説明

光情報記録媒体用の記録層およびスパッタリングターゲット、並びに光情報記録媒体

【課題】初期反射率および記録マークの形成性などに優れていることはもちろんのこと、高温高湿環境下での耐久性にも極めて優れており、青紫色レーザの次世代光ディスクに充分適用することが可能な光情報記録媒体用の記録層を提供する。
【解決手段】レーザ光の照射によって記録マークが形成される光情報記録媒体用の記録層であって、該記録層は、Nd、Gd、およびLaよりなる群から選択される少なくとも一種を合計で1.0原子%以上15原子%以下の範囲で含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光情報記録媒体用の記録層およびスパッタリングターゲット、並びに光情報記録媒体に関する。本発明の光情報記録媒体用記録層は、現行のCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)だけでなく、次世代の光情報記録媒体(HD DVDやBlu−ray Disc)に用いられ、追記型の光情報記録媒体、特に、青紫色のレーザを用いる光情報記録媒体に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
光情報記録媒体(光ディスク)は、記録再生方式により、再生専用型、書換型、および追記型の三種類に大別される。
【0003】
このうち、追記型の光ディスクでは、主に、レーザ光が照射された記録層材料の物性の変化を利用してデータが記録されている。追記型の光ディスクは、記録はできるが消去や書き換えを行うことができないため、write-once(一度だけ書ける)などと呼ばれている。このような特性を利用し、追記型の光ディスクは、例えば、文書ファイルや画像ファイルなど、データの改竄防止が求められる用途で汎用されており、CD−R、DVD−R、DVD+R等が挙げられる。
【0004】
追記型の光ディスクに用いられる記録層材料として、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ系色素などの有機色素材料が挙げられる。有機色素材料にレーザ光が照射されると、色素の熱吸収によって色素や基板が分解、溶融、蒸発するなどして記録マークが形成される。しかしながら、有機色素材料を用いる場合、有機溶媒中に色素を溶解してから、基板上に塗布しなければならず、生産性が低下する。また、記録信号の保存安定性などの点で問題がある。
【0005】
そこで、有機色素材料の代わりに、無機材料の薄膜を記録層として用い、この薄膜にレーザ光を照射して穴(記録マーク)または変形(ピット)を形成することによって記録を行う方法(以下、「穴あけ記録方式」と呼ぶ場合がある。)が提案されている(非特許文献1、特許文献1から特許文献8)。
【0006】
非特許文献1は、融点および熱伝導率が低いTe薄膜を用い、低いパワーで穴をあける技術を開示している。
【0007】
特許文献1および特許文献2には、Alを含むCu基合金からなる反応層と、Siなどを含む反応層とが積層された記録層が開示されている。レーザ光の照射により、基板上には、各反応層に含まれる元素が混合された領域が部分的に形成され、反射率が大きく変化するため、青色レーザなどの短波長レーザを用いても、情報を高感度で記録することができる。
【0008】
特許文献3〜5は、穴あけ記録方式によるC/N(carrier to noise ratio、キャリアとノイズの出力レベルの比)の低下を防止し、高いC/Nと反射率とを備えた光記録媒体の技術に関する。ここでは、記録層として、Inを含むCu基合金(特許文献3)、Biなどを含むAg基合金(特許文献4)、Biなどを含むSn基合金(特許文献5)が用いられている。
【0009】
特許文献6〜8、および前述した特許文献5は、Sn基合金に関する。特許文献6は、金属合金層中に、熱処理時に少なくとも一部が凝集し得る元素を2種以上含む光学的記録媒体に関する。具体的には、例えば、BiやInを含むSn−Cu基合金層(厚さ1〜8nm)が開示されており、これにより、高融点および高熱伝導率を備えた記録媒体が得られる。特許文献7には、記録特性に優れたSn−Bi合金に、SnおよびBiよりも酸化されやすい被酸化物質を添加した記録層が開示されている。特許文献7によれば、特に、高温高湿環境下における耐久性(例えば、温度60℃、相対湿度90%の環境下で120時間保持)が高められた光記録媒体が得られる。特許文献8には、光記録層を構成する化合物の組成を、Snで、かつ30<x<70(原子%)、1<y<20(原子%)、20<z<60(原子%)に制御した光記録媒体が開示されている。特許文献8によれば、Snを記録材料として用い、開口数が0.8程度の対物レンズを使用して波長380nm〜420nm程度の短波長レーザ光を照射して情報の記録を行うときの問題点(良好な記録マークが形成されず、ジッターが大きくなる)を解決することができる。
【特許文献1】特開2004−5922号公報
【特許文献2】特開2004−234717号公報
【特許文献3】特開2002−172861号公報
【特許文献4】特開2002−144730号公報
【特許文献5】特開2002−225433号公報
【特許文献6】特開平2−117887号公報
【特許文献7】特開2001−180114号公報
【特許文献8】特開2004−90610号公報
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.,34(1979)、835頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
記録情報の高密度化への要求が益々高まるにつれ、特に、青紫色レーザなどの短波長レーザを用いて情報の記録および再生を行うことが望まれている。前述した穴あけ記録方式による情報記録技術により、記録特性(低熱伝導率、高初期反射率、記録マークの形成性など)は高められているが、高温高湿環境下での耐久性に劣っている。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、初期反射率および記録マークの形成性などに優れていることはもちろんのこと、高温高湿環境下での耐久性にも極めて優れており、青紫色レーザを用いる次世代光ディスクに充分適用することが可能な光情報記録媒体用の記録層および当該記録層を形成する材料からなるスパッタリングターゲット、並びに当該記録層を備えた光情報記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決することのできた本発明の光情報記録媒体用記録層は、レーザ光の照射によって記録マークが形成される記録層であって、該記録層は、Nd、Gd、およびLaよりなる群から選択される少なくとも一種を合計で1.0%以上15%以下の範囲で含有するSn基合金からなることに要旨が存在する。
【0013】
好ましい実施形態において、前記記録層の厚さは、10nm〜50nmの範囲内である。
【0014】
好ましい実施形態において、前記レーザ光の波長は、380nm〜450nmの範囲内である。
【0015】
本発明の光情報記録媒体用スパッタリングターゲットは、Nd、Gd、およびLaよりなる群から選択される少なくとも一種を合計で1.0%〜15%の範囲で含有するSn基合金からなることに要旨が存在する。
【0016】
本発明の光情報記録媒体は、上記のいずれかの光情報記録媒体用記録層を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の記録層は、上記のように構成されているため、当該記録層を備えた光情報記録媒体は、初期反射率、および記録マークの形成性などの記録特性に優れているだけでなく、高温高湿環境下での耐久性にも極めて優れている。そのため、本発明の記録層は、高密度かつ高速度で情報の記録再生ができる追記型の光ディスクに好適に用いられ、特に、青紫色レーザを用いる次世代光ディスクに好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明者は、穴あけ記録方式によって情報を記録することができ、特に、高温高湿環境下での耐久性(反射率の低下量が少ないこと)に極めて優れた記録層を提供するため、Sn基合金に着目して検討を行った。その結果、Snに、Nd、Gd、およびLaよりなる群から選択される少なくとも一種を所定量含むSn基合金を用いれば、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0019】
まず、本発明に到達した経緯を説明する。
【0020】
本発明において、Sn基合金に着目した理由は以下のとおりである。反射率の点では、SnよりもAl、Ag、Cuの方が優れているが、レーザ光照射による記録マークの形成性は、Snの方が優れている。Snの融点は約232℃であり、Al(融点約660℃)、Ag(融点約962℃)、Cu(融点約1085℃)に比べて非常に低いため、Sn中に合金元素を添加したSn基合金の薄膜は、レーザ光の照射によって容易に溶融し、記録特性が向上すると考えられる。本発明のように、青紫色レーザを用いる次世代光ディスクへの適用を主目的とする場合、Alなどを用いると記録マークが容易に形成され難くなる恐れがあることを考慮し、Sn基合金を採用することにした。
【0021】
一方、本発明では、耐久性の指標を、「波長405nmの青色レーザ光を照射して記録マークが形成された記録層を、温度80℃、相対湿度85%の環境下で96時間保持したときの反射率の変化が15%未満、好ましくは10%未満を満足すること」と定めた。青色レーザは、赤色レーザよりも波長が短いため、膜劣化に対する反射率の変化はより顕著である。そのため、青色レーザを使用して記録や再生が行われた光ディスクの耐久性は、赤色レーザを使用した場合よりも低下することが予想される。すなわち、青色レーザの光ディスクに適用するには、従来より、一層高い耐久性が求められている。そこで、本発明では、保護膜を設けず、上記のように温度80℃、相対湿度85%という高温高湿環境下で96時間と長い時間保持するという、極めて過酷な条件下に曝したとしても、反射が殆ど低下しないことを、耐久性の指標として掲げた。なお、前述した特許文献1および特許文献7においても、光ディスクの耐久性を調べているが、本発明で定める条件よりも緩やかな環境下での耐久性を調べているに過ぎない。特許文献7では、本発明よりも低温下での耐久性試験を実施しており(温度60℃、相対湿度90%で120時間保持)、特許文献1では、本発明よりも短時間の耐久性試験を実施しており(温度80℃、相対湿度85%で50時間保持)、いずれも、本発明のように、高温長時間の環境下での耐久性試験を行ったものではない。
【0022】
次に、Sn中に種々の合金成分を添加したSn基合金の記録層を試作し、波長405nmの青色レーザ光を照射したときの記録マークの形成性などを調べるとともに、高温高湿環境下に曝したときの反射率の変化(耐久性)を調べた。
【0023】
その結果、後記する実施例の欄で詳述するように、Nd、Gd、およびLaの少なくとも一種を所定量添加したSn基合金を用いると、記録マーク形成性や反射率などの優れた記録特性を維持しつつ、本発明で定める耐久性の指標を満足し得ることを突き止めた。
【0024】
以下、本発明の記録層を詳しく説明する。
【0025】
本発明の記録層は、Nd、Gd、およびLaよりなる群から選択される少なくとも一種を合計で1.0%〜15%の範囲で含有するSn基合金からなる。後記する実験例に示すように、Snは、記録マークの形成性などの記録特性に優れているが、高温環境下の耐久性に劣っている。Nd、Gd、およびLaよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を所定量添加することにより、優れた記録特性を維持しつつ、耐久性が著しく高められる。このような作用が得られる理由は、詳細には不明であるが、Snよりも酸化し易い上記元素を添加することによってSnの酸化が抑制されるため、耐久性が向上することなどが考えられる。
【0026】
Nd、Gd、およびLaは、それぞれ、単独で添加しても良いし、併用してもよい。
【0027】
上記元素の添加量は、後記する実施例のデータに基づき、合計で、1.0%以上15%以下とする。添加量の合計が1.0%未満では、所望の耐久性が得られない。ただし、上記元素を過剰に添加すると、初期反射率が低下するため、上記元素の添加量の合計の上限を15%とした。上記元素の添加量は、合計で、3%以上12%以下であることが好ましく、5%以上10%以下であることがより好ましい。
【0028】
本発明の記録層は、上記成分を含有し、残部Snであるが、本発明の作用を損なわない範囲で、他の成分を添加しても良い。例えば、スパッタリング法を用いて上記記録層を作製する際に不可避的に導入されるガス成分(O,N等)や、溶解原料として用いられるSn基合金中に予め含まれている不純物が含まれていても構わない。
【0029】
上記記録層の厚さは、10nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。後記する実験例に示すように、記録層の厚さを10nm以上にすると、初期反射率が高められる。一方、記録層の厚さは、初期反射率の観点からは制限されないが、記録マークの形成性を考慮すると、50nm以下にすることが好ましい。記録層の厚さは、15nm以上40nm以下であることがより好ましく、20nm以上35nm以下であることがより好ましい。
【0030】
本発明の光情報記録媒体は、上記のSn基合金記録層を備えている。上記の記録層以外の構成は特に限定されず、光情報記録媒体の分野に公知の構成を採用することができる。
【0031】
図1に、本発明による光情報記録媒体(光ディスク)の好ましい実施形態の構成を模式的に示す。図1は、波長が約380nmから450nm、好ましくは約405nmの青色レーザ光を記録層に照射し、データの記録および再生を行うことが可能な追記型の光ディスク10である。光ディスク10は、支持基板1と、光学調整層2と、誘電体層3、5と、誘電体層3、5の間に挟まれた記録層4と、光透過層6とを備えている。誘電体層3、5は、記録層4を保護するために設けられており、これにより、記録情報を長時間保存することができる。
【0032】
本実施形態の光ディスクは、記録層4の材料として、前述した要件を満足するSn基合金を用いることに特徴があり、記録層4以外の支持基板1や、層(光学調整層2、誘電体層3、5)の材料は、特に限定されず、通常汎用されているものを適宜選択することができる。光学調整層2の材料として、例えば、Ag合金などを用いると反射率を高めることができる。なお、本発明の記録層を用いれば、誘電体層3、5を省略することもできる。
【0033】
上記Sn基合金の薄膜は、スパッタリング法によって作製されることが好ましい。本発明に用いられる合金元素(Nd,Gd、La)は、平衡状態ではSnに対する固溶限は10原子%以下であるが、スパッタリング法によって形成された薄膜は、スパッタリング法に特有の気相急冷によって強制固溶が可能になる。そのため、スパッタリング法以外の薄膜形成法でSn基合金薄膜を形成した場合に比べ、上記合金元素がSnマトリックス中に均一に存在する結果、耐久性などが著しく向上する。
【0034】
また、スパッタリングの際には、スパッタリングターゲット材として、溶解・鋳造法などによって作製されたSn基合金(以下、「溶製Sn基合金ターゲット材」という)を用いることが好ましい。溶製Sn基合金ターゲット材の組織は均一であり、スパッタ率及び出射角度が均一な為、成分組成と膜厚が均一なSn基合金薄膜の記録層が安定して得られる結果、より高性能の光ディスクが作製される。尚、上記溶製Sn基合金ターゲット材の酸素含有量を100ppm以下に制御すれば、膜形成速度を一定に保持し易くなり、Sn基合金薄膜の酸素量も低くなる為、Sn基合金薄膜の反射率及び耐久性が一層高められる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記の実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することは、本発明の技術範囲内に包含される。
【0036】
(試作例)
以下のようにして表1に示す種々のSn基合金薄膜(Sn−Nd合金薄膜、Sn−Gd合金薄膜、およびSn−La合金薄膜)を試作し、これらの初期反射率、記録マーク形成性、および耐久性を調べた。比較のため、純Sn薄膜の上記特性も同様に調べた。
【0037】
(Sn基合金薄膜および純Sn薄膜の形成)
純Snのスパッタリングターゲットを用い、透明ポリカーボネート樹脂基板(厚さ0.6mm、直径120mm)の上に純Sn薄膜またはSn基合金薄膜を形成した。Sn基合金薄膜は、添加する合金元素のチップを純Snのスパッタリングターゲットに乗せた複合スパッタリングターゲットを用いて形成した。スパッタリング条件は、Ar流量30sccm、Arガス分圧2mTorr、成膜パワーDC 50W、到達真空度:10−5Torr以下とした。なお、Sn基合金薄膜の厚さは、スパッタ時間を5秒から45秒の間で変えることによって表1に示す範囲内に変化させた。このようにして得られたSn基合金薄膜の組成は、ICP質量分析法で求めた。
【0038】
(記録マークの形成性)
上記試料に対し、レーザパワーの大きさを変えながら、青色レーザ光を以下のように照射し、記録マークを形成した。レーザ光は、Sn基合金薄膜側から照射した。
光源:波長405nmの半導体レーザ
レーザのスポットサイズ:直径0.8μm
線速度:10m/s
【0039】
このようにして形成された記録マークの形状を光学顕微鏡(倍率:1000倍)で観察し、レーザ光の照射面積に対する記録マーク形成の面積の比(面積比)を算出した。本発明では、面積率85%以上の試料(◎と○)を合格とし、下記基準に基づいて記録マークの形成性を評価した。
◎:10mW以上15mW以下の低いレーザパワーでレーザ光を照射しても
85%以上の面積率が得られる
○:15mW超え25mW以下のレーザパワーでレーザ光を照射したとき、
85%以上の面積率が得られる
×:25mW超えのレーザパワーでレーザ光を照射しても
85%以上の面積率は得られない。
【0040】
(初期反射率の測定)
スパッタリングで成膜した直後の薄膜(記録マークが形成される前)について、日本分光株式会社製の可視・紫外分光光度計「V−570」を用い、測定波長:1000〜250nmの範囲における分光絶対反射率を測定した。本発明では、波長405nmの初期反射率が30%超の試料を合格とした。
【0041】
(耐久性の測定)
上記のようにして初期反射率を測定した試料について、温度80℃、相対湿度85%の大気雰囲気中で48時間保持または96時間保持する高温高湿試験を行った後、上記と同様にして分光絶対反射率を測定した。上記高温高湿試験前後の波長405nmでの反射率の差(試験終了後の反射率の減少量)を算出し、下記基準に基づき、耐久性を評価した。本発明では、96時間保持したときの高温高湿試験の結果が○、◎、および●のものを合格とした。
●:反射率の減少量10%未満
◎:反射率の減少量10%以上15%未満
○:反射率の減少量15%以上20%未満
×:反射率の減少量20%以上
【0042】
表1に、これらの結果を併記する。
【0043】
表1中、試料1は純Sn薄膜を、試料2〜12はSn−Nd薄膜を、試料13〜20はSn−Gd薄膜を、試料21〜27はSn−La薄膜を、夫々、用いた結果である。
【0044】
【表1】

【0045】
表1より、以下のように考察することができる。
【0046】
本発明の要件を満足するSn−Nd薄膜(試料3〜5、試料8〜11)、Sn−Gd薄膜(試料14〜19)、およびSn−La薄膜(試料22〜26)は、いずれも、初期反射率および記録マークの形成性に優れており、良好な記録特性を備えているだけでなく、耐久性にも優れている。
【0047】
これに対し、純Sn薄膜の試料1は、耐久性に劣っている。
【0048】
また、Ndの添加量が少ない試料2、Gdの添加量が少ない試料13、Laの添加量が少ない試料21は、いずれも、耐久性に劣っている。
【0049】
一方、Ndの添加量が多い試料12、Gdの添加量が多い試料20、Laの添加量が多い試料27は、いずれも、初期反射率が低下した。
【0050】
更に、Sn−Nd薄膜について、薄膜の厚さが厚い試料6は、記録マークの形成性が低下し、薄膜の厚さが薄い試料7は、初期反射率が低下した。表1には、Sn−Nd薄膜の厚さを変化させた実験結果のみを示しているが、同様の実験結果は、Sn−Gd薄膜およびSn−La薄膜についても認められたことを確認している(表には示さず)。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明による光情報記録媒体の実施形態の構成を模式的に説明する断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 支持基板
2 光学調整層
3、5 誘電体層
4 記録層
6 光透過層
10 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光の照射によって記録マークが形成される記録層であって、
該記録層は、Nd、Gd、およびLaよりなる群から選択される少なくとも一種を合計で1.0%〜15%(原子%の意味、以下、同じ)の範囲で含有するSn基合金からなることを特徴とする光情報記録媒体用記録層。
【請求項2】
前記記録層の厚さは、10nm〜50nmの範囲内である請求項1に記載の光情報記録媒体用記録層。
【請求項3】
前記レーザ光の波長は、380nm〜450nmの範囲内である請求項1または2に記載の光情報記録媒体用記録層。
【請求項4】
Nd、Gd、およびLaよりなる群から選択される少なくとも一種を合計で1.0%以上15%以下の範囲で含有するSn基合金からなることを特徴とする光情報記録媒体用スパッタリングターゲット。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の光情報記録媒体用記録層を備えたことを特徴とする光情報記録媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2007−111898(P2007−111898A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303211(P2005−303211)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】