説明

光源装置

【課題】重水素ランプの放電維持電圧と実際にその重水素ランプに印加される電圧との差を小さくして、放熱量の小さいガス放電管駆動回路を提供する。
【解決手段】電源電圧制御手段22は、定電流電源部5の定電流電源14にある可変電源15の出力電圧をA/Dコンバータ21から取り込まれた電圧値に基づいて調整するように構成されている。電源電圧制御手段22は、点灯した後の重水素ランプ2における放電電圧をA/Dコンバータ21を介して取り込み、その電圧に一定の余裕をもたせた電圧値になるように可変電源15を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフの検出器などに用いられる分光光度計など光学的測定装置に用いられる重水素ランプなどのガス放電管を備えた光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重水素ランプなどのガス放電管を備えた光源装置は、ガス放電管の電極間に放電を開始させるための高電圧を印加するためのトリガ電源部と、ガス放電管に一定の電圧を印加してガス放電管の放電を維持するとともにガス放電間の電極間を流れる電流を定電流制御して発光強度を一定に保つよう構成された定電流電源部を備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の一般的なガス放電管駆動回路の一例を示す。図4はガス放電管の一つである重水素ランプの駆動回路の一例を概略的に示す回路図である。
重水素ランプ102の駆動回路は、重水素ランプ102において放電を開始させるための高電圧を印加するトリガ電源部103、重水素ランプ102の陰極を加熱するためのヒータ電源部104及び重水素ランプ102に一定の放電維持電圧を印加するための定電流電源部105を備えている。
【0004】
トリガ電源部103は、直流電源106の他に、コンデンサ108及び抵抗110の直列回路からなる充電回路を備えており、スイッチ112により充電回路を直流電源106と重水素ランプ102のいずれかに切り換えて接続するようになっている。
【0005】
定電流電源部105は、重水素ランプ102の放電後に放電を維持するための一定電圧を印加するために、定電流電源114、補正抵抗117及びダイオード118を備えている。ダイオード118はトリガ電源部103からの放電開始用の高電圧の流入を防止するために、重水素ランプ102側がカソードとなるように接続されている。定電流電源部105の電圧はトリガ電源部103から印加される電圧よりも低い。
【0006】
図4は充電回路を充電する状態を示しており、スイッチ112は<OFF>と表示された直流電源106側に接続されている。放電開始時にはスイッチが<ON>と表示された重水素ランプ102側に接続され、コンデンサ108に蓄積された電荷により重水素ランプ102に高電圧が印加され、重水素ランプ102の電極間に放電が起こる。重水素ランプ102において放電が開始された後は、スイッチ112は再び<OFF>と表示された直流電源106側に切り換えられ、定電流電源部105による一定電圧のみが重水素ランプ102に継続して印加されることで、重水素ランプ102における放電が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−210780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のガス放電管の駆動回路において、定電流電源部105は、設定電圧150V程度で電流値が300mAになるように重水素ランプ102を定電流制御するように構成されていることが一般的である。他方、重水素ランプ102の点灯後、重水素ランプ102において点灯を維持するための放電維持電圧は、個体差があるもののおおよそ80±10V程度である。そのため、定電流電源部105の設定電圧が150Vに設定されている場合は、重水素ランプ102の点灯後は、150−(80±10)=60〜80Vに300mAを乗じた18〜24W程度の電力損失が定電流電源部105において発生することになる。この電力損失は発熱として現れる。従来はその発生した熱量は放熱されていたため、それが装置内の温度を上昇させ、検出器の検出信号のドリフトの要因となっていた。
【0009】
また、重水素ランプの種類によっては、点灯開示直後は例えば200V程度の電圧を定電流電源部から印加する必要がある反面、その後の放電維持電圧が90±20V程度しか必要ないもののもある。この場合に、200Vで放電を維持すると、電力損失すなわち光源部からの発熱量がさらに大きくなり、装置の分析精度の安定性やドリフト性能がさらに悪くなるという問題が生じる。
【0010】
上記の問題を改善するために、重水素ランプが点灯した後に定電流電源部の発生電圧を放電維持に必要な電圧にまで低下させるようになっている装置も存在する。しかし、既述のように、重水素ランプの放電維持電圧は例えば規格が90Vであったとしても、実際には70〜110Vの間で個体差がある。そのため、重水素ランプが点灯した後に放電を維持するために必要な電圧としては、最大の110Vを考慮する必要がある。一般には、信頼性の観点から、その電圧に例えば20Vの余裕をもたせた130Vを放電維持電圧値として設定しておくことが行われている。そのため、実際の放電維持電圧が110Vよりも低い重水素ランプを使用している場合には、電力損失が大きくなり、光源部からの放熱量も大きくなるという問題があった。
【0011】
本発明は、重水素ランプの放電維持電圧と実際にその重水素ランプに印加される電圧との差を小さくして、放熱量の小さいガス放電管駆動回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ガス放電管と、ガス放電管を点灯させる際にガス放電管に接続され、ガス放電管への印加電圧を、ガス放電管において放電が開始される電圧まで到達させるように所定の電圧を印加するためのトリガ電源部と、ガス放電管へのトリガ電源部からの電圧の印加のオン・オフを切り替えるためのトリガスイッチと、ガス放電管において放電が開始される前後を通じてガス放電管に接続され、ガス放電管に電圧を印加するとともに、ガス放電管を流れる電流の定電流制御を行なう定電流電源部と、ガス放電管において放電が開始された後はガス放電管に印加される電圧がガス放電管の放電を維持する放電維持電圧値となるように定電流電源部を制御する電源制御部と、を備えた光源装置であって、ガス放電管に印加されている電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、定電流電源部は出力電圧を調整可能にする可変電源を備えており、電源制御部は、可変電源の出力電圧を所定の開始電圧としたときの電圧検出部から取り込んだ電圧に予め定めた電圧を加算した電圧を動作電圧として、動作電圧の設定後は電圧検出部から取り込む電圧が動作電圧となるように可変電源をフィードバック制御する電源電圧制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光源装置では、ガス放電管に印加されている電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、定電流電源部は出力電圧を調整可能にする可変電源を備えており、電源制御部は、可変電源の出力電圧を所定の開始電圧としたときの電圧検出部から取り込んだ電圧に予め定めた電圧を加算した電圧を動作電圧として、動作電圧の設定後は電圧検出部から取り込む電圧が動作電圧となるように可変電源をフィードバック制御する電源電圧制御手段を備えているので、放電管において放電が開始された後の定電流電源部からの出力電圧を電圧検出部から取り込んだ電圧に基づいて設定した動作電圧にすることができ、電力損失を抑制することができる。これにより、光源からの発熱を抑えてこの光源装置を利用した分析装置内の温度を安定化させることができ、検出信号のドリフトを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】光源装置の一実施例を概略的に示す回路図である。
【図2】同実施例の光源装置のガス放電管駆動回路の構成の一例を具体的に示す回路図である。
【図3】同実施例の動作を示すフローチャートである。
【図4】従来のガス放電管駆動回路の一例を概略的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の光源装置の好ましい実施形態では、定電流電源部はガス放電管に流す電流値として複数の電流値のうちの1つを選択する切換回路を備えており、電源制御部はその切換回路を切り換えるモード選択部を備えている。これにより、ガス放電管を流れる電流を小さくして消費電力を低減することも可能となり、電力損失がさらに低減される。
【0016】
以下に、ガス放電管の一つである重水素ランプを備えた光源装置の一実施例について説明する。図1は重水素ランプを備えた光源装置を概略的に示す回路構成図である。
重水素ランプ2に電圧を印加するための電源部として、トリガ電源部3及び定電流電源部5が重水素ランプ2のアノードに接続されている。重水素ランプ2のカソードを加熱するヒータに電圧を印加するために、ヒータにはヒータ用電源4が接続されている。
【0017】
トリガ電源部3は、直流電源6の他に、コンデンサ8及び抵抗10の直列回路からなる充電回路を備えており、スイッチ12により充電回路を直流電源6と重水素ランプ2のいずれかに切り換えて接続するようになっている。図1ではトリガスイッチ12は充電回路を直流電源6側に接続する<OFF>側に接続された状態になっている。この状態では、充電回路は直流電源6に接続され、コンデンサ8に電荷が蓄電される。他方、トリガスイッチ12が<ON>側に切り替えられると、充電回路のコンデンサ8が重水素ランプ2側に接続される。重水素ランプ2の点灯の際にはトリガスイッチ12が<ON>側に切り替えられることにより、コンデンサ8の充電電圧が重水素ランプ2に印加される。
【0018】
定電流電源部5は、重水素ランプ2にトリガ電源部3と並列に接続されている。定電流電源部5は重水素ランプ2の点灯時及び点灯後において重水素ランプ2に電圧を印加するものである。定電流電源部5は重水素ランプ2への印加電圧を調節でき、供給電流を2段階に変更できる定電流電源回路14、補正抵抗17及びダイオード18の直列回路である。定電流電源回路14は印加電圧を調節できる可変電源15と供給電流を2段階に変更できる定電流回路16を含んでおり、具体的な一例は後述の図2を参照して説明されるものである。
【0019】
重水素ランプ2は、点灯後は定電流電源部5の定電流電源14により調整された印加電圧と選択された定電流によって放電を維持され、光量が一定に維持される。定電流電源14は、後述の図2に示されるように、電圧及び電流をそれぞれ可変に発生させることができるようになっている。
重水素ランプ2のアノードにはA/Dコンバータ21が接続されて重水素ランプ2のアノードにかかる電圧が取り込まれるようになっており、その取り込まれたアノード電圧は定電流電源14による印加電圧調整に供せられる。
【0020】
トリガ電源部3のトリガ電圧印加動作、定電流電源部5の電圧印加動作5及びヒータ電源4の駆動などこの駆動回路における重水素ランプ2の点灯動作は電源制御部20によって制御されている。電源制御部20は、電源電圧制御手段22及びモード選択部26を備えている。
【0021】
電源電圧制御手段22は、定電流電源部5の定電流電源14にある可変電源15の出力電圧をA/Dコンバータ21から取り込まれた電圧値に基づいて調整するように構成されている。電源電圧制御手段22は、点灯した後の重水素ランプ2における放電電圧をA/Dコンバータ21を介して取り込み、その電圧に一定の余裕をもたせた電圧値になるように可変電源15を制御する。例えば、取り込まれた重水素ランプ2の放電電圧の測定値が90Vであった場合、その電圧に例えば20Vの余裕をもたせた110Vを放電維持電圧値とするように可変電源15を制御する。
【0022】
モード選択部26は、重水素ランプ2が点灯した後において、定電流電源部5の定電流電源14にある定電流回路16の電流値を設定する。この実施例では、モード選択部26において「通常モード」とそれよりも消費電力を抑制する「省エネモード」のいずれかを選択するようになっている。「通常モード」は、重水素ランプ2が点灯した後の重水素ランプ2の通電電流を例えば300mAにするモードであり、「省エネモード」は、重水素ランプ2が点灯した後の重水素ランプ2の通電電流を、「通常モード」の電流値よりも低い電流の、例えば100mAにするモードである。定電流回路16には、「通常モード」、「省エネモード」のそれぞれが設定されたときの重水素ランプ2の通電電流を「300mA」、「100mA」にそれぞれ設定するための切換えスイッチが設けられている。
【0023】
モード選択部26は、例えばモニタ用表示装置に表示され操作者がモードを選択するための画面も含んで構成されている。モード選択部26はモニタ用表示装置上で選択されたモードに応じた電流値が重水素ランプ2の通電電流になるように定電流回路16の切換えスイッチを切り換える。
【0024】
「省エネモード」では、定電流電源部5の発生電流を通常モードの300mAから100mAに下げることにより、重水素ランプ2の発光量が小さくなるが、消費電力は3分の1に減らすことができ、それに伴なって電力損失も低減することができ、放熱量をさらに低く抑えることができる。一方で、重水素ランプ2の発光量が小さくなることにより、液体クロマトグラフなど、この重水素ランプ2を搭載した分析装置の検出部における検出光強度が通常モード時に比べると弱くなるため、検出信号の信号対ノイズ比が低下することが懸念されるので、それでも測定上、支障のない程度の信号対ノイズ比が得られるような発光量となるように「省エネモード」の電流値を設定する。
【0025】
上記の場合、電源電圧制御手段22は、重水素ランプ2に印加されている電圧が、重水素ランプ2の点灯開始時は200V、重水素ランプ2の点灯後はA/Dコンバータ21により取り込まれた電圧に20Vを加算した電圧になるように可変電源15をフィードバック制御する。
【0026】
電源制御部20は、この重水素ランプが装着される分光光度計の制御装置、又はその分光光度計が検出器として搭載される液体クロマトグラフの制御装置により実現することができる。そのような制御装置はメモリ装置を含む専用のCPU(演算処理装置)により、又は外部に接続される汎用のパーソナルコンピュータ(PC)により実現することができる。この実施例では、電源制御部20は分光光度計又は液体クロマトグラフの制御装置としてのCPUにより実現されているものとして説明する。
【0027】
次に、図1中の定電流電源回路14の具体的な一例を重水素ランプ2とともに図2に示す。
可変電源15として、所望の一定電圧、例えば90〜200Vの間の一定電圧を供給するために、フライバック方式のスイッチング電源回路が設けられている。可変電源15では、24Vの入力電圧を昇圧するトランス32の一次側にスイッチングIC36により所定の周波数でオン・オフが切り換えられるトランジスタ34が接続されている。そのトランジスタ34のデューティ比によりトランス32の二次側に現れる出力電圧がきまり、ダイオード42により整流された電圧が90〜200Vの間の一定電圧となるように、トランジスタ34のデューティ比が制御される。その出力電圧を決めるために、トランス32の出力電圧の分割電圧V1と、演算増幅器38から供給される電圧が演算増幅器40に供給されて合成され、その合成電圧がスイッチングIC36に供給される。演算増幅器38から供給される電圧は、所定のデューティ比に設定されたバルス信号(PWM信号)が制御部20(図1)としてのCPUから演算増幅器38に供給されて電圧に変換されたものである。
【0028】
この可変電源15では、トランジスタ34をスイッチングすることでトランス32により24V入力を昇圧させるが、その際、モニタ電圧V1とCPUからのPWM信号による合成電圧がスイッチングIC36の所定電圧となるようフィードバック制御される。したがって、PWM信号のデューティ比をCPUにより適当に設定することにより、90〜200Vの間での一定電圧の可変供給が可能となる。この電圧の変更範囲は必ずしも90〜200Vに限らず、他の電圧範囲とすることもできる。
【0029】
定電流回路16は、トリガ回路からトリガ電圧が印加されランプ2が点灯した後の放電維持電圧下でのランプ2の通電電流を一定にするとともに、その通電電流量を通常モード時の300mAと省エネモード時の100mAとの間で切り換えることができるように構成されている。定電流回路16では、可変電源15から印加された電圧が抵抗54、トランジスタ52、抵抗17及びダイオード18を経てランプ2に印加される。その際に、トランジスタ52により電流値が調整される。トランジスタ52は比較回路64の出力電圧により制御される。
【0030】
比較回路64の一方の入力端子には抵抗54を流れる電流iによる電圧降下分を差動増幅回路56により増幅した電圧が印加され、他方の入力端子には基準電圧回路(Ref)58からの基準電圧に基づく電圧V3が印加される。基準電圧回路58と差動増幅回路56の他方の入力端子との間には抵抗60とスイッチ62の並列回路が設けられており、スイッチ62をオンにすると基準電圧が電圧V3として差動増幅回路56の他方の入力端子に印加され、スイッチ62をオフにすると基準電圧が抵抗60で降下されられた電圧が電圧V3として差動増幅回路56の他方の入力端子に印加される。スイッチ62は、電源制御部20のモード選択部26でのモード選択によりオン/オフの切換えが行われる。
【0031】
この実施例では、トリガ回路からトリガ電圧が印加されランプ2が点灯するとランプ2には電流iが流れる。電流iが300mAのときに差動増幅回路56の出力V2が3Vとなり、電流iが100mAのときに差動増幅回路56の出力V2が1Vとなるように、差動増幅回路56の周辺の抵抗が設定されている。また、スイッチ62がオンのときにV3が3Vに、オフのときにV3が1Vになるように基準電圧回路58と抵抗60が設定されている。
【0032】
そのため、定電流回路16は、スイッチ62がオンのときは電流iが通常モード時の300mAとなるようにトランジスタ52が制御される定電流回路となり、スイッチ62がオフのときは電流iが省エネモード時の100mAとなるようにトランジスタ52が制御される定電流回路となる。
【0033】
ランプ2に印加される電圧V4を電源制御部20であるCPUに取り込むことができるように、電圧V4を抵抗分圧した電圧値V5を取り出す接点がA/Dコンバータに接続されており、そのA/Dコンバータを介してその電圧値V5が制御部20に取り込まれる。電圧値V5は電圧値V4を抵抗分圧しただけのものであるので、制御部20では電圧値V5は電圧値V4と同様に扱われるので、以後は電圧値V4として説明する。
【0034】
電源制御部20の電源電圧制御手段22は、可変電源15の出力電圧を所定の開始電圧、例えば200V、としたときにA/Dコンバータ21から取り込んだ電圧V4に予め定めた電圧、例えば20V、を加算した電圧(V4+20V)を動作電圧V40として設定し、その後はA/Dコンバータ21から取り込む電圧V4がその動作電圧となるように、可変電源15の演算増幅器38に供給するパルス信号(PWM)のデューティ比を調整することにより、可変電源15をフィードバック制御する。
【0035】
電圧値V4はランプ点灯中常時モニタしてもよく、点灯直後の一定時間だけモニタしてもよい。そのモニタする期間は、ランプ2からA/Dコンバータに至る回路にスイッチ66を設け、そのスイッチ66の開閉により設定することができる。
【0036】
この実施例の定電流電源回路14の動作の一例を図3のフローチャートを用いて説明する。
スイッチングIC36の動作をオフにする。ランプの点灯時の定電流制御を300mA又は100mAのいずれかに設定する。操作者が通常モードを選択している場合にはスイッチ62をオンにして定電流制御を300mAに設定し、省エネモードを設定している場合にはスイッチ62をオフにして定電流制御を100mAに設定する。
【0037】
可変電源15の出力電圧が200VになるようにPWMを設定して出力し、スイッチングIC36をオンにし、トリガ電圧を印加してランプ2を点灯させる。
ここで、ランプ2が正常に点灯しない場合には、ランプ2へのトリガ電圧の印加を所定の回数まで繰り返し行ない、それでも点灯しないときに、操作者にエラーを告知するなどの機能を備えていてもよい。
【0038】
ランプ2が正常に点灯した場合は、点灯した後、例えば1秒間待機する。1秒経過した後、ランプ2への印加電圧V4をADコンバータで読み取り、V4が動作電圧V40となるようにPWMを設定して出力する。動作電圧V40はこのランプ点灯動作の開始前に予め測定されたものである。
【0039】
V4を常時モニタする場合、V4が動作電圧V40となるようにPWMを設定して出力した後、1秒間待機、V4の読取り、V4=V40となるようにPWMを設定出力という動作を繰り返し行なう。V4を常時モニタしない場合には、V4=V40となるようにPWMを1回設定して出力した後に終了する。
なお、ランプ2が点灯してからV4をADコンバータで読み取るまでの待機時間は1秒に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
2 放電管ランプ
3 トリガ電源部
4 ヒータ電源
5 定電流電源部
14 定電流電源回路
15 可変電源
16 定電流回路
20 電源制御部(CPU)
21 A/Dコンバータ
22 電源電圧制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス放電管と、
前記ガス放電管を点灯させる際に前記ガス放電管に接続され、前記ガス放電管への印加電圧を、前記ガス放電管において放電が開始される電圧まで到達させるように所定の電圧を印加するためのトリガ電源部と、
前記ガス放電管への前記トリガ電源部からの電圧の印加のオン・オフを切り替えるためのトリガスイッチと、
前記ガス放電管において放電が開始される前後を通じて前記ガス放電管に接続され、前記ガス放電管に電圧を印加するとともに、前記ガス放電管を流れる電流の定電流制御を行なう定電流電源部と、
前記ガス放電管において放電が開始された後は前記ガス放電管に印加される電圧が前記ガス放電管の放電を維持する放電維持電圧値となるように前記定電流電源部を制御する電源制御部と、を備えた光源装置において、
前記ガス放電管に印加されている電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記定電流電源部は出力電圧を調整可能にする可変電源を備えており、
前記電源制御部は、前記可変電源の出力電圧を所定の開始電圧としたときの前記電圧検出部から取り込んだ電圧に予め定めた電圧を加算した電圧を動作電圧として、動作電圧の設定後は前記電圧検出部から取り込む電圧が動作電圧となるように前記可変電源をフィードバック制御する電源電圧制御手段を備えていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記定電流電源部は前記ガス放電管に流す電流値として複数の電流値のうちの1つを切換回路により選択する定電流回路を備えており、
前記電源制御部は前記切換回路を切り換えるモード選択部を備えている請求項1に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−48030(P2013−48030A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185540(P2011−185540)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】