説明

光源装置

【課題】温度上昇による輝度の低下を抑制できる光源装置を提供することである。
【解決手段】画像読み取り装置の原稿に対して光を放射する光源装置26。LED40は、光を放射する。導光体42は、LED40が放射した光が入射する端面Sを有しており、かつ、端面Sを介して入射してきた光を原稿に向けて放射する。絞り43は、温度上昇に伴って、LED40が放射した光に対する端面Sに入射する光の割合を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関し、より特定的には、画像読み取り装置の原稿に対して光を照射する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光源装置としては、例えば、特許文献1に記載の照明装置が知られている。該照明装置は、LED及び導光体を備えている。LEDは、導光体の端面に対して光を放射する。光は、端面を介して導光体内に入射し、反射を繰り返しながら導光体の長手方向に進行する。更に、光は、導光体の底面に設けられているスリットにおいて反射し、導光体から放射される。
【0003】
ところで、LEDは、温度が上昇すると、発光効率が低下する温度特性を有している。その結果、特許文献1に記載の照明装置は、温度上昇に伴って、輝度が低下してしまうという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−270885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、温度上昇による輝度の低下を抑制できる光源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る光源装置は、画像読み取り装置の原稿に対して光を放射する光源装置であって、光を放射する光源と、前記光源が放射した光が入射する入射面を有しており、かつ、該入射面を介して入射してきた光を前記原稿に向けて放射する導光体と、温度上昇に伴って、前記光源が放射した光に対する前記入射面に入射する光の割合を増加させる調整手段と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、温度上昇による輝度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る光源装置を備えた画像読み取り装置の構成図である。
【図2】光源装置の断面構造図である。
【図3】LEDの温度特性を示したグラフである。
【図4】第1の変形例に係る光源装置の断面構造図である。
【図5】第2の変形例に係る光源装置の断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態に係る光源装置について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(画像読み取り装置の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る光源装置を備えた画像読み取り装置10の構成図である。なお、以下では、図1の上下方向をz軸方向と定義し、図1の左右方向をx軸方向(副走査方向)と定義し、図1の紙面垂直方向をy軸方向(主走査方向)と定義する。
【0011】
画像読み取り装置10は、図1に示すように、本体12、原稿カバー14、プラテンガラス16、第1スライダーユニット18、第2スライダーユニット20、結像レンズ22、撮像素子24、光源装置26及びミラー27,29,30,32を備えている。
【0012】
本体12は、原稿カバー14、プラテンガラス16、第1スライダーユニット18、第2スライダーユニット20、結像レンズ22、撮像素子24、光源装置26及びミラー27,29,30,32が取り付けられる直方体状の筐体である。プラテンガラス16は、本体12のz軸方向の正方向側の開口に取り付けられている長方形状の透明板である。原稿Pは、プラテンガラス16のz軸方向の正方向側の面に、読み取り面をz軸方向の負方向側に向けた状態で載置される。
【0013】
原稿カバー14は、図1に示すように、原稿P上に覆いかぶさることにより、原稿Pをプラテンガラス16に密着させる働きをする。
【0014】
光源装置26は、プラテンガラス16を介して原稿Pに対して光を放射すると共に、ミラー27に向けて光を放射する。光源装置26の詳細については後述する。ミラー27は、光源装置26よりもx軸方向の正方向側に設けられており、光源装置26が放射した光を原稿Pへと反射する。これにより、原稿Pの読み取り位置には、2方向から光が照射される。
【0015】
ミラー29は、図1に示すように、原稿Pにおいて反射された光をx軸方向の負方向側に反射させる。ミラー30は、ミラー29からの光をz軸方向の負方向側に反射させる。ミラー32は、ミラー30からの光をx軸方向の正方向側に反射させる。
【0016】
ここで、光源装置26及びミラー27,29は、図1に示すように第1スライダーユニット18に搭載されている。第1スライダーユニット18は、原稿Pが読み取られているときには、図1に示すように、プラテンガラス16に沿って、図示しないモーター、ベルト及びプーリー等の移動手段により、x軸方向の正方向側に向かって速度Vで移動させられる。
【0017】
また、ミラー30,32は、図1に示すように第2スライダーユニット20に搭載されている。第2スライダーユニット20は、原稿Pが読み取られているときには、図1に示すように、プラテンガラス16のz軸方向の負方向側において、図示しないモーター、ベルト及びプーリー等の移動手段により、x軸方向の正方向側に向かって速度V/2で移動させられる。これにより、移動中における原稿Pの読み取り面と撮像素子24との間の光の経路の長さが一定となる。
【0018】
結像レンズ22は、光によって得られる光学像を撮像素子24に結像させる。撮像素子24は、原稿Pで反射された光を受光する受光素子である。具体的には、撮像素子24は、y軸方向に延びる一次元状の撮像領域を有し、結像レンズ22によって結像された光学像を走査して原稿Pの像の撮像を行うCCDカメラ等のラインセンサである。
【0019】
以上のように構成された画像読み取り装置10において、原稿Pが読み取られる場合には、光源装置26及びミラー27によって原稿Pに光が照射され、原稿Pにおいて反射された光がミラー29,30,32によって順次反射される。そして、ミラー32で反射された光は、結像レンズ22に入射し、結像レンズ22により撮像素子24上で結像される。撮像素子24は、画素毎に入射光の強さに応じて光電変換を行い、これによって原稿画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成し、制御部(図示せず)に出力する。
【0020】
(光源装置の構成)
次に、光源装置26の構成について図面を参照しながら説明する。図2は、光源装置26の断面構造図である。
【0021】
光源装置26は、基板39、LED(光源)40、ハウジング41、導光体42及び絞り43を備えている。基板39は、LED40を駆動させるための回路が設けられた回路基板である。LED40は、基板39上に実装されており、白色光を放射する。
【0022】
導光体42は、y軸方向に延在している円柱状をなす棒状のアクリル等の透明部材からなり、端面Sを有している。端面Sは、導光体42のy軸方向の負方向側の端部に位置し、LED40が放射した光が入射する入射面である。導光体42は、端面Sを介して入射してきた光を、その界面において全反射させることによって、y軸方向の正方向側に向かって進行させる。更に、導光体42には、プリズムが形成されている。y軸方向に向かって進行している光は、プリズムによって反射され、x軸方向の正方向側であってz軸方向の正方向側に向かって(すなわち、斜め上方に向かって)導光体42から放射される。
【0023】
ハウジング41は、y軸方向に延在している円筒状の部材である。ただし、ハウジング41の内周面は、y軸方向の正方向側に行くにしたがって径が大きくなるテーパー状をなしている。LED40は、ハウジング41のy軸方向の負方向側の開口に設けられ、導光体42の端面Sは、ハウジング41のy軸方向の正方向側の開口に設けられている。これにより、LED40と導光体42の端面Sとは対向している。そして、ハウジング41は、LED40が放射した光が外部に漏れないように、該光を閉じ込めている。
【0024】
絞り43は、温度上昇に伴って、LED40が放射した光に対する端面Sに入射する光の割合を増加させる調整手段であり、ハウジング41内においてLED40と端面Sとの間に設けられている。絞り43は、y軸方向から平面視したときに、円環状をなしている。絞り43の内周面の直径は、端面Sの直径よりも小さい。そして、y軸方向の負方向側から平面視したときに、端面Sの外縁は、絞り43と重なっている。
【0025】
また、絞り43の直径は、温度上昇に伴って、熱膨張によって大きくなる。これにより、温度が上昇するにしたがって、y軸方向から平面視したときに、端面Sにおいて、絞り43を通過して光が入射することができる面積が大きくなる。以上のような絞り43は、ハウジング41及び導光体42の材料よりも大きな線膨張係数を有する材料により作製されており、例えば、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等により作製されている。
【0026】
(効果)
以上のように構成された光源装置26は、温度上昇による輝度の低下を抑制できる。図3は、LED40の温度特性を示したグラフである。縦軸はLED40の輝度を示している。LED40の輝度は、23℃におけるLED40の輝度を1とした。横軸は温度を示している。
【0027】
図3に示すように、クールホワイトの光を放射するLED40及びナチュラルホワイトの光を放射するLED40共に、温度が上昇すると輝度が低下している。例えば、クールホワイトを放射するLED40では、温度が23℃から100℃まで上昇すると、輝度が10%程度低下していることが分かる。
【0028】
そこで、光源装置26では、絞り43が設けられている。絞り43は、温度上昇に伴って直径が大きくなる円環状部材である。これにより、温度が上昇するにしたがって、y軸方向から平面視したときに、端面Sにおいて、絞り43を通過して光が入射することができる面積が大きくなる。よって、温度上昇に伴って、LED40が放射した光に対する端面Sに入射する光の割合が増加する。その結果、温度が上昇することによって、LED40の輝度が低下しても、端面Sに入射する光の量の減少が抑制される。
【0029】
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係る光源装置について図面を参照しながら説明する。図4は、第1の変形例に係る光源装置26aの断面構造図である。
【0030】
光源装置26aは、絞り43の代わりに調整部材43aが設けられている点において光源装置26と相違する。以下に、調整部材43aの構成について説明する。
【0031】
調整部材43aは、遮光部50,51及び変形部52,53を含んでいる。変形部52は、z軸方向から平面視したときに、LED40と端面Sとを結ぶ直線から離れる方向(x軸方向の正方向側)に突出するように円弧状に湾曲しており、バイメタル素材からなる金属板である。変形部53は、z軸方向から平面視したときに、LED40光源と端面Sとを結ぶ直線から離れる方向(x軸方向の負方向側)に突出するように湾曲しており、バイメタル素材からなる金属板である。変形部52,53は、第1の線膨張係数を有する第1の板状部材と該第1の線膨張係数よりも小さな第2の線膨張係数を有する第2の板状部材とが貼り合わされて構成されている。そして、第1の板状部材は、第2の板状部材よりも内周側に位置している。変形部52と変形部53とは、基板39のy軸方向の負方向側において繋がっている。
【0032】
遮光部50は、変形部52の端部に接続され、x軸方向の負方向側に向かって延在していることによって、ハウジング41を貫通している。これにより、遮光部50は、LED40と導光体42との間に位置している。
【0033】
遮光部51は、変形部53の端部に接続され、x軸方向の正方向側に向かって延在していることによって、ハウジング41を貫通している。これにより、遮光部51は、LED40と導光体42との間に位置している。
【0034】
以上のように構成された調整部材43aでは、温度が上昇すると、内周側の第1の板状部材が外周側の第2の板状部材よりも大きく伸びる。これにより、変形部52,53は、変形部52,53の径が大きくなるように変形する。よって、遮光部50は、x軸方向の正方向側に引き出されると共に、遮光部51は、x軸方向の負方向側に引き出される。その結果、温度が上昇するにしたがって、y軸方向から平面視したときに、端面Sにおいて、調整部材43aを通過して光が入射することができる面積が大きくなる。以上より、光源装置26aにおいても、温度が上昇することによって、LED40の輝度が低下しても、端面Sに入射する光の量の減少が抑制される。
【0035】
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係る光源装置について図面を参照しながら説明する。図5は、第2の変形例に係る光源装置26bの断面構造図である。
【0036】
光源装置26bは、絞り43の代わりにレンズ55が設けられている点において光源装置26と相違する。以下に、レンズ55の構成について説明する。
【0037】
レンズ55は、LED40と端面Sとの間に設けられており、LED40が放射した光を平行光に近づけるように集光する。レンズ55の面形状は、温度上昇に伴って、変形する。具体的には、レンズ55は、温度上昇に伴って焦点距離が短くなる特性を有している。これにより、温度上昇が発生すると、温度上昇が発生する前には端面Sに入射していなかった光が、レンズ55により集光されて端面Sに入射するようになる。以上より、光源装置26bにおいても、温度が上昇することによって、LED40の輝度が低下しても、端面Sに入射する光の量の減少が抑制される。
【0038】
(その他の実施形態)
なお、本発明に係る光源装置は、前記実施形態に係る光源装置26,26a,26bに限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
【0039】
光源装置では、例えば、調整手段は、遮光部材、センサ及びモータにより構成されていてもよい。この場合には、センサは、温度上昇を検知する。調整部材は、LED40と端面Sとの間に位置している。そして、モータは、センサが温度上昇を検知した場合には、調整部材をLED40と端面Sとの間から退避させる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明は、光源装置に有用であり、特に、温度上昇による輝度の低下を抑制できる点において優れている。
【符号の説明】
【0041】
10 画像読み取り装置
26,26a,26b 光源装置
39 基板
40 LED
41 ハウジング
42 導光体
43 絞り
43a 調整部材
50,51 遮光部
52,53 変形部
55 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読み取り装置の原稿に対して光を放射する光源装置であって、
光を放射する光源と、
前記光源が放射した光が入射する入射面を有しており、かつ、該入射面を介して入射してきた光を前記原稿に向けて放射する導光体と、
温度上昇に伴って、前記光源が放射した光に対する前記入射面に入射する光の割合を増加させる調整手段と、
を備えていること、
を特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記光源と前記入射面との間に設けられている絞りであること、
を特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記調整手段は、温度上昇に伴って直径が大きくなる円環状部材であること、
を特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記調整手段は、
前記光源と前記入射面とを結ぶ直線から離れる方向に突出するように湾曲している変形部であって、第1の線膨張係数を有する第1の板状部材と該第1の線膨張係数よりも小さな第2の線膨張係数を有する第2の板状部材とが貼り合わされて構成されている変形部と、
前記変形部の一端に接続され、前記光源と前記入射面との間に位置している遮光部と、
を含んでおり、
前記第1の板状部材は、前記第2の板状部材よりも内周側に位置していること、
を特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記光源が放射した光を前記入射面に集光するレンズであって、温度上昇に伴って焦点距離が短くなる特性を有しているレンズであること、
を特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光源は、LEDであること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90255(P2013−90255A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231245(P2011−231245)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】