説明

光給電型光源およびそれを用いた光給電型ROFシステム

【課題】SBSを発生させずに無変調の単一縦モードのレーザ光の長距離伝送を行うことが可能な光給電型光源およびそれを用いた光給電型ROFシステムを提供する。
【解決手段】波長λaの無変調光の単一縦モードのレーザ光aを出力する第1の光源部11と、波長λbの複数の縦モードを有するレーザ光bを出力する第2の光源部12と、レーザ光aとレーザ光bを合波する合波器13と、合波器13によって合波されたレーザ光a、bの合波光cが入射され、該レーザ光bにより該レーザ光aをラマン増幅しながら伝搬させる光ファイバ14と、光ファイバ14を伝搬された合波光cから波長λaのレーザ光a'および波長λbのレーザ光b'を分波する分波器15と、分波器15によって分波されたレーザ光b'を光電変換し電力として出力する光電変換素子18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光給電型光源およびそれを用いた光給電型ROFシステムに関し、特に、無変調光を光ファイバで長距離伝送するための光給電型光源およびそれを用いた光給電型ROFシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アナログ地上放送に代わる放送として地上デジタル放送が開始され、電波の有効利用やテレビ放送の高画質化および高機能化が推進されている。しかしながら、このような状況下にあっても、離島、山間地域を中心とする難視聴地域が依然として存在しており、その解消が急務となっている。
【0003】
この解決策として、ROF(Radio On Fiber)システムが注目されている。ROFとは無線信号で光を強度変調し、光ファイバで伝送する技術である。光ファイバは、同軸ケーブルに比べ低損失で広帯域なため、高周波の無線信号を数km先の遠隔地まで伝送することができる。さらに、光ファイバには、外来ノイズや落雷の影響を受けにくいというメリットがある。
【0004】
図7にROFシステムの適用例の1つである受信システムの構成を示す。即ち、従来のROFシステムは、レーザ光をそれぞれ出射するレーザ光源51、52と、該レーザ光をそれぞれ伝搬させる光ファイバ53、54と、光ファイバ53を伝搬されたレーザ光を光電変換して電力として出力する光電変換素子55と、を備えている。
【0005】
さらに、従来のROFシステムは、電波を受信して受信信号を出力するアンテナ56と、該受信信号を増幅する増幅器57と、光ファイバ54を伝搬されたレーザ光を増幅された受信信号に応じて変調することにより信号光を生成する光変調器58と、光変調器58から出力された信号光を伝搬させる光ファイバ59と、光ファイバ59を伝搬された信号光を電気信号に変換する受光器60と、該電気信号を受信する受信器61と、を備えている。
【0006】
ここで、レーザ光源51、52、受光器60および受信器61の設置場所と、光電変換素子55、アンテナ56、増幅器57、光変調器58の設置場所とは遠く離れているものとする。なお、増幅器57は、光電変換素子55から出力された電力を動作電力とするようになっている。
【0007】
図7の受信システムでは、アンテナ56で受信された受信信号は、増幅器57によって所定の増幅率で増幅、あるいは所定の振幅となるように増幅されて、光変調器58へ出力される。光変調器58において、レーザ光源52からのレーザ光は増幅器57から供給された受信信号で強度変調されて光強度信号に変換される。そして、光変調器58から出力された光強度信号は、光ファイバ59を介して受光器60へ伝送され、受光器60において電気信号に変換される。受光器60から出力された電気信号は受信器61で受信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−8737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来のROFシステムにおいては、レーザ光源と光変調器を結ぶ光ファイバに40〜50mWの無変調の単一波長光が伝送されていたため、誘導ブリルアン散乱(SBS:Stimulated Brillouin Scattering)が起こりやすかった。
【0010】
SBSは、3次の非線形光学効果の1つで、光ファイバに入射された大強度の光(例えばレーザ光)と、この入射光により光ファイバ中に励起された音響フォノンとの相互作用によって生じる散乱現象である。SBSが起こると、入射光の伝搬方向と反対の方向にブリルアンシフト周波数と呼ばれる周波数だけ低い周波数を持つ後方散乱光が発生する。従って、SBSが起こると入射光の伝送特性が劣化し、入射光の長距離伝送が困難になる。
【0011】
ところで、SBSには、この現象が発生する閾値パワーPthが存在する。この閾値パワーPthは、入射光の線幅が狭いほど小さくなるという性質を持っている。従って、SBSを抑制するためには、入射光である無変調の単一波長光の光パワーを抑えればよいが、実際には光パワーを2mW程度まで抑える必要があり、やはり長距離伝送が困難になるという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、SBSを発生させずに無変調の単一縦モードのレーザ光の長距離伝送を行うことが可能な光給電型光源およびそれを用いた光給電型ROFシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光給電型光源は、波長λaの無変調光を出力する第1の光源部と、波長λbの励起光を出力する第2の光源部と、前記無変調光と前記励起光を合波する合波器と、前記合波器によって合波された無変調光および励起光の合波光が入射され、該励起光により該無変調光をラマン増幅しながら伝搬させる光ファイバと、前記光ファイバを伝搬された合波光から波長λaの無変調光および波長λbの励起光を分波する分波器と、前記分波器によって分波された励起光を光電変換し電力として出力する光電変換素子と、を備える構成を有している。
【0014】
この構成により、SBSを発生させずに無変調の単一縦モードのレーザ光の長距離伝送を行うことが可能な光給電型光源を実現できる。
【0015】
また、本発明の光給電型光源は、前記第1の光源部が単一縦モードで発振する半導体レーザである構成を有していてもよい。また、本発明の光給電型光源は、前記第2の光源部が複数の縦モードで発振する半導体レーザである構成を有していてもよい。
【0016】
また、本発明の光給電型ROFシステムは、上記の光給電型光源と、電波を受信して受信信号を出力するアンテナと、前記光電変換素子から出力された電力を動作電力とし、前記受信信号を増幅する増幅器と、前記分波器によって分波された無変調光を前記増幅器によって増幅された受信信号に応じて変調して信号光を生成する光変調器と、前記信号光を電気信号に変換する受光器と、前記電気信号を受信する受信器と、を備える構成を有している。
【0017】
この構成により、アンテナで受信された電波が微弱であっても、十分な強度を有する光強度信号として遠方の受信器へ伝送することが可能な光給電型ROFシステムを実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、SBSを発生させずに無変調の単一縦モードのレーザ光の長距離伝送を行うことが可能な光給電型光源およびそれを用いた光給電型ROFシステムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態の光給電型光源の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態の光給電型光源に使用されるDFB半導体レーザの光の導波方向に沿った断面図
【図3】本発明の第1の実施形態の光給電型光源に使用される光源部の構成を示すブロック図
【図4】励起光波長と利得との関係を示すグラフ
【図5】本発明の第2の実施形態の光給電型ROFシステムの構成を示すブロック図
【図6】本発明の第2の実施形態の光給電型ROFシステムに使用される光変調器の上面図
【図7】従来の光給電型ROFシステムの構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る光給電型光源およびそれを用いた光給電型ROFシステムの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本発明に係る光給電型光源の第1の実施形態を図1〜図4を用いて説明する。図1は本実施形態の光給電型光源1の構成を示すブロック図である。
【0022】
即ち、光給電型光源1は、無変調の単一縦モードのレーザ光a(波長λaの無変調光)を出力する第1の光源部11と、複数の縦モードを有するレーザ光b(波長λbの励起光)を出力する光源部12と、レーザ光a、bを合波する合波器13と、合波器13によって合波されたレーザ光a、bの合波光cが入射され、該レーザ光bにより該レーザ光aをラマン増幅しながら伝搬させる光ファイバ14と、を備えている。
【0023】
また、光給電型光源1は、光ファイバ14を伝搬された合波光cから波長λaのレーザ光a'および波長λbのレーザ光b'を分波する分波器15と、分波器15から出射されたレーザ光a'、b'をそれぞれ伝搬させる光ファイバ16、17と、光ファイバ17を伝搬されたレーザ光b'を光電変換して電力として出力する光電変換素子18と、を備えている。
【0024】
光電変換素子18は、例えば、Ge、InGaAs、または、InGaAsP等の材料からなるフォトダイオードが用いられる。
【0025】
光源部11は、例えば、単一縦モードでレーザ発振する分布帰還型(DFB:Distributed FeedBack)半導体レーザからなる。DFB半導体レーザは、光導波路に光の導波方向に沿った周期構造を備えており、周期構造のピッチの長さと光導波路の屈折率によって定まる特定波長の単一縦モードのレーザ発振を実現するものである。
【0026】
ここで、光源部11が備えるDFB半導体レーザの具体的な構成例を図2に示す。図2は、DFB半導体レーザを光の導波方向に沿って切断した断面図である。
【0027】
即ち、光源部11が備えるDFB半導体レーザは、例えば、n型InP(インジウム・リン)からなるn型半導体基板111の上に、n型InPクラッド層112、n型InGaAsP(インジウム・ガリウム・砒素・リン)からなるSCH層(光閉じ込め層)113、InGaAsPからなる多重量子井戸層(MQW)を含む活性層114、p型InGaAsPからなるSCH層115、p型InPクラッド層116、p型InGaAs(インジウム・ガリウム・砒素)からなるコンタクト層117が順次積層されて構成される。
【0028】
さらに、SCH層115とp型InPクラッド層116との間には回折格子118が形成され、コンタクト層117上には上部電極119、n型半導体基板111の下面には下部電極120が蒸着形成されている。
【0029】
また、図2に示したDFB半導体レーザは、劈開によって形成された後方端面11aおよび出射端面11bを備えている。活性層114は、後方端面11aから出射端面11bにかけて設けられており、駆動電流が上部電極119と下部電極120との間に供給されることによってレーザ光を生成し、生成したレーザ光を出射端面11bから出射する構成を有している。なお、後方端面11aおよび出射端面11bには低反射膜が形成されていてもよい。
【0030】
なお、上記のDFB半導体レーザを構成する各層の組成比、ドープされる不純物の種類および量は、レーザ光aの波長が所望の波長(例えば1550nm)となるように適宜調整すればよい。
【0031】
光源部12は、複数の縦モード発振可能な1つのレーザ光源からなっていてもよい。レーザ光aの波長が1550nmである場合には、発振の中心波長は約1450nmであればよい。
【0032】
あるいは、光源部12は、図3に示すように、複数の中心波長λ1〜λn(λ1<・・・<λn)(n≧2)を有する励起光(レーザ光b)を出力する複数のレーザ光源からなっていてもよい。レーザ光aの波長が1550nmである場合には、最小の中心波長λ1と最大の中心波長λnとの間にレーザ光aの波長よりも約100nm短い波長(約1450nm)が含まれるようにすればよい。なお、図3には、レーザ光bの中心波長として2つの波長λ1、λ2を用いた例を図示している。これらの中心波長λ1、λ2のレーザ光はそれぞれ複数の縦モードを有している。
【0033】
光源部12は、図3のブロック図に示すように、偏波面が互いに異なる波長λ1のレーザ光をそれぞれ出射する2つの半導体レーザ41A、41Bと、偏波面が互いに異なる波長λ2のレーザ光をそれぞれ出射する2つの半導体レーザ41C、41Dと、半導体レーザ41A〜41Dからの出射光の波長λ1、λ2を安定化するための外部共振器としてのFBG(Fiber Bragg Grating)42A、42B、42C、42Dと、を備えている。
【0034】
さらに、光源部12は、FBG42A、42Bからの出射光を偏波合成する偏波合成器43と、FBG42C、42Dからの出射光を偏波合成する偏波合成器44と、偏波合成器43、44からの出力光を合波してレーザ光bを生成し、生成されたレーザ光bを合波器13に出力する合波器45と、を備えている。
【0035】
なお、半導体レーザ41A〜41Dから各偏波合成カプラ43、44の間は偏波保持ファイバ46で接続され、偏波面が異なる2つのレーザ光が各偏波合成カプラ43、44で合成されるようになっている。
【0036】
図4は、中心波長λ1、λ2を有するレーザ光b(励起光)と利得との関係を模式的に示すグラフである。光ファイバ14に入射されたレーザ光bにより、光ファイバ14において中心波長λ1、λ2から100nm程度長波長側に利得gが生じる。この状態で光ファイバ14に利得gの波長帯域のレーザ光aが入射されるとレーザ光aがラマン増幅される(誘導ラマン散乱)。
【0037】
レーザ光aがラマン増幅される際にSBSが起こると、レーザ光a、bが共に後方に散乱され、増幅度が減少してしまうため好ましくない。SBSを抑制しながら高い増幅度でレーザ光aをラマン増幅するためには、光ファイバ14に入射される光の線幅を実質的に広げることが必要である。
【0038】
ところで、光ファイバに入射されるレーザ光の縦モードの本数が増えるほど1本あたりの縦モードに対するSBSの閾値パワーPthが減少することが知られている。これは、縦モード数が増えることによってレーザの線幅が実質的に広がるためと考えられる。本実施形態の光給電型光源1は、単一縦モードのレーザ光aに、複数の縦モードを有するレーザ光bを重畳することにより、合波光cの線幅を実質的に広げてSBSの発生を抑制している。
【0039】
以上のように構成された本実施形態の光給電型光源1は、単一縦モードのレーザ光a(無変調光)に対してSBSの発生を抑制しながらラマン増幅を行うことができるため、レーザ光の長距離伝送を行うことができる。例えば、光源部11から出射された光パワーが2mW程度の単一縦モードのレーザ光aを光ファイバ14を伝搬される過程で徐々にラマン増幅することにより、遠隔地に設置された分波器15に到達したレーザ光aの光パワーを40〜50mW程度まで増幅させることができる。そして、分波器15によって分波されたレーザ光a'は後段の入力されるべき構成部品への入力時において、十分な光パワーを有することができる。
【0040】
また、本実施形態の光給電型光源1は、分波器15によって合波光cからレーザ光a'およびレーザ光b'に分波して、レーザ光b'を光電変換素子18に入射させることにより、ラマン増幅の励起光として用いられたレーザ光bの残りであるレーザ光b'を外部装置用の電力として有効に活用することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の光給電型光源の応用例として、遠隔地に設置されたアンテナから出力される信号の受信システムとして機能する光給電型ROFシステムの実施形態について図5〜図6を用いて説明する。第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
図5は第2の実施形態の光給電型ROFシステム2の構成を示すブロック図である。即ち、光給電型ROFシステム2は、第1の実施形態の光給電型光源1の構成に加えて、電波を受信して受信信号を出力するアンテナ21と、光電変換素子18から出力された電力を動作電力とし、該受信信号を増幅する増幅器22と、分波器15によって分波された無変調光としてのレーザ光a'を増幅器22によって増幅された受信信号に応じて強度変調することにより、信号光を生成する光変調器23と、を備えている。
【0043】
さらに、光給電型ROFシステム2は、光変調器23から出力された信号光を伝搬させる光ファイバ24と、光ファイバ24を伝搬された信号光を電気信号に変換する受光器25と、該電気信号を受信する受信器26と、を備えている。
【0044】
ここで、光源部11、12、受光器25および受信器26の設置場所と、光電変換素子18、アンテナ21、増幅器22、光変調器23の設置場所とは遠く離れているものとする。
【0045】
増幅器22は、アンテナ21からの受信信号を増幅し、増幅された受信信号を光変調器23に供給するようになっている。なお、増幅器22は、光電変換素子18から出力された電力を動作電力とするようになっている。受光器25は、例えばフォトダイオード等の受光素子からなり、不図示のレンズ(光学系)で光ファイバ24から出射された信号光を集光して受光するようになっていてもよい。
【0046】
光変調器23は、例えば図6に示すように、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)のように電界が印加されることにより屈折率が変化する、いわゆる電気光学効果を有する基板231と、基板231の表面に形成された相互作用光導波路232a、232bを有する光導波路232と、相互作用光導波路232a、232bの近傍にそれぞれ配置された信号電極233a、接地電極233bと、を備えている。
【0047】
信号電極233aおよび接地電極233bは、例えば、それぞれの終端が抵抗234で接続された進行波型電極になっており、アンテナ21からの受信信号(電圧信号)が印加されることにより、信号電極233aと接地電極233bの間に電界を発生させるようになっている。発生した電界により、相互作用光導波路232a、232bに異なる屈折率変化が生じる。
【0048】
光ファイバ16から光変調器23の光導波路232に入射されたレーザ光a'は、2分割されて相互作用光導波路232a、232bを伝搬される。このとき、2分割されたレーザ光a'の位相は、相互作用光導波路232a、232bに生じた屈折率変化に応じて変化する。位相が変化した2つの光は、合波されて位相変化量の差に応じた信号光(光強度変調信号)となり、光ファイバ24に出力される。なお、光変調器23の内部損失および結合損失によって光ファイバ24に入射される光が弱まるとともに、光変調器23から出力された信号光が変調により実質的に線幅の広がった光となっているため、光ファイバ24においてSBSが発生しにくい。
【0049】
以上のように構成された本実施形態の光給電型ROFシステム2は、アンテナ21と光変調器23との間に増幅器22を備えることにより、アンテナ21で受信された電波が微弱であっても、十分な強度を有する光強度信号として遠方の受信器26へ伝送することができる。
【0050】
また、本実施形態の光給電型ROFシステム2は、遠隔地に設置された増幅器22に電力を供給する電源として、ラマン増幅の励起光として用いられたレーザ光bの残りであるレーザ光b'を光電変換する光電変換素子18を用いることで、電源の保守管理を不要とすることができるとともに、レーザ光を有効に利用することができる。
【0051】
また、本実施形態の光給電型ROFシステム2は、SBSを起こさずに信号光の長距離伝送を行うことができるため、遠隔地に設置されたアンテナ21からの信号を高品質に伝送して受信することができる。
【0052】
また、本実施形態の光給電型ROFシステム2は、受信器26の後段に、電気信号を増幅する増幅器(図示せず)と、該増幅器によって増幅された電気信号を放射するアンテナ(図示せず)と、をさらに備えた構成とすることにより、中継システムとしても利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明に係る光給電型ROFシステムは、SBSを発生させずに無変調の単一縦モードのレーザ光の長距離伝送を行うことができるという効果を有し、地上デジタル放送波の受信システムまたは中継システムや、携帯電話基地局が携帯電話端末との間で送受信する無線信号を信号光に変換して光ファイバを介して中継伝送するROFシステムとしても有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 光給電型光源
2 光給電型ROFシステム
11 光源部(第1の光源部)
12 光源部(第2の光源部)
13 合波器
14 光ファイバ
15 分波器
18 光電変換素子
21 アンテナ
22 増幅器
23 光変調器
25 受光器
26 受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長λaの無変調光を出力する第1の光源部(11)と、
波長λbの励起光を出力する第2の光源部(12)と、
前記無変調光と前記励起光を合波する合波器(13)と、
前記合波器によって合波された無変調光および励起光の合波光が入射され、該励起光により該無変調光をラマン増幅しながら伝搬させる光ファイバ(14)と、
前記光ファイバを伝搬された合波光から波長λaの無変調光および波長λbの励起光を分波する分波器(15)と、
前記分波器によって分波された励起光を光電変換し電力として出力する光電変換素子(18)と、を備える光給電型光源。
【請求項2】
前記第1の光源部が単一縦モードで発振する半導体レーザである請求項1に記載の光給電型光源。
【請求項3】
前記第2の光源部が複数の縦モードで発振する半導体レーザである請求項1または請求項2に記載の光給電型光源。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光給電型光源と、
電波を受信して受信信号を出力するアンテナ(21)と、
前記光電変換素子から出力された電力を動作電力とし、前記受信信号を増幅する増幅器(22)と、
前記分波器によって分波された無変調光を前記増幅器によって増幅された受信信号に応じて変調して信号光を生成する光変調器(23)と、
前記信号光を電気信号に変換する受光器(25)と、
前記電気信号を受信する受信器(26)と、を備える光給電型ROFシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−142544(P2011−142544A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2700(P2010−2700)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】