説明

光干渉計測データ読出方法、光干渉断層診断装置および光干渉断層診断システム

【課題】 光干渉断層診断装置における光干渉計測データの処理において、計測精度を劣化させることなく光干渉断層診断の為の処理に係るデータサイズを削減して、計測から診断までの処理時間を低減すること。
【解決手段】 光スペクトル情報から断層情報を取得するFD−OCTにおいて、計測光の計測深度と計測される干渉光の特性を利用して、計測光の計測深度に基づいて光干渉計測データ中の読み出すべきデータを決定し、当該光干渉計測データはこの決定されたデータのみが読み出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉を利用して断層画像を取得する光干渉計測データ読出方法、光干渉断層診断装置および光干渉断層診断システムに関する。特に、眼科診療等に用いられる干渉光学系を有する光干渉断層撮像装置において、計測制度を劣化させることなく光干渉断層診断に係るデータサイズを低減するのに好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層診断装置(Optical Coherence Tomography、以下OCTと記述)において、取得する光干渉断層画像の高画質化(高解像化や高階調化、高ダイナミックレンジなど)に関する技術がこれまでにも多く提案なされている。
OCTは、特に眼科用医療機器としての応用が進み、網膜の専門外来では診断に欠かせない機器として期待が高まっている。
特に、近年は、被検眼網膜の深さ方向の分解能とともに深さ方向に直交する面方向(網膜面方向)の分解能の向上が要求されるようになってきている。網膜面方向の分解能を向上させることで、これまで観察できなかった病変の観察や、さらなる病変の早期発見などが期待できるためである。
OCTの網膜面方向の分解能を向上させるために、開口数(Numerical Aperture、以下NAと記述)の高い光学系を使用し、ゾーンフォーカス機能を備えるOCTの技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている技術によれば、NAの高い光学系を使用して、フォーカス位置を段階的に変化させて計測を行うゾーンフォーカスで網膜の光干渉断層画像を計測することが可能である。
【0003】
また、OCTは被検眼網膜を内部(網膜を構成する各層)からの計測光の反射情報を干渉光として計測するため、計測光の侵入深さが深くなるともに反射光強度が低下し、干渉情報が低下してしまうという特性が潜在的に存在する。これにより光干渉断層画像のダイナミックレンジの低下につながる。
画質の均一な光干渉断層画像を得るために、OCTにおいて計測光の計測深度に応じて調整を行う技術が特許文献2に開示されている。特許文献2に開示されている技術によれば、干渉光を時間的に走査して断層像の計測を行うTime−Domain OCTにおいて、計測深度に応じて光源の光強度を制御することで断層像の全体で明るさの一様な光干渉断層画像を得ることが可能となる。
以上のように、OCTの光干渉断層画像の高画質化を実現するための技術は、これまでにも多くの提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−101250
【特許文献2】特開2005−083954
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した先行技術においては、以下の問題を解決することができなかった。
光干渉断層画像の高画質化、特に高解像化や高階調化は計測データを著しく増大させる。また診断対象とする範囲の拡大、すなわち光干渉断層画像の計測範囲を拡大する要求も、計測データの増大につながる。
【0006】
計測データの増大は、光干渉断層画像診断において、計測や計測データの処理、画像構成など各種処理に要する時間の増大を引き起こし、結果、計測から診断までのリアルタイム性の劣化が生じてしまう。
すなわち、光干渉断層画像の高画質化とともに、診断に係る時間を短縮する手段を講じる必要があるが、従来技術では上記課題には対応できなかった。
なお、診断に係る時間を短縮するとともに光干渉断層診断の正確性を欠くことのないよう、計測精度の劣化や光干渉診断画像の画質劣化を引き起こしてはならない。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、光干渉計測データの処理において、計測光の計測深度に基づいて光干渉計測データの読出を制御することによって、計測精度を劣化させることなく光干渉断層診断に係るデータサイズを低減して電子的な処理時間を短縮する光干渉計測データ読出方法、光干渉断層診断装置および光干渉断層診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明による光干渉計測データ読出方法は以下のような構成になる。
すなわち、光干渉を利用して光スペクトル情報から断層像を計測する光干渉断層診断における光干渉計測データの読出方法であって、光干渉計測データの計測深度の情報を取得する取得工程と、
前記計測深度情報に基づいて、光干渉計測データの内、読み出すデータを決める決定工程と、前記決定工程で決定された読出データを読み出すように制御する読出制御工程と、前記読出制御工程の制御に基づいて光干渉計測データを読み出す読出工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するため本発明による光干渉断層診断装置は以下のような構成になる。
すなわち、光干渉を利用して光スペクトル情報から断層像を計測する光干渉断層診断装置であって、光干渉計測データの計測深度の情報を取得する取得手段と、前記計測深度情報に基づいて、光干渉計測データの内、読み出すデータを決める決定手段と、前記決定手段で決定された読出データを読み出すように制御する読出制御手段と、前記読出制御手段の制御に基づいて光干渉計測データを読み出す読出手段とを備えることを備えることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため本発明による光干渉断層診断システムは以下のような構成になる。
光干渉を利用して光スペクトル情報から断層情報を計測する光干渉断層計測装置と計測された断層情報から光干渉断層画像を構成してユーザに提示する画像処理装置から構成される光干渉断層診断システムであって、光干渉計測データの計測深度の情報を取得する取得手段と、前記計測深度情報に基づいて、光干渉計測データの内、読み出すデータを決める決定手段と、前記決定手段で決定された読出データを読み出すように制御する読出制御手段と、前記読出制御手段の制御に基づいて光干渉計測データを読み出す読出手段と、前記読出手段により読み出された前記光干渉計測データを前記画像処理装置へ出力する出力手段と、を備える光干渉断層計測装置と、前記光干渉断層計測装置の出力情報を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された前記光干渉計測データから光干渉断層画像を生成する画像生成手段と、前記光干渉断層画像を表示する表示手段とを備える前記画像処理装置とから構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、光干渉計測データの処理において、計測光の計測深度に基づいて光干渉計測データの読出を制御することによって、計測精度を劣化させることなく光干渉断層診断に係るデータサイズを低減して電子的な処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態におけるOCTを用いた光干渉断層診断システムの装置構成図
【図2】第1の実施の形態におけるOCTシステムの機能ブロック図
【図3】第1の実施の形態におけるOCTの内部装置構成の一例を示す概念図
【図4】第1の実施の形態におけるOCTの計測深度を説明する概念図
【図5】第1の実施の形態におけるゾーンフォーカスを説明する概念図
【図6】第1の実施の形態における光干渉計測データの読出方法を説明する概念図
【図7】第1の実施の形態における全体の処理の流れを示すメインフローチャート
【図8】第1の実施の形態における光干渉計測データの読出処理の流れを示すフローチャート
【図9】第2の実施の形態におけるゾーンフォーカスを説明する概念図
【図10】第2の実施の形態における光干渉計測データの読出方法を説明する概念図
【図11】第2の実施の形態における光干渉計測データの読出処理の流れを示すフローチャート
【図12】第3の実施の形態における光干渉計測データの読出方法を説明する概念図
【図13】第3の実施の形態における計測前キャリブレーションの流れを示すフローチャート
【図14】第4の実施の形態における光干渉計測データの読出処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明を実現する第1の実施の形態を図に従って説明する。
図1は、本発明の特徴を説明する第1の実施の形態におけるOCTを用いた光干渉断層診断システムの装置構成の全体図である。
本実施の形態における光干渉断層診断システムとしての画像処理システムは、光干渉断層診断装置であるOCT101、コントローラ102、画像処理装置103から構成されている。
OCTは試料の断層像を高解像度に計測することができ、OCTを用いた光干渉断層診断システムとして、近年、眼科をはじめとして医療機器への応用が進められている。
眼科用の医療機器では、前眼部撮影機、眼底カメラ、共焦点レーザー走査検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope: SLO)などの機器が知られている。
【0015】
これらの従来の機器に対して、OCTは網膜内部の断層像を計測できるため、眼部や網膜の表層には表れにくい黄班変性、黄班円孔などの網膜内部の病変を診断する上で非常に有利である。また、網膜の断層画像を3次元で取得することにより、病変の拡大や網膜を構成する各層の状態、特に緑内障の原因である視神経細胞層の観察など、従来の機器ではできない診断が可能となる。
医療システムには、各種病変の早期発見や正確な診断のために、よりいっそうの光干渉断層画像の高解像化や高階調化、3次元化を要求されることが推測される。その一方では、医師と被検者の負担を軽減するという観点から計測から診断までのリアルタイム性が強く望まれている。
【0016】
そのため、システムは光干渉断層画像の高解像化や高階調化、3次元化によるデータの増大化の一方で、処理に係る時間を短縮する必要がある。
OCTの計測時間に着目すると、OCTには異なる計測原理に基づいた幾つかの方式が知られており、個々の方式で計測速度が異なる。
OCTには干渉光を時間的に走査して被検体奥行き方向の計測を行うTime−Domain OCT(TD−OCT)、干渉光の光スペクトル情報を利用して同方向の計測を行うFourier−Domain OCT(FD−OCT)に大きく分類される。
【0017】
さらにFD−OCTでは、干渉光を分光して光スペクトル情報を得るSpectral−Domain OCT(SD−OCT)と、波長掃引可能な光源を使用して計測光の波長掃引により光スペクトル情報を得るSwept−Source OCT(SS−OCT)の2方式が知られている。
各方式を比較した場合、一般に、機械的な走査を必要とするTD−OCTに対して、それを必要とせず断層深さ方向の情報を一括して取得できるFD−OCTは、高速な計測が可能であることが知られている。なお、SD−OCTとSS−OCTでは計測速度は比肩する。
【0018】
次に、診断に係る電子的な処理において処理時間を短縮する方法に着目すると、演算能力に優れる高性能画像処理装置を使用するなどの方法が考えられるが、一般的にコストは増大するため、新たな工夫が必要であると予想される。
OCTの特性を利用して処理に係るデータサイズを削減することができれば、計測精度を劣化させることなく診断に好ましい光干渉断層画像を得るとともに、処理に係る時間を短縮でき、コストの増大を抑えることが可能となる。
【0019】
OCT101は、計測光を被検体に照射する照射手段と干渉光を計測する計測手段、そして画像処理装置103へ光干渉断層データを出力する出力手段を備える。眼科用医療機器としてのOCTの場合には照射手段に被検眼を観察するための接眼光学系を備え、さらにSD−OCTの場合には計測手段に干渉光を波長で分光する分光器を備える。また、OCT101はコントローラ102と通信を行う機能を有しており、コントローラ102からの計測開始、停止などの命令と応答のやりとりを行う。
コントローラ102と接続された画像処理装置103は、OCT101から入力された光干渉断層データに基づいて光干渉断層画像を構成して、診断のための各種補正を行う画像構成手段と、光干渉断層画像を表示する表示手段を有する。画像処理装置103はコントローラ102を介してOCT101と通信を行う。画像処理装置103からの計測開始の命令を受信したOCT101は、照射手段と計測手段により被検体の断層を計測する。
【0020】
コントローラ102は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, 以下FFTと記述)、波数変換、本実施の形態の特徴である光干渉計測データの読出処理や、伝送フォーマット変換などの機能を備えている。
なお、図1では画像処理装置103とコントローラ102を別々のハードウェア構成としているが、コントローラ102と画像処理装置103がそれぞれ有する機能を集め、専用の画像処理装置を構成することも可能である。
【0021】
また、図1ではOCT101とコントローラ102を別々のハードウェア構成としているが、OCT101とコントローラ102の機能の全てまたは一部を一体化する構成でも構わない。以降の説明では機能的な観点から、OCT101とコントローラ102とがそれぞれ有する機能を組み合わせたものをOCTとして説明する。
また、図中で各々の装置は有線で接続されているが、これらの一部またはそのすべてを無線で接続する形態としても構わない。
【0022】
図2は、本発明の特徴を説明する第1の実施の形態におけるOCTシステムの機能ブロック図である。
OCT201は、SD−OCT機能を有する。該OCT201は、計測光を照射する照射部203、照射部の光学系を制御するゾーンフォーカス制御部204、干渉光を計測する計測部205、波長ごとに整列した干渉光の計測データを波数軸に従い再配列する波数変換部206、本発明の特徴となる光干渉計測データ読出部207、干渉光の計測データを光干渉断層データに変換するFFT処理部208、および外部処理装置としての画像処理装置202との間での信号の伝送のためのI/F209を有する。なお、ここで示すOCT201は、図1に示すOCT101とコントローラ102の一部とに対応する。
【0023】
画像処理装置202は、OCT201から受信した光干渉断層データに基づいて光干渉断層画像の構成と表示を行う。該画像処理装置202は、OCT201との間での信号の伝送のためのI/F210、光干渉断層データから光干渉断層画像を構成する画像構成部211、および光干渉断層画像を表示する表示部212を有する。該画像処理装置202には、一般にパソコンやワークステーション等の高性能な演算処理機能やグラフィック表示機能を有する装置を用いる。なお、ここで示す画像処理装置202は図1に示す画像処理装置103とコントローラ102の一部とに対応する。
【0024】
図1で述べた照射手段に対応する照射部203は、被検眼に対して計測光である低コヒーレント光を照射する。該照射部203は、低コヒーレント光を発する光源、被検眼の網膜上に計測光を照射する接眼光学系、計測光を網膜上に走査する走査手段、および被検眼の光学分散を補償する分散補償光学系を有する。ここで、光源は計測対象に照射する計測光を生成する計測光生成手段を構成し、計測光の生成工程を担う。また、接眼光学系は、計測光の光束径を制御して計測に適切なスポット径とする光束径制御手段を構成し、走査手段は、後述するゾーンフォーカス制御部により計測光の集光位置を制御する集光位置制御手段を構成する。光束径制御手段は計測光となる光束の径を制御する工程を、集光位置制御手段は眼底上の計測光の集光位置を制御する工程を各々担う。眼科用医療機器としてのSD−OCTでは、低コヒーレント光源として近赤外領域に中心波長(例えば830nm、1310nmなど)を有す光を発するSuper Luminescent Diode(以下、SLDと記述)が一般的に使用される。しかし、その他にも、Amplified Spontaneous Emission(ASE)など低コヒーレント光を発することが可能な光源であればこれを用いることとしてもよい。
【0025】
ゾーンフォーカス制御部204は、OCTのゾーンフォーカシングのために照射部203の接眼光学系を制御する。一般にゾーンフォーカスは、接眼光学系においてNAとフォーカス位置を制御することにより機能する。
【0026】
図1で述べた計測手段に対応する計測部205は、参照光と被検眼からの反射光とを干渉させた干渉光を計測する。該計測部205は、干渉光を作成する干渉計と干渉光を分光する分光器、そして干渉光を計測する撮像素子を有する。
撮像素子には、一般的に、近赤外領域に感度をもつCCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が使用される。
【0027】
波数変換部206は、計測部205により、分光器で波長ごとに分光されて計測される干渉光の計測データを波数軸に再配列する。該波数変換部206は、干渉光の計測データから、断層の情報を取得するFFT処理に備えて波数空間に変更する。
光干渉計測データ読出部207は、計測光の計測深度に応じて干渉光の計測データの読出を制御する。詳細については後述する。
FFT処理部208は、干渉光の計測データに対してFFT処理を行い、光干渉断層データに変換する。FFT処理により、被検眼の計測情報(反射位置と信号強度)を構成する光干渉断層データが得られる。
【0028】
I/F209は、FFT処理部208により生成された光干渉断層データを画像処理装置103に伝送するために用いられる。I/F209は、画像処理装置202のI/F210と共に、OCT201と画像処理装置202との間のデータ通信を行うインターフェースとして機能する。当該I/F210としては、リアルタイム性が求められ、かつ大容量の伝送が可能な通信規格に適合するものを採用することが望ましい。データの通信方式は、有線方式(例えばUSB、IEEE1394、HDMI(登録商標)、光伝送など)であっても無線方式(例えばUWB(Ultra Wide Band)、無線LAN、ミリ波通信など)であってもよい。
【0029】
I/F210は、画像処理装置側のI/Fである。OCT201内のI/F209と同様の機能を有し、I/F209と連携してデータの送受信を行う。従って、I/F209は本発明において読み出し手段により読み出された光干渉計測データを出力情報として画像処理装置へ出力する出力手段を構成し、I/F210は出力手段より送られた出力情報を画像処理装置に入力する入力手段を構成する。
画像生成手段である画像構成部211は、受け取った光干渉断層データがもつ被検眼の計測情報(反射位置と信号強度)から、被検眼網膜の光干渉断層画像を構成する。また、得られた光干渉断層画像に対して、輝度の調整や歪補正、注目領域の切り出しなどの各種補正処理を適用して、より診断に好ましい情報を再構成する。
表示手段である表示部212は、画像構成部211で構成された光干渉断層画像を表示する。
【0030】
以上の構成を有するOCTシステムにより、被検眼網膜の光干渉断層画像を取得して、表示することができる。かつ、OCTの特性を利用して処理に係るデータサイズを削減でき、計測精度を劣化させることなく診断に好ましい光干渉断層画像を得るとともに処理に係る時間を短縮することが可能となる。
なお、図2に示す形態では、FFT処理部208をOCT201内に配置してOCT201の機能としたが、これを画像処理装置202の機能とする場合には、転送処理に係るデータサイズを低減できるため、I/F209―I/F210間の転送時間を短縮できる。
【0031】
光干渉断層画像取得のプロセスは、まず、照射部203により被検眼に対して計測光が照射され、計測部205で得られた光干渉計測データに対して波数変換部206で波数変換処理を行い、光干渉計測データ読出部207が有効なデータを次処理のFFT処理部208へ出力する。FFT処理部208では、光干渉計測データに基づいて被検眼網膜の断層情報を生成する。得られた光干渉断層データはI/F209を介して画像処理装置103へ送信される。画像処理装置103では、受け取った光干渉断層データに基づいて光干渉断層画像を構成し、被検眼の計測結果を表示部212で表示する。
以上の処理プロセスにより、診断に好ましい光干渉診断画像をユーザ(医師)に提示することが可能となる。
【0032】
なお、画像処理装置103(202)に適用可能なコンピュータのハードウェアとして以下の構成が例示できる
即ち、画像処理装置103が所謂CPU、RAM、ROMなどを有し、CPUによって、これらRAMやROMに格納されているプログラムやデータを用いて、コンピュータ全体の制御を行う。同時に、CPUは本コンピュータを適用した画像処理装置103が行う処理を実行する。
【0033】
RAMは、外部記憶装置からロードされたプログラムやデータ、あるいはI/F307を介して外部(本実施形態の場合OCT201)から受信したデータ等を一時的に記憶するためのエリアを有する。またCPUが各種の処理を実行する際に用いるワークエリアも有する。このRAMは、各種のエリアを適宜、各種処理に対して提供することができる。
ROMは、本コンピュータの設定データやブートプログラム等を格納する。
当該コンピュータは、キーボードやマウスなどにより構成される操作部も有しており、本コンピュータの操作者が操作することで、CPUに対して各種の指示を入力することができる。
【0034】
表示部212は、CRTや液晶モニタ等により構成されており、CPUや不図示のグラフィックスボードによる処理結果を画像や文字で操作者へ表示することができる。
前述した外部記憶装置は、ハードディスクドライブ装置に代表される大容量情報記憶装置であり、ここにはOS(オペレーティングシステム)や、画像処理装置103が行う各処理をCPUに実行させるためのプログラムおよびデータが格納されている。これらのプログラムやデータは、CPUによる制御に従って適宜RAMにロードされ、CPUによる処理の対象となる。
【0035】
ここで述べたコンピュータにおけるI/Fは、図2に示したI/F210に相当するものである。OCT201とのデータ通信を行うため、主にOCT201からの光干渉断層データを受信する受信インターフェースとして機能する。
OCT201に配されるハードウェアの構成として以下のものが例示される。
即ち、計測部205に相当するハードウェア、ゾーンフォーカス制御部204に相当するハードウェア、CPU、RAM、ROM、LSIなどが考えられる。
【0036】
RAMは、OCT201におけるCPUが各種の処理を行うために用いるワークエリアや、I/F209を介して外部装置である画像処理装置103から受信したデータを一時的に格納するためのエリア等を有する。
ROMは、OCT201が行う後述の各処理をOCT201におけるCPUに実行させるためのプログラムやOCT201の光学的または電気的設定に関するデータなどが格納されている。
さらに、OCT201を直接操作するボタンなどに相当するハードウェアも配置される。
なお、OCT201におけるCPUは、OCT201の初期設定をはじめ各種デバイスの制御を行うプログラムの実行を行う。
また、該ハードウェアとしてのI/Fは、図2に示したI/F209に相当するものである。
【0037】
LSIは、図2に示した波数変換部206やFFT処理部208に相当するハードウェアである。ここでは専用集積回路であるASICを想定しているが、信号処理プロセッサであるDSPによってソフト的に機能を記述し実現する構成でもよい。
【0038】
図3は、被検眼305を計測するOCT201の内部装置構成の一例を示す概念図である。
OCT201は、低コヒーレント光源301を有する。眼科用医療機器としてのOCTの場合、低コヒーレント光源301には、近赤外領域に中心波長(例えば830nm)を持ち、一定の波長幅(例えば50nm)を有する光を発するSLDが使用される。OCTの原理によれば、波長幅は計測光の光軸方向の分解能に、また波長は光軸方向に直交する平面方向の分解能に寄与することが知られている。中心波長は、被検体によって、より具体的には被検体の散乱と吸収の波長依存特性によって決定される。生体を構成する水の光吸収は830nm付近で極小となることが知られており、従って生体、特に硝子体をもつ眼球に対してはこの波長付近の光を使用することでより深い光の浸達が得られる。眼科用医療機器としてのOCTの場合、一般的に、水の吸収の少ない、また緻密な網膜層構造を解像するために高解像が得られやすい830nmを中心波長として使用する。
【0039】
ビームスプリッタ302は、低コヒーレント光源より発せられた光を、ミラー306へ照射する参照光312と被検眼305へ照射する計測光311とに分離する。また、該ビームスプリッタ302は、参照光312と、被検眼からの戻り光313との光を干渉させて干渉光314を生成する干渉計としての機能を併せ持つ。
【0040】
スキャナ303は、計測光311を、光軸に直交する平面方向(XY方向)に、網膜上を走査する。スキャナ303は、ガルバノミラーやMEMSスキャナなどのデバイスであり、単独で、または1軸ごとの走査を組み合わせて、X方向とY方向の2軸を走査可能なデバイスが使用される。なお、計測光311の中心は、スキャナ303の回転中心と一致するように調整されている。
【0041】
接眼光学系304は、計測光311を被検眼の網膜に集光する。ゾーンフォーカス制御部204は、接眼光学系304を制御することにより計測光311のNAおよびフォーカス位置を調整して、ゾーンフォーカシングを機能させる。
【0042】
ミラー306は、参照光312を反射する。SD−OCTは、参照光312と、計測光311(とその戻り光313)との光路差に応じて断層情報を得るものである。なお、参照光312と、計測光311(とその戻り光313)との光路長が一致する、被検眼網膜上の位置を特別にコヒーレンスゲートと呼ぶ。
また、参照光312の光路上に、計測光311(とその戻り光313)の光路上に存在する光学的分散と同等の分散を有する不図示の分散補償光学系を備えることで、計測精度を向上させることができる。
【0043】
回折格子307は、干渉光314を、光源301が有する中心波長および波長幅と同じ条件で分光する。
撮像光学系308は、回折格子307により分光された干渉光を撮像素子309に結像する。
撮像素子309は、干渉光を計測する。該撮像素子309には、近赤外領域に感度を有するCCDセンサやCMOSセンサなどが使用される。
ここで、光干渉断層画像の構成について説明する。
【0044】
OCTでは、一般的に、計測光の光軸方向(z軸方向)のスキャンをAスキャン、Aスキャンを計測光の光軸方向に直交する1方向(xまたはy軸方向)に複数回行うスキャンをBスキャンと呼ぶ。1回のBスキャンにより、1枚の2次元光干渉断層画像を得ることができる。
被検眼の黄班部に対して1回のBスキャンを行うことにより一の断層画像が得られる。
3次元の光干渉断層画像を得るには、Bスキャンを計測光の光軸方向に直交するもう1方向(yまたはx軸方向)に対してもスキャンを行う。
ここで、3次元の断層画像を得るのに、例えば、x、y、zの各軸方向の解像度を、それぞれ1024、1024、2048として、1画素の階調を10bitで計測する場合、その計測データサイズの総計は2.5GBにも及ぶ(1K=1024換算)。
【0045】
医療機器としてより診断に好ましい光干渉断層画像を提示するために、高解像化、高階調化の要求は今後もますます高まり、光干渉計測データのサイズがこれ以上に増大することが予想される。
本発明は、上記のように高解像化や高階調化、3次元化の要求に伴って増大化する光干渉計測データに対して、処理に係るデータサイズを低減する光干渉計測データの読出方法の一つである。続いて本発明を実現するための機能構成や利用するOCTの特性を説明する。
【0046】
ここで、本発明の特徴を説明する第1の実施の形態における光干渉計測データ読出部について詳述する。
第1の実施の形態における光干渉計測データ読出部207は、光干渉計測データを読み出す読出部、および計測深度に応じて該読出部の読出を制御する読出制御部を有する。
読出部は、波数変換部206により波数変換処理がなされた光干渉計測データを次処理へ出力する。また、該読出部は、読出制御部からの指示によって出力の有無を切り換える。
【0047】
読出制御部は、ゾーンフォーカス制御部204からの計測深度の情報に基づいて読出部を制御する。また、該読出制御部は、受け取った計測深度の情報から、光干渉計測データの読出間隔を算出し、その算出結果に基づいて読出部を制御する。以上述べたように、本形態で決定手段として機能する読出制御部は前述した光束径制御手段により制御された光束径及び/または集光位置制御手段により制御された集光位置、の制御情報に基づいて、計測深度が把握される。
【0048】
以上の構成を有する光干渉計測データ読出部207により、計測光の計測深度に基づいて光干渉計測データの読出しを制御することが可能となる。光干渉計測データの読出間隔の算出方法に関しては後述する。
【0049】
開口数(NA)と被写界深度(DOF)は相反する関係をもち、開口数(NA)の高いレンズを用いて計測することにより、光軸に直交する平面方向の解像度の高い光干渉断層画像画像が得られる。
OCTの一つの特徴として、計測光の光軸方向の分解能が光学系のNAとは無関係であることが知られている。すなわち、OCTにおける光軸方向の分解能は、計測光の低コヒーレント光源の中心波長と波長幅によって規定される。
即ち、NAの高い計測光を使用することで、光軸方向に対して分解能が向上することはないが、干渉光を高感度に計測することができ、かつ光軸に直交する平面方向の解像度の高い計測が可能となる。このため、光軸方向の計測範囲を分割して計測する(ゾーンフォーカス)ことにより、光軸方向と光軸に直交する平面方向ともに解像度と感度の高い光干渉断層画像が得られる。
【0050】
ここで、第1の実施の形態で用いるOCTのゾーンフォーカスの原理について説明する。
なお、説明のために本実施の形態では、計測光のコヒーレンスゲート901からの網膜の断層深さ方向の距離を計測深度と呼ぶ。
【0051】
ゾーンフォーカス機能をもたないSD−OCTでは、NAが低く且つ被写界深度が深い計測光を用い、その際計測光の最大計測深度が必要計測深度を満足する計測光をスキャンすることで、光干渉断層画像を取得する。
NAが高く、被写界深度の浅い計測光904で光干渉断層画像を取得する場合のゾーンフォーカスでは、高NA計測光を、計測光の光軸方向(網膜の断層深さ方向)を分割してスキャンを行うことで、光軸方向、光軸に直交する平面方向ともに解像度の高い光干渉断層画像が得られる。 ゾーンフォーカス機能を有するSD−OCTでは、計測光を光軸方向に分割した場合に得られる分割域各々が計測範囲(最少計測深度から最大計測深度までの範囲)を満たす計測光を、各分割域でスキャンすることで、3次元で解像度の高い光干渉断層画像を取得する。
【0052】
図4(a)および4(b)は、本発明の特徴を説明する第1の実施の形態におけるOCTの計測深度を説明する概念図である。
図4(a)では光の反射を規定するブラッグの反射条件を、図4(b)ではブラッグの反射条件とSD−OCTで使用する波長域との関係を、示している。
図4(a)を用い、光の反射を規定するブラッグの反射条件を簡単に説明する。
【0053】
光を反射する物質401は、OCTでは被検体に相当する。特に眼科用医療機器としてのOCTの場合、被検眼網膜の各層にあたる。
光402は、被検体401の表面で反射する。
光403は、被検体401の内部に侵入して次の境界で反射する。
被検体401の厚さをd、屈折率をn、として、光402と光403とは被検体401に対して垂直に入射するとした場合、次式に従って光402と光403とは反射時に強め合う干渉を起こす。
【0054】
【数1】

ここで、mは自然数である。この条件を満たす光の波数の間隔を次式で算出することができる。
【0055】
【数2】

式2によれば、被検体401の厚さdに対して、干渉を起こす光の波数の間隔Δkが一意に決まることを示している。なお、被検体401の厚さdは計測光の計測範囲と置き換えることができる。
【0056】
図4(b)では、式2の条件とSD−OCTで使用する低コヒーレント光源の波長域との関係を説明する。
低コヒーレント光は、前述のように近赤外領域に中心波長を有し、かつ一定の波長幅をもつ光であり、換言すれば一定の波数帯域ΔK(k1〜k2)を有している。SD−OCTでは、この一定の波数帯域ΔKで、式2を満たす光を計測するため次式が成り立つ。
【0057】
【数3】

ここで、mは自然数(前述のmとは無関係)で、1から撮像素子が計測可能な数までの値を示す。撮像素子が計測可能な波の数は、撮像素子の画素数をNとすればサンプリング定理に従ってN/2になる。
【0058】
式3から、波数帯域ΔKをもつ計測光の計測深度ndを算出する事ができ、次式で得られる。
【数4】

【0059】
また、波数帯域ΔKをもつ計測光の最大計測深度ndmaxは、mがN/2の時に次式で得ることができる。
【数5】

ここで、δは撮像素子の波数分解能を示す値で、波数帯域ΔKを撮像素子の画素数Nで割ったものである。
【0060】
ここで、本発明の第1の実施の形態におけるOCTでは、計測深度と干渉光との間に以下の関係が成立する。
すなわち、前述したように、式2によれば干渉を起こす光の波数の間隔Δkは計測深度dに応じて一意に決まり、計測深度dが深くなると波数間隔Δkは狭くなる。
従って、計測深度dが浅い場合には波数間隔Δkが広くなり、干渉光の計測データ波形は周波数の低い信号で構成される。計測深度dが深い場合には波数間隔Δkは狭くなり、計測される干渉光は高い周波数の信号で構成される。
【0061】
以上の計測深度と干渉光の関係を利用することで、計測光の計測深度に基づいた光干渉計測データの読出制御が可能となる。続いて、第1の形態におけるゾーンフォーカスと読出制御の方法に関して説明する。
【0062】
図5(a)、5(b)および5(c)は、本発明の特徴を説明する第1の実施の形態におけるゾーンフォーカスを説明する概念図である。第1の実施の形態におけるゾーンフォーカスは、計測光の光軸方向に対して計測領域を2の幅で分割する。
なお、太い実線501は参照光と計測光の光路長が一致しているコヒーレンスゲート、細い実線502は診断に必要な必要計測深度を示している。
また、計測光503、504、505はそれぞれ、分割数に応じたNAが異なる光を示している。
【0063】
図5(a)は必要計測深度を計測光の光軸方向に対して2で分割、図5(b)は2で分割、図5(c)は2で分割した場合のゾーンフォーカスの例を示している。
ゾーンフォーカスの各計測領域をコヒーレンスゲート501から近い順にZと(nは20〜2(分割数))と便宜的に名称をつけることにする。なお、図5(a)〜5(c)で定義したZの各計測領域が本実施の形態における光干渉計測データの読み出しの制御単位となる。
図5(a)では、領域を2分割し、計測光503を計2回スキャンすることにより光干渉断層画像を得ることを示している。Z、Zの各計測領域の範囲は、ともに必要計測深度502の1/2である。
【0064】
図5(b)では、領域を4分割し、計測光504を計4回スキャンすることにより光干渉断層画像を得ることを示している。Z、Zの範囲はともに必要計測深度502の1/4となり、Zの範囲は必要計測深度502の1/2とする。
【0065】
図5(c)では、領域を8分割し、計測光505を計8回スキャンすることにより光干渉断層画像を得ることを示している。Z、Z、Z、Zの範囲は、それぞれ必要計測深度502の1/8、1/8、1/4、1/2とする。
なお、説明では、光干渉断層画像を取得する間、計測光の計測幅(被写界深度)を変更することなく同じ計測光を分割数と同じ数だけスキャンする例で説明したが、ゾーンフォーカスの計測領域ごとに計測幅を計測領域Zごとに制御してもよい。これにより分割数と同じ数のスキャン回数が必要であったのに対して、スキャン回数を減らすことができる。
【0066】
例えば、計測幅を計測領域Zの幅に一致するように制御することで、スキャン回数はZの数だけとすることができる(分割数が2の場合、スキャン回数は3回)。
以上のようにゾーンフォーカスを行うことで、第1の実施の形態における計測深度に基づいた光干渉計測データの読出を制御することが可能となる。続いて、図5(b)のゾーンフォーカスの例を用いて、光干渉計測データの読出制御の詳細について説明する。
【0067】
図6は、本発明の特徴を説明する第1の実施の形態における光干渉計測データの読出方法を説明する概念図である。
図6における(a)は計測深度の浅いZでの光干渉計測データの読出方法、図6における(b)は計測深度が中間のZでの読出方法、図6における(c)は計測深度の深いZでの読出方法を、それぞれ示している。
前述したように、式2によれば計測深度dが深くなると波数間隔Δkは狭くなることから、ゾーンフォーカスの各計測領域Zにおいてもその最大深度で光干渉計測データの周波数が高くなるため、各計測領域Zの最大深度の干渉信号を計測できる必要がある。
【0068】
必要計測深度を分割数2となるゾーンフォーカスで分割すると、各層Zの最大深度ndは下記の式で得られる。又、計測深度は0〜DをパラメータとするZで示される。
【数6】

【0069】
式2によれば、各層の最大深度ndにおける光干渉計測データの波数間隔(周波数)は次式で定まる。
【数7】

【0070】
サンプリング定理に従い、光干渉計測データの読出間隔Sは次式を満足すれば良い。
【数8】

第1の実施の形態における光干渉計測データの読み出しは式8に基づいて、計測深度に応じて制御を行う。
【0071】
図6の(a)では、分割数が4(Dは2)、計測位置Zが0の場合を示している。この場合、式8によれば光干渉計測データの読出間隔Sは撮像素子の波数分解能δの4倍となる。従って、図6の(a)のように光干渉計測データの4つに1つだけデータを読み出せばよい。全データを読み出す場合に比べてデータサイズを1/4に低減することが可能となる。
図6の(b)では、分割数が4(Dは2)、計測位置Zが1の場合を示している。この場合、式8によれば光干渉計測データの読出間隔Sは撮像素子の波数分解能δの2倍となる。従って、図6の(b)のように光干渉計測データの2つに1つだけデータを読み出せばよい。全データを読み出す場合に比べてデータサイズを1/2に低減することが可能となる。
【0072】
図6の(c)では、分割数が4(Dは2)、計測位置Zが2の場合を示している。この場合、式8によれば光干渉計測データの読出間隔Sは撮像素子の波数分解能δに一致する。従って、図6の(c)のように光干渉計測データの全データを読み出す必要がある。
以上のように、図6の例では、光干渉計測データのサイズを、全データ読出の場合と比べて、全体で3/8の低減が可能となる。
このようにSD−OCTにおける計測深度と干渉光の特性に基づいて、計測深度に応じて光干渉計測データの読出を制御することで、計測精度を損なうことなく処理に係る光干渉計測データを削減でき、かつ診断に好ましい光干渉診断画像の提示が可能となる。
【0073】
続いて、第1の実施の形態における光干渉計測データの読出制御のフローについて説明する。
【0074】
図7は、本発明の特徴を説明する、第1の実施の形態における光干渉断層画像取得処理の全体の流れを示すメインフローチャートである。本フローチャートの一連の処理は、ゾーンフォーカス機能を備えるSD−OCTにおいて、診断に好ましい光干渉断層画像を得ることを目的としている。
ステップ701では、コヒーレンスゲートを被検眼網膜の表層近くに調整する。一般的に、SD−OCTではコヒーレンスゲートに近いほど干渉信号の感度が高いことが知られている。網膜表層にできるだけ近い位置にコヒーレンスゲートを調整することで、感度高く計測でき、ダイナミックレンジの高い光干渉断層画像が得られる。コヒーレンスゲートの調整方法に関しては既知の手法によればよい。なお、第1の実施の形態におけるSD−OCTでは、コヒーレンゲートは診断開始(計測開始)時にのみ調整を行い、少なくとも1回のBスキャンが行われるまでは固定される。以上の工程は本発明における設定工程における一工程に対応し、計測対象の断層画像を取得する前に基底となる光干渉計測データの読出制御の実施する工程となる。
【0075】
ステップ702では、ゾーンフォーカス機能を備えるSD−OCTにおいて、計測を行う位置を設定する。コヒーレンスゲートから逐次計測深度を深くして、スキャンを繰り返して光干渉計測データの取得をおこなう。なお、本発明の適用は逐次計測深度を深くしてスキャンを行う例に限るものではなく、必要計測深度から逐次浅くしてスキャンを行っても良いし、診断または画像認識処理などの理由で注目層がある場合には、その位置を先にスキャンする構成であってもよい。該ステップにおいて行われる操作は設定工程における他の工程に対応し、計測された断層情報である光干渉計測データに基づいて必要な計測深度を把握し、該必要な計測深度に基づいて先の基底となる光干渉計測データの読出制御の設定を行う。
また、各計測領域において計測光の計測幅(被写界深度)を変更する場合には、ゾーンフォーカス制御部204は接眼光学系304を制御することにより計測光311の計測幅を調整する。
【0076】
ステップ703では、光干渉計測データを取得する。SD−OCT201の照射部203が計測光を被検眼に照射して、参照光と被検眼からの計測光(戻り光)との干渉光を計測部205が計測する。
ステップ704では、ステップ703で取得された光干渉計測データは、回折格子307により波長ごとに分光されたデータとなっているため、ステップ706のFFT処理に備えて波数のデータに変換する。波数変換の処理に関しては既知の手法によればよい。
ステップ705では、第1の実施の形態における光干渉計測データの読出制御を行う。計測深度に応じて有効なデータを読み出して、以後の処理に係るデータサイズを削減する。詳細に関しては後述する。
【0077】
ステップ706では、ステップ705で読み出された光干渉計測データに関して、FFT処理を行う。光干渉計測データに対してFFT処理を施すことにより、計測情報(計測深度と信号強度)を含む光干渉断層データ、すなわち光断層情報が得られる。
ステップ707では、ゾーンフォーカスの全ての計測領域を計測して、全領域に渡って断層像の計測を行ったかを判断する。全領域に渡って断層像の計測が完了している場合にはステップ708へ処理を移行する。そうでない場合にはステップ702へ処理を移行して、計測処理を繰り返す。
【0078】
ステップ708では、これまでの処理により得られた光干渉断層データから断層画像を構成する。また得られた光干渉断層画像に対して、輝度の調整や歪補正、注目領域の切り出しなどの各種補正処理を適用してより診断に好ましい画像や情報に整える。これらの画像構成の処理に関しては既知の手法によればよい。
ステップ709では、ステップ708で構成された光干渉断層画像をユーザ(主に医師)に提示して、一連の光干渉断層画像の取得処理を終了する。
以上の処理により、診断に好ましい光干渉断層画像を得ることができる。
【0079】
図8は、本発明の特徴を説明する、第1の実施の形態における光干渉計測データの読出処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの一連の処理は、図6で示した計測光の計測深度に応じた読出方法を実現することを目的としている。
ステップ801では、光干渉計測データ読出部207における読出制御部は、ゾーンフォーカス制御部204からこれから計測を行う計測深度の情報を取得する。ゾーンフォーカス制御部204は、計測深度に応じて接眼光学系304を制御するため計測深度の情報を管理している。当該ステップは、本発明における光干渉計測データの計測深度の情報を取得する取得工程に対応する。
【0080】
ステップ802では、該読出制御部は受け取った計測深度の情報に基づいて、式8や図6で示した光干渉計測データの読出間隔を算出する。
ステップ803では、該読出制御部はステップ802で算出した読出間隔に基づいて、得られているデータが読み出すデータかどうかを判断する。読み出すデータである場合には、ステップ804へ処理を移行する。読み出すデータでない場合には、ステップ805へ処理を移行する。これらステップ803および804は、本発明における計測深度情報に基づいて光干渉計測データの内の読み出すデータを決定する決定工程に対応する。
【0081】
ステップ804では、読出制御部は、同様に光干渉計測データ読出部207に配置される読出部を制御して光干渉計測データを出力させる。当該ステップは、先の決定工程で決定された読出データの読み出しを実行させる読出し制御工程に対応し、さらに実際に光干渉計測データを出力する操作を行うことで読出工程にも対応する。
ステップ805では、光干渉計測データの全データに対して読出制御を行ったかどうかを判断する。全データの読出制御行っている場合には、一連の光干渉計測データ読出処理を終了する。まだ読出制御が終っていない場合にはステップ803へ処理を移行して繰り返しデータの読み出しを行う。
【0082】
以上の処理により、第1の実施の形態における光干渉計測データの読み出しが可能となる。また、以上の書く工程からなるデータの読み出しを行う光干渉計測データ読出部は、上述した取得工程、決定工程、読出制御工程及び読出工程を実行する取得手段、決定手段、読出制御手段、及び読出手段なる構成として機能する領域を有する。
【0083】
本実施形態によれば、SD−OCTの計測深度と計測される干渉光波形の周波数との特性を利用して、計測深度に応じて光干渉計測データの読み出しを制御する手段を備えることにより、より具体的には計測深度が深くなるに従って読出間隔を狭くすることにより、光干渉断層画像処理に係るデータサイズを低減することができる。これにより、処理時間を短縮でき、ひいては断層画像の取得から診断までのリアルタイム性を向上させることができる。
【0084】
また、ゾーンフォーカスの計測領域の分割数を2(Nは自然数)として、データ読出の制御単位としての計測位置も2としたことで全読出データの個数は2となる。FFT処理部208では入力として2のデータが必要であり、従来では計測した全データに対して補間などを行うことで2のデータに変換して入力していたのに対して、本実施形態で示した読出制御を行うことでその処理を削減できる。
【0085】
(第2の実施の形態)
本発明を実現する第2の実施の形態を図に従って説明する。
第1の実施の形態では、ゾーンフォーカスの計測範囲の分割数を2として、データ読出の制御単位としての計測位置も2と固定したことで全読出データの個数は2となるように光干渉計測データの読み出しを制御した。この場合、データの読出間隔が必ずデータ間隔の自然数倍となるため制御が容易である一方でゾーンフォーカス各計測領域の幅に依存した制御となってしまう。
【0086】
第2の実施の形態における特徴は、ゾーンフォーカスの計測領域に依存しない制御を行うことにある。これによりSD−OCTの計測条件を吸収するとともに、光干渉断層画像の取得に係るデータを削減することが可能となる。
上記特徴を中心に、本実施の形態を説明する。
なお、本実施の形態におけるOCTの機能ブロックは、第1の実施の形態における機能ブロック(図2)と同様であるため説明は省略する。
【0087】
図16は、本発明の特徴を説明する、第2の実施の形態における光干渉計測データ読出部の機能ブロック図である。
第2の実施の形態における光干渉計測データ読出部(第1の実施形態における光干渉計測データ読出部207に対応)は、光干渉計測データを読み出す読出部、読出データの補間を行う補間処理部、および計測深度に応じて読出部と補間処理部とを制御する読出制御部から構成される。
【0088】
本形態の特徴的構成である補間手段である補間処理部は、読出部で読み出された光干渉計測データを補間する。なお、その他の構成に関しては第1の実施形態で例示した構成と同一であるため、以降の説明では同一の構成要素に関しては同じ参照番号を付記して説明する。該補間処理部は、読出制御部からの指示に応じて補間処理を行う。第2の実施の形態における補間処理は、2つのデータを入力として、生成するデータの位置に応じた2つのデータの重み付け補間を行う単純な構成であればよい。
【0089】
読出制御部は、ゾーンフォーカス制御部204からの計測深度の情報に基づいて読出部を制御する。ゾーンフォーカス制御部204から受け取った計測深度の情報から光干渉計測データの読出間隔を算出し、その算出結果に基づいて読出部と補間処理部とを制御する。
以上の構成を有する光干渉計測データ読出部により、計測光の計測深度に基づいて光干渉計測データの読出を制御することが可能となる。なお、光干渉計測データの読出間隔の算出方法に関しては後述する。
【0090】
図9(a)〜9(c)は、本発明の特徴を説明する第2の実施の形態におけるゾーンフォーカスを説明する概念図である。第2の実施の形態におけるゾーンフォーカスは、計測光の光軸方向(断層深さ方向)に対して等間隔に分割する。
なお、これら図中において、太い実線901は参照光と計測光の光路長が一致しているコヒーレンスゲート、細い実線902は診断に必要な必要計測深度を示している。破線は各計測領域の境界を示している。
また、計測光903、904、905は分割数に応じてそれぞれNAが異なる光を示している。
【0091】
図9(a)は必要計測深度を計測光の光軸方向に対して3分割、図9(b)は4分割、図9(c)は5分割した場合のゾーンフォーカスの例を各々示している。
ゾーンフォーカスの各層をコヒーレンスゲート901から近い順にZと便宜的に名称をつけることにする。なお、図9(a)〜9(c)で定義したZの各層が第2の実施の形態における光干渉計測データの読出の制御単位となる。
図9(a)では、領域を3分割し、計測光903を計3回スキャンすることにより光干渉断層画像を得ることを示している。Z、Z、Zの各層の範囲は、ともに必要計測深度902の1/3である。
【0092】
図9(b)では、領域を4分割し、計測光904を計4回スキャンすることにより光干渉断層画像を得ることを示している。Zはともに必要計測深度902の1/4である。
図9(c)では、領域を5分割し、計測光905を計5回スキャンすることにより光干渉断層画像を得ることを示している。Zはともに必要計測深度902の1/5である。
以上のようなゾーンフォーカスに基づいて、第2の実施の形態における計測深度に基づいた光干渉計測データの読み出しを制御する。続いて、図9(c)のゾーンフォーカスの例を用いて、光干渉計測データの読出制御の詳細について説明する。
【0093】
図10(a)および10(b)は、本発明の特徴を説明する第2の実施の形態における光干渉計測データの読出方法を説明する概念図である。
図10(a)、図10(b)ともに分割数を5として、図10(a)は補間処理を行う場合の光干渉計測データの読出方法、図10(b)は補間処理を行わない読出方法を示している。
【0094】
必要計測深度を分割数Dとなるゾーンフォーカスで等分割すると、各層Zの最大深度ndは下記の式で得られる。又、計測深度は0〜DをパラメータとするZで示される。
【数9】

【0095】
式2によれば、各層の最大深度ndにおける光干渉計測データの波数間隔(周波数)は次式で定まる。
【数10】

【0096】
サンプリング定理に従い、光干渉計測データの読出間隔Sは次式を満足すれば良い。
【数11】

第2の実施の形態における光干渉計測データの読み出しは、式11に基づいて計測深度に応じた制御を行う。
【0097】
図10(a)、10(b)ともに分割数が5、計測位置Zが1〜5であるため、式11によれば光干渉計測データの読出間隔は全てが自然数とはならない。
計測位置Zが1の場合では、式8によれば光干渉計測データの読出間隔Sは撮像素子の波数分解能δの5倍となる。従って、図10(a)のように計測データの5つに1つだけデータを読み出せばよい。全データを読み出す場合に比べてデータサイズを1/5に低減することが可能となる。
【0098】
次に、計測位置Zが2の場合では、読出間隔Sが2.5となって自然数ではない、すなわち小数以下のSとなることから、単純なデータ単位での制御では対応できなくなる。
図10(a)では、逐次読出間隔Sで読み出しを行って、読出位置が小数を含む2.5となった位置でのみ隣接する2つのデータの読み出しを行って、光干渉計測データ読出部(第1の実施形態の光干渉計測データ読出部207に対応)における補間処理部によってその位置のデータを補間生成する。すなわち、補間処理部は、読出間隔Sが少数を含む値となり読出データ位置が自然数にて示し得ない場合には、読出データ位置を挟んで隣接する2つのデータを読み出すように読出手段を制御し、これらデータによる補間操作を実行する。これにより全データを読み出す場合に比べてデータサイズを3/5に低減することが可能となる。
【0099】
図10(b)では、式11を満足して光干渉計測データを読み出せばよいため、少数を切り捨てて読出間隔Sを2として、計測データの2つに1つだけデータを読み出す。これにより全データを読み出す場合に比べてデータサイズを1/2に低減することが可能となる。この場合には、前述した補間処理部は補間処理を行う必要はない。
【0100】
計測位置Zが3、4の場合、読出間隔Sはそれぞれ、5/3(≒1.67)、5/4(=1.25)となって2より小さい値となるため、補間するために隣接2データを読み出すと結果全データを読み出すこととなる。この場合、光干渉計測データ読出部の補間処理部では補間処理を行わずに全データを読み出してFFT処理部208へ出力する。すなわち、読出間隔Sが2より小さい場合には、補間処理を行う意義が存在しなくなることから、読出制御手段は補間処理部による補間処理を停止させ、以降の処理の実行を行う。
以上のように、補間処理を加えることで、ゾーンフォーカスに依存することなく、計測深度に応じて光干渉計測データの読み出しを制御することが可能となる。
【0101】
図11は、本発明の特徴を説明する、第2の実施の形態における光干渉計測データの読出処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの一連の処理は、図10で示した計測光の計測深度に応じた読出方法を実現することを目的としている。
ステップ1101では、前述した光干渉計測データ読出部207における読出制御部は、ゾーンフォーカス制御部204からこれから計測を行う計測深度の情報を取得する。ゾーンフォーカス制御部204は、計測深度に応じて接眼光学系304を制御するため計測深度の情報を管理している。
【0102】
ステップ1102では、該読出制御部は、受け取った計測深度の情報に基づいて、図10で示した光干渉計測データの読出間隔を算出する。このとき、読出間隔を図10で前述したように少数を含む値に設定するか、または少数を切り捨てて自然数に設定するかは、任意に設定できるようにすればよい。
ステップ1103では、該読出制御部は、ステップ1102で算出した読出間隔に基づいて、得られているデータが読み出すデータかどうかを判断する。読み出すデータである場合には、ステップ1104へ処理を移行する。読み出すデータでない場合には、ステップ1108へ処理を移行する。
ステップ1104では、該読出制御部は、ステップ1102で算出した読出間隔に基づいて読み出しを行う際に、読出位置が自然数であるかどうかを判断する。読出位置が自然数である場合には、ステップ1105へ処理を移行する。読出位置が自然数ではない場合には、ステップ1106へ処理を移行する。
ステップ1105では、該読出制御部は、同じ光干渉計測データ読出部207の構成である読出部を制御して光干渉計測データを出力させる。
【0103】
ステップ1106では、該読出制御部は、この読出部を制御して、読出位置に隣接する2つのデータを読み出させ、さらに同じ光干渉計測データ読出部の構成である補間処理部へ出力させる。同時に該補間処理部へ補間指示を伝える。
ステップ1107では、該補間処理部はステップ1106で読み出された2つのデータに対して、データ位置に対して重み付け補間を行う。
ステップ1108では、光干渉計測データの全データに対して読出制御を行ったかどうかを判断する。全データの読出制御を行っている場合には、一連の光干渉計測データ読出処理を終了する。まだ読出制御が終っていない場合にはステップ1103へ処理を移行して繰り返しデータの読み出しを行う。
以上の処理により、第2の実施の形態における光干渉計測データの読み出しが可能となる。
【0104】
なお、本実施形態におけるゾーンフォーカスでは、説明を簡単にするために式9または図9(a)〜9(c)のように計測光の光軸方向の計測範囲を等分割した。本実施形態の構成によれば、読出制御は等分割の場合に限定されず、必要計測深度に対して計測深度の情報を得ることが可能であれば、任意に分割した場合においても同等に制御を行うことができる。
本実施形態によれば、光干渉計測データ読出部207に補間処理部を備えることで、ゾーンフォーカスに依存することなく、計測深度に応じて光干渉計測データの読み出しを制御することが可能となる。また、計測精度を損なうことなく処理に係る光干渉計測データを削減できる。
【0105】
(第3の実施の形態)
本発明を実現する第3の実施の形態を図に従って説明する。
第1および第2の実施の形態では、ゾーンフォーカス機能を備えるSD−OCTにおいて、計測光の計測深度に応じて光干渉計測データの読み出しを制御して、光干渉断層画像の取得処理に係るデータサイズを低減した。
第3の実施形態の特徴は、光干渉計測データの読み出しを制御することにより、必要な計測深度以上の光干渉計測データを削減することにある。第3の実施の形態における光干渉計測データの読出制御はゾーンフォーカスをもたないSD−OCTにも適用可能である。
上記特徴を中心に、本実施の形態を説明する。
【0106】
図12は、本発明の特徴を説明する第3の実施の形態における光干渉計測データの読出方法を説明する概念図である。
図12では、NAが小さく、被写界深度の深い計測光1204で光干渉断層画像を取得する場合の、SD−OCTのスキャンの方法を示している。なお、太い実線1201は参照光と計測光の光路長が一致しているコヒーレンスゲート、細い実線1202は診断に必要な必要計測深度、そして一点鎖線1203は撮像素子の画素数で計測可能な最大計測深度を示している。
なお、同図には、被検眼における黄班付近の光干渉断層像2005も例示する。
【0107】
図12の場合、診断に必要となる必要計測深度1202を、計測光1204の最大計測深度が大きく上回っており、このままスキャンを行った場合、必要な計測深度1202以上に深い位置の情報も得られることになる。
最大計測深度1203に対する必要計測深度1202を知ることができれば、計測深度と計測される干渉光波形の周波数との特性に基づいて、干渉光の計測データのうち有効な周波数を把握することができる。それに従って光干渉計測データの読出間隔Sを設定することで、必要計測深度よりも深い位置の情報を削減することができる。
必要計測深度1202を知るためには、実際の光干渉断層画像を取得するためのスキャンの前に、被写界深度の深い計測光を用いてプレスキャンを行えばよい。
【0108】
なお、図12の説明ではNAが小さく、被写界深度の深い計測光1204を使用したゾーンフォーカス機能をもたないSD−OCTの場合を示したが、ゾーンフォーカス機能を有するSD−OCTにも適用できるのはいうまでもない。
また、ゾーンフォーカス機能を有するSD−OCTの場合、事前に必要計測深度1202を把握することで、必要計測深度1202に対する必要なゾーンフォーカスの分割数および各計測領域の幅を任意に設定することができる。
以上のように、光干渉断層画像を取得するスキャンの前に、必要計測深度1202を把握することで、光干渉計測データの読出制御を適用することができ、必要計測深度よりも深い位置の不要な情報をデータの読み出しと共に破棄することが可能となる。
【0109】
続いて、第3の実施の形態における光干渉計測データの読出制御のフローについて説明する。
本形態における光干渉断層画像取得処理の全体の流れを示すメインフローチャートにおける一連の処理では、計測前に必要計測深度を取得してキャリブレーションを行うことで、光干渉計測データの読み出しと同時に余剰な情報を破棄して、診断に好ましい光干渉断層画像を得ている。
より詳細には、第1の実施の形態における図7のフローチャートと比べて、第4の実施の形態では、計測前のキャリブレーションを行うステップが加わる。
【0110】
当該ステップでは、光干渉断層画像を取得する計測処理の前(具体的にはステップ702)にキャリブレーションを行う。詳細に関しては後述する。
なお、ステップ2102では、第3の実施の形態における光干渉計測データの読出制御を行う。詳細に関しては後述する。
以上の処理により、第3の実施の形態における光干渉断層画像が取得される。
【0111】
図13は、本発明の特徴を説明する、第3の実施の形態における計測前のキャリブレーションの流れを示すフローチャートである。本フローチャートの一連の処理は、実際の光干渉断層画像を取得するスキャンの前に、プレスキャンを行って必要計測深度を把握し、基底となる光干渉計測データの読出制御を事前に行うことを目的としている。
ステップ1301では、被写界深度の深い計測光を用いてプレスキャンを行う。プレスキャンは、1回のAスキャンであればよい。
【0112】
眼科用医療機器としてのOCTの場合、一般に計測対象は網膜であり、診断に必要な断層像として網膜の最下層に位置する色素上皮層までが要求される。この色素上皮層は多くの場合、光干渉断層画像上でほぼ平坦であるため、1回の計測の間は必要計測深度が一定と見なせる。そのため、1回のAスキャンを行うことで必要計測深度を算出することが可能である。
なおAスキャンを複数回(粗いBスキャン)行うことにより必要計測深度を算出してもよい。
【0113】
ステップ1302では、ステップ1301のプレスキャンで得られた計測データから必要計測深度を算出する。一般に網膜の光干渉断層画像では、計測光に対して色素上皮層が最も強い反射を示すため、信号強度の強い位置を指標にして必要計測深度を算出すればよい。また、プレスキャンとして粗いBスキャンを行った場合には、そのうち最大の深度を指標にして必要計測深度として算出すればよい。
ステップ1303では、ステップ1302で得られた必要計測深度に応じて、図12で説明したような基底となる光干渉計測データの読出制御の設定を行う。これにより、必要計測深度以上の断層深さの情報をデータ読出と共に破棄することができる。
【0114】
ステップ1304では、ゾーンフォーカス機能を使用するか判断する。ゾーンフォーカスを使用して計測を行う場合には、ステップ1305へ処理を移行する。ゾーンフォーカス機能を使用しない、またはゾーンフォーカス機能をもたない場合には、一連のキャリブレーション処理を終了する。
ステップ1305では、ゾーンフォーカスにおける計測光の光軸方向の分割を行って、ゾーンフォーカスの設定を行う。
以上の処理により、第3の実施の形態における、光干渉計測データ読出制御の基底設定が可能となる。
【0115】
本実施形態によれば、光干渉断層画像の取得の前に、プレスキャンを用いたキャリブレーションを行うことで、光干渉計測データ読出制御の基底となる事前設定が可能となる。これにより、必要計測深度よりも深い不要な情報を、データの読み出しと同時に破棄することができ、光干渉断層画像の取得に係る光干渉計測データのサイズを低減することができる。
【0116】
(第4の実施の形態)
本発明を実現する第4の実施の形態を図に従って説明する。
第1、第2および第3の実施の形態では、いずれも波数変換処理のなされた光干渉計測データを前提として、光干渉断層画像の取得処理に係るデータサイズを低減した。
波長と波数は反比例の関係にあることを利用すれば、波数軸上に再配列された光干渉計測データに対して行った読出制御を、波数軸上に再配列する前の波長ごとに計測された計測データにおいても適用することが可能である。
第4の実施形態の特徴は、波数変換前の、回折格子により波長ごとに分光された干渉光の計測データに対して読出制御を行うことにある。これにより、光干渉断層画像の取得の処理に係るデータサイズの削減を、波数変換処理の前にまたは同時に行うことが可能となる。
上記特徴を中心に、本実施の形態を説明する。
【0117】
第4の実施の形態におけるOCTシステムの機能ブロックは、第1の実施形態で述べた波数変換が必要ないことから、図2に示した波数変換部206がなくなり、これに対応して光干渉計測データ読出部207の機能が異なる。
すなわち、本形態におけるSD−OCT機能を有するOCTは、図2に示す計測光を照射する照射部203、照射部の光学系を制御するゾーンフォーカス制御部204、干渉光を計測する計測部205、第4の実施の形態における光干渉計測データ読出部(207)、干渉光の計測データを光干渉断層データに変換するFFT処理部208、および外部処理装置としての画像処理装置202との信号の伝達を行う際に用いられるI/F209から構成される。
本形態における光干渉計測データ読出部(207)は、波長ごとに分光された計測データに対して、計測光の計測深度に応じて光干渉計測データ読出制御を行うデータ読出部である。詳細については後述する。
以上の構成を有するOCTシステムにより、波数変換前の光干渉計測データに対しても、第1、第2、第3で説明した読出制御と同等の制御が可能となる。
【0118】
第4の実施の形態における光干渉計測データ読出部(207)は、光干渉計測データを読み出す読出部、補間を行う補間処理部、読出制御情報を格納する読出テーブル、および計測深度に応じて読出部と補間処理部とを制御する読出制御部から構成される。
読出部は、波長ごとに分光された光干渉計測データを次処理に出力する。また、該読出部は、読出制御部からの指示によって出力の有無を切り換える。
【0119】
補間処理部は、該読出部から受け取ったデータに対して、読出制御部からの指示に応じて補間処理を行う。該補間処理部は、波数変換を考慮した補間処理を行い、波数変換処理のなされた光干渉計測データを用意する。
読出テーブルは、波長ごとに分光された光干渉計測データを読み出す場合に必要な読出制御情報を格納する。
【0120】
FFT処理を行うためには、一般に、波数変換のなされた光干渉計測データを使用する。波数変換処理ではまず、波長と波数が反比例の関係にあることから、波長ごとに計測されたデータに対して、波長の逆数を演算してデータを再配列させている。波長軸上で撮像素子の画素ごとに等間隔に計測されたデータも、波数で再配列させた場合には等間隔のデータ配列ではなくなってしまうため、補間処理によって波数においても等間隔のデータとしている。
この際の補間処理には、一般の補間の方法を使用し、線形補間処理や、Spline曲線による補間など多くの方法が知られていてどれを用いても構わないが、補間アルゴリズムによって補間に必要なデータ数が異なる。
そのため使用する補間アルゴリズムによって、波長ごとに分光された光干渉計測データの読出制御方法が異なる。前述した読出テーブルは、計測深度に応じた光干渉計測データの読出制御の情報とともに補間処理に必要とするデータ数の情報を、使用する補間アルゴリズムに対応付けて読出制御情報として記憶している。
なお、使用する補間のアルゴリズムに関しては、計測前に任意に設定が可能であればよい。
【0121】
読出制御部は、ゾーンフォーカス制御部204からの計測深度の情報から、読出テーブルに格納された読出制御情報を参照して、読出部と補間処理部とを制御する。
以上の構成を有するデータ読出部により、波長ごとに分光された光干渉計測データに対しても、計測光の計測深度に基づいてデータの読み出しを制御することが可能となる。続いて、光干渉計測データの読出制御のフローについて説明する。
【0122】
第4の実施の形態における光干渉断層画像取得処理の全体の流れを示すメインフローチャートの一連の処理は、波長ごとに配列された光干渉計測データに対して適切な読出制御を行い、診断に好ましい光干渉断層画像を得ることを目的としている。
第1の実施の形態における図7のフローチャートと比べて、第4の実施の形態では、波数変換を行うステップ704が不要となる。
なお、光干渉計測データ読出のステップ705では、第4の実施の形態における、波数変換のステップ704がなくなったことに応じて、波長ごとに配列された光干渉計測データの読出制御を行う。詳細は後述する。
以上の処理により、第4の実施の形態における光干渉断層画像が取得される。続いて、第4の実施の形態における光干渉計測データの読出のステップで行われる制御のフローを説明する。
【0123】
図14は、本発明の特徴を説明する、第4の実施の形態における光干渉計測データの読出処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの一連の処理は、波長ごとに分光された光干渉計測データに対して計測光の計測深度に応じた読出方法を実現することを目的としている。
ステップ1401では、光干渉計測データ読出部(207)における読出制御部は、ゾーンフォーカス制御部204からこれから計測を行う計測深度の情報を取得する。ゾーンフォーカス制御部204は、計測深度に応じて接眼光学系304を制御するため計測深度の情報を管理している。
【0124】
ステップ1402では、該読出制御部は、同様に光干渉計測データ読出部(207)を構成する読出テーブルを参照して読出制御情報を取得する。
ステップ1403では、該読出制御部は、受け取った計測深度の情報と読出制御情報に基づいて、光干渉計測データのうち読み出すデータを把握する。
【0125】
ステップ1404では、該読出制御部は、ステップ1403で把握した読出情報に基づいて、得られているデータが読み出すデータかどうかを判断する。読み出すデータである場合には、ステップ1405へ処理を移行する。読み出すデータでない場合には、ステップ1409へ処理を移行する。
ステップ1405では、該読出制御部はステップ1403で把握した読出データの情報に基づいて、読み出すデータが補間処理の対象のデータかどうかを判断する。補間対象データの場合には、ステップ1406へ処理を移行する。補間対象データではない場合には、ステップ1408へ処理を移行する。
ステップ1406では、該読出制御部は、同様に光干渉計測データ読出部を構成する読出部を制御して、補間に必要な複数データを読み出させ、補間処理部へ出力させる。該読出制御部は、同時に補間処理部へ補間指示を伝える。
【0126】
ステップ1407では、該補間処理部は、読出制御部からの指示に従って読出部から受け取った複数データから補間処理を行う。
ステップ1408では、該読出制御部は、読出部を制御して光干渉計測データを出力させる。
ステップ1409では、光干渉計測データの全データに対して読出制御を行ったかどうかを判断する。全データの読出制御を行っている場合には、一連の光干渉計測データ読出処理を終了する。まだ読出制御が終っていない場合にはステップ1404へ処理を移行して繰り返しデータの読み出しを行う。
以上の処理により、第4の実施の形態における、波長ごとに配列された光干渉計測データの読出制御が可能となる。
【0127】
本実施形態によれば、波数変換に必要とされる補間の情報を記憶した読出テーブルを用意することで、波長ごとに配列された光干渉計測データに対しても本発明の読出制御を適用することが可能となり、データ読出と同時に波数変換をも行うことが可能となる。
なお、本実施の形態において、読出テーブルに波数変換に必要な情報を含めずに光干渉計測データの読出制御のみを行って、別途波数変換処理部にて波数変換を行う構成としてもよい。
従来、波長ごとに配列された計測データに対して補間を行い、波数軸での全波数帯域に渡るデータを生成して再配列させていた波数変換に比べて、必要な波数のデータに必要な波長データのみを読み出して補間を行うことで波数変換に係る処理負荷も軽減できる。
これにより、光干渉断層画像診断に係る処理時間をさらに短縮することが可能となる。
【0128】
(第5の実施の形態)
また、本発明の目的は、以下によって達成されることはいうまでもない。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを格納した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0129】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行う。その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0130】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれたとする。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0131】
(その他の実施の形態)
上記各実施形態における様々な技術を適宜組み合わせて新たなシステムを構成することは当業者であれば容易に相当し得るものであるので、このような様々な組み合わせによるシステムもまた、本発明の範疇に属するものである。
第1から第4までの実施の形態では、SD−OCTを使用したシステムにおいて適用する例を説明してきた。本発明は、前述したように、光スペクトル情報から断層情報を得るFD−OCTにおいて計測深度と干渉光との特性を応用して光干渉計測データの読出制御を行うものであり、この特性はSD−OCTに限られるものではない。波長掃引可能な光源を使用するSS−OCTにおいても、本発明を適用して、計測光の光軸方向に計測領域を分割して、計測深度ごとの光干渉計測データを得ることは可能であり、従ってSS−OCTを用いたシステムもまた、本発明の範疇に属するものである。
さらには、上記各実施形態における様々な技術を適宜組み合わせて新たなシステムを構成することは当業者であれば容易に相当し得るものであるので、このような様々な組み合わせによるシステムもまた、本発明の範疇に属するものである。
【符号の説明】
【0132】
801 ・・・ 計測光の計測深度の情報を取得するステップ
802 ・・・ データを読み出す間隔を算出するステップ
803 ・・・ 読み出すデータかどうかを判断するステップ
804 ・・・ データを読み出すステップ
805 ・・・ 全データに対して読出制御を行ったかどうかを判断するステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉を利用して光スペクトル情報から断層画像を構成する光干渉断層診断における光干渉計測データの読出方法であって、
光干渉計測データの計測深度の情報を取得する取得工程と、
前記計測深度の情報に基づいて、光干渉計測データの内、読み出すデータを決める決定工程と、
前記決定工程で決定された読出データを読み出すように制御する読出制御工程と、
前記読出制御工程の制御に基づいて光干渉計測データを読み出す読出工程と、を備えることを特徴とする光干渉計測データ読出方法。
【請求項2】
前記決定工程において、前記計測深度に基づいて前記読出しデータを読み出す読出間隔を算出することにより読み出ずデータが決定され、前記計測深度が深くなるに従って前記読出間隔を狭くすることを特徴とする請求項1に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項3】
計測対象に照射する計測光を生成する計測光生成工程と、
前記計測光の光束径を制御する光束径制御工程と、
前記計測光の集光位置を制御する集光位置制御工程と、をさらに備え、
前記光干渉計測データの計測の間、前記集光位置制御工程により前記計測光の集光位置を制御しながら前記光干渉計測データを計測することを特徴とする請求項1或いは2の何れか一項に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項4】
前記決定工程は、前記光束径制御工程における光束径および/または前記集光位置制御工程における集光位置の制御情報に基づいて前記計測深度を把握することを特徴とする請求項3に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項5】
前記読出制御工程は前記計測対象の断層像を計測するのに必要な計測深度を分割数2Dで分割する工程を備え、
前記光干渉計測データの前記読出間隔Sは、前記分割数を2D、前記分割された各々の計測領域の計測深度をZ(0〜D)とすると
【数1】

に従って算出されることを特徴とする請求項3に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項6】
前記読出制御工程は前記計測対象の断層像を計測するのに必要な計測深度をDで分割する工程を備え、
前記光干渉計測データの前記読出間隔Sは、前記分割数をD、前記分割された各々の計測領域の計測深度をZ(0〜D)とすると
【数2】

に従って算出されることを特徴とする請求項3に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項7】
前記読出制御工程は、前記分割工程において、前記計測対象の断層像を計測するのに必要な計測深度を、各々の計測領域の幅が同じになるように等分割することを特徴とする請求項6に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項8】
前記読出間隔Sが少数を含む値となった場合に、少数以下を切り捨てることにより前記光干渉計測データの読出制御を行うことを特徴とする請求項6または7の何れか一項に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項9】
前記読出工程によって読み出された前記光干渉計測データを補間する補間工程をさらに備え、
前記読出制御工程において前記読出間隔Sが小数を含む値となって読み出すデータ位置が自然数でない場合に、前記読み出すデータ位置を挟んで隣接する2つのデータを読み出すとともに、前記補間工程において前記読み出すデータ位置に基づいて前記隣接する2つのデータ間の補間をすることを特徴とする請求項6または7の何れか一項に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項10】
前記読出間隔Sが2よりも小さい値となった場合に、前記読出制御工程は前記補間工程を停止させることを特徴とする請求項9に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項11】
前記計測対象に断層像を取得する前に、基底となる光干渉計測データの読出制御の設定を行う設定工程をさらに備え、
前記設定工程は、少なくとも1回の断層情報の計測を行い、前記計測された断層情報に基づいて必要な計測深度を把握して、前記把握した必要計測深度に基づいて前記基底となる光干渉計測データの読出制御の設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項12】
前記設定工程は、前記光束径制御手段と前記集光位置制御手段により、前記計測光を被写界深度の深い光に制御して、前記断層像を計測する前の少なくとも1回の断層情報の計測を行うことを特徴とする請求項11に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項13】
前記読出工程において、波長ごとに分光されて計測された干渉光の計測データに対して波数変換の処理を施すことによって得られたデータに対して、読み出しを行うことを特徴とする請求項1に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項14】
前記読出工程において、波長ごとに分光されて計測された干渉光の計測データに対して読出しを行うことを特徴とする請求項1に記載の光干渉計測データ読出方法。
【請求項15】
光干渉を利用して光スペクトル情報から断層画像を構成する光干渉断層診断装置であって、
光干渉計測データの計測深度の情報を取得する取得手段と、
前記計測深度の情報に基づいて、光干渉計測データの内、読み出すデータを決める決定手段と、
前記決定手段で決定された読出データを読み出すように制御する読出制御手段と、
前記読出制御手段の制御に基づいて光干渉計測データを読み出す読出手段と、を備えることを特徴とする光干渉診断装置。
【請求項16】
計測対象に照射する計測光を生成する計測光生成手段と、
前記計測光の光束径を制御する光束径制御手段と、
前記計測光の集光位置を制御する集光位置制御手段と、をさらに備え、
前記光干渉計測データの計測の間、前記集光位置制御手段により前記計測光の集光位置を制御しながら前記光干渉計測データを計測することを特徴とする請求項15に記載の光干渉断層計測装置。
【請求項17】
前記読出制御手段は前記計測対象の断層像を計測するのに必要な計測深度を所定の分割数に分割する分割手段をさらに備え、
前記読出制御手段が前記光干渉計測データを読み出すために設定する前記光干渉計測データの読出間隔Sは、前記所定の分割数および前記分割された各々の計測領域の計測深度に基づいて算出されることを特徴とする請求項15に記載の光干渉断層診断装置。
【請求項18】
前記読出手段によって読み出された前記光干渉計測データを補間する補間手段をさらに備え、
前記読出制御手段が設定する前記読出間隔Sが小数を含む値となる場合に、前記補間手段は前記読出手段が読み出すデータの位置を挟んで隣接する2つのデータを読み出すとともに、前記補間手段は前記読み出すデータ位置に基づいて前記隣接する2つのデータ間の補間を行うことを特徴とする請求項17に記載の光干渉断層診断装置。
【請求項19】
前記読出手段は、波長ごとに分光されて計測された前記光干渉計測データに波数変換の処理を施してえられたデータ、或いは波長ごとに分光されて計測された前記光干渉計測データの何れかに対して読出しを行うことを特徴とする請求項15に記載の光干渉断層診断装置。
【請求項20】
光干渉を利用して光スペクトル情報から断層情報を計測する光干渉断層計測装置と計測された断層情報から光干渉断層画像を構成してユーザに提示する画像処理装置から構成される光干渉断層診断システムであって、
請求項15乃至19の何れか一項に記載された光干渉断層計測装置、及び
前記光干渉断層計測装置の出力情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された前記光干渉計測データから光干渉断層画像を生成する画像生成手段と、
前記光干渉断層画像を表示する表示手段と、を備える前記画像処理装置、
を備えることを特徴とする光干渉断層診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−21794(P2012−21794A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157683(P2010−157683)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】