説明

光束制御部材、この光束制御部材を備えた発光装置およびこの発光装置を備えた面光源装置。

【課題】面光源として用いる際における輝度の均一性を向上することができる光束制御部材、発光装置および面光源装置を提供する。
【解決手段】発光素子12からの中心側の第1の光が入射する第1入射面19、第1の光の外側の第2の光が入射する第2入射面20、第2入射面20に入射した第2の光を全反射させる第1全反射面17、第1入射面19側からの第1の光および第1全反射面17からの第2の光を所定の平面を対称面とした面対称な両側方に全反射させる第2全反射面16、第2全反射面16によって全反射された第1、第2の光を出射させる第1出射面31、第2出射面32を有し、両出射面31、32は、第2全反射面16によって全反射された第1、第2の光を発散させた状態で出射させる形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束制御部材、この光束制御部材を備えた発光装置およびこの発光装置を備えた面光源装置に係り、特に、発光素子から出射された光の進行方向を制御するのに好適な光束制御部材、この光束制御部材を備えた発光装置およびこの発光装置を備えた面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示装置のバックライト、内照式の看板等の用途には、エッジライト方式または直下型方式の面光源装置が用いられていた。
【0003】
ここで、エッジライト方式の面光源装置は、導光板の側端面に配置した光源からの光を導光板によって側端面と直交する表面側(視認側)に取り出す方式として知られている。一方、直下型方式は、複数の点状光源を光拡散板の裏側(直下)に配置し、各光源からの光を光拡散板によって拡散させて表側に取り出す方式として知られている(特許文献1参照)。
【0004】
これら各方式のうち、直下型方式は、輝度の高さの点で有利であり、とりわけ、大面積の画像表示や発光を行う用途においては、この方式が採用される場合が多い。
【0005】
近年、このような直下型方式において、少ない点状光源で大面積の照明を可能にする面光源装置が開発されている(特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2の図5および図6に示される面光源装置にはサイドビューLEDが用いられており、主としてLED実装面と平行に出射されるLEDからの出射光が、傾斜面(曲面)状に形成された光反射面部材で反射されることによって、発光面部材の全面をむらなく照射するようになっている。
【0007】
このサイドビューLEDに代えて、LED実装面に対して直交方向に光を出射するトップビューLEDを用いる場合には、光の進行方向をLED実装面と平行方向に変えるための光束制御部材を用いることが高品位な発光面の面光源装置を得るために有効である。
【0008】
図18は、この種の直下型方式の面光源装置の従来例を示す平面図である。また、図19は、図18のA−A断面図であり、図20は、図18のB−B断面図である。
【0009】
図18〜図20に示すように、面光源装置1は、平面図において矩形状の筐体2を有しており、この筐体2の内面は、Y軸方向(図18における縦方向)における中央部に位置するX軸方向(図18における横方向)に長尺な底面3と、この底面3のX軸方向における両端部に垂直に連接された側面4、5と、底面3のY軸方向における両端部に連接された反射面6、7とによって構成されている。
【0010】
図19に示すように、底面3上には、点状光源として、発光ダイオード(LED)等からなる複数(9つ)の発光素子12が、X軸方向に等間隔で整列配置されている。なお、各発光素子12は、これらに対する電気信号の印加を行うリードや制御回路(図示せず)等を備えた基板13上に実装された状態で、底面3上に配置されている。各発光素子12は、前方(図19、図20における上方)に向けて、ある程度の指向性を有する所定の配光分布(LEDの場合にはランバーシアン分布)にしたがった光を出射するようになっている。このとき、発光素子12は、各発光素子12の出射光の中心軸(中心光)が、Z軸方向に平行な状態となるように、筺体2のY軸方向の中央に配置されている。
【0011】
また、図20に示すように、反射面6、7は、発光素子12から離れるにしたがってZ軸方向(図20における縦方向)に傾く上り傾斜面に形成されている。さらに、図20に示すように、反射面6、7は、底面3をY軸方向において二等分する底面3に垂直な仮想平面Sを対称面とした面対称な形状に形成されている。すなわち、両反射面6、7の底面3に対する傾斜角は互いに一致している。そして、これら両反射面6、7は、反射部材によって形成されている。なお、反射部材としては、例えば、UXSP188(帝人デュポン社製)等が用いられる。
【0012】
さらに、図18〜図20に示すように、各発光素子12上には、各発光素子12の出射光の進行方向を制御する複数の光束制御部材14がそれぞれ配置されている。これらの光束制御部材14は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)およびEP(エポキシ樹脂)などの樹脂材料やガラス等の透光性材料によって形成されている。
【0013】
ここで、図21は、光束制御部材14を示す平面図である。また、図22は、図21の下面図である。さらに、図23は、図21のA−A断面図であり、図24は、図21のB−B断面図である。
【0014】
図22〜図24に示すように、光束制御部材14は、発光素子12に対してZ軸方向(光の出射方向)において対向して配置される発光素子対向面部15を有している。また、同各図に示すように、光束制御部材14は、発光素子対向面部15に対してZ軸方向における発光素子12と反対側に形成された反発光素子対向面部16を有している。さらに、同各図に示すように、光束制御部材14は、発光素子対向面部15の外周端部から発光素子12と反対側へ向かって延設された外周面17を有している。さらにまた、同各図に示すように、光束制御部材14は、外周面17に対してZ軸方向における発光素子12と反対側であって反発光素子対向面部16に対してY軸方向における外側に形成された出射面18を有している。
【0015】
具体的には、図23および図24に示すように、発光素子対向面部15は、発光素子12(図示せず)から出射された光を入射させるための略円錐台形状の凹部15とされている。ここで、図22〜図24に示すように、凹部15は、光軸OAに直交する平面として形成された下面図において光軸OAと同心円形を呈する第1入射面19を有している。この第1入射面19には、図23に示すように、発光素子12(図示せず)から出射された光(光束)のうちの光軸OAに対して小さい角度側の第1の光(光束)Lが入射する。ただし、図23においては、第1の光Lを、これに含まれる1本の光線として代表的に図示している。そして、第1入射面19に入射した第1の光Lは、第1入射面19においてスネルの法則にしたがって全体的に光軸OAに対する角度が小さくなるように屈折(垂直入射の中心光は除く)された上で、光束制御部材14の内部の光路上を反発光素子対向面部16に向かって進行する。また、図22〜図24に示すように、凹部15は、第1入射面19の外周端部から発光素子12側に向かって延設された第2入射面20を有しており、この第2入射面20は、発光素子12側に向かうにしたがって内径が漸増するような光軸OAと同心のテーパ面に形成されている。この第2入射面20には、図23に示すように、発光素子12(図示せず)から出射された光(光束)のうちの第1の光Lの外側の第2の光(光束)Lが入射する。ただし、図23においては、第2の光Lを、これに含まれる1本の光線として代表的に図示している。そして、第2入射面20に入射した第2の光Lは、第2入射面20において屈折された上で、光束制御部材14の内部の光路上を外周面17側に向かって進行する。
【0016】
また、図23に示すように、外周面17は、発光素子12と反対側に向かって外径が漸増するとともに、径方向の外方にわずかに膨出するような光軸OAと同心の曲線テーパ面に形成されており、この外周面17は、第1全反射面17とされている。すなわち、図23に示すように、第1全反射面17には、第2入射面20に入射した後に光束制御部材14の内部の光路上を進行した第2の光Lが、臨界角よりも大きな入射角で内部入射する。そして、この内部入射した第2の光Lは、第1全反射面17によって全体的に光軸OAに対する角度が小さくなる方向に全反射された後に、光束制御部材14の内部の光路上を反発光素子対向面部16に向かって進行する。
【0017】
さらに、図23に示すように、反発光素子対向面部16は、前述した仮想平面S(光軸OAを含む所定の平面)を対称面とした面対称形状に形成されるとともに仮想平面Sに平行かつ光軸OAに直交する方向から見た場合(側面視した場合)に、発光素子12と反対側に向かうにしたがって仮想平面Sと直交する方向に拡開するような形状を呈するようになっている。より具体的には、反発光素子対向面部16は、平面図において円形状を呈するとともに仮想平面Sに直交する任意の断面(例えば、図23)において、仮想平面Sとの交点位置が谷となるV字状を呈するような面に形成されている。このような反光学素子対向面部16は、第2全反射面16とされている。すなわち、図23に示すように、第2全反射面16には、第1入射面19に入射した後に光束制御部材14の内部の光路上を進行した(第1入射面19側から到達した)第1の光Lが、臨界角よりも大きな入射角で内部入射する。また、このとき、第2全反射面16には、第1全反射面17によって全反射された後に光束制御部材14の内部の光路上を進行した第2の光Lが、臨界角よりも大きな入射角で内部入射する。そして、第2全反射面16は、これらの内部入射した第1の光Lおよび第2の光Lを、仮想平面Sを対称面とした互いに面対称な(相対する)両側方(図23における左右方向)に向けて全反射させ、光軸OAに略直交するように光路変換する。より具体的には、第2全反射面16のうちの図23における左半部に内部入射した光L、Lは左側方に向けて全反射され、第2全反射面16のうちの図23における右半部に内部入射した光L、L(図示せず)は右側方に向けて全反射される。
【0018】
さらにまた、図21〜図23に示すように、出射面18は、光軸OAと同心の円筒面に形成されており、この出射面18には、第2全反射面16によって両側方に向けて全反射された第1の光Lおよび第2の光Lがそれぞれ内部入射する。そして、出射面18は、内部入射した第1の光Lおよび第2の光L を光束制御部材14の左右両側方に出射させる。図25は、このとき出射される第1の光Lおよび第2の光Lの進行方向を、互いに異なる3本の光線を光束制御部材14の平面図とともに示したものである。
【0019】
そして、このようにして出射面18から出射された第1の光Lおよび第2の光Lは、図20に示すように、傾斜反射面10によって反射されて面光源装置1の発光面(図20における上方)に向かって進行する。
【0020】
また、図23に示すように、光束制御部材14は、出射面18の下端部から発光素子12側に向かって延出された光軸OAと同心の円筒形状のホルダ22を有しており、このホルダ22は、第1全反射面17を径方向における外側から包囲している。
【0021】
図18〜図20に戻って、面光源装置1は、筐体2の前部開口を遮蔽する光学シート25を有しており、この光学シート25は、各光束制御部材14の光軸OAに直交するようにして各光束制御部材14および傾斜反射面10に対向配置されている。この光学シート25には、主に、傾斜反射面10によって反射された第1の光Lおよび第2の光Lが後方(図20における下方)から入射する。そして、光学シート25は、入射した光を、平面視した場合に矩形の広がりを持った光として出射させる。光学シート25としては、DBEF(3M社製)、拡散シート、拡散板、プリズムシート等が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特表2009−542017号公報
【特許文献2】特開2010−9785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、従来は、平面図上における出射面8の形状が正のパワーを有する円筒面形状に形成されていたため、図18に示すように、出射面8からの出射光L、L がX軸方向において集束光となっていた。
【0024】
このため、傾斜反射面10上における各光束制御部材14の出射光の照射面積がX軸方向において狭くなることによって、傾斜反射面10上における各光束制御部材14の出射光の照射部分(明部)同士の間に到達する光が不足するため、面光源として用いる場合における発光面上の輝度が不均一となるといった問題が生じていた。
【0025】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、出射光の光束径を大きくすることによって、面光源として用いる際における輝度の均一性を向上させることができる光束制御部材、この光束制御部材を備えた発光装置およびこの発光装置を備えた面光源装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係る光束制御部材の特徴は、発光素子から出射された光の進行方向を制御する光束制御部材であって、前記発光素子に対向して配置される発光素子対向面部と、この発光素子対向面部に対して前記発光素子と反対側に形成された反発光素子対向面部と、前記発光素子対向面部の外周端部から前記発光素子と反対側に向かって延設された外周面と、この外周面に対して前記発光素子と反対側であって前記反発光素子対向面部の外側に形成された出射面とを備え、前記発光素子対向面部は、前記発光素子から出射された光を入射させるための凹部を有し、前記凹部は、光軸に直交する平面に形成され、前記発光素子から出射された光のうちの中心側の第1の光が入射する第1入射面と、この第1入射面の外周端部から前記発光素子側に向かって延設され、前記発光素子から出射された光のうちの前記第1の光の外側の第2の光が入射する第2入射面とを有し、前記外周面は、前記発光素子と反対側に向かうにしたがって外径が漸増するように形成され、前記第2入射面に入射した前記第2の光を前記反発光素子対向面部に向けて全反射させる第1全反射面を有し、前記反発光素子対向面部は、前記光軸を含む所定の平面を対称面とした面対称形状に形成されるとともに、前記所定の平面に直交する任意の断面において、前記所定の平面との交点位置が谷となるV字形状を呈し、前記第1の光および前記第2の光を全反射させる第2全反射面を有し、前記出射面は、前記所定の平面を対称面とした互いに面対称な形状に形成され、前記第2全反射面によって全反射された前記第1および第2の光を出射させる第1出射面および第2出射面を有し、前記第1出射面および前記第2出射面は、前記第2全反射面によって全反射された前記第1および第2の光を屈折して発散させた状態で出射させる形状に形成されている点にある。
【0027】
そして、この請求項1に係る発明によれば、第1出射面および第2出射面によって、第2全反射面において全反射された第1および第2の光を発散させた状態で出射させることができるので、照射範囲を大きくすることができ、ひいては、面光源として用いる際における輝度の均一性を向上させることが可能となる。
【0028】
また、請求項2に係る光束制御部材の特徴は、発光素子から出射された光の進行方向を制御する光束制御部材であって、前記発光素子に対向して配置される発光素子対向面部と、この発光素子対向面部に対して前記発光素子と反対側に形成された反発光素子対向面部と、前記反発光素子対向面部の外側に形成された出射面とを備え、前記発光素子対向面部は、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射領域を有し、前記入射領域は、光軸方向から見た場合に光軸を中心とした同心円環状を呈するとともに前記光軸を含む断面が鋸刃状を呈するような径方向において互いに隣接する複数の突起部を有し、前記突起部は、前記発光素子から出射された光が入射し、この入射した光を屈折させる入射面と、この入射面に対して前記光軸を基準とした径方向の外側位置に形成され、前記入射面から入射した光を前記反発光素子対向面部に向けて全反射させる第1全反射面とを有し、前記反発光素子対向面部は、前記光軸を含む所定の平面を対称面とした面対称形状に形成されるとともに前記所定の平面に直交する任意の断面において、前記所定の平面との交点位置が谷となるV字形状を呈し、前記第1全反射面によって全反射された光を更に全反射させる第2全反射面を有し、前記出射面は、前記所定の平面を対称面とした互いに面対称な形状に形成され、前記第2全反射面によって全反射された光を出射させる第1出射面および第2出射面を有し、前記第1出射面および前記第2出射面は、前記第2全反射面によって全反射された光を屈折して発散させた状態で出射させる形状に形成されている点にある。
【0029】
そして、この請求項2に係る発明によれば、第1出射面および第2出射面によって、第2全反射面によって全反射された光を発散させた状態で出射させることができるので、照射範囲を大きくすることができ、ひいては、面光源として用いる際における輝度の均一性を向上させることができる。
【0030】
さらに、請求項3に係る光束制御部材の特徴は、請求項1または2において、更に、前記第1出射面および前記第2出射面は、前記所定の平面に対して平行に形成されている点にある。
【0031】
そして、この請求項3に係る発明によれば、第1出射面および第2出射面が、簡易な面形状によって発散光を適切に出射させることが可能となる。
【0032】
さらにまた、請求項4に係る光束制御部材の特徴は、請求項1または2において、更に、前記第1出射面および前記第2出射面は、光軸方向から見た場合に前記所定の平面側に凹入するように湾曲された形状を呈する凹曲面に形成されている点にある。
【0033】
そして、この請求項4に係る発明によれば、第1出射面および第2出射面が、簡易な面形状によって発散光を適切に出射させることが可能となる。
【0034】
また、請求項5に係る発光装置の特徴は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光束制御部材および発光素子を備えた点にある。
【0035】
そして、この請求項5に係る発明によれば、光束制御部材からの出射光の照射範囲を大きくすることによって、面光源として用いる際における輝度の均一性を向上させることができる。
【0036】
さらに、請求項6に係る面光源装置の特徴は、請求項5に記載の発光装置が、請求項1〜4に記載の所定の平面に平行かつ光軸に直交する整列方向に所定の間隔を設けて複数整列配置され、前記複数の発光装置に対してこれらの光束制御部材の第1出射面および第2出射面からの光の出射側の位置に、前記第1出射面および前記第2出射面からの出射光を反射および/または拡散させる反射/拡散手段を備えた点にある。
【0037】
そして、この請求項6に係る発明によれば、出射光の照射範囲が大きい光束制御部材を整列配置することによって、輝度ムラが低減された良好な面光源を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る光束制御部材によれば、発光装置からの出射光による被照射面積を大きくすることができ、この発光装置を面光源装置に用いることにより、面光源装置の発光面おける輝度の均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る光束制御部材の実施形態を示す平面図
【図2】図1の下面図
【図3】図1のA−A断面図
【図4】図1のB−B断面
【図5】本発明に係る光束制御部材の実施形態において、出射面からの出射光を、3本の代表的な光線として示す模式図
【図6】本発明に係る面光源装置の実施形態を示す平面図
【図7】図6のA−A断面図
【図8】図6のB−B断面図
【図9】光束制御部材の第1変形例を示す平面図
【図10】図9の下面図
【図11】図9のA−A断面図
【図12】図9のB−B断面図
【図13】光束制御部材の第2変形例を示す下面図
【図14】図13のA−A断面図
【図15】図13のB−B断面図
【図16】本発明の実施例を示す構成図
【図17】本発明の実施例において、輝度の測定結果を示すグラフ
【図18】従来の面光源装置の一例を示す平面図
【図19】図18のA−A断面図
【図20】図18のB−B断面図
【図21】従来の光束制御部材の一例を示す平面図
【図22】図21の下面図
【図23】図21のA−A断面図
【図24】図21のB−B断面図
【図25】従来の光束制御部材において、出射面からの出射光を、3本の代表的な光線として示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る光束制御部材、発光装置および面光源装置の実施形態について、図1〜図17を参照して説明する。
【0041】
なお、従来と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0042】
図1は、本実施形態における光束制御部材30を示す平面図である。また、図2は、図1の下面図である。さらに、図3は、図1のA−A断面図、図4は、図1のB−B断面図である。
【0043】
図1〜図4に示すように、本実施形態における光束制御部材30は、従来の光束制御部材14と同様に、発光素子対向面部としての第1入射面19および第2入射面20からなる凹部15と、外周面としての第1全反射面17と、反発光素子対向面部としての平面図において矩形状の第2全反射面16とを備えている。これら各構成部の光学的な機能については、従来と同様であるので詳細は省略する。
【0044】
一方、本実施形態における光束制御部材30は、その出射面の構成が従来とは異なっている。
【0045】
すなわち、図1に示すように、本実施形態における出射面は、前述した仮想平面Sを対称面とした面対称形状に形成された第1出射面31と第2出射面32とによって構成されている。これら第1出射面31および第2出射面32は、仮想平面Sに平行な平面に形成されている。
【0046】
図3に示すように、第1出射面31および第2出射面32には、第2全反射面16において仮想平面Sを対称面とした互いに面対称な両側方に向かって全反射された第1の光Lおよび第2の光Lが入射する。但し、図3においては、各出射面31、32に、これらに入射する第1の光Lおよび第2の光Lを1本の光線として代表的に図示している。そして、各出射面31、32に入射した第1の光Lおよび第2の光Lは、各出射面31、32から発散された状態で出射される。図5は、このような出射面31、32からの出射光を、3本の代表的な光線として光束制御部材30の平面図とともに示したものである。
【0047】
このような本実施形態における光束制御部材30は、従来と同様の発光素子12上に対向配置されることによって本実施形態における発光装置を構成し、また、従来と同様の筐体2内に配置されることによって、本実施形態における面光源装置を構成するようになっている。
【0048】
ここで、図6は、本実施形態における面光源装置34を示す平面図である。また、図7は、図6のA−A断面図であり、図8は、図6のB−B断面図である。
【0049】
図6に示すように、本実施形態においては、仮想平面SをY座標の原点を通るXZ平面と定義した場合に、+Y方向および−Y方向に向かって従来の集束光(図18参照)と比較して照射範囲の大きな発散光を出射することのできる光束制御部材30が、X軸方向に等間隔に配置されている。各光束制御部材30からの出射光は、それぞれが、X軸方向に照射面積が広げられた状態として傾斜反射面10に照射されることになる。この結果、傾斜反射面10上における隣接する光束制御部材30による照射部分(明部)同士のX軸方向の間隔を詰めることができるので、従来と比較して、面光源装置34の発光面上における明部間の暗部を低減(X軸方向の幅を縮小)または除去することができる。
【0050】
また、このような作用効果を発揮する出射面31、32を簡易な平面として容易に形成することができるので、コストを抑えることができる。
【0051】
なお、本発明は、以下に示すような種々の変形例を適用することができる。
【0052】
(第1の変形例)
すなわち、図9は、光束制御部材30の第1の変形例を示す平面図である。また、図10は、図9の下面図である。さらに、図11は、図9のA−A断面図、図12は、図9のB−B断面図である。
【0053】
図9に示すように、本変形例においては、第1出射面31および第2出射面32が、仮想平面Sを対称面とした面対称形状であって、光軸OA方向から見た場合に仮想平面S側に円弧状に湾曲された凹入面に形成されている。両出射面31、32間寸法が最小となる位置は、仮想平面Sに直交し光軸OAを含む断面(図11)上と一致している。ただし、凹入面の湾曲形状は、円弧(球面)に限る必要はなく、非球面であってもよい。
【0054】
このような本変形例における第1出射面31および第2出射面32も、図11に示すように、第2全反射面16によって両側方に全反射された光L、Lを、発散光として出射させることができる。このとき、各出射面31、32は、負のパワーを有していることによって、平面の出射面(図1参照)の場合よりも広い面積を照射可能な発散光を出射させることができる。したがって、本変形例によれば、各出射面31、32が平面の場合に比べて、より有効に暗部を低減または除去することができる。
【0055】
(第2の変形例)
次に、図13は、光束制御部材30の第2変形例を示す下面図である。また、図14は、図13のA−A断面図であり、図15は、図13のB−B断面図である。
【0056】
図13〜図15に示すように、本変形例における光束制御部材30は、発光素子対向面部が、凹部15の代わりに、フレネル面形状の入射領域35を有している。すなわち、入射領域35は、光軸OA方向から見た場合に光軸OAを中心とした同心円環状を呈するとともに光軸OAを含む断面が鋸刃状を呈するような径方向において互いに隣接する複数の突起部36を有している。図14(部分拡大図)に示すように、各突起部36は、発光素子12から出射された光が入射し、この入射した光を屈折させる入射面36aと、この入射面36aに対して光軸OAを基準とした径方向の外側位置に形成され、入射面36aから入射した光を第2全反射面16(反発光素子対向面部)に向けて全反射させる第1全反射面36bとを有している。ただし、入射面36aは、平面に限る必要はなく、その先端部側が基端部側よりも光軸OAに対する径方向外方への傾きが大きくなるような屈曲面に形成してもよい。このようにすれば、突起部36の先端部が尖鋭過ぎることによる製造上のデメリット(例えば、金型を用いて成形する場合における先端部の転写面への樹脂材料の充填不足)を回避することができる。なお、入射領域35における中央部35aは、光軸OAに直交する平坦面に形成されているが、この中央部35aは、発光素子12からの光を第2全反射面16側に向けて入射させるようになっている。このとき、中央部35aから光束制御部材30内に入射する光は、光軸OA上を通る中心光を除いて光軸OAに対する角度が小さくなる方向に屈折される。
【0057】
このような本変形例における光束制御部材30は、入射領域35に入射した発光素子12の出射光を、フレネル形状の第1全反射面36bによる全反射または中央部35aの透過によって、第2全反射面16側に適切に進行させることができる。
【0058】
そして、入射領域35側から到達した光を、第2全反射面16によって仮想平面Sを対称面とした互いに面対称な両側方に向かって全反射させ、第1出射面31および第2出射面32から発散光として出射させることができる。
【0059】
これにより、図1〜図8の構成と同様に、傾斜反射面10上における隣接する光束制御部材30による照射部分(明部)同士の間の光量不足を補うことができる。
【0060】
この他にも、本変形例における入射領域35を、第1変形例における凹曲面状の第1出射面31および第2出射面32と組み合わせるようにしてもよい。
【実施例】
【0061】
次に、本発明の実施例として、図1〜図8に示した構成についての光線追跡シミュレーションおよび輝度測定の結果を、従来の光束制御部材14を用いた構成との比較によって説明する。
【0062】
本実施例においては、前述のように、発光素子12(光束制御部材30、14)の整列方向をX軸方向、仮想平面Sおよび光軸OAに直交する方向をY軸方向、光軸OA方向(面光源装置34、1の厚み方向)をZ軸方向としたXYZ直交座標系を定義した。より具体的には、図16および図18に示すように、X軸方向に沿って整列配置された9つの発光素子12のうちの最も中央に配置された1つの発光素子12の発光面の中心点を、(X,Y,Z)=(0,0,1)(単位はmm、以下同様)とし、原点(0,0,0)を、当該発光面の中心点にZ軸方向において対向する基板13の表面上の位置とした。
【0063】
まず、本実施例においては、中央の1つの発光素子12から出射された光束のうちの1本の代表光線を追跡し、この代表光線の各測定ポイントにおけるXYZ座標を測定した。なお、面光源装置の具体的な寸法は、図16に示す通りである。そして、各測定ポイントにおける測定結果は、以下の表1および表2に示すものとなった。なお、表1は、本発明の構成についての測定結果であり、表2は、従来の構成についての測定結果である。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
表1および表2に示すように、本発明の構成と従来の構成とでは、発光素子12からの代表光線のXYZ座標は、出射点(発光素子)、第2入射面(光束制御部材)、第1全反射面(光束制御部材)および第2全反射面(光束制御部材)の各測定ポイントにおいて互いに一致している。一方、出射面の形状の相違により、本発明の構成と従来の構成とは、出射面およびY=100mmの位置の各測定ポイントにおける代表光線のXYZ座標が互いに異なっている。
【0067】
ここで、測定ポイント(Y=100mm)におけるX座標に着目すると、従来の構成ではX=4.79mmであるのに対して、本発明の構成ではX=−20.04mmとなることが分かる。この結果は、本発明の構成の方が、従来の構成よりも出射面からの出射光の発散に適していることを示していると言える。
【0068】
次に、本発明の構成および従来の構成についての輝度測定は、図16に示すように、X値を可変とし、Y=100mm(一定)の測定位置において面光源装置1の発光面上の輝度測定を行った。その測定結果は図17に示すものとなった。なお、図17における横軸は、各測定位置(Y=100mm)におけるX座標である。また、同図における縦軸は、測定点における輝度ムラ(無次元量)である。なお、各測定点の輝度ムラは、次式によって求めることができる。
【0069】
輝度ムラ=(測定点の輝度−A)/A (1)
但し、(1)式におけるAは、測定点の周囲約55mm四方の平均輝度(cd/mm)である。
【0070】
ここで、図17に本発明の構成による輝度むらを実線、従来の構成による輝度むらを破線で示す。これより本発明の構成の方が、従来の構成に比べて広い範囲にわたって輝度ムラが低減されていることが分かる。
【0071】
したがって、本実施例によれば、本発明の構成の方が、従来の構成に比べて輝度の均一性に優れていると言える。
【0072】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0073】
例えば、ホルダ22は、必要に応じて設けるようにしてもよい。また、反射/拡散手段としては、傾斜反射面10の代わりまたは傾斜反射面10とともに、光束制御部材からの出射光を拡散させる公知の拡散面を備えてもよい。
【符号の説明】
【0074】
12 発光素子
15 凹部(発光素子対向面部)
16 第2全反射面
17 第1全反射面(外周面)
19 第1入射面
20 第2入射面
30 光束制御部材
31 第1出射面
32 第2出射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子から出射された光の進行方向を制御する光束制御部材であって、
前記発光素子に対向して配置される発光素子対向面部と、
この発光素子対向面部に対して前記発光素子と反対側に形成された反発光素子対向面部と、
前記発光素子対向面部の外周端部から前記発光素子と反対側に向かって延設された外周面と、
この外周面に対して前記発光素子と反対側であって前記反発光素子対向面部の外側に形成された出射面と
を備え、
前記発光素子対向面部は、
前記発光素子から出射された光を入射させるための凹部を有し、
前記凹部は、
光軸に直交する平面に形成され、前記発光素子から出射された光のうちの中心側の第1の光が入射する第1入射面と、
この第1入射面の外周端部から前記発光素子側に向かって延設され、前記発光素子から出射された光のうちの前記第1の光の外側の第2の光が入射する第2入射面と
を有し、
前記外周面は、
前記発光素子と反対側に向かうにしたがって外径が漸増するように形成され、前記第2入射面に入射した前記第2の光を前記反発光素子対向面部に向けて全反射させる第1全反射面を有し、
前記反発光素子対向面部は、
前記光軸を含む所定の平面を対称面とした面対称形状に形成されるとともに、前記所定の平面に直交する任意の断面において、前記所定の平面との交点位置が谷となるV字形状を呈し、前記第1の光および前記第2の光を全反射させる第2全反射面を有し、
前記出射面は、
前記所定の平面を対称面とした互いに面対称な形状に形成され、前記第2全反射面によって全反射された前記第1および第2の光を出射させる第1出射面および第2出射面を有し、
前記第1出射面および前記第2出射面は、
前記第2全反射面によって全反射された前記第1および第2の光を屈折して発散させた状態で出射させる形状に形成されていること
を特徴とする光束制御部材。
【請求項2】
発光素子から出射された光の進行方向を制御する光束制御部材であって、
前記発光素子に対向して配置される発光素子対向面部と、
この発光素子対向面部に対して前記発光素子と反対側に形成された反発光素子対向面部と、
前記反発光素子対向面部の外側に形成された出射面と
を備え、
前記発光素子対向面部は、
前記発光素子から出射された光を入射させるための入射領域を有し、
前記入射領域は、
光軸方向から見た場合に光軸を中心とした同心円環状を呈するとともに前記光軸を含む断面が鋸刃状を呈するような径方向において互いに隣接する複数の突起部を有し、
前記突起部は、
前記発光素子から出射された光が入射し、この入射した光を屈折させる入射面と、
この入射面に対して前記光軸を基準とした径方向の外側位置に形成され、前記入射面から入射した光を前記反発光素子対向面部に向けて全反射させる第1全反射面と
を有し、
前記反発光素子対向面部は、
前記光軸を含む所定の平面を対称面とした面対称形状に形成されるとともに前記所定の平面に直交する任意の断面において、前記所定の平面との交点位置が谷となるV字形状を呈し、前記第1全反射面によって全反射された光を更に全反射させる第2全反射面を有し、
前記出射面は、
前記所定の平面を対称面とした互いに面対称な形状に形成され、前記第2全反射面によって全反射された光を出射させる第1出射面および第2出射面を有し、
前記第1出射面および前記第2出射面は、
前記第2全反射面によって全反射された光を屈折して発散させた状態で出射させる形状に形成されていること
を特徴とする光束制御部材。
【請求項3】
前記第1出射面および前記第2出射面は、
前記所定の平面に対して平行に形成されていること
を特徴とする請求項1または2に記載の光束制御部材。
【請求項4】
前記第1出射面および前記第2出射面は、
光軸方向から見た場合に前記所定の平面側に凹入するように湾曲された形状を呈する凹曲面に形成されていること
を特徴とする請求項1または2に記載の光束制御部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光束制御部材および発光素子を備えたこと
を特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光装置が、請求項1〜4に記載の所定の平面に平行かつ光軸に直交する整列方向に所定の間隔を設けて複数整列配置され、
前記複数の発光装置に対してこれらの光束制御部材の第1出射面および第2出射面からの光の出射側の位置に、前記第1出射面および前記第2出射面からの出射光を反射および/または拡散させる反射/拡散手段を備えたこと
を特徴とする面光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−231023(P2012−231023A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98499(P2011−98499)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】