説明

光沢発生装置および光沢発生プログラム

【課題】
画像形成において記録用紙の部分に応じてトナーを平滑化し高光沢の画像を形成する必要があるが、グロッサーで記録用紙を搬送するために用いられるシートは表面が平滑であるため、シート上を記録用紙が滑ってしまい、記録用紙における光沢を発生させる処理を施す部分を正確に特定できず、記録用紙の部分ごとに正確に光沢を制御することができない。
【解決手段】
先端検知手段が記録媒体の先端を検知した後、記録媒体の搬送距離を計測する距離計測手段と、記録媒体の先端に基づいて計測された距離における記録媒体上の位置を検知する位置検知手段と、前記位置検知手段によって算出された前記記録媒体上の位置が前記光沢情報取得手段によって取得した前記光沢情報が表す光沢を発生させる位置である場合に、前記記録媒体上の前記位置を加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に形成された画像を処理する光沢発生装置および光沢発生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に写真が表される画像を印刷するときに、その画像の光沢度を高くすることによって、高級感のある鮮やかな色を再現することが求められている。そのために、透明トナーとよばれる光沢度を調整するための特殊色トナーを用いる技術が知られている。このような透明トナーを用いた場合に実現できる画像の光沢度は、一般的にGS(60°)70%までが限界となる。そこで、より高い光沢度で画像を形成するために、画像が形成されている印刷物を加熱して、ベルト上で圧力をかけることによって、トナーの表面を平滑化する印刷制御装置が特許文献1に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、トナー表面部分を平滑化することによって高光沢の画像を形成することが求められる一方、ビジネス文書を表す画像では、文字が読みやすいように低光沢の画像を形成することが求められている。このような高光沢の画像と低光沢の画像が1枚の用紙に形成される場合、光沢発生装置は用紙内の位置に応じて光沢を発生させたり、光沢を発生させなかったりしなければならない。ところが、光沢発生装置で記録媒体を搬送するために用いられるベルトは表面が平滑であるため、その上を記録用紙が滑ってしまい、記録媒体における光沢を発生させる処理を施す位置を正確に特定できないことがある。そのため、記録媒体上の位置ごとに正確に光沢を制御することができないという課題が発生している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、トナーが定着している記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する搬送手段と、前記記録媒体において光沢を発生させる位置を表す光沢情報を取得する光沢情報取得手段と、前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体における前記搬送方向側の先端を検知する先端検知手段と、前記先端検知手段が記録媒体の先端を検知した後、前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体の搬送距離を計測する距離計測手段と、前記先端検知手段によって検知された前記記録媒体の先端に基づいて前記距離計測手段によって計測された距離における前記記録媒体上の位置を検知する位置検知手段と、前記位置検知手段によって算出された前記記録媒体上の位置が前記光沢情報取得手段によって取得した前記光沢情報が表す光沢を発生させる位置である場合に、前記記録媒体上の前記位置を加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、記録媒体における前記搬送方向側の先端を検知する先端検知手段と、前記先端検知手段が記録媒体の先端を検知した後、記録媒体の搬送距離を計測する距離計測手段と、前記先端検知手段によって検知された前記記録媒体の先端に基づいて前記距離計測手段によって計測された距離における前記記録媒体上の位置を検知する位置検知手段と、前記位置検知手段によって算出された前記記録媒体上の位置が、光沢情報が表す光沢を発生させる位置である場合に、前記記録媒体上の前記位置を加熱する加熱手段と、を有するので、記録媒体上の位置ごとに正確に光沢を制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図2】画像形成装置および光沢発生装置の制御部のハードウェア構成図である。
【図3】光沢発生装置のハードウェア構成図である。
【図4】部分加熱部のハードウェア構成図である。
【図5】情報処理装置のハードウェア構成図である。
【図6】画像形成装置の制御部の機能構成図である。
【図7】光沢発生装置の制御部の機能構成図である。
【図8】光沢情報を説明するための模式図である。
【図9】情報処理装置の機能構成図である。
【図10】光沢情報を入力するためのインターフェースとなる画面の例である。
【図11】情報処理装置の処理の概要を示す処理フロー図である。
【図12】画像形成装置の処理の概要を示す処理フロー図である。
【図13】光沢発生装置の処理の概要を示す処理フロー図である。
【図14】搬送方向側の先端から用紙検知センサまでの距離を計測する処理の概要を示す処理フロー図である。
【図15】計測ローラの回転角度を計測する処理を説明するための図である。
【図16】受光素子で受けた光の強度を示す概念図である。
【図17】用紙の搬送距離を算出する処理を説明するための図である。
【図18】計測ローラの回転角度を計測する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図1乃至図18を用いて、本発明にかかる光沢発生装置の一例としての光沢発生装置2の実施の形態を説明する。本実施形態の光沢発生装置2は画像形成装置1に接続され、画像形成装置1から排出された記録媒体としての用紙が光沢発生装置2に挿入される。また、画像形成装置1は通信ネットワーク等を経由して各種情報を情報処理装置3から受け付ける。
【0008】
<<実施形態のハードウェア構成>>
本実施形態の画像形成装置1のハードウェア構成、および画像形成装置1に各種情報を送信する情報処理装置3のハードウェア構成を説明する。図1は、画像形成装置1のハードウェア構成図である。図2は、画像形成装置1の制御部のハードウェア構成図である。図3は、光沢発生装置2のハードウェア構成図である。図4は、部分加熱部207の構成図である。図5は、情報処理装置3のハードウェア構成図である。
【0009】
<画像形成装置のハードウェア構成>
図1に示されるように、本実施形態の画像形成装置1は制御部、プリンタ部12、給紙部13、スキャナ部14、排紙部15を有している。
【0010】
まず、図2を用いて画像形成装置1の制御部のハードウェア構成を説明する。
【0011】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、HD(Hard Disk)105、ネットワークI/F(Interface)106、操作パネル107、およびバスライン108を有している。
【0012】
CPU101はプログラムを実行する。ROM102にはシステム起動プログラムの情報などが格納されている。RAM103はCPU101がプログラムを実行するワーク用エリアとして使用される。HDD104は、HD105に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。HD105はデータを記憶する記憶装置であり、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disc)等の外部記憶装置に代替可能である。ネットワークI/F106は、情報処理装置3などの外部機器と各種情報を送受信するためのものであり、操作パネル107は、ユーザからの操作入力を受け付けるためのものである。バスライン108は、上記各部を接続するためのものである。
【0013】
ROM102に記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0014】
ここで図1に戻って、プリンタ部12のハードウェア構成を説明する。
【0015】
プリンタ部12は、カートリッジ121、感光体ドラム122、帯電部123、現像部124、中間転写ベルト125、二次転写ローラ126、定着部127、および反転部128等を有している。定着部127は、加圧ローラ1271、定着ベルト1272等を有している。反転部128は、第一の反転用ローラ1281、第一の反転用ベルト1282、第二の反転用ローラ1283、第二の反転用ベルト1284等を有している。
【0016】
カートリッジ121はシアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色、黒(K)色のトナーを収容しているものであり、各トナーの種類に対応した4つのカートリッジ121C、121M、121Y、121Kを有している。なお、以下では、カートリッジ121C、121M、121Y、121Kのうち任意のカートリッジは「カートリッジ121」と示されている。
【0017】
感光体ドラム122は、帯電部123により表面が一様に帯電され、制御部から受け取った画像形成情報に基づき、表面に静電潜像が形成されるものである。更に、感光体ドラム122は、静電潜像が形成された表面に、現像部124がトナーを付着させることによって、画像が形成されるものである。感光体ドラム122は、C色、M色、Y色、K色の各トナーの種類に対応した5つの感光体ドラム122C、122M、122Y、122Kを有している。なお、以下では、感光体ドラム122C、122M、122Y、122Kのうち任意の感光体ドラムは「感光体ドラム122」と示されている。
【0018】
帯電部123は、後述する制御部の網点面積率決定部112によって決定された網点面積率に基づいて、感光体ドラム122に接触して電圧を印加することにより、感光体ドラム122の表面を帯電させるものである。帯電部123は、C色、M色、Y色、K色の各トナーの種類に対応した5つの帯電部123C、123M、123Y、123Kを有している。なお、以下では、帯電部123C、123M、123Y、123Kのうち任意の帯電部は「帯電部123」と示されている。
【0019】
現像部124は、カートリッジ121内のトナーを帯電部123によって帯電された感光体ドラム122に付着させることにより、各感光体ドラム122の表面に画像を形成するものである。現像部124は、C色、M色、Y色、K色の各トナーの種類に対応した5つの現像部124C、124M、124Y、124Kを有している。なお、以下では、現像部124C、124M、124Y、124Kのうち任意の帯電部は「現像部124」と示されている。中間転写ベルト125は、感光体ドラム122に当接しながら搬送されることにより、その表面に画像が形成されるものである。また、表面に画像が形成された後、用紙にその画像を転写するものである。
【0020】
二次転写ローラ126は、後述する給紙部13から搬送された用紙を、中間転写ベルト125との間に挟み込むことにより、中間転写ベルト125に形成された画像を用紙に転写し、画像が形成された用紙を定着部127に送るものである。
【0021】
定着部127は、二次転写ローラ126から送られた用紙に画像を定着させるものであり、加圧ローラ1271、定着ベルト1272等を有している。加圧ローラ1271は、後述する定着ベルト1272との間に用紙を押し当て、熱を付与することにより、用紙に画像を定着させるものである。定着ベルト1272は、加圧ローラ1271との間に用紙を押し当てることにより、用紙に画像を定着させるものである。
【0022】
反転部128は定着部127によって定着された用紙の面の向きを反転させるものである。反転部128が有する第一の反転用ローラ1281は、定着部127を通過した用紙を第一の反転用ベルト1282を移動させることによって搬送する。反転部128が有する第二の反転用ローラ1283は、第一の反転用ベルト1282に対向するように設置されている第二の反転用ベルト1284を移動させるものである。第二の反転用ベルト1284は、第二の反転用ローラ1283によって、第一の反転用ベルト1282が移動する方向と反対の方向に移動される。第二の反転用ベルト1284は、その面に載置された用紙を搬送する。
【0023】
定着部127によって処理された用紙は、トナーが定着していない面が第一の反転用ベルト1282と接するように搬送される。そして、この第一の反転用ベルト1282を所定の位置で止め、用紙の反対側で接している第二の反転用ベルト1284が第一の反転用ベルト1282が移動する方向と反対方向に移動すると、用紙のトナーが定着している面が第二の反転用ベルト1284に接した状態で搬送されることになる。このようにして反転部128は用紙の面の向きを反転させる。
【0024】
続いて、給紙部13のハードウェア構成を説明する。
【0025】
給紙部13は、用紙をプリンタ部12に供給するものであり、給紙トレイ131、給紙ローラ132、レジストローラ133を有している。
【0026】
給紙トレイ131は、用紙を収容するものである。給紙ローラ132は、給紙トレイ131に収容されている用紙を取り出し、レジストローラ133に差し入れるものである。レジストローラ133は、給紙ローラ132によって差し入れられた用紙を中間転写ベルト125と二次転写ローラ126との間に送り入れるものである。
【0027】
スキャナ部14は、用紙等に記載された画像情報を読み取るものであり、コンタクトガラス141、読取センサ142を有している。コンタクトガラス141は、画像が記載された用紙が載置されるものである。読取センサ142はコンタクトガラス141に載置されている用紙に記されている画像情報を読み取るものである。
【0028】
排紙部15は、プリンタ部12で画像が形成された用紙を排紙するものである。
【0029】
<光沢発生装置のハードウェア構成>
次に、図3を用いて光沢発生装置2のハードウェア構成を説明する。
【0030】
光沢発生装置2は、用紙を加熱することにより用紙に定着されたトナーを溶解し、その後、表面が平滑なベルト上で溶解されたトナーに圧力をかけて冷却し、トナーの表面を平滑化することによって光沢を発生させる装置である。光沢発生装置2は、グロッサベルト201、ローラ202、ローラ203、ローラ204、計測ローラ205、用紙検知センサ206、部分加熱部207、第一の加圧ローラ208、第二の加圧ローラ209、第三の加圧ローラ210、冷却部211、および制御部を有している。
【0031】
グロッサベルト201は、ローラ202、ローラ203、ローラ204によって掛け渡され循環する無端状のベルトであり、計測ローラ205、部分加熱部207、第一の加圧ローラ208、第二の加圧ローラ209と第三の加圧ローラ210、冷却部211の順に用紙を搬送するように動くものである。また、部分加熱部207によって溶融されたトナーがグロッサベルト201に押し当てられ、加圧されることによって、画像に光沢が付与されるので、グロッサベルト201の表面は平滑である必要がある。
【0032】
ローラ202、ローラ203、ローラ204は、グロッサベルト201を掛け渡し、それを一方向に循環させるように回転するものである。計測ローラ205は、グロッサベルト201との間に用紙を挟んだ状態で回転する。計測ローラ205は、接している用紙が搬送されることによって計測ローラ205が回転する程度の摩擦力を発生させる材質であり、計測ローラ205の表面を用紙が滑ることのない程度の摩擦力を発生させる材質である。
【0033】
用紙検知センサ206は、搬送された用紙の搬送方向の先端が所定の位置に到達したことを検知するものであり、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の光源とその反射を検知する部材によって構成される。所定の位置とは、部分加熱部207と、計測ローラ205とグロッサベルト201の接点との間のいずれかの位置である。なお、用紙検知センサ206は先端検知手段の一例である。
【0034】
部分加熱部207は、ヒータ等の発熱部2071により熱を発生することで用紙に定着されたトナーを加熱するものである。図4に示されるように、部分加熱部207は、微細な発熱部2071が紙の搬送方向に垂直な方向に並べられることによって構成され、ひとつの発熱部2071が後述する光沢情報が示す用紙の加熱単位部分bを加熱する。このように部分加熱部207が用紙を部分的に加熱することによって、加熱された部分に定着しているトナーの温度が上昇して軟化され、トナーの粘弾性が下がる。
【0035】
第一の加圧ローラ208は、部分加熱部207によって用紙の一部が加熱される際にグロッサベルト201との間にある用紙に圧力を加える。第一の加圧ローラ208は、部分加熱部207を対向圧接するように配置される。部分加熱部207が用紙を加熱することによって粘弾性の低下したトナー表面を、第一の加圧ローラ208がグロッサベルト201との間に挟み圧力を加えることでトナー表面を平滑にする。
【0036】
第二の加圧ローラ209、第三の加圧ローラ210は部分加熱部207によって部分的に加熱された用紙を一様に加圧する。これによって、部分加熱部207および第一の加圧ローラを通過した用紙に定着しているトナー表面はさらに平滑化される。このとき第二の加圧ローラ209、第三の加圧ローラ210は、部分加熱部207によって加熱された熱を保つ程度にトナーを加熱しておくとトナーの硬化が防げるので、トナー表面を平滑化するのにより好適である。
【0037】
冷却部211は、加熱・加圧されたトナーを冷却する。これによって、トナーの温度はガラス転移点以下に下がりトナーが硬化し、トナー表面の平滑性が保持される。冷却部211を構成する冷却装置は、ファンによる空冷方式、液体ジャケット、ラジエータおよびファンを用いる液冷方式、冷媒、ヒートポンプを用いるヒートポンプ方式のいずれのものでもよい。
【0038】
なお、部分加熱部207は加熱手段の一例であり、第二の加圧ローラ209および第三の加圧ローラ210は加圧手段の一例であり、冷却部211は冷却手段の一例である。また、グロッサベルト201は平滑部材の一例であり、計測ローラ205は回転体の一例である。
【0039】
光沢発生装置2の制御部のハードウェア構成は、画像形成装置1の制御部のハードウェア構成と同様である。したがって、ここでの説明を省略する。ただし、ROM102には、光沢発生装置2を制御するための光沢発生プログラムが記録されている。
【0040】
<情報処理装置のハードウェア構成>
続いて、図5を用いて情報処理装置3のハードウェア構成を説明する。
【0041】
情報処理装置3は、情報処理装置3全体の動作を制御するCPU301、情報処理プログラムを記憶したROM302、CPU301のワークエリアとして使用されるRAM303、各種データを記憶するHD(Hard Disk)304、CPU301の制御にしたがってHD304に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)305、フラッシュメモリ等の記憶メディア306に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアドライブ307、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報をディスプレイに表示させるためのディスプレイI/F(Interface)308、通信ネットワークを利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F309、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボードを制御するためのキーボードI/F310、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行うマウスを制御するためのマウスI/F311、着脱可能な記憶媒体の一例としてのCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)312に対するデータの読み出し又は書き込みを制御するCD−ROMドライブ313、及び、上記各構成要素を図5に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン314を備えている。
【0042】
なお、上記情報処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記憶メディア306やCD−ROM312等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0043】
<<実施形態の機能構成>>
続いて、図6乃至図10を用いて本実施形態の機能構成を説明する。図6は、画像形成装置1の制御部の機能構成図である。図7は、光沢発生装置2の制御部の機能構成図である。図8は、光沢情報を説明するための模式図である。図9は、情報処理装置3の機能構成図である。図10は、光沢情報を入力するためのインターフェースとなる画面の例である。
【0044】
<画像形成装置の機能構成>
まず、図6を用いて、画像形成装置1の制御部の機能構成を説明する。図6に示されるように、制御部は、情報受付部111、網点面積率決定部112、および情報送信部113を有している。網点面積率決定部112は、画像情報変換部1121、下色除去部1122を有している。情報受付部111、網点面積率決定部112、および情報送信部113は、図2に示されるROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0045】
情報受付部111は、通信ネットワーク等を経由して情報処理装置3から送信された画像情報および光沢情報を含む情報を受け付ける。ここで、画像情報とは、用紙等の用紙に形成させる画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を示す電気的な色分解画像信号を用いて示されたものである。以降では、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を示す電気的な色分解画像信号を用いて示された画像情報をRGB画像情報という。
なお、光沢情報については追って<光沢発生装置の機能構成>で説明する。
【0046】
網点面積率決定部112は、情報受付部111で受け付けたRGB画像情報に基づいて、C色、M色、Y色、K色の各トナーの網点面積率Rc、Rm、Ry、Rk(以降、画像形成情報という)を決定するものである。網点面積率決定部112は、画像情報変換部1121、下色除去部1122を有している。画像情報変換部1121は、RIP(Raster Image Processing)処理によって、RGB画像情報に対して色空間変換処理等を実施することにより、単位面積内でC色、M色、Y色の各トナーを付着させる網点面積率Rc0、Rm0、Ry0を決定する。網点面積率決定部112が有する下色除去部1122は、画像情報変換部1121によって変換されたC色、M色、Y色の各網点面積率Rc0、Rm0、Ry0に対して、下色除去(UCR:Under Color Removal)処理を行う。このように、画像情報変換部1121および下色除去部1122によって処理が行われることによって、画像形成情報が決定される。
【0047】
網点面積率とは、用紙の所定の面積に対してトナーを付着させる面積の割合である。網点面積率が0%のときには所定の面積にトナーは全く付着されず、網点面積率が100%のときには所定の面積の全てにトナーが付着される。
【0048】
情報送信部113は、図2に示されるネットワークI/F等によって構成され、光沢発生装置2に対して光沢情報を含む情報を送信する。
【0049】
<光沢発生装置の機能構成>
次に、図7を用いて光沢発生装置2の制御部の機能構成を説明する。図7に示されるように、光沢発生装置2は、光沢情報取得部231、搬送部232、位置検知部233、距離計測部235を有している。位置検知部233は、用紙先端検知部234、距離計測部235を有しており、距離計測部235はローラ回転角度計測部2351、算出部2352を有している。光沢情報取得部231、搬送部232、位置検知部233距離計測部235は、図2に示されるROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0050】
光沢情報取得部231は、画像形成装置1の情報送信部113によって送信された光沢情報を受け付ける。光沢情報とは、画像形成装置1によって形成される画像において光沢発生装置2によって光沢を発生させる部分(以降、光沢部分という)の用紙における位置と光沢を発生させない部分(以降、非光沢部分という)の用紙における位置を表す情報である。

【0051】
ここで光沢情報について図8を用いて詳細に説明する。図8には、画像が形成される用紙と用紙の搬送方向が点線の矢印で示されている。また、実線の矢印で主走査方向、副走査方向がそれぞれ示されている。また、主走査方向のx座標、副走査方向のy座標を定め、これらの座標を用いて加熱単位部分bの位置が表現されている。加熱単位部分bとは前述の部分加熱部207を構成する微細加熱部のひとつが加熱する用紙の部分である。
【0052】
図8に示される例では、用紙に形成される文字Aが光沢部分とされている。この場合、各加熱単位部分b1が文字Aの一部、すなわち光沢部であれば光沢を発生させるので、その加熱単位部分b1は光沢部分とされ、光沢フラグ「1」が付与されている。各加熱単位部分b2が文字Aの一部でなければ光沢を発生させないのでその加熱単位部分b2は非光沢部分とされ光沢フラグ「0」が付与されている。このようにして、全ての加熱単位部分bに対して「1」または「0」の光沢フラグが付与されている情報を光沢情報という。図8に示される例では、座標(3,2)にある加熱単位部分b2の光沢フラグは「0」、座標(15,6)にある加熱単位部分b1の光沢フラグは「1」である。なお、本実施形態では情報処理装置3が光沢情報を生成する。その処理の詳細については、追って<情報処理装置3の機能構成>で説明する。なお、光沢情報取得部231は、光沢情報取得手段の一例である。
【0053】
搬送部232は、ローラ202、ローラ203、ローラ204を回転させることによってグロッサベルト201を循環させ、グロッサベルト201に載置された用紙を搬送するものである。搬送部232は、画像形成装置1の排紙部15によって排紙され、光沢発生装置2の用紙挿入口から挿入された画像形成済みの用紙を部分加熱部207等の方向へ搬送する。なお、搬送部232は搬送手段の一例である。
【0054】
位置検知部233は、用紙上における部分加熱部207が接している位置の、用紙の搬送方向側の先端からの距離を計測する。位置検知部233が有する用紙先端検知部234は、用紙検知センサ206によって構成され、搬送部232によって搬送された用紙の先端が部分加熱部207に到達したことを検知する。なお、位置検知部233は位置検知手段の一例である。
【0055】
距離計測部235は搬送部232によって用紙が搬送された距離を計測するものであり、ローラ回転角度計測部2351、算出部2352を有する。ローラ回転角度計測部2351は、計測ローラ205によって構成され、用紙先端検知部234が用紙の先端が所定の位置に到達したことを検知してから、計測ローラ205が用紙を搬送する方向に回転した角度を計測する。なお、距離計測部235は距離計測手段の一例であり、ローラ回転角度計測部2351は角度計測手段の一例である。
【0056】
算出部2352は、用紙先端検知部234が用紙の先端を検知してから、ローラ回転角度計測部2351が計測した計測ローラ205の回転角度と計測ローラ205の円周の長さに基づいて用紙の搬送距離を算出することによって、用紙上における搬送方向側の先端から部分加熱部207が接している位置までの距離を算出する。
【0057】
<情報処理装置の機能構成>
次に、図9を用いて情報処理装置3の機能構成を説明する。図9に示されるように、情報処理装置3は、送信部321、表示制御部322、操作入力受付部323、画像情報記憶部324、光沢情報生成部325を有している。送信部321、表示制御部322、操作入力受付部323、および光沢情報生成部325は、図5に示されているROM302に記憶されているプログラムに従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。画像情報記憶部324は、図5に示されるHD304等により構築されている。
【0058】
送信部321は、図5に示されているネットワークI/F309によって実現され、通信ネットワークを介して画像形成装置1に各種情報を送信するものである。表示制御部322は、図5に示されているディスプレイI/F308によって実現され、表示装置330に各種情報を表示させるための制御を行う。操作入力受付部323は、図5に示されているキーボードI/F310、マウスI/F311によって実現され、ユーザが操作入力する各種情報を受け付ける。
【0059】
画像情報記憶部324は、用紙に形成する画像を表す画像情報を記憶しているものである。光沢情報生成部325は、操作入力受付部323によって受け付けられた入力情報に基づいて、画像情報記憶部324に記憶されている画像情報が表す画像についての光沢情報を生成するものである。光沢情報生成部325は、操作入力受付部223によって受け付けられた情報に基づいて、光沢部分の位置、非光沢部分の位置を表す光沢情報を生成する。
【0060】
ここで、ユーザが操作入力するために、表示制御部322が表示装置330に表示させる画面331の例について図10を用いて説明する。画面331は光沢部分選択部332、確定ボタン333等から構成されている。光沢部分選択部332にはRGB画像情報が表す画像が表示され、ユーザがマウス等を用いて画像内の光沢部分を選択する。以降の説明では、文字Aが選択され、光沢部分として確定されるものとする。確定ボタン333は、光沢部分選択部332でユーザが領域を選択した後に押すことによって、選択された領域が光沢部分であると確定するためのものである。
【0061】
光沢情報生成部325は、前述した加熱単位部分bがユーザによって確定された光沢部分に含まれれば光沢を発生させることを示す光沢フラグ「1」を付与する。各加熱単位部分bが光沢部分に含まれなければ非光沢部分であるとして光沢フラグ「0」を付与する。このようにして、光沢情報生成部325は全ての加熱単位部分bに対して「1」または「0」の光沢フラグが付与することによって光沢情報を生成する。
【0062】
<<実施形態の処理・動作>>
続いて、図11乃至図18を用いて、本実施形態に係る処理を説明する。図11は、情報処理装置3の処理の概要を示す処理フロー図である。図12は、画像形成装置1の処理の概要を示す処理フロー図である。図13は、光沢発生装置2の処理の概要を示す処理フロー図である。図14は、搬送方向側の先端から所定の部分までの距離を計測する処理の概要を示す処理フロー図である。図15は、計測ローラの回転角度を計測する処理を説明するための図である。図16は、受光素子213で受けた光の強度の時間変化を示す図である。図17は、用紙の搬送距離を算出する処理を説明するための図である。図18は、計測ローラ205の回転角度を計測する処理を説明するための図である。
【0063】
図11に示されるように、まず、情報処理装置3の表示制御部322が画像情報記憶部324に記憶されているRGB画像情報に基づいて、表示装置330の画面331の光沢部分選択部332に画像を表示させる(ステップS11)。図10に示される光沢部分選択部332に表示されている画像のうち光沢部分をユーザがマウス、キーボード等を用いて選択するための操作入力を行い、確定ボタン333を押す。本実施形態では、前述のとおり光沢部分として文字Aが選択されるとして以降の処理を説明する。ユーザにより確定ボタン333が押されると、操作入力受付部323がユーザによって操作入力された光沢部分を示す情報を操作入力情報として受け付ける(ステップS12)。
【0064】
続いて、光沢情報生成部325が操作入力受付部323によって受け付けられた操作入力情報に基づいて、図8に示されるように画像内の光沢部分である文字Aが記載されている部分を構成する各加熱単位部分b1に対して光沢部分であることを示す光沢フラグ「1」を対応付ける。また、光沢情報生成部325は、図8に示されるように画像内の光沢部分、すなわち文字Aが記載されていない領域を構成する各部分b2に対して非光沢部部ことを示す光沢フラグ「0」を対応付ける。このようにして、画像内の各加熱単位部分bに光沢フラグとその部分の用紙における位置が対応付けられている光沢情報を生成する(ステップS13)。そして、送信部321が、画像情報記憶部324に記憶されているRGB画像情報と、そのRGB画像情報の光沢情報を、通信ネットワーク等を経由して画像形成装置1に送信する(ステップS14)。
【0065】
情報処理装置3の送信部321が、RGB画像情報および光沢情報を画像形成装置1に対して送信すると、図12に示されるように、画像形成装置1の情報受付部111が、情報処理装置3からネットワーク経由で送信されたRGB画像情報および光沢情報を受け付ける(ステップS21)。
【0066】
次に、網点面積率決定部112が、情報受付部111によって受け付けられたRGB画像情報に基づいて、画像形成情報を決定する。
【0067】
ここで、網点面積率決定部112が実施する処理を説明する。まず、網点面積率決定部112が有する画像情報変換部1121が、情報受付部111で受け付けたRGB画像情報を、C色、M色、Y色の各網点面積率に変換する。具体的には、RGB画像情報に対して、画像情報変換部1121が、シェーディング補正、位置ズレ補正、色空間の変換、ガンマ補正等の処理をすることによって、C色、M色、Y色の各網点面積率Rc0、Rm0、Ry0に変換する(ステップS22)。そして、下色除去部1122が、画像情報変換部1121によって算出されたC色、M色、Y色の各網点面積率Rc0、Rm0、Ry0に対して下色除去を行う(ステップS23)。これらの処理が行われることによって、画像形成情報であるC色、M色、Y色、K色の各網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkが決定される。
【0068】
続いて、プリンタ部12が網点面積率決定部112によって決定された網点面積率に基づいて用紙に画像を形成する。まず、感光体ドラム122の表面にトナー像を形成する(ステップS24)。具体的には、帯電部123が感光体ドラム122に接触して電圧を印加し、感光体ドラム122の表面を帯電させる。そして、不図示の露光装置から発せられたレーザ光が、網点面積率決定部112によって決定された画像形成情報に基づいて、感光体ドラム122の表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成されると、現像部124が、静電潜像が形成された感光体ドラム122表面に、各カートリッジ121に収容されているトナーを付着させることによって、感光体ドラム122の表面にトナー像を形成する。
【0069】
続いて、中間転写ベルト125が、感光体ドラム122に当接しながら搬送される。すると感光体ドラム122の表面に形成された画像が中間転写ベルト125に転写される。(ステップS25)。中間転写ベルト125にトナー像が一次転写された後、感光体ドラム122の表面は、除電器によって除電される。また、除電された感光体ドラム122の表面に残った転写残トナーは、清掃器によって除去される。
【0070】
そして、定着部127が、中間転写ベルト125に転写された画像を用紙に定着させる(ステップS26)。画像を用紙に定着させる処理を具体的に説明する。まず、給紙ローラ132が給紙トレイ131に収容されている用紙を取り出しレジストローラ133に差し入れる。そして、レジストローラ133は差し入れられた用紙を中間転写ベルト125と二次転写ローラ126の間に送り入れる。中間転写ベルト125と二次転写ローラ126の間に送り入れられた用紙は、中間転写ベルト125と二次転写ローラ126に挟まれ、搬送されることによって、中間転写ベルト125上の画像を転写される。次に、定着部127の加圧ローラ1271が、定着ベルト1272との間に用紙を押し当て、熱を付与することにより、用紙に画像を定着させる。
【0071】
定着部127によって用紙に画像が定着されると、反転部128は用紙の面の向きを反転させる(ステップS27)。具体的には、第一の反転用ローラ1281が第一の反転用ベルト1282を移動させることによって、第一の反転用ベルト1282に用紙におけるトナーが付着していない面(以降、非記録面という)が接するように搬送する。図1に示されるように第一の反転用ベルト1282と第二の反転用ベルト1284はそれらの面が対向するように設置されているので、用紙は第一の反転用ベルト1282によって搬送されることによって、第一の反転用ベルト1282に接していない用紙におけるトナーが付着していない面(以降、記録面という)が第二の反転用ベルト1284に接するようになる。このような状態で第一の反転用ベルト1282を止め、第二の反転用ローラ1283が第一の反転用ベルト1282と反対方向に第二の反転用ベルト1284を移動させる。すると、用紙は第二の反転用ベルト1284に記録面が接した状態で搬送される。このように反転部128によって反転されることにより、用紙は排紙部15によって排紙されるときには記録面が搬送ベルトと接している状態となる。最後に、排紙部15が、画像が形成された用紙を排出する(ステップS28)。
【0072】
一方、情報送信部113は、情報受付部111が受け付けた光沢情報を光沢発生装置2に対して送信する(ステップS29)。このようにして、画像形成装置1によって用紙にトナーが定着することによって画像が形成され、画像が形成された用紙が排出されると、光沢発生装置2が用紙に定着されたトナーを加熱および加圧することによって光沢を発生させる処理を行う。この処理の詳細について図13を用いて説明する。
【0073】
前述のように画像形成装置1の排紙部によって排出された用紙は、光沢発生装置2の挿入口から挿入され、記録面がグロッサベルト201に載置される。このようにして光沢発生装置2は用紙を受け付ける(ステップS31)。用紙が受け付けられると、用紙は搬送部232によって搬送され、部分加熱部207に接しながら通過する。このとき、位置検知部233は、用紙上における搬送方向側の先端から部分加熱部207に接している位置までの距離を計測する(ステップS32)。
【0074】
図14を用いてステップS32で位置検知部233が用紙上における位置を計測する処理について説明する。ステップS31で用紙は計測ローラ205に接しながらグロッサベルト201に搬送される。このとき、計測ローラ205と用紙が接することで生じる摩擦力によって用紙の搬送とともに計測ローラ205は回転する。なお、この摩擦力は用紙が計測ローラ205の表面を滑ることがない程度のものである。そして、搬送されている用紙の先端が部分加熱部207に到達したことを、用紙先端検知部234が検知する(ステップS321)。ステップS321で用紙先端検知部234によって用紙の先端が検知されると、ローラ回転角度計測部2351が計測ローラ205の回転角度を計測し始める(ステップS322)。
【0075】
ローラ回転角度計測部2351が計測ローラ205の回転角度を計測する処理について図15乃至図17を用いて説明する。図15に示されるように計測ローラ205は円柱の形状をしており、この例では円柱の底面となる円は中心から10度おきに放射状に区切られている。そして、区切られた区域は交互に白色、黒色に塗布され、それぞれ白区域205a、黒区域205bとされている。さらに、計測ローラ205の近傍には発光素子212および受光素子213が設置されている。発光素子212は計測ローラ205の底面である円内の予め定められた部分に対して光を発する。受光素子213は、計測ローラ205の底面が反射した光を受け、その強度を計測する。上述したとおり計測ローラ205は紙の搬送にともない回転するものであるから、光を反射する所定の部分は白区域205aおよび黒区域205bが交互に変更される。
【0076】
図16は、受光素子213で受けた光の強度の時間変化を示す図である。時刻t1から時刻t2まで、時刻t3から時刻t4まで、時刻t5から時刻t6まで、時刻t7から時刻t8までは光の強度が高いことから、これらの時刻で光は白区域205aで反射されていることがわかる。時刻0から時刻t1まで、時刻t2から時刻t3まで、時刻t4から時刻t5まで、時刻t6から時刻t7まで、時刻t8から時刻t9までは光の強度が低いことから、これらの時刻で光は黒区域205bで反射されていることがわかる。たとえば、時刻0で計測を開始してから時刻t8となるまでに、計測ローラ205は白区域205aまたは黒区域205bの8つ分に相当する角度分、回転したことになる。つまり、10度×8=80度回転したことになる。
【0077】
そして、ローラ回転角度計測部2351が計測ローラ205の回転角度を計測すると、算出部2352が、用紙の搬送方向側の先端から部分加熱部207に接している位置までの距離を算出する(ステップS323)。まず、算出部2352は計測ローラ205の回転角度と円周の長さによって計測ローラ205の外周が移動した距離を算出する。上述の例では、計測ローラ205が80°回転するので、外周が移動した距離は計測ローラ205の円周×(80°/360°)、すなわち、計測ローラ205の底面の円の直径×円周率×(80°/360°)として算出される。そして、算出部2352はこの距離を用紙の搬送距離Lとする。
【0078】
図17(1)には搬送されている用紙の先端が部分加熱部207に到達したときの用紙、部分加熱部207および計測ローラ205の状態が示されている。図17(2)には、用紙の先端が検知されてから時間tαが経過したときの部分加熱部207および計測ローラ205に接している用紙の位置が表されている。用紙の搬送とともに計測ローラ205がα度回転することによって、図17(1)で計測ローラ205の底面のうち用紙に接しているS点が、時間tαを経過したときには図17(2)に示されるS点にまで移動している。このとき、算出部2352は、このS点の移動距離を直径×円周率×(α/360°)とし、それを用紙の搬送距離L1として算出する。
【0079】
また、図17(3)には、用紙の先端が検知されてから時間tβが経過したときの用紙の位置を表している。用紙の搬送とともに計測ローラ205がβ度回転することによって、17(1)で用紙に接していた計測ローラ205表面のS点が、時間tβを経過したときには図17(3)に示されるS点にまで移動している。このとき算出部2352は、このS点の移動距離を計測ローラ205の底面の円の直径×円周率×(β/360°)とし、それを用紙の搬送距離L2として算出する。
【0080】
このようにして算出された用紙の搬送距離Lは、グロッサベルト201を挟んで部分加熱部207と接している位置から用紙の先端までの距離である。すなわち、位置検知部233は部分加熱部207に接している用紙上の位置は、用紙の搬送方向側の先端からLの距離の位置であると検知する。そして、位置検知部233によって検知された位置にある用紙の部分が、光沢情報取得部231によって取得された光沢情報において、光沢部分である場合には、部分加熱部207が接している用紙の部分を加熱する。
【0081】
具体的には、部分加熱部207に接している用紙の位置を示すy座標が1となる時刻に、図8に示される座標(1、1)、(2、1)、・・・・、(n、1)で表される加熱単位部分bのうち、光沢情報の光沢フラグが「1」とされている加熱単位部分b1に接する発熱部2071が発熱し、その加熱単位部分b1が加熱される(ステップS33)。また、光沢情報の光沢フラグが「0」とされている加熱単位部分b2に接している発熱部2071は発熱せず、その加熱単位部分b2は加熱されない。
【0082】
同様に、y座標が2となる時刻に座標(1,2)、(2,2)、・・・・、(n、2)で表される加熱単位部分bのうち、加熱単位部分b1に接する発熱部2071が発熱し、その加熱単位部分b1が加熱される。また、加熱単位部分b2に接している発熱部2071は発熱せず、その加熱単位部分b2は加熱されない。
【0083】
このように全てのy座標に対して同様の処理を行う。すなわち、部分加熱部207は、画像が形成されている用紙における光沢部分に対して加熱し、非光沢部分に対しては加熱しない処理を行う。これによって、光沢部分に定着しているトナーは温度が上がり溶融する。また、非光沢部分に定着しているトナーは温度が上がらず溶融されない。
【0084】
上述のように部分加熱部207によって用紙が部分的に加熱されると、第二の加圧ローラ209および第三の加圧ローラ210がグロッサベルト201と用紙を挟みこんで加圧する(ステップS34)。これによって、ステップS34で溶融されたトナーは平滑なグロッサベルト201に押し当てられ、トナーの表面が平滑になる。ステップS34で第二の加圧ローラ209および第三の加圧ローラ210によって用紙が加圧されると、冷却部211が加熱されたトナーを冷却する(ステップS35)。これによって、用紙の面に定着しているトナーは硬化され、平滑化されたトナー表面が安定して保持される。最後に、冷却部211によって冷却されて固化したトナーを定着した用紙は光沢発生装置2の外へ排出される(ステップS36)。
【0085】
上述の処理を行うことによって、用紙が平滑なグロッサベルト201の上を滑ってグロッサベルト201の移動より速くあるいは遅く搬送されても、任意の時刻において位置検知部233は用紙の搬送距離を正確に計測することができる。したがって、任意の時刻において部分加熱部207に接している用紙の位置を正確に知ることができ、光沢情報によって示される光沢部分に光沢を発生させ、非光沢部分には光沢を発生させない処理を正確に行うことが可能となる。
【0086】
<<実施形態の補足>>
なお、本実施形態では、ローラ回転角度計測部2351は、図18に示されるような円板205cを用いて回転角度を計測してもよい。この円板205cは計測ローラ205の回転とともに回転するように備え付けられているもので、円板205c内の外周に近い部分に等間隔で等しい大きさの穴205dを形成している。さらに、計測ローラ205の近傍には発光素子214および受光素子215が、それらの間に円板205cが置かれるように配置されている。発光素子214は計測ローラ205の底面となる円内の予め定められた位置に対して光を発する。発光素子が発光した光が穴205dを通過した場合、受光素子215が受光する光の強度は高く、発光素子214が発光した光が円板205cに遮られる場合は受光素子215が受光した光の強度は低い。この光の強度の時刻変化を利用することによって、前述した回転角度の計測処理と同様に計測ローラ205の回転角度を計測してもよい。
【0087】
また、本実施形態では、情報処理装置3から光沢発生装置2に光沢情報を送信してもよい。また、光沢発生装置2が有する操作パネル107からユーザによって入力された光沢情報を受け付けるとしてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、円柱の底面を10度おきに区切って白区域205aおよび黒区域205bを定めているが、より小さい角度で区切って白区域205aおよび黒区域205bを定めればより精密に計測ローラ205の回転角を測定できる。すなわち、用紙の搬送距離を精密に計測することができるので、より細かく光沢を発生させる制御を行うことができる。
【0089】
また、本実施形態では、ステップS21で情報受付部111が、情報処理装置3からネットワーク経由で送信されたRGB画像情報を受け付けるとしているが、スキャナ部14の読取センサ142がコンタクトガラス141に載置された原稿用紙等から取得したRGB画像情報を受け付けるとしてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、情報処理装置3の画像情報記憶部324に記憶されている画像情報を送信部321が送信するとしているが、情報処理装置3が生成した画像情報等、画像情報記憶部324に記憶されていない画像情報を送信部321が送信するとしてもよい。
【0091】
また、下色除去部1122が下色除去処理を行わず、画像情報変換部1121によって変換された各網点面積率Rc、Rm、Ryを画像形成装置1が付着させるトナーの網点面積率として決定してもよい。
【0092】
また、画像形成装置1がC色、M色、Y色、K色のトナーを用いて画像を形成するとしているが、C色、M色、Y色、K色のトナーのほかにクリアトナー等の特殊トナーを用いてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、光沢情報取得部231は情報処理装置3から送信された光沢情報を受け付けるとしているが、画像形成装置1が有する操作パネル107からユーザによって入力された光沢情報を受け付けるとしてもよい。
【0094】
<<実施形態の効果>>
本実施形態によれば グロッサベルト201によって搬送されている用紙の搬送方向側の先端から部分加熱部207に接している部分までの距離を計測するので、部分加熱部207に接している用紙の位置を正確に特定したうえで光沢部分の位置に光沢を発生させることが可能となる。
【0095】
また、本実施形態によれば、用紙の搬送に伴って回転する計測ローラ205の回転角度を計測することにより用紙の搬送距離を算出する。そして、用紙の搬送距離に基づいて、用紙における搬送方向側の先端から部分加熱部207に接している位置までの距離を計測する。したがって、用紙がグロッサベルト201上を滑り、グロッサベルト201の移動速度と用紙の搬送速度が異なってしまうことがあっても、用紙に形成されている画像所望の部分に正確に光沢を発生させることができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、グロッサベルト201の上側の面に用紙におけるトナーが定着している面を接するように用紙を載置するので、搬送中に用紙がグロッサベルト201から離れてしまうことを防ぐことができる。グロッサベルト201の下の面に記録面を接するように用紙を載置すると、本実施形態では部分的な加熱によってトナーの一部を溶融するのでトナーが溶融されていない部分は用紙がグロッサベルト201に接していない。したがって、重力によって用紙がグロッサベルト201から離れやすく、用紙が搬送経路から離れてしまうことがある。したがって、グロッサベルト201から離れることを防ぐために、用紙はグロッサベルト201の上側の面に載置されることが好ましい。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
106 ネットワークI/F
107 操作パネル
108 バスライン
12 プリンタ部
121 カートリッジ
122 感光体ドラム
123 帯電部
124 現像部
125 中間転写ベルト
126 二次転写ローラ
127 定着部
1271 加圧ローラ
1272 定着ベルト
128 反転部
1281 第一の反転用ローラ
1282 第一の反転用ベルト
1283 第二の反転用ローラ
1284 第二の反転用ベルト
13 給紙部
131 給紙トレイ
132 給紙ローラ
133 第一の給紙ベルト
134 レジストローラ
135 第二の給紙ベルト
14 スキャナ部
141 コンタクトガラス
142 読取センサ
15 排紙部
111 情報受付部
112 網点面積率決定部
1121 画像情報変換部
1122 下色除去部
113 情報送信部
2 光沢発生装置
201 グロッサベルト
202 ローラ
203 ローラ
204 ローラ
205 計測ローラ
206 用紙検知センサ
207 部分加熱部
208 第一の加圧ローラ
209 第二の加圧ローラ
210 第三の加圧ローラ
211 冷却部
212 発光素子
213 受光素子
214 発光素子
215 受光素子
231 光沢情報取得部
232 搬送部
233 位置検知部
234 用紙先端検知部
235 距離計測部
2351 ローラ回転角度計測部
2352 算出部
3 情報処理装置
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 HD
305 HDD
306 記憶メディア
307 メディアドライブ
308 ディスプレイI/F
309 ネットワークI/F
310 キーボードI/F
311 マウスI/F
312 CD−ROM
313 CD−ROMドライブ
314 バスライン
321 送信部
322 表示制御部
323 操作入力受付部
324 画像情報記憶部
325 光沢情報生成部
330 表示装置
331 画面
332 光沢部分選択部
333 確定ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特開2010−181636号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが定着している記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する搬送手段と、
前記記録媒体において光沢を発生させる位置を表す光沢情報を取得する光沢情報取得手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体における前記搬送方向側の先端を検知する先端検知手段と、
前記先端検知手段が記録媒体の先端を検知した後、前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体の搬送距離を計測する距離計測手段と、
前記先端検知手段によって検知された前記記録媒体の先端に基づいて前記距離計測手段によって計測された距離における前記記録媒体上の位置を検知する位置検知手段と、
前記位置検知手段によって算出された前記記録媒体上の位置が前記光沢情報取得手段によって取得した前記光沢情報が表す光沢を発生させる位置である場合に、前記記録媒体上の前記位置を加熱する加熱手段と、
を有することを特徴とする光沢発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光沢発生装置であって、
前記距離計測手段は、
前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体の搬送に伴って回転する回転体を有し、
前記回転体の周縁が前記回転によって移動した距離を前記記録媒体が移動した距離とすることを特徴とする光沢発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光沢発生装置であって、
前記回転体は前記搬送手段によって搬送される記録媒体が接することによって摩擦力によって回転することを特徴とする光沢発生装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光沢発生装置であって、
前記記録媒体と接する面が平滑な平滑部材と、
前記加熱手段によって前記領域が加熱された前記記録媒体を、前記記録媒体のトナーが付着している面が前記平滑部材と接するように加圧する加圧手段と、
前記加圧手段によって加圧された前記記録媒体を冷却する冷却手段と、
を有することを特徴とする光沢発生装置。
【請求項5】
請求項2乃至4に記載の光沢発生装置であって、
前記距離計測手段は、
前記回転体が回転した角度を計測する角度計測手段と、を有し
前記角度計測手段によって計測された前記回転角度に基づいて周縁が前記回転によって移動した距離を算出することを特徴とする光沢発生装置。
【請求項6】
トナーが定着している記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する搬送工程と、
前記記録媒体において光沢を発生させる位置を表す光沢情報を取得する光沢情報取得工程と、
前記搬送工程によって搬送される前記記録媒体における前記搬送方向側の先端を検知する先端検知工程と、
前記先端検知工程で記録媒体の先端を検知した後、前記搬送工程によって搬送される前記記録媒体の搬送距離を計測する距離計測工程と、
前記先端検知工程によって検知された前記記録媒体の先端に基づいて前記距離計測工程によって計測された距離における前記記録媒体上の位置を検知する位置検知工程と、
前記位置検知工程によって算出された前記記録媒体上の位置が前記光沢情報取得工程によって取得した前記光沢情報が表す光沢を発生させる位置である場合に、前記記録媒体上の前記位置を加熱する加熱工程と、
をコンピュータに実行させるための光沢発生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−33224(P2013−33224A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125982(P2012−125982)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】