説明

光源ユニット

【課題】放熱性に優れると共に、小型であって、取り付け及び取り外しが容易である光源ユニットの構成を提供すること。
【解決手段】レンズ外周を保持する保持手段で規定される仮想円筒内にヒートブロックとリフレクタとが収納され、車両の被取付部へ取り付けられる光源ユニットであって、前記ヒートブロックの外周面には仕切り板で仕切られた第1の放熱部および第2の放熱部が備えられ、前記ヒートブロックにおいて前記レンズ側に配置される前記第1の放熱部には周方向に立設されたフィンが複数枚備えられ、前記第2の放熱部には前記ヒートブロックの軸方向に立設されたフィンが複数枚備えられ、前記仕切り板は取付リブを有し、該取付リブには前記車両の被取付部へ取り付けるための取付手段が備えられていることを特徴とする、光源ユニットとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドランプ等の車両用灯具の光源として、LEDランプを有する光源ユニットが利用されている。このような光源ユニットの例として、特許文献1〜3に開示される光源ユニットが挙げられる。特許文献1に開示の構成では光源ユニットは給電ソケットを介してヒートシンクを兼ねたブラケットに着脱可能に取り付けられている。
特許文献2および特許文献3に開示の構成では光源ユニットの下部に放熱フィンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−141549号公報
【特許文献2】特許第4232725号公報
【特許文献3】特開2009−199780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、ブラケットは複数のマウント部を備えると共にマウント部と反対側に放熱フィンを複数備えるため大型となり、装置の構成および光学系が複雑化する。特許文献2および特許文献3の構成では、光源ユニット自体に放熱フィンが設けられるため装置の構成は簡素化するが、光源ユニットの取り付け及び取り外しの容易性を考慮した構成となっていない。
一方、LEDランプを備える光源ユニットは、LEDランプの高輝度化に伴って高い放熱性が求められるが、特許文献1〜3に開示の構成はいずれも放熱性に向上の余地がある。
そこで、本発明は、放熱性に優れると共に、小型であって、取り付け及び取り外しの容易性を考慮した光源ユニットの構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記の本発明に想到した。すなわち、本発明の第1の局面は、
レンズ外周を保持する保持手段で規定される仮想円筒内にヒートブロックとリフレクタとが収納され、車両の被取付部へ取り付けられる光源ユニットであって、
前記ヒートブロックの外周面には仕切り板で仕切られた第1の放熱部および第2の放熱部が備えられ、
前記ヒートブロックにおいて前記レンズ側に配置される前記第1の放熱部には周方向に立設されたフィンが複数枚備えられ、前記第2の放熱部には前記ヒートブロックの軸方向に立設されたフィンが複数枚備えられ、
前記仕切り板は取付リブを有し、該取付リブには前記車両の被取付部へ取り付けるための取付手段が備えられていることを特徴とする、光源ユニットである。
【0006】
本発明の第1の局面における光源ユニットでは、ヒートブロックにおいて、レンズ側の第1の放熱部には各フィンが周方向に立設され、第2の放熱部には各フィンが軸方向に立設される。これにより、ヒートブロック周囲の空気はレンズ側において第1の放熱部の各フィンに沿ってヒートブロックの周方向に流れると共に、レンズと反対側(すなわち、光源ユニットの後部側)において第2の放熱部の各フィンに沿ってヒートブロックの軸方向に流れることとなる。その結果、ヒートブロック周囲の空気はヒートブロックの外縁に沿って効率的に流れるため、第1の放熱部の各フィンと第2の放熱部の各フィンとを同一の方向に立設する場合に比べて、ヒートブロック周囲の空気流れが良好となり、優れた放熱効果を奏する。
【0007】
ところで、第1の放熱部と第2の放熱部とでフィンの立設の方向を上記と逆にした構成(すなわち、第1の放熱部では各フィンを軸方向に立設し、第2の放熱部18では各フィンを周方向に立設する構成)が考えられる。このような構成では、第1の放熱部で軸方向に立設された各フィンの前方側は保持手段によって塞がれ、該各フィンの後方側は仕切り板によって塞がれることになるため、該各フィン間に空気が停留し、放熱効果が著しく低下する。
それに対して、第1の局面に係る構成では、第2の放熱部で軸方向に立設された各フィンの前方側は仕切り板によって塞がれるものの、該各フィンの後方側は開放されているため、該各フィンの後方側へスムーズに空気が流れ、放熱効果が阻害されるおそれがない。
【0008】
加えて、レンズ外周を保持する保持手段で規定される仮想円筒内にヒートブロックとリフレクタとが収納されるため、光源ユニットを小型化できる。また、第1の放熱部と第2の放熱部とを仕切る仕切り板に設けられた取付リブにより、車両の被取付部に対する光源ユニットの取り付け及び取り外しの容易性を考慮した構成となっている。
【0009】
本発明の第2の局面は、上記第1の局面の光源ユニットにおいて、取付手段は取付リブに形成された係合孔であり、その係合孔に係合された係合手段によって取付リブが車両の被取付部へ取り付けられる、光源ユニットである。
当該第2の局面の光源ユニットによれば、簡易な構成で車両の被取付部に対する光源ユニットの取り付け及び取り外しが一層容易となる。その結果、光源ユニットの交換や修理等の手間が軽減される。
【0010】
本発明の第3の局面は、上記第1または第2の局面の光源ユニットにおいて、仕切り板はヒートブロックのほぼ中央に形成され、取付リブは該ヒートブロックからその半径方向へ突出している、光源ユニットである。
当該第3の局面の光源ユニットによれば、当該仕切り板によって第1の放熱部と第2の放熱部がヒートブロックのほぼ中央で仕切られるため、第1および第2の放熱部の面積がそれぞれ十分確保されて放熱のバランスが良くなり、全体として放熱性が一層向上する。さらに、取付リブがヒートブロックからその半径方向へ突出しているため、車両の被取付部に対する光源ユニットの取り付け及び取り外しが一層容易となる。
【0011】
ところで、仕切り板を省くと共に、第2の放熱部の各フィンと同様に、第1の放熱部にもヒートブロックの軸方向にフィンを立設し、第1の放熱部の各フィンと第2の放熱部の各フィンとを繋げて一体化した構成が考えられる。このような構成では、該各フィンがヒートブロックの前端側から後端側まで連続するため各フィンが長くなり、該各フィン間に空気が停留し易いことから、放熱効果が著しく低下する。
それに対して、第3の局面に係る構成では、第2の放熱部の各フィンがヒートブロックの前後方向のほぼ半分の長さとなり、上記構成よりも短くなるため、該各フィン間に空気が停留し難くなることから、放熱効果が高められる。
【0012】
本発明の第4の局面は、上記第1〜第3のいずれかの局面の光源ユニットにおいて、ヒートブロックにはその軸方向にガイドリブが形成され、該ガイドリブは車両の被取付部へ係合する、光源ユニットである。
当該第4の局面の光源ユニットによれば、ガイドリブが車両の被取付部に係合するため、車両の被取付部に対する光源ユニットの取り付けの安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態である光源ユニット10の斜視図。
【図2】光源ユニット10の分解斜視図。
【図3】光源ユニット10の左側面図。
【図4】光源ユニット10の下面図。
【図5】図5(A)は光源ユニット10の正面図。図5(B)は光源ユニット10の背面図。
【図6】車両の被取付部30の斜視図。
【図7】光源ユニット10を車両の被取付部30に取り付けた状態を示す斜視図。
【図8】本発明の第2実施形態である光源ユニット40の分解斜視図。
【図9】本発明の第3実施形態である光源ユニット50の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について詳細に説明する。図1〜図4,図5(A),図5(B)は順に、第1実施形態の光源ユニット10の斜視図、分解斜視図、左側面図、下面図、正面図、背面図である。
尚、以下の説明において、「前方側」とは光源ユニット10の正面側であり、「左側」とは光源ユニット10を正面側から見て左側である。
【0015】
[光源ユニット10の構成]
光源ユニット10は、図1に示すように、車両用の前照灯であり、プロジェクタ型のユニット構造を成している。光源ユニット10は、図2に示すように、レンズ11(フランジ11a、切欠11b、貫通孔11c)、レンズホルダ12(保持手段:周壁部12a、レンズ押さえ部12b、係合爪12c)、シェード13(レンズ取付部13a、カットライン形成部13b、突起13c,13d、フランジ13e、固定部13f、貫通孔13g、雄ネジ13h、カットライン13i、係合突起13j,13k)、ヒートブロック14(傾斜部14a、平坦部14b)、仕切り板15、取付リブ16、係合孔(取付手段)16a、位置合わせ孔16b、第1の放熱部17(フィン17a、切断部17b、雌ネジ17c)、第2の放熱部18(フィン18a、切断部18b)、ガイドリブ19、第3の放熱部20(フィン20a)、台座21、取付部材22(係合突起22a、貫通孔22b)、取付部材23(貫通孔23a)、リフレクタ24(反射面24a、係合枠24b,24c)、光源25(光源チップ25a、筺体25b、コネクタ25c)、固定部材26(板材26a、連結材26b、係合枠26c)、クリップ27(係合手段:頭部27a、鍔部27b、脚部27c)などから構成される。
【0016】
図2に示すように、投影用のレンズ11は非球面型凸レンズであり、レンズ11の外周縁部には薄肉円板リング状のフランジ11aが形成され、フランジ11aには1個の切欠11bと2個の貫通孔11cとが形成されている。
レンズホルダ12は、可撓性を有する合成樹脂材料の射出成形により一体形成されており、周壁部12aとレンズ押さえ部12bとが設けられている。
周壁部12aは略円筒状を成し、周壁部12aの内径はレンズ11の外径より僅かに大きく形成され、周壁部12aの内壁面には複数個の係合爪12cが突設されている。
レンズ押さえ部12bは薄肉円板リング状を成し、周壁部12aの前方側に形成されている。
【0017】
シェード13は、光不透過性を有する合成樹脂材料の射出成形により一体形成されており、レンズ取付部13aとカットライン形成部13bとが設けられている。
レンズ取付部13aは略リング状を成し、レンズ取付部13aの外径はレンズ11のフランジ11aの外径と略同一であり、レンズ取付部13aの前方側には1個の突起13cと2個の突起13dとが突設されている。レンズ取付部13aの外周縁部には、薄肉円板状のフランジ13eが形成されている。レンズ取付部13aの下方には固定部13fが突設され、固定部13fには貫通孔13gが形成されている。貫通孔13gには雄ネジ13hが挿通される。
カットライン形成部13bは、レンズ取付部13aの後方側に形成され、台形凹状に切り込まれたエッジから成るカットライン(カットオフライン)13iが設けられている。カットライン形成部13bの左右外側にはそれぞれ、同一形状の2個の係合突起13j,13kが突設されている。各係合突起13j,13kはそれぞれ、並列配置された2個の突条から成る。
【0018】
ヒートブロック14は、光不透過性を有すると共に熱伝導性に優れた材料により一体形成されており(例えば、合成樹脂材料の射出成形、アルミニウム合金などの金属材料のダイカストなど)、略半円柱状を成して、当該半円柱の軸方向が光源ユニット10の光軸10aの方向となるように配置されている。ヒートブロック14には、仕切り板15、取付リブ16、第1の放熱部17、第2の放熱部18、ガイドリブ19、第3の放熱部20、台座21、取付部材22,23が設けられている。
【0019】
仕切り板15は、略矩形板状を成し、ヒートブロック14の下方側にて前後方向(すなわち、ヒートブロック14の軸方向)のほぼ中央に形成されている。
取付リブ16は、仕切り板15の左右両端部から成り、略半円柱状のヒートブロック14からその半径方向へ突出している。
取付リブ16には、2個の係合孔(取付手段)16aと2個の位置合わせ孔16bとが貫通形成されている。各係合孔16aは取付リブ16の左右両端部近傍に配置され、各位置合わせ孔16bは各係合孔16aの近傍にて取付リブ16の中央寄りに配置されている。尚、各位置合わせ孔16bの直径は各係合孔16aに比べて極小さいため、各位置合わせ孔16bが設けられていても取付リブ16の強度が低下することはない。
【0020】
図3に示すように、ヒートブロック14の下方側の外周面には、仕切り板15で仕切られた第1の放熱部17および第2の放熱部18が形成されている。
第1の放熱部17はレンズ11側(光源ユニット10の前方側)に配置され、第1の放熱部17には、略半円柱状のヒートブロック14の周方向(即ち、レンズホルダ12で規定される仮想円筒28の周方向)に立設されたフィン17aが等間隔に6枚備えられている。レンズ11側に配置されている2枚のフィン17aはフランジ状を成し、それ以外のフィン17aは半円板状を成しており、各フィン17aの先端部分は全体として半円柱の周面に位置している。
図4に示すように、第1の放熱部17において、最もレンズ11側に配置されているフィン17aには、シェード13の固定部13fを合致させるために切断された切断部17bが形成されている。切断部17bが形成されたフィン17aに隣接するフィン17aの中央部は他の部分よりも外方へ延長され、その延長された部分には雌ネジ17c(図2参照)が形成されている。
図4に示すように、第2の放熱部18は光源ユニット10の後方側に配置され、第2の放熱部18には、略半円柱状のヒートブロック14の軸方向(即ち、光源ユニット10の光軸10aの方向)に立設されたフィン18aが等間隔に9枚備えられ、各フィン18aの後端側は開放されている。各フィン18aは矩形板状を成し、各フィン18aの高さは、ヒートブロック14の左右両側から中央部へ向けて高くなっており、各フィン18aの先端部分は全体として半円柱の周面に位置している。
【0021】
図2に示すように、ヒートブロック14の上面において、第1の放熱部17の上方側には中心軸に向かって傾斜する2つの傾斜面を有する傾斜部14aが形成され、第2の放熱部18の上方側には平坦部14bが形成されている。
2枚のガイドリブ19は、略矩形板状を成し、略半円柱状のヒートブロック14の軸方向に立設され、ヒートブロック14の傾斜部14aの左右両端側から突出している。
【0022】
ヒートブロック14の平坦部14bには、第3の放熱部20、台座21、取付部材22,23が立設されている。
第3の放熱部20はヒートブロック14の後端部右側に配置され、第3の放熱部20には矩形板状のフィン20aが等間隔に3枚備えられている。
台座21は平坦部14bのほぼ中央に配置され、上面が平坦な略直方体状を成している。
各取付部材22,23は台座21を四方から囲むように配置され、ヒートブロック14の左側に配置された2個の取付部材22には係合突起22aが突設され、ヒートブロック14の右側に配置された2個の取付部材23の上面は平坦に形成されている。
【0023】
図4に示すように、第2の放熱部18において、台座21の下方に配置されているフィン18aには、切断部18bが形成されている。
また、ヒートブロック14において、各取付部材22,23の近傍にはそれぞれ各貫通孔22b,23aが形成されている。
切断部18bおよび各貫通孔22b,23aを形成することにより、ヒートブロック14を射出成形やダイカストにて形成する際に、形状変形が発生することが防止される。すなわち、切断部18bおよび各貫通孔22b,23aを形成しておけば、ヒートブロック14の形成材料の冷却時に台座21および各取付部材22,23の形成箇所近傍に大きな熱収縮が起こっても、その形成材料の熱収縮による形状歪みを切断部18bおよび各貫通孔22b,23aによって逃がすことが可能になるため、ヒートブロック14全体の形状変形が防止される。
【0024】
図2に示すように、リフレクタ24は、可撓性を有する材料により一体形成されており(例えば、合成樹脂材料の射出成形、金属板のプレス成形など)、前方側がシェード13のレンズ取付部13aに合致するように半円形に開口され、下方側がシェード13の上面とヒートブロック14の上面および光源25のコネクタ25cに合致するように開口され、前方側から中央部分を経て後方側までが閉塞してシェード13の上面側およびヒートブロック14の上面側を覆う略ドーム状を成している。
リフレクタ24の内壁面において光源25の光が投射される部分には、光源25の光を反射する反射面24aが設けられている。尚、反射面24aを設けるには、例えば、反射性の高い微粉末材料が添加された塗料の塗装、反射性の高い金属材料(例えば、アルミニウム、クロムなど)のメッキや蒸着などを用いればよい。反射面24aは第1焦点と第2焦点と光軸(いずれも図示略)とを有し、第2焦点は、水平断面上の焦線、すなわち、リフレクタ24を上方(平面)から見て両端が前方側に位置し中央が後方側に位置するような湾曲した焦線となる。
リフレクタ24の下端部左右両側にはそれぞれ、同一形状の2個の係合枠24b,24cが下方に向けて突設されている。
【0025】
光源25は、光源チップ25a、筺体25b、コネクタ25cなどから構成される。
光源チップ25aは、自発光半導体型光源(例えば、LED、有機ELなど)を備える。
筺体25bは略直方体状を成し、筺体25bの上面側には光源チップ25aが発光面を上方に向けて取付固定され、筺体25bの左側面側にはコネクタ25cが取付固定されている。
コネクタ25cは、筺体25bの内部に設けられた配線材(図示略)を介して光源チップ25aに接続されると共に、外部電源から光源チップ25aへ給電を行うための給電ケーブル(図示略)が接続される。
【0026】
固定部材26は、可撓性を有する合成樹脂板または金属板から成り、光源25の筺体25bの上部前後両側を押圧するための2枚の板材26aと、各板材26aを連結する連結材26bとを備える。各板材26aの左側にはそれぞれ、係合枠26cが下方に向けて突設されている。
【0027】
クリップ27は、可撓性を有する合成樹脂材料から成り、略球体状の頭部27aと、頭部27aに接続された円板状の鍔部27bと、鍔部27bに接続されて自由端部に向けて広がる略円錐状の脚部27cとを備える。
【0028】
[光源ユニット10の組み付け状態(図2参照)]
シェード13の後方側がヒートブロック14の前方側に取り付けられ、シェード13の固定部13fがヒートブロック14における第1の放熱部17の切断部17bに合致され、第1の放熱部17のフィン17aの雌ネジ17cと固定部13fの貫通孔13gとが連通された状態で、貫通孔13gの前方側から雌ネジ17cに雄ネジ13hが挿通されて螺合されることにより、ヒートブロック14に対してシェード13が取付固定されている。なお、シェード13の位置決めはヒートブロック14に立設された位置決め用のリブ(図示せず)により行われている。
【0029】
ヒートブロック14の台座21の上には光源25が載置され、固定部材26が光源25の上方から被着され、固定部材26の各板材26aが各取付部材22,23間に差し渡され、光源25の筺体25bの上部前後両側が各板材26aにより押圧された状態で、各板材26aの係合枠26cがヒートブロック14の各取付部材22の係合突起22aに係合されることにより、ヒートブロック14に対して光源25が取付固定されている。
リフレクタ24がシェード13の上方から被着され、リフレクタ24の各係合枠24b,24cがシェード13の各係合突起13j,13kにそれぞれ係合されることにより、シェード13に対してリフレクタ24が取付固定されている。リフレクタ24の後端部左側からは、光源25のコネクタ25cが露出されている。
【0030】
レンズ11の後方側がシェード13のレンズ取付部13aの前方側に取り付けられ、レンズ11のフランジ11aの切欠11bがレンズ取付部13aの突起13cに係合されると共に、フランジ11aの各貫通孔11cがそれぞれレンズ取付部13aの各突起13dに係合されることにより、シェード13に対してレンズ11が位置決めされた状態で仮固定されている。
【0031】
レンズホルダ12の周壁部12aがシェード13およびリフレクタ24に被着されてレンズホルダ12がレンズ11の前方側に取り付けられ、レンズ押さえ部12bの内壁面がレンズ11のフランジ11aに当接されてレンズ11の外周が保持された状態で、レンズホルダ12の各係合爪12cがシェード13のフランジ13eに係合されることにより、シェード13に対してレンズホルダ12が取付固定されている。
ヒートブロック14における取付リブ16の各係合孔16aの後方側から、各クリップ27の頭部27aが挿通され、各クリップ27の鍔部27bが取付リブ16の後方側に当接された状態で、各頭部27aが各係合孔16aに係合されることにより、取付リブ16に対して各クリップ27が取付固定されている。
【0032】
[光源ユニット10の取付構成]
以上のように組み付けられた光源ユニット10は、レンズ11の外周を保持するレンズホルダ(保持手段)12で規定される仮想円筒28内にヒートブロック14とリフレクタとが収納され、車両の被取付部30へ取り付けられる。車両の被取付部30は、合成樹脂材料の射出成形により一体形成され、車両の前方部分(図示略)に取付固定される。
図6に示すように、車両の被取付部30には、被取付孔31、ガイド部材32、凹部33、貫通孔34、位置合わせ突起35などが備えられる。車両の被取付部30には、被取付孔31および貫通孔34が貫通形成されている。
【0033】
被取付孔31は略円形状を成しており、被取付孔31の開口部の径はレンズホルダ12の外径よりも大きく形成されている。
2個のガイド部材32は被取付孔31の左右両側にてその開口部に対して垂直方向に立設され、各ガイド部材32にはそれぞれガイド溝32aが穿設されている。
凹部33は光源ユニット10の取付リブ16と合致する略矩形状の凹みから成り、各ガイド部材32の下方側に位置する被取付孔31の周縁部に配置されている。
2個の貫通孔34は凹部33の左右両端部近傍に配置されている。2個の各位置合わせ突起35は、各貫通孔34の近傍にて凹部33の中央寄りに配置され、車両の被取付部30の後方側へ突出している。
【0034】
図7に示すように、光源ユニット10の前方側(レンズ11側)を被取付孔31の後方側から挿入し、光源ユニット10の各ガイドリブ19をそれぞれ各ガイド部材32のガイド溝32aに挿入して係合させ、各ガイド部材32に対して各ガイドリブ19を取り付ける。
そして、取付リブ16の各位置合わせ孔16bに位置合わせ突起35を挿入して正確な位置決めを行いながら、取付リブ16に取付固定されている各クリップ27の頭部27aを各貫通孔34に挿入し、各頭部27aを各貫通孔34に係合させ、各貫通孔34に対して各クリップ27を取付固定する。
その結果、各ガイド部材32と各ガイドリブ19との係合と、各貫通孔34に対する各クリップ27の取付固定とにより、車両の被取付部30に対して光源ユニット10が取付固定される。
【0035】
以上のように車両の被取付部30へ取り付けられた光源ユニット10において、光源25の光源チップ25aを点灯発光させると、光源チップ25aの光は上方に放射されてリフレクタ24の反射面24aで反射され、その反射光は反射面24aの第2焦点に集中する。その反射面24aの第2焦点に集中する反射光の一部は、シェード13のカットライン13iによりカット(カットオフ)される。
反射面24aの第2焦点に集中する反射光のうち、シェード13のカットライン13iによりカットされなかった反射光は、カットライン13iによって規定された所定の配光パターン(例えば、車両のすれ違い用配光パターン)を形成し、レンズ11を透過して前方側へ投影され、路面などを照明する。
【0036】
ここで、レンズ11について、前方側が曲率の大きな凸非球面を成すと共に、後方側は曲率の小さな凸非球面または平非球面(平面)を成し、焦点距離が小さくなるように構成すれば、光源ユニット10の前後方向(レンズ11の光軸方向)の寸法をコンパクトにできる。
【0037】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態の光源ユニット10では、ヒートブロック14において、レンズ11側の第1の放熱部17には各フィン17aが周方向に立設され、第2の放熱部18には各フィン18aが軸方向に立設される。これにより、ヒートブロック14周囲の空気はレンズ11側において第1の放熱部17の各フィン17aに沿ってヒートブロック14の周方向(図4に示す矢印α方向)に流れると共に、レンズ11と反対側(すなわち、光源ユニット10の後部側)において第2の放熱部18の各フィン18aに沿ってヒートブロック14の軸方向(図4に示す矢印β方向)に流れることとなる。その結果、ヒートブロック14周囲の空気はヒートブロック14の外縁に沿って効率的に流れるため、第1の放熱部17の各フィン17aと第2の放熱部18の各フィン18aとを同一の方向に立設する場合に比べて、ヒートブロック14周囲の空気流れが良好となり、優れた放熱効果を奏する。
【0038】
ところで、第1の放熱部17と第2の放熱部18とでフィンの立設の方向を上記と逆にした構成(すなわち、第1の放熱部17では各フィンを軸方向に立設し、第2の放熱部18では各フィンを周方向に立設する構成)が考えられる。このような構成では、第1の放熱部17で軸方向に立設された各フィンの前方側はレンズホルダ12によって塞がれ、該各フィンの後方側は仕切り板15によって塞がれることになるため、該各フィン間に空気が停留し、放熱効果が著しく低下する。
それに対して、第1実施形態の構成では、第2の放熱部18で軸方向に立設された各フィン18aの前方側は仕切り板15によって塞がれるものの、各フィン18aの後方側は開放されているため、各フィン18aの後方側へスムーズに空気が流れ、放熱効果が阻害されるおそれがない。
【0039】
加えて、第1実施形態では、レンズ11外周を保持するレンズホルダ12で規定される仮想円筒28内にヒートブロック14とリフレクタ24とが収納されるため、光源ユニット10を小型化できる。また、第1の放熱部17と第2の放熱部18とを仕切る仕切り板15に設けられた取付リブ16と、取付リブ16に形成された係合孔16aとにより、車両の被取付部30に対する光源ユニット10の取り付け及び取り外しの容易性を考慮した構成となっている。
【0040】
また、第1実施形態の光源ユニット10では、取付リブ16に形成された係合孔(取付手段)16aに係合されたクリップ(係合手段)27により、取付リブ16が車両の被取付部30へ取り付けられる。そのため、簡易な構成で車両の被取付部30に対する光源ユニット10の取り付け及び取り外しが一層容易となる。その結果、光源ユニット10の交換や修理等の手間が軽減される。
【0041】
また、第1実施形態の光源ユニット10では、仕切り板15はヒートブロック14のほぼ中央に形成され、取付リブ16はヒートブロック14からその半径方向へ突出している。そのため、仕切り板15によって第1の放熱部17と第2の放熱部18がヒートブロック14のほぼ中央で仕切られるため、各放熱部17,18の面積がそれぞれ十分確保されて放熱のバランスが良くなり、全体として放熱性が一層向上する。さらに、取付リブ16がヒートブロック14からその半径方向へ突出しているため、車両の被取付部30に対する光源ユニット10の取り付け及び取り外しが一層容易となる。
【0042】
ところで、仕切り板15を省くと共に、第2の放熱部18の各フィン18aと同様に、第1の放熱部17にもヒートブロック14の軸方向にフィンを立設し、第1の放熱部17の該各フィンと第2の放熱部18の各フィン18aとを繋げて一体化した構成が考えられる。このような構成では、該各フィンがヒートブロック14の前端側から後端側まで連続するため各フィンが長くなり、該各フィン間に空気が停留し易いことから、放熱効果が著しく低下する。
それに対して、第1実施形態の構成では、第2の放熱部18の各フィン18aがヒートブロック14の前後方向のほぼ半分の長さとなり、上記構成よりも短くなるため、各フィン18a間に空気が停留し難くなることから、放熱効果が高められる。
【0043】
また、第1実施形態の光源ユニット10では、ヒートブロック14の軸方向に各ガイドリブ19が形成され、各ガイドリブ19は車両の被取付部30の各ガイド部材32に係合するため、車両の被取付部30に対する光源ユニット10の取り付けの安定性を高めることができる。
【0044】
[別の実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態である光源ユニット40の分解斜視図である。光源ユニット40において、第1実施形態の光源ユニット10と異なるのは、レンズホルダ12が省かれ、取付ネジ41を用いてレンズ11がシェード13のレンズ取付部13aに直接取付固定される点だけである。
光源ユニット40では、レンズ11の外周がシェード13のレンズ取付部13aによって保持されるため、レンズ取付部13aが保持手段となり、仮想円筒28はレンズ取付部13aで規定される。
【0045】
図9は、本発明の第3実施形態である光源ユニット50の分解斜視図である。光源ユニット50において、第1実施形態の光源ユニット10と異なるのは、レンズホルダ12が省かれ、レンズ11がシェード13とリフレクタ24とに挟設されて取付固定される点だけである。
光源ユニット50では、レンズ11の外周がシェード13とリフレクタ24とによって保持されるため、シェード13およびリフレクタ24が保持手段となり、仮想円筒28はシェード13およびリフレクタ24で規定される。
【0046】
ところで、上記各実施形態ではクリップ27を用いて車両の被取付部30へ光源ユニット10,40,50を取付固定しているが、クリップ27を雄ネジに置き換えると共に、車両の被取付部30の貫通孔34に雌ネジを切っておき、該雄ネジを貫通孔34の雌ネジに螺合させるようにしてもよい。この場合には、該雄ネジが係合手段となるが、クリップ27や雄ネジに限らず、取付リブ16の係合孔16aに係合させて車両の被取付部30へ取り付けるための係合手段であれば、どのような係合手段に置き換えてもよい。
また、上記各実施形態ではシェード13とヒートブロック14とが別体物になっているが、シェード13とヒートブロック14とを一体化してもよい。
また、各フィン17a,18aの枚数および間隔は適宜変更してもよい。
【0047】
本発明は、上記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0048】
10,40,50…光源ユニット
11…レンズ
12…レンズホルダ(保持手段)
14…ヒートブロック
15…仕切り板
16…取付リブ
16a…係合孔(取付手段)
17…第1の放熱部
17a…フィン
18…第2の放熱部
18a…フィン
19…ガイドリブ
24…リフレクタ
27…クリップ(係合手段)
28…仮想円筒
30…車両の被取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ外周を保持する保持手段で規定される仮想円筒内にヒートブロックとリフレクタとが収納され、車両の被取付部へ取り付けられる光源ユニットであって、
前記ヒートブロックの外周面には仕切り板で仕切られた第1の放熱部および第2の放熱部が備えられ、
前記ヒートブロックにおいて前記レンズ側に配置される前記第1の放熱部には周方向に立設されたフィンが複数枚備えられ、前記第2の放熱部には前記ヒートブロックの軸方向に立設されたフィンが複数枚備えられ、
前記仕切り板は取付リブを有し、該取付リブには前記車両の被取付部へ取り付けるための取付手段が備えられていることを特徴とする、光源ユニット。
【請求項2】
前記取付手段は前記取付リブに形成された係合孔であり、その係合孔に係合された係合手段によって前記取付リブが前記車両の被取付部へ取り付けられる、請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記仕切り板は前記ヒートブロックのほぼ中央に形成され、前記取付リブは該ヒートブロックからその半径方向へ突出している、請求項1又は2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記ヒートブロックにはその軸方向にガイドリブが立設され、該ガイドリブは前記車両の被取付部へ係合する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−129282(P2011−129282A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284617(P2009−284617)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】