説明

光源モジュール

【課題】 製造工数を抑えて安価な光源モジュールを提供する。
【解決手段】 本発明は、例えば、少なくとも3原色LEDと、X型ダイクロイックプリズムとを有する光源モジュールに関する。X型ダイクロイックプリズムのX型ダイクロイックプリズムのX面における光反射面が位置する部分には、所定の間隙が環境から気密に形成されており、第1帯域の光を反射する第1面は異なるプリズム面を含む同一面上に形成され、第2帯域の光を反射する第2面も異なるプリズム面を含み第1面と直交する同一面上に形成され、第1面には前記第1帯域の光を選択的に反射するサブ波長格子が形成されており、第2面には第2帯域の光を選択的に反射するサブ波長格子が形成されている。3原色LEDから出射された光がX型ダイクロイックプリズムで略同一光軸上で加法混色して出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源モジュールに関し、特に、少なくとも3原色LED(Light−Emitting Diode)とX型ダイクロイックプリズムとを有する光源モジュールに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
近年、大画面液晶表示装置やプロジェクタの発展に伴って、より色純度の高い画像を実現するために、3原色のLEDからの発光光を加法混色して白色光を得る光源モジュールが提案されている。ここで、色度座標上の独立した3色を用いることによって、これら3色で形成される色三角形の範囲内にある任意の色を表現することができ、3原色とは、このような色度座標上の独立した3色をいう。一般的には、赤、緑、青(青紫)が光の3原色として用いられることが多く、最近では、色再現範囲を拡げるため、これらの3色に黄色を混色した4原色を用いることもある。
【0003】
3原色LEDからの発光光から白色光を得る光源モジュール(LEDモジュール)としては、各3原色LEDからの光をレンズで平行光に変換した後、ダイクロイックミラーの反射面がX字型に交差した三角プリズムで3原色を合波混色して出射するものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、ダイクロイックミラーとしては、高屈折率誘電体薄膜と低屈折率誘電体薄膜とを所定の膜厚で交互に積層した誘電体多層膜ミラーや、波長の1/10程度の周期を持った周期格子(凸部)を所定のピッチで形成することによるサブ波長格子ミラーが知られている。
【特許文献1】特開2005−183005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のX型ダイクロイックプリズムは、三角プリズムに加工されたガラスやプラスチック直角面上に誘電体多層膜ミラーを形成して、誘電体多層膜ミラー面を光学接着剤で接合して形成するのが通常である。誘電体多層膜は、基板上に真空蒸着法やスパッタ法によって多くの膜を積層して成膜するため、成膜時間(工数)が長くなり、高価なものとなり、それを用いるX型ダイクロイックプリズムも、製造工数が長く高価になるという課題を有する。
【0006】
一方、サブ波長格子は、損傷し易い微細な凸部を多数有するため、複数の三角プリズムの接触面に設けられるダイクロイックミラーに用いられることはなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも3原色LEDと、上記各LEDからの光を加法混色する、ダイクロイックミラーを含む光学装置とを有する光源モジュールにおいて、上記ダイクロイックミラーとして機能する面部分が、所定の間隙を有する平行平面で規定される気密空間と、この気密空間の少なくとも一方の平面に設けられたサブ波長格子とを有することを特徴とする。
【0008】
ここで、上記光学装置が、X型ダイクロイックプリズムであって、上記3原色LEDが、赤色LED、緑色LED及び青色LEDである場合には、上記X型ダイクロイックプリズムのX面における光反射面が位置する部分には、所定の間隙が環境から気密に形成されており、上記赤色LEDからの赤色光を反射し、それ以外の光を透過する第1面は異なるプリズム面を含む同一面上に形成され、上記青色LEDからの青色光を反射し、それ以外の光を透過する第2面も異なるプリズム面を含み上記第1面と直交する同一面上に形成され、上記第1面には上記赤色光を選択的に反射するサブ波長格子が形成されており、上記第2面には上記青色光を選択的に反射するサブ波長格子が形成されており、上記3原色LEDから出射されるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造工数を抑えて安価な光源モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による光源モジュールの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る光源モジュールの概略構造を示す図面であり、X型ダイクロイックプリズムの部分については断面で示している。光源モジュールには、上下左右という概念がないものであるが、以下では、説明の便宜上、図1に示した状態に基づいて、上下左右を表現する。
【0012】
図1において、第1の実施形態の光源モジュール1は、3原色LEDである赤色LED2R、緑色LED2G及び青色LED2Bと、X型ダイクロイックプリズムを有する。X型ダイクロイックプリズムは、ベースプリズム3、第1サイドプリズム4、第2サイドプリズム5及びアッパープリズム6を備える。
【0013】
ベースプリズム3は、上方に直角が位置する概ね直角二等辺三角形の角柱状のものであり、その底辺部から、左右に張り出した部分を有する。
【0014】
ベースプリズム3の底辺部の中央には、プリント配線基板7の端部に搭載された緑色LED2Gが接合されている。プリント配線基板7としては、フィルム状プリント配線基板FPC(Flexible Printed Circuit)を用いることが多い。緑色LED2Gからの射出光の方向は、直角二等辺三角形の角柱状の直角頂部に向かう方向である。
【0015】
第1サイドプリズム4は、右方に直角が位置する概ね直角二等辺三角形の角柱状のものであり、ベースプリズム3の左側の張り出し部分と、その上面で接合するための左方に延びる張り出し部分を有している。ベースプリズム3の左側の張り出し部分と、第1サイドプリズム4の張り出し部分とが光学接着剤によって接合され、接合部10を構成する。
【0016】
第1サイドプリズム4の張り出し部分は段状になっており、その上面には、赤色LED2Rが搭載されたプリント配線基板7の端部が、載置、接合されている。赤色LED2Rは、第1サイドプリズム4の底辺部の中央に位置するようになされており、赤色LED2Rからの射出光の方向は、第1サイドプリズム4における直角二等辺三角形の角柱状の直角頂部に向かう方向である。
【0017】
第2サイドプリズム5は、左方に直角が位置する概ね直角二等辺三角形の角柱状のものであり、ベースプリズム3の右側の張り出し部分と、その上面で接合するための右方に延びる張り出し部分を有している。ベースプリズム3の右側の張り出し部分と、第1サイドプリズム4の張り出し部分とが光学接着剤によって接合され、接合部11を構成する。
【0018】
第2サイドプリズム5の張り出し部分は段状になっており、その上面には、青色LED2Bが搭載されたプリント配線基板9の端部が、載置、接合されている。青色LED2Bは、第2サイドプリズム5の底辺部の中央に位置するようになされており、青色LED2Bからの射出光の方向は、第2サイドプリズム5における直角二等辺三角形の角柱状の直角頂部に向かう方向である。
【0019】
アッパープリズム6は、下方に直角が位置する概ね直角二等辺三角形の角柱状のものであり、その底辺部から、僅かに左右に張り出した部分を有する。上述した第1サイドプリズム4及び第2サイドプリズム5の上端部が平面となされており、これら平面と、アッパープリズム6の左右に張り出した部分とが、光学接着剤によって接合され、接合部12及び13を構成する。
【0020】
ベースプリズム3、第1サイドプリズム4、第2サイドプリズム5及びアッパープリズム6でなるX型ダイクロイックプリズムの中心から、赤色LED2R、緑色LED2G及び青色LED2Bの発光点までの距離は等しくなるようになされている。
【0021】
ベースプリズム3、第1サイドプリズム4、第2サイドプリズム5及びアッパープリズム6において、直角二等辺三角形の角柱状における、他のプリズムの面と対向する面は、図2に、第2サイドプリズム5について例示するように、周辺の接合部20を除いて底部が平面の凹部21A、21Bとなっており、この凹部21A、21Bには、光機能層としてのサブ波長格子22A、22Bが設けられている。これらサブ波長格子22A及び22Bは、後述するように、反射する色成分が異なっている。
【0022】
上述したような凹部21A、21Bなどの存在により、X型ダイクロイックプリズムにおけるX字状の部分は、図1に示すように、気密空間14となっている。
【0023】
図3は、気密空間14回りの拡大断面図である。気密空間14は、中心から、右上方向、左下方向、左上方向、右下方向にそれぞれ2面ずつ延びる平面を有している。なお、右上方向及び左下方向に延びる面が、特許請求の範囲における第1面に該当し、左上方向及び右下方向に延びる面が、特許請求の範囲における第2面に該当する。
【0024】
中心から右上方向に延びる2面の平面にそれぞれ設けられた2つのサブ波長格子22Aは、赤色LED2Rから出射された赤色光を反射すると共に、緑色LED2G及び青色LED2Bから出射された他の色の光を透過させるものである。中心から左下方向に延びる2面の平面にそれぞれ設けられた2つのサブ波長格子22Aも同様に、赤色LED2Rから出射された赤色光を反射すると共に、緑色LED2G及び青色LED2Bから出射された他の色の光を透過させるものである。
【0025】
また、中心から左上方向に延びる2面の平面にそれぞれ設けられた2つのサブ波長格子22Bは、青色LED2Bから出射された青色光を反射すると共に、緑色LED2G及び赤色LED2Rから出射された他の色の光を透過させるものである。中心から右下方向に延びる2面の平面にそれぞれ設けられた2つのサブ波長格子22Bも同様に、青色LED2Bから出射された青色光を反射すると共に、緑色LED2G及び赤色LED2Rから出射された他の色の光を透過させるものである。
【0026】
例えば、赤色LED2Rから出射された赤色光(その波長を680nmとする)を反射するサブ波長格子を、ポリカーボネートを用いて構成する場合に、格子(突起)のピッチ(後述する図4のp参照)を約400nm、格子幅(後述する図4のd参照)を約310nm、格子高さ(後述する図4のh参照)を約220nmとすれば良い。また例えば、青色LED2Bから出射された光線(その波長を450nmとする)を反射するサブ波長格子を、ポリカーボネートを用いて構成する場合に、格子(突起)のピッチを約440nm、格子幅を約220nm、格子高さを約220nmとすれば良い。
【0027】
図1では、緑色LED2Gから出射された緑色光が反射することなく透過するような位置に、緑色LED2Gを設けたものを示したが、3原色LED2R、2G、2Bの配置はこれに限定されるものではない。仮に、緑色LED2Gから出射された緑色光を反射させるサブ波長格子を、ポリカーボネートを用いて構成する場合に、格子(突起)のピッチを約350nm、格子幅を約230nm、格子高さを約220nmとすれば良い。
【0028】
なお、図1及び図2では図示を省略しているが、図3に示すように、接合部20(10〜13)には、その一方の面に設けられた突部又は突条と、他方の面に設けられた凹部又は凹条とでなる嵌合部23を設け、プリズム3〜6を適切に位置決めできるようにすることが好ましい。嵌合部23が、突条及び凹条でなる場合には、気密性の向上にも寄与している。
【0029】
サブ波長格子22(22A、22B)を基材(プリズム3〜6)に設ける方法(作製方法)としては、例えば、以下の方法を適用することができる。第1は、基材2に、サブ波長格子22として機能する高分子膜を転写(インプリント)し、サブ波長格子22を作製する。第2は、基材が高分子の基材の場合には、イオンビームを照射したり、フォト微細加工技術を用いたりして基材に対する直接の加工を施すことにより、サブ波長格子22を作製する。第2の作製方法には、金型を用いて、基材の表面にサブ波長格子22の凹凸を直接作製する場合が含まれる。第3に、基材の表面にストリップ(箔)を貼り付けていくことにより、サブ波長格子22を作製する。第4に、シリコン、ゲルマニウム又は化合物半導体などの半導体基板の表面を加工してサブ波長格子22を形成し、サブ波長格子22が形成された半導体基板を基材に接合する。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係るサブ波長格子22(22A、22B)の表面の拡大断面図であり、例えば、金型を利用して作製されるサブ波長格子22を示している。サブ波長格子22は、格子状に配置される突起の伸長方向が、図4に示すように、サブ波長格子22の法線方向と平行ではなく傾斜している。格子状に配置される突起の伸長方向は、金型のプレス方向、金型の抜き方向に平行になっており、金型を利用した作製時に突起が損傷し難くなされている。もちろん、金型の抜き方向がサブ波長格子形成面に対して垂直な場合は、突起の伸長方向がサブ波長格子形成面に垂直になるようにサブ波長格子を設計するのが好ましい。
【0031】
第1の実施形態の光源モジュール1において、赤色LED2Rが出射した赤色光は、気密空間14内を、中心から右上及び左下に伸長されているサブ波長格子22Aによって反射されて上方に向かう光に変更される。右上及び左下に伸長されているサブ波長格子22Aは、赤色LED2Rが出射した光が所望する赤成分以外の波長成分を含んでいたとしても、所望する赤成分の波長成分(波長帯域)だけを反射するものとなっている。
【0032】
また、青色LED2Bが出射した青色光は、気密空間14内を、中心から左上及び右下に伸長されているサブ波長格子22Bによって反射されて上方に向かう光に変更される。左上及び右下に伸長されているサブ波長格子22Bは、青色LED2Bが出射した光が所望する青成分以外の波長成分を含んでいたとしても、所望する青成分の波長成分(波長帯域)だけを反射するものとなっている。
【0033】
さらに、緑色LED2Gが出射した上方に向かう緑色光は、気密空間14内の進行方向に位置するサブ波長格子22A、22Bをそのまま透過して上方に向かう光のまま、第1の実施形態の光源モジュール1から出射される。なお、各サブ波長格子22A、22Bは、緑色LED2Gが出射した上方に向かう光が所望する緑成分以外の波長成分を含んでいたとしても、所望する緑成分の波長成分(波長帯域)だけを通過させるものとなっていても良い。
【0034】
以上のようにして、3原色LED2R、2G、2Bから出射された光が、第1の実施形態の光源モジュール1におけるX型ダイクロイックプリズムによって、ほぼ光軸が揃えられた状態で加法混色され、白色の照明光として、図示しない被照明物体を照明する。
【0035】
第1の実施形態の光源モジュール1において、図示は省略するが、各LED2R、2G、2Bからの出射光量を電気的に制御する光量制御手段がプリント配線基板8、9、10に実装されていたり、外部に外付けで設けられていたりしており、加法混色比率を可変させることができるようになされている。すなわち、図5に示すような、各LED2R、2G、2Bからの所望帯域(R、G、B)の光強度を、独立して制御可能となされている。また、各LED2R、2G、2Bは、光量を検出するための光検出器としてのフォトダイオードを内蔵していて、検出光量を光量制御手段にフィードバックするようにしていても良い。
【0036】
第1の実施形態の光源モジュール1によれば、以下のような効果(1)〜(5)を奏することができる。
【0037】
(1)ダイクロイックミラーとして合波を行う機能層を、誘電体多層膜ではなく、サブ波長格子で形成したため、工数のかかる成膜工程を省略することが可能となり、製造が容易になり、大幅なコストダウンが可能となる。
【0038】
(2)サブ波長格子を、複数のプリズムの接合によって形成した気密空間内に設けて、外気と隔離して構成しているために、高い信頼性の機能膜とすることができる。すなわち、サブ波長格子は、微細な多くの格子(突起)を有して損傷し易く、また、水や油などの付着によって機能が低下又は損なわれるものであるが、気密空間内に設けているので、損傷を防止でき、また、水や油などの付着を防止でき、高い信頼性の機能膜とすることができる。
【0039】
(3)3原色光源(LED)からの光の加法混色で白色を得ているために、より大きな色三角形が実現でき、被照明物体の色再現範囲を広くすることができる。図6は、この効果を説明するためのCIEの色度図である。図7は、LEDを1個用いて白色光を得る場合の説明図である。
【0040】
図7は、青色LEDからの光の光路上に黄色蛍光体を配して白色を実現しようとした場合のスペクトラムを示している。図6において、点Aは青色LEDの色度を示しており、点Bは黄色の蛍光体によって励起される光のピーク位置における色度を示している。そのため、従来方法では、青色LEDからの光の光量の調整や、黄色蛍光体の塗布量を調整することにより、線分AB上の任意の点の色度を得ることを意図している。しかし、図7に示した青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせた白色LEDスペクトルから分かるように、実際は、この白色光には赤色成分や緑色成分が含まれている。従って、実質的には図6の色三角形ACDで示される範囲の色を再現することが可能となる。
【0041】
一方、第1の実施形態のように、赤色LED2R、緑色LED2G及び青色LED2Bの3原色LEDからの発光光を加法混色して得られる色三角形は、各LED2R、2G、2Bからの光の色純度が極めて高いために、図6に示すような大きな色三角形AEFとなり、広い範囲の色再現が可能となる。
【0042】
従って、3原色光源(LED)からの光の加法混色比率の調整により、三角形AEF内の任意の色度の出射光を、第1の実施形態の光源モジュール1から射出することができ、照明光の色の多様性を高くしている。
【0043】
(4)光源としてLEDを用いるため、高速変調が可能な長寿命な光源モジュールとなっている。
【0044】
(5)同一の作用を果たすサブ波長格子が、平行平面の両面に設けられているので、そのサブ波長格子が担っている光の制御機能を確実に果たすことができる。なお、平行平面の一面だけにサブ波長格子が設けられていても良いことは勿論である。
【0045】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による光源モジュールの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0046】
図8は、第2の実施形態に係る光源モジュールの構造を示す概略断面図であり、第1の実施形態に係る図1に対応する図面であり、図1との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0047】
図8に示す第2の実施形態の光源モジュール1Aにおいては、ベースプリズム3、第1サイドプリズム4及び第2サイドプリズム5の底面中央部には、例えば、円柱状の孔でなる嵌合受部3H、4H、5Hが設けられており、この嵌合受部3H、4H、5Hに、対応するいずれかのLED2G、2R、2Bが嵌合されている。このようにすることによって、各LED2G、2R、2Bを対応する嵌合受部3H、4H、5Hに挿入し、接着固定することによって、各LED2G、2R、2Bの光軸方向の位置及び出射角出しを容易に行うことが可能となる。
【0048】
図9は、第2の実施形態におけるLED30(2R、2G、2B)の構成を示す概略断面図である。なお、図9の左右方向は、図8の紙面法線方向に対応している。
【0049】
LED30は、LEDチップ31と、フレキシブルなプリント配線基板32(7〜9)の配線33とLEDチップ31とを接続させるワイヤー34と、LEDチップ31及びワイヤー34を封止すると共にレンズ機能を発揮する封止レンズ35とを有する。封止レンズ35は、嵌合受部3H、4H、5Hと嵌合する円筒状をしていると共に、その先端側が、LEDチップ31からの射出光をできるだけ平行光に近い発散光に変換するようなレンズ形状をしている。この封止レンズ35は、LEDチップ31からの出射光が小さい場合や、後述する実施形態のように、各プリズム(3〜6)が集光レンズを有している場合には、省略することができる。また、LEDチップ31を載せて固定する支持台は、LEDチップ31の発光点位置を光軸上の適切な位置に決めると同時に、LEDチップ31を接地する機能を有している。
【0050】
気密空間14や、気密空間14内に設けられるサブ波長格子(図8では省略;図3の22A、22B参照)については、第2の実施形態の光源モジュール1Aも、第1の実施形態の光源モジュール1と同様である。
【0051】
第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。これに加え、第2の実施形態の場合、3原色LEDを嵌合によって取り付けているので、3原色LEDの位置を適切なものとし易いという効果をも奏する。また、3原色LEDとX型ダイクロイックプリズムとの光学的な結合もし易いものとなっている。
【0052】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による光源モジュールの第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0053】
図10は、第3の実施形態に係る光源モジュールの構造を示す概略断面図であり、第1の実施形態に係る図1に対応する図面であり、図1との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0054】
図10に示す第3の実施形態の光源モジュール1Bにおいては、赤色LED2Rが、その出射光が上方に進行するように設けられていると共に、第1サイドプリズム4に、赤色LED2Rからの光の進行方向を上方から右方に変換する第1補助プリズム40を一体的に設けたものである。また、第3の実施形態の光源モジュール1Bにおいては、青色LED2Bが、その出射光が上方に進行するように設けられていると共に、第2サイドプリズム5に、青色LED2Bからの光の進行方向を上方から左方に変換する第2補助プリズム41を一体的に設けたものである。
【0055】
ここで、第1補助プリズム40、第2補助プリズム41の折り返しを展開してみた場合、各LED2R、2G、2Bの発光点から、X字状の中心までの距離は等しい。
【0056】
なお、図10では、第1の実施形態に係る図1とは異なり、赤色LED2Rを搭載したプリント配線基板8、及び、青色LED2Bを搭載したプリント配線基板9を、ベースプリズム3の張り出し部分に設けたものを示したが、図1と同様な相手部材に設けても良いことは勿論である。
【0057】
気密空間14や、気密空間14内に設けられるサブ波長格子(図8では省略;図3の22A、22B参照)については、第3の実施形態の光源モジュール1Bも、第1の実施形態の光源モジュール1と同様である。
【0058】
第3の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。第3の実施形態によれば、全てのLED2R、2G、2Bを同様に、プリント配線基板7〜9に搭載できるので、同一構成のプリント配線基板を各色成分用のプリント配線基板7〜9に適用できるようにすることが可能である。
【0059】
また、サブ波長格子が形成される各プリズム3〜6をプラスチックで作製することが可能であるため、補助プリズム40、41の一体化、外径形状の自由度の向上ができるために設計をフレキシブルにすることが可能となる。この点は、後述する第4〜第6の実施形態におけるような集光レンズを、プリズム(3〜6)に一体化する場合も同様である。
【0060】
さらに、第3の実施形態のような配置によって、各LED2R、2G、2Bの光軸方向の調整が不要となり、各LED2R、2G、2Bの光軸調整が容易となる。
【0061】
(D)第4の実施形態
次に、本発明による光源モジュールの第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0062】
図11は、第4の実施形態に係る光源モジュールの構造を示す概略断面図であり、第3の実施形態に係る図10に対応する図面であり、図10との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0063】
図11に示す第4の実施形態の光源モジュール1Cにおいては、緑色LED2Gからの出射光を集光する集光レンズ(第3集光レンズ)50をベースプリズム3に一体的に設け、赤色LED2Rからの出射光を集光する集光レンズ(第1集光レンズ)51を第1サイドプリズム4に一体的に設け、青色LED2Bからの出射光を集光する集光レンズ(第2集光レンズ)52を第2サイドプリズム5に一体的に設けている。
【0064】
なお、集光レンズ50〜52が有効に機能するように、各LED2G、2R、2Bから集光レンズ50〜52までに所定の距離を確保するように、各プリズム3、4、5の形状などが選定されている。
【0065】
第4の実施形態によっても、第3の実施形態と同様な効果を奏することができる。第4の実施形態によれば、集光レンズを設けて、各LEDからの光を平行光(又はそれに近い発散光)とするようにしたので、加法混色をより適切に実行させることができる。
【0066】
また、サブ波長格子(22A、22B)によるダイクロイックミラーの特性は、入射角依存性を少なくすることが可能であるが、第4の実施形態のような構成とすることによって、ダイクロイックミラーの光学特性を略平行入射光のみに対して行うことが可能となり、このダイクロイックミラーの光学特性を向上させることができるようになった。
【0067】
図12は、第4の実施形態の一部を変形した他の実施形態(1)に係る光源モジュールを示している。図12に示す光源モジュール1Dは、第4の実施形態の光源モジュール1Cにおける集光レンズ50〜52をフレネルレンズ60〜62に置き換えたものである。
【0068】
図13は、第4の実施形態の一部を変形した他の実施形態(2)に係る光源モジュールを示している。図13に示す光源モジュール1Eは、図12に示す光源モジュール1Dに比較すると、アッパープリズム6において加法混色光が出ていく面にも、フレネルレンズ63が設けられている点が異なっている。集光機能を、フレネルレンズ60〜62と、フレネルレンズ63とに分散させて実現させるものとなっている。このとき、フレネルレンズ63は必ずしも集光レンズ(又は凸レンズ)である必要はなく、使用法によっては発散レンズ(又は凹レンズ)であっても良い。
【0069】
(E)他の実施形態
上記各実施形態の説明では、言及しなかったが、各実施形態の光源モジュールは、例えば、自動車ヘッドライト、画像表示用の液晶パネルのバックライト、室内照明、計測装置での照明光源などに用いることができる。第1の実施形態の効果で言及したように、任意の色度を実現できるので、計測装置での照明光源のような任意の色度を欲する装置には好適なものである。
【0070】
また、上記各実施形態では、3原色が赤色、緑色、青色であるものを示したが、色度座標上の独立した任意の3色を3原色に適用するようにしても良い。また、4原色以上を加法混色する光源モジュールにも本発明を適用することができる(例えば、後述する図14に示す方法を拡張して4原色以上を加法混色することができる)。
【0071】
さらに、上記各実施形態においては、加法混色のために、緑色LEDからの射出光をX型ダイクロイックプリズムが直進させるものを示したが、直進光を、赤色LED又は青色LEDからの射出光とするようにしても良い。言い換えると、各LED2R、2G、2Bの配置は、上記各実施形態のものに限定されるものではない。
【0072】
上記各実施形態では、3原色LEDからの光を加法混色する光学装置がX型ダイクロイックプリズムであるものを示したが、ダイクロイックミラーを有する他の光学装置であっても良い。例えば、図14に示すような、ダイクロイックミラー面を有する光学素子を3個並設したような光学装置であっても良い。但し、ダイクロイックミラーとして機能する部分が、平行平面で規定されている気密空間になっており、その平行平面の少なくとも一方にダイクロイックミラーとして機能するサブ波長格子が設けられていることを要する(例えば、特開2006−13127号公報の図1(B)参照)。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施形態に係る光源モジュールの構造を示す概略断面図である。
【図2】第1の実施形態の第2サイドプリズムを示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態における気密空間回りの拡大断面図である。
【図4】第1の実施形態に係るサブ波長格子の表面の拡大断面図である。
【図5】第1の実施形態における加法混色方法の説明に供する図面である。
【図6】第1の実施形態に係る光源モジュールの効果の説明に供するCIEの色度図である。
【図7】従来の白色光の形成方法を説明するための図面である。
【図8】第2の実施形態に係る光源モジュールの構造を示す概略断面図である。
【図9】第2の実施形態におけるLEDの詳細構成を示す概略断面図である。
【図10】第3の実施形態に係る光源モジュールの構造を示す概略断面図である。
【図11】第4の実施形態に係る光源モジュールの構造を示す概略断面図である。
【図12】第4の実施形態を変形した他の実施形態(1)の構造を示す概略断面図である。
【図13】第4の実施形態を変形した他の実施形態(2)の構造を示す概略断面図である。
【図14】他の実施形態に係る光源モジュールにおける加法混色構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1、1A〜1E…光源モジュール、2R…赤色LED、2G…緑色LED、2B…青色LED、3…ベースプリズム、4…第1サイドプリズム、5…第2サイドプリズム、6…アッパープリズム、7〜9…フレキシブルなプリント配線基板(FPC)、10〜13、20…接合部、14…気密空間、21…凹部、22、22A、22B…サブ波長格子、40、41…補助プリズム、50〜52…集光レンズ、60〜63…フレネルレンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3原色LEDと、上記各LEDからの光を加法混色する、ダイクロイックミラーを含む光学装置とを有する光源モジュールにおいて、
上記ダイクロイックミラーとして機能する面部分が、所定の間隙を有する平行平面で規定される気密空間と、この気密空間の少なくとも一方の平面に設けられたサブ波長格子とを有することを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
上記光学装置が、X型ダイクロイックプリズムであって、上記3原色LEDが、赤色LED、緑色LED及び青色LEDであり、上記X型ダイクロイックプリズムのX面における光反射面が位置する部分には、所定の間隙が環境から気密に形成されており、上記赤色LEDからの赤色光を反射し、それ以外の光を透過する第1面は異なるプリズム面を含む同一面上に形成され、上記青色LEDからの青色光を反射し、それ以外の光を透過する第2面も異なるプリズム面を含み上記第1面と直交する同一面上に形成され、上記第1面には上記赤色光を選択的に反射するサブ波長格子が形成されており、上記第2面には上記青色光を選択的に反射するサブ波長格子が形成されており、
上記3原色LEDから出射された光が上記X型ダイクロイックプリズムで略同一光軸上で加法混色して出射されることを特徴とする請求項1に記載の光源モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−280815(P2007−280815A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106758(P2006−106758)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】