説明

光源装置、プロジェクタ

【課題】光源装置から出力される光を用いた画像投影時に生じるスペックルパターンの発生の抑制。
【解決手段】半導体レーザ装置20bから射出された射出光300は、三角プリズム240に入射し、三角プリズム240を透過してハーフミラー250に入射する。ハーフミラー250に入射した射出光300の一部は反射され、残りはハーフミラー250を透過して導光部150に入射する。透過光302は、反射面410、420および430で反射されて導光部150内を循環し、再びハーフミラー250に入射する。ハーフミラー250に入射した透過光302の一部はハーフミラー250を透過し、残りは導光部150内を循環して再びハーフミラー250に入射する。こうすれば、コヒーレント長以上の光路差を有し、導光部内を循環する回数応じて異なる光路長を有する光を出力でき、スペックルパターンの発生を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置および光源装置を備えるプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ライトバルブやデジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)等の空間光変調機器を、光源装置の照明光で照射して映像を表示するプロジェクタが利用されている。プロジェクタには、スクリーンの前方から投射するフロント投射型プロジェクタと、スクリーンの後方から投射するリア投射型プロジェクタがある。
【0003】
フロント投射型プロジェクタ、リア投射型プロジェクタは、例えば、光源装置としてレーザ光源を用いている。レーザ光源は、エネルギー効率や色再現性がランプ光源に対して高いためめという利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開平7−297111号公報
【特許文献2】特開昭60−230629号公報
【特許文献3】特開2000−199872号公報
【特許文献4】特開2001−296503号公報
【特許文献5】特表平5−196869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザ光源のように、光源装置から射出された光線の位相が揃っている場合、スクリーンへの投射時に近傍の光線同士が干渉するため、スクリーンの手前の空間にスペックルパターンと呼ばれる干渉縞や斑が現れる。鑑賞者は、スクリーン面とスペックルパターンとの二重の像を観ることとなり、スクリーン面とスペックルパターンのそれぞれに焦点を合わせようとするため、鑑賞者には不快感が生じ、鑑賞者の疲労の増大という問題が生じることがある。
【0006】
上述の課題は、位相が揃っているレーザ光で特に生じることが多いが、超高圧水銀ランプなどのランプ光源でも生じることがある。そのため、光源装置を用いたプロジェクタでは、スペックルパターンの発生の抑制が望まれている。
【0007】
本願はこのような課題に鑑みてなされたものであり、光源装置から出力される光による画像の投影時に生じるスペックルパターンの発生の抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の第1の態様は光源装置を提供する。第1の態様の光源装置は、
光を射出する発光手段と、
入射光の一部を反射するとともに、残りを透過する分岐手段と、
前記分岐手段を経て入射する入射光を内部で循環させて、前記分岐手段に再び入射させる導光手段と、を備え、
前記分岐手段は、前記発光手段から射出され、前記導光手段を経ずに入射する入射光の一部を第1の反射光として照射面に向けて出力するとともに、残りを第1の透過光として前記導光手段に入射させ、かつ、前記導光手段からの入射光の一部を第2の反射光として前記導光手段へ再度入射させるとともに、残りを第2の透過光として前記照射面に向けて出力する、ことを要旨とする。
【0009】
上述の態様によれば、発光手段からの射出光の一部を反射し、他の一部を導光手段内で循環させて、反射された光と循環された光とを出力することができ、同一照射面に向けて光路長の異なる複数種類の光を出力できる。よって、上述の態様の後編装置によれば、干渉性の低い光を出力でき、照射面への光の照射時に発生するスペックルパターンを低減できる。
【0010】
第1の態様の光源装置において、
前記導光手段は、前記分岐手段からの入射光が再び前記分岐手段へ入射するまでの光路長が、前記発光手段から射出される光の可干渉距離以上となるように構成されていてもよい。
【0011】
上述の態様によれば、導光手段への入射光に射出光の可干渉距離以上の光路を付与できる。従って、上述の態様も光源装置は、可干渉距離以上の光路差を有する複数種類の光を出力でき、照射面への照射時に発生するスペックルパターンを低減できる。
【0012】
第1の態様の光源装置において、
前記導光手段は、複数の反射面を有し、入射光を前記複数の反射面で反射することにより前記循環させてもよい。
【0013】
上述の態様によれば、反射の繰り返しによって導光手段の内部で光を循環させることができるため、簡易な構成で、光路長の異なる複数種類の光を出力できる。従って、干渉性の低い光を出力でき、スペックルパターンの発生を抑制できる。
【0014】
第1の態様の光源装置において、
前記導光手段は、底面の形状が直角三角形である三角プリズムを4つ有しており、前記4つの三角プリズムのうち、3つの三角プリズムの底面の斜辺を含む側面が前記反射面となるように配置され、かつ、前記4つの三角プリズムのうちの残りの1つの三角プリズムの底面の斜辺を含む側面が前記発光手段に対向するように配置されており、
前記分岐手段は、前記残りの1つの三角プリズムの底面の斜辺を含む側面に接するように配置されていてもよい。
【0015】
三角プリズムは容易に準備できるため、上述の態様によれば、簡易に、かつ、低コストで光源装置を製造できる。
【0016】
第1の態様の光源装置において、更に、
前記三角プリズムを形成する部材の屈折率とほぼ同じ屈折率を有し、光を透過する部材で形成され、前記分岐手段と前記発光手段との間に前記分岐手段に接するように配置されている第1の透過部材、を備えていてもよい。
【0017】
上述の態様によれば、分岐手段の片側に三角プリズムが配置され、もう片側に三角プリズムとほぼ同じ屈折率を有する透過部材が配置できる。従って、分岐手段への入射光の入射角と、分岐手段から導光手段への入射光の入射角とをほぼ同じ角度とできるため、導光手段内で安定して光を循環させることができる。よって、上述の態様の光源装置は、干渉性の低い光を照射対象面に向けて出力でき、スペックルパターンの発生を抑制できる。
【0018】
第1の態様の光源装置において、
前記第1の透過部材は、前記4つの三角プリズムとほぼ同じ形状、大きさを有する三角プリズムであり、底面の斜辺を含む側面が前記分岐手段に接するように配置されてもよい。
【0019】
上述の態様の光源装置によれば、導光手段の三角プリズムと第1の透過部材である三角プリズムとはほぼ同型の三角プリズムであり、分岐手段の両側に、各三角プリズムの同一面が接するように配置できる。従って、上述の態様によれば、干渉性の低い光を照射対象面に向けて出力可能な光源装置を容易に製造できる。
【0020】
第1の態様の光源装置において、
前記4つの三角プリズムの任意の第1の三角プリズムと、前記第1の三角プリズムに隣接する第2の三角プリズムは、前記第1の三角プリズムの底面の直角三角形の対辺を含む第1の側面と、前記第2の三角プリズムの底面の直角三角形の対辺を含む側面とで接合されており、前記第1の三角プリズムと、前記第1の三角プリズムに隣接し、前記第2の三角プリズムとは異なる第3の三角プリズムとは、前記第1の三角プリズムの底面の直角三角形の隣辺を含む第2の側面と、前記第3の三角プリズムの底面の直角三角形の隣辺を含む側面とで接合されており、かつ、全ての前記三角プリズムの底面の直角三角形の前記対辺と前記隣辺との間の頂点が一致するように配置されていてもよい。
【0021】
上述の態様によれば、導光手段を構成する各三角プリズムは、底面の対辺を含む側面で隣接する三角プリズムと接合されているため、導光手段の構造の安定性を向上できる。また、上述の態様によれば、各三角プリズムの側面接合して導光手段を形成できるため、簡易に導光手段を製造できる。また、三角プリズムの斜辺でない辺を含む側面を、導光手段の内部で反射面として利用できる。よって、上述の態様の光源装置を利用することにより、導光手段における迷光の発生を抑制でき、光の利用効率を向上できる。
【0022】
第1の態様の光源装置において、
前記各三角プリズムの底面の形状は、直角二等辺三角形であってもよい。
【0023】
上述の態様によれば、導光手段の構造の安定性を向上できる。また、直角二等辺三角形の形状の底面を有する三角プリズムを用いることにより、導光手段内を循環後に照射面に出力される光と、導光手段内を循環せずに照射面に出力される光とをほぼ同じ角度で出力できるため、光の利用効率低下を抑制できる。
【0024】
第1の態様の光源装置において、
前記4つの三角プリズムのうちの任意の第1の三角プリズムと、前記第1の三角プリズムに隣接する第2の三角プリズムと、前記第2の三角プリズムに隣接し、かつ、前記第1の三角プリズムとは異なる第3の三角プリズムと、前記第3の三角プリズムに隣接し、かつ、前記第2の三角プリズムとは異なる第4の三角プリズムとを有しており、前記第1の三角プリズム、前記第2の三角プリズム、前記第3の三角プリズムおよび前記第4の三角プリズムは、少なくとも、前記第1の三角プリズムと前記第2の三角プリズムの間隔と、前記第3の三角プリズムと前記第4の三角プリズムの間隔とが、ほぼ等しくなるように配置されていてもよい。
【0025】
上述の態様の光源装置によれば、第1の三角プリズムと第2の三角プリズム間、および、第3の三角プリズムと第4の三角プリズムの間に空隙を形成でき、空隙の距離を調整することにより、導光手段内を循環する光の光路長を任意に調整できる。
【0026】
第1の態様の光源装置において、更に、
前記第1の三角プリズムと前記第2の三角プリズムの間、および、前記第3の三角プリズムと前記第4の三角プリズムの間に配置され、光を透過する第2の透過部材を備えてもよい。
【0027】
上述の態様の光源装置によれば、第1の三角プリズムと前記第2の三角プリズムの間、および、前記第3の三角プリズムと前記第4の三角プリズムの間の空隙に透過部材を配置できるため、導光手段の構造の安定性を向上できるとともに、第1の反射光に対して、入射光の光路長に任意の光路差を付与できる。
【0028】
第1の態様の光源装置において、
前記第2の透過部材は、ロッドインテグレータを含んでもよい。
【0029】
上述の態様の光源装置によれば、三角プリズムの反射面で反射された反射光の反射角度が所望の角度からずれた場合にも、反射光は、ロッドインテグレータ内で反射して隣接する三角プリズムに入射する。従って、上述の態様によれば、入射光の損失を抑制しながら、入射光の光路長を任意に設定できる。
【0030】
第1の態様の光源装置において、更に、
前記射出光の前記導光手段内部の光路に配置され、所定の条件の変化に応じて屈折率が変化する少なくとも1つ以上の屈折率可変素子と、
前記所定の条件を変化させる条件変化手段と、を備えてもよい。
【0031】
導光手段内を通過する光の光路長は、導光手段の内部に配置された屈折率可変素子の屈折率の変化に応じて変化する。従って、上述の態様の光源装置によれば、種々の光路長を有する光を同一面から出力できるため、干渉性の低い光を出力できる。
【0032】
第1の態様の光源装置において、
記所定の条件は、前記屈折率可変素子が配置されている部位の磁場および電場、ならびに、前記屈折率可変素子に与えられる温度および応力のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0033】
上述の態様の光源装置によれば、簡易に屈折率を変化できるため、容易に干渉性の低い光を出力できる。
【0034】
第2の態様として、プロジェクタを提供する。第2の態様のプロジェクタは、第1の態様のいずれかの光源装置を備える。
【0035】
上述の態様のプロジェクタによれば、複数種類の光路長の光を合成した合成光を用いて画像を形成し、スクリーンに投影できるため、スペックルノイズの発生を低減できる。従って、スクリーンに投影されている画像を鑑賞する鑑賞者の不快感を解消でき、鑑賞者の疲労を軽減できる。
【0036】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
A1.システム構成:
第1実施例では、フロント投写型プロジェクタについて説明する。図1は、第1実施例におけるフロント投射型プロジェクタ10の概略構成を例示する説明図である。フロント投射型プロジェクタ10は、赤色光を射出する半導体レーザ装置20a、青色光を射出する半導体レーザ装置20b、および、緑色光を射出する半導体レーザ装置20cと各色専用の液晶パネルとを用いて画像を生成し、図1に示すように、スクリーン50に投影する。以降、第1実施例ではフロント投射型プロジェクタ10を、単に、プロジェクタ10と呼ぶ。
【0038】
図1に示すように、プロジェクタ10は、半導体レーザ装置20、光循環ユニット100、インテグレータレンズ21a〜21c(照明光学系)、ライトバルブ37〜39、ダイクロイックプリズム40および投射レンズ41を備える。以降、第1実施例では、半導体レーザ装置20aと光循環ユニット100を合わせて光源装置11と呼ぶ。同様に、レーザ装置20bと光循環ユニット100とを合わせて光源装置11と呼び、半導体レーザ光源20cと光循環ユニット100とを合わせて光源装置11と呼ぶ。
【0039】
各半導体レーザ装置20a〜20cは、図示しない第2高調波発生素子および共振器を備えており、図示しない光源からの光を第2高調波発生素子および共振器を用いて「レーザ光」に変換して出力する。半導体レーザ装置20a〜20cは、半導体レーザ装置毎に波長および位相の揃ったレーザ光を出力し、プロジェクタ10の光源として機能する。例えば、半導体レーザ装置20aは約650nmの波長を有する赤色レーザ光を出力し、半導体レーザ装置20bは約540nmの波長を有する緑色レーザ光を出力し、半導体レーザ装置20cは約430nmの波長を有する青色レーザ光を出力する。
【0040】
半導体レーザ装置20a〜20cは、また、図示しない高周波重畳機構を備えている。高周波重畳機構は、レーザーダイオードのバイアス電流に外部から高周波信号を印加する事で光変調を行う。位相の揃ったレーザ光はランプ光源に比べて干渉性が高いが、所定の光路差を経た光同士は干渉しないことが知られている。干渉が生じない光路差を「コヒーレント長」と言う。レーザ光のコヒーレント長は、数メートル以上のものもあるが、高周波重畳機構による変調を行うことにより、コヒーレント長を数ミリメートル程度に短くできる。
【0041】
光循環ユニット100は、入射光を内部で循環させ、循環回数に応じた光路長を有する光として出力する。よって、光循環ユニット100から出力される光には、複数種類の光路長を有する光が含まれることとなり、出力光の合成光は干渉性の低い光となる。こうして出力された干渉性の低い合成光を用いることにより、光の干渉を抑制できるため、スペックルパターンの発生を低減でき、鑑賞者の疲労と不快感を軽減できる。光循環ユニット100については、後に詳述する。
【0042】
インテグレータレンズ21は、入射する照射光を重畳して輝度ムラを平均化し、スクリーンの端部と中央部との光量差を低減する。インテグレータレンズ21を配置することにより、スクリーン全体に明るい画像を投射できる。
【0043】
ライトバルブ37〜39は、高温ポリシリコン(HTPS:High Temperature Poly−Silicon)TFTを用いて形成されている。アクティブマトリクス駆動方式の透過型液晶パネルと偏光板を有している。ライトバルブ37〜39は、入射光を制御して画像を描画する。
【0044】
ダイクロイックプリズム40は、三角プリズムを4つ組み合わせて直方体とした構成を有しており、ライトバルブ37〜39を通過した赤色レーザ光、緑色レーザ光、および青色レーザ光を合成して画像を形成し、投射レンズ41に投射する。
【0045】
投射レンズ41は、ダイクロイックプリズム40から投射された画像を、スクリーン50に投影する。
【0046】
以上説明したように、プロジェクタ10は、半導体レーザ装置20a〜20cからの射出光を各色専用のライトバルブに入射させて画像を形成後、合成しスクリーン50に投影する。鑑賞者は、スクリーン50に投影された画像を視認する。
【0047】
A2.光循環ユニットの詳細構成:
光循環ユニットの詳細構成について、図2および図3を参照して説明する。第1実施例における光循環ユニット100の詳細構成を例示する説明図である。図3は、第1実施例における光循環ユニット100の組み付けについて説明する説明図である。図2に示すように、光循環ユニット100は、三角プリズム200,210,220,230からなる導光部150と、ハーフミラー250と、三角プリズム240とを備える。
【0048】
導光部150を形成する各三角プリズム200〜230は、矩形形状の3つの面と三角形形状の2つの面を有する三角柱である。以降、三角形形状の面を底面と、矩形形状の面を側面と呼ぶ。各三角プリズム200〜230は、底面の形状が直角二等辺三角形であり、ほぼ同一の大きさおよび形状を有し、光を透過する部材で形成されている。第1実施例では、各三角プリズムは、ガラスを材料として形成されている。三角プリズム210,220および230の底面を形成する二等辺三角形の斜辺を含む側面は、それぞれ、反射面410,420、430として機能する。なお、本明細書では、「ほぼ〜」、「約〜」という記載は、製造過程や使用による劣化に起因する誤差の範囲内に含まれ、誤差の範囲は、例えば、±5%程度であり、作用および効果に影響の無いことを表す。
【0049】
ハーフミラー250は、三角プリズム200の底面の斜辺を含む側面に蒸着された銀薄膜により形成されている。ハーフミラー250は、入射光の一部を反射するとともに、入射光の他の一部を透過する。第1実施例では、反射率:透過率が約「1:1」となるように形成されている。すなわち、ハーフミラー250は、ハーフミラー250への入射光の約50%を反射し、入射光の約50%を透過する。なお、反射も透過もされない入射光の残りは、ハーフミラー250による散乱や吸収等される。
【0050】
ハーフミラー250は、半導体レーザ装置20bの射出光に対して垂直な平面に対して約45度の角度となるように、かつ、インテグレータレンズ21の受光面に対して約45度の角度となるように配置されている。こうすることにより、半導体レーザ装置20bから射出されハーフミラー250を介してのインテグレータレンズ21に向けて出力される光の、インテグレータレンズ21における単位面積あたりの照射効率を向上できる。
【0051】
三角プリズム240は、三角プリズム200と同じ媒質(すなわち、同じ屈折率を有する)で形成されており、ハーフミラー250と半導体レーザ装置20bとの間に、ハーフミラー250に接するように配置されている。このように構成することにより、ハーフミラー250に入射する光の入射角と、ハーフミラー250から三角プリズム200に入射する光の入射角とをほぼ同じにできる。従って、三角プリズム200に所望の入射角で光を入射させることができ、光循環ユニット100内で安定して光を循環させることができる。
【0052】
ここで、光循環ユニット100の組み付けについて、図3を参照して説明する。図3は、光循環ユニット100を三角プリズムの底面側から見た分解平面図である。図3に示すように、各三角プリズム200〜230は、底面を形成する直角三角形の対辺を含む側面と、隣接する三角プリズムの底面の隣辺を含む側面とが張り合わされ、一体的に形成されている。具体的には、例えば、三角プリズム200の一方の対辺201は、三角プリズム210の隣辺212を含む側面と張り合わされており、三角プリズム200の隣辺202は、三角プリズム210とは逆側に隣接する三角プリズム230の対辺232を含む側面と張り合わされている。
【0053】
ハーフミラー250として機能する銀薄膜250は、三角プリズム200の底面の斜辺203を含む側面上に蒸着されている。
【0054】
三角プリズム240は、三角プリズム200の斜辺203を含む側面と三角プリズム240の斜辺243を含む側面とが重なり合うように、三角プリズム240の斜辺243を含む側面でハーフミラー250と張り合わされている。
【0055】
第1実施例において、三角プリズム同士、または、三角プリズムとハーフミラー250とは、三角プリズムの屈折率よりも低い屈折率を有する接着剤により接合されている。こうすれば、接着剤への光の入射角と接着剤から三角プリズムへの光の入射角とがほぼ同じ角度となるため、光循環ユニット100に入射した光を光循環ユニット100内で安定して循環させることができる。また、三角プリズムの斜辺でない辺を含む側面を、導光手段の内部で反射面として利用できる。よって、導光部における迷光の発生を抑制でき、光の利用効率を向上できる。
【0056】
図2に戻り、光循環ユニット100内における光の循環について説明する。なお、本実施例では、図2に示すように、三角プリズム200〜240の底面の対辺、隣辺の長さを「L」とする。また、本実施例では、三角プリズム200〜240の屈折率を「n」と表す。
【0057】
図2に示すように、半導体レーザ装置20bから射出された射出光300は、三角プリズム240の側面に対してほぼ垂直に入射し、三角プリズム240を透過してハーフミラー250に入射する。
【0058】
ハーフミラー250に入射した射出光300(破線)は、約50%が反射されて(反射光301:破線)インテグレータレンズ21に入射し、射出光300の残りの約50%は、ハーフミラー250を透過して(透過光302:一点鎖線)、三角プリズム200に入射する。
【0059】
透過光302は、三角プリズム210の反射面410で反射され、三角プリズム220に入射する。一般的に、三角プリズムを形成する媒質であるガラスと空気との境界面の臨界角は約41°であり、臨界角より大きい角度でガラスと空気と境界面に入射した光は、全反射される。図2に示すように、透過光302は、三角プリズム210の対辺を含む側面に対してほぼ垂直に三角プリズム210に入射するため、透過光302は約45°の入射角で反射面410に入射する。よって、透過光302は反射面410で全反射され、三角プリズム220の反射面420に入射し、三角プリズム220の反射面420,および三角プリズム230の反射面430で、反射面410と同様に全反射され、導光部150内を循環し、導光部150の内側から再びハーフミラー250に入射する。
【0060】
ハーフミラー250に入射した透過光302の約50%がハーフミラー250を透過して(透過光303:一点鎖線)インテグレータレンズ21に入射し、透過光302の残りの約50%が、三角プリズム210の反射面410に向かって反射される(反射光304:二点鎖線)。反射光304は、透過光302と同様に、反射面410,420および430で全反射され、導光部150内を循環して再びハーフミラー250に入射する。
【0061】
ハーフミラー250に入射した反射光304の約50%はハーフミラー250を透過して(透過光305:二点鎖線)インテグレータレンズ21に入射し、反射光304の残りの約50%が、三角プリズム210の反射面410に向かって反射される(反射光306:細鎖線)。反射光306は反射光304と同様に、導光部150内を循環してハーフミラー250に再び入射し、反射および透過される。以降、同様に、ハーフミラー250で反射され導光部150に入射した光は導光部150内を循環し、ハーフミラー250で反射および透過される。
【0062】
図2に示すように、導光部150内の1循環の光路長は「d」である。光路長「d」は約「2L*n」と表すことができる。なお、第1実施例では、導光部150は、光路長「d」がコヒーレント長より長くなるように形成されている。すなわち、光循環ユニット100は、互いにコヒーレント長以上の光路差を有する複数種類の光を、同一面(ハーフミラー250)から、同一の照射面(インテグレータレンズ21)に出力する。具体的には、透過光303の光路長は、反射光301の光路長より光路差「d」だけ長く、透過光305の光路長は、反射光301の光路長より光路差「2d」(すなわち、透過光303の光路長より光路差「d」)長い。
【0063】
インテグレータレンズ21に入射した複数種類の光(反射光301,透過光303,305)は、インテグレータレンズ21で照射面内での光量のバラツキが平坦になるように合成されて、ライトバルブ38に入射する。インテグレータレンズ21に入射する反射光301,透過光303,305は、互いにコヒーレント長以上の光路差のある光であるため、インテグレータレンズ21により合成された反射光301、透過光303、305の合成光は、干渉性の低い光となる。
【0064】
プロジェクタ10は、このように再合成された干渉性の低い光を利用して画像をスクリーンに投影する。
【0065】
以上説明した第1実施例のプロジェクタ10によれば、半導体レーザ装置から射出された干渉性の高いレーザ光を、光循環ユニット100によりコヒーレント長以上の光路差がある複数の光に分岐し、インテグレータレンズ21で重畳して干渉性の低いレーザ光を出力できる。従来では、スペックルパターンを低減するためにスクリーンを振動させる等の手法を取っていたため音や振動が発生していたが、第1実施例のプロジェクタ10によれば、干渉性の低いレーザ光を利用して画像をスクリーンへ投影できるため、音や振動の発生を軽減しながら、スペックルパターンの発生を低減できる。よって、スクリーン鑑賞者はスクリーンに投影される画像を快適に鑑賞でき、鑑賞者の不快感の軽減および鑑賞者の疲労の増大を抑制できる。
【0066】
また、第1実施例のプロジェクタ10によれば、導光部150を三角プリズムの貼り合わにより形成できるため、容易にかつ低コストで導光部を形成できる。
【0067】
B.第2実施例:
第2実施例では、所定の条件の変化に応じて屈折率が変化する屈折率可変素子を導光部内に備える光循環ユニットについて説明する。
【0068】
B1.光循環ユニットの詳細構成:
図4は、第2実施例における光源装置について説明する説明図である。第2実施例の光源装置11aは、図4に示すように。導光部150,ハーフミラー250、屈折率可変手段500からなる光循環ユニット110および半導体レーザ装置20bを備える。導光部150は、第1実施例と同様に4つの三角プリズム200、210,220および230から構成されている。なお、三角プリズム200、210,220、230、240,ハーフミラー250、および、半導体レーザ装置20bは、第1実施例と同様の機能、構成であるため、説明を省略する。
【0069】
屈折率可変手段500は、屈折率可変素子510と電極シート520,530とを備える。屈折率可変素子510は、図4に示すように、三角プリズム200と三角プリズム230の側面間に配置されている。電極シート520,530は、屈折率可変素子510の両側に配置されている。
【0070】
屈折率可変素子とは、所定の条件の変化に応じて、屈折率が変化する素子である。所定の条件とは、例えば、屈折率可変素子が置かれている電場または磁場や、屈折率可変素子に与えられる温度、応力が挙げられる。屈折率可変素子は、磁場の変化による磁気光学効果により物質の電子スピンの偏極や電子の軌道運動が変化して屈折率が変化する物質や、電場の変化による電気光学効果により分子の配向が変化して屈折率が変化する物質を用いて形成できる。また、屈折率可変素子は、例えば、応力が加えられることにより、イオンや電子の密度が変化して屈折率が変化する物質を用いて形成できる。
【0071】
本実施例では、屈折率可変素子510は薄膜状に形成され、電場の変化により屈折率が変化する液晶の層である。屈折率可変素子510は、配置されている部位の電場の変化により屈折率可変素子を構成する液晶分子の配向が変化し、屈折率が変化する。そのため、電極シート520,530間に電圧を印加することにより、屈折率可変素子510の屈折率を変化できる。
【0072】
屈折率可変素子510を通過する光の光路長は、屈折率可変素子510の層厚を「d1」、屈折率n’とすると、「d1×n’」と表すことができる。すなわち、屈折率n’を変化させることにより屈折率可変素子510を通過する光の光路長を柔軟に設定できる。
【0073】
上述した第2実施例の光源装置によれば、電極シート間に電圧を印加して電場を変化させることにより、屈折率可変素子の屈折率を変化させられるため、導光部内を通過する光の光路長を所望のタイミングで種々に変化させることができる。よって、光路長の異なる複数種類の光を光循環ユニット110から出力できる。よって、第2実施例の光源装置を備えるプロジェクタを用いることにより、スペックルパターンの発生が抑制され、鑑賞者の不快感および鑑賞者の疲労を軽減できる。
【0074】
また、上述した第2実施例の光循環ユニットによれば、屈折率可変素子510の屈折率を高くすることによりコヒーレント長が長くなるため、導光部150内を光が通過する際の物理的な距離を短くできる、すなわち、光循環ユニットを小型化できる。
【0075】
C.第3実施例:
第3実施例では、隣接する三角プリズムの間に、ロッドインテグレータを配置した光循環ユニットを有する光源装置について説明する。
【0076】
C1.光循環ユニットの詳細構成:
図5は、第3実施例における光源装置を例示する説明図である。図5は、光源装置11bを、光循環ユニット120の底面側からの平面図である。図5に示すように、光源装置11bは、導光部150aとハーフミラー250と三角プリズム240とからなる光循環ユニット120と、半導体レーザ装置20bとを備える。導光部150aは、三角プリズム200〜230,および、ロッドインテグレータ600,601とからなる。半導体レーザ装置20b、三角プリズム200〜240,ハーフミラー250は、第1実施例と同様の機能、構造であるため、説明を省略する。
【0077】
導光部150aは、図5に示すように、三角プリズム210と三角プリズム220との間にロッドインテグレータ600が配置され、三角プリズム230と三角プリズム200との間にロッドインテグレータ610が配置されている。ロッドインテグレータ600、610は、三角プリズムと同じ媒質で形成されている。本実施例では、三角プリズム、ロッドインテグレータ共に透明なガラスにより形成されている。
【0078】
本実施例では、三角プリズム210と三角プリズム220との間隔、言い換えれば、対向する側面間の距離、すなわち、ロッドインテグレータ600の長さ、および、三角プリズム230と三角プリズム200との間隔、言い換えれば、三角プリズム230と三角プリズム200との対向する側面間の距離、(ロッドインテグレータ610の長さ)はほぼ等しい。また、導光部150aを一循環した光の光路長を「d2」と表す。本実施例では、光路長「d2」がコヒーレント長より長くなるように構成されている。
【0079】
図5に示すように、半導体レーザ装置20bから射出された射出光は700は、射出光700の約50%がハーフミラー250により図示しないインテグレータレンズに向かって反射され(反射光701)、射出光700の約50%がハーフミラー250を透過して導光部150aに入射する(透過光702)。透過光702は、三角プリズム210の反射面410で反射されロッドインテグレータ600内を通り、三角プリズム220の反射面420、三角プリズム230の反射面430で反射されてロッドインテグレータ610を通って再びハーフミラー250に入射する。ハーフミラー250に入射した透過光702は、約50%がハーフミラー250を透過して図示しないインテグレータレンズに向かい(透過光703)、約50%がハーフミラー250によって反射され(反射光704)再び導光部150aを循環する。
【0080】
透過光703は、反射光701よりも、光路長「d2」長い。従って、従って、ハーフミラー250からは、互いにコヒーレント長以上の光路差を有する複数種類の光が、ハーフミラー250から図示しないインテグレータレンズに向かって出力される。
【0081】
以上説明した第3実施例の光源装置によれば、三角プリズム間にロッドインテグレータを配置することにより、光路長を簡易に伸長できる。また、第3実施例の光源装置によれば、半導体レーザ装置20bからの射出光の進行方向に対して略垂直方向にロッドインテグレータを配置して光路長を伸長できる。そのため、第3実施例の光源装置は、三角プリズムを4つ貼り合わせた導光部と同じようにコヒーレント長以上の光路長を有し、半導体レーザ装置20bからの射出光の進行方向についての大きさを、三角プリズムを4つ貼り合わせた導光部より小さくできる。
【0082】
また、上述の第3実施例の光源装置によれば、ハーフミラー250や各三角プリズムの反射面410〜430の劣化や損傷などにより、図5に示すように、反射光705が導光部の外部に向けて進んだ場合にも、反射光705をロッドインテグレータで反射し、次の三角プリズムに向けて進めることができる。従って、光の損失を抑制できる。
【0083】
D.第4実施例:
第4実施例では、所定の距離を空けて配置された4つの三角プリズムにより構成される導光部を有する光循環ユニットを備える光源装置について説明する。
【0084】
D1.光循環ユニットの詳細構成:
図6は、第4実施例の光源装置11cを例示する説明図である。図6は、光源装置11cの底面側からの平面図である。図6に示すように、光源装置11cは、光循環ユニット130と半導体レーザ装置20bを備える。光循環ユニット130は、4つの三角プリズム200〜230からなる導光部150b、ハーフミラー250および三角プリズム240を備える。光循環ユニット130は、三角プリズム200と三角プリズム210との間、三角プリズム210と三角プリズム220との間、三角プリズム220と三角プリズム230との間、および、三角プリズム230と三角プリズム200との間に空隙800〜830を有するように構成されている。各三角プリズム200〜230は、空隙800と空隙820の距離がほぼ等しく、かつ、空隙810と空隙830の距離がほぼ等しくなるように配置されている。
【0085】
図6に示すように、半導体レーザ装置20bから射出された射出光は710は、射出光710の約50%がハーフミラー250により図示しないインテグレータレンズに向けて反射され(反射光711)、射出光700の約50%がハーフミラー250を透過し、導光部150bに入射する(透過光712)。透過光712は、空隙800を通過して三角プリズム210の反射面410で反射され、空隙810を通過して三角プリズム220の反射面420で反射される。そして、透過光712は、空隙820を通過して三角プリズム230の反射面430で反射され、空隙830を通過して再びハーフミラー250に入射する。ハーフミラー250に入射した透過光712は、約50%がハーフミラー250を透過して図示しないインテグレータレンズに向かい(透過光713)、約50%がハーフミラー250によって反射され(反射光714)再び導光部150bを循環する。以降、導光部内の循環、ならびに、ハーフミラー250による反射および透過を繰り返して、ハーフミラー250から光路長の異なる光を出力する。
【0086】
透過光713は、反射光711よりも、光路長「d3」長い。本実施例では、導光部150bは、光路長「d3」がコヒーレント長より長くなるように構成されている。従って、ハーフミラー250からは、互いにコヒーレント長以上の光路差を有する複数種類の光が、ハーフミラー250から図示しないインテグレータレンズに向かって出力される。
【0087】
以上説明した第4実施例によれば、複数の三角プリズムの配置を調整することにより、導光部を通過する光の光路長を柔軟に設定できる。
【0088】
E.変形例:
(1)上述の第1実施例〜第4実施例では、導光部を複数の三角プリズムを用いて構成しているが、例えば、図7に示すように、光ファイバを用いて導光部を形成してもよい。
【0089】
図7は、変形例における光源装置の概略構成を例示する説明図である。変形例の光源装置11dは、半導体レーザ装置20bと、光循環ユニット140とを備える。光循環ユニット140は、三角プリズム200と光ファイバ900とから構成される導光部150cと、ハーフミラー250と三角プリズム240とを備える。
【0090】
光ファイバ900は、石英ガラスやプラスチックで細い繊維状に形成されており、中心部のコア周囲をクラッドで覆った二重構造を有する。光ファイバ900は、コアがクラッドに比較して高い屈折率を有するように形成されているため、光ファイバ900への入射光は、コアとクラッドとの境界で全反射してコア内に閉じこめられた状態で伝搬する。光ファイバ900は、光ファイバ900を通過する光の光路長は、少なくとも、半導体レーザ装置20bから射出される射出光のコヒーレント長以上の長さとなるように、形成されている。
【0091】
図7に示すように、半導体レーザ装置20bから射出された射出光は950の約50%はハーフミラー250により図示しないインテグレータレンズに向けて反射され(反射光951)、射出光950の約50%がハーフミラー250を透過し、導光部150cに入射する(透過光952)。透過光952は、光ファイバ900内で全反射しながら伝搬し再びハーフミラー250に入射する。ハーフミラー250に入射した透過光952の約50%はハーフミラー250を透過して図示しないインテグレータレンズに向かい(透過光953)、透過光952の約50%はハーフミラー250によって反射され(反射光954)再び導光部150cを循環する。このように、光源装置11dは、入射光に対して、ハーフミラー250での反射および透過および導光部150c内での循環を繰り返し、図示しないインテグレータレンズに向けて光路長の異なる光を出力する。
【0092】
上述の変形例によれば、光ファイバを用いることにより、簡易な構成で光を循環させることができる。従って、変形例の光源装置によれば、互いコヒーレント長以上の光路差を有する複数種類の光を出力できるため、スペックルパターンの発生を抑制できる。
【0093】
(2)上述の第1実施例では、光源装置を、3つの空間変調器(ライトバルブ)を用いた三板方式と呼ばれる構成のプロジェクタに採用しているが、2つの空間変調器を用いた二板方式、1つの空間変調器を用いた単板方式と呼ばれる構成のプロジェクタに採用してもよい。上述の光源装置を、二板方式、単板方式のプロジェクタに採用する場合には、適宜、ダイクロイックミラーや反射レンズ等を用いることにより構成できる。
【0094】
(3)上述の各実施例では、透過率を約50%、反射率を約50%に調整されたハーフミラー250を利用しているが、例えば、透過率および反射率が任意に調整された部分反射ミラーを用いても良い。
【0095】
(4)上述の各実施例では、光源装置から出力される複数種類の光が、互いにコヒーレント長以上の光路差を有するように光循環ユニットを構成しているが、光源装置から出力される複数種類の光は、互いにコヒーレント長以上の光路差を有していなくてもよい。光源装置から出力される複数種類の光が、互いに光路長の異なる光であればスペックルパターンの発生は低減される。
【0096】
(5)上述の各実施例では、三角プリズムを用いて導光部を形成しているが、例えば、角柱の透明部材を用いて導光部を形成してもよい。
【0097】
(6)上述の第2実施例では、屈折率可変素子510を三角プリズム230と三角プリズム200との間に配置しているが、例えば、図4に示すように、三角プリズムの間のいずれの位置に配置してもかまわない(屈折率可変素子511,512,513)。また、屈折率可変素子を複数配置してもよい。こうすれば、屈折率を柔軟に設定できる。
【0098】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】第1実施例におけるフロント投射型プロジェクタ10の概略構成を例示する説明図。
【図2】第1実施例の光循環ユニットについて説明する説明図。
【図3】第1実施例における光循環ユニットの組み付けについて説明する説明図。
【図4】第2実施例における光源装置を例示する説明図。
【図5】第3実施例における光源装置を例示する説明図。
【図6】第4実施例における光源装置を例示する説明図。
【図7】変形例における光源装置の概略構成を例示する説明図。
【符号の説明】
【0100】
10…プロジェクタ
11…光源装置
11a…光源装置
11b…光源装置
11c…光源装置
11d…光源装置
20…半導体レーザ装置
20a〜20c…半導体レーザ装置
…半導体レーザ装置
21a〜21c…インテグレータレンズ
37〜39…ライトバルブ
40…ダイクロイックプリズム
41…投射レンズ
50…スクリーン
100、110,120,130、140…光循環ユニット
150…導光部
150a〜150c…導光部
200、210,220,230,240…三角プリズム
250…ハーフミラー
410、420,430…反射面
500…屈折率可変手段
510…屈折率可変素子
520、530…電極シート
600、610…ロッドインテグレータ
800、810,820,830…空隙
900…光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置であって、
光を射出する発光手段と、
入射光の一部を反射するとともに、残りを透過する分岐手段と、
前記分岐手段を経て入射する入射光を内部で循環させて、前記分岐手段に再び入射させる導光手段と、を備え、
前記分岐手段は、前記発光手段から射出され、前記導光手段を経ずに入射する入射光の一部を第1の反射光として照射面に向けて出力するとともに、残りを第1の透過光として前記導光手段に入射させ、かつ、前記導光手段からの入射光の一部を第2の反射光として前記導光手段へ再度入射させるとともに、残りを第2の透過光として前記照射面に向けて出力する、光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置であって、
前記導光手段は、前記分岐手段からの入射光が再び前記分岐手段へ入射するまでの光路長が、前記発光手段から射出される光の可干渉距離以上となるように構成されている、光源装置。
【請求項3】
請求項1記載の光源装置であって、
前記導光手段は、複数の反射面を有し、入射光を前記複数の反射面で反射することにより前記循環させる、光源装置。
【請求項4】
請求項3記載の光源装置であって、
前記導光手段は、底面の形状が直角三角形である三角プリズムを4つ有しており、前記4つの三角プリズムのうち、3つの三角プリズムの底面の斜辺を含む側面が前記反射面となるように配置され、かつ、前記4つの三角プリズムのうちの残りの1つの三角プリズムの底面の斜辺を含む側面が前記発光手段に対向するように配置されており、
前記分岐手段は、前記残りの1つの三角プリズムの底面の斜辺を含む側面に接するように配置されている、光源装置。
【請求項5】
請求項4記載の光源装置であって、更に、
前記三角プリズムを形成する部材の屈折率とほぼ同じ屈折率を有し、光を透過する部材で形成され、前記分岐手段と前記発光手段との間に前記分岐手段に接するように配置されている第1の透過部材、を備える、光源装置。
【請求項6】
請求項5記載の光源装置であって、
前記第1の透過部材は、前記4つの三角プリズムとほぼ同じ形状、大きさを有する三角プリズムであり、底面の斜辺を含む側面が前記分岐手段に接するように配置された、光源装置。
【請求項7】
請求項4記載の光源装置であって、
前記4つの三角プリズムの任意の第1の三角プリズムと、前記第1の三角プリズムに隣接する第2の三角プリズムは、前記第1の三角プリズムの底面の直角三角形の対辺を含む第1の側面と、前記第2の三角プリズムの底面の直角三角形の対辺を含む側面とで接合されており、前記第1の三角プリズムと、前記第1の三角プリズムに隣接し、前記第2の三角プリズムとは異なる第3の三角プリズムとは、前記第1の三角プリズムの底面の直角三角形の隣辺を含む第2の側面と、前記第3の三角プリズムの底面の直角三角形の隣辺を含む側面とで接合されており、かつ、全ての前記三角プリズムの底面の直角三角形の前記対辺と前記隣辺との間の頂点が一致するように配置されている、光源装置。
【請求項8】
請求項7記載の光源装置であって、
前記各三角プリズムの底面の形状は、直角二等辺三角形である、光源装置。
【請求項9】
請求項4記載の光源装置であって、
前記4つの三角プリズムのうちの任意の第1の三角プリズムと、前記第1の三角プリズムに隣接する第2の三角プリズムと、前記第2の三角プリズムに隣接し、かつ、前記第1の三角プリズムとは異なる第3の三角プリズムと、前記第3の三角プリズムに隣接し、かつ、前記第2の三角プリズムとは異なる第4の三角プリズムとを有しており、前記第1の三角プリズム、前記第2の三角プリズム、前記第3の三角プリズムおよび前記第4の三角プリズムは、少なくとも、前記第1の三角プリズムと前記第2の三角プリズムの間隔と、前記第3の三角プリズムと前記第4の三角プリズムの間隔とが、ほぼ等しくなるように配置されている、光源装置。
【請求項10】
請求項9記載の光源装置であって、更に、
前記第1の三角プリズムと前記第2の三角プリズムの間、および、前記第3の三角プリズムと前記第4の三角プリズムの間に配置され、光を透過する第2の透過部材を備える、光源装置。
【請求項11】
請求項9記載の光源装置であって、
前記第2の透過部材は、ロッドインテグレータを含む、光源装置。
【請求項12】
請求項1記載の光源装置であって、更に、
前記射出光の前記導光手段内部の光路に配置され、所定の条件の変化に応じて屈折率が変化する少なくとも1つ以上の屈折率可変素子と、
前記所定の条件を変化させる条件変化手段と、を備える光源装置。
【請求項13】
請求項11記載の光源装置であって、
前記所定の条件は、前記屈折率可変素子が配置されている部位の磁場および電場、ならびに、前記屈折率可変素子に与えられる温度および応力のうち少なくとも一つを含む、光源装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13いずれか記載の光源装置を備えるプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−112623(P2008−112623A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294174(P2006−294174)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】