説明

光学部材

【課題】面発光レーザの光パワーを精度よくモニタすることのできる光学部材を提供する。
【解決手段】発光素子から出射した光が入射する入射領域11と、入射領域11から入射した光を第1の方向及び第2の方向に分岐するための分岐領域Z10と、第1の方向に分岐された光を外部に出射するモニタ光出射領域13と、第2の方向に分岐された光を外部に出射する通信光出射領域14と、を設け、モニタ光出射領域13を外部の光モニタと光学的に結合し、第1の方向に分岐した光を光路変更せずにモニタ光出射領域13に到達させることにより、モニタ用の光の分岐後の光路を短縮し、精度よく光パワーをモニタする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、面発光レーザの光パワーをモニタするための光学部材に関する技術が記載されている。特許文献1に記載の光学ユニットにおいては、面発光レーザ部と、面発光レーザ部から発光されたレーザ光の一部を受光する受光部とが、基板上で同一平面上に実装されている。この面発光レーザ部から出射されたレーザ光は、コリメートレンズによって光学部材に入射する。入射したレーザ光は、光学部材中の分岐部で分岐する。分岐した一方の光は反射ミラーで反射された後、光学部材から出射され、受光部により受光される。また、特許文献2に記載の光導波部品においては、入射光を2つの方向に分割して反射する第1及び第2の反射面が設けられている。発光素子からの光は、光導波部品に入射した後、この第1及び第2の反射面により2分割される。分割された光のうち一方は、固形媒体を通して第3の反射面へ入射する。この固形媒体は、進行方向に向かって断面積が減少するように形成されている。第3の反射面に入射した光は、第3の反射面で反射されて受光素子により受光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−344915号公報
【特許文献2】特開2004−286895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光学部材及び特許文献2に記載の光導波部品においては、入射した光からモニタ用の光が分岐された後に、さらにモニタ用の光の向きが反射面によって受光素子方向に変更されることが必要である。そのため、モニタ用の光が分岐されてからモニタ用受光素子に光結合されるまでの光路長が長い。したがって、伝送ロスによりモニタ精度が低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、精度よく光パワーをモニタすることのできる光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学部材は、発光素子から出射した光が入射する入射領域と、入射領域から入射した光を第1の方向及び第2の方向に分岐する分岐領域と、第1の方向に分岐された光を外部に出射する第1の出射領域と、第2の方向に分岐された光を外部に出射する第2の出射領域とを備える。そして、第1の出射領域は外部の光モニタと光学的に結合され、第2の出射領域は外部の光導波体と光学的に結合され、第1の方向に分岐された光は光路変更せずに第1の出射領域に到達する、ことを特徴とする。本発明の光学部材においては、分岐領域において第1方向に分岐された光は、分岐領域において分岐された後、向きを変えずに第1出射領域に結合される。これにより、分岐後の光路を短縮することができる。したがって、通信光との分岐後におけるモニタ光の光損失を低減することができるから、通信光の状態を精度よくモニタすることができる。
【0007】
また、本発明の光学部材においては、入射領域、第1の出射領域及び第2の出射領域はいずれもコリメートレンズを含む。そして、分岐領域は入射領域によってコリメートされた光の外周の少なくとも一部を第1の方向に分岐する、ことが好ましい。この場合、通信光の品質に悪影響を及ぼすことなく、モニタ光の切り出しを行うことができる。分岐領域に入射する光は、発光中心から外周に向かって光強度が減少するよう強度分布を有するので、発光中心から離れた部分の微弱光がモニタ用として切り出される。そのため、通信自体への影響を減少させることができる。
【0008】
また、本発明の光学部材においては、上記の光学部材であって、分岐領域は入射領域によってコリメートされた光の外周の全体を第1の方向に分岐するのが好適である。第2の出射領域から光導波体と光学的に結合される光のうち、第2の出射領域の外周を通った光は光導波体への入射角が大きく、高次モード光を励起する。このため、伝送光のモード間干渉により斑点状の強度分布を生じ、モードスペックルノイズによる伝送品質悪化要因となる。しかしながら、上記の構成とすれば、第2の出射領域の外周を通る光を通信光から除去することができるので、モードスペックルノイズの発生を防止することができる。したがって、伝送品質の劣化を抑制することができる。
【0009】
また、本発明の光学部材においては、発光素子と光モニタは光学部材に対して同じ側に設けられ、分岐領域は、分岐領域に入射する光の一部を第1の方向に反射して第1の出射領域に結合する反射面を有することが好ましい。さらに、入射領域と分岐領域との間に、入射領域から入射した光を分岐領域に偏向する偏向部を更に備えていてもよい。この場合、発光素子と光モニタを同一面上に形成することが可能となる。そのため、モジュール全体を小型化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、精度よく光パワーをモニタすることのできる光学部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る光学部材の構成を説明するための斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る光学部材の構成を説明するための図である。
【図3】第1実施形態の第1の変形例に係る光学部材の構成を説明するための図である。
【図4】第1実施形態の第2の変形例に係る光学部材の構成を説明するための図である。
【図5】第2実施形態に係る光学部材の構成を説明するための図である。
【図6】第2実施形態の変形例に係る光学部材の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態について図1〜図2を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る光学部材1の構成を説明する斜視図である。図2は、第1実施形態に係る光学部材1の構成を説明するための図であり、図1のA−A線断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る光学部材1は、入射領域11、反射面12、モニタ光出射領域13(第1の出射領域)、通信光出射領域14(第2の出射領域)、分岐領域Z10、光伝搬領域Z11(第1の光伝搬領域)及び光伝搬領域Z12(第2の光伝搬領域)を備える。光学部材1のうち、モニタ光出射領域13を有する面には凹部B1が設けられており、その凹部B1の底に反射面12が設けられている。なお、本図においては簡単のため単チャンネルの場合を例に説明するが、各構成を並列して一体とすることで多チャンネル用の光学部材として構成可能である。
【0014】
入射領域11は、光学部材1の外部の発光素子3から出射した光が入射する領域である。入射領域11は好適にはコリメートレンズであり、入射領域11を通過した光が、方向D1(座標系C1のz軸方向)に平行な光にコリメートされるのが好ましい。
【0015】
反射面12は、入射領域11においてコリメートされて方向D1の向きに入射する光の進路上に設けられる。反射面12は、入射光のうち一部の光を反射し、その他の光を反射しない形状及び大きさで設けられる。すなわち、入射光のうち光S10の外周にある周辺部S11を通る光は、反射面12によって反射されることなく、方向D2(座標系C1のz軸方向)に延びている光伝搬領域Z11へ伝搬する。なお、光S10の外周とは、光S10の外周端から、その中心方向に向かって一定の幅を有する環状の部分をいう。以下、他の光についても同様である。一方、入射光のうち光S10の中央部S12を通る光は、反射面12によって反射され、方向D3に延びている光伝搬領域Z12へ伝搬する。反射面12にはアルミなど金属を蒸着することにより反射材を設けてもよいし、反射材を設けなくてもよい。反射材を設けない場合には、光学部材1を構成する樹脂等の材料と光学部材1の周囲の空気との屈折率の差により光が反射される。後者の場合には、光学部材1は屈折率1.6程度の樹脂により形成されるのが好ましい。
【0016】
分岐領域Z10は、光学部材1のうち反射面12を含んだ領域である。分岐領域Z10は、入射領域11から入射した光を方向D2(第1の方向)及び方向D3(第2の方向)に分岐するための領域である。また、この分岐領域Z10には、異なる方向に延びる光伝搬領域Z11と光伝搬領域Z12とが設けられている。
【0017】
光伝搬領域Z11は、分岐領域Z10に接続されている領域であり、第1の方向(図中では入射領域11の入射方向の逆側。なお、以後逆側および同じ側とは、光学部材1を挟んだ両側を意味するものとし、例えば図1においてはxy平面方向であって、光学部材1を挟んだ両側を意味するものである)に延びている。光伝搬領域Z11は、入射領域11から分岐領域Z10に入射する光の光路上に設けられている。また、光伝搬領域Z11の端部にはモニタ光出射領域13が設けられている。
【0018】
光伝搬領域Z12は、分岐領域Z10に接続されている領域であり、第2の方向(図中では入射領域11の入射方向に直交する方向)に延びている。また、光伝搬領域Z12の端部には通信光出射領域14が設けられている。
【0019】
モニタ光出射領域13は、光伝搬領域Z11の端部に設けられる。このモニタ光出射領域13は、分岐領域Z10で分岐されて光伝搬領域Z11を通過してきた光をモニタ光として外部に出射して光学部材1の外部の光モニタ4に光学的に結合させる領域である。モニタ光出射領域13は、例えば、通常のコリメートレンズの中心部をくり抜いて構成され得る。また、モニタ光出射領域13は、入射領域11より入射した光S10の外周にある周辺部S11に設けられていることが好ましい。
【0020】
通信光出射領域14は、光伝搬領域Z12の端部に設けられる。通信光出射領域14は、分岐領域Z10で分岐されて光伝搬領域Z12を通過してきた光を通信光として出射して、光学部材1の外部の光ファイバ5に光学的に結合させる。通信光出射領域14はコリメートレンズであることが好ましい。
【0021】
以上で説明した入射領域11、反射面12、モニタ光出射領域13及び通信光出射領域14は、例えば樹脂を成形加工することによって、一体として形成することができる。
【0022】
次に、光学部材1の機能について説明する。発光素子3から出射された光は入射領域11において光学部材1に入射する。そして、入射領域11から光学部材1に入射した光S10の外周にある周辺部S11を通る光は方向D2に延びている光伝搬領域Z11へ進む。光伝搬領域Z11を通過した光は、光路変更せずにモニタ光出射領域13へ到達し、モニタ光出射領域13を介して光モニタ4へ光学的に結合される。一方、光学部材1に入射した光S10の中央部S12を通る光は反射面12によって反射され、方向D3に延びている光伝搬領域Z12へ光路変更される。光伝搬領域Z12を通過した光は、通信光出射領域14を介して光ファイバ(光導波体)5へ光学的に結合される。
【0023】
以上のように、光学部材1は、発光素子3から出射された光の一部を光モニタ4に光学的に結合される方向に分岐させた後、光路の向きを変えずにモニタ光出射領域13に光学的に結合し、モニタ光出射領域13を介して光モニタ4へ入射させる。したがって、光モニタ4に光学的に結合される光学部材1内の分岐後の光路が短縮され、そのため、精度よく光パワーをモニタすることができる。
【0024】
図3は、第1実施形態の第1の変形例を説明するための図である。第1実施形態の第1の変形例に係る光学部材1aは、入射領域11a、反射面12a、モニタ光出射領域13a(第1の出射領域)、通信光出射領域14a(第2の出射領域)、分岐領域Z10a、光伝搬領域Z11a(第1の光伝搬領域)及び光伝搬領域Z12a(第2の光伝搬領域)を備える。ここで、光伝搬領域Z11a及びモニタ光出射領域13aは、光学部材1における光伝搬領域Z11及びモニタ光出射領域13とは異なり、入射領域11aから入射した光S10aの外周の一部のみにあたる周辺部S11aに設けられている。この光学部材1aも、光学部材1と同様に、発光素子3から出射された光の一部を方向D2(座標系C1のz軸方向)に分岐させた後、光路の向きを変えずにモニタ光出射領域13aに光学的に結合し、モニタ光出射領域13aを介して光モニタ4へ入射させる。したがって、光モニタ4に光学的に結合される光学部材1a内の分岐後の光路が短縮され、そのため、精度よく光パワーをモニタすることができる。
【0025】
この場合、入射領域11aから入射した光S10aは、発光中心から外周に向かって光強度が減少するガウス分布型の強度分布を有するので、光S10aから切り出されるモニタ光は発光中心から離れた周辺部S11aの微弱光である。そのため、通信光に過剰な損失を与えることなくモニタ光の切り出しを行うことができるので、通信自体への影響を減少させることができる。
【0026】
なお、図1および図2に示したように、モニタ光出射領域13は、入射領域11から入射した光S10の外周の全体にわたる周辺部S11の上に設けられているリング形を有しているのが好ましい。このとき、分岐領域Z10は、入射領域11によってコリメートされた光の外周の全周を方向D2に分岐する。この場合にも、光S10から切り出されるモニタ光は発光中心から離れた周辺部S11の微弱光であるから、通信光に過剰な損失を与えることなくモニタ光の切り出しを行うことができる。
【0027】
一方、通信光出射領域14から光ファイバ5と光学的に結合される光のうち、通信光出射領域14の外周を通った光は、光ファイバ5への入射角が大きく、伝搬中に高次モード光を励起し得る。このため、伝送光のモード間干渉により斑点状の強度分布を生じ、モードスペックルノイズによる伝送品質悪化要因となり得る。しかしながら、上記のようにモニタ光出射領域13は、入射領域11から入射した光S10の外周の全体にわたる周辺部S11の上に設けられている構成とすれば、通信光出射領域14の外周を通る光を通信光から除去することができるので、モードスペックルノイズの発生を防止することができる。したがって、伝送品質の劣化を抑制することができる。
【0028】
次に、第1実施形態の第2の変形例を、図4を用いて説明する。第1実施形態の第1の変形例と異なる点は、分岐領域Z10bにおいて、モニタ光を透過させて分岐するのではなく、モニタ光を通信光の伝搬する方向D3と異なる方向に反射させることによって分岐する点にある。さらに、発光素子3と光モニタ4は光学部材1bに対して同じ側に設けられ、分岐領域Z10bは、分岐領域Z10bに入射する光の一部を方向D4(第1の方向)に反射してモニタ光出射領域13bに結合する反射面12bをさらに備える。
【0029】
第1実施形態の第2の変形例に係る光学部材1bは、入射領域11b、反射面12b、モニタ光出射領域13b(第1の出射領域)、通信光出射領域14b(第2の出射領域)、分岐領域Z10b、光伝搬領域Z11b(第1の光伝搬領域)及び光伝搬領域Z12b(第2の光伝搬領域)を備える。
【0030】
入射領域11bは、発光素子3から出射された光を光学部材1bに入射させるための領域である。
【0031】
反射面12bは、入射領域11bから入射した光を反射する面である。反射面12bは、次の点で、第1実施形態に係る光学部材1の反射面12と異なる。すなわち、光学部材1の反射面12が一枚の平坦な面であるのに対し、反射面12bは、平坦な中央反射面12b2と、中央反射面12b2の周囲に設けられる周辺反射面12b1から構成されている。周辺反射面12b1は、中央反射面12b2の周囲に突起部を設け、その突起部のうちの一面を反射面としたものである。周辺反射面12b1は、中央反射面12b2とは異なる角度を持つ面である。この角度とは、具体的には次のような角度である。すなわち、周辺反射面12b1は、光S10bの外周にある周辺部S11bを通って入射する光を光伝搬領域Z11bへ向けて反射する。これに対し、中央反射面12b2は、光S10bの中央部S12bを通って入射する光を光伝搬領域Z12bへ向けて反射するような角度である。
【0032】
分岐領域Z10bは、光学部材1bのうち、反射面12bを含んだ領域である。この分岐領域Z10bには、光伝搬領域Z11b(光モニタ4と光学的に結合される方向D4に延びている)と光伝搬領域Z12b(方向D3に延びている)とが接続されている。光伝搬領域Z11bは、分岐領域Z10bに接続されている領域である。また、光伝搬領域Z11bの端部にはモニタ光出射領域13bが接続されている。光伝搬領域Z12bは、分岐領域Z10bに接続されている領域である。また、光伝搬領域Z12bの端部には通信光出射領域14bが接続されている。なお、第1実施形態の第2の変形例において、発光素子3と光モニタ4は同一の基板の上に形成されている。
【0033】
続いて、第1実施形態の第2の変形例に係る光学部材1bの機能を説明する。発光素子3から出射された光は入射領域11bによって光学部材1bに入射する。光学部材1bに入射した光は、方向D1に進み、反射面12bによって反射される。光学部材1bに入射した光のうち、光S10bの外周にある周辺部S11bを通って入射した光は、周辺反射面12b1によって反射され、光伝搬領域Z11bを方向D4に伝搬し、モニタ光出射領域13bを介して光モニタ4に光学的に結合される。一方、光学部材1bに入射した光のうち、光S10bの中央部S12bを通って入射した光は、中央反射面12b2によって反射され、光伝搬領域Z12bを方向D3に伝搬し、通信光出射領域14bを介して光ファイバ5に光学的に結合される。
【0034】
以上の第1実施形態の第2の変形例に係る光学部材1bにおいても、第1実施形態に係る光学部材1と同様の作用および効果が得られる。すなわち、光学部材1bは、発光素子3から出射された光S10bの周辺部S11bを通って入射した光を、周辺反射面12b1によって反射することにより光モニタ4と光学的に結合される方向に分岐させ、光路の向きを変えずにモニタ光出射領域13bへ光学的に結合させ、モニタ光出射領域13bを介して光モニタ4へ入射させる。したがって、精度よく光パワーをモニタすることができる。
【0035】
また、分岐領域Z10bが入射する光の一部を第1の方向に反射してモニタ光出射領域13bに結合する反射面12bをさらに備えることで、発光素子3と光モニタ4は光学部材1bに対して同じ側に設けることが可能となる(モニタ光を透過させて分岐する場合は、反対側である。)。したがって、発光素子3と受光素子4を同一の基板6の上に形成することが可能となる。そのため、モジュール全体を小型化することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5を用いて説明する。図5は、第2実施形態に係る光学部材2の断面図である。光学部材2は、入射領域21、偏向面22A(偏向部)、分岐面22B(反射面)、モニタ光出射領域23(第1の出射領域)、通信光出射領域24(第2の出射領域)、分岐領域Z20、光伝搬領域Z21(第1の光伝搬領域)及び光伝搬領域Z22(第2の光伝搬領域)を備える。
【0037】
入射領域21は、発光素子3から出射された光を光学部材2に入射させる領域である。また、偏向面22Aは、発光素子3から入射領域21を介して方向D1に入射した光を入射領域21の光の出射方向と異なる方向である分岐領域Z20の方向へ(方向D3に向けて)偏向する。
【0038】
分岐面22Bは、偏向面22Aによって偏向された光の進路(方向D3に延びる進路)上に設けられる。より具体的には、分岐面22Bは、偏向面22Aを介して分岐領域Z20に入射する光S20の外周にある周辺部S21に設けられる。分岐面22Bは、偏向面22Aによって偏向された光S20の周辺部S21を通った光を反射することによって方向D5に分岐させ、方向D5に延びる光伝搬領域Z21を通過させてモニタ光出射領域23に光学的に結合させる。光伝搬領域Z21が延びている方向D5は、分岐領域Z20に入射する光の入射方向(方向D3)とは異なる方向であって、かつ、入射領域21の光の入射方向(方向D1)とは、光学部材2を挟んで同じ側に向いている。
【0039】
通信光出射領域24は、偏向面22Aによって偏向された光S20の中央部S22を通った光(方向D3に進む光)を出射して光ファイバ5へ光学的に結合させる。
【0040】
分岐領域Z20は、光学部材2のうち分岐面22Bを有する領域である。この分岐領域Z20には、光伝搬領域Z21と光伝搬領域Z22とが接続されている。光伝搬領域Z21は、分岐領域Z20に接続されている領域である。また、光伝搬領域Z21の端部にはモニタ光出射領域23が接続されている。光伝搬領域Z22は、分岐領域Z20に接続されている領域である。また、光伝搬領域Z22の端部には通信光出射領域24が接続されている。
【0041】
モニタ光出射領域23は、分岐面22Bによって反射され、光伝搬領域Z21を通過してきた光を光モニタ4へと光学的に結合させる。通信光出射領域24は、偏向面22Aによって反射され、光伝搬領域Z22を通過してきた光を光ファイバ5へと光学的に結合させる。
【0042】
次に、光学部材2の機能について説明する。発光素子3から出射された光が入射領域21から光学部材2に入射する。光学部材2に入射した光は、方向D1に進み、偏向面22Aによって方向D1と異なる方向D3に偏向される。方向D3に進む光S20の外周にある周辺部S21を通った光は、分岐領域Z20に入射した後、分岐面22Bで分岐され、方向D5に延びる光伝搬領域Z21を通過し、モニタ光出射領域23を介して光モニタ4に光学的に結合される。一方、偏向面22Aで偏向された光S20の中央部S22を通った光は分岐領域Z20に入射した後、方向D3に延びる光伝搬領域Z22を通過し、通信光出射領域24を介して光ファイバ5に光学的に結合される。
【0043】
以上のように、光学部材2は、発光素子3から出射され偏向面22Aによって偏向された光を分岐面22Bによって分岐させた後、光路の向きを変えずにモニタ光出射領域23に光学的に結合し、モニタ光出射領域23を介して受光素子4へ入射させる。したがって、光モニタ4に光学的に結合される光学部材2内の分岐後の光路が短縮され、精度よく光パワーをモニタすることができる。また、入射領域21からの光の出射方向D1と分岐面22Bで反射された後の光の向きである方向D5は光学部材2を挟んで同じ側に向いている。したがって、発光素子3と受光素子4を同一の基板6の上に形成することが可能となる。そのため、モジュール全体を小型化することができる。
【0044】
なお、図5においては、分岐面22Bは、一例として、偏向面22Aから偏向されてくる光S20の周辺部S21に設けられている。この周辺部S21は、光S20の外周の全体にわたるものではない。しかし、図6のように、周辺部S21を、光S20の外周の全体にわたるものとしてもよい。
【0045】
図6は、第2実施形態の変形例の構成を説明するための図である。第2実施形態の変形例に係る光学部材2aは、入射領域21a、偏向面22Aa(偏向部)、分岐面22Ba(反射面)、モニタ光出射領域23a(第1の出射領域)、通信光出射領域24a(第2の出射領域)、分岐領域Z20a、光伝搬領域Z21a(第1の光伝搬領域)及び光伝搬領域Z22a(第2の光伝搬領域)を備える。このうち入射領域21a及び偏向面22Aaは、光学部材2における入射領域21及び偏向面22Aと同様の構成と作用を持つ。
【0046】
光学部材2aが光学部材2と異なる点としては、光S20aの外周にある周辺部S21aを、光S20aの外周の全体にわたるリング形とした点が挙げられる。分岐面22Baは光S20の周辺部S21aに設けられているため、分岐面22Baの形状もリング形となる。それに伴い、分岐面22Baで反射された光の伝搬する領域である光伝搬領域Z21aも、方向D5に延びる筒状形状となる。これに対し、光伝搬領域Z22aは、分岐面22Baから方向D3に突き出した、柱状形状となる。そして、光伝搬領域Z22aの端部に通信光出射領域24aが設けられる。光伝搬領域Z22aは柱状の形状となるため、この周囲に脚を設けて基板に実装することもできる。
【0047】
このような光学部材2aであれば、分岐領域は、入射する光の一部を方向D5(第1の方向)に反射してモニタ光出射領域23aに結合するから、入射領域21aからの光の出射方向D1と第2反射面22Bで反射された後の光の向きである方向D5は、光学部材2を挟んで同じ側に向いている。したがって、発光素子3と受光素子4を同一の基板6の上に形成することが可能となる。また、光S20aの外周にある周辺部S21aを、光S20aの外周の全体にわたるリング形としたので、通信光出射領域24aの外周を通る光を通信光から除去することができる。即ち、通信光において高次モード光が励起されることを好適に防止することができ、モードスペックルノイズの発生を防止することができる。したがって、伝送品質の劣化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,2…光学部材、11,21…入射領域、12…反射面、22A…偏向面、22B…分岐面、13,23…通信光出射領域、14,24…モニタ光出射領域、Z10,Z20…分岐領域、Z11,Z12,Z21,Z22…光伝搬領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子から出射した光が入射する入射領域と、
前記入射領域から入射した光を第1の方向及び第2の方向に分岐する分岐領域と、
前記第1の方向に分岐された光を外部に出射する第1の出射領域と、
前記第2の方向に分岐された光を外部に出射する第2の出射領域と、
を備え、
前記第1の出射領域は外部の光モニタと光学的に結合され、
前記第2の出射領域は外部の光導波体と光学的に結合され、
前記第1の方向に分岐された光は光路変更せずに前記第1の出射領域に到達する、
ことを特徴とする光学部材。
【請求項2】
前記入射領域、前記第1の出射領域及び前記第2の出射領域はいずれもコリメートレンズを含み、
前記分岐領域は、前記入射領域によってコリメートされた光の外周の少なくとも一部を前記第1の方向に分岐する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記分岐領域は、前記入射領域によってコリメートされた光の外周の全体を前記第1の方向に分岐する、
ことを特徴とする請求項2に記載の光学部材。
【請求項4】
前記発光素子と前記光モニタは前記光学部材に対して同じ側に設けられ、
前記分岐領域は、前記分岐領域に入射する光の一部を前記第1の方向に反射して前記第1の出射領域に結合する反射面を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項5】
前記入射領域と前記分岐領域との間に、前記入射領域から入射した光を前記分岐領域に偏向する偏向部を更に備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の光学部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45024(P2013−45024A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184112(P2011−184112)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】