説明

光源装置及びこの光源装置を用いる画像表示装置

【課題】本発明は、補修性がよく、製造コストを低減する光源装置を提供する。
【解決手段】本発明は、光源ランプ2と、光源ランプ2が内部に配置され、光源ランプ2からの放射光を反射して前面に設けられた開放部3から出射するリフレクタ4と、リフレクタ4の開放部3を覆い、リフレクタ4からの出射光を通過させる開口を有するランプカバー5と、ランプカバー5の開口21を内側から覆う透過性の防爆ガラス6と、防爆ガラス6を保持する防爆ガラス保持部材7とを備えた光源装置1において、防爆ガラス保持部材7は、防爆ガラス6の前面及び側面をランプカバー5の内側24に押圧することによって、防爆ガラス6を保持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びこの光源装置を用いる画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ装置等から画像データを入力して液晶表示素子に画像データに応じた画像を表示し、この液晶表示素子に光を照射して投影スクリーン上に画像を拡大投影するプロジェクタなどの画像表示装置が広く使用されている。また、光変調素子としてDMD(Digital Micromirror Device)素子を用いて画像データに応じた画像を投影する画像表示装置も知られている。
【0003】
この種の画像表示装置は、光源ランプを有する光源装置と、この光源装置から出射した光を入力された画像信号に基づいて変調する光変調素子(液晶表示素子やDMD素子)と、この光変調素子から出射した光を投影面に投射する投射光学系などから構成される。
【0004】
光源装置は、光を照射する光源ランプと、この光を反射させるリフレクタなどから構成されており、筐体のランプハウスに収められている。
【0005】
光源ランプは、小型で高輝度を得ることができる超高圧水銀ランプが用いられるが、長期間の使用により劣化して破裂する虞があるため、光源装置には、破裂時のガラスの飛散を防ぐために防爆ガラスが設けられている。
【0006】
この防爆ガラスが設けられた光源装置として、リフレクタ前面の凹状の位置決め面に接着剤等によって防爆ガラスを接着して固定したもの(例えば、特許文献1参照)や、防爆ガラスの周囲をリング状の部材で挟みつつ、リフレクタをカバーする放熱カバーの前面ネットにネジで固定するもの(例えば、特許文献2参照。)などがある。
【特許文献1】特開2004−272096号公報
【特許文献2】特開2006−228622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されているような光源装置では、防爆ガラス自体をリフレクタに接着固定しなければならず、接着作業が必要となって製造コストがかかる。しかも、防爆ガラスをリフレクタに接着しているために、防爆ガラスが汚れたり損傷した場合であっても、防爆ガラスのみを交換することはできず、補修性にも課題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示されているような光源装置では、防爆ガラスの周囲をリング状の部材で挟みつつ、リフレクタをカバーする放熱カバーの前面ネットにネジを用いて固定する構造であり、ねじ止め作業などが必要となって製造コストがかかるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光源ランプと、前記光源ランプが内部に配置され、前記光源ランプからの放射光を反射して前面に設けられた開放部から出射するリフレクタと、前記リフレクタの前記開放部を覆い、前記リフレクタからの出射光を通過させる開口を有するランプカバーと、前記ランプカバーの開口を内側から覆う透過性の防爆ガラスと、前記防爆ガラスを保持する防爆ガラス保持部材とを備えた光源装置において、前記防爆ガラス保持部材は、前記防爆ガラスの前面及び側面を前記ランプカバーの内側に押圧することによって、前記防爆ガラスを保持することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ランプカバーは、その内側に第1係止部と第2係止部を有しており、前記防爆ガラス保持部材は、前記防爆ガラスの第1の側面を前記第1係止部に押圧する第1押圧部と、前記防爆ガラスの第2の側面を前記第2係止部に押圧する第2押圧部とを有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記防爆ガラス保持部材は、前記防爆ガラスの後面を押圧して、前記防爆ガラスの前面を前記ランプカバーの内側に押圧する第3押圧部を備え、第1押圧部と第2押圧部とを第3押圧部から延伸させて設けたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記第1押圧部及び第2押圧部は、板バネで構成されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記防爆ガラス保持部材は、前記ランプカバーに係合する係合部を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記防爆ガラス保持部材の側壁部に前記光源ランプを冷却する冷却風を導く導風口が設けられ、前記導風口からの冷却風の方向を前記光源ランプ側へ変更する風向板を有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記風向板は、前記防爆ガラス保持部材と別部材で形成されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記風向板は、前記防爆ガラス保持部材と同一部材で形成されることを特徴とする。
とした。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光源装置と、前記光源装置から出射した光を入力された画像信号に基づいて変調する光変調部と、前記光変調部から出射した光をスクリーンに投影する投影光学系とを有することを特徴とする。とした。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、防爆ガラスを防爆ガラス保持部材とランプカバーで保持するため、防爆ガラスが汚れたり損傷した場合であっても防爆ガラスのみを容易に交換することができ補修性を向上させることができる。また、従来、防爆ガラスを保持するために接着作業やねじ止め作業が必要であったが、防爆ガラスを防爆ガラス保持部材とランプカバーで保持するため製造コストを低減することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、防爆ガラス保持部材は、防爆ガラスの第1の側面を第1係止部に押圧する第1押圧部と、防爆ガラスの第2の側面を第2係止部に押圧する第2押圧部とを有するので、防爆ガラスの各側面を押圧して、防爆ガラスを安定して保持することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、防爆ガラス保持部材は、防爆ガラスの後面を押圧して、防爆ガラスの前面をランプカバーの内側に第3押圧部で押圧するので、防爆ガラスの前面を後面から押圧して前後方向を安定して保持することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、第1押圧部及び第2押圧部を板バネで構成するので、防爆ガラス保持部材における押圧部の形成が容易となる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、防爆ガラスが汚れたり損傷したとき、防爆ガラス保持部材の係合部がランプカバーから開放されるため、短時間で取り付け、取り外し作業を行うことができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、防爆ガラス保持部材の側壁部に光源ランプを冷却する冷却風を導く導風口が設けられ、導風口からの冷却風の方向を光源ランプ側へ変更する風向板を備えているので、導風口から冷却風を光源装置内に導くことができ、さらに風向板によって冷却風の方向を光源ランプ側へ変更することができ、冷却効率を向上することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、風向板を別部材で形成したので、風向板の形状を変えた部材を交換することによって、風向の変更や分流する風量の調整を行うことができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、風向板を防爆ガラス保持部材と同一部材で形成したので、光源装置の部品点数を削減することができ、さらに風向板の取付け作業の工数も削減することができ、コスト低減を図ることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、光源装置の防爆ガラスが汚れたり損傷した場合、容易に交換することができるため、長期にわたり画像表示装置の補修性を向上させることができる。また、画像表示装置の動作時に冷却風が導風されると風向板を設けているため、分流されて高温になる光源ランプを積極的に冷却できることから長期にわたり信頼性を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る光源装置及びこの光源装置を備えた画像表示装置の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る光源装置を備えた画像表示装置101を示す構成図である。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態に係る画像表示装置101は、光源装置1と、光源装置1から出射した光を外部から入力された画像信号に基づいて変調する光変調部102と、この光変調部102から出射した光をスクリーンS(図示せず)に投影する投影光学系103を備えている。
【0029】
光変調部102は、透過型液晶パネルなどによって構成されており、光源装置1から出射した光を入力された画像信号に基づいて変調させる。なお、透過型液晶パネルに代えて、DMD(デジタル・ミラー・デバイス)を用いるようにしてもよい。
【0030】
また、投影光学系103は、複数のレンズを多段に組み合わされており、光変調部102から出射した光をスクリーンSに所望の大きさで投影する。
【0031】
以上のように構成された画像表示装置101において、その特徴部分である光源装置1について詳細に説明する。図2は本実施の形態に係る光源装置1の外観図、図3は本実施の形態に係る光源装置1の分解斜視図、図4は本実施の形態に係る光源装置1の要部の分解斜視図である。
【0032】
光源装置1は、図2及び図3に示すように、正面に光を出射する開口を備えたケース14と、このケース14に収納された光源本体15とから構成される。
【0033】
ケース14は、光源本体15を挿入するために上面に設けられた上面開口と光源本体15から出射する光を通過させるために正面に設けられた正面開口とを有する下部カバー16と、この下部カバー16の上面開口を覆うための上部カバー12とから構成される。
【0034】
光源本体15は、図4に示すように、光源ランプ2と、凹状に形成され、光源ランプ2をその凹状内部に配置して、この光源ランプ2からの放射光を凹状内部で反射して前面に設けた開放部3から出射するリフレクタ4と、リフレクタ4の開放部3を覆い、このリフレクタ4からの出射光を通過させる開口21を有するランプカバー5と、ランプカバー5の開口21を内側から覆う透過性の防爆ガラス6と、防爆ガラス6を保持する防爆ガラス保持部材7とから構成される。なお、光源ランプ2は、小型で高輝度を得ることができる細長形の中央に球状の発光管2aを備える超高圧水銀ランプが用いられる。
【0035】
この光源本体15において、防爆ガラス保持部材7は、防爆ガラス6の前面及び側面をランプカバー5の内側に所定の弾性をもって押圧して防爆ガラス6を保持するようにしており、このように構成することにより、防爆ガラス6を保持するための接着作業やねじ止め作業を不要とし、容易に防爆ガラス6を保持可能としている。
【0036】
以下、防爆ガラス6をランプカバー5及び防爆ガラス保持部材7によって保持するための構成を図面を参照して具体的に説明する。図5はランプカバーと防爆ガラスと防爆ガラス保持部材との位置関係を示す模式図、図6はランプカバー5の斜視図、図7は防爆ガラス保持部材7の斜視図である。
【0037】
防爆ガラス6は、図5に示すように、前面が正方形状で所定の厚みをもった板状ガラスであり、ランプカバー5の内側24に当接する前面40と、後述する防爆ガラス保持部材7の後面押圧板53に当接する後面41と、左右対称の左側面42及び右側面43(第1の側面の一例に相当)と、上下対称の上側面44(第2の側面の一例に相当)及び下側面45の各面を有している。
【0038】
ランプカバー5は、図5及び図6に示すように、前側壁部22F、左右側壁部22R,22L、上下側壁部22U,22Dとから構成される箱体であり、その背面を開放した形状としている。前側壁部22Fには、光源ランプ2からの光を通過させる開口21が形成される。また、この前側壁部22Fの内側には、防爆ガラス6の前面40よりも大きい面積の平面部20が形成される。右側壁部22Rの内側には、防爆ガラス6の右側面43を係止する一対の柱形状部25U,25Dを有する第1係止部25が設けられる。前側壁部22Fには、上側壁部22Uの近傍に、防爆ガラス6の上側面44を係止する凸形状の第2係止部26が設けられる。また、ランプカバー5の左右側壁部22L、22Rには、光源ランプ2を冷却する冷却風を導く長方形状の導風口23L、23Rに防爆ガラス保持部材7を係合する凹状の係合受部28L、28Rを有している。
【0039】
防爆ガラス保持部材7は、図5及び図7に示すように、光源ランプ2からの光を通過する開口部50を有し、防爆ガラス6の後面41に当接してこの防爆ガラス6の後面41を所定の弾性をもって押圧する後面押圧板53(第3押圧部の一例に相当)を備えている。また、防爆ガラス保持部材7には、後面押圧板53の左端から屈曲して後方に延在する平板状の左側壁部54Lが設けられており、さらに、後面押圧板53の右端から前方に膨出(膨出部56)した後に後方に延在する上方視J字形状の右側壁部54Rが設けられる。この左右側壁部54L、54Rには、それぞれランプカバー5の導風口23L、23Rの係合受部28L、28Rと係合する板バネ状の係合部57L、57Rを有している。
【0040】
また、防爆ガラス保持部材7には、後面押圧板53から板バネ51a,51b,52を延伸させて設けている。すなわち、後面押圧板53の左端上下から右側に湾曲しつつ前方に延在する一対の板バネ51a,51b(第1押圧部の一例に相当)が設けられ、さらに、後面押圧板53の下端の中央から下側に湾曲しつつ前方に延在する板バネ52(第2押圧部の一例に相当)が設けられる。この板バネ51a,51bは、左右方向に弾性を有し、板バネ52は上下方向に弾性を有する。
【0041】
ここで、防爆ガラス6をランプカバー5及び防爆ガラス保持部材7によって保持する手順を図面を参照して説明する。図8(A)はランプカバー5と防爆ガラス6との位置関係を示す模式図、図8(B)はランプカバー5と防爆ガラス6と防爆ガラス保持部材7の位置関係を示す模式図、図9は防爆ガラス6が防爆ガラス保持部材7によってランプカバー5に取り付けられた状態でこれらを防爆ガラス保持部材7の後方から見た図(点線は、防爆ガラス6を示す)、図10(A)は図9に示すA−A’線の断面図、図10(B)は図9に示すB−B’線の断面図である
【0042】
まず、作業台などの平らな面に前側壁部22Fの外面が当接するようにランプカバー5を置く。このとき、ランプカバー5の背面側が上を向く。
【0043】
次に、ランプカバー5の内側に防爆ガラス6を載置する。すなわち、ランプカバー5の前側壁部22Fの内側縁部にある平面部20に防爆ガラス6の前面40を当接させる。その後、防爆ガラス6を移動して、図8(A)に示すように、ランプカバー5の内側24にある第1係止部25a、25bの側面に防爆ガラス6の右側面43の両端部を当接させ、ランプカバー5の内側24にある第2係止部26に防爆ガラス6の上側面44の中央部を当接させる。
【0044】
ここで、第1係止部25a、25b及び第2係止部26の側面は平面部20に対して垂直の平らな面であり、防爆ガラス6の右側面43の両端部及び上側面44の中央部を面で受けることができる。
【0045】
このようにランプカバー5の内側に防爆ガラス6を載置した状態で、防爆ガラス保持部材7をランプカバー5の内側に挿入する。この際、防爆ガラス保持部材7の係合部57R,57Lが左右に突出しているために、係合部57R,57Lがランプカバー5における左右側壁部22R,22Lに引っかかるが、係合部57R,57Lは左右方向に弾性を有しており、防爆ガラス保持部材7をランプカバー5の前側壁部22F側に押圧することによって、ランプカバー5の所定位置に防爆ガラス保持部材7を挿入することができる。
【0046】
このように所定位置まで防爆ガラス保持部材7が挿入されると、防爆ガラス保持部材7の係合部57R,57Lが左右側壁部22R,22Lに設けられた導風口23L、23Rに嵌まり込む。すなわち、係合部57R,57Lが導風口23L、23Rに係合して、防爆ガラス保持部材7がランプカバー5によって係止される。
【0047】
このように防爆ガラス保持部材7がこの所定位置にあるときの状態を図8(B)及び図10(A)(B)に示す。同図に示すように、係合部57R,57Lは上下方向に弾性を有しており、防爆ガラス保持部材7がこの所定位置にあるとき、係合部57R,57Lは、防爆ガラス6の後面41の周縁を前方に所定の押圧力をもって押圧する。板バネ51a,51bは左右方向に弾性を有しており、防爆ガラス保持部材7がこの所定位置にあるとき、板バネ51a,51bが防爆ガラス6の左側面42を右側に所定の弾性をもって押圧することになる。また、板バネ52は上下方向に弾性を有しており、防爆ガラス保持部材7がこの所定位置にあるとき、この板バネ52は、防爆ガラス6の下側面45を上側に所定の弾性をもって押圧することになる。
【0048】
このように防爆ガラス保持部材7がこの所定位置にあるとき、防爆ガラス保持部材7の後面押圧板53の前面が防爆ガラス6の後面41の周縁に所定の押圧力をもって当接し、それによって防爆ガラスの前面40がランプカバー5の前側壁面の平面部20に押圧される。また、防爆ガラス保持部材7の板バネ51a,51bが防爆ガラス6の左側面42の上下端に所定の押圧力をもって当接し、それによって防爆ガラス6の右側面43が第1係止部25a、25bの側面に押圧される。さらに、防爆ガラス保持部材7の板バネ52が防爆ガラス6の下側面45に所定の押圧力をもって当接し、防爆ガラス6の上側面44が第2係止部26の側面に押圧される。
【0049】
このように本実施形態における光源装置1においては、防爆ガラス保持部材7によって防爆ガラス6の前面40及び側面43,44をランプカバー5の内側24に押圧することによって、防爆ガラス6を保持する。従って、防爆ガラス6が汚れたり損傷した場合であっても防爆ガラス6のみを容易に交換することができ補修性を向上させることができる。しかも、防爆ガラス6を保持するために接着作業やねじ止め作業が必要であったが、防爆ガラス6を防爆ガラス保持部材7とランプカバー5とで保持するため製造コストを低減することができる。
【0050】
また、防爆ガラス保持部材7では、防爆ガラス6の右側面43を第1係止部25に押圧する第1押圧部(板バネ51a,51b)と、防爆ガラス6の上側面44を第2係止部26に押圧する第2押圧部(板バネ52)とを有するので、防爆ガラス6の各側面42,43,44,45が押圧され、防爆ガラス6を安定して保持をすることができる。なお、第1押圧部及び第2押圧部として板バネ構造を例に挙げて説明したが、弾性力を有しているものであればゴム構造などを採用してもよい。
【0051】
また、防爆ガラス保持部材7では、防爆ガラス6の後面41を押圧して、防爆ガラス6の前面40をランプカバー5の内側24に第3押圧部(後面押圧板53)で押圧するので、前後方向における防爆ガラス6の保持を安定して行うことができる。
【0052】
また、防爆ガラス保持部材7のランプカバー5への係合を板バネ状の係合部57L、57Rにより行っているため、メンテナンス等が必要になったとき、係合部57L、57Rをランプカバー5の内側へ押し込むことで、ランプカバー5の係合受部28L、28Rから開放されるため、防爆ガラス6の取り付けや取り外し作業を短時間で容易に行うことができる。
【0053】
また、防爆ガラス保持部材7は、膨出部56を有しており、後面押圧板53を左右方向に弾性を持たせることができる。従って、板バネ51a,51bの位置が製造上多少ずれた場合であっても、板バネ51a,51bによる押圧力を持たせつつ、板バネ51a,51の位置ずれを補正することができる。
【0054】
なお、第1係止部25は、ランプカバー5の内側24の右側壁部22Rに設けたが、第2係止部26のように突出した形状でもよい。また、第2係止部26は、前側壁部22Fの上側壁部22U近傍に設けたが、前側壁部22Fの下側壁部22D近傍に設けてもよい。このとき防爆ガラス保持部材の第2押圧部は、後面押圧板53の上端側に設ける。また、防爆ガラス6の側面を押圧する押圧部は、第1押圧部と第2押圧部の2点であったが、3点で押圧するように新たに押圧部を設けてもよい。この場合、ランプカバー5の係止部は、1箇所設ければよい。
【0055】
次に、本実施形態の光源装置1において、光源ランプ2を冷却するための構造(以下、「冷却構造」とする。)について図面を参照して説明する。図11は、防爆ガラス保持部材に防風板部材を設けた模式図である。この冷却構造は、光源ランプ2が高温になることを防止するために設けられるものである。本実施形態においては、ランプカバー5、防爆ガラス保持部材7及びケース14に、光源ランプ2を冷却するための構成を持たせている。
【0056】
ランプカバー5には、上述したように左右側壁部22L、22Rに光源ランプ2を冷却する冷却風を導く長方形状の導風口23L、23Rが設けられている。この導風口23L、23Rは、左側の導風口23Lから冷却風を導風し、右側の導風口23Rから排出するために形成される。また、ランプカバー5には、内側24の左側壁部22Lの上方及び下方には後述する風向部材70を止める2つのネジ穴が形成されている。
【0057】
なお、ランプカバー5には、内側24にリフレクタ4の開放部3の縁部4aを受けるリフレクタ受面27が形成されており、このリフレクタ受面27にリフレクタ4の縁部4aを当接することでランプカバー5をリフレクタ4に取り付ける。なお、ランプカバー5の内側四隅にはリフレクタ4を止める4つのネジ穴29f、29g、29h、29iが形成されており、これらのネジ穴によってランプカバー5をリフレクタ4に固定することができる。
【0058】
防爆ガラス保持部材7には、後述の導風口55L、55Rからの冷却風の方向を光源ランプ2側へ変更する風向部材70が設けられる。この風向部材70は、図11に示すように、防爆ガラス保持部材7と別部材である1対の風向部材70a、70bで形成される。一方の風向部材70bには、左右一対の風向板71L,71Rが形成され、左右風向板71L、71Rの中央に導風のための開口72が形成される。各風向板71L、71Rは開口72側から上側または下側に向かって長くなるように形成される。また、他方の風向部材70aには、その後面に風向部材70bの前面を載置可能としており、さらに、所定の傾斜で前方(ランプカバー5側)に延在する風向板70cを有している。
【0059】
防爆ガラス保持部材7には、左右側壁部54L、54Rに光源ランプ2を冷却する冷却風を導風する左右対称の導風口55L、55Rが設けられる。この導風口55L、55Rは、防爆ガラス保持部材7がランプカバー5の所定位置にあるときに、ランプカバー5の導風口23L,23Rとの間で導風可能な位置に設けられる。なお、この導風口55L、55Rは、格子状金網で覆われており、これにより光源ランプ2が破損したときのガラスの飛散を防止することができる。
【0060】
次に、ケース14の各構成を説明する。図12は、本実施の形態に係る光源装置1を示す分解斜視図である。
【0061】
ケース14は、図12に示すように、光源本体15を収納する筐体であり、ランプケース8と、背面カバー11と、上部カバー12と、底部カバー13と冷却ファン9と左右導風ダクト10L、10Rにより構成される。
【0062】
このランプケース8は、前後方向、上下方向が開口されており、左右側壁60L、60Rの前方に導風のための左右開口61L、61Rを有している。さらに、ランプケース8には、冷却ファン9を取り付けるネジ穴63a、63bと、左右の導風ダクト10L、10Rを取り付けるネジ穴64a、64b、65a、65bと、底部カバー13を取り付けるネジ穴66a、66bと、上部の突出部に穴62a、62bとで形成される。
【0063】
冷却ファン9は、ランプケース8の後方の左右側側壁60L、60Rに取り付けられ、高速回転することにより、冷却ファン9の側面9aから吸入した空気を前方に設けた排出口9bに排出することで左側導風ダクト10Lに冷却風を導風させる。また、ランプケース8に取り付けるための2つのネジ穴9c、9dが設けられる。
【0064】
導風ダクト10L、10Rは、導風用の左側導風ダクト10Lと排気用の右側導風ダクト10Rからなり、ランプケース8の左右側壁60L、60Rに取り付けられる。ランプケース8に取り付けるための各2つのネジ穴10c、10d、10a、10bが設けられる。左側導風ダクト10Lは、冷却ファン9からの冷却風をランプケース8の前方の開口61Lに導風する。右側導風ダクト10Rは、排出された冷却風をランプケース8の開口61Rからランプケース8後方へ排出する。
【0065】
背面カバー11は、ランプケース8の背面に取り付けられる。背面カバー11には、リフレクタ4内から排出される冷却風を排出する開口11aが設けられ、風向方向を調整するプレート11bが設けられる。
【0066】
上部カバー12は、ランプケース8の上面に取り付けられる。上部カバー12には、運搬用の取手12aが設けられ、左右凸状に設けられた2つの穴12b、12cが設けられる。ランプカバー5の上部ネジ穴29a、29b、29cと対になる前方に3つのネジ穴12d、12e、12fが設けられる。また、放熱のための開口12gを有している。
【0067】
底部カバー13は、ランプケース8の底面に取り付けられる。底部カバー13には、お椀状のリフレクタ4を受ける湾曲したプレート13aが設けられ、ランプケース8の左右側壁60L、60Rの下方のネジ穴と対になる左右に突出してネジ穴13b、13cが設けられて、ランプケース8の底部のネジ穴66a、66bと対になるネジ穴13dが設けられる。
【0068】
以上のように構成された光源装置1における冷却構造について、光源装置1内の冷却風の流路を図面を参照して具体的に説明する。図14は、光源装置1内の冷却風の流路を説明するための図(光源装置1の断面図)である。
【0069】
図14に示すように、冷却ファン9から導風される冷却風は、冷却ファン9から導風ダクト10L、ランプケース8の開口61L、ランプカバー5の導風口23L、防爆ガラス保持部材7の導風口57Lの順に流入し、左右風向板71L、71Rで冷却風の風向が変更され分流される。この開口72付近で分流された第1の分流W1は、光源ランプ2の球状の発光管2aに向かって流れる。ランプケース8後部の光源ランプ2で温められた空気が、光源装置1の背面カバー11の開口11aから光源装置1の外部に流れ出る。また、第1の分流W1の一部は、リフレクタ4の湾曲形状によって、乱流となり発光管2aから右側の導風口55Rに向かって流れ排出される。次に、第2の分流W2は、防爆ガラス6の周辺を左側から右側へ流れ、排出される右側の導風口55R、ランプカバー5の導風口23R、ランプケース8の開口61Rを通過し、右側の導風ダクト10Rの前方から後方へ流れて、光源装置1の外部に流れ出る。
【0070】
このように光源装置1では、防爆ガラス保持部材7の左側壁部54Lに光源ランプ2を冷却する冷却風を導く導風口55Lが設けられ、導風口55Lからの冷却風の方向を光源ランプ2側へ変更する風向板71L、71R,70cを備えているので、導風口55Lから冷却風を光源装置1内に導くことができ、さらに風向板によって冷却風の方向を光源ランプ2側へ変更することができ、冷却効率を向上することができる。
【0071】
この風向板71L、71R,70cでは、導風された冷却風の風向を変更させて、第1の分流W1と第2の分流W2に分流して、この第1の分流W1によって発光管2aを積極的に冷却でき、さらに第2の分流W2によって、防爆ガラス6周辺を冷却するので、光源装置1の冷却効率を向上させることができる。風向板71L、71R,70cを風向部材70として形成して、防爆ガラス保持部材7と別部材としたので、風向板71L、71Rに形状を変えた風向部材70を交換することにより、風向の変更や分流する風量の調整を行うことができる。
【0072】
上述では、風向部材70を防爆ガラス保持部材7と別部材として説明したが、以下に示すように、防爆ガラス保持部材と同一部材で形成してもよい。すなわち、図13に示すように、防爆ガラス保持部材7’の開口部50’の縁から所定間隔を開けて後方に延在させて一対の風向板71L’、71R’を形成するのである。
【0073】
このように風向板71L’、71R’を防爆ガラス保持部材7’と同一形成とすることで、光源装置1の部品点数を削減することができ、さらに風向板71L’、71R’の取付け作業の工数も削減することができ、コスト低減を図ることができる。また、風向板71L’、71R’の形状を変えることによって、風向の変更や分流する風量の調整を行うことができる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施の形態に係る画像表示装置を示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係る光源装置の外観図である。
【図3】本実施の形態に係る光源装置の分解斜視図である。
【図4】本実施の形態に係る光源本体の分解斜視図である。
【図5】本実施の形態に係る光源本体の分解斜視図である。
【図6】本実施の形態に係るランプカバーの斜視図である。
【図7】本実施の形態に係る防爆ガラス保持部材の斜視図である。
【図8】(A)本実施の形態に係るランプカバーと防爆ガラスとの位置関係を示す模式図である。(B)本実施の形態に係るランプカバーと防爆ガラスと防爆ガラス保持部材の位置関係を示す模式図である。
【図9】本実施の形態に係るランプカバーと防爆ガラスと防爆ガラス保持部材の位置関係を示す図である。
【図10】(A)図9に示すA−A’線の断面図である。(B)図9に示すB−B’線の断面図である。
【図11】本実施の形態に係る防爆ガラス保持部材と風向板部材を示す分解斜視図である。
【図12】本実施の形態に係る光源装置を示す分解斜視図である。
【図13】本実施の形態に係る他の防爆ガラス保持部材の斜視図である。
【図14】本実施の形態に係る光源装置の冷却風の流路を示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 光源装置
2 光源ランプ
3 開放部
4 リフレクタ
5 ランプカバー
6 防爆ガラス
7 防爆ガラス保持部材
8 ランプケース
9 冷却ファン
10L、10R 導風ダクト
11 背面カバー
12 上部カバー
13 底部カバー
14 ケース
15 光源本体
20 平面部
21、50 開口
23 導風口
24 内側
25U,25D 第1係止部
26 第2係止部
42 防爆ガラス6の左側面
45 防爆ガラス6の下側面
51a、51b 板バネ(第1押圧部)
52 板バネ(第2押圧部)
53 後面押圧板(第3押圧部)
54L、54R 側壁部
55L、55R 導風口
57L、57R 係合部
70 風向部材
71,71’,70c 風向板
101 画像表示装置
102 光変調部
103 投影光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ランプと、前記光源ランプが内部に配置され、前記光源ランプからの放射光を反射して前面に設けられた開放部から出射するリフレクタと、前記リフレクタの前記開放部を覆い、前記リフレクタからの出射光を通過させる開口を有するランプカバーと、前記ランプカバーの開口を内側から覆う透過性の防爆ガラスと、前記防爆ガラスを保持する防爆ガラス保持部材とを備えた光源装置において、
前記防爆ガラス保持部材は、前記防爆ガラスの前面及び側面を前記ランプカバーの内側に押圧することによって、前記防爆ガラスを保持する
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記ランプカバーは、その内側に第1係止部と第2係止部を有しており、
前記防爆ガラス保持部材は、前記防爆ガラスの第1の側面を前記第1係止部に押圧する第1押圧部と、前記防爆ガラスの第2の側面を前記第2係止部に押圧する第2押圧部とを有する
ことを特徴とする請求項1の光源装置。
【請求項3】
前記防爆ガラス保持部材は、前記防爆ガラスの後面を押圧して、前記防爆ガラスの前面を前記ランプカバーの内側に押圧する第3押圧部を備え、第1押圧部と第2押圧部とを第3押圧部から延伸させて設けた
ことを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1押圧部及び第2押圧部は、板バネで構成される
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記防爆ガラス保持部材は、前記ランプカバーに係合する係合部を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記防爆ガラス保持部材の側壁部に前記光源ランプを冷却する冷却風を導く導風口が設けられ、前記導風口からの冷却風の方向を前記光源ランプ側へ変更する風向板を有する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記風向板は、前記防爆ガラス保持部材と別部材で形成される
ことを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記風向板は、前記防爆ガラス保持部材と同一部材で形成される
ことを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光源装置と、前記光源装置から出射した光を入力された画像信号に基づいて変調する光変調部と、前記光変調部から出射した光をスクリーンに投影する投影光学系とを有する
ことを特徴とする画像表示装置。

【図9】
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【図12】
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【図14】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−210649(P2008−210649A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46239(P2007−46239)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】