説明

光源

【課題】複数の面発光素子を利用して、安価な配線で高効率発光の光源を提供する。
【解決手段】光源は、平面内に集合して並べた複数の発光モジュール1a、1b、1cを含んでなる。発光モジュール1a、1b、1cの各々は、平面内に集合して並べた複数の面発光素子と、該面発光素子を内部に収容するハウジングとを備える。ハウジングは、面発光素子と電気的に接続して該面発光素子へと電力を供給するための電気経路を形成する。複数の発光モジュール1a、1b、1cは、複数のグループに分けられており、各グループに属する複数の発光モジュール1a、1b、1cが、電気的に互いに直列に接続されて電力を供給されるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の面発光素子を集合させて構成する光源に関する。
【背景技術】
【0002】
ランプに代わる光源として、複数の面発光素子を集合して並べて構成したものが知られている。発光ダイオードに代表される面発光素子は、一つの光出力が小さいので、複数を集合させて用いる。照度の均一性が求められる場合には、光学多角柱が併用される。また、光の放射角度等を調整するため、レンズが併用されることもある。
【0003】
面発光素子の保護、交換などの取り扱いを容易にするため、複数の面発光素子をハウジング内に収容し、発光モジュールとして用いることが知られている。複数の発光モジュールを平面内に集合して並列させ、光源を構成する。複数の発光モジュールは、複数のグループに分けられている。
【0004】
複数の面発光素子を収容するハウジングは、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材とに分かれている。第1のハウジング部材および第2のハウジング部材は、それぞれ面発光素子に対して電気的に接続されるとともに、互いに対して電気的に絶縁されている。各グループにおける複数の発光モジュールのそれぞれの第1のハウジング部材は、一つの長方形電極板に電気的に接続され、それぞれの第2のハウジング部材は、一つの冷却ヘッダに電気的に接続されている。長方形電極板および冷却ヘッダが電気配線により一つの電源に接続されることにより、各グループにおける複数の発光モジュールは、並列配線で電力を供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−38255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2009−38255号公報に開示された光源においては、発光モジュールに対して電力供給するための配線を非常に簡素化させることができた。その理由の一つは、複数の面発光素子を収容するハウジングに電気経路機能をもたせたことであるが、さらに大きな理由は、複数の発光モジュールを載せる基台となり且つこれらを一括で冷却するための冷却ヘッダを、共用の電気経路としても活用したことにある。その結果、複数の発光モジュールは、簡素な配線で並列配線されることになった。
【0007】
しかしながら、複数の発光モジュールを並列配線にして電力を供給すると、発光モジュールが増えるほど電流が大きくなるため、非常に太い配線が必要になる。すると、簡素化されたはずの配線に高価な太いものを使用することになり、また、配線作業を含む取り扱いが難しくなる。
【0008】
また、複数の発光モジュールを並列配線すると、定電圧制御になるため、各発光モジュールに対して自身が持つ個体差に適合した電流を流すことができない。個々の発光モジュールをその個体差に合わせて高効率で発光させることができれば、光源全体としても高い発光効率を実現することができよう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明によれば、
平面内に集合して並べた複数の発光モジュールを含んでなる光源であって、
前記発光モジュールの各々は、平面内に集合して並べた複数の面発光素子と、該面発光素子を内部に収容するハウジングとを備えており、
前記ハウジングは、前記面発光素子と電気的に接続して該面発光素子へと電力を供給するための電気経路を形成しており、
前記複数の発光モジュールは、複数のグループに分けられており、
各グループに属する前記複数の発光モジュールが、電気的に互いに直列に接続されて電力を供給されるようになされている、
光源が提供される。
【0010】
前記ハウジングが第1のハウジング部材と第2のハウジング部材とを有しており、
前記第1および第2のハウジング部材は、前記複数の面発光素子に対してそれぞれ電気的に接続され、且つ、互いに対して電気的に絶縁されており、
各グループに属する前記複数の発光モジュールのうち互いに隣接する2つの発光モジュール間の電気的接続は、一方の発光モジュールの前記第1のハウジング部材と他方の発光モジュールの前記第2のハウジング部材との間を電気的に接続する配線部材によって行われるようにすることができる。
【0011】
前記複数の発光モジュールは、電気特性の類似するものどうしが同じグループに属するようにして分けられていることが好ましい。
各グループには個別の電源を接続することができる。
【0012】
あるいはまた、それぞれのグループが、一つの電源に対して電気的に並列に接続されるようにしてもよい。
【0013】
光学多角柱であって、その一方の端面が、前記複数の面発光素子に接近して配置されて該複数の面発光素子からの光を受けるようになされており、該光学多角柱の内部で照度を均一にされた光を他方の端面から発するようになされている、光学多角柱と、
前記光学多角柱の前記他方の端面から発せられる光を受けるレンズと、
をさらに備えるようにしてもよい。
【0014】
前記ハウジングが、前記複数の面発光素子を冷却するための冷却水の給排水口を有しており、前記発光モジュールが、電気絶縁材料で作られた冷却ヘッダの上面に取り付けられるようにすることができる。
【0015】
あるいはまた、前記ハウジングが、前記複数の面発光素子を冷却するための冷却水の給排水口を有しており、前記発光モジュールが、電気絶縁材料で作られたシートを介して冷却ヘッダの上面に取り付けられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の発光モジュールを複数のグループに分け、各グループに属する複数の発光モジュールが電気的に互いに直列に接続されて電力を供給されるようにしたことにより、過大な電流が流れず、細い配線を使用できる。したがって、配線は安価ですみ、配線作業を含む取り扱いも容易である。
【0017】
また、複数の発光モジュールを直列配線したことにより、定電流制御ができるので、複数の発光モジュールの抵抗値にそれぞれ個体差があっても、個々の発光モジュールに印加される電圧が自動的に変わるので、全ての発光モジュールを高効率で発光させることができる。
【0018】
さらに、低電圧で大きな電流を流す必要がないので、市販の安価な電源を使用することができる。その結果、実用的で信頼性が高く、高性能な光源として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による光源に用いられる発光モジュールの構造を示す側面図であり、上半分は断面で示してある。
【図2】発光モジュール1の平面図。
【図3】発光モジュール1の底面図。
【図4】本発明による光源の一実施態様の平面図。
【図5】本発明による光源における電気配線の一態様を示す側面図であり、一部は断面で示してある。
【図6】本発明による光源における電気配線に用いられるそれぞれの配線部材の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の光源に用いられる発光モジュール1の構造を示す側面図であり、上半分は断面をとってある。面発光素子2への電圧供給の態様を説明するため、電源とともに模式的配線図も示されている。図2は発光モジュール1の平面図、図3は同じく底面図である。
【0021】
一つの発光モジュール1は、平面内に集合して並列させた複数(図示例では9個)の面発光素子2を有する。具体的には、9個の面発光素子2は、絶縁層を含む基板3の上に正方形状に並べられている。
【0022】
代表的な面発光素子としては、面発光ダイオードが挙げられるが、その他の面発光素子を利用することもできる。
【0023】
発光モジュール1は、基板3を挟むように設けられた、上側に位置する第1のハウジング部材4aおよび下側に位置する第2のハウジング部材4bからなるハウジング4を有する。第1のハウジング部材4aおよび第2のハウジング部材4bは、絶縁層を含む基板3によって互いに電気的に絶縁されているが、面発光素子2とはそれぞれ電気的に接続されている。
【0024】
第1のハウジング部材4aの上面には開口5が形成されており、該開口5には円形の透明板6が嵌め込まれている。透明板6の上面には、光学多角柱(図示例では光学四角柱)7が配置されている。光学多角柱7の下端面は、透明板6の上面に接するようにしてもよいし、わずかな隙間をもって離れているようにしてもよい。このように光学多角柱の端面を面発光素子2に接近して配置することにより、面発光素子2から発せられた光は効率良く光学多角柱7内に入射し、光学多角柱7内で照度を均一化され、光学多角柱7の他方の端面から出射される。光学多角柱7の他方の端面の側には、出射光の放射角度等を調整するためのレンズ(図示せず)を設けてもよい。
【0025】
第2のハウジング4bの下面には、面発光素子2を冷却するための冷却水を第2のハウジング4b内に取り入れ且つ排出するための給水口8および排水口9が設けられている。
【0026】
ハウジング4は全体として面発光素子2を囲むようにして保護する機能を果たす。また、ハウジング4は、発光モジュール1を個々の部品として取り扱いやすくしている。例えば、交換は発光モジュールを1単位として容易に行うことができる。さらに、ハウジング4は、面発光素子2へと電力を供給するための電気経路を形成することになる。電源10からの配線11および12を第1のハウジング部材4aおよび第2のハウジング部材4bにそれぞれ接続することにより、面発光素子2に電力が供給される。
【0027】
光源を構成するため、複数個の発光モジュール1が平面内に集合して並べられる。図4に示す実施態様では、9個の発光モジュール1を、冷却ヘッダとして使用される1台の給排水ヘッダ13の上面に正方形状に並べて取り付けてある。給排水ヘッダ13は、電気絶縁材料で作られる。あるいは、給排水ヘッダ13を導電材料で作った場合には、発光モジュール1は、電気絶縁材料で作られたシートを介して給排水ヘッダ13の上面に並べて取り付けられる。給排水ヘッダ13は給水口13aおよび排水口13bを有している。説明の便宜上、図4で見て上段の3個の発光モジュール1を第1のグループとし、中段および下段の3個の発光モジュール1をそれぞれ第2および第3のグループとする。
【0028】
各グループに属する発光モジュール1a、1b、1cは、図5に示すように、配線部材14,15,16によって電気的に互いに直列に接続され、各グループに個別に用意された電源17から配線18,19を介して電力を供給されている。
【0029】
各グループには、電気特性の類似する発光モジュール、例えば抵抗値が類似する発光モジュールどうしが属するようにすることが好ましい。
【0030】
また、各グループごとに電源を用意せず、一つの電源ですべての発光モジュールに電力を供給するようにしてもよい。この場合、それぞれのグループが一つの電源に対して電気的に並列に接続されるようにする。
【0031】
配線部材14は、平らな金属板で作られ、発光モジュール1aの第1のハウジング部材4aの上面と端子台20とに接している。配線部材14に形成された開口14aは、面発光素子2から光学多角柱7への光の伝達を妨げないために設けられている。
【0032】
配線部材15は、平らな金属板を折り曲げた形状をしており、配線部材14と同様に開口15aが形成されている。配線部材15は、互いに隣接する2つの発光モジュール間の電気的接続をなすものであり、一方の発光モジュールの第1のハウジング部材4aと他方の発光モジュールの第2のハウジング部材4bとに接している。
【0033】
配線部材16は、平らな金属板を折り曲げた形状をしており、発光モジュール1cの第2のハウジング部材4bと端子台21の上面とに接している。
【0034】
図4および図5に示すように、各グループに属する3個の発光モジュール1a、1b、1cと配線部材14,15,16とは、給排水ヘッダ13の上面と押さえ板22とによって挟まれ、ネジ23によって固定される。
【0035】
各発光モジュール1の第2のハウジング部材4bと配線部材15,16との間の接触を良好に維持するため、ゴムのような弾性体24を用いて付勢力を与えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1(1a、1b、1c) 発光モジュール、2 面発光素子、3 基板、4 ハウジング、4a 第1のハウジング部材、4b 第2のハウジング部材、5 開口、6 透明板、7 光学多角柱、8 給水口、9 排水口、10 電源、11 配線、12 配線、13 給排水ヘッダ(冷却ヘッダ)、13a 給水口、13b 排水口、 14 配線部材、14a 開口、15 配線部材、15a 開口、16 配線部材、17 電源、18 配線、19 配線、20 端子台、21 端子台、22 押さえ板、23 ネジ、24 弾性体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面内に集合して並べた複数の発光モジュールを含んでなる光源であって、
前記発光モジュールの各々は、平面内に集合して並べた複数の面発光素子と、該面発光素子を内部に収容するハウジングとを備えており、
前記ハウジングは、前記面発光素子と電気的に接続して該面発光素子へと電力を供給するための電気経路を形成しており、
前記複数の発光モジュールは、複数のグループに分けられており、
各グループに属する前記複数の発光モジュールが、電気的に互いに直列に接続されて電力を供給されるようになされている、
光源。
【請求項2】
前記ハウジングが第1のハウジング部材と第2のハウジング部材とを有しており、
前記第1および第2のハウジング部材は、前記複数の面発光素子に対してそれぞれ電気的に接続され、且つ、互いに対して電気的に絶縁されており、
各グループに属する前記複数の発光モジュールのうち互いに隣接する2つの発光モジュール間の電気的接続は、一方の発光モジュールの前記第1のハウジング部材と他方の発光モジュールの前記第2のハウジング部材との間を電気的に接続する配線部材によって行われている、
請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記複数の発光モジュールは、電気特性の類似するものどうしが同じグループに属するようにして分けられている、請求項1または2に記載の光源。
【請求項4】
各グループに個別の電源が接続されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の光源。
【請求項5】
それぞれのグループが、一つの電源に対して電気的に並列に接続されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の光源。
【請求項6】
光学多角柱であって、その一方の端面が、前記複数の面発光素子に接近して配置されて該複数の面発光素子からの光を受けるようになされており、該光学多角柱の内部で照度を均一にされた光を他方の端面から発するようになされている、光学多角柱と、
前記光学多角柱の前記他方の端面から発せられる光を受けるレンズと、
をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の光源。
【請求項7】
前記ハウジングが、前記複数の面発光素子を冷却するための冷却水の給排水口を有しており、前記発光モジュールが、電気絶縁材料で作られた冷却ヘッダの上面に取り付けられている、請求項1ないし6のいずれかに記載の光源。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記複数の面発光素子を冷却するための冷却水の給排水口を有しており、前記発光モジュールが、電気絶縁材料で作られたシートを介して冷却ヘッダの上面に取り付けられている、請求項1ないし6のいずれかに記載の光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−263101(P2010−263101A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113304(P2009−113304)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000106162)サンエー技研株式会社 (19)
【Fターム(参考)】