説明

光散乱性二軸延伸ポリエテルフィルム

【課題】 フィルムの片面に接着剤層や紫外線硬化樹脂層などの機能層を形成するときに、当該機能層とポリエステルフィルムの接着性が良好で、また反対面に透明部材が接触しても密着することなく、また適度な光散乱性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 硬化性樹脂に対して易接着性を有する塗布層を片面に有し、当該塗布層とは反対面に、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)が5以上である凹凸面を有し、フィルム全体のヘーズが10%以上であることを特徴とする光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルフィルムの表面に接着剤層や紫外線硬化樹脂層などを設けて使用され、艶消し性を必要とするガラスや成形体貼り合わせ用途や包装用途、またプリズムシートなどの液晶ディスプレイの構成部品に用いられる易接着性光散乱性フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光散乱剤を含有させた積層延伸ポリエステルフィルムとしては、例えば、特許文献1に、内層に光散乱性を有する微粒子を含有させ実質的にボイドが発生しない全光線透過率の高い光散乱性フィルムが提案されている。しかしながら、フィルムが高温に長時間さらされる環境下では、光散乱層の結晶化(白化)が起こり、ヘーズの値や全光線透過率が変化するという問題がある。また、特許文献2には、非晶質ポリエステルに光散乱成分を含有させることにより、表面を平坦にして、光散乱性を改良したフィルムが提案されている。しかしながら、溶融特性の異なる2種類のポリエステルを積層するため、製膜工程におけるTダイからの冷却ロールへ押し出し条件調整が難しい、また、光散乱成分の熱劣化により、フィルムの色相に悪影響を与えることがある。また、特許文献3には、光散乱性や全光線透過率の値の大きな光散乱性積層延伸ポリエステルフィルムが提案されているが、易接着性を有する塗布層を付与したポリエステルフィルムに関しては開示されていない。
【0003】
【特許文献1】特開平13−272508号公報
【特許文献2】特開平14−372606号公報
【特許文献3】特開平13−253031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その快活課題は、フィルムの片面に接着剤層や紫外線硬化樹脂層などの機能層を形成するときに、当該機能層とポリエステルフィルムの接着性が良好で、また反対面に透明部材が接触しても密着することなく、また適度な光散乱性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する二軸延伸ポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、硬化性樹脂に対して易接着性を有する塗布層を片面に有し、当該塗布層とは反対面に、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)が5以上である凹凸面を有し、フィルム全体のヘーズが10%以上であることを特徴とする光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルムに存する。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のような芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のようなグリコールとのエステルを主たる成分とするポリエステルである。当該ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接重合させて得られるほか、芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の方法によっても得られる。当該ポリエステルの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ボリブチレンテレフタレート等が例示される。かかるポリエステルは、共重合されないホモポリマーであってもよく、またジカルボン酸成分の40モル%以下が主成分以外のジカルボン酸成分であり、ジオール成分の40モル%以下が主成分以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルであってもよく、またそれらの混合物であってもよい。
【0008】
本発明のフィルムの少なくとも片面には、硬化性樹脂に対して易接着性を有する塗布層を設ける。この易接着塗布層を設けることで、硬化性樹脂とフィルムとの接着性が向上する。
【0009】
易接着塗布層は、ポリマーおよび架橋剤を主成分として構成される。ポリマーは、水性ポリウレタン、水性ポリエステルおよび水性アクリル樹脂の少なくとも1つからなり、好ましくは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上、さらには40℃以上のものであり、さらに好ましくはポリウレタンの中でもポリエステルポリウレタンであり、カルボン酸残基を持ち、その少なくとも一部はアミンまたはアンモニアを用いて水性化されているものである。また架橋剤は、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられるが、塗布性、耐久接着性の点で、メラミン系樹脂が好ましい。
【0010】
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。凹凸面には必要に応じ塗布層を形成してもよい。この場合、突起密度当該塗布層を含めた表面について計測する。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
【0011】
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、接着性が劣る傾向がある。一方、塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
【0012】
また、本発明のフィルムの易接着性塗布層とは反対面における、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)は5以上であり、好ましくは7以上であり、さらに好ましくは10以上である。当該突起密度が5未満では、ほかの透明部材と接触したときに密着し、光学特性に悪影響を与えることがある。またフィルムの光散乱効果が低下する。また二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)は200以下であることが好ましい、200を超えるとフィルムの全光線透過率が下がり、利用できる光の量が減少する傾向がある。
【0013】
本発明では、塗布層とは反対面に二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起を形成するために、フィルムに不活性粒子を含有させることが好ましい。不活性粒子はフィルム全体に、または2層以上の共押出し積層フィルムの少なくとも1層に含有してもよい。なかでも塗布層と反対面を構成する共押出し層に不活性粒子を含有させた共押出積層構成によれば、5次以上の干渉縞を有する突起を多く形成させることができ、なおかつ利用できる光の量(全光線透過率)を上げることもできるので好ましい。
【0014】
具体的な不活性粒子の例としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体等の有機質微粒子および炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、ガラス等の無機質微粒子などが挙げられる。また、無機粒子よりも有機粒子が好ましく、なかでも熱重量分析計による不活性雰囲気下の5%熱分解温度が300℃以上のスチレンやメタクリレートの架橋有機粒子が好ましい。熱分解温度が300℃未満では熱劣化物によりフィルムが黄色味を帯びてしまうことがある。
【0015】
また、用いる不活性粒子の好ましい平均粒径は2〜50μmの範囲であり、さらに好ましくは3〜40μm、特に好ましくは4〜30μmの範囲である。平均粒径が2μm未満の不活性粒子では、光の散乱性能が小さくなる傾向がある。一方、平均粒径が50μmを超えると、フィルム製膜過程で用いる溶融樹脂の異物を除くためのフィルターが目詰まりしてしまいことがあり、生産性が低下するおそれがある。
【0016】
不活性粒子のフィルム中の含有量は、0.05〜10重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。含有量が0.05重量%未満では、光散乱性を十分に発揮できないことがある。一方、含有量が10重量%を超えると、樹脂の流動特性が変化して共押出することが困難になる場合がある。
【0017】
不活性粒子の粒子径分布においては、70μm以上の粗大粒子が実質的にゼロであることが好ましく、50μm以上の粗大粒子が実質ゼロであることがさらに好ましい。70μm以上の粗大粒子が存在すると、フィルム中に異物起因の光学上の欠陥を生じることがある。70μm以上の粗大粒子を実質的にゼロにするには、不活性粒子を分級したり、ポリエステルの溶融押出し工程で適切なフィルターを設けたりする方法がある。
【0018】
また、必要に応じて、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有してもよい。
【0019】
本発明のフィルムのヘーズは10%以上であり、好ましくは20%以上である。フィルムのヘーズが10%未満では、光の散乱が劣り光学部材の品位欠陥を見えなくする効果に乏しい。
【0020】
本発明のフィルムの厚みは、特に限定しないが、通常は20〜300μmの範囲である。フィルムの厚みが20μm未満では、加工作業性が悪い場合がある。一方、フィルムの厚みが300μmを超えると、フィルムの重量が増加して好ましくない場合がある。
【0021】
次に本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
【0022】
本発明のフィルムを製造するときには、乾燥したポリエステルを押出機に供給し、各ポリエステルの融点以上の温度に加熱してそれぞれ溶融させる。次いで、Tダイから溶融シートとして押出す。続いて、溶融シートを回転冷却ドラム上でガラス転位温度未満にまで急冷し、非晶質の未延伸フィルムを得る。このとき、未延伸フィルムの平面性を向上させるために、静電印加密着法や液体塗布密着法等によって、未延伸フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を向上させてもよい。そして、ロール延伸機を用いて、未延伸フィルムをその長手方向に延伸(縦延伸)することにより一軸延伸フィルムを得る。このときの延伸温度は、原料レジンのガラス転移温度(Tg)のマイナス10℃からプラス40℃の温度範囲で延伸する。また、延伸倍率は、好ましくは2.5〜7.0倍、さらに好ましくは3.0〜6.0倍である。さらに、縦延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。次いで、易接着層を設けるためコーターにより水性塗布剤を塗布する。その後、テンターに導きテンター延伸機を用いて、一軸延伸フィルムをその幅方向に延伸(横延伸)することにより二軸延伸フィルムを得る。このときの延伸温度は、原料レジンのガラス転移温度(Tg)からプラス50℃の温度範囲で延伸する。また、延伸倍率は、好ましくは2.5〜7.0倍、さらに好ましくは3.5〜6.0倍である。さらに、横延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段以上に分けて行ってもよい。また縦と横を同時に行う同時二軸延伸を行ってもよい。そして二軸延伸フィルムを熱処理することにより積層フィルムが製造される。このときの熱処理温度は、130〜250℃である。二軸延伸フィルムを熱処理するときには、二軸延伸フィルムに対して20%以内の弛緩を行ってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、フィルムの片面に紫外線硬化樹脂層などの機能層を形成するときに、当該塗布層とポリエステルフィルムの接着性が良好で、また易接着性を有する表面とは反対面に透明部材が接触しても密着することなく、また適度な光散乱性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および本発明で用いた測定法および用語の定義は次のとおりである。
【0025】
(1)平均粒径
電子顕微鏡を用いて粒子を観察して最大径と最小径を求め、その平均を不活性粒子1個の粒径とした。フィルム中の少なくとも100個の不活性粒子についてこれを行う。粒子群の平均粒径は、これらの粒子の重量平均径とする。
【0026】
(2)ヘーズおよび全光線透過率
分球式濁度計NDH−300A(日本電色工業株式会社製)を用いてそのヘーズ値および全光線透過率を測定した。
【0027】
(3)二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度
フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、ニコンオプチフォト干渉顕微鏡を用い、二光束法にて測定した。測定波長は0.54μmで5次以上の干渉縞を示す突起個数を100mmの面積に亘り測定し、1mm面積あたりの突起個数を求める。
【0028】
(4)干渉縞防止性
表面粗さRa(小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用い、JIS−B−0601−1982に準じて測定し、カットオフ値は80μm、測定長は2.5mmとする)が8nmの厚さ0.2mmのポリエステルフィルムの表面に、試料フィルムの評価する表面を重ね、5mm角のアクリル棒を45°の角度で100gの荷重で上から押し付けて20mm移動させ、蛍光灯下で干渉縞の発生の有無を観察し、干渉縞防止性を以下の基準で評価した。
○:アクリル棒を押し付けて20mm移動してもリング状の干渉縞は観察されない
△:20mm移動中にわずかにリング状干渉縞が観察されたが、3分後には消える
×:20mm移動中に、明瞭なリングの干渉縞が観察され、3分後になっても消えない
【0029】
(5)光散乱性
蛍光灯下の机にMSゴシックの書体で大きさが8ポイントの1から9の数字を印刷した紙を置き、試験フィルムを通して30cmの距離から観察して、数字が判別できなくなるフィルムと紙の間の距離を測定し、光散乱性を以下の基準で評価した。
○:数字が見えなくなる距離が5cm以下であり、光散乱性が良好
×:数字が見えなくなる距離が5cmを超え、光散乱性が不良
【0030】
(6)光硬化性樹脂との接着性
易接着面の表面に、アクリル系光硬化樹脂(日本化薬製KAYANOVA FOP−1700)を硬化後の厚さが6μmになるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて約10秒間照射して、表面硬化フィルムを得た。アクリル系光硬化層形成直後、当該層に1インチ幅に碁盤目が100個になるようクロスカットを入れ、直ちに、同一箇所について3回セロテープ(登録商標)急速剥離テストを実施し、剥離面積により評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:碁盤目剥離個数=0
○:1≦碁盤目剥離個数≦10
△:11≦碁盤目剥離個数≦20
×:21<碁盤目剥離個数
【0031】
以下の例で使用した原料の詳細は次のとおりである。
(原料の調整)
・ポリエステルa
常法の重縮合で合成された極限粘度0.65、融点253℃のポリエチレンテレフタレートである。
・ポリエステルb
常法の重縮合で合成された極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒径6μm、5%熱分解温度が329℃の架橋スチレン-アクリル有機粒子を練り込み、4.0重量%含有させたものである。
・ポリエステルc
常法の重縮合で合成された極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒径1.7μm、5%熱分解温度が290℃の架橋アクリル有機粒子を練り込み、2.0重量%含有させたものである。
【0032】
・水性塗布剤A
水性塗布剤は、下記a、b、c、dの化合物を各々47/20/30/3の重量比で混合した混合物である。
a:テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/1.4−ブタンジオール/ジエチレングリコールを各々28/20/2/35/10/5のモル比で反応させたポリエステル水分散体
b:メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/N−メチロールメタアクリルアミドを各々45/45/5/5のモル比で重合された重合物水分散体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
c:メラミン系架橋剤(ヘキサメトキシメチルメラミン)
d:平均粒径0.06μmの酸化ケイ素の水分散体
【実施例1】
【0033】
ポリエステルaが85重量%とポリエステルbが15重量%の混合物をベント付き2軸押出機に供給し、溶融温度280℃で溶融した後、ポンプフィルターを介してダイを通してキャスティングドラムに引き取り単層未延伸フィルムを得た。かくして得られた未延伸フィルムを縦延伸ロールに送り込み、まずフィルム温度83℃で3.7倍延伸した後、水性塗布剤Aを塗布しテンターに導き95℃で横方向に4.0倍延伸して二軸配向フィルムを得た。次いで、得られた二軸配向フィルムを熱固定ゾーンに導き、230℃で5秒間幅方向に3%弛緩させながら熱固定し、下記表1に記載した厚みのポリエステルフィルムを得た。
【実施例2】
【0034】
ポリエステルaが70重量%とポリエステルbが30重量%の混合物をベント付き2軸押出機(サブ)に供給し、ポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(メイン)に供給して溶融温度280℃で溶融した後、各押出機からの溶融ポリマーをギヤポンプフィルター(粒子を含有する溶融ポリマーを含むサブ押出し機のフィルターは50μmの粒子捕集率が75%のフィルターを用いた。)を介してフィードブロックで合流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り2種3層の未延伸フィルムを得た。その後は実施例1と同じく水性塗布剤Aを塗布した後、テンターに導き延伸し熱固定し表1に記載した厚み構成のフィルムを得た。
【実施例3】
【0035】
ポリエステルaが50重量%とポリエステルbが50重量%の混合物をベント付き2軸押出機(サブ)に供給し、ポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(メイン)に供給して溶融温度280℃で溶融した後、各押出機からの溶融ポリマーをギヤポンプフィルター(粒子を含有する溶融ポリマーを含むサブ押出し機のフィルターは50μmの粒子捕集率が75%のフィルターを用いた。)を介してフィードブロックで合流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り2種2層の未延伸フィルムを得た。その後は実施例1と同じく水性塗布剤Aを塗布した後、テンターに導き延伸し熱固定し表1に記載した厚み構成のフィルムを得た。
【0036】
(比較例1)
易接着層を設けなかったほか実施例2と同様にしてフィルムを得た。
【0037】
(比較例2)
ポリエステルaが50重量%とポリエステルcが50重量%の混合物をベント付き2軸押出機(サブ)に供給し、ポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(メイン)に供給して溶融温度280℃で溶融した後、各押出機からの溶融ポリマーをギヤポンプフィルター(粒子を含有する溶融ポリマーを含むサブ押出し機のフィルターは50μmの粒子捕集率が75%のフィルターを用いた。)を介してフィードブロックで合流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り2種3層の未延伸フィルムを得た。その後は実施例1と同じく水性塗布剤Aを塗布した後、テンターに導き延伸し熱固定し表1に記載した厚み構成のフィルムを得た。
以上、得られた結果をまとめて下記表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例1〜3においては、アクリル系光硬化樹脂との接着性に優れ、光散乱性にも優れる。特に実施例3は、2種2層のフィルム構成のため全光線透過率も大きい。 一方、比較例1は、易接着層を有していないためアクリル系光硬化樹脂との接着性に劣る。比較例2は、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm2)が3未満であり、干渉縞防止性に劣る、またヘーズが10%を未満のため、光散乱性に劣る。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のフィルムは、例えば、艶消し性を必要とするガラスや成形体貼り合わせ用途や包装用途、またプリズムシートなどの液晶ディスプレイの構成部品として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂に対して易接着性を有する塗布層を片面に有し、当該塗布層とは反対面に、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)が5以上である凹凸面を有し、フィルム全体のヘーズが10%以上であることを特徴とする光散乱性二軸延伸ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2006−249210(P2006−249210A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66643(P2005−66643)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000108856)三菱化学ポリエステルフィルム株式会社 (187)
【Fターム(参考)】