光拡散板
【課題】帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる光拡散板を提供する。
【解決手段】プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板6の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層3が積層された構成とする。
【解決手段】プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板6の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層3が積層された構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できて直下型バックライト用として好適な光拡散板に関する。
【0002】
なお、この明細書において、「十点平均粗さRz」及び「Rz」の語は、いずれも、JIS B0601−1994に準拠して測定長2.5mmで測定された十点平均粗さRzを意味する。
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置としては、液晶パネル(画像表示部)の背面側に直下型バックライトが配置された構成のものが公知である。前記直下型バックライトとしては、光反射板の前に複数の光源が配置されると共に、これら光源の前面側に光拡散板が配置された構成のものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
近年、液晶表示装置、中でも特に液晶テレビの大型化が急速に進められているが、画面を大型化して十分な輝度を確保するために光源数を多くすると、光源の発熱量が大きく増大してしまう。そこで、画面の大型化に際しては内部で発生した発熱をより効率良く排出することが求められる。
【0005】
直下型バックライト装置には、排熱のためにファンが設置されることが多い。排熱ファンにより送風して直下型バックライト装置内部の空気の入れ換えを行うことによって、冷却を行っている。しかしながら、そのように送風を行うと、光拡散板の表面に埃等が付着しやすいという問題があった。光拡散板の表面に埃等が付着すると、画像が乱れたり、画像のシャープさや輝度が低下したりすることが懸念される。
【0006】
このような埃付着の防止のために、光拡散板としては優れた帯電防止性能を備えていることが求められている。
【0007】
そこで、光拡散板に帯電防止性能を具備させるべく、合成樹脂製の光拡散板の表面に帯電防止剤水溶液を塗布することによって、表面に帯電防止コーティング層を形成せしめることが提案されている(特許文献2〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−170937号公報
【特許文献2】特開2006−330546号公報
【特許文献3】特開2007−178544号公報
【特許文献4】特開2008−19411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液晶テレビ等に用いられる直下型バックライト装置は、光源の点灯によりバックライト内部の温度が80℃以上まで上昇する。
【0010】
上記帯電防止剤水溶液を一般的なスチレン樹脂製の光拡散性樹脂板に塗布して表面に帯電防止コーティング層を形成した構成の光拡散板は、上記のような高温条件下でも黄変することはなかった。
【0011】
本発明者らは、軽量で、十分な強度を有し、熱や湿気により変形することがないという利点があることから、光拡散性樹脂板を構成する樹脂としてプロピレン樹脂を用いることを着想した。
【0012】
このような着想に基づいて、プロピレン樹脂製の光拡散性樹脂板に界面活性剤を含有する帯電防止コーティング層を形成することを鋭意検討した結果、光拡散性樹脂板を構成する樹脂がプロピレン樹脂である場合には、コーティング層を形成する界面活性剤の種類により、高温条件下での使用における黄変等の変色の発生に影響を及ぼす場合があることを本発明者は見出した。
【0013】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる光拡散板を提供することを目的とする。また、光拡散板の表面に埃等が付着し難い上に高温条件下での使用においても光拡散板の変色を防止し得て良好な画像を表示できる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究した結果、光拡散性樹脂板を構成する樹脂としてプロピレン樹脂を用いた場合であっても、該光拡散性樹脂板の表面に特定の界面活性剤を含有するコーティング層を積層する構成とすれば、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できることを見出すに至り、本発明を完成した。即ち、本発明は以下の手段を提供する。
【0015】
[1]プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板。
【0016】
[2]前記コーティング層は、アミンオキサイド系両性界面活性剤及びベタイン系両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を含有する前項1に記載の光拡散板。
【0017】
[3]前記アミンオキサイド系両性界面活性剤が、アルキルアミンオキサイドである前項2に記載の光拡散板。
【0018】
[4]前記ベタイン系両性界面活性剤が、アルキルベタインである前項2または3に記載の光拡散板。
【0019】
[5]前記コーティング層は、高級アルコール系アニオン性界面活性剤を含有する前項1に記載の光拡散板。
【0020】
[6]前記高級アルコール系アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩である前項5に記載の光拡散板。
【0021】
[7]前記コーティング層は、脂肪酸系非イオン性界面活性剤を含有する前項1に記載の光拡散板。
【0022】
[8]前記脂肪酸系非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である前項7に記載の光拡散板。
【0023】
[9]前記光拡散性樹脂板の少なくとも片面にコロナ放電処理が施され、該コロナ放電処理面に前記コーティング層が積層されている前項1〜8のいずれか1項に記載の光拡散板。
【0024】
[10]前記光拡散性樹脂板の少なくとも片面が、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面に形成され、該粗面に前記コーティング層が積層されている前項1〜9のいずれか1項に記載の光拡散板。
【0025】
[11]前記コーティング層は、前記界面活性剤を含有する溶液を前記光拡散性樹脂板に塗布して乾燥せしめることによって形成されたものである前項1〜10のいずれか1項に記載の光拡散板。
【0026】
[12]直下型バックライト用として用いられる前項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板。
【0027】
[13]前項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源とを備える直下型バックライト。
【0028】
[14]前項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源と、前記光拡散板の前面側に配置された液晶パネルとを備える液晶表示装置。
【発明の効果】
【0029】
[1]の発明では、光拡散性樹脂板がプロピレン樹脂を含有するから、軽量で、十分な機械的強度を有し、湿気により光拡散板が変形することがない。また、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層が積層されているから、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる。
【0030】
なお、光拡散性樹脂板を構成する樹脂がスチレン樹脂である場合には、該光拡散性樹脂板の表面に、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれの界面活性剤を塗布してコーティング層を形成した場合でも、高温条件下での使用において黄変等の変色は特に生じない(後述する参考例1〜9参照)。
【0031】
プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の表面にカチオン系界面活性剤を塗布してコーティング層を形成した場合には、高温条件下では黄変する(後述する比較例1、2参照)のに対し、本願発明では、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の少なくとも片面に前記特定の界面活性剤を含有するコーティング層が積層されているから、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる(後述する実施例1〜7参照)。
【0032】
[2]の発明では、コーティング層は、アミンオキサイド系両性界面活性剤及びベタイン系両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を含有するから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより防止できる。
【0033】
[3]の発明では、上記アミンオキサイド系両性界面活性剤が、アルキルアミンオキサイドであるから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより一層防止できる。
【0034】
[4]の発明では、上記ベタイン系両性界面活性剤が、アルキルベタインであるから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより一層防止できる。
【0035】
[5]の発明では、コーティング層は、高級アルコール系アニオン性界面活性剤を含有するから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより防止できる。
【0036】
[6]の発明では、上記高級アルコール系アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩であるから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより一層防止できる。
【0037】
[7]の発明では、コーティング層は、脂肪酸系非イオン性界面活性剤を含有するから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより防止できる。
【0038】
[8]の発明では、上記脂肪酸系非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤であるから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより一層防止できる。
【0039】
[9]の発明では、光拡散性樹脂板の少なくとも片面にコロナ放電処理が施されているので、該コロナ放電処理面に界面活性剤を含有する溶液を塗布すれば、より均一に塗布することができ(即ち界面活性剤の塗布の濃淡ムラが抑制され)、従ってより均一な帯電防止コーティング層が形成されるので、全面にわたって埃等の付着を防止できる光拡散板が提供される。
【0040】
[10]の発明では、光拡散性樹脂板の少なくとも片面が、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面に形成されているから、該粗面に界面活性剤を含有する溶液を塗布すれば、より均一に塗布することができ(即ち界面活性剤の塗布の濃淡ムラが抑制され)、従ってより均一な帯電防止コーティング層が形成されるので、全面にわたって埃等の付着を防止できる光拡散板が提供される。
【0041】
[11]の発明では、コーティング層は、界面活性剤を含有する溶液を光拡散性樹脂板に塗布して乾燥せしめることによって形成されているから、より優れた帯電防止性能を有する光拡散板が提供される。
【0042】
[12]の発明では、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる直下型バックライト用光拡散板が提供される。
【0043】
[13]の発明では、直下型バックライトを構成する光拡散板が、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できるものであるから、長期間にわたって高輝度で自然なバックライト光を確保することができる。
【0044】
[14]の発明では、液晶表示装置を構成する光拡散板が、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できるものであるから、長期間にわたって高品質で高品位な画像(即ち画像に乱れが生じにくく、かつシャープで高輝度な画像)を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る光拡散板を構成する光拡散性樹脂板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る光拡散板の一実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係る液晶表示装置の一実施形態を示す模式的断面図である。
【図4】本発明に係る光拡散板の他の実施形態を示す断面図である。
【図5】光拡散性樹脂板の表面に粗面を形成するのに用いる製造設備の概略側面図である。
【図6】光拡散板の表面に形成される凹凸形状の一例を示す断面図である。
【図7】光拡散板の表面に形成される凹凸形状の他の例を示す断面図である。
【図8】略半円凸部の他の例を示す斜視図である。
【図9】光拡散板の表面に形成される凹凸形状のさらに他の例を示す断面図である。
【図10】図9の略三角形凸部を示す斜視図である。
【図11】略三角形凸部の他の例を示す斜視図である。
【図12】実施例1〜7、比較例1、2の光拡散板の評価結果であるΔYIを棒グラフで示したものである。
【図13】参考例1〜9の光拡散板の評価結果であるΔYIを棒グラフで示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明に係る光拡散板(1)の一実施形態を図2に示す。この光拡散板(1)は、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板(6)の片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層されている。なお、前記光拡散板(1)は、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板(6)の両面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層された構成であってもよい(図4参照)。
【0047】
本実施形態では、前記光拡散性樹脂板(6)の片面が、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面(6a)に形成され、該粗面(6a)に、前記界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層されている。
【0048】
また、本実施形態では、前記コーティング層(3)は、前記界面活性剤を含有する溶液を前記光拡散性樹脂板(6)の粗面(積層面)(6a)に塗布して乾燥せしめることによって形成されたものである。
【0049】
また、本実施形態では、前記光拡散性樹脂板(6)として、プロピレン樹脂を含有する単層板が用いられている(図1参照)。前記光拡散性樹脂板(6)は、例えばプロピレン樹脂を含有する基層(21)の両面にプロピレン樹脂を含有する表層(22)(22)が積層されてなる積層板であってもよい(図4参照)。
【0050】
本発明に係る光拡散板(1)の厚さは、通常、0.1mm〜3mm、好ましくは0.8mm〜3mmである。
【0051】
上記構成の光拡散板(1)によれば、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板(6)の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層されているから、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる。
【0052】
前記コーティング層(3)は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する。中でも、前記コーティング層(3)を構成する界面活性剤としては両性界面活性剤を用いるのが、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより防止できる点で、好ましい。
【0053】
前記アニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば
a)高級脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩などの脂肪酸系アニオン性界面活性剤
b)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などの直鎖アルキルベンゼン系アニオン性界面活性剤
c)アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、(モノ)アルキルリン酸エステル塩などの高級アルコール系アニオン性界面活性剤
d)α−オレフィンスルホン酸塩などのα−オレフィン系アニオン性界面活性剤
e)アルカンスルホン酸塩などのノルマルパラフィン系アニオン性界面活性剤
等が挙げられる。これらの中では、高級アルコール系アニオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、アルキル硫酸エステル塩を用いるのが特に好ましい。
【0054】
前記非イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば
f)しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどの脂肪酸系非イオン性界面活性剤
g)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシドなどの高級アルコール系非イオン性界面活性剤
h)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール系非イオン性界面活性剤
等が挙げられる。これらの中では、脂肪酸系非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を用いるのが特に好ましい。
【0055】
前記両性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば
i)アルキルアミノ脂肪酸塩などのアミノ酸系両性界面活性剤
j)アルキルベタインなどのベタイン系両性界面活性剤
k)アルキルアミンオキサイドなどのアミンオキサイド系両性界面活性剤
等が挙げられる。これらの中では、アミンオキサイド系両性界面活性剤及びベタイン系両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を用いるのが好ましい。前記アミンオキサイド系両性界面活性剤としてはアルキルアミンオキサイドを用いるのが好ましい。前記ベタイン系両性界面活性剤としてはアルキルベタインを用いるのが好ましい。
【0056】
本発明において、前記光拡散性樹脂板(6)における前記コーティング層(3)が積層される面(片面又は両面)(6a)は、コロナ放電処理が施されているのが好ましい。該コロナ放電処理面(6a)に前記界面活性剤を含有する溶液を塗布した際に、界面活性剤の塗布の濃淡ムラが生じにくく、より均一に塗布することができる。
【0057】
また、前記光拡散性樹脂板(6)における前記コーティング層(3)が積層される面(片面又は両面)(6a)は、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面に形成されているのが好ましい。Rzが5.0μm以上の粗い粗面であれば、該粗面(6a)に界面活性剤を含有する溶液を塗布した際に、界面活性剤の塗布の濃淡ムラが生じにくく、より均一に塗布することができる。中でも、前記粗面(6a)の十点平均粗さRzは33.0μm以上に設定されるのが好ましい。また、通常は、前記粗面(6a)の十点平均粗さRzは100μm以下に設定される。
【0058】
なお、上記性状の粗面(6a)は、例えば、外周面の十点平均粗さRzが5.0μm以上である表面マット形状ロール(41)を用いて形成することができる。一例を挙げると、押出機(44)からプロピレン樹脂を板状に押出した後、図5に示すように配置された表面マット形状の第1ロール(41)と第2平滑ロール(42)の間、第2平滑ロール(42)と第3平滑ロール(43)の間を順に通過せしめることによって、光拡散性樹脂板(6)の表面に十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面(6a)を形成することができる。
【0059】
前記光拡散性樹脂板(6)を構成するプロピレン樹脂としては、プロピレンを単独で重合させて得られるホモポリプロピレンであってもよいし、プロピレン及びこれと共重合し得る共重合成分の共重合体であってもよい。中でも、前記プロピレン樹脂としては、プロピレン単位を50質量%以上含有する重合体であるのが好ましい。さらに、十分な剛性が得られる点で、前記プロピレン樹脂中のプロピレン単位の含有量は98質量%以上であるのが特に好ましい。前記共重合成分としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン、1−ブテン等のα−オレフィンなどが挙げられる。
【0060】
前記光拡散性樹脂板(6)は、光拡散機能を有する樹脂板であり、例えば、光拡散剤を含有させることによって、光拡散機能が付与されるが、特にこのような手法で光拡散機能が付与されるものに限定されるものではない。なお、プロピレン樹脂は結晶性樹脂であり、結晶部と非晶部が存在しているために、若干白曇状に見え、光拡散剤を添加していなくても若干の光拡散性能を得ることができる。即ち、光拡散剤は含有していてもよいし、非含有であってもよい。
【0061】
前記光拡散剤としては、前記光拡散性樹脂板(6)を構成するプロピレン樹脂に対して非相溶性で、該プロピレン樹脂とは異なる屈折率を示し、光拡散板を透過する透過光を拡散させる機能を有する粒子(粉末を含む)であれば特に限定されない。例えば、ガラス粒子、ガラス繊維、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子、タルク等の無機粒子であってもよいし、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等の有機粒子であってもよい。
【0062】
前記光拡散剤としては、通常、その体積平均粒子径が0.5μm〜40μmの範囲にあるものが用いられる。なお、体積平均粒子径(D50)は、全粒子の粒子径及び体積を測定し、小さい粒子径のものから順次体積を積算し、該積算体積が全粒子の合計体積に対して50%となる粒子の粒子径である。
【0063】
前記プロピレン樹脂に光拡散剤を分散せしめる比率は、前記プロピレン樹脂100質量部に対して光拡散剤0.1質量部〜20質量部の範囲とするのが好ましい。0.1質量部以上であることで十分な光拡散性能を確保できると共に、20質量部以下であることで板自体の耐衝撃性の低下を防止できる。
【0064】
前記コーティング層(3)を形成するための、界面活性剤含有溶液としては、特に限定されるものではないが、例えば界面活性剤含有水溶液、界面活性剤含有有機溶液等が挙げられる。前記有機溶液に用いられる有機溶媒としては、例えばエチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。中でも、界面活性剤含有水溶液を塗布して前記コーティング層(3)を形成するのが、作業衛生面や環境保全の観点から、好ましい。
【0065】
前記コーティング層(3)の形成方法としては、特に限定されないものの、前記界面活性剤含有溶液を塗布することによって形成されるのが好ましい。前記塗布方法としては、特に限定されないが、例えばロールコーター法、リップコート法、ナイフコーター法等が挙げられる。
【0066】
前記界面活性剤含有溶液における界面活性剤の濃度は、0.01質量%〜10質量%に設定されるのが好ましい。また、前記コーティング層(3)における界面活性剤の付着量(片面での固形分付着量)は0.001g/m2〜0.5g/m2に設定されるのが好ましく、0.005g/m2〜0.2g/m2に設定されるのが特に好ましい。
【0067】
なお、上記実施形態では、光拡散板(1)は、光拡散性樹脂板(6)の片面のみが十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面(6a)に形成され、該粗面(6a)に界面活性剤を含有するコーティング層(3)が設けられた構成が採用されている(図2参照)が、光拡散性樹脂板(6)の両面が十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面(6a)(6a)に形成され、各粗面(6a)(6a)にそれぞれ界面活性剤を含有するコーティング層(3)(3)が積層された構成を採用してもよい(図4参照)。
【0068】
本発明に係る光拡散板(1)は、光拡散性樹脂板の片面の十点平均粗さRzが5.0μm以上であるのが好ましく(さらに好ましくは10.0μm以上であり、特に好ましくは25μm以上である)、この場合には、その反対側の表面が、図2に示すような平坦面であってもよいし、プリズム状等の凹凸形状が形成されていてもよい。
【0069】
図6に、光拡散性樹脂板(6)の非積層面(前記積層面とは反対側の表面)(6b)に形成される凹凸形状の一例を示す。図6では、断面形状が三角形凸部(V字溝)の凹凸形状が採用されている。この図6の例では、隣り合う三角形凸部(71)が間隔をあけることなく連続状に形成されている(換言すれば、隣り合うV字溝(72)が連続状に形成されている)が、特にこのような構成に限定されるものではなく、隣り合う三角形凸部が間隔(d1)をあけた非連続状に構成されていてもよい。前記三角形凸部(71)のピッチ間隔(P1)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記三角形凸部(71)の高さ(H1)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。前記隣り合う三角形凸部(71)の離間間隔(d1:図示せず)は1μm〜10μmの範囲であるのが好ましい。また、前記三角形凸部(71)の頂部の頂角(θ)は10°〜100°であるのが好ましく、中でも10°〜90°であるのがより好ましい。
【0070】
図7に、光拡散性樹脂板(6)の非積層面(前記積層面とは反対側の表面)(6b)に形成される凹凸形状の他の例を示す。図7では、断面形状が略半円形状である略半円凸部(81)を含む凹凸形状が採用されている。この図7の例では、隣り合う略半円凸部(81)が間隔(d2)をあけて非連続状に形成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、隣り合う略半円凸部(81)が間隔をあけることなく連続状に(即ちd2=0)構成されていてもよい。前記略半円凸部(81)のピッチ間隔(P2)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記略半円凸部(81)の高さ(H2)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記隣り合う略半円凸部(81)の離間間隔(d2)は1μm〜10μmの範囲であるのが好ましい。なお、前記略半円凸部(81)とは、図7に示すような断面形状が半円形状であるものを含む他、例えば図8に示すシリンドリカルレンズ(82)のように、円柱体をその中心軸線に平行であって、該中心軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状であってもよいし、或いは断面が半楕円弧状や、該半楕円弧状の一部である扁平湾曲状等の形状であってもよい。
【0071】
また、前記光拡散性樹脂板(6)の非積層面(前記積層面とは反対側の表面)(6b)に形成される凹凸形状としては、上記略半円凸部が反転した略半円凹溝を備えた形状であってもよい。前記略半円凹溝とは、断面形状が半円形状であるものを含む他、例えばシリンドリカルレンズのように、円柱体をその中心軸線に平行であって、該中心軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状であってもよいし、或いは断面が半楕円弧状や、該半楕円弧状の一部である扁平湾曲状等の形状であってもよい。
【0072】
図9に、光拡散性樹脂板(6)の表面(前記粗面とは反対側の表面)(6b)に形成される凹凸形状のさらに他の例を示す。図9では、断面形状が略三角形形状である略三角形凸部(91)を含む凹凸形状が採用されている。前記略三角形凸部(91)の断面形状における左右の斜辺は、いずれも先端側が直線であり、基端側(底辺側)が曲線(中央部で側方に向けて膨らむ曲線)である。即ち、前記略三角形凸部(91)の左右の斜面は、先端側の直線部(92)と、基端側の曲線部(93)とからなる。この図9の例では、隣り合う略三角形凸部(91)が間隔(d3)をあけて非連続状に形成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、隣り合う略三角形凸部(91)が間隔をあけることなく連続状に(即ちd3=0)構成されていてもよい。前記略三角形凸部(91)のピッチ間隔(P3)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記略三角形凸部(91)の高さ(H3)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記隣り合う略三角形凸部(91)の離間間隔(d3)は1μm〜10μmの範囲であるのが好ましい。前記略三角形凸部(91)の頂角(α)は10°〜100°であるのが好ましく、中でも10°〜90°であるのがより好ましい。前記曲線部(93)の曲線は、例えば、円弧状の一部、楕円弧状の一部であってもよい。前記円弧状の一部としては、例えばシリンドリカルレンズのように、円柱体をその中心軸線に平行であって、該中心軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状等が挙げられる。なお、上記実施形態(図9、10)では、前記略三角形凸部(91)としては、先端側の直線部(92)に基端側の曲線部(93)が連接されてなる斜面を備えた構成が採用されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図11に示すように、直線部を有さずに曲線部(93)のみからなる斜面を備えた構成を採用してもよい。
【0073】
本発明に係る光拡散板(1)において、前記光拡散性樹脂板(6)の一方の面の性状と他方の面の性状の組み合わせとしては、例えば次のようなものが挙げられる。
1)一方の面:十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面、他方の面:平坦面
2)一方の面:十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面、他方の面:十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面
3)一方の面:十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面、他方の面:プリズム状等の凹凸形状
4)一方の面:プリズム状等の凹凸形状、他方の面:プリズム状等の凹凸形状
5)一方の面:プリズム状等の凹凸形状、他方の面:平坦面
なお、上記プリズム状等の凹凸形状としては、凹凸形状に対して垂直に表面粗さを測定したとき、十点平均粗さRzが5.0μm以上である凹凸形状面であるのが好ましい。
【0074】
前記凹凸形状の凸部のピッチ間隔(P1)(P2)(P3)は、光拡散板(1)の全体にわたって必ずしも一定である必要はなく、部分的に又は全体にわたって隣り合う凸部(71)(81)(91)間で異なっていてもよい。また、前記凹凸形状の凸部の高さ(H1)(H2)(H3)も、光拡散板(1)の全体にわたって必ずしも一定である必要はなく、部分的に又は全体にわたって隣り合う凸部(71)(81)(91)間で異なっていてもよい。前記凹凸形状の頂角(θ)(α)及び間隔(d1)(d2)(d3)についても同様に、光拡散板(1)の全体にわたって必ずしも一定である必要はなく、部分的に又は全体にわたって隣り合う凸部(71)(81)(91)間で異なっていてもよい。
【0075】
上記光拡散板(1)を用いて構成された液晶表示装置(30)の一実施形態を図3に示す。図3において、(35)は液晶セル、(36)(37)は偏光板、(31)は直下型バックライトである。前記液晶セル(35)の上下両側にそれぞれ偏光板(36)(37)が配置され、これら構成部材(35)(36)(37)によって液晶パネル(透過型画像表示部)(38)が構成されている。
【0076】
前記バックライト(31)は、前記下側の偏光板(37)の下面側(背面側)に配置されている。このバックライト(31)は、平面視矩形状で上面側(前面側)が開放された略箱型形状のランプボックス(34)と、該ランプボックス(34)内に相互に離間して配置された複数の光源(32)と、これら複数の光源(32)の上方側(前面側)に配置された光拡散板(1)と、該光拡散板(1)の上方側(前面側)に空気層(50)を介して配置された光学フィルム(33)とを備えている(図3参照)。前記光拡散板(1)は、前記ランプボックス(34)の上方近傍位置において該ランプボックス(34)との間に通気隙間(40)を形成した状態で配置されている。また、前記ランプボックス(34)の内面には光反射層が設けられている。また、図示しないが、前記ランプボックス(34)内の空気を外に排出するための送風ファンが付設されている。
【0077】
上記構成に係る液晶表示装置(30)では、送風ファンにより送風することによって前記通気隙間(40)を介して前記ランプボックス(34)内部の高温の空気が外に送り出されるので、バックライト(31)内の発熱を効率良く排出することができる。この時、このランプボックス(34)内部の空気が入れ換えられることによって埃等もランプボックス(34)内に入り込むものとなるが、このランプボックス(34)に臨んで配置された前記光拡散板(1)は、その表面(ランプボックス側の表面)に前記特定の界面活性剤を含有するコーティング層(3)が形成されているので、光拡散板(1)の表面(ランプボックス側の表面)は帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止することができ、これにより液晶表示装置(30)は、長期間にわたって高品質で高品位な画像を表示できる。
【0078】
なお、前記光源(32)としては、特に限定されるものではないが、例えば蛍光管、ハロゲンランプ、タングステンランプ、発光ダイオード等が挙げられる。
【0079】
本発明にかかる光拡散板(1)、直下型バックライト(31)及び液晶表示装置(30)は、上記実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【実施例】
【0080】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0081】
<使用材料>
界面活性剤A…花王株式会社製「ラテムルAD−25」(アニオン性界面活性剤、アルキル硫酸アンモニウム、下記式(1)で表される化合物)
C12H25−SO3NH4 …(1)
界面活性剤B…花王株式会社製「エマノーン1112」(非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、下記式(2)で表される化合物)
C11H23COO(CH2CH2O)n−H …(2)
界面活性剤C…三洋化成工業株式会社製「ケミスタット2500」(非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、下記式(3)で表される化合物)
【0082】
【化1】
【0083】
界面活性剤D…株式会社ライオン製「アロモックスDMC−W」(両性界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、下記式(4)で表される化合物)
【0084】
【化2】
【0085】
界面活性剤E…株式会社ライオン製「アロモックスDM14D−N」(両性界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、下記式(5)で表される化合物)
【0086】
【化3】
【0087】
界面活性剤F…株式会社ライオン製「エナジコールCNS」(両性界面活性剤、アルキルベタイン、下記式(6)で表される化合物)
【0088】
【化4】
【0089】
界面活性剤G…株式会社ライオン製「エナジコールC40−H」(両性界面活性剤、アルキルベタイン、下記式(7)で表される化合物)
【0090】
【化5】
【0091】
界面活性剤H…日本純薬株式会社(現:東亞合成株式会社)製「SAT−6C」(カチオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、下記式(8)で表される化合物)
【0092】
【化6】
【0093】
界面活性剤I…株式会社ライオン製「アーカード16−29」(カチオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、下記式(9)で表される化合物)
【0094】
【化7】
【0095】
<実施例1>
プロピレン樹脂(住友化学社製「ノーブレンD101」、プロピレン単位含有率は99質量%以上、エチレン単位含有率は1質量%以下、屈折率:1.49)をスクリュー径40mmの押出機に供給し、210〜260℃で溶融混練し、MMダイを経由してダイ温度245℃〜260℃で押出すことによって、図1に示す単層の光拡散性樹脂板(厚さ1.5mm、幅240mm)(6)を得た。この光拡散性樹脂板をパネルソーを用いて65mm×65mmの大きさに切り出した。
【0096】
なお、前記押出機の構成・条件は下記のとおりである。
押出機:スクリュー径40mm、一軸、ベント付き、田辺プラスチック株式会社製
フィードブロック:田辺プラスチック株式会社製
ダイ:Tダイ、リップ幅250mm、リップ間隔6mm
ロール:ポリシングロール3本、縦型。
【0097】
上記光拡散性樹脂板(65mm×65mm)(6)の両面に、春日電機社製の高周波電源(CT0212型)を備えたコロナ放電処理装置を用いてコロナ放電処理を行うことによって、両面がコロナ放電処理面(6a)である光拡散性樹脂板(6)を得た。このコロナ放電処理のライン速度は10m/分に設定した。また、コロナ放電処理の際の印加電力は、280Wに設定した。
【0098】
次に、前記界面活性剤A(界面活性剤Aを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度が6.0質量%の塗布溶液を得た。この塗布溶液300mLを厚さ5mmのアクリル製容器(長さ100mm×幅30mm×高さ100mm)に満たし、ネジ送り式粗動調整ステージにステージ調整コントローラー(シグマ光機製「Mark−21ED」)を組み合わせて作成したディッピング装置を用いて、前記光拡散性樹脂板(6)の両面(コロナ放電処理面)(6a)に前記塗布溶液を浸漬・引き上げ速度1mm/秒でディッピング塗布した後、室温で乾燥させることによって、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板(6)の両面にアニオン性界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層されている光拡散板を得た。
【0099】
<実施例2>
塗布溶液として、前記界面活性剤B(界面活性剤Bを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を6.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に非イオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0100】
<実施例3>
塗布溶液として、前記界面活性剤C(界面活性剤Cを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に非イオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0101】
<実施例4>
塗布溶液として、前記界面活性剤D(界面活性剤Dを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0102】
<実施例5>
塗布溶液として、前記界面活性剤E(界面活性剤Eを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0103】
<実施例6>
塗布溶液として、前記界面活性剤F(界面活性剤Fを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0104】
<実施例7>
塗布溶液として、前記界面活性剤G(界面活性剤Gを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0105】
<比較例1>
塗布溶液として、前記界面活性剤H(界面活性剤Hを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にカチオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0106】
<比較例2>
塗布溶液として、前記界面活性剤I(界面活性剤Iを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にカチオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
<参考例1>
(光拡散剤マスターバッチ)
ポリスチレン(東洋スチレン社製「HRM40」)84質量部、光拡散剤(ロームアンドハース社製「パラロイドEXL5766」、架橋アクリル系重合体粒子)14質量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製「バイオソーブ520」)1質量部、加工安定剤(住友化学社製「スミライザーGP」)1質量部をドライブレンドした後、スクリュー径65mmの2軸押出機を用いて80℃〜250℃で混練してペレット化して、ペレット状の光拡散剤マスターバッチを得た。
【0111】
(表面層用コンパウンド)
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(新日鐵化学社製「エスチレンMS200NT」)90.9質量部、マット化剤(住友化学社製「XC1A」、架橋アクリル系重合体粒子、平均粒子径25μm)8質量部、紫外線吸収剤(ADEKA社製「アデカスタブLA−31」)1質量部、加工安定剤(住友化学社製「スミライザーGP」)0.1質量部をドライブレンドした後、スクリュー径65mmの2軸押出機を用いて180℃〜250℃で混練してペレット化して、ペレット状の表面層用コンパウンドを得た。
【0112】
次に、前記光拡散剤マスターバッチ4.5質量部及びポリスチレン(東洋スチレン社製「HRM40」)100質量部を、第1押出機の原料ホッパーに投入し、ベント部の真空度を100kPa(ゲージ圧)に保持した状態で200℃〜250℃で溶融混練し、240℃〜250℃に保持したTダイスに供給した。
【0113】
一方、前記表面層用コンパウンドを第2押出機の原料ホッパーに投入し、ベント部の真空度を100kPa(ゲージ圧)に保持した状態で190℃〜250℃で溶融混練し、前記240℃〜250℃に保持したTダイスに供給した。
【0114】
前記第1押出機から供給された樹脂組成物が基層となり、前記第2押出機から供給された樹脂組成物が表面層となるように共押出成形を行い、基層(厚さ1.4mm)の両面にそれぞれ表層(厚さ0.05mm)が積層された3層構造の光拡散性樹脂板(厚さ1.5mm、幅240mm)を得た。この光拡散性樹脂板をパネルソーを用いて65mm×65mmの大きさに切り出した。
【0115】
なお、前記押出機の構成・条件は下記のとおりである。
押出機:スクリュー径40mm、一軸、ベント付き、田辺プラスチック株式会社製
フィードブロック:田辺プラスチック株式会社製
ダイ:Tダイ、リップ幅250mm、リップ間隔6mm
ロール:ポリシングロール3本、縦型。
【0116】
上記光拡散性樹脂板(65mm×65mm)の両面に、春日電機社製の高周波電源(CT0212型)を備えたコロナ放電処理装置を用いてコロナ放電処理を行うことによって、両面がコロナ放電処理面である光拡散性樹脂板を得た。このコロナ放電処理のライン速度は10m/分に設定した。また、コロナ放電処理の際の印加電力は、280Wに設定した。
【0117】
次に、前記界面活性剤A(界面活性剤Aを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度が6.0質量%の塗布溶液を得た。この塗布溶液300mLを厚さ5mmのアクリル製容器(長さ100mm×幅30mm×高さ100mm)に満たし、ネジ送り式粗動調整ステージにステージ調整コントローラー(シグマ光機製「Mark−21ED」)を組み合わせて作成したディッピング装置を用いて、前記光拡散性樹脂板の両面(コロナ放電処理面)に前記塗布溶液を浸漬・引き上げ速度1mm/秒でディッピング塗布した後、室温で乾燥させることによって、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にアニオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0118】
<参考例2>
塗布溶液として、前記界面活性剤B(界面活性剤Bを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を6.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に非イオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0119】
<参考例3>
塗布溶液として、前記界面活性剤C(界面活性剤Cを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に非イオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0120】
<参考例4>
塗布溶液として、前記界面活性剤D(界面活性剤Dを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0121】
<参考例5>
塗布溶液として、前記界面活性剤E(界面活性剤Eを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0122】
<参考例6>
塗布溶液として、前記界面活性剤F(界面活性剤Fを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0123】
<参考例7>
塗布溶液として、前記界面活性剤G(界面活性剤Gを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0124】
<参考例8>
塗布溶液として、前記界面活性剤H(界面活性剤Hを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にカチオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0125】
<参考例9>
塗布溶液として、前記界面活性剤I(界面活性剤Iを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にカチオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0126】
【表4】
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
上記のようにして得られた各光拡散板について下記評価法に従い評価を行った。これら評価結果を表1〜6に示す。
【0130】
<表面抵抗率測定法(帯電防止性能の評価)>
JIS K6911−1995の(5.13)項に準拠して、抵抗率計(三菱化学株式会社製「Hiresta−UP MCP−HT450」)を用いて、印加電圧500V、測定時間10秒の条件で、光拡散板の初期の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。なお、測定前には測定試料を状態調整のため23℃×湿度50%RHの条件下で6時間放置した。
【0131】
<冷熱耐久性評価法(ΔYIの測定)>
得られた光拡散板の黄色度YIを下記測定法により測定し、これを「初期YI」とし、光拡散板に下記冷熱試験を行った後この試験後の光拡散板の黄色度YIを下記測定法により測定し、これを「試験後YI」とし、
ΔYI=(試験後YI)−(初期YI)
上記算出式により変化量ΔYIを求めた。
【0132】
(冷熱試験)
冷熱試験槽(espec株式会社製「TSA−101−L」、内容量101リットル)の槽内に光拡散板を配置する。次に、前記冷熱試験槽内において奥側から手前側に向けて−35℃の冷風を風量50m3/秒で30分間送風循環せしめた後、85℃の温風を槽内の上部から下部に向けて風量50m3/秒で30分間送風循環せしめた。この合計1時間の冷熱負荷を1サイクルとして、80サイクル繰り返す冷熱試験を行う。
【0133】
(黄色度YI測定法)
積分球を備えた自記分光光度計(日立製作所製「UV−4000」)を用いて光拡散板の380nm〜780nmの波長範囲の分光透過率を測定し、これに基づいて黄色度YIを算出した。
【0134】
表1、2から明らかなように、本発明の実施例1〜7の光拡散板は、表面抵抗率が小さくて帯電防止性能に優れていると共に、冷温条件、高温条件下で使用しても黄変等の変色が抑制されていた。
【0135】
これに対し、本発明の範囲を逸脱する比較例1、2の光拡散板は、十分な帯電防止性能が得られるものの、冷熱試験により黄変を生じた(表3参照)。
【0136】
なお、表4〜6(参考例1〜9)及び図13から明らかなように、光拡散性樹脂板を構成する樹脂がスチレン樹脂である場合には、該光拡散性樹脂板の表面に、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれの界面活性剤を塗布してコーティング層を形成した場合であっても、冷温条件、高温条件下で使用しても黄変等の変色を生じない。
【0137】
これに対し、表1〜3(実施例1〜7、比較例1、2)及び図12から明らかなように、光拡散性樹脂板を構成する樹脂がプロピレン樹脂である場合には、コーティング層を形成する界面活性剤の種類によって高温条件下で黄変等の変色を生じる場合があるという(スチレン樹脂系では発生しない)特異的な現象を生じる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の光拡散板は、直下型バックライト用として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。また、本発明の直下型バックライトは、液晶表示装置用として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0139】
1…光拡散板
3…コーティング層
6…光拡散性樹脂板
6a…積層面
6b…非積層面
30…液晶表示装置
31…直下型バックライト
32…光源
38…液晶パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できて直下型バックライト用として好適な光拡散板に関する。
【0002】
なお、この明細書において、「十点平均粗さRz」及び「Rz」の語は、いずれも、JIS B0601−1994に準拠して測定長2.5mmで測定された十点平均粗さRzを意味する。
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置としては、液晶パネル(画像表示部)の背面側に直下型バックライトが配置された構成のものが公知である。前記直下型バックライトとしては、光反射板の前に複数の光源が配置されると共に、これら光源の前面側に光拡散板が配置された構成のものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
近年、液晶表示装置、中でも特に液晶テレビの大型化が急速に進められているが、画面を大型化して十分な輝度を確保するために光源数を多くすると、光源の発熱量が大きく増大してしまう。そこで、画面の大型化に際しては内部で発生した発熱をより効率良く排出することが求められる。
【0005】
直下型バックライト装置には、排熱のためにファンが設置されることが多い。排熱ファンにより送風して直下型バックライト装置内部の空気の入れ換えを行うことによって、冷却を行っている。しかしながら、そのように送風を行うと、光拡散板の表面に埃等が付着しやすいという問題があった。光拡散板の表面に埃等が付着すると、画像が乱れたり、画像のシャープさや輝度が低下したりすることが懸念される。
【0006】
このような埃付着の防止のために、光拡散板としては優れた帯電防止性能を備えていることが求められている。
【0007】
そこで、光拡散板に帯電防止性能を具備させるべく、合成樹脂製の光拡散板の表面に帯電防止剤水溶液を塗布することによって、表面に帯電防止コーティング層を形成せしめることが提案されている(特許文献2〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−170937号公報
【特許文献2】特開2006−330546号公報
【特許文献3】特開2007−178544号公報
【特許文献4】特開2008−19411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液晶テレビ等に用いられる直下型バックライト装置は、光源の点灯によりバックライト内部の温度が80℃以上まで上昇する。
【0010】
上記帯電防止剤水溶液を一般的なスチレン樹脂製の光拡散性樹脂板に塗布して表面に帯電防止コーティング層を形成した構成の光拡散板は、上記のような高温条件下でも黄変することはなかった。
【0011】
本発明者らは、軽量で、十分な強度を有し、熱や湿気により変形することがないという利点があることから、光拡散性樹脂板を構成する樹脂としてプロピレン樹脂を用いることを着想した。
【0012】
このような着想に基づいて、プロピレン樹脂製の光拡散性樹脂板に界面活性剤を含有する帯電防止コーティング層を形成することを鋭意検討した結果、光拡散性樹脂板を構成する樹脂がプロピレン樹脂である場合には、コーティング層を形成する界面活性剤の種類により、高温条件下での使用における黄変等の変色の発生に影響を及ぼす場合があることを本発明者は見出した。
【0013】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる光拡散板を提供することを目的とする。また、光拡散板の表面に埃等が付着し難い上に高温条件下での使用においても光拡散板の変色を防止し得て良好な画像を表示できる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究した結果、光拡散性樹脂板を構成する樹脂としてプロピレン樹脂を用いた場合であっても、該光拡散性樹脂板の表面に特定の界面活性剤を含有するコーティング層を積層する構成とすれば、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できることを見出すに至り、本発明を完成した。即ち、本発明は以下の手段を提供する。
【0015】
[1]プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板。
【0016】
[2]前記コーティング層は、アミンオキサイド系両性界面活性剤及びベタイン系両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を含有する前項1に記載の光拡散板。
【0017】
[3]前記アミンオキサイド系両性界面活性剤が、アルキルアミンオキサイドである前項2に記載の光拡散板。
【0018】
[4]前記ベタイン系両性界面活性剤が、アルキルベタインである前項2または3に記載の光拡散板。
【0019】
[5]前記コーティング層は、高級アルコール系アニオン性界面活性剤を含有する前項1に記載の光拡散板。
【0020】
[6]前記高級アルコール系アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩である前項5に記載の光拡散板。
【0021】
[7]前記コーティング層は、脂肪酸系非イオン性界面活性剤を含有する前項1に記載の光拡散板。
【0022】
[8]前記脂肪酸系非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である前項7に記載の光拡散板。
【0023】
[9]前記光拡散性樹脂板の少なくとも片面にコロナ放電処理が施され、該コロナ放電処理面に前記コーティング層が積層されている前項1〜8のいずれか1項に記載の光拡散板。
【0024】
[10]前記光拡散性樹脂板の少なくとも片面が、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面に形成され、該粗面に前記コーティング層が積層されている前項1〜9のいずれか1項に記載の光拡散板。
【0025】
[11]前記コーティング層は、前記界面活性剤を含有する溶液を前記光拡散性樹脂板に塗布して乾燥せしめることによって形成されたものである前項1〜10のいずれか1項に記載の光拡散板。
【0026】
[12]直下型バックライト用として用いられる前項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板。
【0027】
[13]前項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源とを備える直下型バックライト。
【0028】
[14]前項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源と、前記光拡散板の前面側に配置された液晶パネルとを備える液晶表示装置。
【発明の効果】
【0029】
[1]の発明では、光拡散性樹脂板がプロピレン樹脂を含有するから、軽量で、十分な機械的強度を有し、湿気により光拡散板が変形することがない。また、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層が積層されているから、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる。
【0030】
なお、光拡散性樹脂板を構成する樹脂がスチレン樹脂である場合には、該光拡散性樹脂板の表面に、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれの界面活性剤を塗布してコーティング層を形成した場合でも、高温条件下での使用において黄変等の変色は特に生じない(後述する参考例1〜9参照)。
【0031】
プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の表面にカチオン系界面活性剤を塗布してコーティング層を形成した場合には、高温条件下では黄変する(後述する比較例1、2参照)のに対し、本願発明では、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の少なくとも片面に前記特定の界面活性剤を含有するコーティング層が積層されているから、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる(後述する実施例1〜7参照)。
【0032】
[2]の発明では、コーティング層は、アミンオキサイド系両性界面活性剤及びベタイン系両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を含有するから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより防止できる。
【0033】
[3]の発明では、上記アミンオキサイド系両性界面活性剤が、アルキルアミンオキサイドであるから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより一層防止できる。
【0034】
[4]の発明では、上記ベタイン系両性界面活性剤が、アルキルベタインであるから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより一層防止できる。
【0035】
[5]の発明では、コーティング層は、高級アルコール系アニオン性界面活性剤を含有するから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより防止できる。
【0036】
[6]の発明では、上記高級アルコール系アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩であるから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより一層防止できる。
【0037】
[7]の発明では、コーティング層は、脂肪酸系非イオン性界面活性剤を含有するから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより防止できる。
【0038】
[8]の発明では、上記脂肪酸系非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤であるから、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより一層防止できる。
【0039】
[9]の発明では、光拡散性樹脂板の少なくとも片面にコロナ放電処理が施されているので、該コロナ放電処理面に界面活性剤を含有する溶液を塗布すれば、より均一に塗布することができ(即ち界面活性剤の塗布の濃淡ムラが抑制され)、従ってより均一な帯電防止コーティング層が形成されるので、全面にわたって埃等の付着を防止できる光拡散板が提供される。
【0040】
[10]の発明では、光拡散性樹脂板の少なくとも片面が、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面に形成されているから、該粗面に界面活性剤を含有する溶液を塗布すれば、より均一に塗布することができ(即ち界面活性剤の塗布の濃淡ムラが抑制され)、従ってより均一な帯電防止コーティング層が形成されるので、全面にわたって埃等の付着を防止できる光拡散板が提供される。
【0041】
[11]の発明では、コーティング層は、界面活性剤を含有する溶液を光拡散性樹脂板に塗布して乾燥せしめることによって形成されているから、より優れた帯電防止性能を有する光拡散板が提供される。
【0042】
[12]の発明では、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる直下型バックライト用光拡散板が提供される。
【0043】
[13]の発明では、直下型バックライトを構成する光拡散板が、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できるものであるから、長期間にわたって高輝度で自然なバックライト光を確保することができる。
【0044】
[14]の発明では、液晶表示装置を構成する光拡散板が、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できるものであるから、長期間にわたって高品質で高品位な画像(即ち画像に乱れが生じにくく、かつシャープで高輝度な画像)を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る光拡散板を構成する光拡散性樹脂板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る光拡散板の一実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係る液晶表示装置の一実施形態を示す模式的断面図である。
【図4】本発明に係る光拡散板の他の実施形態を示す断面図である。
【図5】光拡散性樹脂板の表面に粗面を形成するのに用いる製造設備の概略側面図である。
【図6】光拡散板の表面に形成される凹凸形状の一例を示す断面図である。
【図7】光拡散板の表面に形成される凹凸形状の他の例を示す断面図である。
【図8】略半円凸部の他の例を示す斜視図である。
【図9】光拡散板の表面に形成される凹凸形状のさらに他の例を示す断面図である。
【図10】図9の略三角形凸部を示す斜視図である。
【図11】略三角形凸部の他の例を示す斜視図である。
【図12】実施例1〜7、比較例1、2の光拡散板の評価結果であるΔYIを棒グラフで示したものである。
【図13】参考例1〜9の光拡散板の評価結果であるΔYIを棒グラフで示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明に係る光拡散板(1)の一実施形態を図2に示す。この光拡散板(1)は、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板(6)の片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層されている。なお、前記光拡散板(1)は、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板(6)の両面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層された構成であってもよい(図4参照)。
【0047】
本実施形態では、前記光拡散性樹脂板(6)の片面が、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面(6a)に形成され、該粗面(6a)に、前記界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層されている。
【0048】
また、本実施形態では、前記コーティング層(3)は、前記界面活性剤を含有する溶液を前記光拡散性樹脂板(6)の粗面(積層面)(6a)に塗布して乾燥せしめることによって形成されたものである。
【0049】
また、本実施形態では、前記光拡散性樹脂板(6)として、プロピレン樹脂を含有する単層板が用いられている(図1参照)。前記光拡散性樹脂板(6)は、例えばプロピレン樹脂を含有する基層(21)の両面にプロピレン樹脂を含有する表層(22)(22)が積層されてなる積層板であってもよい(図4参照)。
【0050】
本発明に係る光拡散板(1)の厚さは、通常、0.1mm〜3mm、好ましくは0.8mm〜3mmである。
【0051】
上記構成の光拡散板(1)によれば、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板(6)の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層されているから、帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止できる。
【0052】
前記コーティング層(3)は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する。中でも、前記コーティング層(3)を構成する界面活性剤としては両性界面活性剤を用いるのが、高温条件下での使用においても黄変等の変色をより防止できる点で、好ましい。
【0053】
前記アニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば
a)高級脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩などの脂肪酸系アニオン性界面活性剤
b)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などの直鎖アルキルベンゼン系アニオン性界面活性剤
c)アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、(モノ)アルキルリン酸エステル塩などの高級アルコール系アニオン性界面活性剤
d)α−オレフィンスルホン酸塩などのα−オレフィン系アニオン性界面活性剤
e)アルカンスルホン酸塩などのノルマルパラフィン系アニオン性界面活性剤
等が挙げられる。これらの中では、高級アルコール系アニオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、アルキル硫酸エステル塩を用いるのが特に好ましい。
【0054】
前記非イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば
f)しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどの脂肪酸系非イオン性界面活性剤
g)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシドなどの高級アルコール系非イオン性界面活性剤
h)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール系非イオン性界面活性剤
等が挙げられる。これらの中では、脂肪酸系非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を用いるのが特に好ましい。
【0055】
前記両性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば
i)アルキルアミノ脂肪酸塩などのアミノ酸系両性界面活性剤
j)アルキルベタインなどのベタイン系両性界面活性剤
k)アルキルアミンオキサイドなどのアミンオキサイド系両性界面活性剤
等が挙げられる。これらの中では、アミンオキサイド系両性界面活性剤及びベタイン系両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を用いるのが好ましい。前記アミンオキサイド系両性界面活性剤としてはアルキルアミンオキサイドを用いるのが好ましい。前記ベタイン系両性界面活性剤としてはアルキルベタインを用いるのが好ましい。
【0056】
本発明において、前記光拡散性樹脂板(6)における前記コーティング層(3)が積層される面(片面又は両面)(6a)は、コロナ放電処理が施されているのが好ましい。該コロナ放電処理面(6a)に前記界面活性剤を含有する溶液を塗布した際に、界面活性剤の塗布の濃淡ムラが生じにくく、より均一に塗布することができる。
【0057】
また、前記光拡散性樹脂板(6)における前記コーティング層(3)が積層される面(片面又は両面)(6a)は、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面に形成されているのが好ましい。Rzが5.0μm以上の粗い粗面であれば、該粗面(6a)に界面活性剤を含有する溶液を塗布した際に、界面活性剤の塗布の濃淡ムラが生じにくく、より均一に塗布することができる。中でも、前記粗面(6a)の十点平均粗さRzは33.0μm以上に設定されるのが好ましい。また、通常は、前記粗面(6a)の十点平均粗さRzは100μm以下に設定される。
【0058】
なお、上記性状の粗面(6a)は、例えば、外周面の十点平均粗さRzが5.0μm以上である表面マット形状ロール(41)を用いて形成することができる。一例を挙げると、押出機(44)からプロピレン樹脂を板状に押出した後、図5に示すように配置された表面マット形状の第1ロール(41)と第2平滑ロール(42)の間、第2平滑ロール(42)と第3平滑ロール(43)の間を順に通過せしめることによって、光拡散性樹脂板(6)の表面に十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面(6a)を形成することができる。
【0059】
前記光拡散性樹脂板(6)を構成するプロピレン樹脂としては、プロピレンを単独で重合させて得られるホモポリプロピレンであってもよいし、プロピレン及びこれと共重合し得る共重合成分の共重合体であってもよい。中でも、前記プロピレン樹脂としては、プロピレン単位を50質量%以上含有する重合体であるのが好ましい。さらに、十分な剛性が得られる点で、前記プロピレン樹脂中のプロピレン単位の含有量は98質量%以上であるのが特に好ましい。前記共重合成分としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン、1−ブテン等のα−オレフィンなどが挙げられる。
【0060】
前記光拡散性樹脂板(6)は、光拡散機能を有する樹脂板であり、例えば、光拡散剤を含有させることによって、光拡散機能が付与されるが、特にこのような手法で光拡散機能が付与されるものに限定されるものではない。なお、プロピレン樹脂は結晶性樹脂であり、結晶部と非晶部が存在しているために、若干白曇状に見え、光拡散剤を添加していなくても若干の光拡散性能を得ることができる。即ち、光拡散剤は含有していてもよいし、非含有であってもよい。
【0061】
前記光拡散剤としては、前記光拡散性樹脂板(6)を構成するプロピレン樹脂に対して非相溶性で、該プロピレン樹脂とは異なる屈折率を示し、光拡散板を透過する透過光を拡散させる機能を有する粒子(粉末を含む)であれば特に限定されない。例えば、ガラス粒子、ガラス繊維、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子、タルク等の無機粒子であってもよいし、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等の有機粒子であってもよい。
【0062】
前記光拡散剤としては、通常、その体積平均粒子径が0.5μm〜40μmの範囲にあるものが用いられる。なお、体積平均粒子径(D50)は、全粒子の粒子径及び体積を測定し、小さい粒子径のものから順次体積を積算し、該積算体積が全粒子の合計体積に対して50%となる粒子の粒子径である。
【0063】
前記プロピレン樹脂に光拡散剤を分散せしめる比率は、前記プロピレン樹脂100質量部に対して光拡散剤0.1質量部〜20質量部の範囲とするのが好ましい。0.1質量部以上であることで十分な光拡散性能を確保できると共に、20質量部以下であることで板自体の耐衝撃性の低下を防止できる。
【0064】
前記コーティング層(3)を形成するための、界面活性剤含有溶液としては、特に限定されるものではないが、例えば界面活性剤含有水溶液、界面活性剤含有有機溶液等が挙げられる。前記有機溶液に用いられる有機溶媒としては、例えばエチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。中でも、界面活性剤含有水溶液を塗布して前記コーティング層(3)を形成するのが、作業衛生面や環境保全の観点から、好ましい。
【0065】
前記コーティング層(3)の形成方法としては、特に限定されないものの、前記界面活性剤含有溶液を塗布することによって形成されるのが好ましい。前記塗布方法としては、特に限定されないが、例えばロールコーター法、リップコート法、ナイフコーター法等が挙げられる。
【0066】
前記界面活性剤含有溶液における界面活性剤の濃度は、0.01質量%〜10質量%に設定されるのが好ましい。また、前記コーティング層(3)における界面活性剤の付着量(片面での固形分付着量)は0.001g/m2〜0.5g/m2に設定されるのが好ましく、0.005g/m2〜0.2g/m2に設定されるのが特に好ましい。
【0067】
なお、上記実施形態では、光拡散板(1)は、光拡散性樹脂板(6)の片面のみが十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面(6a)に形成され、該粗面(6a)に界面活性剤を含有するコーティング層(3)が設けられた構成が採用されている(図2参照)が、光拡散性樹脂板(6)の両面が十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面(6a)(6a)に形成され、各粗面(6a)(6a)にそれぞれ界面活性剤を含有するコーティング層(3)(3)が積層された構成を採用してもよい(図4参照)。
【0068】
本発明に係る光拡散板(1)は、光拡散性樹脂板の片面の十点平均粗さRzが5.0μm以上であるのが好ましく(さらに好ましくは10.0μm以上であり、特に好ましくは25μm以上である)、この場合には、その反対側の表面が、図2に示すような平坦面であってもよいし、プリズム状等の凹凸形状が形成されていてもよい。
【0069】
図6に、光拡散性樹脂板(6)の非積層面(前記積層面とは反対側の表面)(6b)に形成される凹凸形状の一例を示す。図6では、断面形状が三角形凸部(V字溝)の凹凸形状が採用されている。この図6の例では、隣り合う三角形凸部(71)が間隔をあけることなく連続状に形成されている(換言すれば、隣り合うV字溝(72)が連続状に形成されている)が、特にこのような構成に限定されるものではなく、隣り合う三角形凸部が間隔(d1)をあけた非連続状に構成されていてもよい。前記三角形凸部(71)のピッチ間隔(P1)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記三角形凸部(71)の高さ(H1)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。前記隣り合う三角形凸部(71)の離間間隔(d1:図示せず)は1μm〜10μmの範囲であるのが好ましい。また、前記三角形凸部(71)の頂部の頂角(θ)は10°〜100°であるのが好ましく、中でも10°〜90°であるのがより好ましい。
【0070】
図7に、光拡散性樹脂板(6)の非積層面(前記積層面とは反対側の表面)(6b)に形成される凹凸形状の他の例を示す。図7では、断面形状が略半円形状である略半円凸部(81)を含む凹凸形状が採用されている。この図7の例では、隣り合う略半円凸部(81)が間隔(d2)をあけて非連続状に形成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、隣り合う略半円凸部(81)が間隔をあけることなく連続状に(即ちd2=0)構成されていてもよい。前記略半円凸部(81)のピッチ間隔(P2)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記略半円凸部(81)の高さ(H2)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記隣り合う略半円凸部(81)の離間間隔(d2)は1μm〜10μmの範囲であるのが好ましい。なお、前記略半円凸部(81)とは、図7に示すような断面形状が半円形状であるものを含む他、例えば図8に示すシリンドリカルレンズ(82)のように、円柱体をその中心軸線に平行であって、該中心軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状であってもよいし、或いは断面が半楕円弧状や、該半楕円弧状の一部である扁平湾曲状等の形状であってもよい。
【0071】
また、前記光拡散性樹脂板(6)の非積層面(前記積層面とは反対側の表面)(6b)に形成される凹凸形状としては、上記略半円凸部が反転した略半円凹溝を備えた形状であってもよい。前記略半円凹溝とは、断面形状が半円形状であるものを含む他、例えばシリンドリカルレンズのように、円柱体をその中心軸線に平行であって、該中心軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状であってもよいし、或いは断面が半楕円弧状や、該半楕円弧状の一部である扁平湾曲状等の形状であってもよい。
【0072】
図9に、光拡散性樹脂板(6)の表面(前記粗面とは反対側の表面)(6b)に形成される凹凸形状のさらに他の例を示す。図9では、断面形状が略三角形形状である略三角形凸部(91)を含む凹凸形状が採用されている。前記略三角形凸部(91)の断面形状における左右の斜辺は、いずれも先端側が直線であり、基端側(底辺側)が曲線(中央部で側方に向けて膨らむ曲線)である。即ち、前記略三角形凸部(91)の左右の斜面は、先端側の直線部(92)と、基端側の曲線部(93)とからなる。この図9の例では、隣り合う略三角形凸部(91)が間隔(d3)をあけて非連続状に形成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、隣り合う略三角形凸部(91)が間隔をあけることなく連続状に(即ちd3=0)構成されていてもよい。前記略三角形凸部(91)のピッチ間隔(P3)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記略三角形凸部(91)の高さ(H3)は30μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。また、前記隣り合う略三角形凸部(91)の離間間隔(d3)は1μm〜10μmの範囲であるのが好ましい。前記略三角形凸部(91)の頂角(α)は10°〜100°であるのが好ましく、中でも10°〜90°であるのがより好ましい。前記曲線部(93)の曲線は、例えば、円弧状の一部、楕円弧状の一部であってもよい。前記円弧状の一部としては、例えばシリンドリカルレンズのように、円柱体をその中心軸線に平行であって、該中心軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状等が挙げられる。なお、上記実施形態(図9、10)では、前記略三角形凸部(91)としては、先端側の直線部(92)に基端側の曲線部(93)が連接されてなる斜面を備えた構成が採用されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図11に示すように、直線部を有さずに曲線部(93)のみからなる斜面を備えた構成を採用してもよい。
【0073】
本発明に係る光拡散板(1)において、前記光拡散性樹脂板(6)の一方の面の性状と他方の面の性状の組み合わせとしては、例えば次のようなものが挙げられる。
1)一方の面:十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面、他方の面:平坦面
2)一方の面:十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面、他方の面:十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面
3)一方の面:十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面、他方の面:プリズム状等の凹凸形状
4)一方の面:プリズム状等の凹凸形状、他方の面:プリズム状等の凹凸形状
5)一方の面:プリズム状等の凹凸形状、他方の面:平坦面
なお、上記プリズム状等の凹凸形状としては、凹凸形状に対して垂直に表面粗さを測定したとき、十点平均粗さRzが5.0μm以上である凹凸形状面であるのが好ましい。
【0074】
前記凹凸形状の凸部のピッチ間隔(P1)(P2)(P3)は、光拡散板(1)の全体にわたって必ずしも一定である必要はなく、部分的に又は全体にわたって隣り合う凸部(71)(81)(91)間で異なっていてもよい。また、前記凹凸形状の凸部の高さ(H1)(H2)(H3)も、光拡散板(1)の全体にわたって必ずしも一定である必要はなく、部分的に又は全体にわたって隣り合う凸部(71)(81)(91)間で異なっていてもよい。前記凹凸形状の頂角(θ)(α)及び間隔(d1)(d2)(d3)についても同様に、光拡散板(1)の全体にわたって必ずしも一定である必要はなく、部分的に又は全体にわたって隣り合う凸部(71)(81)(91)間で異なっていてもよい。
【0075】
上記光拡散板(1)を用いて構成された液晶表示装置(30)の一実施形態を図3に示す。図3において、(35)は液晶セル、(36)(37)は偏光板、(31)は直下型バックライトである。前記液晶セル(35)の上下両側にそれぞれ偏光板(36)(37)が配置され、これら構成部材(35)(36)(37)によって液晶パネル(透過型画像表示部)(38)が構成されている。
【0076】
前記バックライト(31)は、前記下側の偏光板(37)の下面側(背面側)に配置されている。このバックライト(31)は、平面視矩形状で上面側(前面側)が開放された略箱型形状のランプボックス(34)と、該ランプボックス(34)内に相互に離間して配置された複数の光源(32)と、これら複数の光源(32)の上方側(前面側)に配置された光拡散板(1)と、該光拡散板(1)の上方側(前面側)に空気層(50)を介して配置された光学フィルム(33)とを備えている(図3参照)。前記光拡散板(1)は、前記ランプボックス(34)の上方近傍位置において該ランプボックス(34)との間に通気隙間(40)を形成した状態で配置されている。また、前記ランプボックス(34)の内面には光反射層が設けられている。また、図示しないが、前記ランプボックス(34)内の空気を外に排出するための送風ファンが付設されている。
【0077】
上記構成に係る液晶表示装置(30)では、送風ファンにより送風することによって前記通気隙間(40)を介して前記ランプボックス(34)内部の高温の空気が外に送り出されるので、バックライト(31)内の発熱を効率良く排出することができる。この時、このランプボックス(34)内部の空気が入れ換えられることによって埃等もランプボックス(34)内に入り込むものとなるが、このランプボックス(34)に臨んで配置された前記光拡散板(1)は、その表面(ランプボックス側の表面)に前記特定の界面活性剤を含有するコーティング層(3)が形成されているので、光拡散板(1)の表面(ランプボックス側の表面)は帯電防止性能に優れていて埃等の付着を防止できると共に、高温条件下での使用においても黄変等の変色を防止することができ、これにより液晶表示装置(30)は、長期間にわたって高品質で高品位な画像を表示できる。
【0078】
なお、前記光源(32)としては、特に限定されるものではないが、例えば蛍光管、ハロゲンランプ、タングステンランプ、発光ダイオード等が挙げられる。
【0079】
本発明にかかる光拡散板(1)、直下型バックライト(31)及び液晶表示装置(30)は、上記実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【実施例】
【0080】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0081】
<使用材料>
界面活性剤A…花王株式会社製「ラテムルAD−25」(アニオン性界面活性剤、アルキル硫酸アンモニウム、下記式(1)で表される化合物)
C12H25−SO3NH4 …(1)
界面活性剤B…花王株式会社製「エマノーン1112」(非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、下記式(2)で表される化合物)
C11H23COO(CH2CH2O)n−H …(2)
界面活性剤C…三洋化成工業株式会社製「ケミスタット2500」(非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、下記式(3)で表される化合物)
【0082】
【化1】
【0083】
界面活性剤D…株式会社ライオン製「アロモックスDMC−W」(両性界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、下記式(4)で表される化合物)
【0084】
【化2】
【0085】
界面活性剤E…株式会社ライオン製「アロモックスDM14D−N」(両性界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、下記式(5)で表される化合物)
【0086】
【化3】
【0087】
界面活性剤F…株式会社ライオン製「エナジコールCNS」(両性界面活性剤、アルキルベタイン、下記式(6)で表される化合物)
【0088】
【化4】
【0089】
界面活性剤G…株式会社ライオン製「エナジコールC40−H」(両性界面活性剤、アルキルベタイン、下記式(7)で表される化合物)
【0090】
【化5】
【0091】
界面活性剤H…日本純薬株式会社(現:東亞合成株式会社)製「SAT−6C」(カチオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、下記式(8)で表される化合物)
【0092】
【化6】
【0093】
界面活性剤I…株式会社ライオン製「アーカード16−29」(カチオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、下記式(9)で表される化合物)
【0094】
【化7】
【0095】
<実施例1>
プロピレン樹脂(住友化学社製「ノーブレンD101」、プロピレン単位含有率は99質量%以上、エチレン単位含有率は1質量%以下、屈折率:1.49)をスクリュー径40mmの押出機に供給し、210〜260℃で溶融混練し、MMダイを経由してダイ温度245℃〜260℃で押出すことによって、図1に示す単層の光拡散性樹脂板(厚さ1.5mm、幅240mm)(6)を得た。この光拡散性樹脂板をパネルソーを用いて65mm×65mmの大きさに切り出した。
【0096】
なお、前記押出機の構成・条件は下記のとおりである。
押出機:スクリュー径40mm、一軸、ベント付き、田辺プラスチック株式会社製
フィードブロック:田辺プラスチック株式会社製
ダイ:Tダイ、リップ幅250mm、リップ間隔6mm
ロール:ポリシングロール3本、縦型。
【0097】
上記光拡散性樹脂板(65mm×65mm)(6)の両面に、春日電機社製の高周波電源(CT0212型)を備えたコロナ放電処理装置を用いてコロナ放電処理を行うことによって、両面がコロナ放電処理面(6a)である光拡散性樹脂板(6)を得た。このコロナ放電処理のライン速度は10m/分に設定した。また、コロナ放電処理の際の印加電力は、280Wに設定した。
【0098】
次に、前記界面活性剤A(界面活性剤Aを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度が6.0質量%の塗布溶液を得た。この塗布溶液300mLを厚さ5mmのアクリル製容器(長さ100mm×幅30mm×高さ100mm)に満たし、ネジ送り式粗動調整ステージにステージ調整コントローラー(シグマ光機製「Mark−21ED」)を組み合わせて作成したディッピング装置を用いて、前記光拡散性樹脂板(6)の両面(コロナ放電処理面)(6a)に前記塗布溶液を浸漬・引き上げ速度1mm/秒でディッピング塗布した後、室温で乾燥させることによって、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板(6)の両面にアニオン性界面活性剤を含有するコーティング層(3)が積層されている光拡散板を得た。
【0099】
<実施例2>
塗布溶液として、前記界面活性剤B(界面活性剤Bを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を6.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に非イオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0100】
<実施例3>
塗布溶液として、前記界面活性剤C(界面活性剤Cを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に非イオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0101】
<実施例4>
塗布溶液として、前記界面活性剤D(界面活性剤Dを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0102】
<実施例5>
塗布溶液として、前記界面活性剤E(界面活性剤Eを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0103】
<実施例6>
塗布溶液として、前記界面活性剤F(界面活性剤Fを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0104】
<実施例7>
塗布溶液として、前記界面活性剤G(界面活性剤Gを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0105】
<比較例1>
塗布溶液として、前記界面活性剤H(界面活性剤Hを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にカチオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0106】
<比較例2>
塗布溶液として、前記界面活性剤I(界面活性剤Iを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にカチオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
<参考例1>
(光拡散剤マスターバッチ)
ポリスチレン(東洋スチレン社製「HRM40」)84質量部、光拡散剤(ロームアンドハース社製「パラロイドEXL5766」、架橋アクリル系重合体粒子)14質量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製「バイオソーブ520」)1質量部、加工安定剤(住友化学社製「スミライザーGP」)1質量部をドライブレンドした後、スクリュー径65mmの2軸押出機を用いて80℃〜250℃で混練してペレット化して、ペレット状の光拡散剤マスターバッチを得た。
【0111】
(表面層用コンパウンド)
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(新日鐵化学社製「エスチレンMS200NT」)90.9質量部、マット化剤(住友化学社製「XC1A」、架橋アクリル系重合体粒子、平均粒子径25μm)8質量部、紫外線吸収剤(ADEKA社製「アデカスタブLA−31」)1質量部、加工安定剤(住友化学社製「スミライザーGP」)0.1質量部をドライブレンドした後、スクリュー径65mmの2軸押出機を用いて180℃〜250℃で混練してペレット化して、ペレット状の表面層用コンパウンドを得た。
【0112】
次に、前記光拡散剤マスターバッチ4.5質量部及びポリスチレン(東洋スチレン社製「HRM40」)100質量部を、第1押出機の原料ホッパーに投入し、ベント部の真空度を100kPa(ゲージ圧)に保持した状態で200℃〜250℃で溶融混練し、240℃〜250℃に保持したTダイスに供給した。
【0113】
一方、前記表面層用コンパウンドを第2押出機の原料ホッパーに投入し、ベント部の真空度を100kPa(ゲージ圧)に保持した状態で190℃〜250℃で溶融混練し、前記240℃〜250℃に保持したTダイスに供給した。
【0114】
前記第1押出機から供給された樹脂組成物が基層となり、前記第2押出機から供給された樹脂組成物が表面層となるように共押出成形を行い、基層(厚さ1.4mm)の両面にそれぞれ表層(厚さ0.05mm)が積層された3層構造の光拡散性樹脂板(厚さ1.5mm、幅240mm)を得た。この光拡散性樹脂板をパネルソーを用いて65mm×65mmの大きさに切り出した。
【0115】
なお、前記押出機の構成・条件は下記のとおりである。
押出機:スクリュー径40mm、一軸、ベント付き、田辺プラスチック株式会社製
フィードブロック:田辺プラスチック株式会社製
ダイ:Tダイ、リップ幅250mm、リップ間隔6mm
ロール:ポリシングロール3本、縦型。
【0116】
上記光拡散性樹脂板(65mm×65mm)の両面に、春日電機社製の高周波電源(CT0212型)を備えたコロナ放電処理装置を用いてコロナ放電処理を行うことによって、両面がコロナ放電処理面である光拡散性樹脂板を得た。このコロナ放電処理のライン速度は10m/分に設定した。また、コロナ放電処理の際の印加電力は、280Wに設定した。
【0117】
次に、前記界面活性剤A(界面活性剤Aを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度が6.0質量%の塗布溶液を得た。この塗布溶液300mLを厚さ5mmのアクリル製容器(長さ100mm×幅30mm×高さ100mm)に満たし、ネジ送り式粗動調整ステージにステージ調整コントローラー(シグマ光機製「Mark−21ED」)を組み合わせて作成したディッピング装置を用いて、前記光拡散性樹脂板の両面(コロナ放電処理面)に前記塗布溶液を浸漬・引き上げ速度1mm/秒でディッピング塗布した後、室温で乾燥させることによって、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にアニオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0118】
<参考例2>
塗布溶液として、前記界面活性剤B(界面活性剤Bを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を6.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に非イオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0119】
<参考例3>
塗布溶液として、前記界面活性剤C(界面活性剤Cを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に非イオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0120】
<参考例4>
塗布溶液として、前記界面活性剤D(界面活性剤Dを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0121】
<参考例5>
塗布溶液として、前記界面活性剤E(界面活性剤Eを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0122】
<参考例6>
塗布溶液として、前記界面活性剤F(界面活性剤Fを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0123】
<参考例7>
塗布溶液として、前記界面活性剤G(界面活性剤Gを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面に両性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0124】
<参考例8>
塗布溶液として、前記界面活性剤H(界面活性剤Hを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にカチオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0125】
<参考例9>
塗布溶液として、前記界面活性剤I(界面活性剤Iを含有する水溶液)に純水を加えて有効成分濃度を1.0質量%とした水溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして、スチレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の両面にカチオン性界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板を得た。
【0126】
【表4】
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
上記のようにして得られた各光拡散板について下記評価法に従い評価を行った。これら評価結果を表1〜6に示す。
【0130】
<表面抵抗率測定法(帯電防止性能の評価)>
JIS K6911−1995の(5.13)項に準拠して、抵抗率計(三菱化学株式会社製「Hiresta−UP MCP−HT450」)を用いて、印加電圧500V、測定時間10秒の条件で、光拡散板の初期の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。なお、測定前には測定試料を状態調整のため23℃×湿度50%RHの条件下で6時間放置した。
【0131】
<冷熱耐久性評価法(ΔYIの測定)>
得られた光拡散板の黄色度YIを下記測定法により測定し、これを「初期YI」とし、光拡散板に下記冷熱試験を行った後この試験後の光拡散板の黄色度YIを下記測定法により測定し、これを「試験後YI」とし、
ΔYI=(試験後YI)−(初期YI)
上記算出式により変化量ΔYIを求めた。
【0132】
(冷熱試験)
冷熱試験槽(espec株式会社製「TSA−101−L」、内容量101リットル)の槽内に光拡散板を配置する。次に、前記冷熱試験槽内において奥側から手前側に向けて−35℃の冷風を風量50m3/秒で30分間送風循環せしめた後、85℃の温風を槽内の上部から下部に向けて風量50m3/秒で30分間送風循環せしめた。この合計1時間の冷熱負荷を1サイクルとして、80サイクル繰り返す冷熱試験を行う。
【0133】
(黄色度YI測定法)
積分球を備えた自記分光光度計(日立製作所製「UV−4000」)を用いて光拡散板の380nm〜780nmの波長範囲の分光透過率を測定し、これに基づいて黄色度YIを算出した。
【0134】
表1、2から明らかなように、本発明の実施例1〜7の光拡散板は、表面抵抗率が小さくて帯電防止性能に優れていると共に、冷温条件、高温条件下で使用しても黄変等の変色が抑制されていた。
【0135】
これに対し、本発明の範囲を逸脱する比較例1、2の光拡散板は、十分な帯電防止性能が得られるものの、冷熱試験により黄変を生じた(表3参照)。
【0136】
なお、表4〜6(参考例1〜9)及び図13から明らかなように、光拡散性樹脂板を構成する樹脂がスチレン樹脂である場合には、該光拡散性樹脂板の表面に、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれの界面活性剤を塗布してコーティング層を形成した場合であっても、冷温条件、高温条件下で使用しても黄変等の変色を生じない。
【0137】
これに対し、表1〜3(実施例1〜7、比較例1、2)及び図12から明らかなように、光拡散性樹脂板を構成する樹脂がプロピレン樹脂である場合には、コーティング層を形成する界面活性剤の種類によって高温条件下で黄変等の変色を生じる場合があるという(スチレン樹脂系では発生しない)特異的な現象を生じる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の光拡散板は、直下型バックライト用として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。また、本発明の直下型バックライトは、液晶表示装置用として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0139】
1…光拡散板
3…コーティング層
6…光拡散性樹脂板
6a…積層面
6b…非積層面
30…液晶表示装置
31…直下型バックライト
32…光源
38…液晶パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板。
【請求項2】
前記コーティング層は、アミンオキサイド系両性界面活性剤及びベタイン系両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を含有する請求項1に記載の光拡散板。
【請求項3】
前記アミンオキサイド系両性界面活性剤が、アルキルアミンオキサイドである請求項2に記載の光拡散板。
【請求項4】
前記ベタイン系両性界面活性剤が、アルキルベタインである請求項2または3に記載の光拡散板。
【請求項5】
前記コーティング層は、高級アルコール系アニオン性界面活性剤を含有する請求項1に記載の光拡散板。
【請求項6】
前記高級アルコール系アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩である請求項5に記載の光拡散板。
【請求項7】
前記コーティング層は、脂肪酸系非イオン性界面活性剤を含有する請求項1に記載の光拡散板。
【請求項8】
前記脂肪酸系非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である請求項7に記載の光拡散板。
【請求項9】
前記光拡散性樹脂板の少なくとも片面にコロナ放電処理が施され、該コロナ放電処理面に前記コーティング層が積層されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の光拡散板。
【請求項10】
前記光拡散性樹脂板の少なくとも片面が、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面に形成され、該粗面に前記コーティング層が積層されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の光拡散板。
【請求項11】
前記コーティング層は、前記界面活性剤を含有する溶液を前記光拡散性樹脂板に塗布して乾燥せしめることによって形成されたものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の光拡散板。
【請求項12】
直下型バックライト用として用いられる請求項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源とを備える直下型バックライト。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源と、前記光拡散板の前面側に配置された液晶パネルとを備える液晶表示装置。
【請求項1】
プロピレン樹脂を含有する光拡散性樹脂板の少なくとも片面に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有するコーティング層が積層されている光拡散板。
【請求項2】
前記コーティング層は、アミンオキサイド系両性界面活性剤及びベタイン系両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を含有する請求項1に記載の光拡散板。
【請求項3】
前記アミンオキサイド系両性界面活性剤が、アルキルアミンオキサイドである請求項2に記載の光拡散板。
【請求項4】
前記ベタイン系両性界面活性剤が、アルキルベタインである請求項2または3に記載の光拡散板。
【請求項5】
前記コーティング層は、高級アルコール系アニオン性界面活性剤を含有する請求項1に記載の光拡散板。
【請求項6】
前記高級アルコール系アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩である請求項5に記載の光拡散板。
【請求項7】
前記コーティング層は、脂肪酸系非イオン性界面活性剤を含有する請求項1に記載の光拡散板。
【請求項8】
前記脂肪酸系非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である請求項7に記載の光拡散板。
【請求項9】
前記光拡散性樹脂板の少なくとも片面にコロナ放電処理が施され、該コロナ放電処理面に前記コーティング層が積層されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の光拡散板。
【請求項10】
前記光拡散性樹脂板の少なくとも片面が、十点平均粗さRzが5.0μm以上である粗面に形成され、該粗面に前記コーティング層が積層されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の光拡散板。
【請求項11】
前記コーティング層は、前記界面活性剤を含有する溶液を前記光拡散性樹脂板に塗布して乾燥せしめることによって形成されたものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の光拡散板。
【請求項12】
直下型バックライト用として用いられる請求項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源とを備える直下型バックライト。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源と、前記光拡散板の前面側に配置された液晶パネルとを備える液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−133710(P2011−133710A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293884(P2009−293884)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
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