測物自体の複屈折に影響を与え、高精度に被計測物を評価することができない。
【0003】
光学部品を光走査型の計測する際の保持方法では、光学部品の位置を固定する保持部は当然光路を遮断しないように、光学部品を外周部だけで保持している。この保持方式には、保持力の経時変化による面形状変化がないように、また振動や加速度による光学部品の位置ずれが起きないように、安定性のある構造が要求され、さらに調整・設置の容易性の点からは単純な構造が要求されている。しかし、光学部品は外周部だけで支持されているため、また、位置ずれがないように光学部品を保持工具で強固に固定するとその応力によって、複屈折が発生してしまう。さらに、光学部品の大型化にともない従来技術による保持方法では、自重により発生する応力が測定値に大きな影響を与えることとなる(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平6−201962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外領域での露光装置においては、使用される光学部品に蛍石などの結晶性のものが使用され、結晶性を有する光学部品は応力と結晶軸の関係で発生する複屈折が異なってくる。従来の方式で、光学部品に蛍石を用い、計測条件を以下に示し、図2に概念図を示す。光学部品は蛍石を用い、外径400mmφ、厚み100mmであり、計測波長は193nm、保持部の面積は、一箇所に付き473.90mm2で三点による保持方式である。この場合、自重による応力の影響により、中心部から190mmの地点(X方向)で0.3nmの複屈折が発生する。
【0005】
本発明の目的は、光学部品の自重や固定による応力による影響を計測時に受けずに、光学部品内部の残留応力による複屈折のみを評価するホルダーおよび該ホルダーを有する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図1のように、光学部品101を保持部102により全面で保持し、光走査型計測機の光源部104から出射された光束105が透過できるように、開口部103が光走査するための駆動ステージ107と同期して移動する。光学部品101を透過した光束105を計測機の受光部106により検出する。
【0007】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学部品の形状の拡大とともに増加する自重による応力により発生する複屈折の影響を低減し、光学部品のもつ内部応力により発生する複屈折のみを評価することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例の一例として、光学部品に蛍石を用いた。計測条件を以下に示し、本発明の実施例の概略図を図3に示す。光学部品は蛍石を用い、外径400mmφ、厚み100mmであり、開口部はY方向のラインで幅10mmであり、保持部の面積は、121664.96mm2である。本発明の方式により計測を行った場合、中心部で自重により発生する複屈折は、1.0×10-3nmである。
【0011】
従来の方式と比較して、自重による応力の影響で発生する複屈折を2桁近く低減が行える。
【0012】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例の図
【図2】従来例の概念図
【図3】本発明の概念図
【符号の説明】
【0014】
101 光学部品(被計測物)
102 保持部
103 開口するために移動した保持部
104 光源
105 光束
106 検出部
107 XY駆動ステージ
201 開口部
202 保持部
301 開口部
302 保持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品の高精度に計測・評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源に紫外光または真空紫外光を用いた露光装置等の光学部品は、近年高NA化が進み、それに対応して径状も大型化、さらに高性能の要求が高まっている。光学部品の計測評価での光走査型の計測機における光学部品の保持方法は、周辺部のみを保持し、中心部は光が透過するような構造をとっていた。被計測物の大型化により、従来の被計測物の保持方法では、自重による変形、または自重により発生する応力が被計測物自体の複屈折に影響を与え、高精度に被計測物を評価することができない。
【0003】
光学部品を光走査型の計測する際の保持方法では、光学部品の位置を固定する保持部は当然光路を遮断しないように、光学部品を外周部だけで保持している。この保持方式には、保持力の経時変化による面形状変化がないように、また振動や加速度による光学部品の位置ずれが起きないように、安定性のある構造が要求され、さらに調整・設置の容易性の点からは単純な構造が要求されている。しかし、光学部品は外周部だけで支持されているため、また、位置ずれがないように光学部品を保持工具で強固に固定するとその応力によって、複屈折が発生してしまう。さらに、光学部品の大型化にともない従来技術による保持方法では、自重により発生する応力が測定値に大きな影響を与えることとなる(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平6−201962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外領域での露光装置においては、使用される光学部品に蛍石などの結晶性のものが使用され、結晶性を有する光学部品は応力と結晶軸の関係で発生する複屈折が異なってくる。従来の方式で、光学部品に蛍石を用い、計測条件を以下に示し、図2に概念図を示す。光学部品は蛍石を用い、外径400mmφ、厚み100mmであり、計測波長は193nm、保持部の面積は、一箇所に付き473.90mm2で三点による保持方式である。この場合、自重による応力の影響により、中心部から190mmの地点(X方向)で0.3nmの複屈折が発生する。
【0005】
本発明の目的は、光学部品の自重や固定による応力による影響を計測時に受けずに、光学部品内部の残留応力による複屈折のみを評価するホルダーおよび該ホルダーを有する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図1のように、光学部品101を保持部102により全面で保持し、光走査型計測機の光源部104から出射された光束105が透過できるように、開口部103が光走査するための駆動ステージ107と同期して移動する。光学部品101を透過した光束105を計測機の受光部106により検出する。
【0007】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学部品の形状の拡大とともに増加する自重による応力により発生する複屈折の影響を低減し、光学部品のもつ内部応力により発生する複屈折のみを評価することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例の一例として、光学部品に蛍石を用いた。計測条件を以下に示し、本発明の実施例の概略図を図3に示す。光学部品は蛍石を用い、外径400mmφ、厚み100mmであり、開口部はY方向のラインで幅10mmであり、保持部の面積は、121664.96mm2である。本発明の方式により計測を行った場合、中心部で自重により発生する複屈折は、1.0×10-3nmである。
【0011】
従来の方式と比較して、自重による応力の影響で発生する複屈折を2桁近く低減が行える。
【0012】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例の図
【図2】従来例の概念図
【図3】本発明の概念図
【符号の説明】
【0014】
101 光学部品(被計測物)
102 保持部
103 開口するために移動した保持部
104 光源
105 光束
106 検出部
107 XY駆動ステージ
201 開口部
202 保持部
301 開口部
302 保持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光走査型の計測機において、光学部品を全面で保持し、光束が透過する箇所のみを開口部とし、光束が走査されるのと同期して開口部が移動することを特徴とする計測用ホルダー。
【請求項2】
請求項1の計測用ホルダーであって、複屈折を計測することを特徴とする計測用ホルダー。
【請求項3】
光走査型の計測機において、光学部品を全面で保持し、光束が透過する箇所のみを開口部とし、光束が走査されるのと同期して開口部が移動することを特徴とする計測用ホルダーを有する装置。
【請求項4】
請求項3の装置であって、複屈折を計測することを特徴とする装置。
【請求項1】
光走査型の計測機において、光学部品を全面で保持し、光束が透過する箇所のみを開口部とし、光束が走査されるのと同期して開口部が移動することを特徴とする計測用ホルダー。
【請求項2】
請求項1の計測用ホルダーであって、複屈折を計測することを特徴とする計測用ホルダー。
【請求項3】
光走査型の計測機において、光学部品を全面で保持し、光束が透過する箇所のみを開口部とし、光束が走査されるのと同期して開口部が移動することを特徴とする計測用ホルダーを有する装置。
【請求項4】
請求項3の装置であって、複屈折を計測することを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2007−40893(P2007−40893A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226817(P2005−226817)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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